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花商岩風化地帯における  がけくずれについて

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防災科学技術総合研究報告 第24号 1970年5月

  551.3:624.13:551,577.61(521.7/.8)

花商岩風化地帯における  がけくずれについて

  渡 正亮、中村浩之榊

建設省土木研究所河川部地すベリ研究宅

Stability of Steep Sl◎pes on Weathered Granite in          Kure and K◎be Cities

       By

    Masasuke Watari and Hiroyuki Nakamura       Pα舳cWoτん8伽8θαrcん∫れMMθ,ro〜・

Abstract

1.2.3.

4.

      Here is dealt with the landslides caused by heavy rain on weathered     granite areas and with the mechanical characteristics of soil in Kure City,

    Hiroshima Prefecture,and Kobe City,Hyogo Prefecture.

      Landslides in the areas are comprised in two varieties:tlle thin−layer     faH and the slump−type landslide.In soi1−mechanica1investigation,mainly the     Swedish sounding method was carried out at the failure and mnfai1ure slopes.

    Following conclusions11ave been obtained.

    (1)Thin・1ayer fa11.As granite is discontinuously weathered,the cone of t11e     Swedish sounding can detect a boundary line obstructing its interpenetration.

    Shearing resistance of weathered granite in the vicinity of this line decreases     with increase of the moisture content.The distribution of the boundary,1ine     もrobab1y has an important inf1uence on the landslides of steep slopes.

    (2)Slumpイype 1andslide.Tlle boundary between bed rock and debris is de・

    tected with the Swedish sounding method.The distribution of bed rock and     the pore water pressure control the s1ump−type lands1ide.

    (3)In order to find a dangerous zone covering a wide area of lands1ide,a     simpler method of survey tllan tlle Swedish is necessary.

      目    次

はじめに. .…. … ... .…… …………・・…127   5.調査結果・…・…一………・………一…・130 花闇岩地帯の崩壊 一・…・・……・・………127  6. 考  察…       137 モデル斜面の選定 …………一…・・……128  7.むすび…………        138

調査方法………・.・…….…….… … ..129

 1. はじめに

 1967年7月8日から9日にかけて,西日本に 停滞していた梅雨前線は台風7号の影響により各 地に集中豪雨をもたらした.とくに長崎県,佐賀 県,広島県,兵庫県での局地的な豪雨は,山くず れ,がけくずれ,土石流,河川の欠壊,はんらん 等,その被害は甚大なものがあった.

 今回,特別研究促進調整費による総合研究に参 加し,広島県呉市周辺および兵庫県神戸市の花商 岩地帯でのがけくずれ調査をする機会に恵まれた.

そこで,豪雨1こより発生したがけくずれ地帯にお いて崩壊斜面と非崩壊斜面のモデノレ斜面を選定し,

それらをスウェーデン式サウンディングを主として 土質工学的手法によりその地盤特性を明らかにし,

今後のがけくずれ危険地帯の判定を行なう基礎資 料をうるとともに,簡単に,広範囲にそれを見い だすための調査方法をうるため,この調査を実施した.

2.花嵩岩地帯の崩壊

花闇岩地帯の崩壊発生形態を概観すると薄層崩 現在の勤務官署1讐 土木研究所河川部急傾斜地崩壊研究室.舳 上木研究所新湯試験所

(2)

昭和42年7月豪雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号

1970

落型とスランプ崩壊型のもの1こ大きく区別できる.

薄層崩落型とは,比較的薄い風化土層が板状に崩 落するもので,この崩壊形態を示すものが崩壊の 大部分を占める.この中には,自然斜面および人 為の加わった切り取り斜面のいずれも含まれる。ス ランプ型の崩壊を示すものは,風化土層の比較的 厚いところや,崖錐性堆積物の存在している個所 や盛土部分に見られるもので,その数は多くはな いが崩壊土量が比較的多く,披害を大きくする可 能性をもっているものである.また,このタイプ の崩壊地内には地下水湧水点が見られる場合が多い.

3. モデル斜面の選定

簿層崩落型のモデル斜面として広島県呉市の浜

田,先尾城・東町の三地区を,またスランプ型崩 壊として兵庫県神戸市明泉寺地区を選定したが,

ここでは代表モデル地として,薄層崩落型を浜田 地区,スランプ型を明暴寺地区とし,これらを中 心にして調査結果を述べること1こする.浜田地区 の地質は,中生代後期ないし第三紀初期の貫入と みられる広島花闇岩体と呼称される粗粒黒雲母花 商岩より構成され,地形は図一1の平面図からう かがえるように,12o〜130のゆるやかなこう配 をもって伸びる尾根の先端が40。〜45oの急崖を なして海1こ落ちこんでいる・この急崖に崩壊が発 生し,その規模は崩壊斜面長約30m,幅45m,崩 壊土層厚が鉛直方向で平均約1.5mで,この崩壊 土塊は斜面下部の工場,道路を埋没する被害を与

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図一1

浜田調査平面図

(3)

花商岩風化地帯におけるがけくずれについて一渡.中村

えた.

 神戸市明泉寺地区は,花崩岩を基盤とし,呉地 区と同様に,わりあい粗粒の岩よりなっている一 崩壌地の写真(写真一1参照)からわかるよう1こ,

上部でスプーンでえぐったように崩落し,下部斜 面の表土を押し流している.崩壊地の模式的横断 図を図一2に示したが,花嵩岩を開析した谷が,

不整合1こ礫まじ )砂質粘土や花闇粋崩壊土1こより 埋没されたものと思われる.この谷1こ水が集めら れ,スランプ型崩壊を起こしたと推定される.崩

壊規模は,長さ40m・幅25m,平均深さ6m

である.

駕護・

馳凄顯

写貞一1 明泉寺崩壊地全景

鰯灘鰯駿鐵鱗嚢鵜 憾灘羅盤蟹灘鰯妻絆

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図一2 明泉寺崩壊地横断図   Dt 崖錐性堆積物

  As 砂質粘土

  G・ 花嵩岩

 4.調査方法

 風化土の厚さ,分布の仕方,強度を調査して崩 壊との関係を求め,崩壊予想地区を判定する資料 を得るため,またそれを簡単に行なうための調査 としてスウェーデン式サウンディングを試みた.

浜田地区においては,サウソデイングを非崩壊斜 面と崩壊斜面で図一11こ示すように各点平均深さ

5mずつ7測線で50点(延ぺ291m)を実施し

た、そのほか,サウンデ4ソグ結果を解析・判定 する手がかりにするために調査孔(4m×2m×

4m)を掘って地質判定を行ない,深度50cmご とに白然含水比,比重,粒度組成,LL,PL,一 軸圧縮強度を測定するためのサンプルを採取した.

また,2か所でプロックサンプルより一面せん断 試験州サンプルと三軸試験用サンプルを採取した.

自然含水比および比重はJIS規定により求めた.

粒度組成は,なるべく結晶粒子を破壊しないよう 1こ筋分けし,JIS規定1こ従って試験を行なった.

一軸圧縮強度は,各深度より平均3個ずつとり,

高さ10cm 高径5cmの試料1こ成形して現場1こお いて試験を行なった.また,この試料より飽和度,

間隙比,乾燥密度等の測定も行なった.一面せん 断試験用サンプルは,プロックサンプルをバラフ イン封八し,実験室で直催10cm厚さ6cmのサ ンプルに成形し,非排水試験1こより,c,φを求 めた.三軸試験用サンプルは,供試体を作るのが 困難なため,径5cm,長さ15cmの真鎌製ンンォ ールチューノを抑し込み,各深度より3個平均の サンプリングをし,径5cm,高さ10cmの供試体 を得て,非排水試験を行なった.また,調査孔を 掘肖1」してサンプリングを行なうことは,多くの労 力を必要とするため,なるべく簡単にサンプリン グが行なえる方法としてオーガーボーリンク1こよ るサンプリングを試みた.ポーリングは口径10 Cmのものを用い,地質測定を行なうととも1こ,同 一深度より三軸試験用サンプルをうるために,近 接した地域で5本のオーガーポーリングを行ない,

直径5cm,長さ15cmのンンオー〃サンプラを打 ち込み,試料を得た.また,このサンプルは調査 孔より採取したサンプルとの比較を行なう意味を

含んでいる..

 明泉寺地区に券いては.崩壊の特殊性を考慮して 調査を実施した.調査内容は,ポiリング25cm,

1mごとの標準貫入試験,スウェーデン式サウン デイ:■グ,簡易貫入試験,オーガーポーリング,

(4)

昭和42年7月豪雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号 1970

土質試験と地下水追跡である.ポーリングは,地 質判定とスウェーデン式サウンデイングとともに 風化岩盤までの深度を求めるために行なった.サ ウンディングは,48か所で延べ175m行ない,

このサウンディング結果と比較するため,各点の すぐ近くで簡易貫入試験を実施した.簡易貫入試 験は,簡単1こ地盤特性を知るため1こ試みた.これ は図一3に示すように径1.3cmの鋼鉄製ロッドの     20㎝

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   貫入ロー)     口1ソド

     図一3 簡易貫入試験用臭

先端1こ円錐型の刃をつけ,これを地面に垂直に立 てて2ポンドハンマで適当な力をもってたたき込 み,25㎝ ごとの打撃回数を記録するとともに,

その数が100〜125回(25cm)当りになったと きを打ち止まり深度とし,サウンデイング結果と 比較した.土質試験は,浜田地区の場合と同様な 方法をとり,地下水追跡は豪雨1こより増加した地 下水の流入径路を求め,崩壊の機構を知るため1こ 行な二た.

 5.調査桔果

 図一4に浜田地区での土質試験結果図を調査孔 周辺で行なったサウンデイング結果と合わせて示

した.調査孔では,深度30〜40cm 程度までは 腐食質の表土,その下部1こ深度2m程度までは,

ほとんど土壌化した赤褐色の風化土,2.O〜3.2m には茶褐色の細かい石英,長石,黒雲母などの組 熾構造を残した黄褐色のマサ土となっているが,

部分的に粘土化の進行しているところもあること が肉眼的に観察された.粒度組成は,深度ととも に粘土分やシルト分などが減少してゆくことがわ

かる.比重は2.33程度で変化していないが,岩 がその位置で風化したことを示す一つの指標iこな

ると思われる,.会水比は2m付近で変化し,それ よりも深い所では,ほとんど一定値を示している.

また,力学的性質に大きな影響をもっ乾燥密度は 2.5〜3.O m付近で2.5g/c詰程度に低」Fしてい る.飽和度をみると,上部では比較的高い率を示 しているが,下部に行く1こ従って急激1こ減少し,

4m付近では40%程度になっている・これらの ことを総合して考えると,深度2m付近までは比 較的粘着力をもち.含水比,飽和度の高い層があ り,2mより下部に行くにつれて,砂質になり粗 髪1こなってきている.さら1こ,50㎝ごと1こ試験 した一軸圧縮強度を図一4で黒点で示し,それら の平均値を折線で示した.いずれの供試体も2〜

3%の圧縮ひずみを受けると破壊し,強度は急激 に減少した.図によると,強度のバラツキは,大

きいけれども2m程度までは圧縮強度が増加し,

それ以深では減少していることがうかがえる.ま た,プロックサンプル1こより採取試験した三軸圧 縮強度も2.5m地点と4㎜の地点を比較すると

2.5mの地点の方が粘性が大であることがわかる一.

調査孔のすぐ近くで実施したサウンデインクの結 果をみても2m付近までは回転数が増加している が,それ以深では減少の傾向をもっている一以上 のことより判断してみると,深度2mから3mを 境に地盤特性が変化していると考えてよいと思わ れる。なお,オーガーポーリング孔により採取し た供試体は,調査孔よりサンプリンクした供試体 の力学強度とほぽ似ており,試料採取だけならオ ーガーボーリングでも十分その役割をすることが わかった.

 つぎに,調査平面図(図一1)に示した位置で のサウンデイングの結果を検討すると,測籔7で

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図一4

土質調査および試験結果図(浜田地区)

(5)

花嵩岩風化地帯に拾けるがけくずれについて一渡・中村

示される崩壊地内部では,ほとんどが回転数100 を越える固い層1こぶつかっている.また,6〜7 m程度行なったサウンデイング結果をみると花商 岩のような均一な岩が風化した場合1こは,常識的 には深度とともに問くなり,したがって,サウン デイングの回転数も増加すると考えられるが,実 際には非常に回転数の不規則な層の下に急激に回 転数の増大する層がみられた.ここで,一軸圧締 強度とサウンデイング結果をもう少し検討しでみ ること1こする・呉地区での3調査地点で掘削した 3調査孔の深度50mごとの一軸圧繍強度とサウ ンデイングの半回転数の関係を図一5に示したが,

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ットした点のわき1こ数字を言己しておいたが,これ は深度をあらわしたものである(3か所の調査孔 を調べた感じでは,浜田地区がいちばん深部まで 風化しており,先尾城,東町がそれにっづいてい ることをつけ加えておく).

 ここで問題は多いと思うが,土質試験結果を勘 案して,花商岩風化地帯の地質構成断面とスウェ ーデソ式サウソデイングの結果の対比図を図一6 にホしてみた.まず,地盤構成をみると,地表近 くは腐食質の表土(A層)で,その下部に花崩む の鉱物構成組織をそのまま残しているが,手でつ ぶすとほとんどの粒子が土壊化してしまう部分

(B層)と,その下 部には右英粒子は未風化のま ま残され長石がかなり風化したC層,さらに鉱物 結晶の結合力が減少した雲母などの風化がある程 度進んだD層があり,その下部は未風化の新鮮な 岩に漸移しているものと思われる.そして,これ にサウンデイソグ結果を考え合わせると100kg の荷重をのせたとき1こ,その荷重だけで貫入する 眉があり,つぎに稲田式にのる深度とともに

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結晶鉱物の結合がく批る

図一6 花商岩風化地帯地盤構成図

図一5 g.一〃w図

これによるとデータ数が少ないので明言はできな いが,碑,砂,砂質土に適用される(稲田による)

  9. : O・45+0・0075〃57   g.:一軸圧縮強度(kg/cm2)

  〃 :半回転数/m

の直線に乗る部分と点線で囲んだグループに属す るものに区分できる・点線内部のものは,g.と

〃、ワとの相関性の少ないものである.また,プロ

回転数は増加して行く層がつづいている.1二 の層は60回転程度言で増してゆく傾向がある.

そして,この層の下には,深さとサウンデイング の回転数に相関性のない層が存在し,さらにその 下部には急激1こ回転数が増大し,場所によっては 貫入不可能の層が存在することがわかった..その 境界は回転数100回以上1こだいたい相当する.

このサウンデイングによる境界面と地盤構成のA

・Bパ…・・層などの境界が一致するという結論を 出すには,データ不足であるが,ある程度の対比

(6)

昭和42年7月豪雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号

1970

はできると思われる・いちおう,図一6に示すよ うにA層1こ対比できるのは荷童のみで貫入できる 部分,B層は稲田式1このって変化する層,C層は サウンデイングの回転数と深さとの関係の少ない

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図一7

ゾ■ンがあり,D層に突入するとサウンデイング の回転数がいちじるしく増大する部分に対比でき ると思われる.

以上の考えをもとに,浜田地区で実施したサウン       俣高

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浜田サウンデイング結果図ω

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図一8

浜田サウンデイング結果図12〕

(7)

花商岩風化地帯にお けるがけくずれについて_渡.中村

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図一9

浜田サウンデイング結果図(3〕

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図一10 浜田サウンデイング結果図14〕

デイング結果を図一7,8,9,1Oに示したが,そ の断面にA〜D層の境界に相当する部分を実線で 記入した・図一7は崩壊地の縦断測線であるが,

図よりわかるように(図一1平面図参照)崩落し ている部分では地表より50cm程度ですぐにD層

にはいり,サウ1■デイングでは貫入困難となり、,

A〜C層はもちろん欠如し,わずかに崩壊残土が 残っているにすぎたい..しかし,崩壊上部にゆく

とC−D層の境界は地表より4〜5m下部まで下

がり,その形状も円孤を描き,崩壊1こ密接な関係 をもつ地下水の集水しやすい器を形成しているよ うに思われる.崩壊中央部の7測線(図一8)も C,D層界層に数10cmの深度でぶつかっている.

また,崩壊上部のサウンデインク地点(図一9参

照)3−2から4−9,4−8……,4−1にそ

ってクラックがはいり,測線1,6,2のある斜 面も不安定な斜面として残っているが,土塊が崩 落するに至っていない.そこで,道路に面した崩

(8)

昭和42年7月豪雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号

1970

落斜面と比較するため,測線1,2,6にそって集 中的1こサウンデインクを実施し,崩壊斜面と非崩 壊斜面の地下構造の違いを解明しようと考えた..

これら3測綴のサウソデイング結果を考察すると,

だいたい類似した結果が得られたので,ここでは 測線6のみを図一10に示した.これ1こよるとC

−D境界層の分布は凹凸が相当みられるが,サウ ンデイング地点6−4,6−5,6−6の下部ではそ の境界面が谷状に凹んでいることがうかがえる.

さきにも述べたが,C,D層の土質的特性を考慮 し,O−D境界層が透水係数1こ差のある境界と考 えると,測線3の場合と同様に6−4,〜6−6地 点の下部の谷1こ水の集められやすい境界層分布を 示しており,この谷の延長が崩壊斜面にぶつかっ ている.また,測線4のサウンデイング地点4−

6・4−7の地点でC−D境界層が浅く,平面図 に示したよう1こ土塊が崩落しないで残っているこ

とは非常に興味のあるところである.測線3と比 較して崩壊土塊がD層より上部であるとすると,

測線6の境界層の傾斜は媛く,測線3の場合は急 であることがわかる.一同様な傾斜は,他の2調査 地区でもみられた・そこで,サウンデイング結果 より崩壊を考えると

 i)崩壊土塊はD層より上部の土層である、

 ii)C・D層の境界面のこう配が崩壊に関係し   ている.

 1ii)C,D層境界面の集水しやすい分布が崩壊   に関与している.

ということが推定される。

 つぎに・神戸市明泉寺での調査結果について述 べることにする。ボーリンクコアおよび付近の地 質から判断すると崩壊地付近では,上部1こ崩積土 と思われる礫まじり細砂,その下部に礫まじり砂 質粘土層が存在し,風化花崩岩がそれにつづいて いる.崩壊地の滑落崖上部に20mのボーリング を行ない,1mごとに標準貫入試験を行なった結 果を図一111こ示したが,深度10〜11mのとこ ろで値が急激に変化し,コア判定でも、七崩岩と上 部の崩積土との境界であることがわかった(図一

12の調査平面図参照).

 図一11の測線Dにおけるサウンデイング結果 を大きく三つにわけて,100k9の荷重のみで貫 入できる部分と,回転数が急激に変化してほとん

ど貫入不可能1こなる部分とに分けて,それらの境 界繍を実線で示した.これによると回転数がいち

じるしく増大する点を連結すれば,花崩岩の分布

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図一工1 明泉寺サウ:■デ4ング結果図(ユ〕

(9)

花庸岩風化地帯にお・けるがけくずれについて 渡・中村

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図一12

明泉寺調査平面図

(10)

昭和42年7月蓑雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号

1970

の仕方を表わすことができるということが他の測 線におけるサウンデインク結果および観察などか ら推定される(図一13,14,15).また,測線 Dの崩壊縦断図をみると,その分布は崩壊による オベり面とは一致していないが,崩壊形状を大い

煤高

1m,

70.O

1こ規制している.

 ところで・簡易貫八試験であるが,1m貫入に 対する打撃回数とスウェーデン式サウソデイング の同転数との相関性を調べたところ,明瞭な関係 が得られなかった一簡易貫八試験の打撃回数(1

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図一13

明泉寺サウンデイング結果図12〕

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図一14

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明泉寺サウンデイング結果図13)

(11)

花崩岩風化地帯におけるがけくずれについて一渡・中村

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図一15

明泉寺サウンデイング結果図14)

m当り)が400回以上になった深度を各測線の 断面図に点線で示したが,サウンデイング1こよる 花闘岩分布の推定線とあまり一致していない.し かし,測線Cの断面をみるとサウンディングの貫 入停止線と簡易貫八深とは比較的よく一致してい

ることがわかる.

 なお,簡易貫入試験を試みてつぎのような問題 点が含まれていることがわかった・すなわち・崖 錐性の堆積物が厚く堆積しており,不均一であっ たため良好な結果をうることができなかったが・

呉地区のようなところで試験を行なったら1スウ ェーデン式サウンディングにみられるような不連 続面を見いだせる可能性がある・また,本試験を 行なうにあたって当然考えられることであるが・

打撃力の個人差および貫入によるロッドの周辺摩 擦抵抗の影響,さらにはロッド径が小さく,打撃 エネ〃ギーの小さいことから小礫や,やや密なと ころにあたると打撃数に大きく影響することであ る.貫入深度は,2〜3mが限度であった.今後,

この試験方法を実施するにあた1)検討の余地が十 分あると思われる.

 61考   察

 花崩岩風化地帯の崩壊形式を薄層崩落型とスラ ンプ型とに区分したが,これらの崩壊機構をここ で考えることにする、、

 薄層崩落の場合,C−D境界層がすべり面とな るとし,これに水が浸透して崩壊が発(三し,いち おう無限長斜面としてその安定度を考える.図i 16のようにO,D境界面と地表面および地下水

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図一16 安定解析

(12)

昭和42隼7月豪雨災害に関する研究 防災科学技術総合研究報告 第24号

1970

面を平行と考え,地表面より深さ∬1に地下水面 があるとし,地下水位面上の土の単位重量をγ,

地下水位面以下の土の飽和単位重量をγ.,地下 水面以下の土の水中単位重量を7 とし,斜面が 限界平衡を保っているとすれぱ

o        ∬ γ、一γ

」一一…2β〔(1一一  )t・・β

〃γ,       〃  γ.

     γ  ∬  γ一プ

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     γ. 〃  γ、

 ただし・φ、:土の内部摩擦角      0、:土の粘着力      β :斜面の傾斜角      〃:崩壊土層の厚さ

という一般式が得られる.ここで,ある斜面が崩 壊するかどうか,その安定度を論ずる場合,斜面 の縦断をとり,サウンデイングでC−D境界面を つかみ,その平均傾斜,崩壊可能土眉厚亙を求め・,

またγ・γ.・τ を土質試験で求める必要がある・

浜田地区の図一7の崩壊斜面を例にとると,γ=

1,5g■6m3,γ、二1,7g/bm3・γ =1.1g■6m3・β=

4ポ, =1.5mの値をうることができた。■しかる 1こ,問題は土の強度定数および地下水位 1をどの ようにして知るかである.そこで浜田で崩壊が発 生したときの 1を求めること1こするとo、・φ、

を求めなくてはならない.調査孔およびオーガー 孔よりとり出した試料1こより一面せん断試験,三

軸試験を行なった結果,内部摩擦角が20。〜250 程度,粘着力がO.2kψm2前後という値をO−D 境界層の付近の試験1こより得られた.このような 強度定数をもつ土層に降雨により雨水の浸透およ び地下水の流入があった場合,土のせん断強度定 数がどのように変化するか大きな問題となってく

る、不飽和の土が含水比を増大したとき,その強 度がどのように変化してゆくかむずかしい問題で あり,これを求めるために三軸試験を行なったと ころ,飽和度が50%程度のものが飽和度70〜

80%に水を加えると,粘着力がいちじるしく減少 し,ほとんどゼロに近くなり,また内部摩擦角は 増大する傾向がみられた.そこで,地下水中での 土のせん断強度定数を0、=Okg■m2・φ、=25。

とし,11〕式より〃1を求めると〃1÷O.3〃=0.45 mという値が得られ,これによると,崩壊を起こ した時点ではすべり面より1m程度にまで地下水 が上昇していたものと推定される。図一10の非

崩壊斜面(クラックははいっていたが,滑落はし ていない)では,O−D境界面の凹凸がはげしく その傾斜角をすべり面と仮定してβ=220とする、

ここで,ω式より土の粘着力がなく,地下水がゼ ロとすると斜面が安定するためには,土の内部摩 擦角が22。以上なくてはならないし,また粘着力 がゼロで,地下水が地表面まであるとすると,斜 面こう配が1ポ以上あれば崩壊を起こすというこ とになるが,現実に地下水が地表面まで達するこ とはないと思われるので,図一10の斜面は崩落 しなかったと思われる.むしろ,この斜面は地下 水の流通水路になっていたと考える方が適当である・

 このよう1こ,β, ,φ、,o、・γ、・γ・プ がわ かり崩壊の危険性のある斜面を見いだしたら 1 を計測することにより崩壊危険の予知をする手が かり1こなるものと思われる.

 つぎに,スランプ型の崩壊は円弧すべり面を仮 定し,斜面の安定度を考えることにする.神戸の 崩壊斜面の場合,花崩岩上部の砂質粘土層内で崩 壊が起こったとし,三軸試験により土の粘着力,

内部摩擦角の値としてそれそれ,C=O.1kg/とm2 φ=1ポ,言た睡潤密度1.99■m3が得られ,ま た円弧で崩壊したものとし,安全率を1とすると,

そのとき発生したと思われる間隙水圧の総和は 144tとなり,水位1こ換算すると,すべり面より 4.6m平均の大きさになり,崩壊時点では地下水 位の上昇は相当なものだと考えられる一これら地 下水の流入径路を調べるために,崩壊地上部にフ ルオレッセンソーダを投入して地ド水追跡を行な ったが,あまり良好な結果が得られなかった,し かし,上部斜面より地下の埋没された谷により地 下水が供給されたことは確かである。また,湧水 点よりみられる水質分析を行なったところ,塩素 イオン濃度が異常に高かった・

 さて,サウンデイングなどにより基岩の分布状 態を知り,すべり面となりうる層の土質試験によ り土の強度常数を決定し,地下水位を測定するこ と1こより斜面の安定度をある程度求めることは可 能である.また,崩壊斜面上部の類似した斜面は

崩壊しないで残ったが(図一13参照),0,φ,

γ、を同じにとり円弧ですべるとし,間隙水圧を無 視すると安全率1.1が得られた.

z む す び

スウェーデン式サウソデイングが崩壊危険地の

(13)

花闇岩風化地帯に拾けるがけくずれについて一渡一中村

予測の基礎資料をうるために有効な手段であるこ とがわかった.しかし,サウンデイングによって 求めた崩壊1こ関すると思われる境界面がどのよう な物理的,力学的意味をもつものであるか,さら に追求しなくてはならないので,今後さら1こ調査 を重ねる必要がある.また,簡易貫入試験も問題 を多く含んでおり,スウェーデン式サウンディン グは相当な労力を必要とするため,より簡単に広 い地域にわたって調査のできる方法をさらに検討 する必要がある、そして,従来用いられている土 質試験およびサンプリンクも使用できることがわ かったので,さらに改良して用いてゆく方法を見 いだしてゆきたい.本稿は十分なデーターがなく,

推定の要素があまり1こ二も多いが,今後花商岩風化

地帯の崩壊の調査,研究を行なううえに,一調査 結果の報告として参考にしていた.だければ幸いで

ある.

 最後に,本調査のため1こ御尽力いただいた広島 県砂防課およびその関係機関,兵庫県砂防課,建 設省中国地方建設局技術事務所,東建地質調査 K,K.土木研究所地すべり研究室の皆様に心から 謝意を表するものである.

       参 考 文 献

土屋昭彦・平尾公一(1967):昭和42年7

 月の集中豪雨による西日本の災害状況,土木  技術資料,Vo l.9,No.12,pp.544〜553

参照

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