防災科学技術総合研究報告第17号
1969年3月
551,311,235:550.8 551.2(522.3)
噴出岩地帯におけるがけくずれに
関する地質学的研究
(オ2報)
黒 田 禾口 男 地質調査所応刷地質部 室 住 正 義 地質調介所物理探企郁
Ge◎logical Study◎n the Mechanism of
Lands1ides in Effusive Rocks(Part II)
By
K. Kuroda and M. Mur◎zumi Cθolo8.6cα1∫ωヅツεμo戸 Jαραη,τoたμo.
Abstract
1) The area in question is composed of a1temations of c1ose1y jointed Tara−
dake andesitic1ava f1ows and pyroc1astics which are often a1tered into c1ayey materia1s.Hydrated−ha11oysite is detected in the c1ayey materia1s by X−ray ana1ySiS.
2) Underground water f1ows in the1ava f1ow as a permeab・1e1ayer and on the c1ayey pyroc1astics as an impermeab1e1ayer,and is supposed to be supp1ied from a1arge hinter1and inc1uding Mt.Taradake.
3) From photogeo1ogica1and genera1geologica1survey,1ands1ides of the area are genera11y found on the c1ayey zone of pyroc1astics which1ies under the1ava
f1ows.
4)F・・m・1・・t・i・・1p…p・・ti・g,T…d・k… d・・it・i・i・f・…dt・b・d・y・・d
「i・hi・・…k・…dth・b…d・・y・…b・tw…th・1…f1・w…dth… d・・1yi・g
pyroc1astics is probab1y a1tered into c1ayey materia1s in underground zones as observed in outcrops。まえがき
緒言…………一・
1.地質と地形との関係・
4 4 5
2.3.4.
次
地域内崩壊について 水露頭調査結果の考察 電気探査の結果とその考察
6
8
9
噴出岩地帯に拾けるがけくずれの機檎およぴ予知に関する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
5.がけくずれの機構について・
まとめ・・
17 18
要 約・
19
まえがき
噴出岩地帯におけるがけくずれの機構拾よぴ予 知に関する総合研究の一環として,地質調査所で は,がけくずれの地質特性に関する研究を分担実 施し,昭和39年度実施分についての全部と,昭 和40年度実施分の1部は,本研究報告の第1報
としてすでに報告した二
昭和40年度後半では,昭和41年2月中旬か ら3月上旬にかけて,試験地の中で実験斜面が設 けられている地区について,地下浅部の地質をさ
ぐる目的で電気探査を行ない,あわせてその解析 に必要な各種調査を実施し,とくにがけくずれの 履歴現象を地形発達という立場で考察したので,
その結果を第2報としてここに報告する.
な拾,本研究の内容拾よぴ実施担当者は表一1 のと拾りである.本稿のうち,1,2,3,5に ついては主として黒田が,4については主として 室住が執筆した.とくに実験斜面についての土質 工学的考察ぱ,本研究報告の後章で鉄道技術研究 所により記述されるので,〜二こでは触れていない.
本稿を草するに当り,現地調査に数多くの援助 を賜わった佐賀県消防防災課,多良町関係各位に 厚い感謝の念を捧げる.
表一1 本研究の内容およぴ実施担当考 調査研究の内容 実施担当者 (所局) 備 考 調査研究の推進 安藤 武(応用地質部)
■およぴ総括 ‡黒田 和男(応用地質部)
地質調査・1: 松井 和典(地質部) 1)39年度 10,000地質 上村不二雄(地 質部) 実 施 図作成
火山岩の地球化 高橋 清(技 術部) 1)39年度
学的研究(自然 実 施
残留磁気の測定 およぴ地質調査
水理 水質およ 安藤 武 1)39隼度 ぴ風化状況の調 大久保太治(応用地質部) 実 施
査 岡 重文(技術都)
試錐調査に関す 安藤 武 1)40年度
る業務拾よぴ結 大久保太治 実 施
果の総括
調査研究の内容 実施担当老 (所 属) 備 考 試錐地点に関す 桂島 茂(技 術部) 2)40年度
る地形測量 実 施
電気探査 ヰ室住正義(物理探査部) 40年痩
(観測実験地) 小川 健三(物理探査部) 実 施 村上 篁(九州出張所)
古川俊太郎(九州出張所)
電気調査に関す 吉嗣 広美(福岡通産局) 40年痩
る地形測量 実 施
注1)第1報で報告ずみ
■ 安藤武,松井和典,高橋清,大久保太治(1966)
くずれに関する地質学的研究,防災科学技術総合研究報告
2)第1報で1部報告ずみ,第2報で報告 ‡ 第2報の執筆者
緒言
この研究でとりあげられた地域ぱ,佐賀県藤津 郡太良町管内にある有明海に面した延長約6㎞の 海岸線沿いの地域一帯である.
もともとこの地域は,昭和32年7月,長崎県 諌早地方に大水害をもたらした記録的集中豪雨の 際にも若干の被害があつたが,昭和37年7月始 めの長雨と,それに続く7月8日の約650■而mに 達する集中豪雨によって,この地域一帯に山くず れ・がけくずれ等が無数に発生し,太良町管内だ けでも大小合わせて100ヵ所近くに達した.こ
とに長崎本線肥前大浦駅付近の権現山の崩壊は,
死者28名行方不明17名を出す著しいものであ ったが,このほかにも数多くの被害が,山くずれ・
がけくずれ等によってもたらされたのである.
このような集中豪雨時における山くずれ,がけ くずれは,たしかに人的あるいは物的損害がそこ にみられるならぱ災害になるが,これを自然現象 としてみるならぱ,山地や丘陵地の侵食現象の1 つの型式が,たまたま発生した所に折悪しく人家 があり,人が死んだから災害となって報道された とみてもよいものであり,山くずれ・がけくずれ が発生したのも,単なる偶然というよりは,種々 の地質・地形的な要素が,ちょうど集中豪雨の際 に山くずれ・がけくずれを発生させるような条件 下にあったため,必然的に起ったと考えることが
できる.
本稿は,昭和37年7月のがけくずれ災害を中 心にして,この地域の侵食の型態からその地質・
地形上の特性を見いだし,今後も発生するであろ う山くずれ・がけくずれの予知・対策に関して何 :噴出岩地帯に拾けるがけ
第13号,3」28
噴出岩地帯に歩けるがけくずれに関する研究一黒田 室住
らかの資料を与えようとするものである.
1.地質と地形との関係
本研究地域は,有明海北部西岸にそぴえる多良 岳火山の東方山ろくに当り,火山の裾野が展開し て有明海に没しようとしているところに位置し,
標高80m〜200mのゆるやかな丘陵が一帯に
ひろがって,底の浅い幅の広い谷がその問を縫っ ている状況である.
この地域の地質は,すでに第1報の中で,松井・
上村・高橋によって詳細に記載されているので,
ここではその要点だけを再録する.
この地域に分布する岩石は,鮮新〜更新世に北 西九州で広い範囲にわたって大規模に活動した北 松滴玄武岩類と,その上に噴出した多良岳安山岩
表一2 研究地域地質系統表
地 質
時 代 名 称 記号 岩質等の特徴 現 世 現世堆積物 a
竹崎玄 岩類)
B d
錐堆積物 図一2では分布省略
t
(段丘堆積物) 図一2では分布省略
↑ TAu
更新世 図一2では一括してTA
↓ 多良岳安山岩類 1とした.多良火山の活動初期に流
TAL
れた熔岩流.暗灰色の斑 晶質岩で柱状あるいは板 状節理カ讐しい.TB4 暗緑色叉は暗灰色を呈し
↑ (田古理 斑晶鉱物としてかんらん 石が著しく多い.
鮮新世 粗粒玄武岩)
↓
暗緑色〜灰色を呈し,か
TB3 んらん石の斑晶が非常に
多い.
厚さ数刎の火山砕屑岩層 とその問に酸性安山岩質 の火山陳凝灰岩の挾みが 北松浦玄武岩類
TB2
ある灰〜暗緑色を呈する級密
な岩石,かんらん石の斑 晶カ薯しく多い.
厚さ3〜4mの赤紫色を 呈するスコリヤ拾よぴ凝 灰岩層
TB1 暗緑色を呈する徴密な無 斑晶質岩石
中新世 〔基盤岩類〕 〔本地域には露出せず〕
〜 古第三系杵島層群と思わ
れる.
拾よぴその砕屑岩類である.また}沖積層 が谷 問を埋めて分布し,がい錐堆積物が,平底谷の谷 壁その他に分布している.
表一2に地質の概要をのぺる.
この地域は,地形上の特徴によって,亀ノ浦一 田古里を結ぷ線すなわち長崎本線の線路に沿う線 で東西2つの部分に分けられる.東の部分は,田 古里粗粒玄武岩類からなる高さ136.O mの山を 中心とする小円錐火山状の地形で,放射状に谷が 発達している.西の部分は,台地状の地形を呈し,
その高さは西に高く東に低く平均60〜80mを 示している.また返答岳のよう在半ドーム型の小 山が散在し,ちょうど多良岳火山の寄生火山のよ うに見えるが,これらは,地質調査の結果では北 松浦玄武岩類からなることが判明した.
中畑・野上地区の多良岳安山岩からなる台地は 畑地としてよく利用されており,林地は台地周縁 の急斜面すなわち一一がけ に限られている.
海岸は平坦地に乏しく,顕薯な海食崖が発達 し,その高さはこの地域では25mに達するもの がある.また海岸に沿っては小規模の海岸段丘が 発達している.その高さは20m前後で,有明海 周辺に発達する海岸段丘のうち中位段丘下位面に 対比されている三)
この地域の谷ぱ幅の広い平底谷が多く,水があ る場合にはこの谷頭の湧水を水源とする水田が開 けている.この谷壁に沿っては崖錐が発達して いる所があり,ことに北松浦玄武岩類と多良岳安 山岩との接触位置に沿って薯しい.崖錐地形の
図一1 研究地域要因
噴出岩地帯に拾けるがけくずれの機構拾よぴ予知に関する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
劣
TA
破瀬ノ浦
休万f
f.6名f
7.〃秦験斜面
凡 例
○ 沖和后 8 榊玄式岩煩
多長缶安山岩煩τA」一
丁84 火山砕セッ旭 丁臥 fTB 火u」砕セツ篶
TB3
f 火山砕セツ憎
丁82 火山枠セツお T81
D田吉里担粒玄武岩 北 松 斎 玄 武 岩 類
\
8
竹崎
図一2 研究地域地質図
ある場合,その場所はたいてい水田となっており・
谷頭湧水点の後退ということで平底谷の成因が説 明されるかも知れないが,現在のデータではそれ
を証明するこ、とはできない.
2.地域内崩壊にっいて
本研究地域内の崩壊状況を調ぺる手がかりとし て,昭和38年7月から8月にかけて・佐賀県の 計画のもとに国際航業株式会杜により撮影された 空中写真,拾よび昭和38年9月から10月にか けて国土地理院が撮影した空中写真を利用した・
昭和38年7月といえぱ,昭和37年7月の災害
時から約1カ年経過しているため,たとえぱ国道 筋の崩壊等のような急を要するものぱ,かなり修復されているが,崩壊の発生位置等はよく判読さ れ,地域内の崩壊の特性を見出すにはさしつかえ
ないものと思われる.
空中写真から摘出した崩壊位置は図一3に示し たとおりである.この図と地質図とを対応させた 結果を次にのべる.
多良岳溶岩からなる地区にはしゃく子状にみえ る崩壊が認められる.これは表層板状体のすぺり であるが,本研究地域内にはその数は少左い・し かし多良岳の本体でば,この種の崩壊が大部分を 占めている.
北松浦玄武岩類中の崩壊は,一主として風化表層 部あるいは凝灰質岩石の挾みが露出する位置に発
噴出岩地帯におけるがけくずれに関する研究一黒田・室住
凡 例
ふ
1 ■ 、 ■^.{〆・㍊
里㌧ 塁地区!
沖積地(水田〕
ノ/懇籍鵠竃島糊醐
/葦鶏鰍岬セツ臨
ビ旧崩嬉地形
」ヨ召和37年7月の崩埴±姐
ワ
.一三
刻れり一
工・・沸狐おゐうら
㌧1 ■
ふ 曾
1.ぐ、、・、
V三一・・
/
T 一 ㎏い
一㌻、㌻
線
芯
■
図一3 地域内崩壊分布図
生しておゲ円弧型すぺりに起因するものが多い.すなわち,滑落がいは小規模ながらも明りょうで あり・その型は馬てい型を示し,崩土ば前方に押し 出されたようになって!・る.とくに大規模な崩壌 は,肥前大浦駅付近のいわゆる権現山の崩壊,お よび里地区のもので,どちらも多良岳安山岩類と 北松浦玄入岩類の接触位置に介生している.いず れも円弧刷崩壊の大規模なものであって,崩壊は,
玄武判質の砕セツ均が前方に抑し出され,そつ.h に安山判溶岩の岩塊が積み雫なったようになって
いる.
従来観察してきた数多くの例では,ち密な安山 岩質溶岩,あるいは玄武岩質溶讐はもともと餅盤 状の地形を呈し・周縁部は下降斜面型を形成して いる・亀ノ浦や里の崩壊地形は,もともとち密な
溶岩流のもつぺき地形とは明らかに異質である.
このような点に注目すると,台地の縁に馬てい形 のくぼみがあれば,それは過去の崩壊によってで きた地形であり,過去に発生した崩壊の痕跡を残 しているものであるということができる.図一3 は,古い崩壊跡地形を摘出したものであるが,崩 壊の集中した個所が認められることは,崩壊は偶 発したものではなく,何らかの理由で必然的に発 生したものであることを暗示している.
なお1本研究地域内では,TB、の北松浦玄武 岩流を石材として各他で採石してし(る.採右場の 型態は,亀ノ浦あるいは甲の崩壊地形によく似て いるので,空中7}=点判読のうえからは,注意して 崩壊地形からは除外するようにした.
橘(1958、は,昭和32年7月の誠早大水
貞出岩地帯に拾けるがけくずれの機構拾よぴ予知に関する研究
(第2報)防災科学技術総合研究報告第17号 1969 害を発生させた集rコ豪雨の際に,多良岳南方のこ
の研究地域の隣接地域に発生した山くずれについ て考察した緒果,山くずれはA,B,C,D,E,
F型の6つに分類されること,山くずれの大多数 は多良岳安山岩拾よぴ集塊岩互層中に発生してい ること,とくに玄武岩類が分布する地区に関して はA,Cの両型がみられることをのぺている.本 研究地域では,田古里川沿いまたは県境付近にこ の型がみられ,亀ノ浦およぴ里地区の崩壊は,橘 の分類にもみられない特殊のものである.
第1報ですでに松井らがのぺたように,多良岳 安山岩は,北松浦玄武岩類が地表に露出し,侵食 を受けてある程度起伏のある地形が形成された所 へ・その凹地を埋めるようにして流れ込んだもの であり,過去および昭和37年7月にがけくずれ を起した所は,この凹地のやや傾斜の急になった 縁部に当っている.これは,後述するように,亀 ノ浦あるいは里地区のがけくずれ発生に大きな地 質条件となって関連している.
3.水露頭調査結果の考察
亀ノ浦あるいは里地区のように,下位にかなり 粘土化した火山砕セッ岩類があり,その上に節理 のよく発達したち密な溶岩流があるという構成を 考え,しかも崩壊が,火山砕セツ岩類の破断とい う型式で発生したということを考えると,この崩 壊の原因として,地盤の異常な含水,しかも節理 の多い安山岩質溶岩流の中にその節理に雨水が浸 透して充満したための重量の変化,あるいば地盤 が異常に含水した結果,粘土化した火山砕セッ岩 の土粒子内にある種の化学変化が起つて,釣り合 いが保てなくなるといク場合が考えられる.いず れにせよ集中豪雨の際の水の挙動とくに供給源は,
崩壌現象を解く場合の鍾になるので,この地域の うち長崎本線以西の地域について,地下水の流動 状況を知るための水露頭調査を行なった.
図一4,図一5は,比低抗拾よぴ温度測定結果 からこの地域の地下水を分類したものである.
すでにのぺたようにこの地域の水田は,谷頭か ら湧出する水を使用しているのが多い.地域内の 水田の分布から,谷頭の湧水地点が読み取れるの で,以下に地質等と対応させた結果を示す.
水比低抗値によれば,この地域の湧水は明らか に多良岳安山岩の中を流動してくる20,000〜
30,000Ω㎝の雨水が地中に浸透した状態の・ま ま流動してきた地下水が地表にあらわれたものと、
水比掴抗値
記号 区 分 拾もな地区
I
多良岳安山岩(新鮮なもの) (御手水・中から湧出する大きい後背地 里・休石
を有する水 地区)
皿 北松浦玄武岩類中から湧出す (里地区)
る大きい背後地を有する水
皿 北松浦玄武岩類中から湧出す (広江地区)
IV る水
多良岳安山岩申から湧出する (野上・中
水 畑地区)
図一4 水比抵抗値区分図
砥源ノ浦
休厄
◎. %里
勧手水
◎ .
5
◎ 20∞OΩcm
O lOO00Ωcm山20000Ωcm
O l一而
● 1α◎OOΩcm 以下(火山砕セツー唐φの{の)
▲locooΩ㎝以下(多賄馳岩中舳)
多貝岳安山岩煩
北松涜玄武岩煩の埴界竈頭線
野上 ▲
▲
申畑
、十
図一5 里地区周辺主要湧水分布図
牲三工
○浦 叱ん秘3ら
10,000Ωcm内外の野上・中畑地区の多良岳安 山岩中に貯留されている地下水とに分けることが できる.そうして,かりに地下水の流動が,岩盤 中の多孔質部分あるいは溶岩流の中の割れ目の非 常に多い部分を,重力の法肌により低い所を選ん
噴出岩地帯に拾けるがけくずれに関する研究一黒田・室住
で流動しているならぱ,地下水の主な流れは,地 質構造からは,粘土化した凝灰岩の層を不透水盤 とし,溶岩流の層を透水層として,その境界の凹 地をぬつて流れていることになる.
里地区北東方の海岸では,干潮時に多良岳安山 岩類と北松浦玄武岩類の接触部が現われる所があ り,図一6に示すように,不整合面のわずかな起 伏に応じて,粘土化した北松浦玄武岩類を不透水 盤とし,安山岩類の基底から水が湧出している.
この事実は巨視的にも微視的にも,また北松浦玄
武岩類中の溶岩と凝灰岩あるいはスコリァ層と凝 灰岩層との組合わせを考えた場合にもいつでも適 用されるものであるといえよう.
亀ノ浦拾よぴ里地区の崩壊地点が,多良岳安山 岩と北松浦玄武岩類の境界位置にある地下水流の 主脈から外れており,しかもその下位の玄武岩溶 岩中にはかなりの量をもつ地下水脈が認められる ということは,この崩壊機構を考察するうえに重 要在示唆を与えるものである.
〃
7ハ
〃、ム、
ム ム ム ▲ ム
△ ^ ム △ ム ^ △ △ ▲
、彰宗x∵・(((\x)1、鉦.
ll・ユ
2 3 4 ・ 、、ハニ会二掠ニニ ム、ム・!・ 二熔㌔篤
5 1植物宿圭地
2多艮{舌看山岩簑頁 3北松痛玄武岩編 4111さo串積士
5ゴ也下氷り,浸出止7い31固月〒
図一6
里海岸露頭のスケッチ(一部)4.電気探査の結果とその考察
実験地とその周辺における地下浅部の地質に関 する資料を得るため,実験斜面を中心とするほぼ 370m x80mの区域で電気探査を実施した.
区域の大部分は南向きの斜面で,多良岳安山岩溶 岩の分布しているところは山林として,玄武岩質 火山砕セヅ岩の分布しているところは主としてみ かん畑として利用されているようである.
測地ぱ,ほほN4ザEすなわち斜面を横に水
平に縫うようにして370mの長さのものを20
m間隔をもって設けたが,地形その他の障害により中途で打切り,重たはこれをおぎ在うために補 助測線を設けた場合もある.
測点はこれらの測線上に10mごとに設置した.
電気探査を実施した区域の地形,拾よび測線・
測点の配置・記号・番号等は図一8に示したが,
国鉄およぴ気象研究所により行なわれている観測 坑井はA。。〜B。。ならびにA。。の近傍に集中して いる.な拾,昭和37年7月の集中豪雨の際に発 生した崩壊の痕跡や,調査当時に観察された地割
れらしい表土のずれの位置も同時に記入した.
電気探査は,比抵抗法により水平探査拾よぴ垂 直探査を実施した.
水平探査は2極法により,各測線上に電極を配
列して,電極間隔(a〕を10,20,40,80m
の4種として,10mごとに測定を行なった.こ の測定結果を各測線ごとに,地形断面とともに比 低抗水平分布曲線として図一g(a〕〜図一g(f)に示した.
言た,各電極間隔ごとに各測点の比抵抗値を笠 比低抗線をもって示したのが図一10(a〕〜図一
10(dlの比抵抗分布図である.
さらに,10,15,20,25,30,35
の各線について地形断面とともに各電極間隔の比 抵抗値の状況を示したものが図一11(a〕〜図・
11(f〕である.この場合a二10m」の曲線は比低 抗値をこの各断面を挾む最も近い2点の比低抗値
(すなわち,たとえぱ10線のものは9.5点およ ぴ10.5点の比低抗値)の平均をもってその値と
した.
噴出岩地帯に拾けるがけくずれの機樽拾よぴ予知に関する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
79 I旧一75 】≡【一8019
樽潔
w
,㍉
KOKUSAI
写真一1
80 RG−75 K−8019 KOKUSAI 実験地付近空中写真
鵡
vi
、倣
、∵・
、〆、
・ぺ.、(心
V
a
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禰
・。 ・,
▲ 、 ㌧一1 η
)
〕0}仰
w・
a:電気探査区地形拾よぴ測点図の範囲
b:試錐A地区の地形略図(第1報図一13)の範囲
図一7
写真一1の説明図噴出岩地帯に参けるがけくずれに関する研究一黒田 室住
㌔
■
凡 例
■o■i艘 点^ 、^
■o} ■■8(…三岬{榊
■ 口^^o●
o 50 n1
■ ■■2π
図一8
電気探査区地形拾よぴ測点図 垂直探査はつぎの各測点に拾いて実施した.OA測線に拾いては 12,14,16,18点 ○A 〃 26,28,30,32点
O B,B ,C,Dの各測線に拾いては,それぞ
れ12,14,16,18,20,22,
24,26,28,30,32点 OE測線に拾いては 14,16,18,20,
22,24点
各測点とも電極配置はW㎝ner方式により,測 線上に電極系を配列,電極間隔を40〜60〃ま で展開して測定を行なった.その測定結果の一部 を,その解析結果とともに図一12にρ一a曲線
図として示した.
な拾探査に使用した測定器は地質調査所型電気 探鉱装置である.
以上を総合して考察すると,図一10(到,(りに 拾いて,探査区域の北部で山稜に沿って分布する
200Ω㎜以上の高比低抗帯は,この山稜近く各 所に散見される多良岳安山岩溶岩の分布と関連す
るものと考えられ,また100Ω㎜以下の低比低 抗帯は,玄武岩質火山砕セッ岩との関連が考えら れる所である.一方本探査区域の南方で行庄われ た試錐坑井の電気検層資料を見ると,玄武岩質火
山砕セツ岩60〜100Ωmの値を示し,玄武岩 済岩は200〜1,500Ωmを示すことが認めら
れるが、をかには玄武岩溶岩が100Ωm程度を 示しているものもある.このため本区域内に分布 する玄武岩質火山砕セツ岩と多良岳安山岩溶岩を 比抵抗値のみで厳密に区別することはむずかしい.しかし比低抗分布の様相からみて,傾向的には多 良岳安山岩溶岩の下部に玄武岩火山砕セツ岩が潜 入しているものと推定される.比低抗分布図の
a=80mの場合,北部の高比抵抗帯が最高 200Ωm程度を示しているものは,溶岩として
虞出岩地帯に抽けるがけくずれの機構拾よぴ予知に関する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
20
15−
旧 孤;
A測線
o〕
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o:lo m
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LO=20m 小㎞ 』
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30
布 平分 抗 水
9
比抵図
貫出岩地帯に拾けるがけくずれに関ナる研究一黒田・室住
一
ヨO 40
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比抵抗水平分布曲線図 図一9(続き)
噴出岩地帯に拾けるがけくずれの機構一;.ぴ予知に関する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
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図一11
比抵抗水平分布曲線図口出岩地帯に拾けるがけくずれの榊拾よぴ予知に口する研究
(第2報) 防災科学技術総合研究報告 第17号 1969
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図一12 ρ一a曲線図
はかなり低いものであって,溶岩の下部には玄武 岩火山砕セッ岩が分布することも考えられる.ま た深部まで溶岩があるものとすれぱ,多孔質ある いはき裂の多いしかもその中に水が含1まれたよう な状態になっている場合が考えられる.また図一
9⑫)〜図一9(Oでa=10〜40mの曲線の比抵 抗が低から高に移る付近で,a:80mの曲線が むしろ低低抗を示しているのは,溶岩の端近くの 部分では下の玄武岩質火山砕セツ岩が粘土化のご とき変質作用を受け,とくに低比抵抗を呈してい るような場合が考えられる.
図一9(φ〜図一g(flに拾いて「27−38」の
一部でそれぞれa=10,20,40mの曲線が
高比抵抗で接近した部分が認められる.これは地 下浅部が電気的に同様在状態にあることを示すも のであって,いいかえれぱ,多良岳安山岩溶岩は この付近では,やや深部まで多孔質あるいは割れ
目が多く乾燥に近い状態になっていることが考え られる.また,区域南西部の高比抵抗帯について も,多良岳安山岩溶岩の分布との関違が考えられ るが,この場合溶岩の厚さはきわめて薄いものと 推察される.
図一9(aj,(c〕に拾いて「12−18」で認めら
れるa二10m,20m曲線の高比抵抗歩よび図
一10(到,何で16を申心とする高比低抗帯は,
著しいものではないが,図一8で見るごとく電極 配置と地形からみて,地形の影讐を考慮する必要 があるものと思う.しかし,この付近の地下浅所 は他に比し,ある程度乾燥した状態にあることも 考えられるので,高比抵抗であることもうなづけ よう.この付近で行なった垂直探査では歯 12 に示すごとく,高比低抗はきわめて地下浅所にあ ることが示されている.
図一12(c〕,r B。。」点華よぴ.図一120,
噴出岩地帯に拾けるがけくずれに関する研究一黒田・室住
「B。。」点に扮いては30Ωmあるいは50Ωm 程度の局部的に低比低抗を示すものがある.拾そ
らく粘土分に富むものの存在を示すのであろう.
また図一9(c〕〜図一9(f〕に拾いてa…10mの 場合,測点r10−11」間が各線ともいずれも 低比低抗を示しているのは,きわめて地下浅所に おける低比抵抗物質との関連が考えられ,この付 近に粘土のごとき物質の分布が推察されるが,こ の地帯がかつてがけくずれの起った一帯であるこ とを思うと注目を要することであろう.図は省略 したがr A1。」点に拾ける垂直探査の解析結果に よると地表下約8.5mには30Ωm程度の低比低 抗が認められる.これはこの付近がけ下にみられ る粘土化した玄武岩質火山砕セヅ岩の分布との関 連が考えられるところである.な拾,図一11(al
〜図一11(f〕をみると各測線とも,概して電極間 隔の増大とともに比低抗は減少していることがい える.換言すれぱ地下深所へゆくほど低比低抗と なる.しかしA,B線r1O」付近では一部逆転
しており,浅所の比抵抗が深所よりも低比低抗と なつている.
以上電気探査の結果を要約するとつぎのように
なる.
1)水平探査の場合,若干の例外を除いて,電極 閻隔が大きくなるほど見掛比低抗値は小さく なる.
2)山稜に沿って分布する200Ωm以上の高比 低抗帯は多良岳安山岩溶岩の分布と密接な関 係があるものと考えられる.
3)多良岳安山岩の下には玄武岩火山砕セツ岩が 潜入しているものと推定される.
4)溶岩の端近くの部分でa=10,20,40
mの比低抗値に比較しa=80mの場合比低 抗値がとくに低いのは,玄武岩類が粘土化し ているためとみられる.5)稜線付近の多良岳安山岩の分布範囲でa=
10,20,40mの比低抗値が比較的近い
値を示すのは,地下や深所言で岩盤の状況が 同じであり,あるいはかなり内部咳で割れ目 が多く乾燥状態になっていることかもしれな い.
6)垂直探査の結果には粘土化に関係すると見ら れる低比抵抗を示すものもありこれは水平探 査結果あるいは屋頭地質とも一致する.
5.がけくず机の役幻にっいて
昭和37年7月に大規模ながけくずれを起した 場所は,過去にもがけくずれが集中発生した個所 の1部に相当するということ,その集中発生個所 は,多良岳安山岩(溶岩)が分布し,その下に玄 武岩質火岩砕セッ岩があって,両者の接触部はい ちじるしく粘土化しているということ1粘土化し ている部分の粘土には加水ハロイサイトが見出さ れること,拾よぴ安山岩と玄武岩質火山砕セッ岩 の境界面は,がけくずれ多発地区に関する限り山 腹斜面と逆方向に傾斜していることを総合して,
この地区のがけくずれの機構をつぎに考察してみ
る.
一般に豪雨によって斜面が安定を失いくずれ落 ちる場合には,大きくつぎの2通りが考えられる.
す在わち
1.斜面を構成する土石がいちじるしい含水の ために自重を増し,そのために釣り合いが破れる
もの.
2.斜面を構成する土石が,薯しい含水の結果,
組織,構造に変化が生じ,急速に応力が低下して 釣り合いが破れるもの.
このうち,後者の場合は本研究地域に関する限 り,多良岳安山岩と玄武岩質火山砕セツ岩の境界 が粘土化し不透水性となっているために,条件と しては考え難い.むしろ,火山砕セヅ岩中の水を 通しやすい部分に異状水脈が生じてパイピング現 象を起すことが考えられる.
1の場合,上に乗る安山岩溶岩の中では,数ヵ 所の採石場等でみられるように節理がよく発達し,
したがって豪雨の際には,岩体内のすき間に水が 充満されるために,総一重量がかなり変化する.こ とに,山腹斜面の方向と逆傾斜の基底面をもって いる場合,常に地下水はほとんど無いに等しいも のが急速に含水し,重量を増すために荷重の変化 は最大に在る.
したがって,くずれの機構は,すでにのぺたよ うな地質の構成で説明されるが,これに火山砕セ ッ岩中では比較的粘土化の進んだ部分ががけくず れの発生位置を決定してくる.この地域の粘土は 加水ハロイサイトが主な成分鉱物となって拾り,
山崎ほか(1966)は,火山性の熱水液の作用 を受けて粘土化が促進されたところに引きつづき 地下水の作用を受けて,粘土化がさらに進行した
ものと考えている.
この考えのもとにたてぱ,常時地下水の影讐を
噴出岩地帯に拾けるがけくずれの機構拾よび予知に関する研究
(第2報)防災科学技術総合研究報告第17号 1969
点(観測地点)は,安山岩溶岩の岩体の直接的荷
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節理に富む安山 岩溶岩
通常の地下水面 粘土化帯 玄武岩質凝灰角
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豪雨時の地下水 位
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凝灰角レキ岩中に にキ裂発生
崩壊後の状況
図一13 崩壊機構模式図
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地下水脈の位置は厳密ではない.
すぺり面は,地表にみられた地割れを結ぶ m toe s1ip を想定した.
図一14 実験斜面における 崩壊模式図
受けている個所,たとえば湧泉の付近,あるいは 地下水脈の直上位置は,粘土化は他の個所に比較 してかなり進行しているものであり,がけくずれ の発生位置を規定する1つの理由となっている・
亀ノ浦のがけくずれ地点では,ボーリ/グによ り顕著な地下水脈のあることが発見され,簡易水 道の水源となっている.また里のがけくずれ地点 の海岸にも薯しい湧泉がある.これは上に考察し た結果と一致するものであり,また今回の実験地
重変化をとらえているのでなく,どちらかといえ ぱ,安山岩体の荷重変化を直接的にはとらえてい ない円弧すぺりのモデルに合致したものである.
電気探査の結果,実験斜面を中心とする一帯は,
かなり粘土化が進んだ地盤の状態が示されて拾り,
その中を水脈状に地下水が流れ,その地下水の供 給源は,地形・地質条件双方からみて,かなりの 大きな背後地をもっていることを考えて,実験斜 面に関する力学的モデルを設定する必要があろう・
実験斜面付近に拾ける地下の地質・水理の状態 を,まえにのぺたような種々の手がかりから推察 すると,多良岳安山岩溶岩と北松浦玄武岩類の火 山砕セッ岩の境界は多少の起伏をもっており,図 一6のように銚子の口のようになった部分から地 下水が火山砕セツ岩中に侵入して,ここに粘土化 帯を形成し,がけくずれ一この場合円弧すべり一 を起しやすい条件となっている.さらに豪雨時に・
多良岳安山岩溶岩拾よぴ玄武岩質火山砕セツ岩の 異常含水による重量の変化が,斜面の安定をこわ すもととなるものであろう.
がけくずれ現象の予知については,前述の地下 水の挙動とからみ合わせる必要があるが,がけく ずれ徴侯地点を見出す方法として,浸透水が常に 通過している個所,いいかえれぱ湧水地点につい ては,その湧水の経路をつきとめておくことも決
して無意味なことではない.
まとめ
佐賀県太良町下に設定されたがけくずれ実験地 について,一般地質調査・写真地質調査・水理地 質調査の結果に加えて,実験斜面付近の水平電気 探査を試み,実験斜面周辺の地質環境を考察して
みた.
実験斜面付近では,多良岳安山岩類の基底直下 の北松浦玄武岩類(火山砕セツ岩)は薯しく粘土 化しているという徴侯をつきとめることができた.
この粘土化の機構については改めて検討する必要 があるが,集中豪雨時に発生するがけくずれの機 構に大きな役割を果していることは否定できない.
すなわち,すでに粘土化が進んだ部分は,その.⊥二 にある岩盤や崩積土に急激な含水を起しやすし(と いうことであり,したがって荷重変化あるいはそ れに伴う間ゲキ水圧の変化も著しいということで ある.重た粘±化の進んだ部分の力学的な強さも 粘土化が進んでいない部分に比較して劣つている・
噴出岩地帯におけるがけくずれに関する研究一黒田・室住
このことは,粘土化が進んだ場所は,いずれの場 合にもがけくずれの危険性をはらんでいることを
示す.
岩盤の粘土化を促進させ,その他岩盤内に種々 の変化を及ぼす地下水の挙動については,徹底的 な水露頭調査によってある程度言で予測すること が可能であり,これもがけくずれ徴侯の1つの指 標となり得るものである.
しかし,実験斜面で実際に観測されている地下 水の挙動が,どのような地下水脈に由来するもの かとし(うことは,図一6にすでに示したようなき わめて細かい銚子の口からわずかに漏れるような 水もとから,崩積土の中を縫ってあるし(は拡がり,
あるいは局所に集中して流れるような不安定な水 脈が想定されるような地質条件では,決めること がほとんど不可能に近く,今後このような問題に 対するような特殊な物理探査法の開発が望まれる.
要約
1.実験地の地質は,節理に富む溶岩と,部分 的にかなり粘土化した火山砕セソ岩の亙層からな
り,とくに火山砕セッ岩が粘土化した部分からは,
加水ハロイサイトが検出される.
2.地域内の崩壊は,とくに粘±化した火山砕 セッ岩の露頭線に沿って見出されるものが多い.
これは噴出岩地帯のがけくずれ機構に対し,一つ の示唆を与えるものである.
3.地域内の地下水は,溶岩を透水層とし,粘 土化した火山砕セッ岩を不透水盤として流動して おり,多良岳の本体を含む広い後背地から供給さ れているが,この地下水は,水比抵抗値によって,
新鮮な溶岩中の水,粘土化した火山砕セツ岩中に 侵入した水,風化した溶岩中に貯留されているも のに分けることができる.
4.電気探査の結果,多良岳安山岩(節理に富 む溶岩)の部分は,内部1まで割れ目が多く乾燥状 態になっているという推定が成立つとともに,溶 岩とその下位の火山砕セッ岩との接触部は,露頭 でみられる粘土化がかなり内部重で及んでいると いう結果が見出された.
5.以上の事がらを総合して,この地域のとく に実験斜面付近に予想されるがけくずれに対する 考察を行ない,あわせてがけくずれ徴侯地の検出 法その他について地下水の賦存状態というみかた で若干の考察を試みた.
参 考 文 献
1)赤木 健(1935):7.5万分の1地質図
幅r大牟田」および説明書,地質調査所2)赤木 健(1935):75万分の1地質図
幅「島原」,地質調査所
3)有明海研究グループ(1965):有明・不 知火海域の第四系一とくに有明軟弱粘土につ いて一,地団研専報,〃11
4)中条純輔・近藤信興・倉沢 一(1961):
島原海湾における音波探査ならびに沿岸地質に
ついて,地調月報,Vo1.12,〃4,247
−2835)科学技術庁研究調整局(1963):北九州 地域地すぺり山くずれ等調査一37隼度防災 科学技術推進費による現地調査報告書一 6)関東ローム研究グルーブ(1966):関東 ローム その性状と起源,築地書館
7)倉林三郎・土屋竜雄(1963):火山灰の 風化一粘土鉱物学的考察一,第四紀研究,
Vo1.3 ,焔1〜2,31−39
8)倉沢 一・高橋清(1962):西日本の
玄武岩一新生代火山岩類について(その3)九州多良岳および南島原地方,地質ニュース,
ノ佑94,20−25
9)Kurasawa・H.(1967):Petro1o−
gy of t he K i ta−ma t suura Ba sal t s i n
the Northwest Kyushu,Southwest Japan,G.S.JaPan Report 焔217 10)黒田和男(1963):山くずれの予知一
とくに北九州の例に一まなぶ一,地質ニュースノκ104,22−29
11)黒田和男・坂巻幸雄(1965):京都府奥 丹後地方の写真地質と水理〔講演要旨〕,地質
学雑誌
12)小倉 勉(1919) :多良岳火山地質調査 報文,震予報,〃90
13)橘 行一(1958):昭和32年7月の多
良火山の山くずれについて,長崎大学芸自然科
学研報,〃8,1−16
14)高橋 清・倉沢 一(1960):九州多良 岳火山岩類および基盤岩類の岩石学的ならびに 化学的性質について,地調月報,Vo1.11,
■610,631−651
15)山崎達雄ほか3名(1966):佐賀県太良 町大浦(亀浦,権現山)の地すぺり,九大生産