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引張軸力を受けるコンクリート充填円形鋼管部材の力学性状に関する研究 [ PDF

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53-1

引張軸力を受けるコンクリート充填円形鋼管部材の

力学性状に関する研究

東 佑哉 1 . はじめに  コンクリート充填鋼管(CFT)部材が引張軸力を受ける場 合、 充填コンクリートが鋼管の横方向の収縮を拘束する (鋼管が 2 軸引張状態になる)ことなどにより、 中空鋼管に 比べて軸耐力および軸方向剛性が増大する。 しかし、 日本建築学会 「コンクリート充填鋼管構造設計施工指針 (2008)」 ( 以後 CFT 指針と呼ぶ ) の引張軸力を受ける CFT 部材の復元力特性モデルでは、 円形断面では拘束効 果による軸耐力の増大が考慮されているものの、 角形断 面の軸耐力や、 軸方向剛性は円形と角形とも中空鋼管と 等しいとされており、 拘束効果が考慮されていない。 一 方、 CFT 部材をブレースに用いた構造物や側柱に用い た超高層建築物などのように、 水平荷重時に CFT 部材 に比較的大きな引張軸力が生じる構造物の性能を適切に 評価するためには、 静的荷重増分解析や地震応答解析 を行う際に、 引張軸力が生じる CFT 部材に対しても適切 な復元力特性モデルを用いる必要がある。 そこで、 著者 らは文献 1 で CFT 部材の中心引張実験を行って、 軸耐 力や軸方向剛性が増大することを実験結果により明らかと し、 引張軸力を受ける CFT 部材の復元力特性モデルに 拘束効果を考慮する手法に関する研究を行ってきた2 )3 ) 本研究では残された課題であるひび割れ後の軸方向剛性 および、 最大軸耐力の定量的評価の方法を定めるた め、 まず円形断面について、 弾塑性解析を用いてパラ メトリックスタディを行い、 その結果と実験結果を用いてそ れらを決定する。 また降伏軸耐力についても定量的に評 価する方法を提案する。 2 . 中心 引 張 軸力 を 受 け る 円形 C F T 部材 の弾 塑 性 解 析 概 要  鋼管とコンクリートの応力状態を図 1 に示す。 解析では コンクリートは軸方向応力を負担せず(鋼管との間に摩擦 力、 付着力は存在せず)、 軸方向にはひび割れが発生 せずに自由に伸びる ( これは最初からひび割れが一様に 発生しているとも考えることができる ) と仮定する。 即ち、 実質的には断面の解析を行っていることになる。 鋼管に は以下に示す仮定を置いている。 1)線形弾性硬化塑性 体とする。 2)ミーゼスの降伏条件とそれに関連する塑性流 れ則を用いる。 3)ひずみ硬化則は仕事硬化則とする。 4) 図 1 . 鋼管 とコ ンク リ ート の応 力状 態 図 2 . 解析 に用 いた 中空 鋼管 の 応力 σ - 軸方 向 ひ ず み ε 関 係 の 5 線形 モ デ ル 0 100 200 300 400 500 0 1 2 3 4 5 中空鋼管実験値 5線形モデル 応 力 度 σ (N /m m 2) 軸方向ひずみε(%) D/t=48 ※応力度は中空鋼管の中心引張実験の引張軸力実験値を ※鋼管の断面積で除した値 ※ 5 つの点は原点、 降伏点、 ひずみ硬化開始点、  ひずみ硬化開始点から最大変形点までのひずみを  三等分する 2 点、 および最大変形点である。 0 100 200 300 400 500 0 1 2 3 4 5 中空鋼管実験値 5線形モデル 応 力 度 σ (N /m m 2) 軸方向ひずみε(%) D/t=31 鋼管の板厚方向応力sσrが生じていない平面応力状態 とする。 また、 コンクリートには以下に示す仮定を置いて いる。 5)周方向、 半径方向は線形弾性体とする。 6)降 伏は生じないとする。 7)周方向、 半径方向の二軸圧縮 状態とし、 周方向と半径方向の応力、 ひずみは等しい とする。 3 . 解 析 結 果 と 実 験 結 果 の 比 較 3 . 1 引張 軸 力 と 軸 方 向 ひ ず み の 関係  前節で述べた解析によって引張軸力を受ける円形 CFT 部材の弾塑性性状を評価することが有意義であることを確 認するため、 著者らが行った実験結果1 )と解析結果との 比較を行った。 表 1 に解析に用いた試験体データおよ び実験結果、 解析結果の一覧を示す。 解析では、 鋼 管の一軸状態での応力 - ひずみ関係を、 図 2 に示すよ うに中空鋼管の中心引張実験結果1 )を 5 線形に区分近似 してモデル化した。  解析結果と実験結果の引張軸力 N と軸方向ひずみsε zの関係を図 3 に示す。 図 4 はそのsεz=0~0.2% の拡大 鋼管 コンク リート r s s c t D t D t 2 2 2 2     ※鋼管とコンクリートの力のつり合い 向応力 コンクリートの半径方 鋼管の周方向応力 鋼管の軸方向応力 : : : r c s z s r c

s z s

s z s

s r c

cr r c

t D 2t t D 2 t

s

(2)

53-2 図 3 . N -sεz関係(sεz= 0 ~ 4 % ) 図 5 .sεθ-sεz関係 図 4 . N -sεz関係(sεz= 0 ~ 0 . 2 % ) 0 0.03 0.06 0.09 0.12 0.15 0 0.5 1 1.5 CFT実験値D/t=48 CFT実験値D/t=31 CFT解析値D/t=48 CFT解析値D/t=31 中空鋼管実験値D/t=48 中空鋼管実験値D/t=31 周 方 向 ひ ず みs εθ (% ) 軸方向ひずみsεz(%) 部分である。 解析結果の N は軸方向応力度sσzに鋼管 の断面積を乗じて算定している。 図 4 に示している実験 結果における降伏点は、 ひずみゲージの測定値から平 面応力状態を仮定して算出した応力を用いてミーゼスの 降伏条件から決定した点である。 応力を近接する軸方向 および周方向のゲージのそれぞれ各 1 枚の測定値から算 出し、 最初に降伏が生じた時を降伏点としたため、 これ は測定区間の降伏現象の開始点に相当すると考えられ る。 図 3 より解析結果は降伏後もひずみ硬化に入るまで 緩やかに軸力が上昇しているが、 実験結果ではそのよう な現象はみられない。 また、 同軸方向ひずみ時の軸力 は、 降伏後では解析結果が実験結果よりも若干大きな値 となっており、sεz=1% 時では D/t=48 で約 6.0%、 D/t=31 で約 7.6%、 解析結果が高くなっている。  図 4 では、 実験結果には充填コンクリートがひび割れ るまでは引張軸力を負担するため、 初期の軸方向剛性 が解析結果よりも大きく、 コンクリートのひび割れの影響と 考えられる軸方向ひずみが不規則に増大する現象がみら れる。 一方、 コンクリートにひび割れが発生することを考 慮していない本解析の結果では当然のことながらこのよう な現象は見られないが、 解析結果においても軸方向剛性 は中空鋼管よりも大きくなっている。 これは鋼管が 2 軸引 張状態にあるためと考えられる。 また、 実験では解析よ り小さなひずみで降伏しており、 降伏点の軸力の実験値 と解析値の差は D/t=48 で約 2.9% で D/t=31 で約 6.3% で ある。 しかし、 解析結果の降伏時の軸力は、 同軸方向 ひずみ時の実験結果の軸力とほぼ同じ値となっている。  以上より、 解析結果は実験結果を概ね捉えることができ ており、 この解析方法で中心引張軸力を受ける円形 CFT 0 500 1000 1500 2000 0 0.05 0.1 0.15 0.2 実験結果 解析結果 中空鋼管5線形モデル 降伏点(解析値) 降伏点(実験値) 引 張 軸 力 N (k N ) 軸方向ひずみε(%) D/t=31 降伏点 0 300 600 900 1200 1500 0 0.05 0.1 0.15 0.2 実験結果 解析結果 中空鋼管5線形モデル 降伏点(解析値) 降伏点(実験値) 引 張 軸 力 N (k N ) 軸方向ひずみε(%) D/t=48 降伏点 表 1 . 解析 に 用 いた 試 験 体デ ー タ およ び 実 験結 果1 )と解 析 結 果 一覧 部材の弾塑性性状を評価することは、 有意義であると考 えられる。 3 . 2 鋼管 の周 方 向ひ ず みと 軸 方向 ひ ずみ の 関係  実験結果1)と解析結果の周方向ひずみ sε- 軸方向ひ ずみsεzの関係を図 5 に示す。 図には文献 1 に示され ている中空鋼管の実験結果1 )も併せて示しており、 実験 結果のsεとsεzはそれぞれひずみゲージの測定値の 平均値である。 CFT のsεは実験結果、 解析結果とも 中空鋼管のsεよりもかなり小さな値になっている。 しか し、 解析結果のsεは D/t=31 のほうが D/t=48 よりも大 きくsεzが 1.0% 程度からあまり増大しなくなるのに対し、 実験結果のsεではsεzが 0.5% 程度までは D/t=31 が 小さく、sεz=1.5% 程度になるまで増加し続けており、 性 状が少し異なっている。 また解析結果のsεは実験結果 よりも小さな値となっている。 このように解析では周方向の 拘束を実験における拘束よりも大きく評価していることによ り、 前節で述べた解析結果では実験結果よりも軸力を大 きく評価する要因の一つであると考えられる。 3 . 3 軸方 向 剛 性 およ び 耐 力 の 比較  表 1 に実験結果と解析結果の軸方向剛性と耐力の比 較を示す。 両試験体とも耐力は降伏時、 軸方向ひずみ 1% 時ともに解析結果が大きく、 軸方向剛性は実験結果 が大きくなっている。 耐力が解析結果で大きくなる要因と しては、 前節で述べたsεの性状の他に、 実際には鋼 管内周面で生じているcσrと同じ大きさの板厚方向応力 sσrによって、 鋼管の板厚方向に圧縮応力が作用し、 軸 方向応力が低下していることなどが考えられる。 また、 軸 方向剛性で実験結果が大きい要因としてはテンションスチ フニングなどが考えられる。 0 500 1000 1500 2000 2500 0 1 2 3 4 実験結果 解析結果 中空鋼管5線形モデル 引 張 軸 力 N (k N ) 軸方向ひずみsεz(%) D/t=48 D/t=31 降伏点(解析値) 実験 結果 解析 結果 実験 結果 解析 結果 実験 結果 解析 結果 6.75×105 6.54×105 1087 1118 1103 1169 (1.123) (1.065) (1.073) (1.105) (1.088) (1.155) 9.66×105 9.60×105 1564 1664 1642 1767 (1.059) (1.051) (1.024) (1.088) (1.075) (1.155) ヤング 係数 cE(N/mm2) 鋼管 352 2.14×105 0.253 鋼管径 D (mm) 0.2 ※sσy:中空鋼管の実験値の軸方向ひずみ1%時耐力を鋼管の断面積で除して算出 ※sE:5線形モデルの降伏点の応力度とひずみの値より算出 ※sν:中空鋼管の実験結果のひずみ1%時耐力の1/3の点でのひずみゲージの測定値より算出 ※cE:シリンダー圧縮試験から定めた結果における圧縮強度の1/3の点の応力度とひずみの値より算出 ※cν:日本建築学会「鉄筋コンクリート構造計算規準・同解説(2010)」より決定 ※軸方向剛性の実験結果は文献1で定義しているひび割れ後の軸方向剛性 ※()内はCFTの値を中空鋼管の値で除したもの 216.3 4.31 353 2.10×105 0.269 216.3 6.60 板厚 t (mm) 降伏 応力度 sσy(N/mm2) ヤング 係数 sE(N/mm2) ポアソン比 sν 軸方向剛性(kN) 降伏軸力(kN) 軸方向ひずみ1%時耐力(kN) 3.40×104 コンクリート ポアソン比 cν 3.68×104

(3)

53-3 図 7 . 軸方向剛性比と 径厚比の関係(sσy= 3 2 5 N / m m2) 図 6 . 降伏時の耐力比と 径厚比の関係(sσy= 3 2 5 N / m m2) 4 . パ ラ メ ト リ ッ ク ス タ デ ィ  各要因が CFT と中空鋼管の耐力比や軸方向剛性比に 及ぼす影響を検討するために、 鋼管の降伏応力度sσy、 径厚比 D/t、 コンクリート圧縮強度 Fc を変数としてパラメ トリックスタディを行う。 なお解析では鋼管の一軸状態で の応力 - ひずみ関係を完全弾塑性モデルとし、 鋼管の ヤング係数、 ポアソン比、 コンクリートのポアソン比にそれ ぞれ慣用的な値の 2.05 × 105N/mm2、 0.3、 0.2 を用いて いる。 コンクリートのヤング係数は日本建築学会 「鉄筋コ ンクリート構造計算規準 ・ 同解説 (2010)」 ( 以後 RC 規準と 呼ぶ ) より Fc から (Fc=80,100 も 48<Fc ≦ 60 と同じ式を用 いて ) 算出した。 表 2 にsσyを変数とした時の解析結果 を示す。sσyは当然のことながら CFT の降伏時の軸方向 ひずみに影響を与えるが、 耐力比や軸方向剛性比には ほとんど影響を与えていない。 よって、sσyを 325N/mm2 とし、Fcを20,40,60,80,100N/mm2、D/tを20,40,60,80,100( 解析は径を 216.3mm として行った ) と変化させて解析を行 う。 以下に結果を述べる。  示していないが、 軸方向ひずみsεzが 1% 時の耐力比 は D/t、 Fc によらず、 3 節の解析結果と同様に 1.155 と なっている。 この値は文献 4 に示されているひずみ硬化 がなく鋼管の周方向ひずみsεが生じないとした場合の 最大耐力比と同じ値である。 これは 3.2 節で述べたsεz が 1.0% 程度からsεがほとんど増大しなくなるひずみ性 状と整合している。 Fc に比べて D/t の影響が顕著である 結果が得られたため、 降伏時の耐力比および軸方向剛 性比と D/t の関係をそれぞれ図 6、 図 7 に示す。 D/t や Fc が大きくなると降伏時の耐力比と軸方向剛性比は大き くなる傾向があり、 D/t が小さいほど Fc の影響は大きい。 また図 6、 図 7 には Fc=20、 Fc=100、 Fc=20 と Fc=100 の中央の比の値をそれぞれ最少二乗法により累乗近似 した式を示している。 Fc=20 と Fc=100 の中央の値の式と Fc=20、 Fc=100 の 2 式と比較すると、 降伏時の耐力比、 軸方向剛性比の差はともに 1.0% 未満である。 5 . 軸 方 向 剛 性 と 耐 力 評 価 5 . 1 ひび割れ後の軸方向剛性c f tK  図 8 に文献 3 で提案されている引張軸力を受ける CFT 部材の復元力特性モデルを、 主たる履歴性状も併せて 示す。 文献 3 では、 モデルのひび割れ後の軸方向剛 性cftK、 最大軸耐力cftNtuを実験値から定めて、 モデルの 適合性を検証するに留まり、 その定量的評価方法につ いては示していない。 そこで本研究では実験結果1 )と 4 節のパラメトリックスタディから円形断面のcftK、cftNtuを定量 的に評価する方法についての提案を行う。 また、 損傷限 界状態の限界値設定などの観点から必要と考えられる降 1.02 1.03 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 Fc20 Fc40 Fc60 Fc80 Fc100 実験値 解析値 Fc20累乗近似 Fc100累乗近似 Fc20とFc100の 中央の累乗近似 降 伏 時 の 耐 力 比 径厚比 D/t 平面応力かつ平面ひずみ状態での 降伏時の耐力比 1.050×(D/t)0.014 1.012×(D/t)0.021 1.031×(D/t)0.018 ※D/t=31の実験値と解析値はsσy=352N/mm2,Fc=55.6N/mm2 ※D/t=48の実験値と解析値はsσy=353N/mm2,Fc=70.4N/mm2 1.04 1.05 1.06 1.07 1.08 1.09 1.10 1.11 1.12 1.13 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 110 Fc20 Fc40 Fc60 Fc80 Fc100 実験値 解析値 Fc20累乗近似 Fc100累乗近似 Fc20とFc100の 中央の累乗近似 軸 方 向 剛 性 比 径厚比 D/t 平面応力かつ平面ひずみ状態での 軸方向剛性比 1.007×(D/t)0.017 1.022×(D/t)0.014 0.993×(D/t)0.020 ※D/t=31の実験値と解析値はsσy=352N/mm2,Fc=55.6N/mm2 ※D/t=48の実験値と解析値はsσy=353N/mm2,Fc=70.4N/mm2 表 2 . 鋼管 の 降伏 応 力度 が 耐 力と 剛 性に 与 え る影 響 図 8 . 提案 して いる 復元 力特 性モ デル ( a ) モデル A ( b ) モデル B cftK N cftNcr cftNtu cftKi 最大耐力 発生点 ひび割れ 発生点

ε

tu cft cftK 除荷点 cftK N cftNcr cftNtu

ε

tu cft

ε

cftKi ひび割れ 発生点 最大耐力 発生点 ひび割れ 終了点 cftK 除荷点 伏軸耐力cftNtyについても定量的評価方法の提案を行う。  cftK を、cftK= ψ ・sE ・sA(sE: 中空鋼管のヤング係数 ,sA: 中空鋼管の断面積 ) とする。 ψは充填コンクリートによる 拘束効果やテンションスチフニングによる増大を示す係数 である。 しかし、 テンションスチフニングに関しては実験 結果が少なく評価が困難なため、 本研究ではψを解析 ( 拘束効果のみを考慮 ) 結果に基づき決定する。 解析結 果ではψは D/t と Fc に影響を受けるが、 4 節で示したよ うに Fc の影響は D/t の影響に比較して小さいため、 簡 便性に配慮して Fc の影響は考慮しないこととした。 以上 軸方向剛性 降伏時の耐力 軸方向ひずみ1%時の耐力 200 0.102 1.051 1.076 1.155 325 0.164 1.051 1.076 1.155 450 0.226 1.051 1.076 1.154 降伏応力度 sσy(N/mm2) D/t 降伏時の 軸方向ひずみ sεy(%) CFT/中空鋼管 20 ※sεyは解析におけるCFTの降伏時の軸方向ひずみ

(4)

53-4 より本研究ではψの評価式を D/t のみを変数とした中央 値の解析結果の累乗近似であるψ =1.007 × (D/t)0.017 ( sy ≦ 450,20 ≦ D/t ≦ 100,20 ≦ Fc≦ 100) として提案する。 な お、 この評価式はテンションスチフニングを考慮しておら ず、 実験値よりも剛性を低く評価していると考えられる。 5 . 2 最大軸耐力c f tNt u  cftNtuを、cftNtu= ξ ・sNy(sNy: 中空鋼管の降伏軸耐力 ) と する。 ξは充填コンクリートによる拘束効果による増大を 示す係数である。 図 9 に解析結果の周方向ひずみ増分 dsεと軸方向ひずみsεzの関係の一例を示す。 図より sεz=1% 時で dsεはほぼ 0 であり、 図に示していない その他のパラメトリックスタディで解析を行った試験体でも同 様の結果が得られている。 4 節でも述べたように文献 4 では dsεが 0 の時に軸力の増大が止まるので、 本解 析ではsεz=1% 時の耐力をcftNtuと定めても問題はないと 考える。 その時の解析結果のξは 1.155 であり、sεz=1% 時の軸力では実験値は解析値よりも小さく低減が必要で ある。 また実験結果1 )でも D/t や Fc が異なっていてもξ は 1.075、 1.088 と 1% 程度の違いしかない。 そこで、 本 研究ではξを 1.155 に低減係数 ( 今回は 0.95 とする ) を乗 じた一定値としてξ =1.155 × 0.95=1.097 で定めることとす る。 しかし、 充填コンクリートが側圧cσrによって剛性低 下が生じると、 鋼管の周方向応力sσが小さくなり、 軸 耐力が低下する。 そこで今回は RC 規準における、 コン クリートのヤング係数の慣用的な定め方が、 応力 - ひず み曲線上の原点とコンクリート強度の 1/4 ~ 1/3 の点の割 線剛性としていることから、 充填コンクリートが剛性低下し ない圧縮応力度の範囲を 0.35Fc 以下とし、 ひずみ硬化 がない時でのsσの最大値 (sσ=0.577sσy) に相当する 時のcσrをcσruとすると、cσruが 0.35Fc 以下であること をξを用いる条件とする。 なお、 文献 1 の実験の試験 体のcσruの値を表 3 に条件式と併せて示す。 条件式は 図 1 に示す鋼管とコンクリートの力のつり合いより算出し た。 両試験体ともに条件式を満たしている。 5 . 3 降伏軸耐力c f tNt y  cftNtyを、cftNty= β ・sNy(sNy: 中空鋼管の降伏軸耐力 ) と 表 3 . 試験 体1 ) cσr uの 表 4 .検討 とξ の条 件式 図 1 0 . 提案モ デルと 実験結 果の N - ε関係の 比較 0 600 1200 1800 0 0.1 0.2 実験値 モデルA モデルB CFT指針 軸方向ひずみ (%) 引 張 軸 力 N ( k N ) D/t=31 ψ=1.068 ξ=1.097 cσB=55.6(N/mm 2) sσy=352(N/mm 2) 0 600 1200 0 0.1 0.2 実験値 モデルA モデルB CFT指針 軸方向ひずみ (%) 引 張 軸 力 N ( k N ) D/t=48 ψ=1.076 ξ=1.097 cσB=70.2(N/mm 2) sσy=353(N/mm 2) する。 βは充填コンクリートによる拘束効果による増大を 示す係数である。 3.1 節で述べたように今回定めた実験 値の降伏点では試験体の断面の一部だけが降伏し、 全 断面が降伏していない可能性がある。 そこで今回はβの 評価を 4 節の解析結果より行う。 4 節よりβについてもψ と同様に、 Fc=20 と Fc=100 の中央の値の累乗近似式で 評価し、 βの評価式を D/t のみを変数とした関数である β =1.031 × (D/t)0.018 ( sy≦ 450,20 ≦ D/t ≦ 100,20 ≦ Fc ≦ 100) として提案する。 なお、 上式は実験による検証が 必要であると考えられる。 5 . 4 復元 力 特性 モ デル と 実験 結 果の N - ε 関 係 の 比 較  提案したψ、 ξの評価式を用いてcftK、cftNtuの値を定 めた提案モデルによる N- ε関係と CFT の単調載荷の実 験結果との N- ε関係1 )の比較を図 10 に示す。 図には 参考のため CFT 指針のモデルも示している。cftK の増大 を拘束効果のみで評価しているため D/t=48 の試験体で はやや剛性が低くなっているが、 両試験体ともにモデル で概ね実験結果を捉えることができており、 本研究で提 案したcftK、cftNtuを復元力特性モデルに用いて復元力特 性を決定しても大きな問題はないと考えられる。 7 . まとめ  中心引張軸力を受ける円形 CFT 部材の弾塑性解析を 行い、 解析結果は概ね実験結果を捉えることを確認し、 解析の有用性を示した。 解析を用いてパラメトリックスタ ディを行い、 その結果と既往の実験結果を併せて剛性お よび耐力の評価式を提案した。 それらを既往の提案され ている復元力特性モデルに適用させ、 モデルの妥当性 の検討を行った。 より精度よく復元力特性を評価できるよ うにモデルを改善するためには、 今後も試験体数を増や し、 実験的検証を加えることなどが必要と考えられる。 参 考 文 献 1)井本 東 他:引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管部材の力学性状に関する実 験的研究 その 1, その 2,AIJ大会学術講演梗概集 ,2012  2)東 他:引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管(CFT)部材の復元力特性に関する基 礎的研究 ,AIJ研究報告九州支部 ,2013  3)東 蜷川:引張軸力を受けるコンクリート充填鋼管部材の復元力特性に関する研究 ,AIJ大会学術講演梗概集 ,2013  4)蜷川 小松 他:引張力を受けるコンクリート充填円形鋼管柱の拘束効果,AIJ構造 工学論文集 ,1999.7 図 9 .dsεθ-sεzの関係 0 1x10-4 2x10-4 3x10-4 0 0.5 1 1.5 2 D/t=20 D/t=40 D/t=60 D/t=80 D/t=100 d ε θ (% ) 軸方向ひずみε(%) sσy=325(N/mm2) Fc=60(N/mm2) 35 . 0 ru c c F ※条件式 35 . 0 577 . 0 2 2 y s c t D F     D/t sσy (N/mm2) Fc (N/mm2) cσru/0.35 48 353 70.2 25.3 31 352 55.6 40.0

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