中国の環境影響評価における公衆参加に関する研究
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(2) 環境影響報告書草案の公表の方法や期間が明確でなく、ただ「関係組織、専門家及び公衆 から意見を求めなければならない」とされているだけである。そのため具体的な情報公開 の程度や内容が明確ではなく地域や事業によってまちまちである。さらに、意見を言うこ とのできる者については、日本では、環境保全の見地から誰でも意見提出できる仕組みを とっているのに対して、中国では地域住民に限定している。制度に関しては、環境影響評 価の実施主体についての違いも指摘できる。中国では建設プロジェクトを環境影響評価書 (評価表)の作成について、第三者の評価グループに代行させ、それによって影響評価文 書の公正性を確保しようとしている。これに対して日本は、事業者の自覚的な行動に委ね ていて、第三者による代行手続きは設けていない。 次に、環境影響評価制度の淵源である米国の NEPA の制度を参照しながら、中国の環境 影響評価制度における公衆参加の実態や課題とその原因及び背景について考察した。 本論文は、日本と中国両国の環境影響評価制度に関して、これまでの経験、類似性、差 異を考察し、さらに環境影響評価制度の淵源である米国の国家環境政策法(NEPA)の制度 を参照して考察し評価しようとしたものである。 環境影響評価制度の一つの重要な特徴として公衆参加の仕組みが存在していることであ る。特に米国 NEPA 制度においては公衆参加の仕組みが多重に組み込まれている。米国の NEPA における環境影響評価制度の狙いと公衆参加の仕組みの役割について考察したうえ で、日本と中国の環境影響評価制度を比較考察しに、NEPA の環境影響評価制度は、政府 の意思決定の過程において、それまで無視されていた環境の価値を、経済的な価値などに 統合することを狙いとしたものであり、その意思決定のプロセスをできるだけ透明にし、 主権者である公衆を意思決定に関与させることを目指したものなのである。従って、政府 の意思決定のアカウンタビリティの構築のための制度であると認識することができる。 そのような理念に対して、中国の環境影響評価は目標クリア型の制度として構築されて いる。従って、政策決定の過程における公衆参加の意義が薄く、程度が低く、制度として は環境影響報告書草案に対する意見が求められてはいるものの、実態としては住民の意見 を反映する手段としては十分に機能していないということができる。中国では政府の「一 切主導」という閉鎖的なパターンで政策が制定されることが一般的であり、それは社会全 体(公衆)の利益の反映とは言い難い。実際に中国の環境影響評価制度の実例(北京市と 厦門市の実例)を考察したところ、アカウンタビリティ(情報の公開、市民参加、行政評 価、異なる見解とのコミュニケーション)の不完全さが環境影響評価制度の実効性を著し く阻害していることが明らかになった。今後は中国の環境影響評価制度をより意義あるも のにしていくための努力が必要であると考えられ、それは環境価値と経済価値の統合を実 現していくことを目指していくことであり、そのために、行政のアカウンタビリティの向 上が重要な課題であると指摘することができた。行政のアカウンタビリティ、それは情報 の公開であり、市民の参加であり、行政評価であり、一人一人の市民からの意見に真摯に 答える姿勢に他ならない。.
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