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博 士 ( 工 学 ) 柏 谷 英 夫

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 柏 谷 英 夫

学 位 論 文 題 名

発 電 プ ラ ン ト 機 器 構 造 部 品 の 欠 陥 お よび 経 年 劣 化の      評 価 技 術 に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要旨

  近年、国内の電気エネルギ―の大部分を賄っている火カならびに原子力発電プラントは、

年間を通じての安定な電力供給と長期間の安全運転に対する信頼性が強く求められている。

特に 、一 部の 火力 発電 プラ ント では 、相 当の年 月が経過して老朽化した設備も有り、しか もピ ーク ロ― ド用 とし て日 常的 に起 動ー 停止運 転が行われている。このような運用形態な どに より 、発 電プ ラン ト機 器の 構造 部品 には、 当初、予想もしなかった欠陥および経年劣 化な どの 問題 が発 生し 、そ れを 何ら かの 非破壊 計測手法により把握して適切な対策を施す 必要がある。

  本 研究 は以 上の よう な社 会的 要請 の下 で進め られたものであり、発電プラント機器構造 部品 の欠 陥お よび 材料 劣化 現象 を精 度良 く検出 する手法ならびに機器の開発、その成果を 適用 して 得ら れた 欠陥 およ び劣 化に 関し て、疲 労とクリ―プ解析および破壊力学的な手法 を用いた新たな余寿命評価の手法を提案している。

  本論文は6章より構成されている。

  第1章 にお いては 発電 プラ ント 機器 、特 にタ ービ ン部 材の 欠陥 検出 技術の 現況、解決す べき 問題 点、 余寿 命予 測高 精度 化の 必要 性を説 き、本研究の目的ならびに本論文の概要に ついて述べている。

  第2章 では 、蒸気 夕← ビン 口ー タの 大型 化に 伴っ て深 刻な 問題 とな ってき た翼植込円板 キ ー 溝 部 の 応 力 腐 食 割れ (SCC) を 、 超 音 波 探 傷法 によっ て的 確に 検出 する と共 にそ の 寸 法 を 高 い 精 度 で 評 価 す る 手 法 を 検 討 し た 。SCCの 検 出 に は き 裂 先 端 か ら の 反 射 エコ である端部ピ―クエコ―を用いるのが有効で、最大エコ―を得るには探触子人射角45゜、首 振り 角30゜の2探触 子によるPitch−Catch法が最適であることを明らかにした。一方、き裂 寸 法 評 価 に は 地 震 の 震源 値 算 定 と 同 じ 原 理 で あ るALOK法 を 適 用 す る こ と を 試み 、高 い 絶対 位置 精度 を得 るた めの 自動 走行 装置 を開発 するとともに、デ―夕収集と処理について も自動処理を行い、寸法評価精度と処理時間短縮の向上を図った。デ―夕処理については、

有効 デ― 夕の 選別 、形 状エ コ― を除 去な らびに デ―夕群のスムージングから成る三つの新 し い ア ル ゴ リ ズ ムを 提案 した 。モ ック アッ プに よる 検証試 験を 行っ た結 果、5mmのSCCに 対し土0. 5mm以内の寸法精度を得ている。このように、高い精度で欠陥寸法を推定する手法 を 確 立 し た こ と に よ り 、 破 壊 力 学 に 基 づ く 余 寿 命 評 価 へ の 適 用 を 可 能 に し た 。   第3章 では 、発電 プラ ント 機器 に多 用さ れる 大型 溶接 構造 物の 非溶 着部寸 法を高い精度 で評 価す るこ とを 目的 とし た電 子走 査型 多チャ ンネル超音波探傷装置の開発と応用につい

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て述 べて いる 。8ch.の フェ ―ズ ドア レイ 型探触子を用いて金属材料中の超音波の集束と偏 向に関する音場特性試験と理論解析を実施し、振動子幅1. 5mmで最小の近距離音場が得られ た。 さら に、 各振動子に与えるパルスの遅延時間を制御することにより、5〜25mmの任意の 点に超音波を集束制御可能であり、振動子寸法6. Ommでは近距離音場は大きくなるが、75〜 400mmの 広 範 囲 に 集 束 点 が 制 御 で き る こ と、 およ び偏 向の 音場測 定で はパ ルス 信号 制御 により、偏向角度として片振り60°まで可能であることを明らかにした。以上の成果をもと に、32ch.の フェーズドァレイ型探触子による電子走査型超音波探傷装置を試作し、集束と 偏向 に関 する 性能 を確 認す ると とも に、 溶接部などの探傷試験を行って、十分に実用性が 有る こと を明 らか にし た。 さら に、 部分 溶け込み溶接材を用いた疲労試験結果を破壊力学 に基 づい て解 析し 、ル ート 部か らの 疲労 き裂発生にはル―トギャップおよび応力比の影響 がほ とん ど無 いこ と、 疲労 き裂 発生 寿命 は長い疲労き裂から得られた進展曲線と有効応力 拡大 係数 を用 いる こと で十 分推 定可 能で あることを明らかにした。以上の推定結果は工学 的 に も 安 全 側 に あ り 、 実 機 へ の 適 用 が 十 分 に 可 能 で あ る と 考 え て い る 。   第4章 で は 、20年以 上運 転さ れた蒸 気夕 ービ ン口 ―夕 材(CrMoV鋼) の経 年劣 化を 非破 壊的 に評 価す る方法を開発し高い精度の余寿命予測を可能にした。ロ一夕材の脆化は500℃ 以上 の高 温で 長時 間使 用中 に、 リン が結 晶粒界に偏析することが主原因であることをっき とめ 、こ れを 電気 化学 的な 手法 であ る分 極法を用いて非破壊的に測定し、脆化パラメ―夕 で あ る 分 極 曲 線 の 最 小電 流 密 度 と 破 壊 パ ラ メ ― 夕 で あ る △FATTと の 間に 良い 相関 が有 る こ と を 明 ら か に し た。 そ の 後 、 製 造 履 歴 の 異 な る 口 ― 夕 を 調 査 す るに 伴い △FATTと 最小電流密度の関係が一義的に表されないとし、う問題に遭遇した。そのため新しい評価方 法として、最小電流密度に加えて、結晶粒度、引張り強さ、化学成分(P,S,Cr,C,Mo,Si,V, Mn)を 考 慮 す る こ と に よ っ て 、 △FATTと 最 小 電 流 密 度 を 一義 的 に 表 す こ と に 成 功 し 、 高 い 精 度 で △FATTを 推 定 で き る 評 価 式 が 導 出 で き た 。 こ の △FATTか ら 経 年 劣 化 を 考慮 した 疲労 強度 、疲 労き 裂進 展特 性な らびに破壊靭性値の関係式を導き出し、疲労寿命 を高い精度で予測することが可能となった。

  第5章 では 、ガス ター ビン 動翼 材(IN738LC)の使用中における組織変化を非破壊的に観 察す る手 法を 確立し、組織変化と最小クリープ速度Iの相関から高い精度でクリープ余寿命 を推 定す るこ とを 可能 にし た。 ガス 夕一 ビンの高温部品は、定期的に行う点検時に何らか の手 法に より 、材 料劣 化を 検出 し、 補修 あるいは回復処理を施して設計寿命近くまで用い る運 用が なさ れて いる 。本 章で は高 温部 品のうちで最も厳しい条件に曝される動翼材を取 り上げ、実験室的な時効処理材を用いて、この材料の主強化相であるァ 相の組織変化の解 析にレプリカ法の適用を試みた。その結果、レプリカ法によって得られたァ 相の粒径は、

時効 温度 が高 く、時効時間が長いほど粗大化し、粒径は時間の1/3乗に比例することが明ら か に な っ た 。 さ ら に 、時 効 処 理 材 を 分 極 試 験 に 供 し 、 そ の 過 程 で 抽 出し た試 料のEPMA 分析 を行 った ところ、ア 相の主要構成元素であるAlの濃度低下が認められ、7 相が選択 的に溶解していることが明らかになった。このことは、分極法によってァ 相の組織変化の 評価が可能なことを示唆しており、検討の結果ア 相の粒径ならびに析出密度変化と分極計 測の 順掃 引時 の極 大値 であ る最 大電 流密 度(lp)との間に良い相関が有ることを見い出し た。本合金のクリープ現象はァ 相の周囲に集積した転位ル―プの上昇運動が律速過程であ ると する モデ ルを 考え 、レ プリ カ法 によ る組織調査および分極計測から得られるIp値パラ メ―夕からクリ―プ余寿命が推定可能であることを明らかにした。

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  第6章 は 結 諭 で あ り 、 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 要 約 し て 述 べ て い る 。   以上、本研究において検討され開発された発電プラント機器構造部品の欠陥ならびに経 年劣化検出手法および余寿命評価手法は、既設の火カならびに原子力発電プラントの機器 構造部品の信頼性向上をもたらし、社会的要求である電力安定供給に大きく貢献している。

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学位論文審査の要旨 主査    教 授    工 藤昌 行 副査    教 授    石 井邦 宜 副査    教 授    成 田敏 夫 副査   助教授   伊藤洋一

学 位 論 文 題 名

発電プラント機器構造部品の欠陥および経年劣化の      評価技術に関する研究

  近 年 、 国 内 に お け る 電 気 工 ネ ル ギ ー の 需 要 変 化 に 伴 い 、 火 力 発 電 プ ラ ン ト で は ピ ― ク ロ ー ド 用 と し て 日 常 的 に 起 動 ― 停 止 運 転 が 行 わ れ て い る 。 こ の よ う な 過 酷 な 条 件 で 使 わ れ る 発 電 機 器 の 構 造 部 品 に は 、 当 初 予 想 も し な か っ た 欠 陥 や 経 年 劣 化 な ど の 問 題 が 発 生 し て お り 、 そ れ を 何 ら か の 非 破 壊 的 な 計 測 手 法 に よ り 把 握 し て 適 切 な 対 策 を 施 す こ と が 急 務 と な っ て き た 。

  本 研 究 は 以 上 の よ う ナ ょ 社 会 的 要 請 に 基 づ い て 進 め ら れ た も の で あ り 、本 論文 の主 要な 成 果 は 以 下 の 点 に 要 約 さ れ る 。

  1. 蒸 気 夕 ー ビ ン ロ ― 夕 の 大 型 化 に 伴 っ て 深 刻 な 問 題 と な っ て き た 翼 植 込 円 板 キ ー 溝 部 の 微 小 な 応 力 腐 食 割 れ の 位 置 及 び 寸 法 を 、 高 精 度 で か つ 短 時 間 に 検 出 す る た め の 自 動 走 行 型 の 超 音 波 探 傷 装 置 な ら び に 新 た な デ ー 夕 処 理 ア ル ゴ リ ズ ム を 開 発 し た 。 こ れ を 実 機 相 当 の モ ッ ク ア ッ プ 検 証 試 験 に 適 用 し た と こ ろ 、 深 さ5mmの 微 小 割 れ を 土O.5mm以 内 の 小 さ な 誤 差 で 検 出 す る こ と が 可 能 と な り 、 余 寿 命 評 価 の 精 度 が 著 し く 向 上 し た 。   2. フ ェ ー ズ ド ア レ イ 型 多 チ ャ ン ネ ル 探 触 子 に よ る 金 属 材 料 中 の 超 音 波 の 集 束 と 偏 向 に 関 す る 音 場 特 性 試 験 と 理 論 解 析 の 結 果 に 基 づ き 、 発 電 プ ラ ン ト 機 器 に 多 用 さ れ る 大 型 溶 接 構 造 物 の 非 溶 着 部 寸 法 を 高 精 度 で 評 価 で き る 電 子 走 査 型 多 チ ャ ン ネ ル 超 音 波 探 傷 装 置 を 開 発 し た 。 こ の 成 果 を 、 部 分 溶 け 込 み 溶 接 材 の 疲 労 試 験 結 果 と 組 み 合 わ せ て 破 壊 力 学 に 基 づ く 解 析 を 行 い 、 実 機 へ の 適 用 が 十 分 に 可 能 な 疲 労 き 裂 発 生 寿 命 の 予 測 に 成 功 し た 。   3.蒸 気 夕 ― ビ ン 口 一 夕 材 (CrMoV鋼 ) の 経 年 劣 化 の 主 原 因 が り ン の 粒 界 偏 析 に あ る こ と を 明 ら か に し 、 こ れ を 電 気 化 学 的 な 手 法 で あ る 分 極 法 を 用 い た 非 破 壊 的 測定 法を 開発 した 。 こ の 可 搬 型 分 極 試 験 装 置 に よ っ て 得 ら れ た 分 極 特 性 値 と 結 晶 粒 度 、 製 造 時 の 化 学 成 分 、 引 張 り 強 さ を 因 子 と し た 破 壊 パ ラ メ ― 夕 △FATTの 推 定 式 を 導 出 し 、 疲 労 寿 命 を 高 い 精 度 で 予 測 す る こ と を 可 能 に し た 。

  4.ガ ス タ ー ビ ン 動 翼 材 (IN738LC)の 経 年 劣 化 が ァ 相 の 粗 大 化 に よ る こ と を 見 い だ し 、 こ れ を レ プ リ カ 法 に よ る 電 顕 観 察 並 び に 分 極 試 験 に よ っ て 非 破 壊 的 に 定 量 化 す る 方 法 を 開 発 し た 。 さ ら に 、 本 合 金 の ク リ ー プ 現 象 の 律 速 過 程 が ァ 相 の 周 囲 に 集 積し た転 位ル ―プ の 上 昇 運 動 に あ る と す る モ デ ル を 考 え 、 上 記 の 試 験 結 果 か ら ク リ ー プ 余 寿 命 の 推 定 を 可 能 に し た 。

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これを要するに著者は、火力発電プラント機器に発生する欠陥並びに経年劣化を非破壊 的に検出する手法および装置の開発に関する広範な研究を行い、余寿命予測精度を飛躍的 に向上させることに成功しており、金属材料工学並びに機械材料工学の進展に寄与するこ と大である。

  

よって、著者は北海道大学博士(工学)の学位を授与される資格あるものと認める。

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   よ って、 著者は 、北海道 大学博士 (工学 )の学位 を授与 される資 格ある ものと認 める。.

  

  

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