博 士 ( 薬 学 ) 猪 上 尚 徳
学 位 論 文 題 名
4 ― チ オ DNA の 性 質 解 明 と 機 能 性 人 工 核 酸 へ の 展 開 学 位 論 文 内 容 の 要 旨
【 序論J
機 能 性 人 工核 酸 と は 化 学 的 修飾 を 施 し た 核 酸 に 様々 な 機 能 を 付 与 した も の で あ り 、 それ らを利 用し た 核 酸 医 薬 や 新 解 析技 術 の 開 発 が 現 在贐 ん に 行 な わ れ て いる 。 一 般 に 核 酸 は核 酸 分 解 酵 素に より 速やか に 分 解 さ れ る た め 機能 性 人 工 核 酸 の 設計 に お い て は 、 い かに し て 分 解 さ れ にく い 修 飾 体 を設 計す るかが 重 要 と る 。 し か し 、過 度 の 修 飾 は 核 酸分 子 が 本 来 持 っ 二 本鎖 形 成 能 や 酵 素 によ る 認 識 能 の低 下と いう負 の 効 果 を も た ら す 。そ こ で 、 著 者 は フラ ノ ー ス 環 内 酸 素 原子 の 硫 黄 原 子 へ の置 換 と い う 、最 小限 の修飾 を ほ ど こ し た2 ‐デオ キシ 一4 ‐ チオ リボヌ クレ オシド を設 計した 。こ れらを 含む4 . チオDNAの合成 はす で に な さ れ て お り 、RNAに 対 す る 高 い ハ イ ブリ ダ イ ゼ ー シ ョ ン能 や 核 酸 分 解 酵 素に 対 す る 安 定 性 が 示さ れ てい る。し かし 、ヌク レオ シドユ ニッ トであ る2 |デオ キシ14 . チオリ ポヌ クレオ シド の合成の困難さ か ら 完 全 修 飾 の4 . チ オDNAは 合 成 さ れ て お らず 、 そ の 後 の 詳 細な 研 究 は ま っ た くな さ れて いな い。こ れ ら の 事 実 を 踏 まえ 、 本 研 究 で は4 − チ オDNAの 合 成 、 性 質 解 明と 機 能 性 人 工 核 酸へ の 展開 を目 的とし た 。
I結果と考察]
!よ2'‑T左主24゜・チオ塑盤墨2ヒ左vピQ盒成と性質
2 .デ オキ シ‐4 ‐チ オリ ボヌク レオ シドは4 .チオリボヌクレオシドの2 位水酸基のデオキシ化により 合 成す ること にし た。ま ず5‐ メチ ル゛4 .チ オウリ ジン 誘導体 をチ オカー ボネ ート体へと変換後、加熱条件 下 ラ ジ カ ル 還 元 反 応 を 行 な っ た 。 し か し 、 こ の 条 件下 で は 目 的 と す る2 位 デオ キ シ 体 が48%の 収 率で し か 得 ら れ ず 、c‑s結 合 が 開 裂 し た 副 生 成 物 が35%生 成 し た 。 そ こ で 、 よ り 温 和 な 条 件 で デ オキ シ 化 するために、まず2.2.アンヒドロチミジン誘導体を経由し2 .ブロモ.4 .チオチミジン誘導体を合成した。
続 いて 、室温 でラ ジカル を発 生するVー70Lを用い ラジ カル還 元反 応を行 なっ たとこ ろ、2.‐デオキシ ̄4 ‐ チ オ チ ミ ジ ン 誘 導体 を 高 収 率 で 得 ること に成 功した 。同 様の合 成法 により 他の3種の2 ‐デ オキ シ‐4 ‐ チ オ リ ポ ヌ ク レ オシ ド に つ い て も 合 成し た 。 こ の 方 法 によ り 、 各 ヌ ク レ オシ ド ユ ニ ッ ト を グ ラムス ケー ルで合成することが可能となった。
IL生 : : 乏 立DNAQ性 質
合 成 し た2 . デ オ キ シ4 ‐ チ オ リ ボヌ ク レ オ シ ド を 用い てDNA自 動 合 成 機 によ り4 | チ オDNAを 化 学 的 手 法 に よ り 合 成 し た 。 合 成 し た 】5merの4 . チ オDNAニ 本 鎖 に つ い て 熱 的 安 定 性 の 指標 で あ る 50%融 解 温 度 ( 瓦 値 ) を 調 べ た 。 そ の 結 果 、4 . チ オDNA二 本 鎖 は 天 然 型DNA二 本 鎖 と 比 較 し 、n値 が 上昇 し(DNA; 55.7°C,4 ‐ チオDNA: 65.2°C) 、 天 然 型RNA二本鎖 と同 等の熱 的安 定性を 持っ ことも 明 らか と な っ た(RNA: 66.2°C)。 次 に 核 酸 分解 酵 素 で あ るDNasel( エン ド ヌ ク レ アー ゼ)に 対す る天然 型DNA二 本 鎖 と4 . チ オDNAニ 本 鎖 の 抵 抗 性 を 調 べ た 。 そ の 結 果 、DNAニ 本 鎖 の 半 減 期 は わ ず か3.3 分 で あ っ た 。 一 方 、4 ‐ チ オDNAニ 本 鎖 の 半 減 期 は24時 間 以 上 と な り 、DNA二 本 鎖 と 比 較 し400倍 以 上と い う 驚 異 的 な 核 酸分 解 酵 素 に 対 す る抵 抗 性 を 持 っ こ とが 明 ら か と な っ た 。こ の よ う な 結 果 が得 ら れ た の は4 ‐ チ オDNAニ 本 鎖 がDNA二 本 鎖 と そ の 高 次 構 造 が 大 き く 異 な っ て い る た め で は な い か と 考 えた 。
そ こ で 次 に 二 本 鎖 核 酸 の 高 次 構 造 を 調 べ る た め、 円 偏 光 二 色 性(CD)ス ペ ク トル を 測 定 し た 。 その 結 果 、4 ‐ チ オDNA二 本 鎖 の ス ペ ク ト ル はB型 構 造 を と る 天 然 型DNAニ 本 鎖 の ス ペ ク ト ル と は 大 き く
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異 な り 、A型 構 造 を と るRNA二 本 鎖 の ス ペ ク ト ル と 類 似 し て い るこ と が 明 ら か と な った 。4 − チ オDNA 二 本 鎖 に 関 し 、 さ ら な る 構 造 学 的 知 見 を 得 る た め にRNAニ 本 鎖 特 異 的 核 酸 分 解 酵 素 で あ るRNaseVJ を 用 い た 競 合 阻 害 実 験 を 行 な っ た 。 実 験 の 結 果 、RNAニ 本 鎖 はRNaseV| 存 在 下 速 や か に 分 解 さ れ た
( 半 減 期 :1.8分 ) 。ー 方 、 こ の 結 果 と ,は 対 照 的に 、阻 害剤と して4 . チオDNA二本鎖 を加 えた場 合で は RNA二 本 鎖 の 半 減 期 が8.2分 ま で 延 長 し 、4 . チ オDNAニ 本 鎖 がRNA二 本 鎖 切 断 反 応 の 阻 害 剤 と な る こ と が 示 さ れ た 。 こ の こ と は4 ― チ オDNA二 本 鎖 がRNaseVlにRNA二 本 鎖 と し て 認 識 さ れ た こ と を 示 し て い る 。 こ れ ら の 実 験 の 結 果 か ら 、4゜ ‐ チ オDNA二 本鎖 は2 位 の 水 酸 基 が な いDNA誘 導 体 で あ る に も か か わ ら ず 、A型 構 造 を と るRNAニ 本 鎖 と 類 似 し た 高 次 構 造 を 持 っ と い う 特 異 な 性 質 を 持 つ こ と を 明 ら か と し た。
III:DNA丞 塑 ざ 乏 ニ 望 睦 よ 歪 型 : 量 空DNAQ醸 塞 曲 金 成
4 . チ オDNA二 本 鎖 は 高 い 熟 的安 定 性 と ヌ ク レ アー ゼ に 対 す る 抵 抗 性を 持 ち 、4 ^ チ オDNAは 機能 性 人 工 核 酸と し て の 資 質 を 有 して い る こ と を 明 らか と な っ た 。 そ こで 、 著 者 は 機 能 性 人工 核 酸 へ の 展 開 研 究 と し て4 チオDNAア プ タ マ ー の 獲得 を 計 画 し た 。 アプ タ マ ー と は あ る 特定 の 分 子 に 特 異 的に 結 合 す る 核 酸 分 子 の こ と で あ り 、SELEXと 呼 ば れ る 手 法 に よ っ て 獲 得 さ れ る 。4 ‐ チ オDNAア プ タ マ ー を SELEXに よ り 獲 得 す る に は4 ‐ チ オDNAを 酵 素 に よ り増 幅 す る 必 要 が ある 。 そ こ で 著 者 は2 ‐ デオ キ シ‑4'‑チ オ リ ボ ヌ ク レ オ シ ド ト リ リ ン 酸 体(dtNTP)を 合 成 し 、 ま ずDNAポ リ メ ラ ー ゼ に よ るdtNTPの 取 り 込 み 反 応 に 関 す る 基 礎 的 研 究 を 行 う こ と と し た 。 合 成 し たdtNTPを 用 い 、DNAか ら な る テ ン プ レ ー ト 、 プ ラ イ マ ー 複 合 体 に 対 し 、 様 々 なDNAポ リ メ ラ ー ゼ に よ る4 . チ オDNAの 鎖 伸 長 反 応 の 検 討 を 行 な っ た 。 そ の 結 果 、Taq DNAポ リ メ ラ ー ゼ な ど のAフ ァ ミ リ ー に 属 す るDNAポ リ メ ラ ー ゼ で は 鎖 伸 長 反 応 が ほ と ん ど 進 行 し な か っ た 。 一 方 、Therminator DNAポ リメ ラ ー ゼ やKOD Dash DNAポ リメ ラ ー ゼ な ど のBフ ァ ミ リ ー に 属 す るDNAポ リ メ ラ ー ゼ を 用 い る と 効 率 よ く 鎖 伸 長 反 応 が 進 行 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。
dtNTPを 用 い た 定 常 状 態 速 度 論 解 析 を 行 な っ た 結 果 、Aフ ァ ミ リー で はk値 の 増 大 が 原 因 とな り4. ‐ チ オDNAの 鎖 伸 長 反 応 が 進 行 し な い こ と が 明 ら か と な っ た 。 一 方 、Bフ ァ ミ リ ー で は そ の よう な 傾 向 は 観 察 さ れ ず 、 効 率 よ く 4 _ チ オDNAの 鎖 伸 長 反 応 が 進 行 す る こ と が 明 ら か と な っ た 。 次 にdtNTPを 用 い たPCRに よ る4 ‐ チ オDNAの 増 幅 反 応 の 検 討 を 行 っ た 。 前 述 の 鎖 伸 長 反 応 で 比 較 的 効 率 よ く 反 応 が 進 行 し たKOD Dash DNAポ リ メ ラ ー ゼ を 用 い てPCRを 行 っ た 。 種 々 反 応 条 件 を 検 討 し た 結 果 、1種 類 ま た は2種 類 のdtNTPを 天 然 型dNTPと 置 換 し た 系 で はPCRが 進 行 し 、4 _ チ オ DNAを 含 むDNAが 得 ら れ た 。 し か し 、 そ れ 以 上dtNTPを 増 や す とPCRの 効 率 は 低 下 し た 。 こ れ ま で の 実 験 結 果 か ら4 . チ オDNAは 天 然 型DNAを テ ン プ レ ー ト と し た 鎖 伸 長 反 応 を 行 な う こ と は 可 能 で あ る が 、4 ‐ チオDNAをPCRに よ り 直 接増 幅 す る こ と は 困 難で あ る こ と が 明 らか と な っ た 。 以 上 の 結 果 を 踏 ま え 、4 ‐ チ オDNAをPCRに よ り 直 接 増 幅 す る 必 要 の な い サ イ ク ル で4 ̄ ‐ チ オDNA ア プ タ マ ー の 獲 得 を 行 な う こ と に し た 。 種 々 検 討 の 結 果 、4 ‐ チ オDNAをSELEXへ適 用 可 能 な こ と を 確 認 し 、4 ‐ チ オDNAア プ タ マ ー 獲 得 の 方 法 論 を 確 立 し た 。
1結 語1
・ 2 ‐ デ オ キ シ‑4 ‐ チ オ ヌ ク レ オ シ ド を 効 率 的 に 合 成 す る こ と に 成 功 し た 。
・4 ‐チ オDNAを 化 学 的 に 合成 し 、 高 い ハ イ ブリ ダ イ ゼ ー シ ョ ン 能と 、 ヌ ク レ ア ー ゼに 対 す る抵抗 性を 持 っ こ と を 明 ら か と し 、 さ ら に4 ー チ オDNAはRNAに 類 似 し た 構 造 を 持 つ こ と を 明 ら か と し た。
・dtNTPの 速 度 論 的 解 析 を 行 な い 、 そ れ ら を 用 い てDNAポ リ メ ラ ー ゼ に よ る 鎖 伸長 反 応 を 行 な う こと で4 ‐ チ オDNAを 酵 素的 に 合 成 す る こ とに 成 功 し た 。
・4 ‐チ オDNAア プ タ マ ー 獲得 の 方 法 論 を 確 立し た 。
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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主 査 教 授 松田 彰 副 査 教 授 周東 智 副査 助教授 紙谷浩之 副査 助教授 南川典昭
学 位 論 文 題 名
4 ―チオ DNA の性質解明と機能性人工核酸への展開
機 能 性 人 工 核 酸 と は 核 酸 に 化 学 的 修 飾 を 施 し 様 々 な 機 能 を 付 与 し た も の で あ り 、 そ れ ら を 利 用 し た 核 酸 医 薬 や 新 解 析 技 術 の 開 発 が 盛 ん に 行 な わ れ て い る 。 一 般 に ヌ ク レ ア ー ゼ に よ り 速 や か に 分 解 さ れ る た め に 機 能 性 人 工 核 酸 の 設 計 で は 、 い か に し て 酵 素 耐 性 を 持 た せ る か が 重 要 と な る 。 し か し 、 過 度 の 修 飾 は 核 酸 分 子 本 来 の 二 本 鎖 形 成 能 や 酵 素 に よ る 認 識 能 を 低 下 さ せ る 。 そ こ で 、 著 者 は フ ラ ノ ー ス 環 内 酸 素 原 子 を 硫 黄 原 子 へ 置 換 し 、 最 小 限 の 修 飾 を施 した 2 ‐デ オキ シ 4 ‐ チオ リ ポヌ クレ オシ ド (dsN) を設 計 し た 。 本 研 究 で は 完 全 修 飾 型 4 ‐ チ オ DNA の 合 成 、 性 質 解 明 と 機 能 性 人 工 核 酸 へ の 応 用 を 目 的 と し た 。
1 .2 ・ デオキシ−4 .チオリポヌ クレオシドの合成と性質
dsN は 4 ‐ チ オ リ ボ ヌ ク レ オ シ ド の 2 位 水 酸 基 の デ オ キ シ 化 に よ り 合 成 し た 。ま ず 2 ,2 ーアンヒド口チミジン体を経由し2 ‐ブ口モ‐4 ‐チオチミジン体を合成した。続いて、
V‑70L を 用 い ラ ジ カ ル 還 元 を 行 な い 、 2 ― デ オ キ シ 4 ‐ チ オチ ミジ ン(dsT) 体を 高収 率 で得た。 同様の合成法で他の3 種のdsN も合成した。
2 .4 ‐ チオDNA の性質
合 成 し た dsN を 用 い て 4 ‐ チ オ DNA ( 15mer ) を 化 学 的 に 合 成 し た 。 4 ‐ チ オ DNA 二 本 鎖 の 熱 的 安 定 性 を 調 べ た と こ ろ , 天 然 型 DNA 二 本 鎖 と 比 較 し 、 m ( 50 % 融 解 温 度 ) 値 が 上 昇 し ( DNA : 55 . 7 ℃ , 4 ‐ チ オ DNA : 65 . 20C )、 天 然型 RNA 二本 鎖と ほぽ 同等 の 熱 的 安 定 性 を 示 し た ( RNA : 66 . 2 °C )。 次に 核 酸分 解酵 素で ある DNaseI (エ ンド ヌク レ ア ー ゼ ) に 対 す る 抵 抗 性 を 調 べ た 。 そ の 結 果 , DNA 二 本 鎖 の 半 減 期 は 313 分 で あ っ た 。 一 方 、 4 ‐ チ オ DNA 二 本 鎖 の 半 減 期 は 24 時 間 以 上 と な り 、 400 倍 以 上 の 抵 抗 性 を 示 し た 。 こ の よ う な 結 果 が 得 ら れ た の は 両 者 の 高 次 構 造 の 違 いが 原因 で はな いか と考 えた 。 そ こ で 円 偏 光 二 色 性 ( CD ) ス ベ ク ト ル を 測 定 し た 。 4 ・ チオ DNA 二本 鎖の スベ クト ル は B 型 構 造 を と る 天 然 型 DNA 二 本 鎖 の ス ベ ク ト ル と は 大 き く 異 な り 、 む し ろ A 型 構 造 を と る RNA 二 本 鎖 の ス ベ ク ト ル と 類 似 し て い た 。 4 ‐ チ オ DNA 二 本 鎖 に 関 し 、 さ ら な る 構 造 的 知 見 を 得 る た め に RNA 二 本 鎖 特 異 的 核 酸 分 解 酵 素 で あ る RNaseV1 を 用 い た 競 合 阻 害 実 験 を 行 な っ た 。 実 験 の 結 果 、 RNA 二 本 鎖 は RNaseVl 存 在 下 速 や か に 分 解 さ れ た ( 半 減 期 : 1 . 8 分 ) が、 4 .チ オDNA 二 本鎖 を加 え た場 合は RNA 二本 鎖の 半減 期 が 8 . 2 分 ま で 延 長 し 、 4 ‐ チ オ DNA 二 本 鎖 が RNA 二 本 鎖 切 断 反 応 の 阻 害 剤 と な る こ と が 示 さ れ た 。 こ れ ら の 実 験 結 果 か ら 、 4 _ チ オ DNA 二 本 鎖 は 2 位 の 水 酸 基 が な い DNA 誘 導 体 で あ る に も か か わ ら ず 、 A 型 構 造 を と る RNA 二 本 鎖 と 類 似 し た 高 次 構 造 を 持 つ
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ことを明らかとした。
3 . DNA ポリメラーゼによる 4 ・チオDNA の酵素的合成
4 ‐チ オDNA 二本 鎖は 高い 熱的 安定 性とヌクレアーゼに対する抵抗性を示し、機能 性人 工 核酸 とし て応 用で きる 可能 性が ある。そこで、4 ―チオ DNA アプタマーの獲得 を計 画 した 。ア プタ マー とは ある 特定 の分子に特異的に結合できる核酸分子であり、
SELEX 法 に よ り 獲 得 で き る 。 そ の た めに は4 ‐チ オDNA を 酵素 によ り 増幅 する 必要 がある。最初に2 ‐デオキシ‐4 ‐チオリボヌクレオシドトリリン酸体(dsNTP )を合成し、
まず DNA ポ リメ ラー ゼ( pol ) によ るdSNTP の 取込 みに 関す る基 礎的研究を行なった。
合 成 し た dsNTP を 用 い 、 天 然 型 DNA か ら な る テ ン プ レ ー ト 、 プ ライ マ ー複 合体 に対 し 、 様 々 な DNApol に よ る 鎖 伸 長 反 応 を 検 討 し た 。 そ の 結 果 、 TaqDNApol な ど の A フ ァ ミ リ ー に 属 す る DNApol で は 鎖 伸 長 反 応 が ほ と ん ど 進 行 し な か っ た 。 一 方 、 Ther 血 natorDNApol や KODDashDNApol な ど の B フ ァ ミ リ ー に 属 す る DNAp01 を 用 いると効率よく鎖伸長反応が進行した。
次 に dsNTP を 用 い た PCR に よ る 4 ‐ チ オ DNA の 増 幅 反 応 を 検 討し た 。前 述の 鎖伸 長 反 応 で 比 較 的 効 率 よ く 反 応 が 進 行 し た KODDaShDNApol を 用 い て PCR を 行 っ た 。 種 々 反 応 条 件 を 検 討 し た 結 果 、 1 種 類 ま た は 2 種 類 の dsNTP を 天 然 型 dNTP と 置 換 し た 系 で は PCR が 進 行 し 、 4 ― チ オ DNA を 含 む DNA が 得 ら れ た 。し か し、 それ 以上 dsNTP の種類を増やすとPCR の効率は低下した。
以 上 の結 果を 踏ま え、 核酸 増幅 反応 を天然型 DNA で行ない、鎖 伸長反応を4 ‐チオ I ) NA で 行 な う SELEX 法 を 考 案 し た 。条 件 を種 々検 討し 、SELEX へ適 用 可能 なこ とを 確認し、4 .チオDNA アプタマー獲得の方法論を確立した。
論文 発 表に 続い て発 表内 容を 中心 とし て関 連の ある 専門 分野 を含めた口頭試 問を 実 施し た 。その内容は、 本研究の背景、目的および関連分野等における知識、ま た核 酸 の構 造 や機能など多岐 に亘った。これらに対する回答は、適切かつ高度なもの であ り 、博 士 の学 位を 与え るに 相応 しい と判 断し た。
提出 さ れた学位論文に 含まれる研究成果は独創的かつ有用性に富み、本専門研 究分 野 の中 で 高く 評価 され るに 値す る内 容で ある と判 断し た。
以上 の 結果、本論文審 査委員会は、猪上尚徳氏を博士(薬学)の学位を授与す るに 相 応し い 十分 な学 カと 研究 能カ を有 する もの と認 めた 。
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