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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 環 境 科 学 ) 工 藤

  

    

学 位 論 文 題 名

Studies on long

term variations in aerosol optical properties     and direct effect by ground

based radiometers

(地上日射観測によるエアロゾル光学特性と

  

直 接 効 果 の 長 期 変 動 に 関 す る 研 究 )

学位論文内容の要旨

    世界の地上日射は、1980年代半ばまで減少傾向(暗化)にあり、その後増加傾向(明化)

に転じている。この変化の主要因には、雲だけでなくエアロゾルの変動が挙げられている。本 研究では、エアロゾルのモニタリングを目的に、地上日射計による直達・散乱光の 謝青下での 観測から、エアロゾル光学特陸(光学的厚さ、一次散乱アルベド、非対称因子)を推定する方 法を開発した。そして、開発した方法をっくばに韜ける長期観測に適用し、エアロゾル光学特 性 の 季 節 ・ 数 十 年 の 変 動 と 直 接 効 果 に よ る 地 上 日 射 へ の 影 響 を 調 べ た 。   第1章では、直達・散乱光の狭波長帯域の分光観測から光学特陸を推定する方法を開発した。

この方法では、エアロゾルの複素屈折率と粒径分布を観測値に最適化することで光学特陸を得 る。開発した方法を使って、2004から2008年の観測値から、光学特陸と地ヒ放射強制力(地上 日射のエアロゾルによる減衰量)の季節変動を調べた。光学的厚さは、春から夏にかけて大き く、冬に小さかった。春の大きを光学的厚さは、粒径の大きい粒子に起因していたのに対し、

夏の大きな光学的厚さは、小さい粒子の寄与が大きかった。一次散乱アルベドは、夏に大きく、

冬に小さい。非対称因子は、春に大きく、夏に小さぃ。地上放射強制カは、光学的厚さと一致 した変動を示していたが、地上放射強制カの能率(単位光学的厚さあたりの地上放射強制力)

は、一次散乱アルベドと非対称因子の変動と二致しぬかった。そこで、地上放射強制カの大気 上端での太陽7¥射光に対する比をとることで、太陽入射光の季節変動を除去したところ、地上 放射強制力能率の一次散乱アルベド、非対称因子人の依存性が見いだされた。っくばの光学特 性と地ヒ放射強制カの季節変動を東アジアの他の地点と比較した結果、東アジア全体で季節変 動は、おおむね同じ変化をしていた。しかし、日本の光学特陸と地上放射強制カの値自体は、

大陸で得られた値よりも季節を通して小さかった。

  2章では、1998から2008年の地上日射、地上放射強制力、光学特陸の長期変化傾向を調べ た。光学特陸の推定には、全短波長を可視と近赤外の広帯域に分光した直達・散乱光の観測を 用いた。この方法では、光吸収特陸と粒径半径の異をる4種類のエアロゾル(水溶陸、黒色炭素、

海塩、土壌陸子)を仮定し、これらの外部混合を観測値に最適化することで光学特性を推定し た。解析の結果、地上日射は、増加傾向にあり、その要因は、光学的厚さの減少ではなく、一

(2)

次散乱アルベドの増加であることが分かった。また、一次散乱アルベドの増加には、黒色炭素 の減少が関わっている可能性がある。

  第3章では、全短波長域の直達・散乱光観測から、1970年代にさかのばって光学特陸の変動 を調べた。ここでは、エアロゾルの複素屈折率と全濃度を観測値に最適化することで、光学的 厚さと一次散乱アルベドを推定している。実際の観測を使って得られた光学的厚さと一次散乱 アルベドを、より信頼陸の高いスカイラジオメータの推定値と比較したところ、季節変動に多 少の差はあったが、年平均では非常に良い一致が得られた。開発した方法を使って1975から200 8年の観測を解析した。光学的厚さは、1980年代半ばに、増加傾向から減少傾向に転じており、

2000年代には、ほば一定の値となっていた。一次散乱アルベドは、1980年代末まで0.8と低い値 であったが、次第に増加し、1990年代半ばには、約0.9の値になっていた。これらの光学特陸か ら計算されるJ蔚青下の地上日射は、1980年代半ばまで減少傾向、その後増加傾向に転じ、2000 年代には韜おむねー定となっていた。明化の大きさは、l2.7WrD:で、その内、83W・nr2は光学 的厚さの減少に、414Whr2は一次散乱アルベドの増加によってもたらされていた。この,脚青下 の暗化・明化の変動幅は、曇天下の観測値にも見られた暗化・明化よりも大きかった。このた め、 っくば の暗 化 明化 の主要因は、エアロゾル光学特性の変動にあると考えられる。

  全体の解析を通して、エアロゾル光学特陸は、大きな季節・数十年の変動をしており、地上 日射の変動に大きく影響していることが分かった。特に、一次散乱アルベドの変動による寄与 が大きいことは、これまで知られていなかったことである。本研究で開発した手法を世界の他 地点の観測に応用していくことで、より長期・広範囲のエアロゾルの放射場への影響を解明で きると期待される。

(3)

学位論文審査の要旨

主 査

  

教 授

  

藤 吉 康 志 副 査

  

教 授

  

河 村 公 隆 副 査

  

助 教

  

川 島 正 行

副 査

  

教 授

  

太 田 幸 雄 ( 大 学 院 工 学 研 究 院 )

    

学 位 論 文 題 名

Studies on long

term variations in aerosol optical properties     and direct effCtbyground

baSedradiometerS

(地上日射観測によるエアロゾル光学特性と

  

直 接 効 果 の 長 期 変 動 に 関 す る 研 究 )

世界 の地上 日射は、1980年代半 ばまで減 少傾向 (暗化) にあり 、その後増加傾向(明イ匕)に転 じて いる。 この変化 の主要 因には、 雲だけ でなくエ アロゾル の変動 が挙げられている。本研究で は、エアロゾルのモニタリングを目的に、地上日射計による直達・散乱光の |対青下での観測から、

エア ロゾル 光学特陸(光学的厚さ、一次散乱アルベド、非対称因子)を推定する方法を開発した。

そし て、開 発した方 法をっ くばにお ける長 期観測に 適用し、 エアロ ゾル光学特性の季節・数十年 の変動と直接効果による地上日射への影響を調べた。

  まず 、 直 達 ・散 乱 光 の狭 波長帯 域の分 光観測か ら光学特 陸を推 定する方 法を開 発したこ の方 法では、エアロゾルの複素屈折率と粒径分布を観頒|」値に最適化することで光学特陸を得る。開発 した 方法を 使って、2004から2008年 の観測 値から、 光学特 陸と地ヒ 放射強制力(地上日射のエア ロゾ ルによ る減衰量 )の季 節変動を 調べた 。光学的 厚さは、 春から 夏にかけて大きく、冬に小さ かっ た。春 の大きな 光学的 厚さは、 粒径の 大きい粒 子に起因 してい たのに対し、夏の大きな光学 的厚 さは、 小さい粒 子の寄 与が大き かった 。一次散 乱アルベ ドは、 夏に大きく、冬に小さぃ。非 対称 因子は 、春に大 きく、 夏に小さ い。地 ヒ放射強 制カは、 光学的 厚さと一致した変動を示して いた が、地 ヒ放射強 制カの 能率(単 位光学 的厚さあ たりの地 ヒ放射 強制力)は、一次散乱アルベ ドと 非対称 因子の変 動と一 致しなか った。 そこで、 地ヒ放射 強制カ の大気上端での太陽入射光に 対す る比を とること で、太 陽入射光 の季節 変動を除 去したと ころ、 地ヒ放射強制力能率の一次散 乱ア ンレベ ド、非対称因子への依存陸が見いだされた。っくばの光学特陸と地ヒ放射強制カの季節 変動 を東ア ジアの他 の地点 と比較し た結果 、東アジ ア全体で 季節変 動は、おおむね同じ変化をし てい た。し かし、日 本の光 学特陸と 地ヒ放 射強制カ の値自体 は、大 陸で得られた値よりも季節を 通して小さかった。

  次 に、1998から2008年の地 上日射、 地ヒ放 射強制力 、光学 特陸の長期変化傾向を調べた。光学

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(4)

特 陸の推定 には、 全短波長 を可視 と近赤外 の広帯域 に分光した直達・散舌L光の観測を用いた。こ の 方法では 、光吸 収特陸と 粒径半 径の異な る4種 類のエアロゾル劬く溶陸、黒色炭素、海塩、土壌 粒 子)を仮 定し、 これらの 外部混 合を観測 値に最適 化する ことで光 学特性 を推定した。解析の結 果 、地上日 射は、 増加傾向 にあり 、その要 因は、光 学的厚 さの減少 ではな く、一次散乱アルベド の 増加であ ること が分か・った。また、一次散乱アルベドの増加には、黒色炭素の減少が関わって いる可f陸がある。

  最後に、全短波長域の直:達・散舌しう悌轍lJから、1970年代にさかのばって光学ヰ・争陸の変動を調べ た 。ここで は、エ アロゾル の複素 屈折率と 全濃度を 観測値 に最適化 するこ とで、光学的厚さと一 次 散乱アル ベドを 推定している。実際の観測を使って得られた光学的厚さと一次散乱アルベドを、

よ り信頼陸 の高い スカイラ ジオメ ータの推 定値と比 較した ところ、 季節変 動に多少の差はあった が 、年平均 では非 常に良い 一致が 得られた 。開発し た方法 を使って1975から2008年の観測を解析 し た。光学 的厚さ は、1980年代 半ばに 、増加傾 向から 減少傾向 に転じ ており、2000年代には、ほ ば 一定の値 となっ ていた。一次散乱アルベドは、1980年代末まで08と低い値であったが、次第に 増加し、1990年代半ばには、約09の値になっていた。これらの光学特陸から計算される 儲青下の 地 上日射は 、1980年代 半ばまで 減少傾 向、その 後増加 傾向に転 じ、2000年 代にはおおむね一定と なっていた。明化の大きさは、12. 7Wrr12で、その内、8.3  Wrr1は光学的厚さの減少に、4.4Wrri‑2は一 次散乱アルベドの増加によってもたらされていた。この |知青下の暗化・明化の変動幅は、曇天下 の観測値にも見られた暗化゛ニ明化よりも大きかった。このため、っくばの暗化・明化の主要因は、

エアロゾル光学特陸の変動にあると考えられる。

  以 上のとお り、申 請者はエ アロゾ ル光学特 陸が大 きな季節 ・数十年 の変動 をして韜り、地上日 射 の変動に 大きく 影響して いるこ とを明ら かにした 。特に 、一次散 乱アル ベドの変動による寄与 が 大きいこ とは、 これまで 知られ ていなか ったこと である 。本研究 で開発 した手法を世界の他地 点 の観測に 応用し ていくこ とで、 より長期 ・広範囲 のエア ロゾルの 放射場 への影響を解明できる と期待される。

  よ って,審 査委員 一同はこ れらの 成果を高 く評価 し、申請 者は博士 (環境 科学)の学位を受け るのに充分な資格を有するものと判定した。

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参照

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