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学 位 論 文 内 容 の 要 旨

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Academic year: 2021

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学 位 論 文 内 容 の 要 旨

吉田 洋康

(主 査) 朝日大学歯学部教授 勝又明敏

(副 査) 朝日大学歯学部教授 住友伸一郎

(副 査) 朝日大学歯学部教授 永山元彦

パノラマX線画像における顎骨X線透過性病巣の画像濃度

論文内容の要旨

【目的】

パ ノ ラ マ X 線 画 像 か ら 顎 骨 の 病 変 を 自 動 的 に 検 出 す る コ ン ピ ュ ー タ 支 援 診 断 / 検 出

(Computer Assisted Diagnosis/detection,CAD)アルゴリズムを開発する場合,病巣の画像 濃度が重要な手がかり(特徴量)となる.顎骨に発生する病巣の多くが

X

線透過像を示すこと はよく知られているが,その画像濃度を定量的に解析した報告がされてない.そこで本研究で は,X線画像で透過像を示す歯根嚢胞,含歯性嚢胞,エナメル上皮腫などの顎骨病巣について,

パノラマ画像上の画像濃度を計測して定量的に検討する事を目的とした.

【対象および方法】

朝日大学歯科放射線学分野に蓄積された画像データベースを検索し,下顎骨内で長径

15mm

以上のX線透過像を示す病巣 61 例を抽出して対象とした(朝日大学歯学部倫理委員会承認 第 26169 号). 症例は,男性

40

名,女性 21 名,平均年齢 41.28 歳で,病巣は,歯根嚢胞

30

例,

含歯性嚢胞 20 例,その他(角化嚢胞性歯原性腫瘍,エナメル上皮腫など)11例であった.パノ ラマX線画像はイメージングプレート方式で取得し,DICOMデータとして

PC

に読み込んだ.

病巣のX線透過像部分と病巣辺縁より約

5mm

の範囲の周囲骨に関心領域(region of interest,

ROI)を設定し,X線透過像部分の画素数(病巣面積)を求め,画素値を 8

ビット(256階調)

スケールで計測した.1画素のサイズは

0.1mm

である.また,病巣と周囲骨の平均画素値より コントラスト値(Michelsonコントラスト)を求めた.さらに,全身用

CT

撮影が施行された症 例においては,病巣内の

CT

値(ハンスフィールド値)を計測した.上記の計測結果より以下の 項目の検討をおこなった.

(1)病巣内と周囲骨の画素値,病巣コントラスト値および病巣内

CT

値の分布

(2)病巣コントラスト値に対する,病巣内部の画素値,病巣面積,および病巣内

CT

値の相関 関係

(3)病巣コントラスト値および病巣内

CT

値の病巣部位および疾患による変化

(2)

2

二項目の組合せの相関については

Spearman

の順位相関計数を求めて検討し,有意水準

5%以

内の組合せを相関ありと判定した.病巣部位に関しては,前歯~小臼歯部と大臼歯疾患より遠心

2

群に分け,病巣コントラスト値および病巣内

CT

値が2群の間で異なるかについてノンパラ メトリック検定(Mann-Whitney U テスト)をおこない,有意水準は

1%とした.疾患に関して

は,歯根嚢胞,含歯性嚢胞,およびその他の3群に分けて病巣コントラスト値および病巣内

CT

値が疾患で異なるかについて

Kruskal Wallis

検定をおこなった.多重比較は

Tukey

法により,

有意水準は

1%とした.

【結果】

病巣の画素値は,すべての症例で周囲骨よりも小さくなっていた.病巣の平均画素値は

90

から

200

までの範囲に,周囲骨の平均画素値は

138

から

205

までの範囲に分布していた.病巣の画素 数は

3194

から

99187

までの範囲に分布し,平均は

24812

画素であった.コントラスト値は,最

0.01,最大 0.24,平均 0.07

であった.病巣内

CT

値は,最小

2.3,最大 67.9,平均 19.1

であ った.病巣画素値,病巣面積とコントラスト値の間には有意な相関が認められた.また,病巣の 画素値とコントラスト値は,病巣の部位と大きさにより変化する傾向を認めたが,病巣内

CT

は病巣の部位と大きさにより変化を認めなかった.

【考察】

顎骨X線透過性病巣の画像濃度は,パノラマ画像全体からみて広い範囲に分布し,骨の濃度と の重複も大きいことがわかった.パノラマ画像上の病巣の画素値とコントラスト値が,病巣の部 位により変化したのは,スリット(細隙)撮影と断層撮影の原理を組み合わせて画像を得るパノ ラマX線撮影の特性に起因するものと思われた.すなわち,人間の頭部は前後に長くて左右の幅 が狭い形状である事に加えて後方には頸椎も存在するため,約 10 数秒のパノラマ撮影時間のあい だに生体を透過するX線の量はたえず変化し,断層厚さも一定ではない.本研究の結果より,パ ノラマ画像全体から画素値のみを参考に顎骨病巣を検出することは難しいと思われた.一方,病 巣と周囲骨の画像濃度は平均 7%程度のコントラストを持つ事が示され,パノラマ像を領域ごと にスキャンしてコントラストを持つ構造を見つけだす方法でX線透過性病巣の検出が可能である と考える.また,その他の病変のうち腫瘍を鑑別できることが望まれる.

【結論】

パノラマX線画像上で X 線透過像を示す顎骨病巣の画像濃度を検討した結果,病巣内と周囲骨 の画素値から求めたコントラスト値が,パノラマ画像上で病巣を自動的に検出するアルゴリズム における有効な特徴量となることが示唆された.

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