アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
1
ア バ ス チ ン 点 滴 静 注 用 100 mg/4 mL
ア バ ス チ ン 点 滴 静 注 用 400 mg/16 mL
(ベバシズマブ(遺伝子組換え))
[悪性神経膠腫]
第
2部 (モジュール2):CTD の概要(サマリー)
2.5 臨床に関する概括評価
中外製薬株式会社
アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
2
略語一覧
略語 英名 和名
AA anaplastic astrocytoma 退形成性星細胞腫
ACNU nimustine ニムスチン
ALP alkaline phosphatase アルカリホスファターゼ
ALT alanine aminotransferase アラニン・アミノトランスフェ
ラーゼ(GPT)
AO anaplastic oligodendroglioma 退形成性乏突起膠腫
AOA anaplastic oligoastrocytoma 退形成性乏突起星細胞腫
ASCO American Society of Clinical Oncology 米国臨床腫瘍学会
BCNU carmustine カルムスチン
BSC best supportive care 緩和ケア
BV bevacizumab ベバシズマブ
Bv bevacizumab ベバシズマブ
CCNU lomustine ロムスチン
CHMP Committee for Medicinal Products for Human
Use
欧州ヒト用医薬品委員会
CI confidence interval 信頼区間
COWA controlled oral word association 言語流暢性検査
CPT-11 irinotecan hydrochloride hydrate イリノテカン塩酸塩水和物
CR complete response 完全奏効
CRADA cooperative research and development
agreement
共同研究開発契約
CTCAE common terminology criteria for adverse
events
有害事象共通用語規準
EIAEDs enzyme-inducing anti-epileptic drugs 酵素誘導性抗てんかん薬
EMA European Medicines Agency 欧州医薬品庁
EORTC European Organisation for Research and
Treatment of Cancer
欧州癌研究治療機関
FDA Food and Drug Administration 米国食品医薬品局
FLAIR fluid attenuated inversion recovery フレアー法
GBM glioblastoma 膠芽腫
HVLT Hopkins verbal learning test ホプキンス言語学習テスト
ICE ifosfamide + carboplatin + etoposide イホスファミド + カルボプラ
チン + エトポシド併用療法
IFN-β interferon-β インターフェロンβ
INR international normalized ratio 国際標準化比
IRF independent radiology facility 効果判定委員会
JCOG Japan Clinical Oncology Group 日本臨床腫瘍研究グループ
JCS Japan coma Scale ジャパン・コーマ・スケール
KPS Karnofsky performance status カルノフスキー・パフォーマン
ス・ステータス
MedDRA medical dictionary for regulatory activities ICH 国際医薬用語集
MGMT O6-methylguanine-DNA methyltransferase O6-メチルグアニン DNA メチル
トランスフェラーゼ
MMT manual muscle test 徒手筋力テスト
MRI magnetic resonance imaging 磁気共鳴画像
NCCN National Comprehensive Cancer Network –
NCI National Cancer Institute 米国国立癌研究所
NPT non-protocol therapy プロトコールで規定された治療
アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
3
略語 英名 和名
ODAC Oncologic Drugs Advisory Committee 抗腫瘍薬諮問委員会
OS overall survival 全生存期間
PAV procarbazine + nimustine + vincristine PCZ + ACNU + ビンクリスチン
併用療法
PCZ procarbazine プロカルバジン
PDCO paediatric committee –
PFS progression-free survival 無増悪生存期間
PIP paediatric investigation plan –
Pl placebo プラセボ
PR partial response 部分奏効
PS performance status パ フ ォ ー マ ン ス ・ ス テ ー タ ス
(一般状態)
QOL quality of life 生活の質
RPA recursive partitioning analysis 再帰分割解析
RPLS reversible posterior leukoencephalopathy
syndrome 可逆性後白質脳症症候群 RT radiotherapy 放射線療法 SD stable disease 病勢安定 SD standard deviation 標準偏差 T temozolomide テモゾロミド TMZ temozolomide テモゾロミド
VEGF vascular endothelial growth factor 血管内皮増殖因子
WHO World Health Organization 世界保健機関
WT-1 Wilms' tumor gene 1 ウィルムス腫瘍遺伝子1
%6mo-PFS 6 months progression free survival rate 6カ月無増悪生存率
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目次
頁 2.5 臨床に関する概括評価 ... 6 2.5.1 製品開発の根拠 ... 6 2.5.1.1 背景 ... 6 2.5.1.1.1 悪性神経膠腫の疫学 ... 6 2.5.1.1.2 GBM に対する国内外の治療法 ... 8 2.5.1.1.2.1 初発 GBM ... 8 2.5.1.1.2.2 再発 GBM ... 9 2.5.1.2 臨床開発計画 ... 11 2.5.1.2.1 臨床開発の経緯 ... 11 2.5.1.2.1.1 米国での臨床開発の経緯 ... 11 2.5.1.2.1.2 欧州での臨床開発の経緯 ... 15 2.5.1.2.1.3 海外での本剤の承認状況等 ... 16 2.5.1.2.1.4 国内臨床開発の経緯 ... 16 2.5.1.2.2 申請データパッケージ ... 19 2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価 ... 20 2.5.3 臨床薬理に関する概括評価 ... 20 2.5.4 有効性の概括評価 ... 21 2.5.4.1 再発 GBM ... 21 2.5.4.1.1 有効性評価に用いた臨床試験の概略 ... 21 2.5.4.1.2 患者背景 ... 23 2.5.4.1.3 6 カ月無増悪生存率(%6mo-PFS) ... 26 2.5.4.1.4 奏効率 ... 27 2.5.4.1.5 奏効期間 ... 28 2.5.4.1.6 全生存期間(OS)・1 年生存率 ... 30 2.5.4.1.7 無増悪生存期間(PFS) ... 31 2.5.4.1.8 神経学的評価 ... 31 2.5.4.1.9 ステロイド使用量の変化 ... 32 2.5.4.1.10 有効性成績のまとめ・考察 ... 34 2.5.4.2 初発 GBM ... 37 2.5.4.2.1 有効性評価に用いた臨床試験の概略 ... 37 2.5.4.2.2 患者背景 ... 38 2.5.4.2.3 無増悪生存期間(PFS) ... 39 2.5.4.2.4 全生存期間(OS)・1 年生存率及び 2 年生存率 ... 42 2.5.4.2.5 健康関連 QOL ... 44 2.5.4.2.6 KPS ... 45アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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2.5.4.2.7 ステロイド使用量の変化 ... 45 2.5.4.2.8 神経認知機能の評価 ... 45 2.5.4.2.9 GBM 関連の兆候及び症状 ... 46 2.5.4.2.10 奏効率及び奏効期間 ... 46 2.5.4.2.11 腫瘍増悪パターン ... 46 2.5.4.2.12 有効性成績のまとめ ... 46 2.5.5 安全性の概括評価 ... 48 2.5.5.1 再発 GBM ... 48 2.5.5.1.1 比較的よくみられる有害事象 ... 48 2.5.5.1.2 死亡 ... 53 2.5.5.1.3 その他の重篤な有害事象 ... 54 2.5.5.1.4 その他の重要な有害事象 ... 55 2.5.5.1.5 注目すべき重要な有害事象 ... 55 2.5.5.1.6 安全性成績のまとめ ... 56 2.5.5.2 初発 GBM ... 57 2.5.5.2.1 比較的よくみられる有害事象 ... 58 2.5.5.2.2 死亡 ... 66 2.5.5.2.3 その他の重篤な有害事象 ... 66 2.5.5.2.4 その他の重要な有害事象 ... 66 2.5.5.2.4.1 試験治療の中止に至った有害事象 ... 66 2.5.5.2.4.2 試験治療の変更/休薬に至った有害事象 ... 66 2.5.5.2.5 注目すべき重要な有害事象 ... 67 2.5.5.2.6 安全性成績のまとめ ... 68 2.5.5.3 市販後経験 ... 69 2.5.6 ベネフィットとリスクに関する結論 ... 70 2.5.7 参考文献 ... 72アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
6
2.5 臨床に関する概括評価
2.5.1 製品開発の根拠
アバスチン点滴静注用100 mg/4 mL,同400 mg/16 mL は,米国の Genentech 社により創製さ れた遺伝子組換え抗ヒト血管内皮増殖因子(以下,VEGF)モノクローナル抗体であるベバシ ズマブ(遺伝子組換え)を有効成分とする点滴静注用製剤(以下,本剤又はベバシズマブ)で ある。 本剤は,血管新生阻害剤として世界で初めて臨床的有用性が立証され,本邦では2007年4月 に「治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌」の効能・効果(5 mg/kg 又は10 mg/kg 2週間 間隔投与の用法・用量)で承認され,同効能の新用法・用量(7.5 mg/kg 3週間間隔投与)の承 認を2009年9月に,「扁平上皮癌を除く切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」の新効能・効 果の承認(15 mg/kg/3週の用法・用量)を2009年11月に,「手術不能又は再発乳癌」の新効 能・効果の承認(10 mg/kg/2週の用法・用量)を2011年9月に取得している。 今回,再発の膠芽腫(以下,GBM)又は再発悪性神経膠腫を対象として海外又は本邦で実施された第II 相臨床試験(AVF3708g 試験,NCI-06-C-0064E 試験及び JO22506試験)で,有効
な治療法が存在しない再発 GBM に対して,本剤の単独療法は極めて良好な6カ月無増悪生存 率(以下,%6mo-PFS),奏効率,奏効期間及び全生存期間(以下,OS)をもたらし,忍容性 も高いことが確認された。また,初発GBM を対象として実施された本邦を含む国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較試験(BO21990試験)で,初発 GBM での標準療法である放射線療法 とテモゾロミド(以下,TMZ)の術後補助療法及び TMZ の維持投与に本剤を併用することに より,主要評価項目の一つである無増悪生存期間(以下,PFS)の有意な延長が認められ,忍 容性も高いことが確認された。そこで,これらの試験結果に基づき,アバスチン点滴静注用 100 mg/4 mL,同400 mg/16 mL に「再発膠芽腫」の効能・効果を追加する医薬品製造販売承認 事項一部変更承認申請を行うこととした。
2.5.1.1
背景
2.5.1.1.1
悪性神経膠腫の疫学
(1) 悪性神経膠腫の分類 神経膠腫は,脳実質又は髄内から発生する脳腫瘍・脊髄腫瘍の内,神経膠細胞由来の腫瘍 の総称であり,WHO 分類(第4版,2007年)1)では,病理組織学的所見と臨床的悪性度によりGrade I~IV に分類される。この内,悪性度の高い WHO Grade III 及び IV の神経膠腫をまとめ
てHigh grade glioma 又は悪性神経膠腫と呼んでいる。
悪性神経膠腫の組織分類を表 2.5.1.1.1-1に示す。悪性神経膠腫の内,退形成性星細胞腫(以 下,AA)の割合は32.6%,GBM の割合は63.2%であり,この2つの腫瘍型で悪性神経膠腫の
95%以上を占めている2)。また,低悪性度の神経膠腫(Grade II)が経過中に Grade III 又は IV
の悪性に転化することも多い。
WHO 分類は疾患予後を反映しており,Grade III では治療後2~3年の生存が可能とされる一 方で,GBM を含む Grade IV では,術前・術後にも病状が急速に進行し,様々な治療を試みて
アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
7
表 2.5.1.1.1-1 悪性神経膠腫の組織分類 腫瘍名 腫瘍型及び腫瘍亜型(略号) WHO Grade 星細胞系腫瘍 退形成性星細胞腫(AA) III 膠芽腫(GBM) IV 巨細胞膠芽腫 IV 神経膠肉腫 IV 乏突起膠細胞系腫瘍 退形成性乏突起膠腫(AO) III 乏突起星細胞系腫瘍 退形成性乏突起星細胞腫(AOA) III 上衣細胞系腫瘍 退形成性上衣腫 III 脈絡叢系腫瘍 脈絡叢癌 III 神経細胞系及び混合神経細胞・膠細胞腫瘍 退形成性神経節膠腫 IIIAA: Anaplastic Astrocytoma, GBM: Glioblastoma, AO: Anaplastic Oligodendroglioma, AOA: Anaplastic Oligoastrocytoma (2) GBM の患者数 本邦の GBM の年間発生患者数は,日本脳神経外科学会脳腫瘍全国統計委員会で2000年に登 録された原発性脳腫瘍患者数(3,407例)2),本集計の登録率(約30%)4)及び組織型が明らか な原発性脳腫瘍患者に占める GBM の割合(9.1%)2)から,約1,000人と推定される。GBM 患 者には小児や70歳を超える高齢患者もいることに加え,Performance Status(以下,PS)が著し く低下しているため手術や化学療法の適応とならない患者も多く,GBM 患者の31.7%は化学 療法が実施されていない2)ことから,本邦でTMZ 等の既存の化学療法の対象となる GBM 患者 は700人程度と考えられる。また,国立がん研究センターが推計した「未承認薬・適応外使用 薬が有効ながん種の調査 2010.55)」によれば,悪性神経膠腫に対する本剤の適応外使用が必要 な国内患者数は最小で1,000人,最大3,000人と推定されており,悪性神経膠腫の内 GBM が占 める割合は63.2%2)と報告されていることから,この推計を用いても本剤が適用となるGBM 患 者数は600人~1,800人程度と極めて少ないと考えられる。 再発 GBM に関しても,本邦の患者数の推計値は存在しないが,日本脳腫瘍学会理事会が 2011年に実施した「本邦における再発膠芽腫治療の実態調査6)」(調査対象:384施設)で回答 が得られた145施設(回答率37.8%)では,2009年と2010年の2年間で合計1,387例の再発 GBM 患者を診療し,その内,薬物治療を行った患者は925例と報告されている。また,TMZ カプセ ルの全例調査(特定使用成績調査)では,2006年9月から2008年7月12日までの約2年間に507施 設から登録された悪性神経膠腫患者1,720例の内,再発例は792例であったと報告7)されている。 日本脳腫瘍学会理事会による実態調査で得られた再発 GBM 患者数は,TMZ の特定使用成績 調査とほぼ同程度であり,回答率37.8%の調査結果ではあるものの再発 GBM 患者の捕捉率と して信頼性が低いものではなく,再発 GBM で薬物療法の対象となる国内患者数は年間400~ 500例程度と考えられる。 (3) GBM の症状8) GBM をはじめとした悪性神経膠腫では,腫瘍がある程度以上の大きさになると脳浮腫が生 じ,頭蓋内圧亢進症状として頭痛・嘔気・嘔吐が発現する。腫瘍が発生する部位によっては, 腫瘍が小さくても水頭症を引き起こし,頭蓋内圧が極度に高くなると脳ヘルニアが生じて突然 の意識消失や呼吸停止等の重篤な状態を招く。脳浮腫抑制のために濃グリセリン・果糖やステ ロイドが投与されるが,ときには減圧のための開頭が必要になることもある。 これらに加えて,局所症状としては腫瘍部位の神経機能が障害されて脱落症状が発現し,運 動野の障害であれば強い運動麻痺が,感覚野であれば足,手,顔の感覚神経麻痺が生じる。言 語中枢の障害では運動性失語,感覚性失語を来し,視神経中枢である後頭葉の一側の障害によ り,その反対側の半盲を引き起こす。その他,腫瘍の発生部位により,左右の誤認,計算能力
アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
8
の低下,識字障害,記憶障害など種々の症状が出現し,日常生活に困難を来す。小脳の腫瘍で は真直ぐ歩けないといった歩行障害や手足の震えが出現し,水頭症も起こしやすい。脳幹の場 合には小さな病変でも四肢が麻痺を起こす。また,腫瘍内で出血を起こすことも報告されてい る。2.5.1.1.2 GBM に対する国内外の治療法
日 本 脳 神 経 外 科 学 会 脳 腫 瘍 全 国 統 計 委 員 会2)が 報 告 し て い る GBM 患者の治療前後のKarnofsky Performance Status(以下,KPS)の分布を図 2.5.1.1.2-1に示す。治療開始前に自他覚 症状があっても通常の活動が可能な患者(KPS ≥ 80%相当)は4割に満たず,既に死期が迫っ ている又は高度に活動が障害され入院が必要な患者(KPS ≤ 30%相当)が1割を占める。治療 後でも,KPS が良好な患者は増えておらず,本邦では GBM に対する有効な治療が存在しない ことを示している。
図 2.5.1.1.2-1 GBM 患者の Karnofsky Performance Status(KPS)
以下に,GBM に対する国内外の治療法を初発,再発別に記載する。
2.5.1.1.2.1
初発
GBM
(1) 手術・放射線療法 国内外ともに,初発 GBM に対する治療では可及的腫瘍摘出を目的とした手術が基本である が,GBM は浸潤性である上,脳の機能温存の観点からも病変部位を完全に摘出することが難 しいため,浸潤部には術後放射線治療が行われている。術後放射線治療の放射線量及び照射方 法は,腫瘍周辺部位を含む領域に対する総照射線量60 Gy(1回2 Gy × 30回/6週分割照射)程度 が標準療法であるが4),耐容線量まで放射線治療を行っても GBM の再発・増殖を防ぐことは 難しい。 (2) 化学療法 初発 GBM の術後放射線治療として,かつては放射線治療にカルムスチン(以下,BCNU), ロムスチン(以下,CCNU)やニムスチン(以下,ACNU)等のニトロソウレア剤,プロカル バジン(以下,PCZ),インターフェロン β(以下,IFN-β)を併用する治療が行われたが,放 射線治療単独と比較して有意な併用効果は認められなかった。1980年代に TMZ が開発され, 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 治療開始前 治療後 不明 正常。自他覚症状がない(KPS100相当) 通常の活動に努力が要る。中等度の自他覚症状があ る(KPS80相当) 自分の身の回りのことはできる。通常の活動や活動的 な作業はできない(KPS70相当) 時に介助が必要だが、自分のやりたいことの大部分は できる(KPS60相当) 活動にかなりの障害があり、特別なケアや介助が必要 (KPS40相当) 高度に活動が障害され、入院が必要。死が迫った状態 ではない(KPS30相当) 死が迫っており、死に至る経過が急速に進行している (KPS10相当) 回答なしアバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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GBM の初発例を対象とした第 III 相比較試験(EORTC26981試験)で,術後放射線療法に TMZ を併用することにより主要評価項目である OS の有意な延長効果(ハザード比:0.63,P < 0.001,OS 中央値:術後放射線療法群12.1カ月,TMZ 併用群14.6カ月)が示された9)ことから, 以後,術後放射線治療と TMZ の併用療法及び TMZ の維持投与を組み合わせた治療法が国内 外で標準治療となっている。なお,この時の PFS 中央値は,術後放射線療法群で5.0カ月, TMZ 併用群で6.9カ月と報告されている9)。 しかしながら,EORTC26981試験の長期追跡調査10)によると,術後放射線治療と TMZ の標 準治療後の生存率は依然として低い(2年生存率:27.2%,3年生存率:16.0%,4年生存率: 12.1%)。TMZ 併用群の1年無増悪生存率は26.9%9),2年無増悪生存率は11.2%10)と報告されて いることからわかるように,再発率は高く,TMZ 併用群の再発後の OS 中央値は6.2カ月と予 後は極めて不良である10)。また,腫瘍細胞内の DNA 修復酵素の1つである Ο6-methylguanine-DNA-methyltransferase(MGMT)遺伝子プロモーター領域の非メチル化症例ではメチル化症例 に比較して TMZ の効果は低く,初発時に TMZ を用いた標準療法を行っても2年生存率は 14.8%,OS 中央値は12.6カ月(対照群 MGMT 非メチル化例ではそれぞれ1.8%,11.8カ月)に 過ぎず,TMZ による治療の問題点の1つとされている10)。 なお,TMZ の臨床開発では,GBM を対象にした国内臨床試験は実施されなかったため,本 邦では GBM のプロスペクティブな試験成績は存在していない。Wakabayashi ら11)は,2011年 に発表した初発又は再発悪性神経膠腫に対する TMZ と IFN-β の併用療法の第 I 相臨床試験(INTEGRA Phase I study)の論文中で,初発 GBM 患者68例を対象としてレトロスペクティブ な解析を行った結果,57.4%の患者で TMZ と IFN-β が用いられ,術後放射線療法に TMZ のみ を併用した患者のOS 中央値は12.7カ月であったと報告している。EORTC26981試験の TMZ 群 のOS 中央値は14.6カ月であったこと10)から,初発GBM に対する TMZ を含む標準治療の成績 は,本邦と欧米でほぼ同程度と推察される。 また,悪性神経膠腫に対して,2012年9月にカルムスチン脳内留置用剤が承認されている。
2.5.1.1.2.2
再発
GBM
再発GBM に対しては,PS が著しく低下している場合には緩和ケア(以下,BSC)を行うが, そうでない場合には積極的な治療が試みられる。すなわち,可能である場合は再手術や再度放 射線治療が選択され,完全切除が困難で,既に耐容線量に達している多くの場合には,サルベ ージ療法として全身化学療法が行われる。しかしながら,TMZ の150 mg/m2 5日連続/23日休薬 単剤投与を含め,延命効果の検証試験は実施されておらず,再発 GBM に対する標準療法は, 国内外のいずれでも存在していない4),12)。 以下に,再発GBM の国内外治療状況を TMZ と TMZ 以外の薬剤別に記載する。なお,国内 での各薬剤の使用頻度は,日本脳腫瘍学会が2011年に実施した「本邦における再発膠芽腫治療 の実態調査6)」(2.5.1.1.1(2) 項参照)に基づき記載した。 (1) TMZ 1) 150 mg/m2 5日連続/23日休薬投与(国内外既承認用法・用量) 再発GBM に対して最も高い有効性を示した既存の治療法は,TMZ の150 mg/m2 5日連続/23 日休薬投与である。Yung ら13)によるPCZ との第 II 相無作為化比較試験で,主要評価項目であ る%6mo-PFS は PCZ 群の8%に対し TMZ 群では21%(P = 0.008)と有意な改善を示した。また, 副次的評価項目である PFS 中央値でも PCZ 群の8.32週に対し TMZ 群では12.4週,6カ月生存 率では PCZ 群の44%に対し TMZ 群では60%と優れた成績を示したことから,本邦を含む多く の国々で再発GBM に対する承認用法・用量となっている。なお,本試験では有意な OS 延長は 認められなかった(OS 中央値:PCZ 群5.82カ月,TMZ 群7.34カ月,P = 0.337)14)。 本邦では再発 GBM を対象にした TMZ のプロスペクティブ試験は実施されていないが,AA の初回再発患者を対象にした国内第 II 相臨床試験が実施され,悪性神経膠腫の再発時の治療アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
10
法として,TMZ の150 mg/m2 5日連続/23日休薬投与が承認されている。AA 初回再発例に対す る TMZ の効果は,国内と海外でほぼ同じ又は本邦の成績がやや劣る程度であったため,日本 人再発GBM に対する TMZ の有効性も海外試験の成績と大きく変わらないと推察される。 なお,Yung らの試験は初発 GBM を対象にした EORTC26981試験の前に実施されたため, TMZ による前治療歴のある再発 GBM 患者は試験対象に含まれていない。初発時に TMZ によ る治療を受けた再発 GBM 患者に対しては,初発時の維持投与期間中と同じ用法・用量の TMZ を投与しても効果は期待し難いと考えられている。実際,EORTC26981試験で初発時に TMZ による治療を受けた患者の再発後の OS 中央値は6.2カ月と報告10)されており,Yung らの 報告13),14)より1カ月ほど短く,PCZ 単独投与群の成績に近かった。しかしながら,日本脳腫瘍 学会の調査結果6)では,1,185例(85.4%)が初発時に TMZ の治療を受け,再発時に薬物療法を 受けた925例の内,48.2%の患者で TMZ の150 mg/m2 5日連続/23日休薬投与が,17.4%で TMZ と IFN-β の併用が行われたと報告されている。このことから,初発時に TMZ による治療を受 けた患者に対して,再発後もTMZ 治療を継続せざるを得ないのが現状と考えられる。2) Dose intense 及び metronomic 投与(国内外未承認用法・用量)
上述のように,初発時にTMZ が投与された患者に対して,同じ用法・用量で再発時に TMZ を投与しても有効性が期待できないと考えられることから,現在,TMZ の再投与時には投与 量や投与期間を変更した様々な治療法(150 mg/m2 7日連続/7日休薬,75 mg/m2又は100 mg/m2 3 週連続/1週休薬,40又は50 mg/m2/日持続投与等)が試みられ,有効性を示唆する治療成績が欧 米で複数報告されている15),16)。 しかしながら,統一された用法・用量はなく,治療成績も様々であるため,欧米でも標準療 法とはされていない。米国のように公的保険償還の対象としている国もあるが,本邦では TMZ の変法は承認用法・用量外の投与法であるため,医療現場で広く使用できない状況にあ り,日本脳腫瘍学会の調査結果6)でも,その割合は薬物治療を受けた患者の3.5%に過ぎなかっ たと報告されている。 (2) TMZ 以外の薬剤 TMZ 以外に,本邦で GBM 又は悪性神経膠腫に対する承認を取得して,現在も臨床的に使用 される可能性がある薬剤は,1970~80年代に承認された薬剤,「抗がん剤併用療法に関する検 討会」で取り上げられて効能追加されたPCZ + ACNU + ビンクリスチン併用療法(以下,PAV 療法)である4)。なお,海外では ACNU に代わって CCNU が単剤や併用療法で用いられるこ ともあるが,本邦では未承認である。また,本邦でも海外でも未承認であるが TMZ とシスプ ラチンの併用療法やイホスファミド,カルボプラチン,エトポシドを組み合わせた化学療法 (以下,ICE)も本邦では試みられている4)。 しかしながら,これらの薬剤の有効性は,初発時に TMZ を含む標準療法を受けていない再
発GBM 患者や,GBM より予後の良い AA 等の WHO Grade III を対象にした試験,又は対象
として AA を多く含んだ試験で検討されたものがほとんどであり,TMZ 治療後の再発 GBM に対しこれらの治療が有効であるかは十分に確認されていない。 以下に,TMZ 治療後の再発 GBM 患者を対象とした成績が報告されている ACNU 及びシク ロホスファミドの成績,並びに近年の新規分子標的治療薬の開発状況を記載する。 1) ACNU TMZ による治療歴のある GBM 患者を対象として,ACNU の有効性が検討された臨床試験は ないが,Happold ら17)は,ACNU の単独又は併用療法を受けた TMZ 既治療再発 GBM 患者32例 を対象としたレトロスペクティブな解析結果を報告している。その有効性成績は,%6mo-PFS が20%,1年生存率が26%,OS 中央値が6.7カ月,奏効率が6%であり,Grade 3又は4の白血球減 少と血小板減少がそれぞれ38%及び29%に認められ,32例中7例(22%)で有害事象により治療
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が中止されたことから,ACNU は再発時の第一選択薬として推奨されないと結論付けている。 本邦では,再発 GBM に対して ACNU 単剤又は PAV 療法として使用できる承認効能・効果 を有しているが,日本脳腫瘍学会の調査6)では,ACNU 又は PAV 療法を受けた患者の割合は薬 物治療を受けた患者の3.1%に過ぎなかったと報告されている。 2) シクロホスファミド Chamberlain ら18)は,初発時の治療又はサルベージ療法として TMZ が投与された再発 GBM 患者40例を対象として,シクロホスファミドを単剤投与する第 II 相臨床試験の結果を報告し ている。その結果,毒性は許容可能な範囲と考えられるものの,主要評価項目の%6mo-PFS が 20%,副次的評価項目の1年生存率が2.5%で,Time to progression 中央値が2カ月,OS 中央値が4カ月と,Wong ら19)により報告されている成績から設定した閾値%6mo-PFS(20%)を超える ことはできなかったと報告している。 本邦では,日本脳腫瘍学会の調査6)でシクロホスファミドの使用頻度は報告されておらず, 「その他化学療法」(薬物治療を受けた患者の1.7%)に含まれているか,使用例がいなかっ たものと推察される。 3) 新規分子標的治療薬 欧米では再発 GBM に対して本剤以外の新規分子標的治療薬(エルロチニブ,イマチニブ, パゾパニブ,テムシロリムス,エベロリムス,セディラニブ等)を用いた臨床試験が実施され ているが,有効性が確立されたとの報告はない。本邦では,日本脳腫瘍学会の調査6)でこれら の分子標的治療薬別の使用頻度は報告されていない。なお,同調査では,薬物治療を受けた患 者の内,本剤が使用された患者は6.7%,治験中の治療用ワクチン WT-1が7.5%,その他新規治 療が2.2%と報告されているほか,適応外使用に該当する ICE,プラチナ製剤がそれぞれ5.0%, 4.3%に用いられており,約3割の患者が国内未承認・適応外薬による治療を受けざるを得ない 状況にあると推察される。
2.5.1.2
臨床開発計画
2.5.1.2.1
臨床開発の経緯
悪性神経膠腫を対象とした本剤の最初の臨床試験成績は,Stark-Vance ら20)により2005年に報 告された。Stark-Vance らは,再発神経膠腫にイリノテカン塩酸塩水和物(以下,CPT-11)を 単独投与した第 II 相臨床試験で59例中4例に腫瘍の縮小が認められたこと,神経膠腫患者では VEGF が高発現していること21),結腸・直腸癌の臨床試験で本剤とCPT-11併用の有用性が示さ れたことから,本剤を CPT-11に併用することにより,腫瘍縮小効果の増強が期待できると考 え,本剤と CPT-11との併用による第 II 相臨床試験を実施した。本試験では,11例の GBM を 含む21例の再発悪性神経膠腫の患者が登録され,本剤と CPT-11の併用投与により完全奏効 (以下,CR)1例,部分奏効(以下,PR)8例,病勢安定(以下,SD)11例との成績が得られ た。この報告以降,CPT-11との併用を中心に,多数の本剤の臨床研究が行われるようになった。 以下に,米国と欧州での本剤の臨床開発の経緯と海外での承認状況,並びに国内臨床開発の 経緯を記載する。2.5.1.2.1.1
米国での臨床開発の経緯
(1) AVF3708g 試験の実施 Genentech 社は,FDA から本剤による悪性神経膠腫の治療に関するオーファン・ドラッグ指 定を2006年5月26日付で受け,同年6月末から再発 GBM を対象とした第 II 相臨床試験(AVF3708g 試験,試験簡略名:BRAIN 試験)を開始した。AVF3708g 試験は,放射線療法と TMZ による治療歴を有する再発 GBM 患者を対象に,本剤単独群(以下,BV 群)及び本剤 +
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CPT-11併用群(以下,BV + CPT-11群)の2群の有効性をそれぞれヒストリカルコントロールと 比較することを目的とした第II 相無作為化非盲検2群並行非対照試験である。 試験の結果,表 2.5.1.2.1.1-1に示すように,サルベージ療法のヒストリカルデータから設定 した閾値に比べて高い%6mo-PFS と奏効率が得られ22),本剤は単剤,CPT-11との併用のいずれ でも,再発 GBM に対して高い有効性が期待されると考えられた。なお,本剤は CPT-11との 併用により%6mo-PFS,奏効率及び PFS の成績がやや高くなるものの,奏効期間や OS では本 剤単剤の方が良好であり,本剤に CPT-11を併用することによる有効性の上乗せ効果は明らか ではなかった。また,CPT-11併用では単剤と比べて毒性が高くなることから,CPT-11併用の 必要性は高くないと考えられた。 表 2.5.1.2.1.1-1 AVF3708g 試験の有効性成績 BV 群 BV + CPT-11群 有効性解析対象例 85 82 主要評価 項目 %6mo-PFS(97.5%CI) P 値 a 42.6%(29.6, 55.5) P < 0.0001 50.3%(36.8, 63.9) P < 0.0001 奏効率(97.5%CI) P 値 b 28.2%(18.5, 40.3) P < 0.0001 37.8%(26.5, 50.8) P < 0.0001 副次的 評価項目 奏効期間中央値(95%CI) 5.6カ月(3.0, 5.8) 4.3カ月(4.2, –) PFS 中央値(95%CI) 4.2カ月(2.9, 5.8) 5.6カ月(4.4, 6.2) OS 中央値(95%CI)c 9.2カ月(8.2, 10.7) 8.7カ月(7.8, 10.9) a 閾値%6mo-PFS:両群15%,期待値%6mo-PFS:BV 群28%,BV + CPT-11群30% b 閾値奏効率:BV 群5%,BV + CPT-11群10%,期待奏効率:BV 群18%,BV + CPT-11群25% c データカットオフ:2007年11月22) [表 2.7.3.2.1-1(再発)を改変](2) FDA からの助言(Type B Meeting)
Genentech 社は,AVF3708g 試験成績を用いた Accelerated approval の申請の可能性を相談する
ため,2008年1月及び9月に FDA と面談し,FDA から以下の助言を得た23)。 2006年1月に FDA が開催した脳腫瘍の臨床評価のためのエンドポイントに関するワークシ ョップで,GBM のサロゲートエンドポイントに関するコンセンサスは得られなかったが, AVF3708g 試験の本剤単独投与群で,臨床的意義があり,かつ持続的な客観的奏効を示す 証拠(高い奏効率と奏効期間)が得られたとのエビデンスに基づく Accelerated approval は可能と考える。
NCI の Dr. Howard Fine が実施した本剤単独投与による単群試験(NCI-06-C-0064E 試験:
2006年1月開始)のデータ24)をSupportive data として申請資料中に含める必要がある。
Accelerated approval の 場 合 , 臨 床 的 ベ ネ フ ィ ッ ト を 確 認 す る た め の Post Marketing
Commitment の試験デザインを提出する必要があり,FDA が承認の可否を決する時点で当 該試験が開始されている必要がある(2.5.1.2.1.1(5) 項に後述)。
(3) 承認申請
Genentech 社は,上記 FDA との面談で申請資料の内容及び承認後に実施する臨床試験 (2.5.1.2.1.1(5) 項に後述)のデザインについて協議,合意し,AVF3708g 試験を Pivotal data, NCI-06-C-0064E 試験を Supportive data として,米国で再発 GBM に関する効能追加申請を2008 年10月31日に行った。本申請では,(1) 項に記載したように,本剤と CPT-11併用の必要性は 高くないと考えられたことから,本剤10 mg/kg の2週間間隔投与(以下,10 mg/kg/2週)の単 独投与を申請用法・用量とした。
なお,NCI-06-C-0064E 試験では,Genentech 社と NCI との間に Cooperative Research and Development Agreement(CRADA)等の開発契約は締結されておらず,薬剤も市販薬が使用さ
れているが,上記の FDA の助言を受けて,データの提供について NCI と協議した。その結果,
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(MRI 画像含む)等の情報の提供を受けることとし,奏効率及び奏効期間を評価項目として (プロトコールで規定された主要評価項目は%6mo-PFS),Independent Radiology Facility(以 下,IRF)が AVF3708g 試験と同じ判定基準を用いて有効性を評価し,その結果を Genentech 社が報告書(5.3.5.2-3)にまとめて提出した。
(4) FDA による審査及び ODAC の結果
FDA は AVF3708g 試験及び NCI-06-C-0064E 試験を用いた審査上の問題点として,以下の点 を挙げた23),25)。 GBM は前治療(外科切除,放射線治療)の影響や腫瘍の浸潤性が高いことにより不規則 な形状を取ることが多く,MRI による腫瘍径測定結果に評価者間・評価者内の差が出やす いこと。 本剤の血管透過性正常化作用により脳浮腫の改善,放射線壊死の抑制が起き,抗腫瘍効 果に由来しない画像上の変化やステロイド使用量の減少がもたらされる可能性があるた め,奏効率による臨床評価が難しいこと。 比較対照群が設定されておらず生存への寄与が確認できていないこと。
FDA はこれらの問題点を審査過程で Oncologic Drugs Advisory Committee(以下,ODAC)の
委員に説明し,更に,神経放射線科医の特別公務員を指名して AVF3708g 試験の MRI 画像を
別途評価した。その評価結果を用い,イベントの発生時期による打ち切りを行わず,かつ6カ 月の定義を24週ではなく26週として無増悪生存率を算出した結果,表 2.5.1.2.1.1-2に示すよう に,奏効率は25.9%,奏効期間中央値は4.2カ月,%6mo-PFS は36.0%と,Genentech 社が報告し
た成績より低い値となったことを報告した23),25)。
表 2.5.1.2.1.1-2 AVF3708g 試験の BV 群の有効性成績(IRF 評価及び FDA による評価)
IRF 評価 FDA による評価23) 奏効率(97.5%CI) P 値 28.2%(18.5-40.3%) P<0.0001 25.9%(15.9-37.8%) %6mo-PFS(97.5%CI) 42.6%(29.6-55.5%)a 36.0%(24.0-48.0%)b 奏効期間中央値(95%CI) 5.6カ月(3.0-5.8カ月) 4.2カ月(3.0-5.7カ月) a BV の最終投与から42日以上経過してイベントが発生した患者は,最終投与日 + 42日より前の最終 MRI 評価日で打 ち切りとした。 b 本剤最終投与42日以降に発現したイベントも含め,1カ月を30.3475日(1年 = 12カ月 = 365.25日)として正確に6カ 月時点の%6mo-PFS を求めた。 その上で,FDA は,MRI により測定された腫瘍縮小効果が血管新生抑制作用を有する本剤 の評価に妥当であるか,サロゲートエンドポイントとして提示された奏効率が十分な臨床的意 義を有しているか等を ODAC の出席委員に質問した。これに対し,委員全員が以下に示すよ うな理由から,AVF3708g 試験及び NCI-06-C-0064E 試験で得られた奏効率は,再発 GBM に対 するAccelerated approval に必要な臨床的ベネフィットを示唆する適切なサロゲートエンドポイ ント,すなわち,臨床的に意義のあるものと考えられることから,追加試験を要することなく 本剤を承認すべきと回答し26),上述の3つの問題点を考慮しても,再発 GBM に対する本剤の 有用性は十分に確認されていると考えられると結論した。 本剤がステロイドと同様の作用により効果を発揮しているとしても,本剤はステロイド よりはるかに副作用が少なく,ステロイドでは得られないほどの効果を示しており,本 剤により多くの患者の日常生活が改善されることは明らかである。 高用量のステロイド投与が患者の生活の質(以下,QOL)を低下させるのは明らかで, 本剤投与を受けた患者でステロイド投与量が減ることは実に意味のある『改善』である。 本剤のベネフィットは明らかにリスクを上回っており,脳腫瘍では病勢が安定するだけ
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でも大きな意義があり,患者が本剤を使用できるようにすべきである。 例え本治験の結果からは延命効果が確認されていなくても,画像変化は QOL の改善を反 映しており,本剤は承認されるべきと考える。 本剤の有用性は,標準的で統計学的にバリデートされた追加試験で確認されるが,治療 オプションが限られた本疾患に本剤は利益をもたらしている。奏効率,%6mo-PFS,ステ ロイド使用量のすべてで改善を示唆しており,全く別に実施された NCI-06-C-0064E 試験 でも同様の結論が得られていることを無視することはできない。 副作用が著しい場合には,サロゲートエンドポイントの妥当性はリスク・ベネフィット の評価の上で問題となるが,本剤は副作用面でも,GBM の合併症や生存期間の面でもこ れらを悪化させているというデータはなく,リスク・ベネフィットは大変良好であると 考えられ,比較試験をしても既存試験以上の価値のある結果は得られないと考えられる。 延命効果を確認するには第 III 相比較試験の結果を待つ必要があるかもしれないが,過去 20年間のヒストリカルコントロールと本剤の成績は明らかに異なっており,ヒストリカ ルコントロールとの比較は評価上の問題にならない。 この結果を踏まえ,FDA は2009年5月5日付で,再発 GBM に対する本剤単剤療法を承認した。 なお,ODAC では患者本人,患者家族及び患者団体からの発表として,以下のように治験以 外での使用経験も含めて,本剤の投与により QOL が著しく改善した患者の事例が紹介された 26)。 前頭葉からの腫瘍摘出術後に認知機能が阻害され,意識消失を繰り返し,余命14カ月と の診断を受けて3カ月間放射線化学療法を受けたが腫瘍は縮小せず,周囲の人や生活に無 関心になり,日常生活は人に依存するようになっていた。本剤による治療開始後に症状 が劇的に改善し,家族と一緒に休日を楽しみ,娘の結婚式の準備ができるようにまで回 復した。 4回の手術と化学療法,放射線療法を受けた後,本剤と経口化学療法剤の併用療法を開始 し,末梢神経障害が重症化したため,経口化学療法を中止し,本剤単独投与に変更した。 7カ月間腫瘍の増悪がみられなかったが,本剤投与中止後2カ月で再発,再度化学療法剤 を追加して本剤の投与を開始したところSD となった。3週間の間隔で2回のマラソンを完 走できるほど体力は劇的に回復した。 3回の手術と TMZ 投与,2回の放射線療法,TMZ の再投与後に本剤投与を開始したところ, 認知機能が通常レベルに回復し,ステロイドの投与量も漸減して最終的には離脱できた。 その後死亡の転帰をたどったが,それまでに通学,運転やライフガードのアルバイトが 再開可能になり,高いレベルで機能が保持されていた。 低悪性度脳腫瘍の診断を受けた9年後に GBM に移行し,3回の手術と標準治療,ガンマナ イフ,TMZ,高用量の化学療法,骨髄移植,数種の化学療法を受けたが症状悪化がみら れ,余命は長くないとの診断を受けた。本剤投与開始後,数週間で症状の著明な改善を 認め,再び活発さを取り戻した。腫瘍も短期間で著しく縮小し,QOL が改善したが,本 剤は脳腫瘍に対して未承認であったため保険償還に問題を生じ,使用を中止した後死亡 した。 TMZ と放射線療法による標準療法施行後,他剤の治験に参加したが効果が得られず,食 事も睡眠も歩行も困難となり,排泄にも介助が必要となって余命1カ月と診断された。本 剤投与開始後,体重が回復し,睡眠や運動も可能になった。約1年後に亡くなったが,家 族や友人と過ごしたり,旅行したり,かけがえのない1年を送ることができた。アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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(5) Post Marketing Commitment(初発 GBM を対象とした第 III 相臨床試験)
再 発 GBM に 対 す る 本 剤 の 有 効 性 を 示 唆 す る 臨 床 報 告 が 複 数 得 ら れ た こ と か ら , F.
Hoffmann-La Roche 社(以下,Roche 社)は初発 GBM にも本剤の有効性が期待できると考え,
初発 GBM 患者に対する標準療法(放射線療法と TMZ による術後補助療法)に本剤を上乗せ
した時の有効性の検証を目的とする国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較試験(BO21990試
験,試験簡略名:AVAglio 試験,目標例数920例)を計画し,実施した。本試験の登録は2009 年 月から開始され,23カ国120施設から921例の登録があった。
本試験は,上述の再発 GBM に対する Accelerated approval による承認時の Post-Marketing
Study Commitment として指定されており,本試験の計画段階(2008年9月)で Roche 社は
Genentech 社とともに FDA と面談し23),プロトコールについて協議の上,本試験を開始した。
Genentech 社は,本試験の最終試験成績を FDA に提出することが義務付けられている。
(6) Post Marketing Commitment47)(小児再発GBM に関する治療成績)
再発GBM 承認時に,Genentech 社は FDA から2009年9月30日までに小児 GBM 患者における 本剤の使用経験を報告書にまとめ提出するよう,指示を受けた。その後,Genentech 社は8例の 小児再発 GBM 患者に対して本剤と CPT-11の併用療法行ったものの,抗腫瘍効果が認められ なかったことを報告し28),2011年2月8日付で再発 GBM の効能が再発の成人 GBM に変更され た。
2.5.1.2.1.2
欧州での臨床開発の経緯
(1) 再発 GBM に係わる承認申請 Roche 社は,神経膠腫に対する米国外での開発権を Genentech 社より 年 月に取得し, AVF3708g 試験の成績及び NCI-06-C-0064E 試験の投稿論文,既治療再発悪性神経膠腫患者に 対する本剤とCPT-11の併用療法のレトロスペクティブ試験(BI-Brain 01試験30))の投稿論文原 稿等,多数の公表論文を加えた申請資料を用い,EU 当局に対し2008年12月12日に再発 GBM の効能追加申請を行った。 (2) CHMP の見解 2009年11月19日に開催された CHMP November Meeting で,以下に示す理由から,申請され た資料を以って承認することはできないとの勧告が出された31),32)。 AVF3708g 試験等の結果から,本剤は GBM に対し効果を有し,更なる検討を行うに足る 薬剤であると考えられるが,劇的な効果とまでは言えず,また現時点では,奏効率は再 発GBM に対する OS や臨床的ベネフィットのサロゲートエンドポイントとして確立され ているとは言い難い。 OS や PFS は対照群なしでは評価が難しい。今回報告されたヒストリカルコントロールと の差から,本剤は有望な薬剤である可能性があるが,直接比較試験なしで有効性が確立 したとは言えないと考える。なお,一部のCHMP メンバーからは,予後が悪く Unmet medical needs が高い疾患であるこ
とを考慮すれば,奏効率約30%,%6mo-PFS 約40%,OS 約9カ月との成績は,再発 GBM 患者 に対する臨床的ベネフィットの十分な証拠と考えられ,本剤の有効性を示唆するエビデンスが 十分であることから,無作為化比較試験を実施するのは困難であるとする申請者の主張は妥当 と考えるとの意見が出されたが,多数を占めるに至らなかった。 Roche 社は,欧米以外の地域を含めた国際共同治験の可能性も含め検討したが,本剤の再発 GBM に対する有効性は既に複数の臨床試験成績から明らかにされており,第 III 相比較試験は 倫理的に受け入れられないと考える医師が多く,CHMP の求める比較試験の実施は困難と判 断し,その旨を回答したため,2010年に承認不可が確定した。
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また,小児再発悪性神経膠腫の治療成績について2010年7月に Roche 社は EMA に対し Paediatric Investigation Plan(PIP)の案を提出したところ,EMA の Paediatric Committee(PDCO)
から,2010年に公表された2つの論文28),29)より,本剤は3歳以上の小児の再発悪性神経膠腫患者 に対して有効性が認められないと考えられるため,小児再発悪性神経膠腫での開発は不要であ るが,この情報を EU 製品特性概要(以下,SmPC)に反映すべきと考えるとの助言があった。 これに従い Roche 社は2011年9月に SmPC 改訂の申請を行った。2012年2月に CHMP が開催さ れ,SmPC の4.2章(用法・用量に関する記載の項)には3~18歳未満の小児再発又は進行悪性 神経膠腫患者に本剤を投与すべきではない旨を記載し,5.1章(臨床成績に関する記載の項) には2つの試験のエンドポイント等も記載すべきとの見解が示された。2012年3月に,小児再発 又は進行悪性神経膠腫患者に本剤を投与しない旨と,小児を対象とした2試験の成績の SmPC への追記が正式承認された27)。
2.5.1.2.1.3
海外での本剤の承認状況等
以上のように,本剤は,FDA から2009年5月5日付で10 mg/kg 2週間間隔単独投与による再発 GBM に対する効能追加の Accelerated approval を取得した。有効な治療法が存在しない再発 GBM に対して極めて良好な%6mo-PFS,奏効率及び奏効期間をもたらしたことから,本剤の 単独療法又は化学療法(CPT-11,BCNU/CCNU 又は TMZ)との併用療法は,NCCN ガイドラ イン(V.1.2013)12)でGBM,Anaplastic Glioma の再発時の治療又はサルベージ療法として推奨 され,米国の公的保険の償還対象とされている。また,米国以外にも,スイス,カナダ,オー ストラリア,ロシア,インド,韓国,香港,台湾等多くの国々で,AVF3708g 試験の成績に基 づき,本剤の再発GBM に対する効能追加が承認されている(1.6項参照)。 EU では,2.5.1.2.1.2項で述べたとおり不承認となったが,フランスでは神経腫瘍学会からの 要望,デンマークではコペンハーゲン大学病院の治療ガイドラインに基づき,再発 GBM 等に 対しても本剤の使用が認められ,保険償還を受けられるなど,EU 域内でもローカル・ルール に基づき公的保険下で本剤を再発 GBM に使用できる国々や,ドイツ,スペインのように施設 単位で保険適用下での本剤の使用が認められている国々も出てきている。 年に行われたマ ーケットリサーチ(Roche 社社内資料)の結果,再発 GBM に本剤を含む化学療法が行われた 患者の割合はアメリカで %,スイスで %,フランスで %との情報が得られており,実臨 床で使用可能な場合は,かなり多くの患者で本剤が使われていると考えられる。 なお,本剤について現時点で初発 GBM の効能で承認されている国はないが,BO21990試験 の成績が良好であったことから,EU においては申請中である。2.5.1.2.1.4
国内臨床開発の経緯
(1) 国内第 II 相臨床試験(JO22506試験)の実施 GBM の国内新規患者数は年間1,000人程度と少数であり,臨床試験の実施条件は厳しいが, 有効な治療法がない再発患者の予後は不良であり,新規治療薬開発の医療ニーズは非常に高い。 このことから, 年 月に Roche 社が Genentech 社より神経膠腫に対する米国外での開発権 を取得し,本邦での同効能での開発が可能になった時点で,申請者は直ちに開発計画の検討を 開始し,Roche 社が計画中の初発 GBM を対象とした国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較 試験(BO21990試験)に本邦からも参画することを決定した。しかしながら,本邦の複数の専 門医(脳神経外科医)から,「本剤は再発 GBM に対して高い有効性と安全性を有しているこ とがAVF3708g 試験等の複数の試験により報告されており,標準治療といえる有効な薬剤がな く,初発例に比べ更に予後が悪い重篤疾患である再発 GBM に対する本剤の効能追加がより早 期に行われるべき」との要望を受け,再発 GBM に対する効能追加申請を初発例の申請に先行 して行うことが必要と考えた。そこで,BO21990試験への参画と並行して,再発 GBM を対象 に日本人の有効性,安全性を検討する国内第 II 相臨床試験(JO22506試験)を計画し実施する こととした。アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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再発 GBM 患者を対象とした臨床試験を国内で実施するにあたり,治験相談( 年 月
日実施,相談区分:医薬品後期第 II 相試験開始前相談:1.13.2-1項参照)を行い,機構からの
助言を受け,国内第II 相試験の試験対象には,再発後の病理診断で WHO Grade III であること
が確認された患者も含めることとした。また,CPT-11単独の臨床的な有用性は確認されておら ず,AVF3708g 試験の結果から本剤と CPT-11の併用投与では副作用リスク増大を上回るベネフ ィットが得られないと考えたことから,本剤単剤で開発することとした。主要評価項目は,以 下に示した理由により%6mo-PFS を設定した。 本剤投与開始から6カ月時点での病勢進行の有無に基づく%6mo-PFS では,本剤の血管透 過性低下作用に基づく脳浮腫の改善を腫瘍縮小とみなしてしまうリスクが奏効率に比べ 少なく,再発GBM のように急速に悪化する予後不良な疾患では,持続的な奏効及び病勢 安定のエビデンスになり得ると考えたこと。 PFS は病変観察の間隔や病変悪化までの期間の計算方法等に影響を受ける指標であるため, 同時比較対照がない単群試験での評価には適していないとの指摘もあるが,%6mo-PFS の ように病変観察間隔を合わせて,第三者(独立評価委員会等)がMacdonald らの基準等の 同一の基準を用いて判定することで,他試験との比較も含めた有効性の検討は可能であ ると考えたこと。 %6mo-PFS は,再発 GBM に対する全身療法の第 II 相臨床試験のメタアナリシスの結果か ら生存率に強い相関があることが示されており33),34),%6mo-PFS の著明な改善は,臨床的 な有益性を予測する適切なサロゲートエンドポイントとみなすことができるとの報告が あること19)。
なお,2.5.1.1.1(1) 項に記載したように,脳腫瘍の WHO 分類の Grade III と Grade IV では生 存期間が大きく異なるため,このような患者集団を纏めてヒストリカルコントロールと比較, 評価することは困難であること,Grade III の患者は Grade IV に比べて例数が少なく,Grade III
のみでの評価は困難であることから,主要評価項目は Grade III の患者を除いた GBM 患者 の%6mo-PFS とした。 本試験は2009年7月に開始し,31例が登録され,主要評価項目である%6mo-PFS が評価可能 となった時点(登録31例目の最終観察終了時点:2011年1月)でカットオフして成績を纏めた。 その結果,本剤の忍容性は高く,1年を超えて病勢進行が抑えられ復学・復職する患者がみられ るなど AVF3708g 試験と同様に優れた有効性を示す結果が得られ,本剤の高い有用性が確認さ れた。 (2) 未承認薬・適応外薬検討会議への開発要望書提出状況及び希少疾病用医薬品の指定 2.5.1.1.2項に記載したように,TMZ 治療後の再発 GBM に対して有効な薬剤が存在していな いため,各施設で様々な治療法が試みられているものの,標準的な治療法は確立していない。 本剤は,海外の複数の第II 相臨床試験で再発 GBM に対する高い有効性が報告されたことに基 づき,米国,スイス,カナダ,オーストラリアをはじめ多くの国々で承認されていることから, 本邦でも本剤を個人輸入し,適応外で使用している事例が増えている。国内でもニーズが高い ということは,本剤の国内治験(JO22506試験)は10施設31例を対象として実施されたのに対 し,日本脳腫瘍学会の「本邦における再発膠芽腫治療の実態調査6)」(2009年と2010年の2年間) で21施設62例に本剤が投与されたと報告されていることからも確認できる。 このような状況を踏まえ,医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の第2回開発要望募集 で,本剤に関し日本脳腫瘍学会から「再発悪性神経膠腫」,日本臨床腫瘍学会から「膠芽腫に対 する化学療法(再発・再燃神経膠芽腫)」に対する効能追加について開発要望書が提出されて いる。 また,本剤は2012年9月13日付で「膠芽腫」を予定効能・効果として希少疾病用医薬品の指
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定を受けている[指定番号(24薬) 第283号]。 (3) 国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較試験(BO21990試験)への参画 前述のとおり, 年 月に Roche 社が Genentech 社より神経膠腫に対する米国外での開発 権を取得し本邦での同効能での開発が可能になった時点で,申請者は直ちに開発計画の検討を 開始し,Roche 社が計画中の初発 GBM を対象とした国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較 試験(BO21990試験)に本邦からも参画することを決定した。本邦では8施設が参加し, 年 月に試験を開始し,44例が登録された。PFS 最終解析データカットオフ時点(2012年3月31 日)での,日本人症例における PFS は,試験全体の成績と同様の傾向であった。また,日本 人症例の安全性についても,試験全体の成績と比べて有害事象の発現頻度,安全性プロファイ ルに大きな差異はなかった。 以上を踏まえ,申請者は新たな治療法を国内に速やかに導入するために,速やかな承認申請 が必要と判断し,2.5.1.2.2項に示すデータパッケージで承認申請を行うこととした。アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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2.5.1.2.2
申請データパッケージ
今回の承認申請に用いた臨床試験の一覧を表 2.5.1.2.2-1に示す。本申請では,初発 GBM を
対象に Roche 社が実施した BO21990試験(第 III 相,試験簡略名:AVAglio 試験),再発
GBM を対象に Genentech 社が実施した AVF3708g 試験(第 II 相,試験簡略名:BRAIN 試験)
及び再発悪性神経膠腫を対象に中外製薬株式会社が実施した JO22506試験(第 II 相)を評価
資料とし,NCI が実施した NCI-06-C-0064E 試験(第 II 相)の有効性成績(再発 GBM 患者 56例を AVF3708g 試験と同じ基準で IRF が判定した成績)を参考資料とした。また, Genentech 社が ODAC に提出した Briefing Book も有効性評価の参考資料として用いた。
表 2.5.1.2.2-1 今回の承認申請に用いた臨床試験の一覧 <再発GBM> 地 域 試験番号 (略名) (依頼者) 相 試験デ ザイン 対象 治療群 例数 主要評価 項目 CTD 番号a <資料 区分> 海 外 AVF3708g (BRAIN) II (Genentech) 無作為化 2群並行 非対照 放射線療法と TMZ に よ る 治 療 歴 を 有 す る 初 回 再 発 又 は 二 次 再 発のGBM 患者 BV 群 b BV + CPT-11群 c 167 奏効率 %6mo-PFS 5.3.5.2-1 <評価> NCI-06-C-0064E (NCI) II 単群 放 射 線 治 療 歴 を 有 す るGrade III 又は IV の 頭 蓋 内 悪 性 神 経 膠 腫 (GBM , AA , AO 等)の再発例 BV 群 d 56 e 奏効期間奏効率 e 5.3.5.2-3 <参考> 国内 JO22506 (中外) II 単群 放射線療法と TMZ に よる治療歴を有する初 回再発又は二次再発の 悪性神経膠腫患者 BV 群 d 31 f %6mo-PFS 5.3.5.2-2 <評価> TMZ:テモゾロミド,GBM:膠芽腫,AA:退形成性星細胞腫,AO:退形成性乏突起膠腫,BV:ベバシズマブ, CPT-11:イリノテカン,%6mo-PFS:6カ月無増悪生存率
a 表に示す資料の他,Genentech 社が ODAC に提出した Briefing Book を参考資料として用いた(5.3.5.2-4に添付)。
b 本剤(10 mg/kg/2週)の単独投与を病勢進行まで継続し(最長104週),病勢進行後,本剤 + CPT-11併用による治験継続を 選択できることとした。
c 本剤(10 mg/kg/2週)及び CPT-11[enzyme-inducing anti-epileptic drugs(EIAEDs)非投与例では125 mg/m2/2週,EIAEDs 投与
例では340 mg/m2/2週]の併用療法を病勢進行まで継続した(最長104週)。
d 本剤(10 mg/kg/2週)の単独投与を病勢進行まで継続した。
e プロトコールでは%6mo-PFS を主要評価項目として計画されたが,FDA との Type B Meeting で,本剤単独投与時の有効性に
関するSupportive data として本試験の有効性の成績を利用するよう助言を受け,GBM コホートの56例について,AVF3708g
試験と同じ判定基準を用いて評価した有効性成績(奏効率及び奏効期間)を評価対象とした。 f 31例中29例が GBM,1例が AA,1例が AOA(実施医療機関病理診断) <初発GBM> 地 域 試験番号 (略名) (依頼者) 相 デザイン 試験 対象 治療群a 例数 主要評価 項目 CTD 番号 <資料 区分> 海 外 / 国 内 BO21990 (AVAglio) III (Roche) 二重盲検無作 為化 プラセボ対照 2群 化 学 療 法 及 び 放 射 線 療 法 施 行 歴 の な い 初 発GBM 患者 Bv + RT/T 群 Pl + RT/T 群 921 PFS (主治医 評価) OS 5.3.5.1-1 5.3.5.1-2b <評価> Pl:プラセボ,RT:放射線療法,T:テモゾロミド,Bv:ベバシズマブ,PFS:無増悪生存期間,OS:全生存期間 a 本剤又はプラセボ(10 mg/kg,点滴静脈内投与,2週間隔)とテモゾロミド(75 mg/m2,経口投与)併用放射線療法(総線量 60 Gy を1日2 Gy ずつ週5日,6週間にわたり分割照射)を施行した。放射線療法終了翌日から4週間の休薬の後,1サイクル を4週間とし,本剤又はプラセボ(10 mg/kg,点滴静脈内投与,2週間隔)とテモゾロミド(1~5日目に150~200 mg/m2,経 口投与)の併用投与を6サイクル実施した。その後,本剤又はプラセボの単独投与(15 mg/kg,点滴静脈内投与,3週間隔) を病勢進行が認められるまで継続した。 b BO21990試験の国内部分集団解析結果報告書 なお,国内外の専門医から,AVF3708g 試験で報告された本剤の再発 GBM に対する治療成
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績は,現在サルベージ療法として医療現場で試行されている治療法に比べ有効性・安全性の観 点で明らかに勝っているため,本剤を使用できない対照群に割り付けられる可能性がある比較 試験に患者を登録することは難しく,クロスオーバーを認めざるを得ないため,比較試験を実 施して試験結果が得られたとしても解釈が非常に難しいとの指摘を受けた。このことから,再 発 GBM 又は再発悪性神経膠腫を対象にした第 III 相無作為化比較試験は,国内外のいずれで も計画されていない。2.5.2 生物薬剤学に関する概括評価
該当なし2.5.3 臨床薬理に関する概括評価
初発GBM 患者を対象とした BO21990試験に登録された患者を対象として,一部の患者で薬 物相互作用を検討するサブスタディが実施された。なお,日本からは本サブスタディに参加し ていない。本サブスタディには,Pl + RT/T 群6例,Bv + RT/T 群14例が登録され,TMZ 及び Bv の薬物動態を検討した。 TMZ の薬物動態は Pl + RT/T 群6例,Bv + RT/T 群7例で評価され,Pl + RT/T 群に比べ Bv + RT/T 群で,AUC は約23%増加し,Tmaxは30分程度のわずかな遅延が認められたが,t1/2は Pl + RT/T 群と Bv + RT/T 群で同様であった。今回の検討は少数例での検討であり,本剤が TMZ の 薬物動態に与える影響については明確とならなかった。 また,Bv の薬物動態は14例で評価され,血清中 Bv 濃度推移は既報の薬物動態パラメータか ら予測した値の範囲内にあり,TMZ 併用による影響は認められず,初発 GBM 患者における Bv の薬物動態は他適応と同様であった。アバスチンrGBM 2.5 臨床に関する概括評価 Page
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2.5.4
有効性の概括評価
再発 GBM に対する本剤の有効性は,AVF3708g 試験,NCI-06-C-0064E 試験及び JO22506試
験の成績に基づいて評価した。AVF3708g 試験では%6mo-PFS 及び奏効率を主要評価項目とし, JO22506試験では%6mo-PFS は主要評価項目,奏効率は副次的評価項目とした。その他,両試 験とも PFS,奏効期間及び OS を副次的評価項目とし,AVF3708g 試験では神経学的評価を探 索的評価項目とした。 NCI-06-C-0064E 試験は,%6mo-PFS を主要評価項目として計画されたが,今回の申請資料と して5.3.5.2-3に添付した Genentech 社の報告書(2.5.1.2.1.1(3) 項参照)では,奏効率及び奏効 期間が評価項目とされ,%6mo-PFS や PFS は評価項目とされなかったため,本項では奏効率及 び奏効期間の成績を記載した。 いずれの試験でも,全例を有効性解析対象例として主解析であるIRF 評価に基づく結果を本 項に記載し,主治医評価に基づく結果は2.7.3.3.2(再発)項に記載した。JO22506試験では, 主解析である実施医療機関病理診断で GBM と診断された患者(29例)の成績を本項に記載し, 実施医療機関病理診断でGrade III と診断された2例も含めた再発悪性神経膠腫患者全体(31例) の成績は2.7.3.3.2(再発)項に記載した。 初発 GBM に対する本剤の有効性は,BO21990試験の成績に基づいて評価した。BO21990試 験では主治医評価に基づくPFS 及び OS を主要評価項目とした。また,独立評価機関による評 価に基づく PFS,1年生存率,2年生存率,健康関連 QOL などを副次的評価項目とし,患者の KPS,副腎皮質ステロイドの使用量,MMSE による認知機能評価,GBM 関連の兆候及び症状, 奏効率及び奏効期間,腫瘍増悪パターンなどを探索的評価項目とした。 本項では,再発 GBM における各試験の概略を2.5.4.1.1項,患者背景を2.5.4.1.2項,有効性成 績を2.5.4.1.3項~2.5.4.1.9項に記載し,再発 GBM における有効性成績のまとめと ODAC での 議論内容も踏まえた考察を2.5.4.1.10項に記載した。また,初発 GBM における BO21990試験の 概略を2.5.4.2.1項,患者背景を2.5.4.2.2項,有効性成績を2.5.4.2.3項~2.5.4.2.11項に記載し,初 発GBM における有効性成績のまとめを2.5.4.2.12項に示した。
2.5.4.1
再発
GBM
2.5.4.1.1
有効性評価に用いた臨床試験の概略
(1) 海外第 II 相臨床試験(試験番号 AVF3708g,BRAIN 試験,公表論文:J Clin Oncol 2009. 27:4733-40 <2006年6月 日~データカットオフ:2007年9月 日,安全性データ更新: 年 月 日>) 放射線療法と TMZ による治療歴を有する初回再発又は二次再発の GBM 患者を対象(目標 例数160例)に,本剤単独群(BV 群)及び本剤 + CPT-11併用群(BV + CPT-11群)の2群の有 効性の検討を目的とした第 II 相無作為化非盲検2群並行非対照試験が Genentech 社により海外 11施設(米国)で実施された。
本剤の用量は10 mg/kg とし,CPT-11の用量は,enzyme-inducing anti-epileptic drugs(以下,
EIAEDs)非投与例では125 mg/m2,EIAEDs 投与例では340 mg/m2とした。いずれの薬剤も2週 間間隔で病勢進行まで最長104週投与することとし,BV 群では病勢進行後,本剤 + CPT-11併 用による治験継続を選択できることとした。 本試験では,主要評価項目をIRF 評価に基づく奏効率及び%6mo-PFS とし,ヒストリカルデ ータ19),35)–37)を元に,閾値と期待値を表 2.5.4.1.1-1のように設定した。病変観察は6週間間隔で 行い,腫瘍評価は,Macdonald らの基準を参考に,WHO 腫瘍縮小効果判定基準に観察期間中 のステロイド使用量の変化を加味した基準に従い第三者組織である IRF が実施し,4週間以上 間隔をおいて実施された連続する時点総合効果判定で,CR 又は PR と2回以上連続して判定さ れた場合に奏効例として扱った。