2.5 臨床に関する概括評価
2.5.4 有効性の概括評価
2.5.4.2 初発 GBM
2.5.4.2.1 有効性評価に用いた臨床試験の概略
(1) 国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較試験(試験番号 BO21990,AVAglio 試験,公表論 文:なし<スクリーニング開始日: 年 月 日~PFS 最終解析時データカットオフ:
2012年3月31日>)
BO21990試験は,外科的切除又は生検後の組織診断で GBM であると新たに診断された患者
を対象(目標例数920例)に放射線照射と TMZ による標準療法に本剤又はプラセボを併用し た時の有効性及び安全性の比較を目的とした国際共同第 III 相二重盲検無作為化比較試験であ り,Roche社により日本を含む23カ国120施設で実施された。
BO21990試験における試験デザインを図 2.5.4.2.1-1に示す。
図 2.5.4.2.1-1 BO21990試験における試験デザインの概略
RT:放射線療法,TMZ:テモゾロミド,Pl:プラセボ,Bv:ベバシズマブ
Maintenance Phaseにおいて,2サイクル目以降はプロトコールの増量基準に照らし増量可能であると判断される場合,
TMZを200 mg/m2/日に増量した。
[図2.7.3.1.2-1(初発)を再掲]
本試験では試験治療を3期に分け,Concurrent Phase,4週間の休薬期間を経て,Maintenance Phase及びMonotherapy Phaseの順に施行した。
Concurrent Phase の治療は試験期間の最初の6週間で行われた。この期間では,放射線療法
(総線量60 Gyを1日2 Gyずつ週5日で6週間にわたり分割照射)とTMZ(75 mg/m2/日を連日経 口投与)の併用療法に本剤又はプラセボ(10 mg/kg,2週間隔,点滴静脈内投与)を併用した。
Concurrent Phaseにおいては,放射線療法の最終照射日に本剤又はプラセボ及びTMZの最終投
与を行った。
放射線療法終了日の翌日から4週間,TMZ と本剤又はプラセボを休薬した後,Maintenance
Phase を開始した。Maintenance Phase では1サイクルを4週間とし,各サイクルの1~5日目に
TMZを150 mg/m2/日で連日経口投与し,1日目及び15日目に本剤又はプラセボ10 mg/kgを点滴 静脈内投与し,これを病勢進行又は許容できない毒性の発現がみられない限り6サイクル繰り 返した。Maintenance Phase の2サイクル目以降は,患者の血液学的及び非血液学的毒性プロフ ァイル(CTCAE v 3.0に準拠)を基に,プロトコールの規定に従い増量可能であると判断され る場合,TMZを200 mg/m2/日に増量した。Maintenance Phase終了後Monotherapy Phaseとして,
本剤又はプラセボの単独療法(15 mg/kg,3週間隔,点滴静脈内投与)を病勢進行又は許容で きない毒性が認められるまで継続した。
休薬 4週間
術後4週以降7週 以内で治療開始
【RT】総線量60 Gyを2 Gy/日,週5日で 6週間にわたり分割照射
【TMZ】RT開始~終了まで最長49日間 75 mg/m2/日連日経口投与
【Pl】放射線療法初日~最終照射日まで 10 mg/kg/2週間隔点滴静脈内投与
【RT】総線量60 Gyを2 Gy/日,週5日で 6週間にわたり分割照射
【TMZ】RT開始~終了まで最長49日間 75 mg/m2/日連日経口投与
【Bv】放射線療法初日~最終照射日まで 10 mg/kg/2週間隔点滴静脈内投与
【TMZ】150 mg/m2/日経口投与,
Day 1~5/4週×6サイクル
【Pl】10 mg/kg/回点滴静脈内投 与,Day 1及びDay 15/4週×6 サイクル
【TMZ】150 mg/m2/日経口投与,
Day 1~5/4週×6サイクル
【Bv】10 mg/kg/回点滴静脈内投 与,Day 1及びDay 15/4週×6 サイクル
【Pl】15 mg/kg/3週間 隔点滴静脈内投与:
病勢進行まで単独継 続投与
【Bv】15 mg/kg/3週 間 隔 点 滴 静 脈 内 投 与 : 病 勢 進 行 ま で 単独継続投与
Concurrent Phase Maintenance Phase 6サイクル
Monotherapy Phase 病勢進行まで 腫瘍減量
手術又は 生検術
層別 無作為割付
(RPA class 及び 地域を 層別因子 とする)
(N = 458)
(N = 463)
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本試験では,EORTC による RPA class48)(III,IV,V)と地域(西欧,東欧,アジア,米国,
その他)を層別因子とした中央登録方式による層別置換ブロック法を用いて,18歳以上の初発 GBM患者921例を無作為化し(Pl + RT/T群:463例,Bv + RT/T群:458例),全例を有効性解 析対象例とした。また,試験治療を少なくとも1回受けた911例(Pl + RT/T 群:447例,Bv + RT/T群:464例)を安全性解析対象例とした。
有効性について,本試験の主要評価項目は主治医評価による PFS(無作為化から改変
Macdonald 基準により病勢進行とされるまで又は死亡までのいずれか早い日まで)と OS(無
作為化から死亡の日まで)のco-primary endpointとして,プラセボ併用群(Pl + RT/T群)に対 する本剤併用群(Bv + RT/T群)の優越性を検証した。なお,イベントが発現していない患者 については,PFS は最終腫瘍評価日若しくはベースライン以降の腫瘍評価がない場合は無作為 割付日で,OSについては生存していることが判明した最後の日でそれぞれ打ち切りとした。
2つの主要評価項目の設定に伴う多重性を調整するために有意水準を分割し,PFS では1%,
OSでは4%と設定した。PFS及びOSの群間差はRPA class及び地域を層別因子とした両側層別 log-rank検定で,それぞれ比較することとした。PFS 及びOS について Kaplan-Meier曲線に加 え,その中央値と信頼区間を示した。PFS 及び OS の2つの主要評価項目のうち一方又は両方 について統計学的有意差が示された場合は,本試験の主要目的が達成されたとした。
本試験では2012年3月31日をカットオフ日として,改変 Macdonald 基準に基づく主治医評価 による PFS の最終解析(主解析)及び OS の2回目の中間解析を行った。プロトコールで規定 された PFS の最終解析に必要なイベント数677及び OS の2回目中間解析に必要なイベント数
492が共に満たされたことから本解析が行われ,解析時点でのPFS,OSのイベント数はそれぞ
れ741,517であった。
2.5.4.2.2 患者背景
BO21990試験では,外科的切除又は生検が施行され,実施医療機関の病理診断において組織 学的に GBM であると新たに診断され,化学療法及び放射線療法の治療歴のない18歳以上の患 者を試験の対象とした。BO21990試験の主な患者背景を表 2.5.4.2.2-1に示す。
(1) 年齢
年齢の中央値は,Pl + RT/T群では56歳,Bv + RT/T群では57歳と両群ともほぼ同様であり,
一般的なGBMの好発年齢である60歳代より若かった。
(2) Karnofsky Performance Status(KPS)
ベースライン時のKPSの分布は,KPS 50~80%を示す患者の割合がPl + RT/T群では30%,
Bv + RT/T群では33%であり,KPS 90~100%を示す患者の割合がPl + RT/T群では70%,Bv + RT/T群では67%であった。両群ともKPS 90~100%の患者が多かった。
(3) 組織診断
中央病理診断でGBMと診断された患者の割合はPl + RT/T群及びBv + RT/T群ともに95%で あり,GBM以外と診断された患者の割合はPl + RT/T群では3%及びBv + RT/T群では2%であ った。なお,組織型が未確認の患者割合はPl + RT/T群2%及びBv + RT/T群3%であった。
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表 2.5.4.2.2-1 BO21990試験における主な患者背景 Pl + RT/T
(N = 463)
Bv + RT/T (N = 458) 年齢 (歳)
n 463 458
平均 (SD) 55.9 (10.58) 55.9 (11.26)
中央値 56.0 57.0
範囲 18 – 79 20 – 84
ベースライン時のKPS
n 462 457
50 – 80 140 (30%) 149 (33%) 90 – 100 322 (70%) 308 (67%) 組織型 (中央病理診断)
n 463 458
GBM 440 (95%) 435 (95%)
GBM以外 13 (3%) 9 (2%)
未確認 10 (2%) 14 (3%)
[表2.7.3.3.1.1-1(初発),表2.7.3.3.1.1-2(初発)を改変]
2.5.4.2.3 無増悪生存期間(PFS)
(1) PFSの主解析
主要評価項目のうちの1つである主治医評価によるPFSの主解析(2012年3月31日カットオフ)
の要約を表 2.5.4.2.3-1に,Kaplan-Meier曲線を図 2.5.4.2.3-1に示した。
対照のPl + RT/T群に対する本剤併用のBv + RT/T群のPFSのハザード比は0.64(95%CI 0.55
~0.74)であり,統計学的に有意なPFS の延長が認められた(層別log-rank 検定,P < 0.0001,
有意水準0.01)。Kaplan-Meier法で推定したPFSの中央値は,Pl + RT/T群の6.2カ月に対し,
Bv + RT/T群では10.6カ月で,Bv + RT/T群ではPl + RT/T群に比べて4.4カ月延長した。
なお,独立評価機関の評価によるPFS(副次的評価項目)では,Pl + RT/T群に対するBv + RT/T 群のハザード比は0.61(95%CI 0.53~0.71,層別 log-rank検定,P < 0.0001)であった。
Kaplan-Meier法で推定したPFS中央値はPl + RT/T群の4.3カ月に対して,Bv + RT/T群では8.4 カ月と,主治医評価の結果と同様に4カ月を超える PFS の延長が認められた[表2.7.3.3.2.1-2
(初発),図2.7.3.3.2.1-2(初発)参照]。
表 2.5.4.2.3-1 BO21990試験の PFS 解析結果(主解析)[ITT 集団,主治医評価]
Pl + RT/T (N = 463)
Bv + RT/T (N = 458) イベント数 (%) 387 (83.6) 354 (77.3)
PFS中央値 (月) 6.2 10.6
(95%CI) (6.0, 7.5) (10.0, 11.4)
層別ハザード比 0.64
(95%CI) (0.55, 0.74) P値 (層別log-rank検定) < 0.0001 カットオフ日:2012年3月31日
[表2.7.3.3.2.1-1(初発)を再掲]
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図 2.5.4.2.3-1 BO21990試験の PFS(主解析)の Kaplan-Meier 曲線[ITT 集団,主治医評価]
[図2.7.3.3.2.1-1(初発)を再掲]
PFS 主解析結果の頑健性を確認するために,主治医評価に基づく PFS の5種類の感度分析を 行った[表2.7.3.3.2.1-3(初発)参照]。
1) 非層別解析では,PFSの Pl + RT/T群に対する Bv + RT/T 群のハザード比は0.65(95%CI 0.56~0.75)であり,Bv + RT/T群では有意なPFSの延長が認められた(非層別log-rank検 定,P < 0.0001)。Kaplan-Meier法で推定したPFSの中央値は,Pl + RT/T群の6.2カ月に対 し,Bv + RT/T群では10.6カ月で,Bv + RT/T群ではPl + RT/T群に比べて4.4カ月延長した。
2) プロトコールで規定された治療以外の治療(NPT)を開始した場合に治療開始前の最終腫 瘍評価日で打ち切りとする解析では,PFSのPl + RT/T群に対するBv + RT/T群のハザード 比は0.62(95%CI 0.53~0.72)であり,Bv + RT/T 群では有意な PFS の延長が認められた
(層別log-rank検定,P < 0.0001)。Kaplan-Meier法で推定したPFSの中央値は,Pl + RT/T 群の6.2カ月に対し,Bv + RT/T群では10.9カ月で,Bv + RT/T群ではPl + RT/T群に比べて 4.7カ月延長した。
3) 2)の打ち切りルールに加え,最後の腫瘍評価から112日以降(腫瘍評価2回分)に病勢進行
することなく死亡した患者を最終腫瘍評価日で打ち切りとして扱った解析でも,2)と同様 の結果が得られた。
4) 評価が欠測であった場合に,それを病勢進行のイベント発生として扱った解析では,PFS のPl + RT/T群に対するBv + RT/T群のハザード比は0.64(95%CI 0.55~0.74)であり,Bv + RT/T群では有意なPFSの延長が認められた(層別log-rank検定,P < 0.0001)。Kaplan-Meier法で推定したPFSの中央値は,Pl + RT/T群の6.1カ月に対し,Bv + RT/T群では10.5 カ月で,Bv + RT/T群ではPl + RT/T群に比べて4.4カ月延長した。
5) Bv + RT/T 群の患者のみ,評価が欠測であった場合に,それを病勢進行のイベント発生と