神戸常盤大学紀要 第 5 号 2012 54 − − − −55 ネパール住民の生活習慣並びに口腔環境に関する一連の調査において、今回はカトマンズ・シバクチ地区近 隣住民の歯周病罹患状況、口腔衛生習慣、歯周病原細菌に関して調査し、ネパール住民の歯周病と生活習慣、 歯周病原細菌(Porphyromonas gingivalis : Pg)との関連を解析することを目的とした。また、疫学調査に おける血清抗体価による歯周病検査の有効性を検討した。 〔対象および方法〕 カトマンズ・シバクチ地区近隣の住民220名に対して、歯周組織検査を含む歯科検診と生活習慣に関するア ンケート調査を実施した。 採血が可能であった147名(男性35名、女性112名、年齢22 ∼ 80歳)を解析対象者とした。歯周組織検査は、 WHO の CPI プローブによる地域歯周疾患指数(CPI :Community Periodontal Index)測定と唾液潜血反 応検査(ペリオスクリーン「サンスター」)によって行った。歯周病原細菌検査は、歯周病原細菌の標準株で ある PgFDC381 の超音波破砕抽出抗原に対する血清抗体価を ELISA 法(酵素免疫測定法)で測定した。 〔結果および考察〕 1.歯周病罹患状況 ① 地域歯周疾患指数:加齢に伴いCPI 0 ∼ 2 の者が減少し、CPI 3 以上の者が増加する傾向であった。日 本の歯科疾患実態調査結果と対比すると、CPI 3 以上の割合はどの年齢においても日本の実態より高く、 ネパールにおいては歯周病の重症度が高いことが分った。 ② 唾液潜血反応:40歳未満では唾液潜血反応は36.6%、40歳以上では67.3%であり、歯周病による出血が 加齢と共に増加する傾向がある。 2.歯周病原細菌に対する血清抗体価 P. gingivalis に対する血清 IgG 抗体価は健常者群と歯周病群で比較すると、歯周病群の方が健常者群 より有意に高いことが分った。 〔結論〕 ネパール住民の歯周病罹患率は、わが国と比較して重症化している。また、集団を対象とした歯周病検査に 歯周病原細菌に対する血清抗体価測定は有用である。
ネパール住民の歯周病罹患率並びに歯周病原細菌に関する研究
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