あとがき
権利
Copyrights 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア
経済研究所 / Institute of Developing
Economies, Japan External Trade Organization
(IDE-JETRO) http://www.ide.go.jp
シリーズタイトル
アジ研選書
シリーズ番号
40
雑誌名
新興民主主義大国インドネシア : ユドヨノ政権の
10年とジョコウィ大統領の誕生
ページ
297-298
発行年
2015
出版者
日本貿易振興機構アジア経済研究所
URL
http://hdl.handle.net/2344/00016769
あとがき 本書は,2013 年度と 2014 年度の 2 年間にわたってアジア経済研究所で 実施された「2014 年インドネシアの選挙──ユドヨノ政権の 10 年と新政 権の成立──」研究会(主査:川村晃一)の最終成果である。当研究所は これまで,インドネシアにおける民主化後の選挙に関する研究成果を継続 的に発表してきた。選挙の現状分析というと,投票結果の解説と新政権の 紹介という内容にとどまりがちであるが,私たちは共同研究の利点を生か して,選挙とそこから派生する諸問題について多面的にインドネシアの政 治経済を分析してきた。今回も,これまでと同様に研究メンバーの協力を 得て,包括的な分析が可能になった。皆さんに感謝したい。 さらに今回の研究会は,インドネシアが時代の転換点に差し掛かっている という認識のもと,より広い視野から政権の移行を分析することに努めた。 その意味で,この研究成果は,アジア経済研究所でこれまで実施されてきた インドネシア地域研究の系譜にも連なるものである。1960 年代に始められた 当研究所のインドネシア研究(岸幸一編『インドネシアの政治社会構造』1961 年, 板垣與一編『インドネシアの経済社会構造』1963 年,岸幸一・馬淵東一編『イン ドネシアの社会構造』1969 年,石田雄・長井信一編『インドネシアの権力構造とイ デオロギー』1969 年)は,スハルト体制研究(三平則夫・佐藤百合編『インドネ シアの工業化──フルセット主義工業化の行方──』1992 年,安中章夫・三平則 夫編『現代インドネシアの政治と経済──スハルト政権の 30 年──』1995 年)を 経て,民主化時代の研究(佐藤百合編『民主化時代のインドネシア──政治経 済変動と制度改革──』2002 年,松井和久編『インドネシアの地方分権化──分 権化をめぐる中央・地方のダイナミクスとリアリティー──』2003 年,佐藤百合編 『インドネシアの経済再編──構造・制度・アクター──』2004 年,石田正美編 『インドネシア再生への挑戦』2005 年)へと受け継がれてきた。 スハルト権威主義体制の崩壊から 17 年が経ち,インドネシアは「民主 化」から「民主主義」の時代へ,「新興工業国」から「中進国」のレベル へと足を踏み入れつつある。このことは,インドネシアに関する新しい総
298 合的な地域研究の成果が求められる時期に差し掛かっているということを 意味している。本書は,多面的な分析を心がけたとはいえ,選挙や政権移 行に伴う問題に分析の重心をおいたため,社会変容の側面など扱えなかっ た問題もある。その限界をふまえつつ,この成果を次の本格的なインドネ シア地域研究へとつなげていくことが私たちの今後の課題である。 なお,本書の執筆陣が中心となってジョコ・ウィドド政権発足 1 年の動 向を分析した論考が,『アジ研ワールド・トレンド』第 241 号(2015 年 11 月号)の特集「インドネシア──ユドヨノの 10 年とジョコウィの 1 年 ──」に掲載されている。本書とあわせてご覧いただきたい。 私たちが本書で示したインドネシアの姿は,「多様性の国」のひとつの 側面でしかない。本書がきっかけとなって,「新興政治経済大国」へと成 長を続けるインドネシアの過去,現在,未来をどう理解するかという議論 が活発となれば幸いである。 本書のとりまとめにあたっては多くの方々にお世話になった。現地調査 では多くのインドネシア人,日本人関係者に協力していただいた。また, 研究会では,増原綾子氏(亜細亜大学国際関係学部准教授)および村越英治 郎氏(世界保健機関[WHO]カンボジア事務所)に講師をお願いし,有益な お話をうかがうことができた。心から御礼申し上げる。本書には盛り込む ことができなかったが,経済法の整備と経済制度の発展に関する分析を執 筆してくださった濱田美紀氏(開発研究センター貧困削減・社会開発研究グ ループ長),オブザーバーとして参加された土佐美菜実氏(図書館研究情報 整備課)には研究会における議論の活性化に貢献していただいた。刊行に あたっては,井村進氏ならびに石田静香氏(研究支援部出版企画編集課)に お世話になった。研究会幹事である東方孝之氏には,研究会の運営から報 告書のとりまとめ,編集作業に多大な尽力をいただいた。あらためて感謝 申し上げる。最後に,全原稿に目をとおして詳細なコメントをくださった 匿名の外部評価者と所内査読者には,心から感謝申し上げる次第である。 2015 年 11 月 編者 川村晃一