交通安全生涯教育プログラムの開発
-高学年児童を核にした生涯教育手法の
構築と普及促進-
― 平成 25 年度(本報告) タカタ財団助成研究論文 ―
研究代表者
大谷 亮
ISSN 2185-
8950
研究実施メンバー
研究代表者
一般財団法人日本自動車研究所
主任研究員
大谷
亮
研究協力者
一般財団法人日本自動車研究所
主任研究員
橋本
博
一般財団法人日本自動車研究所
主任技師
小林
隆
一般財団法人日本自動車研究所
主任技師
岡野 玲子
一般財団法人日本自動車研究所
技師補
岡田
和未
報 告書概 要
報 告書概 要
報 告書概 要
報 告書概 要
昨年 度は ,高 学年 向 けの交 通安 全教 育プ ロ グラム とし て, 小集 団 討論と 役割 演技 法( 高 学年が 低学 年の 教師 役 となり 道路 の横 断方 法 を教え る手 法) によ る 継続的 な安 全教 育の 効 率化を目指して,教 育 回数を6 回から4 回に 制限した場合の影響 を 把握した.その結果, 高学年の実際の横断 行 動は適切に変容する 一 方で,低学年の行動 変 容は見られなかった . 本年 度は ,役 割演 技 法に参 加す る低 学年 の 行動変 容を 目指 し, 訓 練時間 を拡 大す るな ど の工夫 を行 うと とも に ,昨年 度の 課題 を踏 ま えて教 育担 当者 用の マ ニュア ルを 改訂 して 教 育を実 施し た. その 結 果,昨 年度 と同 様に , 高学年 の行 動変 容は 見 られた が, 低学 年の 行 動が大 きく 変化 する こ とはな かっ た. 過去 の 先行研 究例 調査 から , 低学年 の適 切な 行動 変 容を促 進す るに は, 日 常から の訓 練が 重要 と 考えら れる .ま た, 児 童の安 全教 育を 担当 す ること で, 地域 の人 員 の安全 態度 や知 識が 変 容する など の生 涯学 習 の可能 性に つい ても 検 討した .高 学年 向け の 教育担 当者 用マ ニュ ア ルを用 いて ,地 域住 民 に対し て短 時間 の講 習 会を開 催し た後 に, 実 際にこ れら の人 員が 適 切な道 路の 横断 方法 に 関する 児童 の訓 練を 担 当した結果,地 域住民の 安全に関する知識が 変 容するなどの生涯学 習 の可能性が示された. 以上の 取り 組み や学 識 経験者 との 研究 会な ど から, 効果 的で 持続 的 な子ど もの 安全 教育 を 可能にするため,地 域 住民などが利用でき る 教育担当者用マニュ ア ルを完成した. (596/600文字)目
目
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次
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第1章 はじめに ··· - 1 - 1.1 研究背景 --- - 1 - 1.2 本研究の目的 --- - 2 - 第2章 交通安全教育 プログラムの効果検 証 ··· - 3 - 2.1 小集団討論と 役 割演技法による継続 的 な教育の長所と課題 の 把握 --- - 3 - 2.1.1 目的 --- - 3 - 2.1.2 昨年度からの 改 定案 --- - 3 - 2.1.3 安全教育の実 施 --- - 4 - 2.1.4 質問紙および 行 動観察調査による有 用 性の把握 --- - 15 - 2.1.5 考察 --- - 30 - 2.2 地域住民の教 育 参加による生涯学習 の 可能性 --- - 32 - 2.2.1 目的 --- - 32 - 2.2.2 安全教育の実 施 --- - 32 - 2.2.3 質問紙調査に よ る有用性の把握 --- - 36 - 2.2.4 考察 --- - 39 - 第3章 学識経験者と の研究会の開催と国 内 外動向調査による交 通 安全教育マニュアル の 完成 ··· - 42 - 3.1 目的 --- - 42 - 3.2 国内外の動向 調 査 --- - 42 - 3.2.1 効果的な交通 安 全教育を目指した各 国 の状況 --- - 42 - 3.2.2 子どもを対象 に した安全教育の研究 例 --- - 47 - 3.2.3 先行研究例調 査 のまとめ --- - 49 - 3.3 国内有識者と の 研究会の開催 --- - 52 - 3.3.1 開催日時と場 所 --- - 52 - 3.3.2 参加者 --- - 52 - 3.3.3 議事 --- - 52 - 3.3.4 有識者との研 究 会のまとめ --- - 53 - 第4章 まとめと今後 の課題 ··· - 54 -4.1 児童を対象に し た役割演技法による 学 習について --- - 54 - 4.2 教育担当者を 担 うことによる生涯学 習 の可能性について --- - 54 - 4.3 効果的な交通 安 全教育の実現に向け て --- - 55 - 4.4 今後の課題 --- - 56 - 参考文献 ··· - 57 - 付録 - 61 - 付録1 役割演技法で 用いた高学年用マニ ュ アル --- - 61 - 付録2 地域住民への 質問紙調査結果 --- - 62 - 付録3 2.2節の児童 への質問紙調査の結 果 --- - 68 - 付録4 教育担当者用 簡易マニュアル --- - 71 -
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は じめに
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1.1 1.11.1 1.1 研 究背 景研 究背 景研 究背 景研 究背 景 平成25年中の道路交 通(以下,「交通」と 記 す)事故による死者数 は,13年連続して減 少傾向にあり,24時間 以内の交通事故死者 数 は4,373人と5年連続して4,000人台となっ た(警察庁交通局 交通 企画課,2014).ここで ,状態別の死者数 を見 ると,自動車や道 路イ ンフラ など の改 善に よ り,自 動車 乗車 中の 死 者数は 大き く減 少し て いるも のの ,歩 行中 や 自転車 乗車 中の 事故 に よる死 者数 は下 げ止 ま り傾向 にあ る. この 点 から, 政府 (内 閣府 ) は第 9次交通安全基本 計画(内閣府,2011)の3つの視点の一つと して,「歩行者及び自転 車の安全確保」を掲 げ ている. 歩行 中や 自転 車乗 車 中の事 故の 年齢 層別 ・ 当事者 別交 通事 故発 生 件数を 概観 する と, 15 歳以下の子どもが第 一 当事者となる割合が 最 も多い(例えば,(財)交通事故総合分析セン ター,2011).また,少 子化に伴う学校の統 廃 合により,地域に よっ ては,小学校に通 う子 ども(以下,「児童」と記 す)が長距離を通学しな ければならない事態 が 発生しており(NIKKEI NET,2008),登 下校 中 の児 童の 列に 自動 車が 衝突 する など の問 題が 顕在 化し てい る. 子ど もの交通事故の特徴 を 見ると,「歩行中」では ,無信号交差点での横 断歩道外横断中の飛 び 出し事故が多く,「自転 車運転中」は,無信号交 差点で安全不確認に よ る出会い頭事故の割 合が多 い((財 )交 通事 故総合 分析 セン ター ,2005). 特に ,家 庭か ら 学校へ と生 活環 境が 移行す る児 童期 の事 故 の割合 が大 きい こと が 示され てお り, 短期 的 な観点 から ,こ の年 代 を対象 にし た交 通事 故 防止対 策が 急務 とな っ ている .ま た, 長期 的 な観点 から 見る と, 木 島(1985) や蓮 花(1997)が 指摘 し たよ うに , 児童 は将 来の ドラ イバ ー候 補で あり ,安全 や他の人々に配慮で き る交通参加者を育成 す るには,自動車 運転免許 取得時だけではなく, 小さい頃からの継続 的 な教育を実施し,適切な 安全態度を養うこと が 重要である.よって, 自動車や自転車など の 乗り物を正しく利用 で きる人材の育成が可 能 になると考えられる . 子ど もを 対象 にし た 交通安 全教 育に 関す る 諸外国 の状 況で は, 手 法や内 容の 効果 を検 証 および整理した研究 が 数多く存在し(Department for Transport,2004;Dragutinovic &Twisk,2006;Whelan,Tower,Errington & Powell,2008;NHTSA,2009),持続的な安全 教育を実現しようと す る試みが行われてい る (例えば,Whelan et al,2008).一方,日本 では, 児童 を対 象に し た安全 教育 や訓 練が 各 所で実 施さ れて いる も のの, プロ グラ ム開 発 や評価 に関 する 研究 の 積み重 ねが 欠け てお り ,加え て, イベ ント 形 式によ る交 通安 全教 育 がパ ター ン化 され てい ると の指 摘が あり (小 川,2000a),形 骸化 し た教 育活 動と なり やす い状況である.また,日 本では,小学校の授業の 中で,交通安全は「生活 安全(保健安全)」 として 捉え られ てお り ,多く の授 業内 容の 一 つとし て, 年間 で割 か れてい る授 業時 間は 数 時間程 度と いう 現状 に ある( 木島 ,1985).こ のよう な背 景の もと ,「 学校保 健安 全法 (文 部科学省,2008;学 校保 健法が改名・改正)」,「 第9次交通安全基本計 画(内閣府,2011)」, 「学校安全の推進に 関 する計画(文部科学省,2012)」では,児童生徒 などの状況に応じて 段階的 かつ 体系 的な 交 通安全 教育 を推 進す る ことや ,保 護者 や地 域 社会と の連 携強 化の も と,教 育を 実施 する よ う明記 され てい る. す なわち ,児 童の 学齢 段 階に応 じた 体系 的な 安
全教 育( 長山 ,1980) を実 現す るこ とに より ,小 学校 にお ける ”効 果的 な” 教育 の実 施を 促進し,保護者や地域 社会との連携の強化 に より,”持続的な”学習 を可能にすることが 今 後求め られ てい る. ま た,児 童の 安全 教育 に 参加す るこ とで ,地 域 社会の 人々 が交 通安 全 に動機 づけ られ るこ と も期待 され ,子 ども の 安全教 育を 中心 とし た 生涯教 育の 実現 が可 能 になると考えられる . 一般財団法人日本 自 動車研究所(以下 ,「JARI」と記す)では,学齢 段階に応じた児童の 交通安 全教 育を 計画 ・ 実施し ,質 問紙 や行 動 観察に よる 調査 を行 い 各種の 教育 手法 の有 用 性と課 題を 整理 して , 教育の 体系 化に 向け た 検討を 行っ てい る. こ の中で ,特 に, 高学 年 児童( 以下 ,「 高学 年」 と記す )向 けの 交通 安 全教育 は手 薄と の指 摘 から( 小川 ,2007), 役割演技法を用いた 学 習を実施し,有用 性と 課題を把握した( 大谷 他,2010).ここで,役 割演技法とは,高学年 が教師役となって ,低 学年児童(以下 ,「低学 年」と記す )に適切な 道路の 横断 方法 を教 え る手法 であ る. これ ま での調 査で は, 4 年 生 を高学 年と して ,交 通 事故の原因や対策, さ らには,低学年(1 年 生)への接し方につ い ての小集団討論を 4 回 実施し た後 に, 2 回 の 役割演 技法 (事 前学 習 と本学 習) を組 み合 わ せて継 続的 な学 習を 実 施することにより ,交通 事故のリスクや低学 年 への接し方に関する 高 学年の態度が変化し, 児童の横断行動が適 切 に変容することが示 さ れている(大谷他,2011).しかしながら,学 校現場の限られた時 間 数の中では,年間 6 回 の安全教育を実施す る ことは困難な場合が多 く,効果的な教育の 普 及促進を目指して, で きる限り効率的な実 施 が必要となる. そこ で, 昨年 度の 調 査では ,高 学年 向け の 教育プ ログ ラム の効 率 化を目 指し て, 上記 の 年間 6 回の実施を 4 回 (2回の小集団討論と 2 回の役割演技法)に削 減した場合の影響に ついて 把握 した .調 査 の結果 ,高 学年 の交 通 事故の リス クに 関す る 認識や 実際 の横 断行 動 が適切 に変 容す るこ と がわか った .一 方, 高 学年か ら訓 練を 受け た 低学年 の実 際の 横断 行 動は大 きく 変化 しな か った. これ は, 単発 的 な教育 では なく ,継 続 的な教 育の 重要 性を 示 唆する もの と考 えら れ る.ま た, 交通 安全 生 涯学習 の実 現を 目指 し て,地 域住 民が 児童 の 交通安 全教 育に 参加 で きるよ うに 担当 者用 の マニュ アル (案 )を 作 成して ,保 護者 など が 実際に この マニ ュア ル を利用 して 教育 の一 部 を担っ た. その 結果 , マニュ アル (案 )に 対 して, デザ イン など を 工夫す ると とも に, 教 える内 容や 児童 への 接 し方を 具体 的に 理解 で きるように記して欲 し いとの意見が聴かれ た . 1.2 1.21.2 1.2 本 研究 の本 研究 の本 研究 の本 研究 の 目 的目 的目 的目 的 本研 究で は, 昨年 度 抽出し た課 題, すな わ ち,高 学年 用の 教育 プ ログラ ムで ある 役割 演 技法の 中で ,高 学年 か ら訓練 を受 ける 低学 年 の行動 変容 を目 指し て ,低学 年の 訓練 時間 を 拡大す るな どの 工夫 と ともに ,改 訂し た教 育 担当者 用マ ニュ アル を 用いて 交通 安全 教育 プ ログラムを実施し, そ の長所と課題を把握 す ることを目的とした . また ,交 通安 全生 涯 学習を 目標 とし て, 昨 年度の 調査 で保 護者 な どから 聴取 した 意見 を もとに 改良 した 交通 安 全教育 担当 者用 マニ ュ アル( 案) を用 いて , 児童の 安全 教育 を担 当 することによる保護 者 や地域住民の安全意 識 の向上の可能性につ い ても検討した. さら に, 学識 経験 者と の研 究会 や国 内外 の訪 問調 査に より ,交 通安 全教 育に 関す る動向 を把握 する とと もに , 地域住 民を 対象 にし た 交通安 全生 涯学 習を 可 能にす るた めの 枠組 み を検討し,以上の調 査 を参考にして,教育 担 当者用のマニュアル を 完成することとした .
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交 通安全 教育プロ グラム の効果検 証
交 通安全 教育プロ グラム の効果検 証
交 通安全 教育プロ グラム の効果検 証
交 通安全 教育プロ グラム の効果検 証
2 22 2 .1.1.1.1 小 集団 討論 と役 割演 技 法に よる 継続 的な教 育 の長 所と 課題小 集団 討論 と役 割演 技 法に よる 継続 的な教 育 の長 所と 課題小 集団 討論 と役 割演 技 法に よる 継続 的な教 育 の長 所と 課題小 集団 討論 と役 割演 技 法に よる 継続 的な教 育 の長 所と 課題 の把握の把握の把握 の把握 2.1.1 2.1.12.1.1 2.1.1 目 的目 的目 的 目 的 昨年度の調査では , 高学年を対象にした 2回の小集団討論と 2回 の役割演技法による 継 続的な 安全 教育 プロ グ ラムに より ,高 学年 の 認識と 実際 の行 動が 変 化した もの の, 役割 演 技 法 の 中 で 高 学 年 か ら 訓 練 を 受 け た 低 学 年 の 行 動 が 変 容 す る こ と が 困 難 な こ と を 示 し た (大谷他,2013).本節 では,昨年度に抽出さ れた課題をもとに作 成 した教育担当者用の マ ニュ アル (案 )を 用い て,2.1.2 項 に示 す改 定案 をも とに ,小 集団 討論 と役 割演 技法 に基 づく教 育を 再度 実施 し ,高学 年と とも に低 学 年の行 動が 適切 に変 容 するか 否か を把 握す る ことを目的とした. 2.1.2 2.1.22.1.2 2.1.2 昨 年度 から の改定 案昨 年度 から の改定 案昨 年度 から の改定 案 昨 年度 から の改定 案 昨年(2012 年)度は ,高学年対象の小集 団 討論を 2 回実施したが (大谷他,2013),本 年(2013年)度は,低 学年の行動変容を企 図 して,低学年 への教え 方を中心とした討論 の 回数を 1回追加し,計 3回の高学年同士の小集 団討論を行った.ま た ,高学年が低学年に 適切な道路の横断方 法 を教える役割演技法 の 本学習の時間を ,昨年度 の65分から120分に 拡大し,低学年が繰 り 返し適切な横断方法 を 学習できるようにし た (図2.1). 回数 昨年(2012)度※ 本年(2013)度 1 【小集団討論:1回目(45分)】 ・飛び出しやすい時間と場所を議論 【小集団討論:1回目(45分)】 ・子どもの交通事故の原因についての 討論 2 【小集団討論:2回目(45分)】 ・1回目の議論の結果のフィードバック ・危険とわかっていても飛び出す理由 と対策の議論 ・低学年への教え方についての議論 【小集団討論:2回目(45分)】 ・1回目の議論の結果のフィードバック ・飛び出し事故の対策に関する議論 3 【役割演技法:事前学習(45分)】 ・本学習の実施方法についての高学年 への説明 ・高学年同士の学び合い(教師役と低 学年役を交互に体験) 【小集団討論:3回目(45分)】 ・2回目の議論の結果のフィードバック ・道路の 横断方法を低学年に教え る際 の 問いか け内容の議論 ・低学年への接し方の具体案の議論 4 【役割演技法:本学習(65分)】 ・高学年によ る 低学年の道路横断方法 に関する訓練 ・教育担当者によ る復習とまとめ 【役割演技法:事前学習(45分)】 ・本学習の実施方法についての高学年 への説明 ・高学年同士の学び合い(教師役と低 学年役を交互に体験) 5 【役割演技法:本学習(120分)】 ・高学年によ る低学年の道路横断方法 に関する 訓練 ・教育担当者による 復習とまとめ ※大谷他(2013)参照のこと 図2.1 安全教育プログ ラムの改定案2. 2.2. 2. 1.31.31.3 1.3 安 全教 育の 実施安 全教 育の 実施安 全教 育の 実施 安 全教 育の 実施 昨年度と同様に, 高 学年として 4 年 生が小 集団討論と役割演技 法 による継続的な学習に 参加し,役割演技法 の 本学習では,低学年 と して 1年生が高 学年か ら適切な道路の横断方 法に関する訓練を受 け ることにした. ( (( ( 111 ) 教育 目標1) 教育 目標) 教育 目標) 教育 目標 高学 年が 主体 的に 安 全や他 者へ の配 慮に つ いて思 考し ,適 切な 横 断行動 を習 得す るこ と を目標 とし た. また , 高学年 から 訓練 を受 け る低学 年は ,道 路を 横 断する 際の 適切 な行 動 について学習するこ と を目的とした. ( (( ( 222 ) 教育 プロ グ ラム の内 容 と方 法2) 教育 プロ グ ラム の内 容 と方 法) 教育 プロ グ ラム の内 容 と方 法) 教育 プロ グ ラム の内 容 と方 法 ( (( ( ⅠⅠⅠ )Ⅰ))) 教 育回 数教 育回 数教 育回 数教 育回 数 と 実施日 時と 実施日 時と 実施日 時と 実施日 時 高学年を対象とし て 小集団討論を 3 回実施 した.小集団討論で は ,4名から 5 名の高学 年からなる 9 班 を構成 した.また,その後 , 役割演技法による学 習 として,高学年が低学 年の教 師役 とな るた め の高学 年同 士の 事前 学 習と, 実際 に低 学年 に 教える 本学 習を 実施 し た.3回の小集団討論,役割演技法の事前学 習 と本学習の実施日時 は 以下の通りである(表 2.1). 表2.1 学習の実施日時 (高学年と低学年) 対象者 日時 間隔 1 回目 高学年 2 0 1 3 年1 0 月0 3 日( 木) 1 3 : 4 5 -1 4 : 3 0 ( 4 5 分間) 初日 2 回目 高学年 2 0 1 3 年1 1 月1 4 日( 木) 1 3 : 4 5 -1 4 : 3 0 ( 4 5 分間) 4 2 日後 3 回目 高学年 2 0 1 3 年1 1 月2 8 日( 木) 1 3 : 4 5 -1 4 : 3 0 ( 4 5 分間) 1 4 日後 事前学習 高学年 2 0 1 3 年1 2 月1 2 日( 木) 1 0 : 4 0 -1 1 : 2 5 ( 4 5 分間) 1 4 日後 本学習 高学年と 低学年 2 0 1 3 年1 2 月1 9 日( 木) 1 0 : 4 0 -1 2 : 4 0 ( 1 2 0 分間) 7 日後 実施内容 集団 討論 役割 演技法 ( (( ( ⅡⅡⅡ )Ⅱ))) 受 講者受 講者受 講者受 講者 高学年として,3 回の 小集団討論と2 回の役 割演技法に,つくば 市 立 K小学校の 4 年生 39名(男児23名,女 児16名;年 齢 9-10歳 ;1クラス)が参 加した .また,低学年とし て,役割演技法の本学習 に,同小学校1年生26名(男児16名,女児10名;年 齢 6- 7歳 ; 2クラス)が,4年生か ら訓練を受けた. ( (( ( ⅢⅢⅢ )Ⅲ))) 実 施場 所実 施場 所実 施場 所実 施場 所 高学年の小集団討 論 および役割演技法の 事 前学習は,つくば市 立 K 小学校内の多目 的教 室で実 施し た. また , 役割演 技法 の本 学習 は ,当日 雨天 のた め, 同 小学校 の体 育館 にお い て行った. ( (( ( ⅣⅣⅣ )Ⅳ))) 小 集団 討論小 集団 討論小 集団 討論小 集団 討論 ( (( ( aaa )a))) 目的目的目的目的 子どもの概念発達 に 有用とされている小 集 団討論(Howe,Tolmie & Rodgers,1990)に
より, 高学 年が 交通 事 故の原 因や 対策 ,お よ び,低 学年 への 接し 方 (他者 への 配慮 )を 主 体的に学習すること を 目的とした. ( (( ( bbb )b))) 方法方法方法方法 以下の 3 回の 小集団 討論の実施に先立ち , 高学年に,役割演技 法 の本学習時に自らが教 師役と なっ て低 学年 に 安全な 道路 の横 断方 法 を教え るこ と, さら に ,集団 討論 の際 には , 各班の中でできる限 り 多くの意見を述べる よ うに伝えた. ( (( ( bbb -b--- 1111 )) 1))111回目 の回目 の回目 の回目 の 小 集団討 論小 集団討 論小 集団討 論小 集団討 論 【 【【 【 教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者 と改 訂マニ ュ アル (案 )と改 訂マニ ュ アル (案 )と改 訂マニ ュ アル (案 )と改 訂マニ ュ アル (案 ) 】】】】 予防安全業務に従 事 するJARI職員3名,および,つくば市立K小学 校4年生の担当教員 と副担任の 2名,さら に,児童の保護者2名 の計7名が集団討論に 参加した.なお,教 育 担当者は,事前に 児童 への接し方や質問(以 下,「問いかけ 」と記す )の方法などにつ いて の小集団討論用マニ ュ アル(案)(以下,「 討 論マニュアル(案)」 と 記す)をもとに 30分 間で打 合せ を行 った . 討論マ ニュ アル (案 ) には, 小集 団討 論の 運 営方法 ,発 達心 理学 と カウン セリ ング の知 識 を参考 にし た子 ども へ の接し 方, およ び, 児 童への 問い かけ 方法 が 記され てい た. また , 昨年度 まで の調 査結 果 をもと に, 児童 の交 通 事故の 特徴 およ び問 い かけの具体的例を討 論 マニュアル(案)に 追 加した. 【 【【 【 討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法 】】】 】 1回目の小集団討論で は,「子どもの交通事故 の原因」について,班 毎に議論することに より, 児童 が主 体的 に 交通安 全に つい て考 え られる よう にし た. 実 施の手 順は 下記 の通 り である(表2.2). 表2.2 1日目の小集団 討論の実施手順 時間 内容 13: 45 自己紹介 13: 55 子どもの事故の状況(クイズ) 14: 00 討論の約束事説明 14: 05 小集団討論の開始 14: 25 まとめ 14: 30 終了 ① ①① ① 自 己紹 介自 己紹 介 と自 己紹 介自 己紹 介ととと 子ど もの事 故 の状 況子ど もの事 故 の状 況子ど もの事 故 の状 況子ど もの事 故 の状 況 ( 質問( 質問( 質問( 質問 ))))(( 15((151515分 )分 ) 分 )分 ) 高学 年と 教育 担当 者 とのラ ポー ル( 良好 な こころ の関 係) を構 築 するた めに ,教 育担 当 者の自己紹介と子ど も の交通事故の特徴に 関 する質問(クイズ) を 行った. 質問(クイズ)の 内 容は下記の通りであ っ た. ・茨城 県内 の不 審者 情 報と子 ども の交 通事 故 の死傷 者の どち らが 多 いか( 正解 :交 通事 故 の死傷者). ・茨城県の子どもの 交 通事故死傷者は何人 か (正解:1日に1人か2人).
② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明 ② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明 ② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明 (((( 5555分)分)分)分) 高学 年が 他者 に配 慮 して主 体的 に討 論に 参 加する よう に, カウ ン セリン グな どの 知識 を 参考にして,以下の 留 意点を説明した. <約束事> ・各集団の皆が意 見 を言えるようにする . ・皆の意見を聴く ( できる限り,「違う」 や 「だめ」などの否定 的 なことは言わない). ・決まった答えは な く,いろいろ正解が あ るため,できる限り 皆 とは違う意見を言う . <他者への応答と質 問 の仕方と例> ・ 促し:「うん、 う ん」,「なるほど」,「 それで」. ・ 閉鎖的質問:「 自 転車は右側通行?左 側 通行?」. ・ 開放的質問:「 ど うして左側通行だと 思 う?」. ・ 感情の反射:「 車 とぶつかったときは つ らかったね・・・」. ・ 内容の反射:「 見 通しの悪い交差点で 確 認しないんだね」. ・ 自己開示 :「 自 分もそうだけど・・ ・」. ・ 対決 :「 見 通しの悪い交差点で 右 左見なくていいの?」. ③ 小 集団 討論 の開 始( ③ 小 集団 討論 の開 始(③ 小 集団 討論 の開 始( ③ 小 集団 討論 の開 始( 20202020分)分)分)分) 小集団討論の題材 と して,「子どもの交通事 故の原因」について,各 小集団の中で議論す るように高学年に求 め た(図2.2). 小集団討論では, 各 集団の中で児童 1 名を リーダーとして任命 し ,他児童への質問と意 見の筆 記を 行う よう に 求めた .教 育担 当者 は 分担し て, 9 班 の議 論 の様子 を観 察し ,児 童 の討論 が停 滞し てい る ときに は, 教育 担当 者 間で事 前に 打合 せた 以 下の内 容に つい て, 高 学年に問いかけを行 っ た. <高学年へのヒント ( 例)> ・子どもが何をし た ら交通事故になりや す いか. ・飛び出しやすい 場 所や時間は. ・飛び出したこと あ るか.その状況はど う だったか. ・飛び出したお友 達 を見たことがあるか . その状況はどうだっ た か など. 図2.2 小集団討論の様 子
④ ま とめ ( ④ ま とめ (④ ま とめ ( ④ ま とめ ( 5555分 )分 ) 分 )分 ) 小集団討論が終了 し た後に,教育担当者 に よる 1日目の学 習のま とめを行った.まとめ では,各小集団の特 徴的 な意見(他の集団に はな い意見)を発表する よう に児童に求めた. また, 交通 事故 の原 因 は複数 存在 する ため , 普段か ら友 人や 家族 な どと考 える こと ,さ ら には, 道路 を通 行す る 際に様 々な 事故 の可 能 性を予 測す るよ うに 説 明した .最 後に ,次 回 の小集 団討 論の 内容 ( 子ども の事 故原 因と し て最も 多い 飛び 出し 事 故の対 策) につ いて 予 習をするように児童 に 求めた. ( (( ( bb -bb--- 2222 )) 2))222回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論 【 【【 【 教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者 】】】】 1 日 目と 同様 の教 育 担当者 が参 加し た. な お,教 育担 当者 は, 討 論マニ ュア ル( 案) を もとに,飛び出 し事故の 対策に関する高学年 へ の問いかけ内容につ い て30分間で打合せを 行った. 【 【【 【 討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法 】】】 】 2日目の小集団討論で は,「子どもの飛び出し 事故対策」について,班毎に議論すること により ,児 童が 主体 的 に交通 安全 を考 えら れ るよう にし た. 実施 の 手順は 下記 の通 りで あ る(表2.3). 表2.3 2日目の小集団 討論の実施手順 時間 内容 1 3 :4 5 1 日目の復習 1 3 :5 5 討論の約束事説明 1 4 :0 0 小集団討論の開始 1 4 :2 5 小集団討論のまとめ 1 4 :3 0 終了 ① ①① ① 1111日 目の 復習日 目の 復習 (日 目の 復習日 目の 復習( 10((101010分)分)分)分) 過去 の研 究( 大谷 他,2012) では ,議 論の 結果 を高 学年 にフ ィー ドバ ック する こと によ り , 安 全 に 対 す る 認 識 や 態 度 が 変 容 す る 可 能 性 を 示 し た . こ の た め , 本 節 に お い て も , 1 日目の 小集 団討 論の 意 見(交 通事 故の 原因 に 関する 意見 )を 集計 し た結果 を児 童に 示し , 実際に 事故 が発 生し や すい場 所や 時間 帯な ど につい ての デー タを 比 較して ,結 果の フィ ー ドバックを高学年に 行 った. ② 討 ② 討② 討 ② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明 (((( 5555分)分)分)分) 1日目の小集団討論実施 時と同様に,高学年 に 討論の際の留意点を 再 度説明した. ③ ③③ ③ 小 集団 討論 の開 始(小 集団 討論 の開 始(小 集団 討論 の開 始( 25小 集団 討論 の開 始(252525分)分)分)分) 1日目の小集団討論と 同様の方法で,「子ども の交通事故の対策」に ついて,各小集団の 中で議論するように 高 学年に求めた.
児童 の討 論が 停滞 し ている とき には ,教 育 担当者 間で 事前 に打 合 せた以 下の 内容 につ い て,高学年に問いか け を行った. <高学年へのヒント ( 例)> ・飛び出さないた め には何をすれば良い か . ・飛び出さないた め にどういう所や時間 に 特に気をつけた方が 良 いか. ・他の子が飛び出 さ ないために、自分は 何 ができるか. ・なぜ止まれの標 識 があるのか など. ④ ④④ ④ 小 集団 討論小 集団 討論小 集団 討論 のま とめ(小 集団 討論のま とめ(のま とめ(のま とめ( 5555分 )分 ) 分 )分 ) 小集団討論が終了 し た後に,教育担当者 に よる 2日目の学 習のま とめを行った.まとめ では,各小集団の特 徴的 な意見(他の集団に はな い意見)を発表する よう に児童に求めた. また, 教育 担当 者よ り ,1 日 目の 学習 で議 論 したよ うに ,交 通事 故 の原因 は複 数存 在す る ために ,交 通事 故の 対 策も幾 つも 考え る必 要 があり ,普 段か ら友 人 や家族 など と議 論す る ように 説明 した .最 後 に,次 回の 小集 団討 論 の内容 (道 路の 横断 方 法を低 学年 に教 える 際 の問いかけの内容と 低 学年の接し方)につ い て予習をするように 児 童に求めた. ( (( ( bb -bb--- 3333 )) 3))333回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論回目 の小 集団討 論 【 【【 【 教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者 】】】】 1 日 目と 同様 の教 育 担当者 が参 加し た. な お,教 育担 当者 は, 討 論マニ ュア ル( 案) を もとに ,低 学年 に適 切 な道路 の横 断方 法を 教 える際 の質 問内 容や 低 学年の 接し 方に 関す る 高学年への問いかけ 内 容について30分間で打 合せを行った. 【 【【 【 討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法討 論の 内容 と方 法 】】】 】 3日目の小集団討論で は,「低学年に適切な 道 路の横断方法を教え る 際の問いかけ内容」 や「低 学年 への 接し 方 」につ いて 班毎 に議 論 するこ とに より ,児 童 が主体 的に 他者 への 配 慮の方法を考えられ る ようにした.実施の 手 順は下記の通りであ る (表2.4). 表2.4 3日目の小集団 討論の実施手順 時間 内容 1 3 :4 5 2 日目の復習 1 3 :5 5 討論の約束事説明 1 4 :0 0 小集団討論1 の開始 1 4 :1 0 小集団討論1 のまとめ 1 4 :1 5 小集団討論2 の開始 1 4 :2 5 小集団討論1 のまとめ 1 4 :3 0 終了 ① ①① ① 2222日 目の 復習 (日 目の 復習 ( 10日 目の 復習 (日 目の 復習 (101010分)分)分)分) 2 日 目の 小集 団討 論の 意見 を集 計し た結 果を 児童 に示 し, 交通 事故 対策 につ いて 人間の 心理(急ぎや油断な ど )について解説を行 い ,結果のフィードバ ッ クを高学年に行った .
② 討 ② 討② 討 ② 討 論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明論の 約束 事( 留意点 ) の説 明 (((( 5555分)分)分)分) 1日目の小集団討論実施 時と同様に,高学年 に 討論の際の留意点を 再 度説明した. ③ 小 集団 討論 ③ 小 集団 討論③ 小 集団 討論 ③ 小 集団 討論1111の 開始(の 開始(の 開始(の 開始( 10101010分)分)分)分) 1日目の小集団討論と 同様の方法で,「低学年 に道路の横断方法を 教 える際の問いかけの 内容」について,各 小 集団の中で議論する よ うに高学年に求めた . 児童 の討 論が 停滞 し ている とき には ,教 育 担当者 間で 事前 に打 合 せた以 下の 内容 につ い て,高学年に問いか け を行った. <高学年へのヒント ( 例)> ・ 正しい止まり方 を どのように低学年に わ かってもらうか. ・ 正しい確認方法 を どのように低学年に わ かってもらうか. ・ 実際 の道路ではな く,学校内の訓練とな るが,どのように低学 年の動機づけを高め る か. ・ 低学年に正しい 横 断を求めた場合,ど の ような行動をとると 思 うか など. ④ 小 集団 討論 ④ 小 集団 討論④ 小 集団 討論 ④ 小 集団 討論1111の まとめ (の まとめ (の まとめ (の まとめ ( 5555分)分) 分)分) 小集団討論 1 が終了 した後に,教育担当 者 による学習のまとめ を 行った.まとめでは, 各小集団の特徴的な 意 見(他の集団にはな い意 見)を発表するよう に児 童に求めた.また, 教育担 当者 より ,役 割 演技法 の実 施ま でに , 友人お よび 家族 など と 一緒に 適切 な道 路の 横 断方法について考え る ように高学年に教示 し た. ⑤ 小 集団 討論 ⑤ 小 集団 討論⑤ 小 集団 討論 ⑤ 小 集団 討論2222の 開始(の 開始(の 開始(の 開始( 10101010分)分)分)分) 小集団討論1に続い て,「低学年への接し方 の具体案」について,各 小集団の中で議論す るように高学年に求 め た. 児童 の討 論が 停滞 し ている とき には ,教 育 担当者 間で 事前 に打 合 せた以 下の 内容 につ い て,高学年に問いか け を行った. <高学年へのヒント ( 例)> ・低学年にわかっ て もらうためにはどの よ うに話せば良いか. ・話をするだけで 良 いか.それ理由は何 か . ・どのような姿勢 で 低学年に話をすれば , 低学年は喜ぶと思う か など. ⑥ 小 集団 討論 ⑥ 小 集団 討論⑥ 小 集団 討論 ⑥ 小 集団 討論2222の まとめ (の まとめ (の まとめ (の まとめ ( 5555分)分) 分)分) 小集団討論 2 が終了 した後に,教育担当 者 による学習のまとめ を 行った.まとめでは, 各小集団の特徴的な 意 見(他の集団にはな い意 見)を発表するよう に児 童に求めた.また, 教育担 当者 より ,役 割 演技法 の実 施ま でに , 友人お よび 家族 など と 一緒に 低学 年へ の接 し 方について考えるよ う に高学年に教示した .
( (( ( ⅤⅤⅤ )役 割演 技法Ⅴ)役 割演 技法)役 割演 技法)役 割演 技法 ( (( ( aaa ) 目的a) 目的) 目的) 目的 高学 年は 他者 に教 え る体験 を通 して ,適 切 な道路 の横 断方 法や 他 者への 配慮 につ いて 主 体的に 学習 する こと を 目的と した .ま た, 役 割演技 法の 本学 習に 参 加した 低学 年は ,道 路 を横断する際の適切 な 行動について学習す る ことを目的とした. ( (( ( bbb )b))) 方法方法方法方法 ( (( ( bbb -b--- 1111 )))) 事前 学習事前 学習事前 学習事前 学習 【 【【 【 教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者教 育担 当者 】】】】 小集 団討 論と 同様 の 教育担 当者 が事 前学 習 に参加 した .な お、 高 学年の 事前 学習 に先 立 ち,教育担当者は30分 間で当日の実施内容 を 確認した. 【 【【 【 事 前学 習事 前学 習事 前学 習事 前学 習 の 内容 と方法の 内容 と方法の 内容 と方法の 内容 と方法 】】】 】 事前学習では,高学 年用教え方マニュア ル(以下,「高学 年用マニ ュアル」と記す;付録 1 参照 )に 従い ,役 割 演技法 の本 学習 の中 で ,適切 な道 路の 横断 方 法を低 学年 に教 える た めの練習を高学年が 行 った.実施の手順は 以 下の通りである(表2.5). 表2.5 事前学習の実施 手順 時間 内容 1 0 :4 0 3 日目の復習 1 0 :5 0 役割演技法本学習の説明 1 1 :0 0 4 日目( 今回の学習) の説明 1 1 :1 0 高学年同士の学び合い 1 1 :2 0 まとめ 1 1 :2 5 終了 ① ①① ① 3333日 目の 復習 (日 目の 復習 ( 10日 目の 復習 (日 目の 復習 (101010分)分)分)分) 3 日 目の 小集 団討 論の 意見 を集 計し た結 果を 児童 に示 し, 低学 年に 適切 な道 路の 横断方 法を教 える 際の 問い か けや低 学年 への 接し 方 につい て, 役割 演技 法 の本学 習時 に自 らが 用 いようと思う内容を 高 学年用マニュアルに 記 すように教示した. ② ②② ② 本 学習 の説 明(本 学習 の説 明(本 学習 の説 明( 10本 学習 の説 明(101010分)分)分)分) 本学 習で 実施 する 内 容や手 順を 高学 年に 口 頭で説 明し た. 高学 年 に伝達 した 内容 は下 記 の通りである. ・本学習では,教育担 当者の指示に互い,低学 年の整列や世話は高 学 年各人が担当する. ・教師役を演じて い る際に不明な点など が あれば,必ず教育担 当 者に相談する. ・本学習の高学年の目 標は,「低学年 が道路を 適切に横断できるよ う にすること」で ある. ・今 回対 象と する 適 切な横 断方 法と は,「い つでも 必ず 止ま って , 確実に 左右 を確 認し, 横断歩道を手をあげ て 横断する」である. ・本学習当日は,9 班(小集団討論で構 成 した班)毎に行動し , 高学年 1 名と低学年 1 名がペアを組み活動 す る.
・低学年は 6班を構 成するため,高学年6班が低学年とペアを 組 み,残りの3班は教育 担当者の補助,およ び ,低学年とペアを組 む 班の手助けをする. ・本 学習 の開 始前 に 低学年 を迎 えに 行き , 班毎に 色分 けし たゼ ッ ケンを 付け る手 伝い を する(高学年と低学 年 のラポール形成のた め). ・適切な道路の横断を 低学年に教える場所(当 日の模擬交通状況を 高 学年に図示:図2.3) として,見通しの悪 い 交差点(横断歩道あ り )を 3 箇所設定するた め,この 3 地点に 分かれて,班毎に交 代 で訓練を実施する( 2 班×3地点). ・想定する交通状況 は2場面であり,「見通 しの悪い交差点で右 方 向から交差車両が接近 し , 低 学 年 の 横 断の 際に 交 差 車 両 の ド ライ バー ( 教 育 担 当 者 )が 横断 を 促 す 状 況 ( 以 下 ,「 促 し 状 況」 と 記 す)」 と 「 交 差 点付 近 で 遊戯 を し て お り ,高 学 年複 数 と 低 学 年 1 名がボールを取り合 う 競争をしている状況 ( 以下,「急ぎ状況」と 記 す)」である. ・各 地点 では ,高 学 年一人 一人 がペ アを 組 んだ低 学年 に普 段通 り の横断 を求 め, 促し 状 況 下 で , 高 学 年 用マ ニュ ア ル に 記 さ れ てい るチ ェ ッ ク 項 目 に 従い その 行 動 を 観 察 し , 観 察 後 , 良 い 点 を褒 め不 適 切 な 点 を 低 学年 が気 づ く よ う に 問 いか ける ( 行 動 修 正 法 ; Rothengatter,1977). ・高 学年 によ る説 明 が終了 した 後に ,再 度 ,低学 年に 模擬 した 見 通しの 悪い 道路 の通 過 を 求 め , 高 学 年 が説 明し た 内 容 を 低 学 年が 実施 し た 場 合 に は 褒め ,実 行 で き な け れ ば 再び訓練する. ・訓 練を 実施 して い ない待 ち時 間に は, 高 学年用 マニ ュア ルに 記 してあ る写 真( 大型 車 の存在する直線道路 と 見通しの悪い交差点 : 付録 1 参照)を示し, 低学年から危険と 感 じ る 箇 所 を 聴 き, 両状 況 の 顕 在 的 お よび 潜在 的 危 険 に つ い て議 論す る . ま た , 適 切 な道路の横断方法に つ いて低学年に問いか け る. ・促 し状 況下 の学 習 と小休 憩の 後, レク リ エーシ ョン と称 し, 高 学年と 低学 年が ペア を 組 ん で 遊 戯 を し てい る間 に , 急 ぎ の 状 況( 高学 年 と の ボ ー ル を取 る競 争 中 に , 交 差 道 路 に ボ ー ル が 出 る状 況) を 模 擬 し , 促 し状 況下 と 同 様 に , そ の際 の低 学 年 の 行 動 を 観 察し,良い点を褒め , 不適切な点を問いか け る. 教育担当者 1 年生( 1 名)4 年生(1 名) スタ ート 児童待機 場所( 2 班) 終了児童 待機場所 ゴール 教育担当者 1 年生( 1 名) 4 年生( 1 名) スタート 児童待機 場所( 2 班) 終了児童 待機場所 ゴール 駐車車両 教育担当者乗車 教育担当者 1 年生( 1 名) 4 年生( 1 名) スタート 児童待機 場所( 2 班) 終了児童 待機場所 ゴール タイムキーパー・ 写真撮影 サポート児 童( 1 班) サポート児 童( 1 班) サポート児 童( 1 班) 教育担当者 カメラ 駐車車両 駐車車両 教育担当者 教育担当者 カメラ カメラ 教育担当者乗車 教育担当者乗車 図2.3 本学習の模擬状 況 また ,低 学年 への 接 し方と して ,3 回目 の 小集団 討論 で高 学年 が 提案し た意 見を 参考 に して,以下の点を伝 達 した.
・「だめ」や「違う 」 などの否定的な言葉 は 極力言わない. ・低学年の良かっ た 点は必ず「褒める」 よ うにする. ・重要な点は繰り 返 し,低学年に伝える . ・目線を合わせて , 笑顔で問いかける. ・高学年が答えを 言 うのではなく,低学 年 が答えを見つけられ る ようにサポートする . ・そ の他 (そ の他 に ついて は, 事前 学習 の 中で思 いつ いた アイ デ アを高 学年 用マ ニュ ア ルに記すように高学 年 に求めた). ③ ③③ ③ 4444日 目( 今回 の学 習)日 目( 今回 の学 習) の 説 明(日 目( 今回 の学 習)日 目( 今回 の学 習)の 説 明( 10の 説 明(の 説 明(101010分 )分 )分 )分 ) 4日目の事前学習(今 回の学習)で実施す る 内容について,高学 年 に口頭で説明した. ④ 高 学年 同士 の学 び合い ④ 高 学年 同士 の学 び合い④ 高 学年 同士 の学 び合い ④ 高 学年 同士 の学 び合い (((( 10101010分分分分 )))) 映像を見て飛び出 し や適切な道路の横断 方 法について説明した . その後,高学年 2 名が ペアを 組み ,教 師役 と 低学年 役を 交互 に演 じ るよう に求 め, 不適 切 な横断 方法 を記 録した 映像を 見た 後, 高学 年 用マニ ュア ルに 記さ れ ている チェ ック 項目 を もとに 教え 合う 学習を 行った. 高学 年に 伝達 した 低 学年の 横断 行動 のチ ェ ック項 目は 下記 の通 り である .な お, チェ ッ ク項目はイギリスの 子 どもの横断行動の指 針 である英国DfT(Department for Transport) のGreen Cross Codeを 参考にした.
<チェック項目> 役割 演技 法の 本学 習 の促し およ び急 ぎの 各 状況下 で, 低学 年の 行 動を観 察し て, 以下 の 行動をチェックする . □ とび出してい な いか. □ わたるまえに と まったか. □ 右左右をきち ん とみたか. □ 運転手さんと ア イコンタクトした. □ もう一度、右 左 右をみた. □ おうだんほど う を わたったか. □ ななめに わた っ てないか. ⑤ ⑤⑤ ⑤ ま とめ (ま とめ (ま とめ ( 5ま とめ (555分 )分 ) 分 )分 ) 事前 学習 のま とめ と して, 教育 担当 者か ら 高学年 に以 下の 内容 を 伝達し ,教 師役 およ び 安全への動機づけを 高 めるようにした. ・低学年が適切な道路の 横断方法を習得する に は,本学習の高学年の教 え方が重要である. ・低学年の普段の横 断 行動が適切になるよ う に,日常生活の中で 高 学年が見本となる. ・集団登下校時に高 学 年が低学年をサポー ト する. ( (( ( bbb -b--- 2222 )))) 本学 習本学 習本学 習本学 習 事前学習の 7 日後に 実施した本学習では , 高学年が教師役とな っ て,低学年に道路の適
切な横断方法を教え た.実施の手順は以下の 通 りである(表2.6).なお ,当日は雨天ため, つくば市K小学校の体 育館で本学習を実施 し た. 表2.6 本学習の実施手 順 1班 2班 3班 4班 5班 6班 10:40 11:10 11:30 11:40 12:00 12:10 終了 教育の準備と実施内容の説明 横断訓練(誘導状況下)の実施 地点1 地点2 地点3 10:50~10:55→普段の横断の実施 11:45~11:55→4年生による訓練 11:55~12:00→教育後の再横断の実施 まとめ 11:40~11:45→緊急状況時の横断の実施 10:55~11:05→4年生による訓練 11:05~11:10→教育後の再横断の実施 10:50 確認地点と行動の復習 休憩 横断訓練(急ぎ状況下)の実施(レクリエーション想定) ① ① ① ① 教 育の 準備 と実 施内容 の 説明教 育の 準備 と実 施内容 の 説明教 育の 準備 と実 施内容 の 説明教 育の 準備 と実 施内容 の 説明 (((( 10101010分)分) 分)分) 低学年 との 間の ラポ ー ルを形 成す るた めに , 教育担 当者 が自 己紹 介 を行い ,役 割演 技法 当日の 実施 内容 の説 明 を行っ た. なお ,本 学 習の実 施に 先立 ち, 高 学年各 人は ,ペ アを 組 む低学年のゼッケン 着 用の手助けをして, さ らに,班毎に整列す る 際の補助をした. ② ② ② ② 促 し促 し促 し促 し 状 況下 での 横断訓 練状 況下 での 横断訓 練状 況下 での 横断訓 練状 況下 での 横断訓 練 (( 20((202020分)分) 分)分) 実施内容の説明の 後 に,促し状況下での横 断の3箇所で学習を行 った(図2.4).各箇所 での学習では,以下 の 通り実施した. ・まず 教育 担当 者か ら 実施内 容と 想定 して い る場面 を説 明し た. す なわち ,左 右に 遮蔽 物 のある道路の先に T 字 路交差点が存在する こ と,道路の何れかの 方 向に車両が存在する 可能 性が ある こと を低 学年 に伝 達し た. なお ,当 日は 体育 館で 本学 習を 実施 した ため, 実車 では なく ,自 動車 の絵 を描 いた ボー ド( 図 2.4)を 用い ,ボ ー ドを 持っ てい る教育 担当者をドライバー と して考えるように低 学 年に説明した. ・その 後, 各ペ ア毎 に 学習を 実施 した .学 習 では, 高学 年用 マニ ュ アルを 用い て, まず 高 学年 がペ アを 組む 低学 年に 普段 通り の横 断を 求め ,低 学年 の行 動を チェ ック した .低学 年は,交差点の約6m手 前から歩行を開始し た . ・低学 年の 横断 の終 了 後,高 学年 が低 学年 の 良かっ た点 を褒 め, 不 適切な 点を 問い かけ た (高学年による訓練). ・高学年による訓練 後 に,再度,低学年に 横 断を求めた. ・一人 の低 学年 が道 路 の横断 を行 って いる 間 ,他の 低学 年が その 横 断の様 子を 観察 しな い ように ,待ち 時間の 間 ,実際 の交通 場面の 写 真を見 ながら ,危険 箇 所を探 索する 課題を 行うように児童に求 め た.
図2.4 模擬した交通状 況と低学年の横断の 様 子 ③ 確 認地 点と 行動 の復習 ③ 確 認地 点と 行動 の復習 ③ 確 認地 点と 行動 の復習 ③ 確 認地 点と 行動 の復習 促し 状況 下の 訓練 の 後,3 箇所 の地 点毎 に ,どの 位置 で交 差道 路 の先が 見え るか を低学 年と確 認し た. また , 交差点 で確 実に 見る こ とを身 体で 学習 でき る ように ,時 間を かけて 左右を確認する動作 を 低学年に求めた. ④ ④ ④ ④ 急 ぎ状 況下 での 横断訓 練急 ぎ状 況下 での 横断訓 練急 ぎ状 況下 での 横断訓 練急 ぎ状 況下 での 横断訓 練 (((( 22 022000分)分) 分)分) 確認地点と行動の 復 習および小休憩の後 に ,急ぎ状況下での横 断 の学習を 3 箇所 に分け て行った(図2.5).各 箇所での実施手順は ,促し状況下と同様で あ ったが,急ぎ の状況下 では,交差点付 近で高学 年複数人と低学年1名 がボールを先に取る 競 争を行う想定とした. この学 習は ,急 ぎ状 況 (ボー ルを 追い かけ る 状況) 下で 低学 年の 飛 び出し を誘 発す るよ う に,レ クリ エー ショ ン の位置 づけ とし ,交 差 点付近 での ボー ル取 り 競争を 行う 以外 の低 学 年は,その状況を観 察 しないように,ペア を 組む高学年とゲーム ・ 手遊びを行った. 図2.5 急ぎの状況下で 低学年が飛び出す様 子 ⑤ ⑤ ⑤ ⑤ ま とめ (ま とめ (ま とめ (ま とめ ( 10101010分)分)分)分) 各ペ アが 急ぎ 状況 下 での学 習を 終了 した 後 ,教育 担当 者が 再度 適 切な道 路の 横断 方法 に ついて 問い かけ た. こ の際, ボー ルが 道路 に 出ても ,必 ず止 まっ て 周囲を 見る こと の重 要 を伝えた.また,高学年 には,事前学習で説 明し た以下の内容を再度 伝 え教育を終了した. ・低学年の普段の横 断 行動が適切になるよ う に,日常生活の中で 高 学年が見本となる. ・集団登下校時に高 学 年が低学年をサポー ト する. 遮 蔽 物 遮 蔽 物 遮 蔽 物 児 童 模 擬 車 両 ド ラ イ バ ー 役 目 印 横 断 歩 道 低 学 年 高 学 年
2. 2.2. 2. 1.41.41.4 1.4 質 問紙 およ び行動 観 察調 査に よる 有用性 の 把握質 問紙 およ び行動 観 察調 査に よる 有用性 の 把握質 問紙 およ び行動 観 察調 査に よる 有用性 の 把握 質 問紙 およ び行動 観 察調 査に よる 有用性 の 把握 実施し た教 育の 有用 性と課 題を 把握 する た めに, 質問 紙と 行動 観 察によ る児 童対 象の 調 査を実 施し た. 交通 事 故の減 少, 適切 な行 動 の促進 ,安 全な どに 繋 がる態 度や 知識 の形 成 の点から,交通安 全教育 の効果を評価するこ と が有用と報告されて い る(Dragutinovic & Twisk,2006).ま た, 参加 した 児童 が教 育に 対し て好 意的 な感 情( 例え ば, 楽し かっ た) を抱 いた か否 かが 重要 とな る( 小川 ,2000b).本 節で は, 安全 など に繋 がる 態度 や知 識の 改善と児童の感情を 質 問紙により調査し, 適 切な行動の促進を観 察 調査から把握した. ( (( ( 111 )1))) 方法方法方法方法 ( Ⅰ ) ( Ⅰ )( Ⅰ ) ( Ⅰ ) 質 問紙 調査質 問紙 調査質 問紙 調査質 問紙 調査 ( (( ( aaa )a))) 高学 年高学 年高学 年高学 年 対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙 本教 育で は, 高学 年 が安全 や他 者へ の配 慮 を学習 する こと を目 的 とした ため ,こ の点 が 変容したか否かを質 問 紙により調査した.調査 は,高学年を対象と して ,小集団討論の前, 3回の小集団討論後,お よび,役割演技法(事前 学習と本学習)の実施後 の計6回行った. 昨年度使用した質問 紙 の中から,本節の質問 項目を選定した(表2.7).質問項目7は昨 年度の 調査 で使 用し な かった が, 交通 安全 で 学習し た内 容が 他の 領 域の安 全( 防災 )に 般 化可能 か( 適用 され る か否か )を 把握 する た めに新 たに 設定 した . 質問紙 は上 記の 質問 項 目,お よび ,児 童の 感 想を聴 く項 目, さら に は,名 前, 性別 ,お よ び,通 学手 段の 記載 箇 所(フェイスシート ) からなる6 ページの構 成とし,本学習後の 質 問紙は7ページからな るもの を使 用し た. ま た,小 学校 教員 に事 前 に確認 して もら い, 4 年生で も理 解し て容 易 に答え られ るよ うに , ひらが な表 記も しく は 漢字に ルビ を設 ける な どの工 夫を した .加 え て,児 童の 調査 に対 す る動機 づけ が低 下し な いよう に, 質問 数が 多 くなら ない よう 配慮 し た.な お, 質問 紙調 査 の実施 およ び用 紙の 回 収は, 小学 校の 担当 教 員にお 願い し, 2 回 目 から 6回目(教育実施 日)の調査は,教育 終 了後の当日に行った . 表2.7 安全教育前後の 質問紙調査の項目( 高 学年) N o 質問項目 選択肢 カテゴリー 調査の実施 1 自分は交通事故に遭わないと思うか 2 交通法規を守れば事故に遭わないと思うか 3 自分は交通事故に遭わないよ うに横断している (歩 いている)と思うか 4 ドラ イバは道路を渡る自分をいつも見ていると思うか 5 低学年は自分の言うことを聴いてくれると思うか 6 自分は低学年の気持ちをよく理解していると思うか 7 地震が起こった ときに,まずに何をしようと思うか 1. 助けを求める ,2.冷静になる ,3.大声を出す, 4.急いで逃げる 防災 8 自動車と交通事故に遭った 場合は誰が悪いと思うか 1. ドライバー,2. 自分,3. 運,4. 自分とドラ イバー 事故防止 9 低学年に適切な道路の横断方法を教えられた と思う か ・できなかった ,・少しできなかった,・わからない, ・少しできた,・できた 他者配慮 10 低学年の気持ちを考えることができた と思うか ・できなかった ,・少しできなかった,・わからない, ・少しできた,・できた 他者配慮 11 低学年とのお勉強は楽しかった か ・楽しくなかった ,・ふつう,・楽しかった 教育への感情 12 低学年に教えるのは難しかった と思うか ・難しくなかった ,・ふつう,・難しかった 教育への感情 1.そ う思わない,2. ややそう思わない,3.どちらでもない, 4.ややそう思う,5. そ う思う 事故防止 教育実施前, 小集団討論, 事前学習, 本学習の 実施後の6回 他者配慮 本学習の 実施後
( (( ( bbb )b))) 低学 年低学 年低学 年低学 年 対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙対 象 の質 問紙 本教 育で は, 低学 年 が様々 な状 況下 に置 か れても 適切 な道 路の 横 断行動 がで きる よう に なることを目標とし た ため,質問紙では ,3種 類の場面(図2.6)で,友人が横断を促して いる状 況と ボー ルが 道 路に出 た状 況を 想定 し て,そ の際 の道 路の 横 断方法 に関 する 意図 を 役割演 技法 の本 学習 前 後に聴 取し た. さら に ,自ら の交 通事 故の リ スクや 子ど もの 交通 事 故の原 因に 関す る認 識 につい ても 教育 前後 に 低学年 に質 問し た. ま た,本 学習 後の 調査 で は,実 施し た学 習へ の 感情( 楽し かっ たか 否 か)や 実施 した 内容 の 理解, さら には ,高 学 年に対する感情(高 学 年は優しかったか否 か )についても聴取し た (表2.8). (a)場面1 (b)場面2 (c)場面3 図2.6 質問項目で想定 した場面(低学年: 友 人の促し状況) 表2.8 安全教育前後の 質問紙調査の項目( 低 学年) N o 質問項目 選択肢 カテゴリー 調査の実施 1 自分は交通事故に遭わな いと思う か ・ はい,・ いいえ 教育前後 2 場面1 で 友人が促して いるがどのように横断する か 教育前後 3 場面2 で 友人が促して いるがどのように横断する か 教育前後 4 場面3 で 友人が促して いるがどのように横断する か 教育前後 5 場面1 で ボールが道路に出たがどのように横断 するか 教育前後 6 場面2 で ボールが道路に出たがどのように横断 するか 教育前後 7 場面3 で ボールが道路に出たがどのように横断 するか 教育前後 8 子どもの交通事故原因で 一番多いと思う ものは 何か ・ 信号無視,・ 飛び出し,・ 横断歩道を渡らな い, ・ 道路上で の遊戯 教育前後 9 実施した教育は楽しかったと思うか ・ 楽しかった ,・ 楽しくな かった 教育への感情 教育後 1 0 実施した安全教育を理解したか ・ はい 理解で きた,・ いいえ 理解で きな かった 教育の理解 教育後 1 1 安全教育で 学習した内容は何か ・ 飛び出さな いこと,・ 信号を守ること,・ 道路で 遊ばな いこと 教育の理解 教育後 1 2 高学年は優しかったか ・ 優しかった ,・ 優しくな かった 高学年への感情 教育後 事故防止 ・ 友達が待って いるので 走って 渡る, ・ 友達が待って いて 車もいな いので 走って 渡る, ・ 友達が待って いるが,左右を確認して 歩いて 渡る, ・ 大事な ボールな ので 走って 渡る, ・ 大事な ボールで 車もいな いので 走って 渡る, ・ 大事な ボールだ が,左右を確認して 歩いて 渡る, 質問 紙は 上記 の質 問項 目, さら には ,名 前, 性別 ,お よび ,通 学手 段の 記載 箇所 (フェ イスシート)からなる6ページの構成とした .ま た,小学校教員に事 前に 確認してもらい, 1 年生 でも 理解 して , 容易に 答え られ るよ う に,ひ らが な表 記も し くは漢 字に ルビ を設 け るなど の工 夫を した . さらに ,児 童の 調査 に 対する 動機 づけ が低 下 しない よう に, 質問 数 が多く なら ない よう 配 慮した .な お, 質問 紙 調査の 実施 およ び用 紙 の回収 は, 小学 校の 担 当教員 にお 願い し, 教 育後の 調査 は, 教育 終 了後当 日に 実施 した . また, 最も 多い 子ど も の交通 事故 原因 につ い ての質 問を 行っ たが , 飛び出 しの みが 原因 で あると 低学 年が 誤解 し ないように,質問紙 調 査の実施後に担当教 員 から説明を加え,教 育 的配慮を行った. はやくおいでよー はやくおいでよー はやくおいでよー
( (( ( ⅡⅡⅡ )Ⅱ))) 実 路で の実 路で の実 路で の実 路で の 行 動観察 調 査行 動観察 調 査行 動観察 調 査行 動観察 調 査 実施 した 安全 教育 の有 用性 と課 題を 行動 変容 の点 から 把握 する ため に, 昨年 度の 調査と 同様に,実際の道路 上 での児童の横断を観 察 した.観察方法は自 然 観察法を採用した. ( (( ( aaa ) 対象 者a) 対象 者) 対象 者) 対象 者 交通安全教育に参加 し たつくば市立K小学校 低学年と高学年を対 象 者にした. ( (( ( bbb ) 観察 者b) 観察 者) 観察 者) 観察 者 これまでに児童の 観 察調査の経験がある 交 通安全関係の業務に 携 わる 3 名を観察 者とし た.この 3 名は 事前に 行動観察の練習をし て ,適切な左右確認行 動 などについての認識合 わせを行った. ( (( ( ccc ) 観察 項目c) 観察 項目) 観察 項目) 観察 項目 実施した教育の中 で ,低学年と高学年は,適 切な横断方法として,「 飛び出さずに必ず止 まって ,左 右を 確認 し た後に 横断 歩道 を手 を あげて 渡る 」を 学習 し た.こ の学 習内 容を 児 童が 実際 の道 路に おい て実 践し てい るか 否か を把 握す るた めに ,横 断時 の行 動( 表 2.9) を観察 した .横 断行 動 の観察 項目 の中 で, 左 右確認 と他 児童 の行 動 につい ては ,横 断時 に 一旦停 止し て左 右を 確 認した 場合 に「 十分 」, 停止せ ずに 左右 を確 認 した場 合に 「適 」,停 止せず左右確認も行 わ なかった場合に,「不 適 (なし)」として評価 す るよう 3 名の観 察者 間で事 前に 合意 した . さらに ,総 合評 価は , 横断前 の左 右確 認と 歩 行速度 など を考 慮し て 評価す るよ うに した . 以上の 児童 の横 断行 動 の他に ,フ ェイ スシ ー トとし て, 観察 日時 , 観察時 の天 候と 雨具 の 利用の 有無 ,一 緒に 横 断した 人数 ,対 象児 童 の性別 を記 した .加 え て,観 察対 象児 童が 横 断する 際の 交通 状況 , 衝突す る可 能性 のあ る 対象が 存在 した 場合 の 当該車 両の 挙動 ,衝 突 の危険 性に つい ても 記 録した .な お, 横断 行 動の観 察項 目に つい て は,Sandels(1975), 斉藤(1986),貝沼・ 塙 ・宇留野(1966)を 参 考にした. 表2.9 児童の横断時の 行動観察項目 ( (( ( ddd ) 観察 方法d) 観察 方法) 観察 方法) 観察 方法 過去 の研 究( 大谷 他,2011; 大谷 他,2012) と 同様 に, K 小 学校 校庭 内に 配置 した ワゴ ン車内 より 児童 の行 動 を観察 した .児 童か ら 車内が 見え ない よう に ワゴン 車内 部を 暗幕 で 覆い,黒色フィルムを 当該車両のガラスに 貼 りつけた(図2.7).観察者1名が観察対象と する児童を決定し, 対 象児童の下校時の横 断 行動を目視して,前 掲 表 2.8 の項目に ついて N o 観察項目 評価 1 横断前の左右確認 ・ 十分,・ 適,・ 不適(な し) 2 手をあげて 横断 ・ あり,・ な し 3 横断歩道の通過 ・ あり,・ な し,・ 逸脱 4 歩行速度 ・ 一定,・ 走り横断,・ 前半早足,・ 後半早足, ・ 中央早足,・ 中央遅足 5 通過時会話の有無 ・ あり,・ な し 6 他児童の横断 ・ 十分,・ 適,・ 不適(な し) 7 総合評価 ・ 安全型( 確認- 歩) ,・ 急ぎ 型( 確認-走り) , ・ 不注意型( 無確認- 歩き) ,・ 飛び出し型( 無確認- 走り) 横断行動 項目
3 人の 観察 者が それ ぞ れ筆記 する よう にし た .記録 に際 して は, 他 の観察 者の 評価 が影 響 しない よう に会 話な ど を最小 限に した .な お ,低学 年お よび 高学 年 と他の 学年 の識 別は , 低学年 (1 年生 )は ラ ンドセ ルに 黄色 のカ バ ーをか けて 登下 校し て いるた め, それ を目 印 とした.また ,高学年( 4年生)は,1回目の小 集団討論実施前に ,黄 色の反射テープを交 通事故 の防 止目 的用 に ランド セル につ けさ せ たため ,そ れを 目印 と した. なお ,行 動観 察 調査に 際し ては ,児 童 の巨視 的な 行動 を観 察 するた め, ワゴ ン車 内 より, 児童 およ び通 行 人の顔が特定できな い 範囲でビデオ録画を 行 った. 観察 調査 とビ デオ 記 録を実 施す るに 際し て ,児童 のプ ライ バシ ー などに つい て弁 護士 に 相談し,K小学校の教員 および児童の保護者 , さらには,当該地区 の 警察の了解を得た. (a) 観 察車両の外観 (b)車両内か ら の風景 図2.7 観察車両と車内 からの風景 ( (( ( eee ) 日時e) 日時) 日時) 日時 役割演技法の事前学 習実施(12月12日)前 の8日間(2013年12月2日,3日,4日,5 日,6日, 9 日,10日, 12日)と本学習 実施後 の7日間( 2014年1 月8 日,9日 ,10日, 14日,15日,16日,17日)の間で,児童の下 校時(14時00分から15時00分)に観察 調査を行った.観察 日 は,雨天ではなく, 教 員による立哨がない 日 であった. ( (( ( fff ) 場所f) 場所) 場所) 場所 K 小学校の南門から 下校を行い,歩行者 信 号機のない T 字路交差 点を左折して道路( 図 2.8)を横断する児 童を 観察対象とした.観察者 が搭乗するワゴン車 は このT字路交差点と 横断歩 道が 見え る位 置 に設置 した .な お, ワ ゴン車 と登 下校 中の 児 童との 距離 は近 距離 で あった が, ワゴ ン車 を 見る様 子は 児童 に見 ら れず, 当該 車両 の存 在 で行動 が変 化す るこ と はなかった.
(a)観察したT字路交 差点 (b)横断 児 童左側風景 (c) 前 方風景 (d) 右側風景 (e)観察場所の俯瞰 図 図2.8 観察対象としたT字路交差点 ( (( ( ⅢⅢⅢ )本 学習 実施 時の行 動 観察 調査Ⅲ)本 学習 実施 時の行 動 観察 調査)本 学習 実施 時の行 動 観察 調査)本 学習 実施 時の行 動 観察 調査 本学習中の低学年の 横 断行動の変化を把握 す るために,学習状況下の 行動を観察した(前 掲図 2.4参照). ( (( ( aaa ) 対象 者a) 対象 者) 対象 者) 対象 者 本学習に参加したつ く ば市立K小学校低学年 を対象者にした. ( (( ( bbb ) 観察 項目b) 観察 項目) 観察 項目) 観察 項目 以下の方法で記録 し た画像を 30フ レーム/秒でフレーム解析を 行 い,横断時の児童の行 動を分 析し た. 分析 対 象とし た行 動は ,促 し 状況下 にお いて ,高 学 年によ り訓 練を 受け る 前の横断と受けた後 の 横断とした.分析し た 横断行動は以下の通 り である. ① ①① ① 確 認行 動確 認行 動確 認行 動 確 認行 動 ① ①① ① --- 1-111一回 の平 均確 認一回 の平 均確 認一回 の平 均確 認一回 の平 均確 認 時間時間時間時間 車室内の画像表示装 置 への確認行動の測定 方 法に関する標準であるISO 15007-1では,装 小 学 校 南 門 観 察 対 象 の T字 路 交 差 点 校門 車道 車道 歩道 歩道 5.0m 2.0m 自転車通行帯 横断歩道 4.5m 児童の動線 縁石
置への 一回 の確 認時 間 を,頭 部お よび 視線 移 動時間 と表 示装 置へ の 確認時 間の 総和 と定 義 してい る. 本節 では , 道路横 断時 に, 頭部 と 眼が左 右の 各方 向に 向 いた時 間を 確認 行動 の 指標として測定した( 図2.9).交差点横断時 には,右または左方向 を繰り返し確認する 場 合があ るた め, 横断 の 際の両 方向 への 平均 確 認時間 を求 め, 低学 年 の平均 値と 標準 偏差 を 算出した. 左 前方 右 例えば, 頭 部 ・ 視 線 方 向 前方確認 右確認 時間 :一回の確認時間 :視線移動時間 左確認 図2.9 右方向を確認し た場合の確認時間の 例 ① ①① ① --- 2-222確認確認確認確認 回数回数回数回数 道路 横断 時に ,左 右 方向を 確認 した 回数 を それぞ れ求 め, 低学 年 の平均 値と 標準 偏差 を 算出した. ① ①① ① --- 3-333総確 認総確 認総確 認総確 認 時 間時 間時 間時 間 一回 の確 認時 間と 確 認回数 から ,道 路横 断 時に左 右方 向を 確認 し た総確 認時 間を 求め , 参加低学年の平均値 と 標準偏差を算出した . ② ②② ② そ の他 の横 断行 動そ の他 の横 断行 動そ の他 の横 断行 動 そ の他 の横 断行 動 ② ②② ② --- 1-111挙手 の有 無挙手 の有 無挙手 の有 無挙手 の有 無 道路横断時に挙手 を したか否かを記録し , 低学年の割合を算出 し た. ② ②② ② --- 2-222停止 位置 の適 切さ停止 位置 の適 切さ停止 位置 の適 切さ停止 位置 の適 切さ 地面に目印(前掲 図 2.4 参照)を付し, 道路 横断時に,適切な位 置 (左右の各方向の道 路先の 状況 が初 めて 見 える箇 所) で停 止し た か否か を記 録し ,低 学 年の割 合を 算出 した . 判定は,「停止なし 」,「 目印奥(交差道路 側)」,「目印手前(ス タート 地点側)」,「適切 」の 4通りとした. ② ②② ② --- 3-333促し促し促し促し 横断横断横断横断 道路 横断 時に ,ド ラ イバー 役の 促し の後 に ,児童 が確 認を せず に 横断し たか 否か を記 録 し,低学年の割合 を算 出した.判定は,「停止 なし」,「促しによ り横 断あり」,「促しに より 横断なし」の3通りと した. 本 研 究 の 解 析 対 象