4 〔原 著〕 (東京女医大渡第25巻第9号頁368・一378昭禾030年9月)
僧帽弁口狭窄症の臨床症状、所見こ弁ロの大さSの関係
東京女=子医科大学三神内科教量
教 授助教授
ミ 小 コ 神 カミ 山 ヤマ 美 ミ 千 チ(受付 昭和30年5月19日)
緒 言 僧幡弁口狭窄症の病の重さは,その弁口狭窄の 程度と肺小動脈の組織学的変化による肺血管床の 狭小度が大ぎく関係している。静脈カテーテル法 の進歩により肺毛細管圧の測定,肺動脈圧の測定 等が可能となり,:更に之より肺小動脈抵抗,全肺」血 管抵抗が算定せらるる様になった。即ち之等によ って肺血管床の狭小度を推定せらるるのである。 また一方Gorlin等により算定せられた僧帽fi lil 面積が解剖的のものとよく一致することが確めら れたので,静脈カテ・一テル法を行うことにより肺 循環の諸変化即ち病の重さを適確に把握し得るの である。然し実際はすべての僧帽弁口狭窄症に静 脈カテーテル法を行い得ないので,カテーテル所 見以外の他の臨床所見から患者の肺循環の状態を 推定することが望ましいのである。そこで:吾汝は 弁口の大さと肺小動脈抵抗とに対する臨床的症状 並に所見の関係を検討して,二等を相互に関係づ けんと試みた。この事は今や僧帽弁ロ狭窄症が外 科的手術によりその機構的障碍を克服せんと努力 せらるる現状に於て誠に意義深いものと考える。 材料及び方法 純粋の僧帽弁口狭窄症て現elPイVチスその他によ る熱の症状のない男11人女13入の患者について検討し た。年令は18才より43才平均年令30.6年である。心疾 患の平均継続年令は1年乃至16年であり,平均5.5年, そのうち心内膜炎を起したのを発病としたもの1名, 診察を受けて発見されたもの2名,自覚的症状を発病 と見倣したもの21名であるQまた過去に心不全の徴候 のあったものは6名である。. 原因的事項としては関節ロイマチスによるもの50% 和 ワ 代 ヨ でその他は,アンギナ,猫紅熱,マラリア7肺:炎等各 1乃至2名であった。 全患者は僧幅弁口狭窄症の診断K最も必要とせられ る心尖部拡張期雑音を有した。然してこれらはすべて 外科的に弁口切開術が行われ,純粋な僧帽弁ロ狭窄症 として確認されたものである。全患者は理学的検査, 標準肢誘導,単極肢誘導胸部誘導による心電図,実物 大レ線撮影と静肱カテeプレ法が行われたものである。 心搏出量はFickの直接法により行い肺小動脈抵抗, 1)全肺血管抵抗等は既に発表されている方法により算定 した。肺毛細血管圧の測定は7名のみ成功したK過ぎ なかったので他は肺動脈拡張期圧を代用した。弁口の 大きさは外科的手術の際測定した実測値であり,計算 値とは略々近似値を示したが5入に於てO.5cm2の差 かあった。その中1入は計算値の方が小さく4入は大 きかった。 臨床的諸症状はaれら患者に恒常的に存在する特長, 及び頻発的に繰返される特長のみを分析した。蓋し之 等諸要素のみが三三弁口の一一定の狭小度並びに一程度 の肺血管障碍と関係をもつからである。 成 績 A)弁口の大さと肺循環系諸変化との関係 24名の静脈カテーテル所見と算定された生理学的 デー一夕は既に発表したが,弁口の大さは実測値に よるが故に既発表のものと多少の相違があるので f9一“表に示した。僧幡弁口の広さと僧帽弁口狭窄 症の患者の症状との関係は,その狭い弁口によっ て惹起される肺循環系の変化によって左右される ものである。 その変化の第一は狭い弁ロの背後の圧一上昇であ る。この圧は僧帽弁口狭窄症の憩渚:の肺症状に関 一詔8一融 ゆ 1
第 一
表
僧帽弁狭窄症24例の所見
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穿ノ図
上昇として測定された肺小動脈の狭小が起る。 弁口の大さと晶出量との関係は第2図に示し た。即ち心指数とはr=十〇.434にて有意の相関 を,1回心搏出藍数とはr;・十〇.982にて同様に高 度の相関を示した(第3図)。 才2・図 ’巴指数と僧帽弁口の 六きさとの∫知で系 ((渇つ 1.6 し サ 僧12 帽to 弁qδ ?・.6 大b辱 箕・二 、 r=■o.阜3亨 の Pr{t・tレ而 府毛細壕βヒ僧輪吻 入{さヒの肉係 。 〈t ,in’] 16 傍1’ ig 中昌1・z 弁1,0 口08 又α、 き偽 さ。.20
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一一”’・ ・鵯戸出係数と僧唱弁ロの 画きさとのr幻係 V’一=ナO. 7fi 2一 晩弓くジ〈 ,’ 風 .ノ 一’ 20 ”o 60 Sb too ・一唱榑出係数
「=’e’s99@ 肺毛細管圧と肺小動脈抵抗との関係は第 ゆ婦くσ・e∫姻に示した.之を見るva肺毛細管圧20 才tt一図LL
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示した。即ち r=一〇.558にで逆の相 関を示す。然しこの肺 毛細管圧の上昇も限度 があるQ長い聞血漿膠面心と同じ高度25mm
H9を保持する時は肺
浮腫を惹起する事が明 3) かである。これをさけ るために血、流の低下 と,更に肺小動脈抵抗 .tss’ le {,lt”He) {娼んシ{・冗.つ 1000 c:oO 鯖奮s。。 」い 100 勲ω。 日tK 抵’・。D 抗t碍。。 300 コ。噂 量oo 肝毛細管圧と肺・’・蝋腺払抗 との肉係 e む ドロ ヱむ り や ゆ 瞳毛チ田管圧侮艦晦♪ mmHg以上に湿て肺魚動脈抵抗の上昇が見られ ている○この肺小動脈抵抗の上昇は右心室総出量 の減少を来す傾向がある。即ち第5図に示す如く 肺小動脈抵抗と心指数とはr=一〇.443にて逆の 相関を示している。この心指数の減少は肺毛細管 圧の上昇度を減少せしめるのに役立つのである。7
才s図
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0 5eo foMe”b一”一.一一r一1’貯一 肺小子脈艇抗(躯∠・.・/、“ドζノ つ 即ち肺小動脈抵抗の上昇は,Dexter等のv・う如 く毛細管を通ってせまい僧帽弁口に至る並疏の薯 しV・増加を予防する一つの代償的機構であり,ま た肺毛紬管の上昇を抑制し,之により肺浮腫を予 防するものであると言える。肺小動脈の狭小が永 く続く時は肺動脈圧の上昇も煮起され,更に右心 室は之に打勝つため過働作しなければならなくな る。吾々の例に於て弁口の大さと肺動脈圧の関係 はr=一〇.527にて逆の相関を,(第6図),また全才6図
肺動腺中肉庫と僧帽昇ロの 大きさとの肉係 r=一 一 o. s27 掛昇 茸・・\気ll:1、こ\長
H一.x o.辱 oユ P・{士ン司くの・・∫ ×・sx
20 40 60 So loO 肺動豚中出m ‘…一・Ht} ‘矛マ慮 全肺血藩担.抗と僧帽弁ロの 大きさとの「剰i系 之もまた逆の相関を示している(第8図)。 ‘催つ L3’ L6 1.昏 僧 帽t・2 弁 1.o t.] @Q,gL 委・・ ミQ4 a?才3図
ズヨ・ヒ空薫と僧帽弁口の 響きさとの肉イ系 Y’=一・・0、467“ p 略避く…5
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r== 一 D. 635 B{tンt’1<…∫ 即ち吾々の例に於ては肺循環系の変化は弁口の 大さと何れも相関を示しているというヒとが出来 る。このことは前述せる如く弁口の狭小に伴う生 理的機構を裏すけるものである。即ちその生理的 機構は,第一一一一に,弁口のせまくなるにつれて…定 の。血流を保つため余計の圧が要求される事,第二 に更にせまくなると心搏出量の急激の減少が起る ということ,第三に狭窄が一一層進む時は,肺門動 脈抵抗が高まり,之により肺毛細管が保護せられ, 叉…面心轡型量が減少し,また右心室の負担を増 すものであること等である。 故に以上のことから明かの如く,僧帽弁口狭窄 症の患者の示す症状は,弁口の狭小度と,之に伴う 肺門動脈抵抗の上昇度に最も関係を持ものという ことが出来る。この両者の関係は第9図に示す如 くr=一〇.577にて有意の逆相関を示す。依って吾「f9心肺小動豚藍蝋とイ鶴魅7
〔酬ノ の夫きさとの関係 1.6 しり 僧馳.ユ 帽1.。 含。B 更・6 さ e.v ぐ OZ 1ダ嘉一〇,5ワワ Pv lt>tei〈 a.pSo 鮮蕩昧蹴(募μパ卿
kはこの両者と臨床所見,主に症状とが如何なる 関係にあるかを次項に於て明かにしようと思う。 B)弁口の大さ及び隠田動脈抵抗と臨床症状並 。 ゆ 企月や血管抵抗 2000 (・轡幽4頑つ 三一血管抵抗とはr=一〇・635にて同様逆の相関(第 7図)を示し,また右心室圧とはr=一〇.465にて びに所見との関係 吾々は通常よく見られる症状として呼吸因難と 喀一血をとりあげ,臨床所見としては浮腫,肝肥大, 心房細動,右心室肥大,P波の変化, ST−Tの 一 ,?71 nt下降,左心房拡張,肺動脈拡張をとり上げて弁口 の広さと肺小動脈抵抗とに関係すけんとした。 1)呼吸困難 自覚的要素の多V・ため之を生理学的変化と関係 すけ評価することはむすかしいが,この症状}翻市 充一心と心搏出量:の減少に関係あるものと考えられ る。吾々はその程度を3度に分けで検討した。 即ち第1度は最:も軽く,平常の生活に於ては呼 吸困難なく,頭足,階毅の昇降等に際してのみ息切 れのあるもの,第2度は,安静時には呼吸困難な く,普通の歩行に於て息切れを感ずるもの,第3度 は,最も重いもので,安静時に於ても呼吸困難ある ものとした。之等の関係は第10図に示す。即ち第 (岬り :6 僧快 幅 12 名,., 2 o・s き 0ひ ぐ 0レ o.2 o 矛lo図 呼吸.困難 ・■度 ・■度 罵■度 e 匡 覧 風5 ■
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o 1度の者は弁口も広く大休1.60∼0.70cm 2’x小動
脈抵抗も173−97 dyne/sec/cm一5の間にあり,こ の中,西○例が弁口O.7cmeにして抵抗310dyne/ sec/cm『5で梢汝抵抗の増大を認めた。第3度の 者は弁口は何れもせまく,0.72−O・17crnL’の問に あるが,肺小動脈抵抗は色.lt’で140∼1600 dyne/ sec/CM一一5に互っている。即ちこの群には弁r−1の 著しくせまく抵抗の極めて高V・ものと,弁口のせ まいに拘らす抵抗の比較的低V・ものとの2つが存 在すると言えるD第2度は弁ロの広さは0,70乃至 0.40cm 2で,抵抗は禾省,々高く 250∼600 dyne/sec/ cm−5である。然して心搏出:量との関係を見ると 第1度のものは平均2.65L/M/Ma,第袋度のも の1.96L/M/M3,第3度のもの2−0 L/M/MZに て第2及第3度には差はなv・が,第1度のものは 心指数大である。 2)喀 血 5入の患者に見られた。之と弁口との関係を晃 るに,第11図に示す如く,弁口面積129cm2を有 する小△例を除き何れも1.0 cm2以下であるQ全 例の肺毛細管圧を出し得なかったので肺動脈圧と の関係を鹸討したるに,3⑪乃至工5mmHgを示し} ほ 二四 輻1ユ 菩,.。 雲・9 き ミ。、, 、o’i O 20 肋 60 80 1ρo 肺動月榊向圧’一Hg) 比較的圧の低いことを知った。肺動脈圧の低いこ とは肺小動脈抵抗の低V・ことが推察されるが故 に,之等の患者に於ては,弁口の狭V・に拘らす肺 小動脈抵抗が低く,画面L管の急激の血流増加に対 し之を調節するカが弱v・。その結果喀血を起すも のと考えられ,る。 3)浮腫と肝肥大 之等右心不全を表わす症状に対する関係は第12 図,第13図の如くである。右助骨弓下に3横指以 勿笠図.肝肥人調
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ltdi ’i・ヘツ脈抵坑 ・56・.黹ユ伽り 上の肝肥大のみを持つもの3名,浮腫と肝肥大と を合併せるもの7名,何れも弁「1の広さは1.Ocm2 以下であるが肝肥大のみを持つものの方が僅かに 大きく1.0乃至O.6平均O.76cm2,両者を合併せ るものは0.66乃至0.17cm2,平均O.48cm2であ る。肺小動脈抵抗も前者は低く平均198dyne/sec /cm『5を示すが,後者は776 dyne/sec/CM『5 である。また爾者を有するものは心指数少く,19 名のみ2.5L/M/M2であるが他は何れも2.OL/ M/M2で平均1.8 L/M/M2である。またこの群 は前述せる第3度呼吸困難を持ってV・る。即ち弁 口小で肺小動脈抵抗大である群は右心負担の増大 を伴い,梢々もすれば右心不全を起し易V・状態に あることを意味するものと老える。 4) 心・月蔵拡大度 5) 心臓拡大度はUngerleider&Clarkの:方法に 従った。全例の平均拡大度は26%であったので,此 の数値以上のものを採り上げて見るに8名がこれ に該当した。之等は何れも弁口の広さ0.5 cm 2以 下を示し三三動脈抵抗は中等度に上昇してV・る (第14図)。樹之等の全肺血管抵抗を見るに,木○例 が447dy;:e/sec/CM−5を示す他は何れも高く, 758乃至1385dyne/sec/cm−6を示す(第15図)。 才1争図 ・巴臓拡穴皮 rrpiv) [,6 fT 11吟 暢lz をぬロ 7・8 犬06 重… 、 0ユ へ.9g殿26%融{鞠・・i・・a。・9Cl・・kン ’
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全肺血管抵抗(吻配μ/…の またこの中6名は右室肥大をもつものである。即 ち俄帽弁「1狭窄症に於ける心拡大度に対しては継 室の負担が大きな役割を演ずるものと考える。 5) ’[}房糸田動 8名に之を認め,何れも弁口1.O cm2以下であ る。肺小動脈抵抗との関係は色々であるが,その 中2名は400dyne/sec/cm 5以上の上昇を示し た(第16図)。また5名は右室肥大の心電図を持 つものである。左心房拡大度に於てはその中5名 が高度の拡大(皿度)を,3名が中等度(H度) の拡大を示した。 6) 右心室肥大 心電図上11名が右室肥大を示した。弁口の大さ 及び肺小動脈抵抗との関係をみるに,何れも弁口 の大さは1.0 cmZ以下であり,肺小動脈抵抗は中 等度の上昇を示している(第17図)。全肺一血管抵抗 はせまv・倫帽弁口と肺動脈の狭小によって示され る抵抗の測定であるが故に,全肺」血管抵抗との関 係を見た。その結:虎髭18図に示す如く11夢中10名 は1000dyne/sec/cm−ro以上の上昇を示し,平均 1671dyn.e./5ec/cm−5にして,:右室肥大のなv・群 に託ては627dyne/sec/cm}5である。即ち当室 肥大の心電図所見は弁口の狭小と,肺の.血管抵抗 の心高をあらわすものということができる。 7) P波の異常 正常の洞律動を示す患者で異常P波を示すもの 12名,異常のないもの3名であった。弁口の広さ との関係をみるに,18図に示す如く,一定の関係は 見られなかったが,これら12名の平均弁口面積は 0.64cm2であり,異常のなV・3名のものは平均0.98 cm2を:示した。また嘉応肥大を有するもの12毒中 10名に見られたが,異常なぎものに診ても2名に 見られた。ま旋肺小動脈抵抗に対する関係を見る に,異常あるものは1998dy且e/sec/cm}5乃至97 dyne/sec/cnザ5に及び,異常たきもの439∼97 dy− ne/sec/cm−bで,一一一定の関係を認め得なかった。8) ST−Tの下降
心電図上ST−Tの下降を示すもの14名あっ
たQ之等はすべて弁PI VE’i積0.70 cm2以下で,平均 弁口面積O.54 cm2である。14名中11名に右室肥 大の心電図所見を示した。肺小動脈抵抗は1998乃 至133dyne/sec/cm一” o「を示し,平均493dyne/sec/ Cm−bである。この所見のない10例に似ても弁口 面積0.70以下のもの2例あるが,平均弁口面積は 0・91Cm2にして,前者に比し大きく,また肺小動脈 抵抗も平均276dyne/sec,/crr1『 Eを示し,遙かに低 い(第19図)。即ち以上の事からST−T下降の心筋‘図心房細動
「ぼ 僧t’+ 帽邑・1 許lo 【コO呂 知6 2 a− e,2 o り ゆり 師小動豚抵抗 15。o④晩娠ワ 一37・8一 ・10 電図所見は弁口の狭小並びに肺血管抵抗の充進と 関係あるものと老えられる。 ‘lrg’堰f 僧霊 第,・ 舅£1 き1:l o ’J’iT’t7図右室肥六
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肺ト動脈旭抗. isoo「at・・Aγ/c..つ (璽の Lb 帽 u妬 弁 di Ll O 1.e 六αら き o.b ぐ o,v o,1一丁18図ヘコ電図所見
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僧桟 帽1ユ 弁1,0 9・6 んにる 算蝕 、.O,Z才20図上・u房玉人
魯 。工屋 ・虻戊璽 員虹便 t’ s 9) 左心房の拡大 X線第一斜位の写真からその拡大の程度を3つ に分ち比較した。即ち第1度はHo正zknecht腔を 涌すもの,第H度は脊椎骨中にあるもの,第m度は 脊柱を越えるものとした。すべての患者は多小に 拘わらす左心房拡大を示した。1度のもの3名,五 度のもの14名,皿度のもの7名である。弁口の大 さとの関係は第20図に示す如く一定の関係は見出 されなかったが,受皿度に拡大せるものは弁口の 広さ0.60cm2以下のもののみである。 の 心房拡張と心臓全体の拡張度とはDexter等 はある程度相互に平行するというが,吾女の例に 。 ヨの ’000 肺・’吻脈抵抗 IJroo (dy/ntt/c”t−s? 10) 肺動脈の拡張 吾々は先ずX線実物大背腹写真を基礎として青 年男女41名について正常値を検討した。脊柱の正 中線より左第二弓の最も巾の広い部を測定し肺動 脈の広さとした。正常値2.9cm乃至4.O cmに :耽り平均3.6㎝にして,3.4cm乃至3.8cmの ものが最も多かった。それで吾々は4cm以上を 病的と見倣し,4.O Cm乃至4.9 cmを第1度. 5.O cm乃至5.9 cmを下切度,6,0 cm以上を第 皿度の拡大とした。第1度のもの12名.第田干7 名,第皿度の拡張を示すものは5名であった。 の Healey及び協同者によれば肺動脈拡張は先天 性心疾患及び俗帽弁狭窄症に於て増加した血流又 は増加した圧に正比例するという。二三弁口狭窄 症に於ては肺動脈に加重される圧は僧帽弁口の狭 小なる事及び肺小動脈抵抗の大きV・事にもとすく ものである。吾々の例に於て肺動脈拡張と弁口の 大さ,肺小動脈抵抗,肺動脈圧及び丁丁血管抵抗 との関係を示せば第21図の如くである。弁口の大 vr21図師動豚拡張螺。の大きさ等との関係 ψ1脅継㎡ワ 励 憎 賢 ll] 突 章 r醐 12 1卜 1辱 監? 1σ 0.区 o.も Q.吟 oユ 0−rγ 3を 肺多力脈拡張 肝lo。 ,い 曾ρo 動ワ仰 M(6。。 SOt 施 リロ 抗3。。 zoo 駈oo o・172。3ウ 肺勧岡氷拡張 ”予『σ 動;ニ ロれ 中鴛 尚阜。 圧3。 認 ひ1亀2●3† 肝蝋瞬医轟 。・1ひ 2,30 府鰍不樵俵 きさとの関係を見るに,第1度のものは弁口の広 さ0.5乃至1.3 cm2平均O.76cmz,第■度のもの 一374一11 はO.30乃至O.70cme平均O.55cm2,第曲輪のも のは0.17乃至0.70cm 2平均0.45 cm 2となり, 弁Pの狭小度と肺動脈の拡張度とは正比例する。 暁雨動脈抵抗に於ては平均,値第1度440dyne/ sec/cm『5,第五度440 dyne/sec/cm『5,白川度 660dyne/sec/cm−5にして第二度に著しく高 い。また肺動脈中間圧は第1度26mmHg,第豆度 は37mmHg,第直面54mmHgにして,圧の向進に 比例して肺動脈の拡張の顕著となるを知る。即ち 以上により肺動脈の拡張像は狭小なる扇面弁口と 直進せる肺」血管抵抗を示すものと言い得る。更に 之を全肺血管抵抗で示せば第1度946 dyne,/sec/ cm−5,第11度1220 dyne,/sec/cM−5,歯噛度2123 dyne/sec!cm一5となりこの関係を一層明かにす るものである。 考 按 僧帽弁Pl狭窄症に於ける肺循環系の変化は,そ の弁口の狭小度に大きい関係のあることを,吾々 の成績は示した。換言すれば,弁口の狭小心に適 応して循環を維持するために,弁ロを流れる血流 や圧を変化せしめ,更に肺血管系の変化を来し, :更に進んでは右心室の変化にまで発展して行くこ とを示したのである。 吾々の症例では弁口面積1.Ocm2以上のもの
の2例,1.O cm2の者1例,1・O cm Pi以下の者18 例(不明の者3例)であったが,静脈カテーテル所 見に於てこの三者の間には著しい差があった。即 ち1.Ocm2以上の○谷.小△例に於ては心搏出量 は正常範囲にあり(3.61L/M 4.09 L/M),肺毛 細管圧も低く(10.5mmHg 14・0即mHg),肺小動 脈抵抗も低く(97dyne,/sec/cm一・5),滴滴動脈圧も 正常圧である。即ち肺血管床の変化は之を認め得 ない。然るに1.C cm2以下の群に於ては肺小動脈 抵抗の増大(133∼1998dyne/s㏄/cm−5),肺動脈 圧の上昇が顕著である。また1.Ocm 2の弁口面積 を持つ谷O例に於ては肺小動脈抵抗の僅かの上昇 が見られる(115dyne/eec−cm−5)。以上のごとか ら肺循環系の変化は,弁口面積1.Ocm2以上に於 は之を認め得ないが,・Ocm2以下に達ては肺血管 床の変化を思わせる顕著な所見を示すものと言う 8) ことが出来る。此の事はDexter等の成績と一致 するものである。次に之等生理学的変化と臨床的 所見との関係は如何であろうか?。 吾・々が臨床的所見として取扱つた呼吸困難,喀 血,浮腫と肝肥大,心拡大度,心房細動,右室肥 大,左心房拡大,ST−Tの低下,肺動脈拡張の 8つの項目に点て■0 cm]以上の弁口を持つ0 谷,小△例及び1.Ocm 2弁口面積の谷○例は特記 すべき症状を示さす僅かに第1度の呼吸困難と小 △例に於て喀一言の既往症を有する}C過ぎなV・。然 るに1.Ocm 2以下の弁口を有する殆どすべてが2 つ以上の症状を持ってV・る。また1.O cm2以下の 例に於ても二一の僅かの差によって,あるものは 呼吸困難,喀血等肺症心強く,またあるものは右室 肥大,肝肥大,浮腫等が顕著である等区k’である。 品等の相違は如何に説明さるべきであろうか。 僑帽弁口が病気により狭められた場合には.血液 循環は,僧媚弁口を通る.血流と圧を調整するこ と,肺に於ける血管抵抗を上昇することにより代 償せられている。僧帽弁口が小さくなるにつれ弁 口を通る血.流は少くなる。然してある一定度の一血 流を保つためにはその背後にある左心房の圧は上 昇しなければならなV・。しかし左心房圧の上昇は ある程度に制限される。その因子は肺浮腫の発展 である。即ち左心房圧より大でなければならなv・ 肺毛細管圧が血漿膠滲圧を凌駕する時は,肺浮腫 を惹起するが故にそれ以上は制隈される。 僧帽弁口狭窄の軽度の場合は,左心房圧の軽度 の上昇にC血漿膠滲圧より遙:かに低圧)於てよく 正常1血流を維持することが出来るのである。弁口 面積1.60及び1.29cm2の○谷,小△例に当ては,正 常範囲内の心搏出量(3.6L/M及び4,09 L/M) が血漿前論圧以下の左心房圧で確保されている事 は,肺毛細管圧がそれぞれ10.5mmHg及び14.O
mmHgなることによりうかがいうる。また之等
2例に於ては顕著な臨床症状を示していなv・。 9) Dexter等によれば,狭窄が1.Ocm2或はそれ以下 になるにつれて左心房圧は,血漿膠滲圧に諭すき, 漸く正常安静時一血流を維持し得るという。即ち可 能な限度の左心房圧の上昇と正常な心搏出:量と は,これ以上併存し得ないからであるとV・う。故に この時期即ち安静時平衡の時期に於ても,もし運 動等の酸素の需要のより冗進ずる条件が加わる如 き時は,ここに臨床症状の現われるごとが可能と なる。然し多くの重い僧帽弁口狭窄症に於ては, 此の代償的機構即ち肺」血管抵抗の増加が之に加わ IJ,種k’な臨床症状を現わしてくる。吾々の例に 一 37.5 一12 予ても1.Ocm以下のものに種々なる臨床症状を示 す。二丁動脈抵抗は生理学的に軍要なことであり, また臨床的にも重要な意義をもつものである。そ の一つは右心室に於ける心搏出量の急激の波動を 抑制することである。この高V・抵抗がなV・時は,肺 二二管は直接に強い右心室搏出にさらされること になる。何となれば肺からの血流はせまい僧帽弁 ロによって妨げられるからである。然し若し肺小 動脈抵抗の高い息合には右心室搏出量:は減少し, 肺毛細管床に対する血液の急激の波動は起らな い。第二にこの抵抗が高ければ高い程右心室に対 し負担となり,心筋肥大や心室拡張更に高度にな る時は,右心室不全を惹起することになる。かく て僧帽弁疾患の臨床的症状は弁口の大ぎさのみな ら:朔市島動脈抵抗の大ぎさにより著しく修正され るのである。即ち肺小動脈抵抗の丁度理想的なも の,小さ過善るもの,著しく高度なもの,等により 種々な臨床像を呈することになる。理想的なもの とは抵抗の増加が急激の充血から肺毛細管を保護 し,しかも右心室不全を惹起しなV・程度のもので ある。また小さすぎるものとは,右心室畑田量を 効果的に減少せしめるにしては抵抗の増加が過小 のものである。かかるものに於ては肺充血にもと すく諸症状が現われてくる。ti k’の例に於V・ても 喀血を有する安○,小○林,大○,五〇田例に於て 弁口は小さいが肺動脈圧の比較的小さい事は此点 を裏書きする例と言えよう。また抵抗著しく高度 なものは右室の著しV・肥大拡張,ひいてはその不 全の諸徴候を現わすに至る。吾々の例に於て言忌 肥大の心電図を示すものは1例を除き何れもICOO 以上の全高血管抵抗を有し,また肝肥大,浮腫等の 右室不全の徴候を示すものは,高小動脈抵抗何れ も上昇し,平均776dyne/sec/c’n『5を:しめしてv・ ることは山並1管抵抗の高度となるために現われた 臨床的諸症状と見るべぎである。また吾々の例に 於て,弁口の大きさ並びに肺血管抵抗と関係すけ られうる所見は,肺動脈拡張の所見である。第]1 度以上拡張せるものには弁口工Ocm2以下にして, 全肺1血管抵抗何れも1000 dyne/tsec/cm『5以上で あり,また肺動脈中間圧がよく三等の所見と…・致 し,第1[度以上は1例を除き40mmHg以上を示 した。即ち以上により明かの如く1.Ocm2以上のも のは臨床症状少く,1.Ocm2以下に於て種々の臨床 症状を示し,その症状の出現も弁口の大きさに加 えて三三動脈抵抗の大小によって異るのである。 ユの Dexter等は,僧帽弁狭窄症の患者をその弁Pl と肺小動脈抵抗との二つの因子から,四つの群に 分類した。即ち第一は最も軽度な狭窄であって圧 及び1血流が種々の修正により代償可能なるもの, 言い換えれば弁口の大きさ1.Qcm 2以上のもので ある。 第二.第三第四の群は弁口の広さ1.Ocm2以下 であって第一一の群に於ける如ぎ修正によってはも はや代償不可能で肺小動脈抵抗の増’加を伴うもの である。然し第二群は,比較的せまい弁口を持ち (0.5∼1.1cm2),しかも肺小動脈抵抗上昇の比較的 軽微のものeある。そのため呼吸困難や喀血等の 肺充血の徴候が明かであるが,右室不全の徴候は なV・ものである。第三群は,重v・狭窄(04∼0.70 cmZ)であるが,肺小動脈圧が中等度に上昇し心 搏出:量と肺圧との聞に平衡を生するものである。 故に病人は呼吸困難を起すごとなく,軽いi業務に 従事し得るものである。第四群は弁口著しくせま く(0.40∼O.60cm v一),しかも肺小動脈抵抗の著し く上昇せるものである。従って此の群の者は臨床 的に重い呼吸困難や右心拡張肥大や亦右室不全の 徴候を有するものである。 吾々の症例も大体之の分類に当てはめ得るよう である。第一群に属するのは○谷.谷○例であ る。弁口1.6,1.0であって亦肺小動脈抵抗も97 ydne/tsec/cm『 5,115 dyne/sec/cm−5であり,特 別な臨床症状を示さない。ただ唯一の訴えは胸部 重圧感と心悸高進とであった。第二群に属するも のは林,中○,安○,桑0の4例である。二目面 積は0.47,0.55,0,60,0.71にして10 cmz以 下であるが肺魚動脈抵抗の上昇少く,279,613, 333,173を示す。何れも3度の呼吸困難を訴えた。 然し喀前王は安○例に於てのみ認めた。二二肥大の 心電図は2例に於て認めたが肝肥大は1例に証明 したのみであった。第三群に属するものは臼○例 ユ例のみであった。弁ロ面積0.71で肺小動脈抵抗 は426dyjユe/sec〆cm『5で顕著の上昇ではなv・がよ く心搏出と血圧との平衡を得てる証として何等の 特別なる臨床症状なく軽v・業務に従事してv・た。 たず疲労し易い事.特に運動時の心悸充三等のみ であっ免。第四群に属するものは高○,小○,下 0,東,富○,菅○,五〇田例である。弁口面積 は0.17,0.61,0.66,0.33,0.57,0.55,0.49で何
13 れも極めて小さく,肺小動脈抵抗も著しく大きい。 即ち1993,726,「”32,413,439,で極めて高い。 何れも呼吸困難や、心拡大,右窒肥大を示し末梢 性浮腫,肝肥大等霊室不全め徴候を示した。 .静脈カテーテル成績の明かな17例中ユ4例は以上 り群に分類し得たが3例は何れの群にもあてはま らなかった。その第】.例は西○例である。呼吸困 難も右回肥大もなく唯運動時の心悸充進のみであ っfuo’ル廟面積はO.71・cmZであるが肺小動脈抵 抗は3 06dyne/sec/cm『” 5を示したのみであった。 また心搏出量も4.13L/Mである。ただ特有なこ とは心血大度36%を示し大きいこと,肺動脈圧及 び肺毛細管圧の著しい上昇及びそれに伴い肺動脈 弓の第皿度の拡張とである。本例は手術時肺浮腫 により死亡した例である。第2例は小△例であ る。弁口面積1.29,肺小動脈抵抗も97 dyne/sec/ cm−5で第一群に属すべきであるが,ただ過去に喀 血の徴候があった点のみ異っている。第2例は木 ○例である。弁口面積0.60cm2で可成り狭v・に拘 わらす肺小動脈抵抗は比較的軽度の上昇を示す。 (133dyne,/sec/cmr 5)臨床症状として第3度の 呼吸困難肺動脈弓の第班度拡張の外心電図所見 は右室肥大を示し心高大度55%,更に右室不全の 徴として肝肥大を証明する。卸ち第四群に入るべ き徴候を示しているが肺小動脈抵抗の上昇軽微な ことを異とするものである。 以上の如き例外はあるが弁口面積と肺小動脈抵 抗とは僧蠣弁口狭窄症の患者の示す症状をある程 度明白に説明し得る。 総 括 ①純粋の僧帽弁口狭窄症を有する24名の患者に ついて手術時実測した弁口の広さと静脈カテーテ ル所見にもとすく.肺血管床変化との関係を検討し た。 ②弁口の狭くなるにしたがい肺循環に変化が現 われるが弁口面積1.Ocm2以上のものには変化な く, 1.Ocm2以下のものに先ず肺毛細管圧の上昇 が現われる。 ③肺毛細管圧の上昇にひぎつづき冠血管の障碍 が現われる。その結果心搏禺量の減少をひき起し 二三が肺毛細管を急激な圧の増.加から保護する。 ④僧帽弁口狭窄症の臨床像は弁口の狭小度と肺 血管障碍の程度との相互関係から説明することが 出来る。 ⑤弁口面積LOcm2以上のものでは臨床症状が 殆どないか,ごく軽微である。’ ⑥弁口狭く,しかも肺小動脈抵抗の増加の少い ものでは呼吸困難や喀血等の肺症状が現われる。 ⑦弁口狭く肺小動脈抵抗の著しく増加したもの では右心室肥大.心拡大等をひぎ起し,夏に強度 のものは,激しV・呼吸困難.右心不全等の徴候を 示す。 吾k’の例もその臨床症状と肺循環の変化から Dexterの分類の如く大休四つの群に分けること が出来る。 文 献
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