第3学年
組
国語科学習指導案
指導者 1 単元名 状況に生きる 「故郷」 2 単元の構成 (1)生徒の姿 中学三年の生徒たちは、社会認識も歴史認識も、十分育っているとはいえない。近現代社会の歴史につ いては、社会科である程度は学習しているものの、重要項目の暗記にとどまっている場合が多く、人々の 生き方まで想像を巡らせてはいないだろう。 一人称の視点なので中学生の読者も、〈わたし〉の目と心を通して〈わたし〉に共感しながら読んでい くだろう。だから少年時代のルントウを好ましく思い、やつれ果てたルントウに失望し、野放図に小さな 悪事を働くヤンおばさんを憎らしく思うだろう。 また、少年時代の〈わたし〉の英雄だったルントウが「だんな様……。」という場面では、生徒も言葉 を失うであろう。しかし、ルントウ個人の責任にしてしまうのは酷である。同様に豆腐屋小町と呼ばれも てはやされていたヤンおばさんの醜い姿もどんな苦難を経て野放図になっていったのか、内の目と外の目 で、また時代と個人の両面から読ませたい。 (2)取り上げる教材 中学校の教科書教材の中で も、骨太で読み応えのある教 材である。登場人物が整理さ れており、〈わたし〉の親の世 代として〈母〉とヤンおばさ ん、〈わたし〉と同世代でルン トウ、若い世代としてホンル とシュイションという六人の 姿が典型的な人物として描か れている。親の世代と〈わた し〉の世代は、過去と現在が 対比されるが、それは決して 明るい変化ではない。冒頭の 懐かしいはずの帰郷が沈鬱で 寂寥たるゆえんである。しか しそこで、〈わたし〉は若い世 代の行く末に希望を見出す。 若い世代に託した新しい生活 とはどんな生活なのか、今の 社会は魯迅がたとえ腐草とな っても実現したいと願った新 しい生活を手に入れたのだろ うか。読後にその疑問が余韻 となっていつまでも残る。 (3)学習の流れ(10時間) 1通読と初発の感想…1時 2一…1時二十年ぶりの故郷 の情景描写を読む。 3二…6時 書き出しの言葉に注意する。 ルントウの人物像を読む。 ヤンおばさんの人物像を読む。 再会の場面を読む。 「だんな様」と言ったルント ウの心情や背景を読む。本時 4三 …2時 若いホンルとシュイションの 世代に希望を見いだす話者の 考えを読む。 「新しい生活」「希望」につい て自分の考えをまとめる。 (4)指導のポイント 一章ごとに本文をノートの 上段に貼り付け、そこから読 めるポドを確認しながら授業 していく。 ただし二章は長いのでさら に四つに分ける。その際、⑥ の上に A、⑨の上に B、29 の上に D と記させ、C はどこ からだろうと問い、二章を読 んでいく。輪読の後わけもあ わせてどこからが C だと思う かをわけもあわせて発表させ る。場面わけは、文章を大き くつかむので読解に効果的だ と考える。 また、三章は難解だと感じ る生徒もいるので、話者の言 う〈新しい生活〉とは何かを、 ルントウ、ヤンおばさん、〈わ たし〉の生き方に対比する形 で考えさせたい。 (5)目標 (ア)関心・意欲・態度 (イ)読む (ウ)言語についての知識・理解 ○当時の社会や現在の社会と関わらせる読みの学習に関心を持ち「新しい生活」について意欲的に考える 態度を育てる。 ○金色の丸い月、偶像、希望などの作品世界を象徴する語句などに注意しながら、現在と過去の対比や、 当時の中国社会を関連づけながらとらえるとともに、作品のテーマと表現の仕方を関連づけながら自分 の考えをまとめることができる。 ○寂寥・匪賊・地主・纏足など、当時の中国社会を表現する言葉にふれ、語彙を豊かにする。3 本時 (1)日時 平成22年11月11日(木) 5校時 (2)場所 三年 組教室 (3)主眼 ○「ルンちゃん」と呼びかけた〈わたし〉に対し、「だんな様」と応じたルントウの30年前と大きく変 わった内面に迫る。 ○ルントウの視点で読んだり、ルントウと〈わたし〉の人物像を対比させたり、30年前と現在の二人 の関係を対比させて読むことができる。 (4)スパイラルプログラムと問題解決学習の工夫 ・国語学習の基礎力となる漢字について、漢字ゲーム「ヤマグッチ」を始業時におこない、 語彙力をつけるとともに、授業の構えを作る。 ・本時では、ルントウの描写と母と〈わたし〉の会話から、ルントウが卑屈になった原因を 考えさせる過程で、交流活動を位置づけ、当時の中国社会の状況を考察できるようにする。 (5)展開 段階 学 習 活 動 ・ 内 容 教 師 の 支 援 評価 形態 配時 1漢字ゲーム「ヤマグッチ」を行う。 書くこと、見ること、発声することの 活動を通して漢字の力をつける。 (ウ) 一斉 7 つ 2本時の学習内容を確認する。 か (1)前時までの学習内容をふりかえる。 ・前時までの学習内容を想起させなが (ア) 学級 5 む ・一章の故郷はどんな故郷でしたか? ら、本時のテキストの読みの構えを作 集団 ・二章 A、B、C の故郷は、それぞれど っていく。 んな故郷だったか簡単に表現しましょ ・とくに少年時代のルントウの思い出 う。 が〈わたし〉にとっての美しい故郷で (2)本時のめあてを確認する。 あったことを確認しておく。 なぜ「だんな様」なのだろう。 3ルントウと〈わたし〉の人物像を発表 ・前時に各自で書いて置いた読みを発 個人 10 さ する。 表させながらルントウと〈わたし〉に ぐ 4ルントウが〈わたし〉を「だんな様」 類別しながら板書していく。 (イ) 学級 8 る と呼んだ呼称から何がわかるかを考え 集団 る。 喜び→再会の喜び ・呼称から何がわかるかを問い、ノー 寂しさ→二人の境遇の差を自覚 トに書かせる。 深 唇が動いた→「迅ちゃん」 ・ルントウの視点で考えるよう促す。 め うやうやしい態度→立場の自覚 ・過去の二人の関係と対比させて考え る はっきり→少年時代との決別 させる。 「だんな様!……」 5ルントウを変えたものについて考え ・生徒の発表を板書してまとめていく。 20 味 る。 わ う 「ルンちゃん」と呼びかけた〈わたし〉に対し、「だんな様」と応じたルン トウは30年前と内面が大きく変わっていた。そして、それは、ルントウ一 人の問題ではなく当時の中国社会がかかえた問題でもあり中国の民衆の姿 の典型的な姿でもあった。