外国人労働者受け入れをめぐる諸問題 : 「日本型」モデルの構築をめざして
26
0
0
全文
(2) わ が 国 の 出 生 率 は 第2次 大 戦 直 後 の 昭 和22∼23年 に 一 時 高 ま っ た も の の 、 そ の 後 復 興 期 を通 し て 急 激 に低 下 し、 そ れ 以 降 昭 和40年 代 半 ば ま で は お お む ね 横 ば い で 推 移 して きた が 、 昭 和58年 以 降 再 び 低 下傾 向 が 続 い て き た 。 最 近 に お い て も わ が 国 の 出 生 率 は低 下 し続 け て お り、 平 成10年 の 厚 生省 「 人口 動 態 統 計 」 に よれ ば 、1.38人 と史 上 最 低 と な っ た 。(図1参. 照). さ らに 同 白書 は 、 出 生 率 とそ の 動 き に 影 響 を 与 え て い る と考 え られ る 主 な経 済 社 会 的 要 因 、 お よ び そ の 背 景 につ い て フ ロ ー チ ャ ー トに よ る説 明 を加 えて い る。 少 子 化 に 影 響 を 与 え る 要 因 と し て は 様 々 な 要 因 が あ げ られ て い る が 、 こ こ で は そ れ ぞ れ の 要 因 が非 婚 化 ・晩 婚 化 お よび 有 配 偶 女 子(結 婚 して い る 女 性)の. 出 生 率 低 下 とい うル ー トを 通 じて 少 子 化 に影 響 を 与 え る もの と して説. 明 され て い る 。2 この よ うに わ が 国 に お け る 少 子 化 傾 向 を指 摘 した 後 、 同 白書 は第6章. 「 少 子 化 の進 展 、 そ の影. 響 と課 題 」 で そ れ が わ が 国 の 経 済 や 社 会 に 与 え る 中長 期 的 影 響 、 と りわ け 経 済 社 会 の 活 力 へ の影 響 に つ い て 触 れ 、 「15歳以 上 人 口 の う ち就 業 者 と 完 全 失 業 者 を合 わ せ た 労 働 力 人 口の 推 移 を み る と2000年 に6,700万 人 で ピ ー ク を 迎 え 、2010年 ま で 年 率0.2%の. ス ピー ドで 減 少 す る。 総 人口 は. 2010年 ま で 上 昇 が 続 く こ と か ら労 働 力 人 口 の 減 少 が 始 ま る2000年 以 降 、 若 年 ・中年 層 に とっ て社 会 的 な負 担 が 大 き く増 大 し、 社 会 の 活 力 を維 持 して い く うえ で 大 き な 転 機 を迎 え る 」 と の 予 測 を 行 な っ て い る。3.
(3) 2.人口. 問題研究 所の 将来 推計人 口. 日本 で 人口 減 少 時 代 の 到 来 が 一 般 的 に大 きな 関 心 を 集 め る き っ か け と な っ た の は 、 上 記 の 『国 民 生 活 白書 』 の5年 後 の1997年1月. に 、 国 立 社 会 保 障 ・人口 問 題 研 究 所(以 後 、 人 口問 題 研 究 所. と略 称 す る)が 発 表 した 将 来 推 計 人 口で あ ろ う。 こ れ に よ る と(い ず れ も数 値 は 中位 推 計 に よ る)日 本 の 人口 は 、2007年 に1億2,800万. 人 で ピー ク に 達 した 後.2050年. 2100年 に は6,700万 人 に ま で減 少 す る(図2参. に は 約1億. 人 に 減 少 し、. 照) 。4も っ と も、 この 推 計 自体 が か な り楽 観 的 で 、. 実 は2001年 が ピー ク で 翌 年 か ら減 少 が 始 ま る とい う予 測 も あ る 。5. 3.人. 口問題審 議会 の報告 書. わ が 国 の 少 子 高 齢 化 と人口 減 少 問 題 が マ ス メ デ ィ ア な ど で話 題 に な り始 め た1997年2月. 以 降、. 厚 生 省 の 人口 問題 審 議 会 は 、 少 子 高 齢 化 お よび 人 口減 少 社 会 に つ い て 有 識 者 か ら意 見聴 取 を行 な い 、 そ こ で の 議 論 を 取 りま とめ10月 に報 告 書 『人口 減 少 社 会 、 未 来 へ の 選 択 と責 任 』 を 刊 行 し た 。6同 報 告 書 は わ が 国 の 少 子 化 傾 向 は 依 然 と して 続 い て お り、 歯 止 め が か か っ て い な い とい う 現 実 を 踏 ま え 、 少 子 化 を も た ら し た経 済 社 会 的 要 因 を 分 析 す る こ とか ら 始 ま り、 少 子 化 の 社 会 的 ・経 済 的 影 響 を 検 討 し、 そ の対 策 と して 経 済 面 と社 会 面 に お け る具 体 的 な 施 策 を あ げ て い る。 以 下 、 同 報 告 書 が 少 子 化 の経 済 面 、 社 会 面 へ の影 響 を どの よ うに評 価 して い る の か を見 て み よ う。 ま ず 、 マ イ ナ ス 面 の影 響 と して は 、 ① 生 産 年 齢 人口 の減 少 と経 済 成 長 率 の 低 下 、 ② 単 身 者 や 子 ど も の い な い 世 帯 が 増 加 す る な ど家 族 の 形 態 の 変 化 と 、子 ど もの 数 の 減 少 に よ る 子 ど も の 社 会 性 や健 全 な成 長 の阻 害、③ 過 疎化 ・ 高 齢 化 の 進 行 に よ る 基 礎 的 な 住 民 サ ー ビ ス の 低 下 、 な どが 挙 げ.
(4) られ て い る 。 た だ し 、少 子 化 に は マ イ ナ ス 面 ば か りで な く、 「例 え ば 、 生 活 面 で は 、 環 境 負 荷 の 低 減 、 大 都 市 部 等 で の 住 宅.土 地 問 題 や 交 通 混 雑 等 過 密 に 伴 う諸 問 題 の 改 善 な どゆ と りあ る 生 活 環 境 の形 成 、1人. 当 た りの 社 会 資 本 の 量 の 増 加 、 教 育 面 で は 、密 度 の 濃 い 教 育 の 実 現 や 受 験 競 争. の 緩 和 な ど プ ラ ス 面 の影 響 を 指 摘 す る意 見 が あ る こ と に留 意 す る 必 要 が あ る 」 と述 べ て い る こ と も付 け加 え て お こ う。7 次 に 、 少 子 化 を もた らす 近 年 の 出 生 率 低 下 の 主 な 要 因 と して は 未 婚 率 の 上 昇(晩 婚 化 の 進 行) を 挙 げ 、 そ の原 因 と して 、 ① 育 児 に 対 す る負 担 感 お よび 仕 事 との 両 立 に 対 す る負 担 感 、② 個 人 の 結 婚 観 、 価 値 観 の 変 化 、③ 親 か ら 自立 して 結 婚 生 活 を 営 む こ とへ の た め らい 、 な どが 指 摘 され て い る。 そ して 、 少 子 化 は 、 個 人 の 多 様 な 生 き 方 の 表 れ とい う側 面 が あ る一 方 、 女 性 の 社 会 進 出 と そ れ を 阻 む 固 定 的 な 男 女 の 役 割 分 業 意 識 と雇 用 慣 行 、 そ れ を支 え る企 業 風 土 の 存 在 と い っ た わ が 国 社 会 経 済 全 体 の 状 況 に深 く関 わ っ て い る 、 と分 析 して い る。 そ の 上 で 、 少 子 化 の影 響 へ の 対 応 と して 、 経 済 面 で は ① 雇 用 環 境 の 整 備 、 ② 企 業 の 活 力 ・競 争 力 、個 人 の 活 力 の 維 持 、 ③ 公 平 か つ 安 定 的 な 社 会保 障 制 度 の確 立 、 社 会 面 で は① 地 方 行 政 体 制 の 整 備 、 地 域 の 活 性 化 、 ② 子 ど もの 独 創 性 と社 会 性 を養 う教 育 と健 全 育 成 を挙 げ て い る。8 さ らに 、個 人 が 望 む 結 婚 や 出 産 を妨 げ る要 因 な ど を取 り除 く こ とを 通 じて 、 少 子 化 の 要 因 へ の 対 応 も行 っ て い くべ き こ とを 主 張 し、 具 体 的 な 対 応 と して 、 ① 「 男 は 仕 事 、 女 は 家 庭 」 とい う固 定 的 な 男 女 の 性 別 役 割 分 業 や 仕 事 優 先 の 固 定 的 な雇 用 慣 行 の 是 正 、 ② 子 育 て を 支援 す るた め の諸 施 策 の 総 合 的 か つ 効 果 的 な 推 進 を 提 示 して い る 。9こ う した 様 々 な 取 組 み を 通 じて 、 出 生 率 の 回 復 へ の 期 待 と と も に 、 結 婚 や 子 育 て に希 望 が 持 て 、 子 育 て の持 つ 本 来 的 な 楽 しみ や 喜 び を 夫 婦 と も に 実感 で き る ゆ と りと潤 い の 感 じ られ る社 会 が 実 現 され る 、 と結 ん で い る。 と こ ろ で 、 少 子 化 、 人口 減 少 対 策 と して 外 国人 労 働 者 を受 け 入 れ る こ と につ い て 同 報 告 書 は ど の よ うな 見 解 を と っ て い る で あ ろ うか 。 結 論 か ら先 に言 え ば 、 下 の 文 章 か ら も 明 らか な よ うに 、 「 外 国 人 の 受 け 入 れ は 現 実 的 で な い 」 と して 否 定 的 な 姿 勢 を 取 っ て い る こ とが わ か る。. 少 子 化 の 要 因 へ の 対 応 を論 ず る に 当 た っ て は 、 労働 力 人 口の 減 少 等 少 子 化 の影 響 へ の 対 応 と して の 外 国 人 の 受 入 れ の 是 非 に つ い て の 方 針 を ま ず 明 確 化 す べ き で は な い か 、 とす る意 見 が あ る。 しか しな が ら、 少 子 化 の影 響 へ の 対 応 と して の 外 国 人 の受 入 れ を 考 慮 す る と して も 、 出 生 率 の 低 下 を補 完 で き る ほ どの 急 速 か つ 大 規 模 な 外 国 人 の 受 入 れ は 現 実 的 で な い の み な らず 、 我 が 国 の 一 方 的 な事 情 に よ り、 外 国 人 の 受 入 れ を所 与 の前 提 と して 政 策 を論 じる こ とは 適 当 で は な く、 そ の 方 針 の 如 何 に か か わ らず 、 少 子 化 の 要 因 へ の 対 応 を 図 っ て い く必 要 が あ る 、 と考 え る 。10. 要 す る に 、 人口 問題 審 議 会 の 報 告 書 を読 む か ぎ り、 少 子 化 は基 本 的 に は 家 庭 や 企 業 活 動 に お け る 固 定 的 な 男 女 の 役 割 分 業 の 下 で 、経 済 の 成 長 と発 展 を強 く志 向 し、 そ の 恩 恵 を 享 受 して き た わ.
(5) が 国 社 会 全 体 の 状 況 が 深 く関 連 して お り、 ま た 、 個 人 が 子 ど も を産 み 育 て る こ とを 負 担 と考 え 、 さ らに は 未 来 の社 会 に 対 す る様 々 な 不 安 を感 じて い る こ と を反 映 して い る との 認 識 が ベ ー ス に な っ て い る とい え よ う。 した が っ て 、 この よ うな わ が 国 の 企 業 の 伝 統 的 な雇 用 慣 行 や 性 役 割 分 業 を 変 革 しな い か ぎ り、 少 子 化 問題 の 解 決 は あ りえ な い とい う結 論 に結 び つ くの で あ る。 よ り具 体 的 に は 、 ① 結 婚 や 出 産 の 妨 げ と な っ て い るわ が 国 の 固 定 的 な 男 女 の 性 役 割 分 業 や 、 仕 事 優 先 の 固 定 的 な 雇 用 慣 行 な ど を 是 正 す る 、 ② 子 育 て を支 援 す る た め の 諸 方 策 の 総 合 的 か つ 効 果 的 な 推 進 を 図 る こ とに 基 本 的 な 解 決 の 方 向 を 見 出 そ うと して い る と言 え る 。 この 方 向 性 は そ の 後 の 「 男 女 共 同 参 画 社 会 」 の 理 念 へ と発 展 して い く こ とに な る。11 欧 米 先 進 諸 国 に 比 べ わ が 国 の 女 性 の就 業 率 が 依 然 と して 低 い ま ま に 留 ま っ て い る と い う事 実 に 着 目す る とき 、 女性 が働 きや す い 環 境 を 整 備 す る こ とで 、少 子 化 や 人口 減 少 問題 に 歯 止 め を 掛 け る こ とが で き る とす る認 識 が 基 本 に な っ て い る 。 した が っ て 、 外 国 人 の 受 け 入 れ に つ い て は ∼ 「 わ が 国 経 済 社 会 に 大 き な 問題 が 生 じる こ と も懸 念 され る こ とか ら、 安 易 な 考 え 方 に 立 っ て な し くず し的 に お こ な わ れ る こ との な い よ う、 そ の 是 非 や 方 法 に つ い て 、 関 係 の 場 で 正 面 か ら十 分 に 議 論 す べ き で あ る 」 と述 べ る に 留 ま っ て い る。12. 4.国. 連 報告 書 「 補 充 移 民一 人 口の 減 少 ・高 齢 化 は 救 え るか 」. 移 民 政 策 の 論 争 に さ ら に拍 車 を か け た の が 、2000年1.月11日. の 毎 日新 聞 朝 刊 の1面. に、 「 少子. 化 日本 … 移 民 年60万 人 受 け 入 れ 必 要-労 働 力 減 で 今 後50年 間 」 と報 道 さ れ 話 題 を 呼 ん だ 国 連 経 済 社 会 局 人 口部 の 報 告 書 「 補 充 移 民-人口. の 減 少 ・高 齢 化 は救 え るか 」13で あ る 。 この 報 告 書 に. よ る と、 日本 の 労 働 力 人 口(15歳 ∼64歳)は1995年. の8,700万 人 か ら、2050年 に は5,700万 人 に 減. 少 す る こ とが 見 込 ま れ る た め 、 そ れ に 見 合 う移 民 を 受 け入 れ る とす る と、 毎 年60万 人 の移 民 を 受 け 入 れ な け れ ば な らな い とい う途 方 もな い 数 字 が 計 算 に よ っ て は じき 出 され て い る(ち な み に 、 そ の 場 合 移 民 の 人口 比 率 は30%と. い う途 方 も な い 数 字 に な る)。. 同 報 告 書 は 、 フ ラ ンス 、 ドイ ツ 、 イ タ リア 、 日本 、 韓 国 、 ロ シ ア 、 イ ギ リス 、 米 国 の8ヵ 対 して 、5つ. 国に. の シ ナ リオ を想 定 し、 仮 定 され た 人口 レベ ル を維 持 す る た め に 、 外 国 か ら どれ だ け. の移 民 を迎 え入 れ る必 要 が あ る か を計 算 した も の で あ る。 日本 の 場 合 をみ て み よ う。 以 下3つ の シ ナ リオ は 、 いず れ も1995年 か ら2050年 の 期 間 に 具 体 的 に何 人 の 移 民 を受 け入 れ る べ き か を提 示 した も の で あ る。 (1)国. 連 推 計 に よれ ば 、 日本 人口 は2005年 に ピー ク に達 し、1億2750万. 人 とな る。 こ の ピー ク. 時 の 人 口 を維 持 す る に は 、 総 計1714万 人 、 つ ま り毎 年 平 均31万 人 を 受 け 入 れ る必 要 が あ る。 (2)95年. に 最 大 で あ っ た15∼64歳 の 生 産 年 齢 人 口を 維 持 す る に は 、 総 計3349万 人 、 つ ま り毎 年. 平 均61万 人 の 受 け入 れ が 必 要 で あ る 。 (3)95年. に お け る65歳 以 上 人口 に 対 す る15∼64歳 人口 の 比 率 を維 持 す る に は 、 総 計5億5350万. 人 、 つ ま り毎 年 平 均1006万 人 の 受 け 入 れ が 必 要 と な る 。.
(6) 表1 国籍(出 身地)別 在 留資格 別外 国人数 (2000年12月 末 およ び2001年1月1日. 現在).
(7) 振 り返 っ て 、 日本 の 現 実 をみ て み よ う。20世 紀 か ら21世 紀 へ の 転 換 時 点 にお け る 日本 の 外 国 人 登 録 者 数 が 表1に 示 され て い る。 これ に よ る と190万7098人. と200万 人 の 大 台 に 近 づ い て い る こ と. が わ か る。 そ の 中 で わ が 国 の 高 度 経 済 成 長 に よ っ て 急 増 した 「 ニ ュ ー カ マ ー 」 と呼 ば れ る新 来 外 国 人 は139万4829人. で 、140万 人 弱 とな っ て い る。 新 来 外 国 人 の 国 籍(出 身 地)を. 見 る と、 そ の 大. 多 数 を 占 め る の が 中 国 、 ブ ラ ジル を は じめ とす る南 米 諸 国 、 フ ィ リ ピ ン 、 韓 国 ・朝 鮮 で あ る 。 ま た 「 オ ー ル ドカ マ ー 」 と呼 ば れ る 旧 来 外 国 人 は51万2269人 で あ り、 そ の な か で い わ ゆ る 「 在 日」 と呼 ば れ る 韓 国 ・ 朝 鮮 籍 の 特 別 永 住 者 は50万7429人 約23万 人 を超 え る超 過 滞 在 者(不 法 滞 在 者)が. で あ る。 こ の他 に 正 確 な 数 字 は つ か め な い が 、. い る。. 上 に 述 べ た よ うに 「ニ ュ ー カ マ ー 」 と呼 ば れ る外 国 人 は 、 現 在 日本 に 約140万 人 い る が 、 これ は 日本 人口 の約1%で. あ り、 フ ラ ン ス の10%、. ドイ ツ の6%、. イ ギ リス の6%と. 比べ 非常 に小 さ. い 比 率 で あ る。 しか し ヨー ロ ッパ 諸 国 に は 、 国 際 人 口移 動 に 関 して 長 く複 雑 な 歴 史 が あ る。 地 政 学 的 に も移 動 しや す い 状 況 に あ り、 この 比 較 だ け で 日本 に 来 住 す る 外 国 人 が極 端 に 少 な い と は 言 い 切 れ な い 。 実 際 、 外 国 人 の 増 加 は最 近 著 しい。 た と え ば1986年 に は 、 外 国 人 は86万 人 、 そ の な か か ら永 住 者 を 除 く とわ ず か に21万 人 にす ぎず 、 超 過 滞 在 者 を 約25万 人 と仮 定 して 加 え て も全 体 で50万 人 足 らず で あ っ た。 そ れ が わず か15年 の 間 に2.6倍 に も 増 え た の だ 。 ち なみ に こ の 増 加 の 担 い 手 は 、 と く に 中 国 、 南 米 、 フ ィ リ ピ ン の 人 々 で あ る。86年 ∼99年 に か け て 、 中 国 人 は8万4000人. か ら27万2000人 へ 。 南 米 か らは 、 わ ず か3961人 か ら27万8000人 へ 。 フ. ィ リピ ン か らは1万9000人. か ら11万6000人 へ とそ れ ぞ れ 急 増 して い る。 バ ブ ル 経 済 の 崩 壊 後 の 経. 済 不 況 が長 引 い て い る に もか か わ らず 、 この よ うな傾 向 は 今 後 も ま だ 続 く も の と予 想 され る。. 本 格 的 な 移 民 政 策 に 踏 み 切 る か 、 人 口 減 少 を 受 け 入 れ るか. Ⅱ. − 移 民 受 け 入 れ を め ぐ る論 争 −. 1.「 人 口が 減 少 して 繁 栄 した 国 は な い 」 出 生 率 の 低 下 は 、 高 齢 化 の急 速 な 展 開 と あ い ま っ て 、 た だ 単 に 人 口の 減 少 や 労 働 力 の 不 足 に と どま らず 、 子 ど もや 若 者 の 少 な い 少 子 社 会 を もた ら し、 若 年 ・中 年 層 に 社 会 的 な 負 担 が 増 大 す る と と も に 、 社 会 全 体 と して 変 化 に対 す る 対 応 力 や 未 知 な る もの へ の 挑 戦 の 精 神 が 薄 れ る お そ れ も あ り、 長 期 的 に み て わ が 国 の社 会 や 経 済 に多 大 な影 響 を及 ぼ す こ とが 考 え られ る。 人 口経 済 学 を 専攻 す る大淵 寛は 「 人 口が 減 っ て 栄 え た 国 は な い。 晩 婚 ・少 産 が 日本 を滅 ぼ す 」 と次 の よ うな警 告 を 発 して い る。. 第 一 に 、 これ ま で の 低 出 生 力 は 、将 来 の 労 働 供 給 源 泉 を縮 小 し、 直 接 的 に 経 済 成 長 を 疎 外 す るで あ ろ う。 試 算 して み る と 、 労 働 力 人口 は 今 世 紀 末 か ら来 世 紀 は じ め に か け て ピー ク を迎 え 、 そ の後 は か な りの 勢 い で 減 少 して い く。 一方. 、 労 働 需 要 は経 済 成 長 が 続 くか ぎ り増 大 して い くた め 、 需 給 ギ ャ ップ は 次 第 に拡 大 し、.
(8) 2020年 に は 、 少 な く と も700万 人 以 上 、 多 け れ ば1800万 人 もの 不 足 が 生 ず る で あ ろ う。 この 不 足 を補 う供 給 余 力 は 女 性 と高 齢 者 に 若 干 残 っ て い る が 、 そ れ は 取 る に 足 りな い ほ ど の も の で あ る。 とな る と、 結 局 は 、 労 働 市 場 の 開 放 、 言 い 換 え れ ば外 国 人 労 働 者 の 導 入 に踏 み 切 ら ざ る を え な い。 これ は 現 に 進 行 しつ つ あ るが 、 ヨー ロ ッパ で の 苦 い 経 験 もあ り、 そ の 全 面 開 放 は 現 実 的 で は な く 、厳 しい 条 件 付 き の 部 分 開 放 に と ど め る べ き で あ ろ う。 そ うだ とす れ ば 、 労 働 供 給 に 制 約 され 、経 済 成 長 率 は 相 当 低 く抑 え られ る こ とに な る。 労 働 供 給 以 外 の 面 か ら も 、 日本 経 済 の 潜 在 成 長 力 は 阻 害 され る か も しれ な い。 例 えば 、 人口 の 減 少 と 高 齢 化 は 消 費 需 要 を縮 小 して 、 企 業 者 の 投 資 意 欲 を 削 ぐ 一 方 で 、 社 会 保 障 負 担(年 金 ・医 療 費 負 担)を. 高 め 、 国 の財 政 基 盤 を 弱 め る で あ ろ う。 ま た 、 高 齢 者 は 貯 蓄 を 食 い つ ぶ す. た め 、 人口 の 高 齢 化 は 資 本 形 成 に 不 利 に 作 用 し、 資 本 面 か ら成 長 を 制 約 す る で あ ろ う。 加 齢 は 肉 体 的 な 衰 え と と も に 労 働 能 率 を 低 下 させ 、 変 化 に 対 す る適 応 力 を 低 め る に ちが い な い 。14. こ の よ うに 、 大 淵 の 描 く 日本 の 未 来 像 は き わ め て ぺ シ ミス テ ィ ッ ク な も の に な ら ざ る を え な い わ け で あ る が 、 も しこ の よ うな 議 論 が 正 しい とす れ ば 、 日本 政 府 と して は い か な る適 切 な 施 策 を 講 ず る べ き な の だ ろ うか。 上 述 の よ うに 、 大 淵 は 女性 や 高 齢 者 の 労働 力 を 活 用 す る に して もそ れ は 取 る に 足 りな い と し、外 国 人 労 働 者 の 導 入 に踏 み 切 る に して も全 面 開放 は 現 実 的 で な い た め 、 こ れ も根 本 的 な 解 決 に は つ な が らな い と考 え て い る 。 そ こで 結 論 と して は 、 出 生 率 の 低 下 が これ 以 上 進 ま な い よ うに 適 切 な 人 口施 策 を講 じる と 同 時 に 、他 方 で そ れ と並 行 して 、 人 口減 少 と高 齢 化 の 流 れ に対 応 す る経 済社 会 の 構 造 改 革 、 構 造 調 整 を 図 るべ きで あ る と勧 告 す る。. 2.「 ウ ェル カ ム ・人 口減 少 社 会 」 これ ま で の 議 論 の す べ て は 少 子 化 ・高 齢 化 とそ れ に伴 う人 口減 少 を ネ ガ テ ィ ブ に 受 け止 め る も の で あ った が 、 少 子 高 齢 化 社 会 を む し ろポ ジ テ ィブ に受 け止 め て 、 そ れ が 安 定 した 成 熟 社 会 を 迎 え る た め の 必 須 条 件 で あ る とす る議 論 を こ こ で紹 介 して お こ う。 政 策 研 究 大 学 院 大 学 の 「高 齢 社 会 プ ロ ジ ェ ク ト」 は2000年3.月. に 「ウ ェ ル カ ム ・人口 減 少 社. 会 」 と題 した シ ン ポ ジ ウ ム を 開 催 、 そ の 成 果 を 新 書 に ま とめ て 刊 行 して い る。15同 書 の ね らい が ど こ に あ るか は き わ め て 明確 で 、 著 者 に よっ て 冒頭 に 次 の よ うに 述 べ られ て い る。. 本 書 は 、 暗 い イ メー ジ の 多 い 少 子 高 齢 化 社 会 の 問 題 点 を指 摘 す る よ りも む しろ 、 人 間 と い う 種 が成 熟 に 達 した と き に 到 達 す る 、 安 定 した 満 ち 足 りた 社 会 は どの よ うに して 作 られ る か とい う こ と を探 る た め に 書 い た つ も りで あ る 。 した が っ て 原 則 的 に 高 齢 社 会 と い う言 葉 は使 わ ず 「人口 減 少 社 会 」 と し、 そ こ に 至 る ガ イ ドラ イ ン と い う意 味 を 込 め て 「ウ ェル カ ム ・ 人 口減 少 社 会 」 を題 名 と した 。16. 少 子 高 齢 化 社 会 が 忌 避 され るべ き もの で あ る か否 か に つ い て は 深 く踏 込 ん だ 議 論 が これ ま で ほ.
(9) とん ど見 られ ず 、 マ ス メ デ ィ ア を 始 め と して ど ち ら か と い う とネ ガ テ ィ ブ な 面 の み を強 調 し問 題 視 す る議 論 ば か りが 先 行 して い た こ とは 否 め な い 事 実 で あ る。 確 か に 同 書 が 指 摘 す る よ うに 、 現 在 わ が 国 が 直 面 して い る 高 齢 社 会 構 造 は 、 既 に こ の20年 間 、 ヨー ロ ッパ 社 会 で 経 験 され て お り、 と りた て て 日本 の 高 齢 化 が 特 異 的 で あ る と は い え な い 。 先 進 諸 国 で は ど こ の 国 で も出 生 率 の低 下 と 高 齢 化 率 の 増 加 は 相 関 して お り、 先 進 諸 国 は ど こで も 人口 を 維 持 す る に 足 り る 出 生 率 を 確 保 で き な く な って い る とい うの が 現 実 だ。 同 書 の 主 張 に しば ら く耳 を傾 け て み よ う。. わ が 国 の 高 齢 化 の 最 大 の 課 題 は 、 これ か らの20∼30年 間 、 他 の 国 よ り過 剰 に 存 在 す る 高 齢 者 人口 を どの よ うに遇 す る か に あ る。 政 策 研 究 院 の推 計 に よれ ば 、 例 え ば 競 争 相 手 の 米 国 に対 し て は 、 米 国 の 総 人 口 を今 の 日本 の 総 人口 に代 え て み る と、 現 在 す で に 人口 の4%弱 人 の 過 剰 高 齢 者 を抱 え る が 、 こ れ は2015年 に 約800万 人 、7%弱. の 約500万. に も達 す る。 しか し、 米 国 の. 人 口の 高 齢 化 が 始 ま る2030年 に は 逆 転 し、 以 降 は 西 ヨー ロ ッパ や 米 国 の 方 が 高 齢 国 に な る こ と は 明 らか だ 。 即 ち 、 この25年 間 を うま く しの ぐ社 会 制 度 改 革 が 行 え れ ば 、 日本 が 成 熟 国 家 の 模 範 と な り得 る こ と を示 して い る。17 これ か らの 高 齢 社 会 の も っ と も重 要 な 政 策 課 題 は 年 金 問題 で あ る。 そ れ は 、 こ れ か ら30年 間 は 現 在 の 年 金 制 度 を維 持 し、 次 の年 金 制 度 に 変 換 す る た め に は 、 ど う して も 世 代 間 の所 得 移 転 が 必 要 に な る か らだ。2030年 以 降 は 人口 の 年 齢 構 造 が あ ま り変 わ らな くな る か ら、 年 金 の シ ス テ ム 設 計 は 、 世 代 間 の 所 得 移 転 、 世 代 内 の 所 得 移 転 の ど ち らで も可 能 と な る。18. 上 に 見 た よ うに 、 同 書 の 著 者 た ち の 主 張 は 従 来 の 少 子 高 齢 化 論 議 に挑 戦 す る か な り大 胆 な もの で あ る が 、 や や オ プ テ ィ ミス テ ィ ッ ク に 過 ぎ る き らい が あ る。 か りに 著 者 た ち の議 論 が 正 しい と すれ ば、た とえば国連報 告書 の 「 補 充 移 民 」 に 見 られ る よ うな外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ に よ る 人 口減 少 対 策 とい う発 想 そ の も の の基 盤 が 根 底 か ら崩 れ る こ と に な る。. 国 民 世 論 の 動 向 と マ ス メ デ ィ ア のⅢ論 調 −. 1日. 本 節 で は 、 最 初 に(1)戦. 「鎖 国 論 」 か ら. 「開 国 論 」 ヘ-. 本 政府 の 外 国 人労働 者 対策. 後 の 高 度 経 済 成 長 期 か らバ ブ ル 経 済 期 を経 て 、 バ ブ ル 崩 壊 後 の 長 期. 景 気 低 迷 に 至 る ま で の わ が 国 政 府 の 外 国 人 受 け入 れ 政 策 が い か な る もの で あ っ た か を見 る。 次 に (2)1990年. 代 末 か ら21世 紀 へ の 転 換 期 に か け て 、 経 済 界 を 中 心 に 再 燃 した 外 国 人 労 働 者 の受 け. 入 れ を め ぐ る 論 議 を取 り上 げ る。 最 後 に(3)外. 国 人 労 働 者 受 け入 れ を め ぐ る 世 論 の 動 向 とマ ス. メデ ィ ア の 論 調 が どの よ うに 変 化 を 遂 げ た か を 見 る。.
(10) 1.日. 本政 府の 外国 人労働 者対 策. こ こで 、 高 度 経 済 成 長 期 以 降 現 在 に 至 る ま で の 日本 政 府 の 外 国 人 労 働 者 受 け 入 れ に 関 す る対 応 を 時 系 列 で概 観 して み よ う。. 第1期(1960年. 代 後 半 ∼1980年 代 半 ば). 高 度 経 済成 長 期 の 労働 力 不 足 か ら、 経 営 者 団 体 な どが 外 国 人 労 働 者 の 受 け入 れ を 要 請 した 。 し か しな が ら、 日本 政 府 は1967年 、 「 外 国 人 は 受 け入 れ な い 」 とす る方 針 を 確 認 して い る。 こ の 時 期 に は 、 女性 の外 国 人 労 働 者 、 イ ン ドシナ 難 民 、 中 国 帰 国 者 な どの 流 入 が あ っ た 。 第2期(1980年. 代 半 ば ∼1990年). バ ブ ル 経 済 下 で 、 ブ ラ ジ ル な ど ラ テ ン ア メ リカ 日系 人 や ア ジ ア諸 国 か ら の 男 性 の 外 国 人 労 働 者 が 急 増 した。 一 方 「 不 法 滞 在 ・不 法 就 労 問題 」 も急 浮 上 して き た。1988年 、 労 働 省 は 専 門 職 は 可 能 な 限 り受 け入 れ る が 、 い わ ゆ る単 純 労 働 者 に つ い て は 「 十 分 慎 重 に 対 処 す る こ と」 と し、 門 戸 を 閉 ざす 。1989年 の入 管 法 改 正 で 、(1)専 住 者 」 の 資 格 で 就 労 を合 法 化 し、(3)雇 第3期(1990年. 門 職 分 野 の 在 留 資 格 を 細 分 化 し、(2)日. 系人も 「 定. 用 者 側 対 象 の 不 法 就 労 助 長 罪 を 新 設 した。. ∼1990年 代 末). バ ブ ル 崩 壊 で 、 日本 の 景 気 は 長 期 低 迷 へ 向 か った が 、 建 設 業 や 製 造 業 、 サ ー ビス 業 界 な どで は 労 働 力 不 足 が 恒 常 化 す る。1993年. 「 技 能 実 習 制 度 」 を 新 設 。 移 民 の 増 大 に は 頭 打 ち 傾 向 が 見 られ. る も の の 、 ラ テ ン ア メ リカ 日系 人 、 国 際 結 婚 に よ る 日本 人 の 配 偶 者 、 日本 企 業 の海 外 進 出 に と も な い雇 用 され る外 国 人 は微 増 傾 向 が続 い た 。 第4期(1990年. 代 末 ∼ 現 在). グ ロー バ ル 化 の 進 行 や 少 子 高 齢 化 な ど を背 景 に 、 外 国 人 労 働 者 を め ぐ る論 議 が 再 燃 。2002年3 月 、 法 務 省 は 今 後5年. 間 を想 定 した 「出 入 国 管 理 基 本 計 画(第2次)」. 者 の 積 極 的 受 け 入 れ 推 進 、(2)農. を発 表 、(1)専. 門職 労 働. 業 、 ホ テ ル 業 な ど人 手 不 足 の 分 野 に お け る 「技 能 実 習 制 度 」. の 拡 充 な どの 方 針 を打 ち 出 して い る が 、 基 本 政 策 の 変 更 と ま で は い え な い 。 次 の 出 入 国 管 理 計 画 が 発 表 され るの は2005年 で あ る。. 2.「 第9次. 雇 用対策 基本 計画 」. 日本 政 府 の 外 国 人 労 働 者 政 策 は1988年 以 降 の 経 済 計 画(「 世 界 と と も に 生 き る 日本 」1988年 、 「 生 活 大 国5ヵ 年 計 画 」1992年 、 「 構 造 改 革 の た め の 経 済 社 会 計 画 」1995年 、 「 経 済 社 会 の あ るべ き 姿 と経 済 新 生 の 政 策 方 針 」1999年)と 第8次=1995年. 、 第9次=1999年)の. 雇 用 対 策 基 本 計 画(第6次=1988年. 、 第7次. =1992年 、. 中 で 示 され て き た。. 次 に そ の 典 型 的 な 事 例 の 一 つ と して 『第9次 雇 用 対 策 基 本 計 画 』 か ら 「 外 国 人 労働 者 対 策 」 の 項 を見 て み よ う。 「 第9次 時)が. 雇 用 対 策 基 本 計 画 」は 経 済 審 議 会 の 答 申 に 呼 応 す る形 で 、 労 働 省(当. 雇 用 審 議 会 の 答 申 を 経 て 策 定 した も の で 、1999年 か らの10年 間 を 対 象 期 間 と し て い る. (1999年8月13日. に 閣 議 決 定)。.
(11) 経 済 社 会 の グ ロー バ ル 化 に 伴 い 、 我 が 国 の 企 業 、 研 究 機 関 等 に お い て は 、 世 界 で 通 用 す る 専 門 知 識 、 技 術 等 を 有 し、 異 な る教 育 、 文 化 等 を背 景 と した発 想 が 期 待 で き る専 門 的 、 技 術 的 分 野 の 外 国 人 労 働 者 に 対 す る ニ ー ズ が 一 層 高 ま っ て い る。 こ の よ うな 状 況 の 中 で 、 我 が 国 の 経 済 社 会 の 活 性 化 や 一 層 の 国 際 化 を 図 る観 点 か ら、 専 門 的 、 技 術 的 分 野 の 外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ を よ り積 極 的 に推 進 す る。 ま た 、 我 が 国 の 経 済 、 社 会 等 の 状 況 の 変 化 に 応 じて 在 留 資 格 及 び 在 留 資 格 に 関 す る審 査 基 準 に よ っ て 規 定 され る外 国 人 労働 者 を 受 け 入 れ る範 囲 に つ い て は今 後 も見 直 す こ と とす る。 た だ し、 受 け入 れ 国 と して み た 日本 に は 、 周 辺 に 巨 大 な 人 口 を 有 し、 か つ 経 済 的 に 発 展 途 上 に あ る 国 が 多 い こ とか ら、 巨 大 な潜 在 的 流 入 圧 力 が 存 在 して い る こ とに 留 意 す べ き で あ る。 こ の た め 、 我 が 国 の 産 業 及 び 国 民 生 活 に 与 え る影 響 そ の 他 の 事 情 を勘 案 しつ つ 、 雇 用 情 勢 の 悪 化 等 我 が 国 の 労 働 市 場 の 状 況 を 反 映 して 的 確 か つ 機 動 的 に 入 国 者 数 を調 節 で き る よ うな受 け入 れ の在 り方 に つ い て も検 討 す る必 要 が あ る。 な お 、 い わ ゆ る 単 純 労 働 者 の 受 け 入 れ につ い て は 、 国 内 の 労 働 市 場 に か か わ る 問題 を 始 め と して 日本 の 経 済 社 会 と国 民 生 活 に 多 大 な 影 響 を 及 ぼ す と と も に 、 送 り出 し国 や 外 国 人 労 働 者 本 人 に とっ て の影 響 も極 め て 大 きい と予 想 され る こ とか ら 、 国 民 の コ ンセ ン サ ス を. ま えつつ 、. 十 分 慎 重 に 対 応 す る こ とが 不 可 欠 で あ る。 ま た 、 単 に 少 子 ・高 齢 化 に伴 う労働 力 不 足 へ の対 応 と して 外 国 人 労働 者 の 受 け入 れ を 考 え る こ と は適 当 で な く、 ま ず 高 齢 者 、 女 性 等 が 活 躍 で き る よ うな 雇 用 環 境 の 改 善 、 省 力 化 、 効 率 化 、 雇 用 管 理 の 改 善 等 を 推 進 して い く こ と が 重 要 で あ る。19(下線 は 筆 者). 以 上 の 議 論 か らわ か る よ うに 、 要 す る に 、 専 門 職 や 熟 練 労 働 に就 く外 国 人 は 積 極 的 に 受 け 入 れ る が 、 非 熟 練(単. 純)労 働 に 就 く外 国 人 は 、(日 系 人 な ど一 一定 の 身 分 や 地 位 を 有 す る者 と して 在. 留 を認 め る 場 合 を除 き)原 則 と して 受 け入 れ な い とい うの が 日本 政 府 の 外 国 人 労 働 者 受 け 入 れ に 関 す る 一 貫 した 姿 勢 で あ っ た 。 この よ うな 日本 政 府 の 姿 勢 を仮 に 「 鎖 国論 」 ない し 「 移 民受 け入 れ 消 極 論 」 と名 づ け る と 、 これ に 対 して 根 本 的 な 変 更 を迫 る 「 開 国 論 」 な い しは 「 移 民 受 け入 れ 積 極 論 」 を 大 胆 に 打 ち 出 した の が 経 済 審 議 会 の 答 申 と 「21世紀 日本 の 構 想 」 懇 談 会 の 報 告 書 で あ っ た 。 次 に これ ら 「開 国 論 」 の 主 張 に 耳 を傾 け て み よ う。. 2経. 済界 の移 民 受 け入 れ 政 策 −. 1.移. 「新 開 国 論 」 の 台 頭-. 民論争 の再 燃. バ ブル 経 済 の崩 壊 後 の 労 働 力 過 剰 状 況 の 中 で 、 外 国 人 労働 者 の導 入 の 是 非 を め ぐる 議 論 は 鳴 り を潜 め て い た 。 と こ ろ が 、 人口 減 少 社 会 に 対 処 す る た め に 外 国 か らの 労 働 者 の受 け 入 れ を 積 極 的.
(12) に 検 討 す べ き で あ る とす る経 済 企 画 庁 長 官(当 時)堺 屋 太 一 や 梶 山 静 六 元 官 房 長 官 らの 大 胆 な 問 題 提 起 が な され 、 これ が 契 機 とな っ て 日本 の 外 国 人 受 け 入 れ 政 策(移 民 政 策)を め ぐ る論 争 が に わ か に 再 燃 した 。 堺 屋 長 官 の 諮 問 を 受 け た 経 済 審 議 会(会 長)は. 長 ・豊 田章 一 郎 トヨ タ 自動 車 名 誉 会. こ の 問題 を 検 討 事 項 に 加 え 審 議 した 後 答 申 を 提 出 し、 この 答 申 に基 づ き 策 定 され た の が 、. 2010年 ま で の 経 済 運 営 の 指 針 とな る 日本 政 府 の 経 済 計 画 「 経 済 社 会 の あ る べ き 姿 と経 済 新 生 の 政 策 方 針 」 で あ る。 そ こ で は 「 多様 な知恵 の社 会の 形成」 のた めに 「 外 国人 労働者 の受 け入れ に よ る 多 様 性 と活 力 の確 保 」 が 謳 わ れ て い る。. 進 展 す る グ ロー バ リゼ ー シ ョ ンの 中 で 、 多 様 な 知 恵 の 時 代 を迎 え 、 日本 が これ か ら も世 界 の 中 で 豊 か さ を維 持 す る た め に は 、 多 様 で 異 質 な 才 能 の積 極 的 活 用 や 創 造 的 な発 想 に基 づ く経 済 活 動 の 拡 大 が 不 可 欠 で あ る。 こ う した観 点 か らは 、 日本 国 内 で 海 外 の 異 質 な 文 化 的 背 景 を もつ 人 々や 企 業 が 日本 人 や 日本 企 業 と協 力 し合 い 、 あ る い は 、 競 い 合 い な が ら活 躍 す る とい う状 況 を 創 り出 して い く こ とが 望 ま しい … 専 門 的 ・技 術 的 分 野 の 外 国 人 労 働 者 の 受 け 入 れ を 積 極 的 に 進 め る た め の 具 体 的 方 策 等 を 検 討 し、推 進 す る。 な お 、 い わ ゆ る 単 純 労働 者 の 受 け入 れ に つ い て は 、 日本 の 経 済 社 会 と国 民 生 活 に 多 大 な影 響 を 及 ぼす と と も に 、 送 り出 し国 や 外 国 人 本 人 に と っ て の 影 響 も極 め て 大 き い と予 想 され る こ とか ら、 国 民 の コ ンセ ンサ ス を踏 ま え つ つ 、 十 分 慎 重 に 対 応 す る こ とが 不 可 欠 で あ る。20(下線 は筆 者). 上 に 見 る よ うに 、 堺 屋 長 官 の 諮 問 を受 け た 経 済 審 議 会 の 報 告 書 は 、 専 門 的 ・技 術 的 分 野 の 外 国 人 労 働 者 につ い て は 「 受 け入 れ を積 極 的 に 進 め る た め の 具 体 的 方 策 等 を検 討 し、 推 進 す る 」 と述 べ て い るが 、 そ の 一 方 い わ ゆ る 単純 労 働 者 の受 け入 れ に つ い て は 「日本 の 経 済 社 会 と国 民 生 活 に 多 大 な影 響 を 及 ぼ す と と も に 、 送 り出 し国 や 外 国 人 本 人 に とっ て の影 響 も極 め て 大 き い と予 想 さ れ る」 と延 べ 、 十 分 慎 重 に対 応 す る と して い る。 この よ うに 、 こ の答 申 は 必 ず しも堺 屋 長 官 の意 向 に 沿 っ た もの とは な っ て い な い。. 2.三. 井情報 開発 総研 の調査 報告 書. これ と 同 じ頃 、 民 間 の シ ン ク タ ン ク 「三 井 情 報 開 発 株 式 会 社 総 合 研 究 所(以. 下 三 井 総 研 と略. 称)」 が 経 済 審 議 会 の 委 託 を受 け 実 施 した研 究 が あ る。 次 に そ の 調 査 報 告 書 の 主 張 に 耳 を 傾 け て み よ う。. 現 在 、 世 界 レベ ル で の 市 場 経 済 化 が 進 展 し、 経 済 的 な側 面 か ら 「 様 々な経 済主体 の効率 性 の 追 求 が 全 世 界 規 模 で 行 わ れ る よ うに な る」、 す な わ ち グ ロー バ リゼ ー シ ョン の 流 れ が加 速 化 し て い る。 こ の よ うな流 れ の 中 で 、 財 ・サ ー ビ ス貿 易 や 資 本 移 動 の拡 大 、 企 業 の 多 国 籍 化 が 進 み 、 世 界 レベ ル で 相 互 依 存 関 係 が 深 ま っ て い る。 こ の よ うな 中 、 我 が 国 が 引 き続 き世 界 経 済 に貢 献 して い くた め に は 、 企 業 活 動 の 効 率 化 、 付.
(13) 加 価 値 創 出 能 力 の 向 上 、 新 規 産 業 の 創 出 等 を 通 じて 産 業 構 造 の 転 換 を図 っ て い か な けれ ば な ら な い 。 ま た 、 新 た な 国 際 的 分 業 体 制 の構 築 を 通 じて 、 ア ジ ア の 経 済 的 発 展 と我 が 国 の 経 済 的 発 展 を整 合 させ て い か な けれ ば な らな い。 さ ら に 、21世 紀 の 我 が 国 は 、 これ ま で の よ うな も の 作 りの 優 位 性 に 加 え て 、 そ れ ぞ れ の ア イ デ ン テ ィ テ ィ を保 持 しつ つ も様 々 な 価 値 観 、 思 想 を相 互 に 許 容 し、 そ れ ぞ れ が 自己 主 張 で き る 社 会 、す なわ ち 「 開 か れ た 社 会 」 を構 築 し、 そ の ダ イ ナ ミズ ム を通 じて 新 た な 価 値 を形 成 して い か な けれ ば な ら な い 。21. た しか に これ ま で わ れ わ れ 日本 人 は あ ま りに も 閉 ざ され た 社 会 に 生 き て き た。 さま ざ ま な価 値 観 、 思 想 の 選 択 が 得 られ る 「開 か れ た 社 会 」 を 構 築 で きれ ば 、 異 質 の 人 間 交 流 の な か か ら、 新 た な 文 化 が 生 み 出 され 、 わ が 国 が21世 紀 の 世 界 の 平 和 と発 展 に 重 要 な 役 割 を 担 う条 件 整 備 に 資 す る も の と考 え られ る。 と こ ろ で 、 一 口に 移 民 を受 け 入 れ る とい っ て も そ の 具 体 的 な 方 式 とな る と極 め て 多 様 な や り方 が 考 え られ る 。 こ れ に 関 して 、 三 井 総 研 の 報 告 書 で は 移 民 受 け入 れ 方 式 が2つ され て い る点 に 注 目 した い 。1つ. の システ ム に分類. は ア メ リカ 、 カ ナ ダ 、 オ ー ス トラ リア な ど伝 統 的 移 民 国 の 方 式. で あ り、 毎 年 数 量 枠 を設 け て 国 外 か ら移 民 を受 け入 れ る方 式 で あ る(ち な み に 、 こ の な か に は 難 民 も含 ま れ る)。 も う1つ は 西 欧 諸 国 の 方 式 で 、 既 に 受 け入 れ 国 に 滞 在 す る外 国 人 に 永 住 権 や 国 籍 を 付 与 す る 方 式 で あ る 。 わ が 国 が移 民 を受 け 入 れ る 方 式 と して は この2つ. の方式 のい ずれ が よ. り望 ま しい もの で あ ろ うか 。 この 点 に 関 して 同 報 告 書 は 、 伝 統 的 移 民 国 の 方 式 は 以 下 の3つ の 理 由 か ら非 常 に 高 い リス ク を伴 うこ とか ら、 現 時 点 で は推 奨 で き な い との 結 論 に 達 して い る。22 (1)必. 要 とな る移 民 受 け入 れ 規 模 、 そ して 移 民 が 長 期 的 に は 高 齢 化 して い く こ と を考 え る と、. 移 民 の 受 け入 れ に よ っ て わ が 国 の 人口 構 造 を補 正 しよ う との 考 え は 適 切 で は な い 。 (2)移. 民 を 地 域 社 会 で 受 容 す る た め に は 、 精 神 的 ・制 度 的 土 壌 の 形 成 が 不 可 欠 で あ る が 、 移 民. 受 け入 れ 経 験 の な い わ が 国 で 、 一 挙 に そ の 土 壌 を 形 成 す る こ とは 不 可 能 で あ る 。 (3)人口. 減 少 ・高 齢 化 に よ る労 働 力 人口 の減 少 を 抑 制 す る対 策 と して は 、 女 子 や 高 齢 者 の 労 働. 力 の 上 昇 、 子 育 て の 社 会 化 に よ る 出 生 率 の 上 昇 な どが メ イ ン で あ り、 移 民 は そ れ を 補 完 す る 程 度 の も の と位 置 づ け る の が 妥 当 で あ る。 以 上 の 分 析 を踏 ま え て 、 同報 告 書 で は 外 国 人 労 働 者 受 け 入 れ 政 策 に 関 し て 次 の よ うな 勧 告 が 行 な わ れ て い る 。23 (1)わ. が 国 で 一 定 期 間 以 上 合 法 的 に 就 労 し、 今 後 も そ の 能 力 を発 揮 して わ が 国 と周 辺 諸 国 との. 関係 発 展 に 寄 与 で き る と期 待 され る外 国 人 に 対 し、 そ の 国 籍 を 維 持 しな が ら、 わ が 国 で 就 労 し滞 在 す るた め の 安 定 的 な 地 位 を付 与 す る こ とを 検 討 す べ き で あ る。 (2)こ. の 一 環 と して 、 永 住 や 帰 化 手 続 き の透 明 化 を 図 り、 希 望 す る外 国 人 が 一 定 条 件 を満 た せ. ば 永 住 権 や 国 籍 の 取 得 が 現 在 よ り も 円 滑 に 行 な え る よ うに す べ き で あ る 。 (3)欧. 米 諸 国 に お け る 移 民 受 け入 れ の 諸 制 度 、 特 に 西 欧 諸 国 に お い て 長 期 滞 在 の 外 国 人 に 安 定.
(14) 的 な 滞 在 や 就 労 の権 利 を 付 与 す る場 合 の 基 準 とそ の運 用 実 態 や 、伝 統 的 な 移 民 受 け 入 れ 国 に お け る ポ イ ン トシ ス テ ム な どの 考 え 方 や 制 度 運 営 の 実 態 な ど に つ い て 、 十 分 に調 査 研 究 を 行 な う必 要 が あ る。 以 上 の議 論 か らわ か る よ うに 、 同 報 告 書 も 大 量 移 民 受 け 入 れ よ りは 、 日本 とア ジア との 経 済 関 係 や 技 術 移 転 の 必 要 性 を 踏 ま え て 、 日系 企 業 で 養 成 され た ア ジ ア の 人 材 の 一 部 を 日本 に 還 流 させ 、 本 人 が 希 望 す る場 合 に は 安 定 した 在 留 資格 を付 与 す る方 向 を 提 起 す る に と どま っ て い る。. 3.日. 経 連 の 積 極 的 な 対 応 と 「新 開 国 論 」 の 台 頭. こ こ で わ が 国 にお け る 外 国 人 労 働 者 受 入 れ 政 策 に 関 す る 論 争 を 整 理 して み る と、 最 初 に わ が 国 で 外 国 人 労 働 者 の 受 け入 れ を め ぐ る議 論 が 高 ま っ た の は1980年 代 半 ば か ら1990年 代 前 半 に か け て で あ っ た 。 こ の 背 景 に は バ ブ ル 経 済 に よ っ て 深 刻 な人 手 不 足 に さ ら され た 東 京 商 工 会 議 所 を は じ め とす る 中 小 企 業 団 体 が 主 と して イ ニ シ ア テ ィ ブ を とっ た とい え る。 当 時 日経 連 は い わ ゆ る 単 純 労 働 者 の 受 け 入 れ につ い て は 否 定 的 な 論 調 を 繰 り返 して い た の で あ る。 これ を か りに 「 第 一次移 民 論 争 」 と名 づ け る と、 こ の 論 争 で は 「開 国 か 、 鎖 国 か 」 が議 論 の 中心 テ ー マ で あ っ た 。 だ が 、 次 第 にその議 論 の焦点 は 「 い わ ゆ る 単 純 労 働 者 を受 け入 れ る べ き か否 か 」 に移 り、 政 界 で もマ ス メ デ ィ ア で も活 発 な 議 論 が繰 り広 げ られ た 。 「 第 一 次 移 民 論 争 」 期 に は 、1988年 の 経 済 計 画 に お い て 外 国 人 労働 者 問 題 に 関 す る 新 た な 政 府 方 針 が 示 され 、 「 労働 需要 バ ブル 」の 下 で、外 国人研 修 制度 の規 制緩 和や 、技 能 実習制 度 の創設 、 日系 人 の 適 正 就 労 対 策 な どが 進 め られ た 。 しか しな が ら、 そ こで は政 府 の 基 本 方 針 そ の もの が 大 き く揺 さぶ られ る こ とは な か っ た。 1990年 代 の 末 か ら再 燃 した 「 第 二 次 移 民 論 争 」 で は 、 奥 田会 長 に 率 い られ る 日経 連 が 議 論 を 主 導 して い た とい え る。 既 に 見 た よ うに 、 堺 屋 長 官 の イ ニ シ ア テ ィ ブ に よ る 積 極 的 な 開 国 論 に も か か わ らず 、 経 済 審 議 会 の グ ロー バ ル 部 会 で は積 極 論 は つ い に 台 頭 しな か っ た 。 そ の 結 果 、 政 府 の 外 国 人 労働 者 受 け 入 れ 基 本 政 策 に は 、 ほ と ん ど大 き な変 更 は加 え られ る こ とが な か っ た 。 む しろ 開 国 論 を 積 極 的 に 展 開 した の は 日経 連 に 代 表 され る経 済 界 で あ っ た。 従 来 外 国 人 労 働 者 の 導 入 に 消 極 的 だ っ た 日経 連 は 、2000年 お よび2001年 版 の 労 働 問題 研 究 委 員 会 報 告 で 外 国 人 労 働 者 の 積 極 的 活 用 を 提 言 した。 こ こ で の イ ニ シ ア テ ィ ブ は 当 時 日経 連 会 長 に 就 任 した トヨ タ 自動 車 の 奥 田 会 長 に よ っ て と られ た とい っ て よ い 。 奥 田会 長 に よれ ば 、 そ の理 由 の 第 一 は 国 際 的 に 日本 を 孤 立 さ せ な い こ とで あ り、 そ の 第 二 は 少 子 高 齢 化 へ の 対 策 で あ る と され る 。24ま た 経 団 連 の 今 井 会 長 も 、 労 働 人 ロの 減 少 に た い す る 対 策 とい うよ り も、 人 口減 少 に よ る歳 入 減 へ の 対 策 と して 外 国 人 労働 者 の 導 入 に 賛 成 して い る。25 こ の よ うな 議 論 の 背 景 に あ っ た も の と して は-あ. くま で 推 測 の 域 を 出 な い が− わ が 国経 済 界 の. リー ダ ー た ち の 間 に 日本 経 済 の 長 期 低 迷 に よ る あせ りや 少 子 高 齢 化 社 会 へ の危 機 感 が あ っ た と思 わ れ る。 さ ら に これ に加 え て 、IT関. 連 の優 秀 な 外 国 人 技 術 者 に 対 す る わ が 国 産 業 界 の 需 要 、 ア. ジ ア の 労 働 輸 出 国 か ら受 け た 要 請 、 消 費 不 況 に 苛 立 つ 産 業 界 の利 害 や 思 惑 な どが 投 影 して い た の.
(15) で は な い だ ろ うか 。 こ の よ うに 経 済 界 の 「開 国 論 」 は 、 建 前 は 別 と して 本 音 の 部 分 で は 、 当然 の こ とな が ら狭 い 意 味 で の わ が 国 の 国 益 を 最 優 先 して お り、 そ の 意 味 で は 依 然 と して 経 済 成 長 を 追 い 求 め る も の で あ る こ とは 次 の 文 章 か ら も 明 らか で あ る。. 今 、 最 も必 要 な こ と は 、 今 後 も経 済 成 長 が 必 要 で あ り、 少 子 高 齢 化 の 下 で も そ の 実 現 が 可 能 で あ る こ と を 、 国 と地 方 を 通 じた 財 政 構 造 改 革 、 社 会 保 障 制 度 改 革 、 税 制 抜 本 改 革 等 の 目標 ・ ス ケ ジ ュ ー ル も視 野 に 入 れ た グ ラ ン ドデ ザ イ ン と して 提 示 す る こ とで あ る。26. 4.「21世. 紀 日本 の 構 想 」 懇 談 会 の 報 告 書. 経 済 界 の 開 国 論 と は異 な る ニ ュ ア ン ス で 積 極 的 な 外 国 人 労 働 者 受 け 入 れ を提 唱 した の は 、 故 小 渕 首 相 の 私 的 諮 問 機 関 で あ る 「21世紀 日本 の 構 想 」 懇 談 会 で あ っ た 。 同 懇 談 会 は21世 紀 に お け る 日本 の あ るべ き 姿 に つ い て の 報 告 書 を 、2000年1月18日. に 提 出 した 。27そ の 第1章. に、 「 移 民政. 策 へ 踏 み 出 す 」 とい う、 以 下 の よ うな 注 目す べ き提 言 が あ る 。. 日本 に居 住 す る 外 国 人 の数 は 総 人口 の1.2%を を も っ て 来 日 した外 国 人 の 割 合 が65%に. 超 え た 。 居 住 外 国 人 の うち で は 、 新 た に 目的. 上 る。 とは 言 え 、 外 国 人 の 総 人口 比 は 先 進 国 で は 決 し. て 高 くな く 、 日本 で は 「 定 住 外 国 人 政 策 」 が 「出入 国 管 理 政 策 」 の 一 環 で 考 え られ て き た もの の 、 法 的 地 位 、 生 活 環 境 、 人 権 、 居 住 支 援 な どが 総 合 的 に 勘 案 され た 外 国 人 政 策 は 未 発 達 の ま ま で 来 た。 グ ロー バ ル 化 に積 極 的 に 対 応 し、 日本 の 活 力 を維 持 して い くた め に は 、21世 紀 に は 、 多 くの 外 国 人 が 普 通 に 、 快 適 に 日本 で 暮 らせ る総 合 的 な環 境 を 作 る こ とが 不 可 避 で あ る。 一 言 で 言 え ば 、外 国 人 が 日本 に住 み 、 働 い て み た い と思 うよ うな 「 移 民 政 策 」 を つ く る こ と で あ る。 国 内 を 民 族 的 に も 多様 化 して い く こ と は 、 日本 の 知 的 創 造 力 の 幅 を広 げ 、 社 会 の 活 力 と国 際 競 争 力 を 高 め る こ と に な り うる。 た だ 、 一 気 に 門 戸 を 開 放 し、 自 由 に 外 国 人 の 移 住 を 図 る の は 望 ま し く な い 。 日本 社 会 の 発 展 へ の 寄 与 を 期 待 で き る 外 国 人 の 移 住 ・永 住 を 促 進 す る. 、 よ り明 示 的 な移 住 ・永 住 制 度 を設 け る. べ き で あ る。 そ して 、 日本 で 学 び 、 研 究 して い る留 学 生 に 対 して は 、 日本 の 高 校 ・大 学 ・大 学 院 を修 了 し た 時 点 で 、 自動 的 に 永 住 権 が 取 得 で き る 優 遇 策 を 考 え る べ き で あ る。(下 線 は 筆 者). 劇 作 と評 論 で 著 名 な 山 崎 正 和 は 、 い わ ば 「 開 国 論 」 の オ ピ ニ オ ン ・リー ダ ー 的 存 在 とい え る。 山 崎 は 「21世紀 日本 の 構 想 」 懇 談 会 の 委 員 を務 め て お り、 同 懇 談 会 報 告 書 の第5章. 「日本 人 の 未. 来 」 を 分 担 執 筆 して い る。 彼 は総 合 月 刊 誌 『論 座 』 特 集 号 で 次 の よ うな 思 い 切 っ た 発 言 を して い る。.
(16) 私 は 、 日本 が これ か ら多 民 族 化 、 あ る い は 多 文 化 化 して い か な けれ ば な らな い と強 く信 じて い ます 。 そ の 第 一 の 理 由 は 、 決 して 国益 で は あ りませ ん。20世 紀 に 人 類 は 多 くの 罪 も犯 した し、 多 く の 苦 しみ も 味 わ い ま した が 、 そ の 大 き な原 因 は 国 家 主 義 、 そ れ を 裏 返 した 民 族 主 義 だ っ た。 さ ら に 現 在 に つ い て 言 え ば 、 私 た ち が そ れ ぞ れ の 文 化 集 団 に属 して い る の は 事 実 で す が 、 頭 の 中 の 半 分 はす で に 世 界 人 で す 。 読 ん で い る知 識 の 半 分 は外 国 の 文 化 か 、 ど こ の 国 に も属 さな い 普 遍 的 な 学 問 で す 。 だ か らわ れ われ の 心 情 も そ れ に 合 わ せ て 、 「 世 界 市 民 」 を生 み 出 して い か ね ば な ら な い 。 日本 社 会 を 多 様 化 す る こ とは 、 近 代 人 と して の 歴 史 的 な 使 命 だ と私 は 思 っ て い ま す 。 …(中 略)… 私 の頭 の 中 に あ る の は 、や は り20世 紀 の ア メ リカ です 。 ア メ リカ は 多 民 族 国 家 を 形 成 した こ とで どれ だ け 得 を した こ とか 。 考 え て み れ ば 、 キ ッ シ ン ジ ャ ー は一 世 の 外 国 人 で す し、 ソ ロ ス もオ ル ブ ラ イ トもそ うで す 。 今 新 聞 を に ぎ わ せ て い る よ うな 名 前 の 半 分 く らい が 外 国 人 で す 。 こ とほ ど さ よ うに ア メ リカ は 文 化 背 景 の 違 う人 た ち を集 め て 新 しい 国 を つ く り、 知 的 に 成 功 し た の は 間 違 い あ りませ ん 。28(下線 は筆 者). 上 の 文 面 か らわ れ われ は 、 従 来 の 日本 政 府 や 経 済 界 の移 民受 け入 れ に 関 す る 「開 国 論 」 とは 明 確 に 一 線 を 画 す 姿 勢 を 読 み 取 れ る。 す な わ ち 、 日本 政 府 の 外 国 人 政 策 は 出 入 国 管 理 政 策 の 一 環 と して 考 え られ て き た の に 対 し、 こ こ で は 総 合 的 、 本 格 的 な 移 民 政 策 を 打 ち 建 て る こ と で 、 多 民 族 ・多 文 化 社 会 の創 生 を め ざ し、 そ れ に よ っ て 「日本 の 知 的創 造 力 の幅 を広 げ 、社 会 の 活 力 と 国 際 競 争 力 を 高 め る」 こ とを ね らっ て い る。 単 に少 子 化 ・高 齢 化 対 策 あ る い は 労 働 力 不 足 に 対 す る 解 決 策 と して 外 国 人 をや む を えず 受 け 入 れ る とい う従 来 の 日本 政 府 や 経 済 界 の ス タ ン ス とは 明 ら か に 異 な る も の とい え る。 こ の よ うな 意 味 で 、筆 者 は これ を 「 新 開 国 論 」 と呼 ぶ の が ふ さわ しい と考 え る。. 3外. 1.世. 国 人 受 け入 れ を め ぐる世 論 とマ ス メ デ ィ ア の 論 調. 論の動 向. 今 後 わ が 国 が本 格 的 な 外 国 人 労働 者(移. 民)の 受 け 入 れ の 方 向 で 検 討 を進 め る際 に 、 国 民 世 論. の コ ンセ ン サ ス形 成 が 何 よ り も大 き な 意 味 を持 つ こ とに な る と思 わ れ る。 そ こ で 本 節 で は 、 外 国 人 受 け 入 れ に 関 す る 世 論 とマ ス メデ ィア の 論 調 が どの よ うに 変 化 して き た か を 見 て み よ う。 まず 日本 国 民 の この 問題 に 関 す る 世 論 の 動 向 か ら見 て み る。 内 閣 府 が2000年11月. に 実 施 した 「 外 国 人 労 働 者 問 題 に 関 す る 世 論 調 査 」 に よれ ば 、 専 門 技 術 や. 知 識 を必 要 と しな い 単 純 労 働 につ い て「一 定 の 条 件 や 制 限 を つ け て 就 労 を認 め る べ き だ 」 とす る 者 は 、1990年 の 調 査 結 果 よ り5.1%減 つ ぎ に 、 朝 日新 聞 は2000年9月24日. っ て51.4%と. な っ て い る。29. 、25日 の 両 日、外 国 人 や 外 国 人 労 働 者 の 受 け入 れ に 関 す る.
(17) 全 国 世 論 調 査 を 実 施 、 そ の 調 査 結 果 の 分 析 を11月9日. 付 の 同 紙 朝 刊 紙 面 で 報 道 して い る。 調 査 結. 果 の 詳 細 に つ い て 紹 介 す る わ け に は い か な い が 、 同 調 査 で 注 目す べ き 点 は 、 外 国 人 の 受 け 入 れ に つ い て 日本 国 民 の 意 識 が 柔 軟 か つ 前 向 き の 方 向 に 変 化 した こ とが 明 らか に な っ た こ とで あ る。 同 紙 は1989年 に も同 趣 旨 の 世 論 調 査 を 行 っ て い るが 、 こ の10年 あ ま りの 間 に 国 民 世 論 が 変 化 した こ とを 明 確 に 読 み 取 る こ とが で き る。30 ま ず 単 純 労 働 者 の 受 け 入 れ の 是 非 に つ い て は 、 何 らか の 条 件(「 就 労 期 間 を制 限 す る 」 「 人数を 制 限す る」 「 職 場 や 職 種 を 制 限 す る 」)を つ け て 「 受 け入 れ る」 が64%あ は容 認 派 が7割. り、 特 に20代 か ら40代 で. を超 え て い る。 受 け 入 れ 容 認 か 反 対 か の 態 度 は 、 外 国 人 労 働 者 を ど う見 て い る か. に よ っ て 大 き く左 右 され る こ とが わ か る。 容 認 派 は と りわ け ア ジ ア か らの 労 働 者 が 「 人 手不 足 を 補 っ て い る 」 と現 実 的 に 受 け 止 め な が ら も 、 「 社 会 や 文 化 の 活 性 化 に役 立 っ て い る 」 と社 会 ・文 化 的 価 値 へ の 評 価 も相 対 的 に 高 い 。 半 面 、 反 対 派 は 「日本 人 の 労働 条 件 の 悪 化 」 「 地 域社 会 の ト ラ ブ ル 」 な どの 懸 念 を抱 い て い る。 この よ うに 、 外 国 人 労働 者 受 け入 れ に 関 して は 容 認 派 が 増 え て い る半 面 、 不 法 滞 在 者 の 就 労 へ の 対 応 に つ い て は 、 回 答 者 の46%が 34%よ. 「 厳 し く取 り締 ま る 」 と答 え て お り、 前 回1989年 の 調 査 の. りも増 えて い る。 これ に 対 し 「 合 法 的 に 働 け る よ うに す る」 は39%(前. 回45%)と. 前回よ. り減 っ て い る。 こ こ に は 、 不 法 滞 在 や 不 法 就 労 に 対 す る極 め て根 強 い 警 戒 心 が 読 み 取 れ る。 ま た 「 住 民 」 と して の 外 国 人 労 働 者 へ の 公 的 サ ー ビ ス((医. 療.教. 育.住. 宅 な ど)を 充 実 させ るべ き. だ と しな が ら も、 そ れ に よ っ て 新 た に税 負 担 が 増 え る こ とに は 消 極 的 で あ る。 次 に 、 永 住 外 国 人 に 地 方 参 政 権 を 認 め る こ と に 関 して は 「 選 挙 権 だ け を認 め るべ き 」 が41%、 「 選 挙 権 と被 選 挙 権 の 両 方 認 め るべ き 」 が23%で. 、 両 者 を 合 わ せ る と64%が. 前 向 き な 姿 勢 を示 し. て い る こ と も特 筆 す べ き 点 で あ ろ う。 最後に、「 移 民 」 受 け 入 れ に つ い て3つ と反 対 派(19%)が. そ れ ぞ れ20%弱. の 選 択 肢 で 回 答 を 求 め る と、 受 け 入 れ 賛 成 派(18%). で 賛 否 が 分 か れ て い る。 しか し一 方 で 、 移 民 を 「 将来 の課 題. と して 考 え た 方 が よ い」 と の 回 答 が57%あ. っ た こ とは 注 目に値 す る 。 これ に 移 民 受 け 入 れ 賛 成 派. を加 え る と75%が 移 民 に 前 向 き な 姿 勢 を 示 して い る こ とに な る。. 2・ 外 国 人 対 策 か ら外 国 人 政 策 へ 以 上 の 調 査 結 果 を 踏 ま え て 、ANN客. 員 研 究 員 で あ る竹 田 い さみ 独 協 大 学 教 授 は 、 次 の よ うな. コ メ ン トを 寄 せ 、 「 外 国人対策 」 か ら 「 外 国 人 政 策 」 へ の 転 換 を提 唱 して い る。. か つ て 「開 国 ・鎖 国 論 」 が 展 開 され た 時 は 、 「地 域 社 会 の トラ ブ ル 」 な ど社 会 問題 に 注 目が 集 ま っ た 。 外 国 人 「対 策 」 の 発 想 に 立 っ て 、 い か に 受 け入 れ を 規 制 し、 不 法 滞 在 や 不 法 就 労 を ど う取 り締 ま る か 、 と い っ た 論 議 へ の 傾 き が 目立 っ た 。 現 在 の 日本 社 会 で は 、 外 国 人 労 働 者 が す で に 経 済 活 動 の 重 要 な 一 翼 を 担 っ て い る。 経 済 の グ ロー バ ル 化 が 進 み 、 さ らな る 国 際 化 が 求 め られ て い る。 数 年 後 に は 、 日本 の 総 人口 が 急 速 に 減 少 して い く時 代 が 迫 っ て い る。 結 局 、 日.
(18) 本 の 社 会 にお い て 、 外 国 人 と協 調 で き る 関 係 を 、 い か に 築 い て い くか が 課 題 に な る。 外 国 人 の 存 在 を 、 問 題 と して と らえ る 対 策 型 の 発 想 か らの 脱 皮 が 求 め られ る。21世 紀 を 迎 え る 日本 は 「 外 国人対 策 」か ら 「 外 国 人 政 策 」 へ の移 行 期 に あ る。31. 3.朝. 日新 聞 の 提 言. 朝 日新 間 は2000年12月25日. の紙 面 で 「 外 国 人 労 働 者 受 け入 れ を め ぐ る特 集 」 を組 み 、 そ こ で 次. の よ うな3つ の 提 言 を して い る。32. 提言①. 「 外 国 人 の 『住 民 』 と共 生 す る 地 域 社 会 を 築 く」. 日本 に は 約67万 人(永 住 者 や 日本 人 と結 婚 した 配 偶 者 ら を 除 く)の 外 国 人 労 働 者 が暮 して い る。 だ が 、 育 児 や 入 居 差 別 、 高 齢 者 介 護 な どで 悩 み を抱 え て い て も、 相 談相 手 もい な い ケ ー ス が 少 な く な い 。 就 労 して い る外 国 人 は 、 日本 人 と同 じ よ うに 税 金 を払 っ て い る。 外 国 人 を 「異 質 」 な 存 在 と して 遠 ざ け るの で は な く、 隣 人 と して 共 生 して い く地 域 社 会(多 文 化 共 生 社 会)を つ く りあ げ る ことが先決 だ。 提 言②. 「 外 国 か らハ イ テ ク頭 脳 が 集 ま る 環 境 を つ く る」. しか し、 そ れ だ け で は ハ イ テ ク 分 野 の 頭 脳 が 日本 に集 ま っ て くれ な い。 産 業 の 集 積 、 快 適 な 暮 ら しの 保 障 な ど 、 専 門技 術 者 が 集 ま っ て くれ る よ うな 条 件 を 整 備 しな い と 、 日本 は 「 頭脳 の国際 移 動 地 図 」 の 中で 影 が薄 く な りか ね な い 。 提言 ③ 「 暮 ら しを 脅 かす 国 際 犯 罪 を ア ジ ア の 協 調 で 防 ぐ」 人 流 新 時 代 は 、 負 の側 面 も持 つ 。 犯 罪 者 も容 易 に 国 境 を越 え られ る。 麻 薬 取 引 な ど生 活 を 脅 か す 国 際 犯 罪 を 、 ア ジ ア諸 国 間 の 協 力 で 防 止 して い く こ と も不 可 欠 で あ る。. 朝 日新 聞 の ほ か に も 中 日新 聞 が 、 国 立 社 会 保 障 ・人口 問 題 研 究 所 の 将 来 人 口推 計 な ど を根 拠 に 、 少 子 高 齢 化 と人 口減 少 問題 を 考 慮 に 入 れ る時 、 本 格 的 な移 民 受 け入 れ を検 討 す べ き 時 期 に 来 て い る と警 鐘 を鳴 ら して い る。33以 上 か ら も 明 らか な よ うに 、 マ ス メ デ ィ ア お よび ジ ャ ー ナ リズ ム の こ の 問 題 を め ぐ る論 調 は お お む ね 「 開 国 論 」 に傾 い て き て い る とい う こ と が で き よ う。 そ うは い っ て も無 条 件 の 受 け 入 れ 肯 定 とい うわ け で は な く、 受 け 入 れ の た め の 条 件 の整 備 や 体 制 作 りが あ くま で そ の 前 提 に な る こ と は い うま で もな い 。 周 知 の よ うに 、 わ が 国 同 様 高 齢 化 と少 子 化 問 題 を抱 え る欧 州 諸 国 は外 国 人 労 働 者 を移 民 と して 大 量 に 受 け入 れ る こ とで 対 処 して きた 。 しか し近 年 外 国 人 の 急 激 な 増 加 は 社 会 的 な 摩 擦 を 引 き起 こ し、 我 慢 の 限 度 を 超 え て い る。 と くにEU統. 合 後 の ヨー ロ ッパ 諸 国 で移 民排 斥 を 訴 え る右 派 政. 党 が 支 持 を集 め 台 頭 して き て お り、 従 来 どち らか とい う と移 民 や 外 国 人 労 働 者 あ るい は 難 民 な ど の受 け 入 れ に 寛 容 だ っ た 欧 州 各 国 政 府 も移 民 難 民 政 策 の 見 直 しを 迫 られ 、 そ の 方 向 に 動 き 始 め て い る。 中 日新 聞 は こ の よ うな 欧 州 に お け る動 向 を 日本 の将 来 の移 民 政 策 を 考 え る上 で 欠 か す こ とが で き な い 重 要 な 現 象 と して 取 り上 げ 、連 載 記 事 を 組 み 、 ベ ル ギー 、 オ ラ ン ダ 、 イ タ リア 、 デ.
(19) ン マ ー ク の 事 例 を 報 告 して い る。34ヨ ー ロ ッパ の 経 験 か らわ が 国 が 学 ぶ べ き教 訓 は 少 な くな い と 思 わ れ る。. 四. 外 国 人 労 働 者 受 け入 れ に 際 して 予 想 され る 問 題 点. わ が 国 が移 民 労 働 者 ・外 国 人 労働 者 を 本 格 的 に 受 け 入 れ る と仮 定 した 場 合 、 そ こ で は 超 え な け れ ば な ら な い 問題 点 や ハ ー ドル が い くつ か 予 想 され る。 本 節 で は そ れ らの 問題 点 や ハ ー ドル を想 定 して そ れ ぞ れ に つ い て 検 討 を加 え る こ とに す るが 、 そ の 際 基 本 的 な フ レー ム を 井口 泰 関 西 学 院 大 学 教 授 の論 文 に 依 拠 す る こ とを お 断 り して お く。35 第1に. 、移 民 ・外 国 人 労 働 者 の 導 入 は 、 は た して 生 産 人 口 の 減 少 や 高 齢 化 対 策 に つ な が る の か. とい う問題 が あ る 。 結 論 か ら先 に言 え ば 、 人口 減 少 対 策 あ る い は 少 子 高 齢 化 対 策 と して 外 国 人 労 働 者(あ. る い は 移 民)を 導 入 す る とい う発 想 は 非 現 実 的 で あ る こ とを 指 摘 しな けれ ば な らな い。. こ の 点 に 関 して は 、 す で に 何 人 か の 識 者 に よ っ て 指 摘 され て い る と こ ろ で あ る 。 以 下 や や 長 くな る が 、 外 国 人 労 働 者 問題 の 実情 に 明 る い 井口 泰 関 西 学 院 大 学 教 授 の 見 解 を 引 用 して お こ う。. 少 子 高 齢 化 に よ る人 口構 成 の ゆ が み の 是 正 を 、 す べ て 移 民 に 頼 る こ とは 困難 だ 。 人 口 に 占 め る 高 齢 者 の 比 率 が2000年 度 の 水 準(18%)を. 超 え な い た め に 必 要 な移 民 数 の 推 計 に よ る と 、. 2050年 に 累 計2億 人 超 と い う非 現 実 的 な 水 準 に な る。2050年 に25%を. 維 持 す る 目標 で も 、 累 計. で7000万 人 以 上 、 年 間 で120万 ∼150万 人 程 度 と、 現 在 の 米 国 と同 規 模 に な る。 生 産 年 齢 人口 の 絶 対 数 を 維 持 す る 目標 な らば 、 累 計 で 約4000万 人 。 年 間 で約30万 ∼70万 人 とや や 現 実 的 だ が 、 50年 も の 間 こ の 規 模 の 受 け入 れ を続 け られ る とは 、 容 易 に は 考 え に くい 。 移 民 受 け入 れ で 高 齢 化 を 食 い 止 め られ る か 、 とい う議 論 は 欧 州 で も あ っ た 。OECDが91年. に. ま とめ た リポ ー トの 結 論 で は 、 短 期 的 に は 若 年 労 働 力 を補 充 で き て も、 長 期 的 に は 効 果 の持 続 は 困難 と され て い る。 あ る時 期 に 大 量 の若 年 労 働 者 を補 充 す れ ば 、 将 来 そ の 年 齢 層 が 高 齢 化 し た と き 結 局 ゆ が み が 生 じ る(外 国 人 の 出 生 率 は 、 受 け 入 れ 国 の 国 民 並 み に 低 下 す る傾 向 が あ る)。 一 方 、 毎 年 一 定 の 人 数 を受 け入 れ る の は 、 不 況 期 な ど に 政 治 的 に 困 難 が 伴 う、 とい う理 由 か らだ 。 しか し、 意 味 が な い わ け で もな い。 例 え ば フ ラ ンス で は 、 人 口の 年 間 増 加24万 人 の うち 、 外 国 人 の 純 流 入 が4万. 人 を 占め た とい う。 人 口減 の 中 で の 技 術 革 新 や 生 産 性 の 向 上 、 必 要 不 可 欠. な サ ー ビ ス の 維 持 とい っ た 点 で は 、 受 け入 れ の 効 果 は 否 定 で き な い 。 と く に 日本 で2020∼40年 ご ろ に想 定 され る急 速 な 人口 減 が 企 業 の 投 資 行 動 な どに 与 え る影 響 を 考 え れ ば 「生 産 性 が 上 が れ ば 人口 減 は 怖 く な い 」 とは 言 い 切 れ ず 、 打 て る手 は 打 つ べ き だ と の 考 え 方 は あ り う る だ ろ う。36. 第2に. 、 移 民 ・外 国 人 労 働 者 ρ 受 け入 れ は 、 は た して日 本 国 内 の雇 用 や 経 済 成 長 に プ ラ ス に な.
関連したドキュメント
そして,我が国の通説は,租税回避を上記 のとおり定義した上で,租税回避がなされた
[r]
[r]
[r]
[r]
の主として労働制的な分配の手段となった。それは資本における財産権を弱め,ほとん
[r]
金属プレス加工 電子機器組立て 溶接 工場板金 電気機器組立て 工業包装 めっき プリント配線版製造.