上半規管裂隙症候群における水中内視鏡下耳科手術による閉塞術の手技と利点
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(2) 「SUPERIOR SEMICIRCULAR CANAL DEHISCENCE SYNDROME」特集. 160. 要 旨. 著者らは,従来の顕微鏡下手術または非浸水下で行 う内視鏡手術よりも,より膜迷路の観察が明瞭で,内. 症候群は,1998 年マイナーによって最. 耳への空気迷入による聴覚障害を軽減する目的で,浸. 初に報告され,これまでいくつかの手術法について報告. 水下に内視鏡を使用する手技を開発した 1)∼3).この水中. されてきた.正円窓閉鎖術はいわゆる“third window. 内視鏡下耳科手術(underwater endoscopic ear surgery;. theory に基づいた術式であるが,その効果は限定的で. UWEES)により,経乳突洞的 plugging をより繊細で安. あることが報告されている.一方,中頭蓋窩法による. 全に施行できると考えている.. 上半規管裂. plugging または resurfacing の場合は,ほとんどの症例 で裂. 部を直接確認できる.しかし,裂. 術前の評価. 部が上錐体静. 脈洞に位置している場合は困難となる.さらに頭蓋内合 併症のリスクのため,安易には手術を勧められないジレ. 術前に十分に病歴を聴取し,耳科学的検査にて上半規. ンマがある.そのため,耳鼻咽喉科医にとって中頭蓋窩. 管裂. 法よりも経乳突洞法による plugging の方が容易な術式. とが肝要であるが,薄いスライスでの CT 検査で裂. であるが,下方からでは裂. 確認されれば診断は容易である.CT では裂. 部を確認しづらく,また感. 音難聴の合併症のリスクが潜んでいる.. 症候群として矛盾がないかどうか確認しておくこ が. の位置が. 上半規管の前方か後方か,中頭蓋窩硬膜か上錐体静脈洞. 著者らは経乳突洞法による plugging に水中内視鏡を. か,乳突蜂巣の発育,低位中頭蓋窩の有無,弓下動脈の. 用いることで安全性を高める方法に改良した.乳突削開. 走行などを確認する(図 1) .また,耳管機能検査やア. 術後,浸水下に内視鏡を用いることで,膜迷路と裂. ブミ骨筋反射検査によって,耳管開放症や耳硬化症と鑑. を明瞭に観察することが可能であった.たとえ裂. 部 部が. 別することも重要である.. 上錐体静脈洞に位置していても,内側からアプローチで 経乳突洞的 UWEES による plugging. きるので有用であった.本術式の方法や適応,術後成績 について報告する.. はじめは顕微鏡下に,耳後切開後,上方茎筋骨膜弁を はじめに. 作成し,乳突削開を行う.キヌタ骨,外側半規管を同定 し,外側半規管の上後方の乳突蜂巣を削開し,上半規管. 上半規管裂. 症候群は 1998 年 Minor らによって報告. を同定する.通常は乳突蜂巣の発育は良好であり,上半. された比較的新しい疾患である.上半規管が中頭蓋窩硬. 規管の同定は容易であるが,蜂巣の発育が不良でさらに. 膜や上錐体静脈洞に面して裂. 低位中頭蓋窩である場合は,天蓋と外側半規管の間に十. が 存 在 す る こ と で,. Tullio 現象や瘻孔症状のほか,めまい,自声強聴,耳閉. 分なスペースを確保しづらい.必要に応じて硬膜を露出. 感,耳鳴,難聴,体内音聴取といった様々な症状を生じ. させ,また,外側半規管の blue line を確認し,迷路を. る.純音聴力検査で骨導閾値の低下や気骨導差を呈する. 開放させない程度に外側半規管外側を削開してスペース. ことがあり,また VEMP では患側の振幅増大や反応閾. を拡げる.この際より安全性を担保するために,外側半. 値の低下が見られる.症状が軽度であれば経過観察とな. 規管の blue line を同定する時点から UWEES に切り替. るが,患者の QOL に大きな影響を及ぼす症例も少なく. えても良い.裂. なく,根治的に裂. の閉鎖を目的とした外科的治療法と. 脈が妨げになるので,予め顕微鏡下に切除し凝固止血す. して,側頭開頭による plugging や resurfacing,または. る.UWEES の開始前に可及的に止血しておくと良い (図. 経乳突洞法による plugging が選択される.裂. 2) .. が卵円. が後方に位置している症例では弓下動. 窓と正円窓に次いで“第 3 の窓” (third window)とし. 続いて UWEES を行うが,予め術野の下方にステリ・. て影響していることから,低侵襲な正円窓閉鎖術が開発. ドレープ・イリゲーションパウチ(3M Health Care,眼. されたが,その効果については賛否がある.. 科用を代用してもよい)を設置し,乳突洞から. 論文受付 2020 年 4 月 28 日,論文受理 2020 年 5 月 12 日 † 責任著者 山内 大輔 〒 980-8574 仙台市青葉区星陵町 1-1 東北大学医学部 耳鼻咽喉・頭頸部外科 E-mail: [email protected]. れ落ち. る 灌 流 液 を 回 収 で き る よ う に し て お く.2.7 mm 0 ° 18 cm 耳用硬性鏡(ストルツ)に Endo-scrub 2.7 mm 用シース(メドトロニック)を取り付け,IPCTM(メド トロニック)に接続する.IPC の設定は,以前は通常の.
(3) 山内,他:水中内視鏡手技による経乳突洞的上半規管閉塞術. 161. 図 1 術前のコーンビーム CT 検査所見 コーンビーム CT(3D Accuitomo モリタ製作所)にて撮影し,総合画像処理ソフト(i-VIEW モリタ製作所)にて Pöschl view を作成した.a. 左上半規管裂 症候群,中頭蓋窩硬膜例.上半規管の前上方で中頭蓋窩硬膜に裂 を認める(白矢尻) .b.左上半規管裂 症候群,上錐体静脈洞例. 上半規管の後上方で上錐体静脈洞に裂 を認める(白矢尻).. たは coarse diamond,VISAO,メドトロニック)を用 いて,上半規管の外側からアプローチして blue line を 同定し骨迷路を開放する.半規管膜迷路は弧の外側に位 置しているので,ドリルで巻き込まないように半規管の 弧の内側から開放し,膜迷路をよく確認してから弧の外 側に開放部を広げる.ピックなどを用いて,膜迷路を探 索し,半規管の外側縁で硬膜や上錐体静脈洞と疎に癒着 している部分を確認しながら,内側縁へと浮かせるよう に剥離する.裂. 部を通して,硬膜や上錐体静脈洞を確. 認し,前後の範囲を同定する.膜迷路を切断し,折り返 すように前後の骨迷路にたたみ入れ,小筋膜で閉鎖する. 図 2 経乳突洞的上半規管裂. へのアプローチ. 外側半規管を同定し,その上方に位置する上半規管へアプローチす る.低天蓋の場合は内視鏡とドリルの挿入スペースが狭くなる.裂 が後方に位置する場合は予め弓下動脈を処理しておく.SA;弓下動脈, SPS;上錐体洞,PSCC;後半規管,LSCC;外側半規管,M;ツチ骨, I;キヌタ骨,破線;上半規管裂 の部位(中頭蓋硬膜と上錐体静脈 洞の場合を示す.). さらに骨パテ,小骨片,人工骨(バイオペックス®-R, HOYA Technosurgical)などで“watertight”に閉鎖する. フィブリンのりで固定しつつ,更に筋膜で被覆,必要で あれば上方茎筋骨膜弁で更に被覆して補強する. 症例 1(図 3). エンドスクラブ用のモードにしてフットスイッチを使用. 64 歳,女性,左上半規管裂. していたが,最近は長時間連続の灌流のために“Suction. 主訴:頭位めまい. Irrigator”モードにして使用している.灌流のオン / オ. ①顕微鏡下に乳突削開した.② UWEES にて外側半. フを助手に行ってもらう手間があるが,安定して灌流す. 規管の上方を削開(2 mm coarse diamond)した.③上. ることができる.灌流量は, “Size”を基本の流量で“8Fr”. 半規管の blue line を確認した.④上半規管を外側方か. に設定し,10 段階で微調整できる“Flow”ボタンで調. ら開放した(0.6 mm diamond) .⑤∼⑥半規管膜迷路. 整する.灌流液は当初生理食塩水を使用していたが,外. を確認し,裂. リンパ組成に近く,pH の安定している人工髄液(アー. た.⑧筋膜,骨片,骨パテにて閉鎖した.⑨骨パテで充. トセレブ ®,大塚製薬)を使用している.. 填した.その後再び顕微鏡下に,筋膜,上方茎筋骨膜弁. 水中内視鏡下に,先端部だけが回転し内視鏡と干渉し に く い curved burs(2,1.5,1,0.6 mm,diamond ま. ,中頭蓋窩硬膜例.. から剥離した.⑦半規管膜迷路を切断し. にて被覆しフィブリンのりで固定した..
(4) 162. 「SUPERIOR SEMICIRCULAR CANAL DEHISCENCE SYNDROME」特集. 図 3 症例 1 64 歳,女性.左上半規管症候群(中頭蓋窩硬膜例). LSCC;外側半規管,Teg;天蓋,矢尻(黒);上半規管 blue line,*;上半規管裂 骨片による閉鎖,b;骨パテ. ,SA;弓下動脈,破線;上半規管膜迷路,矢尻(白);筋膜,. 図 4 症例 2 32 歳,男性.左上半規管症候群(上錐体静脈洞例) . SPS;上錐体静脈洞,SA;弓下動脈,*;筋膜,骨片による閉鎖,矢尻(黒) ;骨パテ.
(5) 山内,他:水中内視鏡手技による経乳突洞的上半規管閉塞術. 表 1 上半規管裂 症例. 年齢. 性別. 術側. 1 2 3 4 5 6 7. 64 32 46 69 67 48 36. 女性 男性 女性 女性 女性 男性 男性. 左 左 左 右 右 右 左. 裂. 163. 症候群 7 症例の術前症状. の部位. 中頭蓋窩硬膜 上錐体静脈洞 中頭蓋窩硬膜 上錐体静脈洞 中頭蓋窩硬膜 中頭蓋窩硬膜 中頭蓋窩硬膜. 症例 2 (図 4). 聴覚過敏. 自声強聴. 拍動性耳鳴. +. + + +. +. + + + +. めまい. 耳閉感. +. + +. + +. + +. +. その後,高分解能 CT の発達によって側頭骨の詳細な情 報が得られるようになり,1998 年 Minor ら 8)によって. 32 歳,男性,左上半規管裂. ,上錐体静脈洞例.. 上半規管裂. 症候群が発見された.本疾患は,上半規管. 主訴:拍動性耳鳴.. に中頭蓋窩硬膜や上錐体静脈洞に面した裂. 症例 1 と同様に顕微鏡下に乳突削開し,予め弓下動. ことにより,様々な聴覚平衡異常をきたす比較的新しい. 脈を凝固処理した.① UWEES にて外側半規管の後方. 疾患概念であるが,裂. を削開し,半規管膜迷路を確認した.②∼③裂. なっていない.先天性に裂. 部に上. が存在する. が生じる原因は未だ明らかに が存在し,何らかの転機で. 9) ,10). 錐体静脈洞を確認し,半規管膜迷路を剥離した.④半規. 発症するとの説があるが. 管膜迷路を切断した.⑤半規管膜迷路を両端にたたみ入. の骨吸収が見られることがあることから,中耳髄膜脳瘤. れ,筋膜にて閉鎖した.⑥骨片,骨パテにて閉鎖した.. での推説と同様に,脳圧亢進に伴って中頭蓋窩骨が浸食. その後再び顕微鏡下に,バイオペックス R でさらに充. されて後天的に発生するとの報告もある 11),12).主な症. 填し,筋膜にて被覆しフィブリンのりで固定した.. 状は聴覚過敏や自声強聴であるが,裂. ,一方で同時に上鼓室天蓋. が上錐体静脈洞. に接する場合などで拍動性耳鳴を主訴とすることもあ 術後経過. る.その他,体内音聴取,耳閉感,難聴,めまいなど様々 な症状を呈するが,Tullio 現象や Hennebert 徴候を眼振. 東北大学病院および仙塩利府病院で本手術を施行した. 鏡検査にて客観的にとらえたり,バルサルバなどによる. 7 症例を表 1 に示す.平均年齢は 52 歳 (32 ∼ 69 歳)で,. 垂直回旋性眼振を観察することで,本疾患の存在を疑う. 男女比は 3:4,術側は左側 4 例,右側 3 例であった.. ことができる.純音聴力検査で気骨導差や低音部骨導閾. 術前 CT 画像および術中手術所見で確認された裂. の部. 値の低下,また VEMP で患側の閾値低下と振幅増大は本. 位は,中頭蓋窩硬膜が 5 例,上錐体静脈洞が 2 例であっ. 疾患を裏付ける重要な所見であるが,薄いスライスで撮. た.術前の自覚症状は聴覚過敏が 5 例, 自声強聴が 5 例,. 影された CT での再構築画像(Pöschl view と Stenvers. 拍動性耳鳴が 2 例,めまいが 2 例,耳閉感が 3 例であっ. view)での裂. た.. グループが提唱する診断基準を表 2 に示す 13).. の存在の確認は必須である.Minor らの. 術直後は術測または反対側向きの水平眼振を認めるこ. 前述のように聴覚過敏や自声強聴などを訴えて受診さ. とがあったが,次第に消失した.術後のめまいは一過性. れる患者は多いが,特に耳管開放症を疑われて紹介され. で日常生活に支障を来すことはなく,聴力は全例で温存. る場合も多い.耳管機能検査やコーンビーム CT などで. された.また,表 1 に示した自覚症状は術後全て改善. 鑑別し,耳管開放症の診断が確実であれば,保存的加療. した.. や耳管ピンなどで治療することになる.上半規管裂. が. 明らかであれば,症状が軽い場合は経過観察とするが, 考 察. 根 治 的 治 療 を 希 望 さ れ る 場 合 は, 正 円 窓 閉 鎖 術 や UWEES での plugging を選択する(図 5) .仙塩利府病. 以 前 よ り, 強 大 音や圧変化によるめまいと眼 振 は Tullio 現象. 4) ,5). や Hennebert 徴候 として知られていた 6). が, Cawthrone は“third window”理論として説明した. 7). 院では耳管開放症に対して積極的な治療を行っているた め,上半規管裂. 症候群と診断し経過を追っている患者. の中には,耳管開放症を疑って受診または紹介された患.
(6) 「SUPERIOR SEMICIRCULAR CANAL DEHISCENCE SYNDROME」特集. 164. 表 2 上半規管裂. 症候群診断基準案(文献 13 より). 1.上半規管の面で再構築された高分解能 CT 画像(0.625 mm 以下の薄いスライス)裂 2.上半規管裂 症候群を示唆する次の症状をひとつ以上認める (A)骨導を介した聴覚過敏(自声強聴,眼球運動音聴取,足音聴取など) (B)音刺激によるめまい (C)圧変化によるめまい(バルサルバ法(鼻つまみ,息こらえ) ,外耳道圧迫) (D)拍動性耳鳴 3.第 3 の窓を示唆する検査所見をひとつ以上認める (A)純音聴力検査での骨導閾値低下 (B)VEMP における反応増大(cVEMP で閾値低下,oVEMP の振幅増大) (C)感音難聴のないとき,蝸電図 SP/AP 比の増大. 図 5 当科における上半規管裂. が描出される. 症候群の診断治療フローチャート. 者が 32 例中 11 例(34%)いた.中には耳管開放症と. 踏み切りにくいというジレンマがあり,Silverstein ら 21). 上半規管裂. は低侵襲性から正円窓閉鎖術を第一選択とするアルゴリ. 症候群の合併した症例が 1 例あり,診断. に苦慮することも考えられる 14). これまで上半規管裂. ズムも提唱した.本術式は“third window theory”の観. 症候群に対するいくつかの手術. 点から理にかなった方法であり,一定の効果が期待され. は中頭. るものの,長期的には補強組織の退縮によって症状が再. 蓋窩法による plugging や resurfacing を行い,良好な成. 燃しやすく,効果は一時的,もしくは不確定といった報. 績を得ている.これに対して Kirtane. 告もある 13),22).. 法が提唱されてきた.Minor ら. 8). や Shaia ら. 15). や Beyea ら. 16). は,. 17). 経乳突的 plugging がより直接的で効果的であると報告. 著者らは,最も効果的とされる plugging を選択し,. している.前者は側頭開頭が必要であることから脳神経. 一般的な経乳突法を水中内視鏡による内耳保護下に施行. 外科医の協力が必要であり,頭蓋内合併症の危険性は避. する方法を提唱している 2).水中内視鏡による耳科手術. けられない術式である.一方,後者は経乳突洞アプロー. (UWEES)は,灌流によって手術侵襲による迷路気腫. チであり,耳鼻科医にとって施行しやすいが,内耳を解. を防ぎつつ,膜迷路の虚脱を防ぎながら明瞭に観察でき. 放するために熟練を要し,聴覚障害の合併症のリスクは. る点で有利である.中頭蓋窩法による resurfacing のよ. 避けられない.より低侵襲な方法として,経乳突的に. うに開頭術は不要であり,聴覚障害を防ぎながら経乳突. resurfacing す る 報 告 も あ る が, 十 分 な 視 野 を 得 づ ら. 的に上半規管の側方からアプローチすることができる.. い. 18) ,19). は内視鏡を用いることで側頭開頭. 半規管膜迷路は骨迷路の外周近くに位置しており,盲目. を小さくする中頭蓋窩法による resurfacing を考案した. 的に硬膜から剥離すると膜迷路を無理に牽引してしまう. が,頭蓋内合併症のリスクが払拭されたわけではない.. 危険性があるが,本術式では裂. それぞれに合併症がありうることから,積極的に手術に. 膜または上錐体静脈洞と半規管膜迷路の癒着を焦らず丁. .Carter ら. 20). に位置する中頭蓋窩硬.
(7) 山内,他:水中内視鏡手技による経乳突洞的上半規管閉塞術. 165. 表 3 灌流液と内耳イオン組成(文献 24,25 より改変) 生理食塩水. 乳酸 リンゲル液. 人工髄液. 外リンパ (前庭階). 外リンパ (鼓室階). 髄液. 154 ―. 130 4. 145 2.8. 141 6.0. 148 4.2. 145.5 2.8. ―. ―. 2.2. n.a. n.a.. 2.2. Na+(mEq/l) K+(mEq/l) Mg2+(mEq/l) Ca (mEq/l) Cl–(mEq/l) 2+. HCO3–(mEq/l) P(mmol/l) Lactate-(mEq/l) Glucose(g/l) pH. ―. 3. 2.3. 1.2. 2.6. 2.3. 154 ― ― ― ― 約 6.3. 109 ― ― 28 ― 約 6.7. 129 23.1 1.1 ― 0.61 約 7.3. 121 18. 119 21. 0.80 7.3. 0.83 7.3. 111.9 23.1 1.1 n.a. 0.61–0.82 7.307. 寧に剥離することが可能であった.中頭蓋窩法では困難. する手術法の主たる選択肢になる可能性があるものと考. とされる上錐体静脈洞例においても裂. えられた.. 部を明確に同定. し処理することができ,治療だけでなく,小さな裂. で 付 記. あっても確定診断を得ることができるメリットがあると 考 え て い る. 最 近 Creighton ら 23) も UWEES に よ る plugging が有効であったと報告しているが,裂. の膨. 大部側と非膨大部側で半規管骨迷路の 2 箇所で開放し, 裂. を直視せず膜迷路も切断せずに plugging している.. 裂. を確認して膜迷路を切断する著者らの方法より低侵. 本論文の要旨は第 29 回日本耳科学会総会・学術講演会 (2019 年 10 月,山形市)にて口演した.本研究は東北大学 大学院医学系研究科倫理委員会の承認を受けている(2020-1038).. 襲かもしれないが,盲目的に膜迷路を押しつぶすことに なり,また裂. 利益相反. 部の前後で確実に plugging できている. か確認できない. また,灌流液として 2016 年ころまでは生理食塩水を. 本論文に利益相反に該当する事項はない.. 用いていたが,その後は人工髄液(アートセレブ,大塚). 参考文献. に 変 更 し て い る. 人 工 髄 液 は glucose や,HCO3–, Ca2+,Mg2+ などの電解質も含んでおり,脳外科領域 において脳神経組織の保護に優位であることが実証され ている 24).内耳においても外リンパ組成に近い灌流液 を用いることで内耳の生理的環境を維持し,より保護的 な手術が可能となると考えている(表 3) . ま と め 上半規管裂 行った.裂. 症候群に水中内視鏡による plugging を. と膜迷路が明瞭に観察できるため,より繊. 細な内耳操作が可能であり,これまでの 7 症例で良好 な術後経過が得られた.熟練と慎重さを要する手技であ. 1) Yamauchi D, Yamazaki M, Ohta J, et al.: Closure technique for labyrinthine fistula by “underwater” endoscopic ear surgery. Laryngoscope 124: 2616–2618, 2014. 2) Yamauchi D, Hara Y, Hidaka H, et al.: How I do it: underwater endoscopic ear surgery for plugging in superior canal dehiscence syndrome. J Laryngol Otol 131: 745– 748, 2017. 3) Yamauchi D, Honkura Y, Hara Y, et al.: Approach to the inner ear by “underwater” endoscopic ear surgery—its utilization and prospects—. In: Innovations in endoscopic ear surgery. (Eds. Kakehata S, Ito T, Yamauchi D) Springer, 2019. pp. 63–72.. るが,正円窓閉鎖術よりも根治性に優れると思われ,今. 4) Addams-Williams J, Wu K, Ray J: The experiments be-. 後症例を重ね有効性と安全性が確認されれば,本症に対. hind the Tullio phenomenon. J Laryngol Otol 128: 223–.
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