Komazawa University 駒 澤 大 學 佛 教 學 部 研 究 紀 要 第 四 十 九 號 平 成 三 年 三 月 『
正
法
眼
蔵
抄
』口
蕋ー
仏
性
旧訳
の
試
み
i
伊
藤
二 〇秀
憲
Kom 三1z三1w三1 Umversrty 第 十 四 段 レ テ ナ ル ト ニ ク イ プ カ ン ル ニ カ ク ク 長 沙 景 岑 和 尚 の会
に 、 竺尚
書
と ふ 、 「 蚯 蚓 斬 為 二 両 段 ハ 両 頭 倶 動 、 未 審 、 仏 性 在 二 阿 那 箇 頭 つ 」 師 云 、 「 莫 妄 想 。 」 書 云 、 イ カ ガ セ ソ ク ヲ パ ク ダ レ ノ ダ ゼ ( 1 ) 「 争 二 奈 動 一 何 。 」 師 云 、 「 只 是 風 火 未 レ 散 。 」 ル ナ リ い ま 尚 書 い は く の 蚯 蚓斬
為 両 段 は 、 未 斬 時 は 一 段 な り と 決 定 す る か 。 仏 祖 の 家 常 に 不 恁 麼 な り 。 蚯 蚓 も と よ り 一 段 に あ ら ず、 蚯 蚓 き れ て 両 段 に あ ら ず 。 一 両 の 道 取、 ま さ に 功 夫 参 学 す べ し 。 両 頭 倶動
と い ふ 両 頭 は 、 未 斬 よ り さ き を 一 頭 と せ る か 、 仏 向 上 を 一 頭 と せ る か 。 両 頭 の 語、 た と ひ 尚 書 の 会 不会
に か か は る べ か ら ず 。 語 話 を す つ る こ と ( 2 ) な か れ 。 き れ た る 両 段 は 一 頭 に し て 、 さ ら に 一 頭 の あ る か 。 そ の 動 と い ふ に、 倶 動 と い ふ 、 定 動 智 抜 と も に 動 な る べ き な り 。 未 審 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 。 仏 性 斬 為 両 段 、 未 審 、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 と い ふ べ し 。 こ の 道 得 は 審 細 に す べ し 。 両 頭 倶 動 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 と い ふ は 、 倶動
な ら ば 、 仏 性 の 所 在 に 不 堪 な り と い ふ か 。 倶 動 な れ ば 、 動 は と も に動
ず と い ふ と も 、 仏 性 の 所 在 は 、 そ の な か に い つ れ な る べ き ぞ と い ふ か 。 師 い は く 、莫
妄
想 。 こ の 宗 旨 は 作 麼 生 な る べ き ぞ 。 妄 想 す る こ と な か れ と い ふ な り 。 し か あ れ ば 、 両 頭 倶 動 す る に妄
想 な し 。 妄 想 に あ ら ず と い ふ か 、 た だ 仏 性 は 妄 想 な し と い ふ か、 仏 性 の 論 に お よ ぱず
、 両 頭 の論
に お よ ば ず 、 たKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty お だ 妄 想 な し と 道 取 す る か と も 参 究 す べ し 。 動 ず る は い か が せ む と い ふ は、 動 ず れ ば さ ら に 仏
性
一 枚 を か さ ぬ べ し と * ( 3 ) 道 取 す る か 、 動 ず れ ば 仏 性 に あ ら ざ ら む と 道 著 す る か 。 風 火 未散
と い ふ は 、 仏 性 を 出 現 せ し む る な る べ し 。 仏 性 な り と や せ む、 風 火 な り と や せ む 。 仏 性 と 風 火 と 、 倶 出 す と い ふ べ か ら ず 、 一 出 一 不 出 と い ふ べ か ら ず 。 風 火 す な は ( 4 ) ち 仏 性 と い ふ べ か ら ず 。 ゆ へ に 長 沙 は 、 蚯 蚓 に 有 仏 性 と い は ず 、 蚯 蚓 無 仏 性 と い は ず 、 た だ 莫 妄 想 と 道 取 す 、 風 火未
散 と 道 取 す 。 仏 性 の 活 計 は、 長 沙 の 道 を ト 度 す べ し 。 風 火 未 散 と い ふ 言 語 、 し つ か に 功 夫 す べ し 。 未 散 と い ふ は 、 い か な る 道 理 か あ る 。 風 火 の あ つ ま れ り け る が 、 散 ず べ き 期 い ま だ し き と 道 取 す る に 未 散 と い ふ か 。 し か あ る べ か ( 5 ) ら ざ る な り 。 風 火 未 散 は ほ と け 法 を と く 、 未散
風 火 は 法 ほ と け を と く 。 た と へ ば 、 一 音 の 法 を と く 時 節 到来
な り 。 ( 6 ) ( 7 ) 説 法 の 一音
な る、 到来
の 時 節 な り 。 法 は 一 音 な り 、 一音
の 法 な る ゆ へ に 。 又 、 仏 性 は 生 の と き の み に あ り て 、 死 の と き は な か る べ し と お も ふ 、 も と も 少 聞 薄 解 な り 。 生 の と き も 有 仏 性 な り 、無
仏性
な り 。 死 の と き も 有 仏 性 な り 、 無 仏 性 な り 。 風 火 の 散 未 散 を 論 ず る こ と あ ら ば、 仏 性 の 散 不 散 な る べ し 。 た と ひ 散 の と き も 仏 性 有 な る べ し 、 仏 性 無 な る べ し 。 た と ひ未
散 の と き も 有 仏 性 な る べ し 、 無 仏 性 な る べ し 。 し か あ る を 、 仏 性 は動
不 動 に よ り て在
不 在 し 、 識 不 識 に よ り て 神 不 神 な り 、 知 不 知 に 性 不 性 な る べ き と 邪 執 せ る は 外 道 な り 。 無 始 劫 来 は癡
人 お ほ く 識 神 を 認 じ て ( 8 ) 仏 性 と せ り 。 本 来 人 と せ る 、 笑 殺 人 な り 。 さ ら に 仏 性 を 道 取 す る に 、 柁 泥 滞 水 な る べ き に あ ら ざ れ ど も 、 牆 壁 瓦 礫 な り 。 向 上 に 道 取 す る と き 、 作 麼 生 な ら む か こ れ 仏 性 。 還 委 悉麼
。 三 頭 八臂
。 正 法 眼 蔵 仏 性 第 三 爾時
仁 治 二 年 辛 丑 十 月 十 四 日 、 在 三 推 州 観音
導 利 興 聖 宝 林寺
一 示 衆 。 ウ チ 此 問 答 打 任 テ 人 ノ 心 得 タ ル 様 ハ 、 蚯 蚓 ハ ニ ニ 切 タ リ 、 両 方 倶 二 動 ス ル 上 ハ 仏 性 ハ キ ル ヘ キ 物 ニ ア ラ ネ ハ 、 一 方 二 付 テ ア ル ラ ム 、 其 上 ハ シ ノ へ 何 方 ニ ア ル ソ ト 不 審 タ ル 様 二 文 面 ハ 見 タ リ 、 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) み み ず こ の 問 答 は、 普 通 一 般 に 人 が 理 解 し て い る 様 は 〔 次 の よ う で あ ろ う 。 〕 「 蛆 蚓 は 二 つ に 切 っ て し ま っ た 。 両 方 が と も に 動 く か ら に は 、 仏 性 は 切 る こ と が で き る も の で は な い の で 、 一 方 に 付 い て い る で あ ろ う 。 そ う で あ る か ら に は 、 ど ち ら の方
に あ る の か と 、 疑 っ て い る よ う に 〔 こ の 〕 文 面 は 読 め た 」 と 。 や は り 大 抵 こ の よ 二 一Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) ヤ タ タ プ ソ 又 多 分 如 レ 此 被 二 心 得 一 ヌ ヘ シ 、 若 如 〆 此 イ ハ ハ タ カ イ 自 レ 初 談 ツ ル 仏 性 ノ 義 皆 違 ヌ ヘ シ 、 又 非 二 祖 師 あ シ ム サ イ サ ソ 仏 法 「 正 師 ニ ア ハ ス 審 細 二 参 学 セ サ ル カ 所 〆 イ タ ス 致 ナ リ 、 先 仏 法 二 両 頭 ト 云 両 段 ト 云、 又 動 ト 云 不 動 ト 云 、 乃 至 蚯 蚓 ノ 様、 斬 不 斬 ト 談 ス ル 様 ヲ、 能 能 可 二 決 定 一 事 也、 其 上 ニ イ マ ノ 問 答 ハ 可 レ 明 事 也、 ( 二 三 七
b
) 蚯 蚓 斬 為 二 両 段 一 ハ 未 斬 時 ハ 一 段 也 ト 決 定 ス ル ロ ヤ ウ タ ン カ 、 仏 祖 ノ 家 常 二 不 恁 麼 也 文、 斬 為 二 両 段 一 ト 云 二 付 テ 、 未 斬 時 ハ 一 段 也 ト 決 定 ス ル カ ト ハ 被 レ 云 也 、 但 今 ノ 心 地 、 蚯 蚓 ヲ 普 通 ノ 蚯 蚓 ト イ ヤ 心 得 テ、 斬 不 斬 ヲ 疑 ニ ハ ア ラ ス 、 今 ハ 已 二 以 二 蚯 蚓一 為 二 仏 性 「 以 二 仏 性一 為 二 蚯 蚓 一 ユ ヘ ハ 、 テ ヲ 以 二 蚯 蚓 全 体 二 段 ト モ 両 段 ト モ 可 レ 談 故 二 、 ( 蚯 矧 歟 ( 9 ) 奥 ニ ハ 仏 性 斬 テ 為一一 両 段 【 未 審 仏 性 在 阿 那 箇 頭 ト ハ 被 レ 決 也 、 打 任 テ 不 レ 斬 時 ヲ 一 段 卜 決 定 セ ニ ハ 、 同 二 凡 見一 所 ヲ 仏 祖 ノ 家 常 二 不 恁 麼 也 ト ハ 被 レ 釈 ナ リ 、 ( 二 三 八 a ) 両 頭 倶 動 ト 云 両 頭 ハ 、 未 斬 ヨ リ サ キ ヲ 一 頭 ト セ ル カ 、 仏 向 上 ヲ 一 頭 ト セ ル カ 文 、 仏 向 上 ト 云 ハ 、 仏 性 ヲ 一 頭 ト セ ル カ ト 云 程 ノ 心 地 ナ リ 、 仏 向 上 ト 云 ヘ ハ ト テ 、 仏 ノ 上 二 又 モ ノ ノ ア ラ ム ス ル ヲ 談 セ ム ス ル ト ハ 不 レ 可 二 心 得 「 ロ ハ 二 二 う に 理 解 さ れ る に ち が い な い 。 も し こ の よ う に 言 う な ら ば 、 〔 こ の 巻 の 〕 初 め か ら 説 い た 仏 性 の 意味
は 、 皆 相 違 す る こ と に な ろ う 。 ま た 〔 そ れ は 〕 祖 師 の 仏 法 で は な い 。 正 師 に 会 わ ず 、 詳 細 に 参 学 し な い 者 が 言 う こ と で あ る 。 先 ず、 仏法
で 「 両 頭 」 と 言 い 、 「 両 段 」 と 言 い 、 ま た 「動
」 と言
い 、 「不
動 」 と言
い 、 或 い は 「 蚯 蚓 」 の様
、 「 斬 ・ 不 斬 」 と 説 く 様 を、 よ く よ く は っ き り と 決 め る べ き で あ る 。 そ の 上 で 、 こ の 問 答 は 明 ら か に す べ き で あ る 。 へ 「 蚯 蚓 斬 為 両 段 は 、 未 斬 時 は 一 段 な り と 決 定 す る か 。 仏祖
の 家 常 に 不 恁麼
な り 」 。 「 斬 為 両段
」 ( 斬 れ て 両 段 と 為 る ) と い う こ と に 関 し て 、 「 未 斬 時 は 一 段 な り と 決 定 す る か 」 と 言 わ れ る の で あ る 。 た だ し 、 こ の 意 味 あ い は 、 「 蚯 蚓 」 を 普 通 の 蚯 蚓 と 理 解 し て 、 斬 ・ 不 斬 を 疑 う の で は な い 。 こ こ で は 、 既 に 蚯 蚓 を 仏性
と し 、 ひ と つ ふ た つ 仏 性 を 蚯 蚓 と す る わ け は、 蚯 蚓 全 体 を 「 一段
」 と も 「 両 段 」 と も 説 く べ き で あ る か ら 、 後 に は 「 仏性
斬 為 両 段 、 未 審 、 蚯 蚓 在 阿 那箇
頭 」 ( 仏 性 斬 れ て 両 段 と 為 る 、 未 審 、 蚯 蚓 は 阿 那 箇 頭 に か 在 る ) と 決 め ら れ る の で あ る 。 普 通 一般
に 、 も し 斬 ら な い時
をコ
段 」 と は っ き り と 決 め る な ら ば 、 〔 そ れ は 〕 凡 夫 の 見 解 と 同 じ で あ る と と こ ろ を 、 「 仏 祖 の 家 常 に 不 恁 麼 な り 」 と 釈 か れ る の で あ る 。 へ 「 両 頭 倶 動 と い ふ 両 頭 は 、 未斬
よ り さ き を 一 頭 と せ る か 、 仏向
上 を 一 頭 と せ る か 」 。 「 仏 向 上 し と い う の は、 「 仏 性 を 一 頭 と せ る か 」 と い う ほ ど の 意 味 あ い で あ る 。 「 仏 向 上 」 と い う か ら と い っ て、 仏 の 上 に ま た も の が あ る よ う な こ と を説
こ う と す る こ と と は 理 解 し て は い け な い 。 た だ 、 結 局 、 仏 を 指 し て 「 仏 向 上 」 と 言 う の で あ る 。 「 尚 書 の 会 不 会 に か か は る べ か ら ず 。 語 話 を す つ る こ と な か れ 」 とKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 所 詮 仏 ヲ 指 テ 云 二 仏 向 上 一 也 、 尚 書 ノ 会 不 会 ニ コ ワ カ カ ハ ル ヘ カ ラ ス 、 語 話 ヲ ス ツ ル 事 ナ カ レ 云 云 、 尚 書 ハ タ ト ヒ 心 得 テ モ イ へ 、 又 不 二 心 得 一 モ ア レ 、 此 語 話 ヲ ハ 、 仏 祖 ノ 道 理 ニ イ タ ッ ラ ナ ル 詞 ニ ニ セ テ ス テ ス 可 二 心 得一 ト 也 、 ハ ツ ソ ノ 動 ト 云 二 、 倶 動 ト 云 フ、 定 動 智 抜 ト モ ニ ; 也 ( 二 三 八
b
) 動 ナ ル ヘ キ 也 云 云 、 打 任 テ 教 二 定 ハ ツ ヵ ク 動 知 抜 ト テ 、 以 ド 定 動 カ シ テ 以 〆 智 抜 ト 云 フ、 是 ハ 能 所 各 別 ナ リ 、 又 動 抜 相 対 セ リ、 今 ハ 動 ナ ル ヘ ク ハ 全 体 動 、 抜 ナ ル ヘ ク ハ 全 体 抜 也 、 故 定 動 智 抜 共 二 動 ナ ル ヘ キ 也 ト ハ 云 ハ ル ル ナ ア ン リ 、 是 モ 案 ス ル ニ 定 是 仏 性 也 、 動 同 仏 性 也 、 ヲ 智 又 仏 性 、 抜 是 仏 性 也、 然 者 以 二 仏 性一 ウ コ カ ヲ シ 、 以 二 仏 性唖 抜 ト モ 心 得 ヌ ヘ シ 、 所 詮 此 段 ノ 落 居 ハ 、 仏 性 斬 為 二 両 段 「 未 審 、 蚯 蚓 在 二 阿 那 箇 頭 一 也 ニ テ 、 分 明 ニ キ コ ユ ル ナ リ 、 へ 両 頭 倶 動 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 ト イ フ ハ 、 倶 動 ナ カ ム ラ バ 、 ( 二 三 九 a ) 仏 性 ノ 所 在 二 不 堪 也 ト 云 タ カ 、 倶 動 ナ レ ハ 、 動 ハ 共 二 動 ス ト 云 ト モ 、 仏 性 ノ 所 在 ハ 、 ソ ノ 中 ニ イ ッ レ ナ ル ヘ キ ソ ト 云 力 云 云 、 如 γ 文 可 二 心 得 「 動 ハ 共 二 動 ス ト 云 フ ト モ 、 仏 性 ノ 所 在 ハ 、 其 中 二 何 ナ ル ヘ キ ソ ト 云 カ ト 云 ハ 、 一 方 ハ 不 レ 動 一 方 ハ 動 セ ハ 、 此 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) あ る 。 「尚
書
」 は 、 た と え 〔 「 両 頭 」 の 語 を 〕 理 解 し て ( 会 ) も 言 い な さ い 。 理 解 し な い ( 不 会 ) 〔 で 言 う 〕 こ と も あ る 。 こ の 「 語話
」 を 仏 祖 の 道 理 に 無 用 の こ と ば の よ う に し て 捨 て な い で 、 理解
す べ き で あ る と い う の で あ る 。 へ 「 そ の 動 と い ふ に 、 倶 動 と い ふ 、 定 動智
抜
と も に 動 な る べ き な り 」 と あ る 。 普 通 一 般 に 、 教 家 で は 「 定 動智
抜
」 と 言 っ て 、 「 定 を 以 て 動 か し て 、 智 を 以 て 抜 く 」 と 言 う 。 こ れ は 能 所 各 別 で あ る 。 ま た 、 「 動 」 と 「 抜 」 が 相 い 対 し て い る 。 こ こ で は 、 も し 「 動 」 で あ る な ら ば 全 体 が 「 動 」 、 も し 「 抜 」 で あ る な ら ば 全体
が 「 抜 」 で あ る 。 だ か ら 「 定 動智
抜 と も に動
な る べ き な り 」 と 言 わ れ る の で あ る 。 こ れ も 思 い め ぐ ら す に 、 「 定 」 は 仏 性 で あ る 。 「 動 」 も 同 じ く 仏 性 で あ る 。 「 智 」 も ま た 仏 性 で あ り 、 「 抜 」 も 仏 性 で あ る 。 だ か ら 、 「 仏 性 を 以 て 動 か し、 仏 性 を 以 て 抜 く 」 と も 理 解 で き よ う 。結
局 こ の 段 の 落 ち着
く と こ ろ は 、 「 仏 性 斬 為 両 段 、未
審 、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 」 に よ っ て 、 は っ き り と 得 心 で き る の で あ る 。 へ 「 両 頭 倶 動、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 と い ふ は 、 倶 動 な ら ば 、 仏 性 の所
在 に 不 堪 な り と い ふ か 。 倶 動 な れ ば 、動
は と も に動
ず と い ふ と も 、 仏 性 の 所 在 は 、 そ の な か に い つ れ な る べ き ぞ と い ふ か 」 と あ る 。 文 の 通り
に 理 解 す べ き で あ る 。 「 動 は と も に動
ず と い ふ と も 、 仏 性 の所
在 は 、 そ の な か に い つ れ な る べ き ぞ と い ふ か 」 と い う の は、 一方
は動
か ず 、 一 方 は 動 く な ら ば 、 こ の 疑 問 も あ る は ず が な い 。 動 く 方 に 仏 性 は あ る と は っ き り と 決 め る べ き で あ る 。 「 両 頭 倶 動 」 す る か ら に は 、 仏 性 が 斬 れ て 両 方 に な る は ず の も の で は な い の で 、 ど ち ら に 付 い て 仏 性 は あ る で あ ろ う 二 三Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 不 審 モ ア ル マ シ 、 動 ス ル 方 ニ コ ソ 仏 性 ハ ア リ キ レ ト 可 二 決 定 「 両 頭 倶 動 ス ル 上 ハ 、 仏 性 力 斬 テ 両 方 ニ ナ ル ヘ キ 物 ニ ア ラ ネ ハ 、 何 方 二 付 テ 仏 性 ハ ア ル ヘ キ ソ ト 心 得 ラ レ ヌ ヘ シ 、 此 見 返 返 ヒ ヤ タ ( 10 ) キ チ 白 見 ナ リ 、 可 二 棄 置 一 見 ナ リ、 コ コ ニ 、 師 日 莫 ス テ オ ク 妄 想、 コ ノ 宗 旨 ハ 作 麼 生 ナ ル ヘ キ ソ 、 ( 二 三 九
b
) 妄 想 ス ル コ ト ナ カ レ ト 云 ナ リ、 此 答 蚯 蚓 ノ 斬 不 斬、 両 頭 一 段、 仏 性 ノ 所 在 等 ノ 詞 ヲ 只 凡 情 二 心 得 テ、 皆 仏 祖 ノ 所 談 二 違 ス ル 所 ヲ 指 テ 、 莫 妄 想 ト 被 ド 仰 タ ル 様 二 聞 ユ 、 又 此 定 ニ コ ソ 被 二 心 得 一 ヌ ヘ シ 、 カ ク 談 セ ハ 取 捨 分 別 法 二 混 ト ウ 合 シ ツ ヘ シ 、 非 〆 爾、 只 仏 性 ノ 姿 力 莫 妄 想 ニ テ ク ア ル ナ リ、 乃 至 蚯 蚓 ノ 当 体、 両 頭 倶 動 力 、 莫 ト モ 妄 想 ト ハ 云 ハ ル ル ナ リ 、 努 努 見 解 ノ ア シ キ ヲ 被 レ 嫌 ト ハ 不 レ 可 二 心 得 「 喩 ヘ ハ 諸 悪 莫 作 ヲ 心 得 ル ニ 不 レ 可 〆 違 、 所 詮 仏 性 ヲ 重 テ 被 γ 示 詞 也 ト 可 二 心 得 「 故 祖 師 ノ 仏 法 ハ 一 言 半 句 ( 二 四 イ エ ト モ ナ リ トOa
) モ 空 シ キ 詞 ナ キ 也、 雖 レ 相 二 似 世 問 詞 「 ア ラ ハ スツ ラ く ア ム ス ル 皆 顕 二 仏 法 道 理一 也 、 実 二 偖 案 二 仏 性 ナ ラ ヌ 法 、 仏 性 ナ ラ ヌ 時 刻 力 片 時 モ ア ル ヘ カ ラ キ フ ギ サ ル 上 ハ 、 妄 想 何 所 二 置 テ カ 棄 不 棄 ノ 道 理 ア ス ッ ル ス ス テ ラ ム 、 仏 性 ノ 千 変 万 化 ス ル 道 理 也 、 シ カ ア レ ク ハ 、 両 頭 倶 動 ス ル ニ 妄 想 ナ シ 、 妄 想 ニ ア ラ ス ト 云 力、 乃 至 両 頭 ノ 論 二 不 ノ 及、 只 妄 想 ナ シ 二 四 と、 〔 竺 尚 書 の 問 は 〕 理 解 で き よ う 。 こ の 見 解 は 、 何 度 考 え て も か た よ っ た 見 解 で あ る 。 棄 て お く べ き
見
解 で あ る 。 こ こ に 、 「 師 い は く 、 莫 妄 想 。 こ の 宗 旨 は 作 麼 生 な る べ き ぞ 。 妄 想 す る こ と な か れ と い ふ な り 」 〔 と あ る 〕 。 こ の 答 は、 蛆 蚓 の 斬 ・ 不 斬 、 両 頭 ・ 一 段 、 「 仏 性 の 所 在 」 等 の こ と ば を 、 た だ 凡 夫 の 考 え で 理解
し て 、 す べ て 仏 祖 が 説 く と こ ろ と 違 う と こ ろ を さ し て 、 「 莫 妄 想 」 と お っ し ゃ ら れ た よ う に 聞 こ え る 。 ま た 、 こ の よ う に 理 解 さ れ よ う 。 こ の よ う に 説 く な ら ば 、 取 捨 分 別 の 法 と 混 同 し て い る に ち が い な い 。 そ う で は な い 。 た だ 仏 性 の 姿 が 「 莫 妄 想 」 で あ る の で あ る 。 或 い は 蚯 蚓 の 当体
、 「 両 頭 倶 動 」 が 「 莫妄
想 」 と言
わ れ る の で あ る 。 決 し て 見 解 の 正 し く な い の を 斥 け ら れ る と は 理 解 す べ き で は な い 。 例 ( 11 ) え ば 、 「 諸 悪 莫 作 」 を 理 解 す る の と 違 う は ず が な い 。 結 局、 仏 性 を 、 重 ね て 示 さ れ た こ と ば と 理 解 す べ き で あ る 。 だ か ら、祖
師 の 仏 法 は 一言
半 句 も 無 駄 な こ と ば は な い の で あ る 。 世 間 の こ と ば に よ く 似 て い る と 言 っ て も 、 皆 仏 法 の 道 理 を 表 す の で あ る 。 実 に 、 よ く よ く 考 え る に 、 仏 性 で な い 法 、 仏性
で な い 時 刻 が 片 時 も あ る は ず が な い か ら に は 、 「 妄 想 」 を ど こ に お い て 、 棄 て る 、 棄 て な い の 道 理 が あ る の だ ろ う 。 仏 性 が千
変
万 化 す る 道 理 で あ る 。 そ う で あ る か ら 、 「 両 頭 倶 動 す る に 妄 想 な し 。 妄 想 に あ ら ず と い ふ か 、 〔 た だ 仏 性 は 妄 想 な し と い ふ か 、 仏 性 の 論 に お よ ば ず 、 〕 両 頭 の論
に お よ ば ず 、 た だ 妄 想 な し と 道 取 す る か と も 参 究 す べ し 」 と あ る の は 、 い ず れ も こ の よ う な 道 理 が あ る に ち が い な い と こ ろ を 、 「・ … : い ふ か 、 … … い ふ か 」 と あ げ ら れ る の で あ る 。 こ の 意 味 あ い は 、 所 々 に 多 く あ げ ら れ ( 12 ) る の で あ る 。 「説
似 一 物 即 不 中 」 の 道 理 に 皆 同 じ で あ る 。 「 動 ず る は い か が せ む と い ふ は 、 動 ず れ ば さ ら に 仏 性 一 枚 を か さ ぬ べ し と 道 取 す る か 」 。 「 動 」 を 「 仏 性 」 と 理 解 す る と こ ろ を、 仮 り に 「 仏 性 一 枚 を か さ ぬ 」 と 理解
す べ き か 。 「 動 ず れ ばKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty ト 道 取 ス ル カ ト モ 参 究 ス ヘ シ ト ア ル ハ 、 イ ツ レ モ カ カ ル 道 理 ハ ア リ ヌ ヘ キ 所 ヲ 、 イ フ カ イ フ カ ト ハ ア ケ ラ ル ル ナ リ 、 此 心 地 所 所 二 多 被 γ 挙 也 、 説 似 一 物 即 不 中 ノ 道 理 二 皆 同 ナ リ 、 ( 二 四 〇 b ) 動 ス ル ハ イ カ カ セ ム ト 云 ハ 、 動 ス レ ハ サ ラ ニ 仏 性 一 枚 ヲ カ サ ヌ ヘ シ ト 道 取 ス ル カ 文、 動 ヲ 仏 性 ト 心 得 ル 所 ヲ 、 鏨 仏 性 一 枚 ヲ カ サ ヌ ト ハ 可 二 心 得一 歟 、 動 ス レ ハ 仏 性 ニ ア ラ サ ラ ム ト 道 著 ス ル カ ト ハ 、 動 ヲ ハ 動 ニ テ 仏 性 ト ハ イ ハ シ ト 云 心 ナ リ 、 猶 動 与 二 仏 性一 力 各 別 ナ ル 様 ニ キ コ ユ ル 所 ヲ 、 セ メ テ モ 親 切 二 心 レ ウ 得 エ ム 料 也 、 サ ン 師 日 、 風 火 未 散 ト 文 、 是 又 五 大 和 合 シ テ 出 生 ス 、 シ カ ア ル ニ 両 頭 動 ス ル 上 ハ 、 風 火 未 散 ナ ル 条 顕 然 也 ト 被 γ 仰 様 二 被 二 心 得 一 ヌ ヘ シ 、 邪 見 也 、 今 ノ 風 火 ハ 何 物 ソ 、 仏 性 ナ ル ヘ シ 、 然 者 散 未 散 何 所 ニ カ ( 二 四 一 a ) 可 ソ 置 、 以 二 此 道 理一 風 火 未 散 ト ハ 被 〆 示 也 、 サ レ ハ 仏 性 ヲ 令 二 出 現 一 ナ ル ヘ シ ト 被 〆 釈 γ 之 、 イ ク タ ヒ モ ロ ハ カ サ ネ カ サ ネ 仏 性 ヲ 被 レ 示 詞 ト 可 二 心 得 一 ナ リ 、 仏 性 也 ト ヤ セ ム 、 風 火 也 ト ヤ セ ム 、 仏 性 ト 風 火、 倶 出 ス ト イ フ ヘ カ ラ ス 、 一 出 一 不 出 ト 不 匡 可 レ 云 、 風 火 則 仏 性 卜 不 レ 可 F 云、 ユ ヘ ニ 長 沙 ハ 、 蚯 蚓 二 有 仏 性 ト イ ハ ス 、 蚯 蚓 無 仏 性 ト 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 仏 性 に あ ら ざ ら む と 道 著 す る か 」 と は 、 「 動 」 を 「 動 」 と し て 、 「 仏 性 」 と は 言 わ な い と い う 意 味 で あ る 。 そ れ で も 「 動 」 と 「 仏
性
」 と が 異 な っ て い る よ う に 聞 こ え る と こ ろ を 、 何 と し て も ぴ っ た り 一 つ で あ る よ う に 理 解 し よ う と す る た め で あ る 。 へ 「 師 云 、 〔 ロ ハ 是 〕 風 火 未 散 」 と あ る 。 こ れ は ま た 、 〔 あ ら ゆ る も の は 、 地 水 火 風 空 の 〕 五 大 が 和 合 し て 生 ま れ 出 る 。 そ う で あ る か ら 、 両 頭 が 動 く か ら に は 、 「風
火 未 散 」 で あ る こ と は 明 ら か で あ る と お っ し ゃ ら れ た よ う に 理 解 さ れ よ う 。 〔 だ が こ れ は 〕 邪 見 で あ る 。 こ の 「 風 火 」 は 何 物 か 。 仏 性 で あ ろ う 。 そ う で あ る な ら ば 、 散 ・ 未 散 は ど こ に 置 く べ き で あ る の か 。 こ の 道 理 に よ っ て 「 風 火 未 散 」 と 示 さ れ る の で あ る 。 そ う で あ る か ら 「 仏 性 を 出 現 せ し む る な る べ し 」 と 釈 か れ る の で あ る 。 何 度 も た だ 重 ね が さ ね 仏 性 を示
さ れ る こ と ば と 理 解 す べ き で あ る 。 へ 「 仏 性 な り と や せ む 、 風 火 な り と や せ む 。 仏 性 と 風 火 と 倶 出 す と い ふ べ か ら ず、 一 出 一 不 出 と い ふ べ か ら ず 。 風火
す な は ち 仏 性 と い ふ べ か らず
。 ゆ へ に 長 沙 は 、 蚯 蚓 に 有 仏 性 と い は ず 、 蛆 蚓 無 仏 性 と い は ず 、 た だ 莫 妄 想 と 道 取 す 」 。 こ れ は 「 仏 性 」 に も 相 当 し 、 「 風 火 」 に も相
当 し て い る の で あ る 。 ま た 、 「 仏 性 」 と 「 風 火 」 二 五Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) イ ハ ス 、 タ タ 莫 妄 想 ト 道 取 ス 、 是 ハ 仏 性 ニ モ ア タ リ 風 火 ニ モ ア タ リ タ ル 也、 又 仏 性 与 風 火 ヲ ニ ヲ キ テ 倶 出 ス ト モ イ ハ シ 、 又 仏 性 ハ 出、 風 火 ハ 不 出 ト モ イ ハ ス 、 ( 二 四 一
b
) 只 風 火 未 散 ト ハ 、 仏 性 ノ 道 理 ノ ヒ ヒ ク 所 カ イ ハ ル ル 也 ト 可 二 心 得 ハ 風 火 共 二 仏 性 ナ リ、 仏 性 ノ 上 散 未 散 ノ 詞 ヲ ツ ケ テ 可 二 心 得一 也 、 以 二 此 道 理 「 長 沙 ハ 蚯 蚓 有 仏 性 ト モ 、 蚯 蚓 無 仏 性 ト モ 不 レ 云 、 只 莫 妄 想 ト ハ 被 〆 答 也 、 只 仏 性 ハ 仏 性 也 卜 云 程 ノ タ ケ ナ リ、 此 道 理 力 風 火 未 散 ハ 仏 法 ヲ ト キ、 未 散 風 火 ハ 法 仏 ヲ ト ク 程 ノ 道 理 ニ ア タ ル ナ リ 、 又 仏 性 ハ 生 ノ 時 ノ ミ ア リ テ 、 死 ノ 時 ハ ナ カ ル ヘ シ ト 思 、 尤 少 聞 薄 解 也 云 云、 ( 二 四 二 a ) ク 倶 動 ノ 時 ハ 仏 性 ア リ、 不 二 倶 動 一 時 ハ 仏 性 不 γ 可 レ 有 ト 打 任 テ ハ 心 得 ヌ ヘ シ 、 是 ヲ 被 レ 嫌 ナ リ 、 生 死 倶 仏 性 也、 生 也 全 機 現 、 死 也 全 機 現 ノ 生 死 ナ ル ユ ヘ ニ 、 共 仏 性 ナ リ 、 仏 性 ハ 動 不 動 ニ ヨ リ テ 在 不 在 シ 、 識 不 識 ニ ヨ シ ヤ シ ウ リ テ 神 不 神 ト ○ 乃 至 邪 執 セ ル ハ 外 道 也 云 云、 如一 一 前 云 「 動 ス ル ハ 仏 性 有 ル ヘ シ 、 不 動 ニ ハ シ ギ 仏 性 ナ シ 、 識 ノ 時 ハ 仏 性 ア リ、 不 識 ニ ハ 仏 性 ナ シ、 如 〆 此 ノ 見 解 ヲ 外 道 也 ト ハ 被 レ 仰 也 、 動 二 六 を 二 つ お い て 、 「 倶 出 す 」 と も 言 わ な い 。 ま た 、 「 仏 性 」 は 「出
」 、 「 風 火 」 は 「 不出
」 と も 言 わ な い 。 た だ 「 風 火 未 散 」 と は 、 仏 性 の 道 理 の 及 ぷ と こ ろ が 言 わ れ る の で あ る と 理 解 す べ き で あ る 。 風 も 火 も と も に 仏 性 で あ る 。 仏 性 で あ る 上 で 散 ・未
散
の こ と ば を つ け て 理 解 す べ き で あ る 。 こ の 道 理 に よ っ て 、 長 沙 は 「 蛆蚓
有 仏性
」 と も 「 蚯 蚓 無 仏 性 」 と も言
わ ず、 た だ 「 莫 妄 想 」 と 答 え ら れ た の で あ る 。 た だ 仏 性 は 仏 性 で あ る と い う ほ ど の こ と で あ る 。 こ の 道 理 が 「 風 火 未 散 は ほ と け 法 ( 13 ) を と 」 き 、 「 未 散 風 火 は 法 ほ と け を と く 」 ほ ど の 道 理 に あ た る の で あ る 。 へ 「 又 、 仏 性 は 生 の と き の み 〔 に 〕 あ り て 、 死 の と き は な か る べ し と お も ふ 、 も と も 少 聞 薄 解 な り 」 と あ る 。 へ 「 倶動
」 の と き は 仏 性 が あ り 、 倶 動 し な い と き は 仏 性 は あ る は ず が な い と 、 普 通 一 般 に は 理 解 で き よ う 。 こ れ を 斥 け ら れ る の で あ る 。 生 死 と も に 仏 性 で あ る 。 生 也 全 機 現 、 死 也 全 機 現 の 生 死 で あ る か ら 、 〔 生 の と き も 死 の と き も 〕 と も に 仏 陸 で あ る 。 へ 「 仏 性 は 動 不 動 に よ り て 在 不 在 し 、 識 不 識 に よ り て 神 不 神 な り 、 〔知
不知
に 性 不 性 な る べ き 〕 と 邪 執 せ る は外
道 な り 」 と あ る 。 前 に 言 っ た よ う に 、 「動
」 く の は 仏性
が あ る は ず で あ る 。 「 不 動 」 に は 仏 性 は な い 。 「 識 」 の と き は 仏性
が あ り 、 「 不 識 」 〔 の と き 〕 に は 仏 性 は な い 。 こ の よ う な 見 解 を 「 外 道 な り 」 と お っ し ゃ ら れ る の で あ る 。 動 ・ 不 動、 在 ・ 不 在 、 〔 識 ・ 不 識 、 神 ・ 不神
、 知 ・ 不 知 、 性 ・Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 不 動 、 在 不 在 ○ 乃 至 共 仏 性 ナ ル ユ ヘ ニ 、 ( 二 四 二
b
) タ テ イ タ イ 仏 陸 ヲ 道 取 ス ル ニ 、 柁 泥 滞 水 ナ ル ヘ キ ニ ア ラ サ レ ト モ 、 牆 壁 瓦 礫 也 、 向 上 二 道 取 ス ル ト キ 、 作 麼 生 ナ ラ ム カ コ レ 仏 性 文、 . 柁 泥 滞 水 ト ハ 、 和 光 利 物 ナ ン ト 云 心 地 也、 所 詮 ク ワ シ ク ネ ム コ ロ ナ ル 心 地 歟 、 又 仏 性 ノ 道 理 牆 壁 瓦 礫 ト モ イ ハ ム ト 云 心 地 也、 作 麼 生 ナ ラ ム カ コ レ 仏 性 ト 云 フ 心 地 ハ 、 仏 性 ヲ 道 取 ス ル 時 ハ イ カ ナ ル モ 皆 仏 性 也 、 仏 性 ナ ラ ヌ 一 塵 ノ 法 ア ル ヘ カ ラ ス ト 云 也、 更 非 二 不 審 詞 「 \ ク エ ソ イ シ チ マ ナ ヲ 還 委 悉 麼 、 三 頭 八 臂 文、 ( 二 三 四 a ) 猶 仏 性 ヲ 委 ク 云 ハ ハ 、 三 頭 八 臂 ト 云 ハ ム ト 云 心 地 也 、 仏 菩 薩 ノ 形 像 ノ 中 ニ モ 、 身 ハ } ニ テ 八 臂 三 面、 乃 至 五 六 面 十 一 十 ニ ナ ム ト ア ル 形 像 モ ア リ 、 又 千 手 ハ 一 身 二 千 手 千 眼 具 足 シ 給 ヘ リ 、 然 者 仏 陸 ノ 道 理 千 変 万 化 ス ル ユ ヘ ニ 、 或 悉 有 仏 性 ト モ イ ハ レ 、 或 山 河 大 地 ト モ 被 レ 説 或 又 有 仏 性 、 無 仏 性、 或 狗 子 、 或 蚯 蚓、 乃 至 牆 壁 瓦 礫 ト モ イ ハ ル ル ナ リ 、 三 頭 八 臂 二 当 歟 、 但 今 ノ 形 像 、 形 像 等 ヲ 打 任 テ 人 ノ 思 ナ ラ ハ シ タ ル ニ ハ 可 レ 異 歟、 閑 可 二 了 見 「 ( 二 四 三 b ) \ ( 15 ) 無 念 寂 静 ヲ 仏 陸 ト 云 事 ア リ 、 コ レ 教 ノ 一 方 ノ ツ ヤ ク 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 不 性 〕 とも
に 仏 性 で あ る か ら 。 へ 「 仏 性 を 道 取 す る に 、 柁 泥 滞 水 な る べ き に あ ら ざ れ ど も 、 牆 壁 瓦 礫 な り 。向
上 に 道 取 す る と き 、作
麼
生 な ら む か こ れ 仏 性 」 。 「 花 泥 滞 水 」 と は、 「 和 光 利物
」 な ど と い う 意味
あ い で あ る 。 結 局、 く わ し く 懇 ろ で あ る 意 味 あ い で あ る の か 。 ま た 、 仏 性 の 道 理 を 「 牆 壁 瓦礫
」 と も 言 う 意 味 あ い で あ る 。 「 作 麼 生 な ら む か こ れ 仏 性 」 と い う 意 味 あ い は 、 「 仏性
を 道 取 す る 」 と き は、 い か な る も皆
仏性
で あ る 。 仏 性 で な い 一 塵 の 法 が あ る は ず が な い と い う の で あ る 。 決 し て 疑問
の こ と ば で は ( 14 ) な い 。 へ 「 還 委 悉麼
、 三 頭 八臂
」 。 さ ら に 仏 性 を 委 し く 言 う な ら ば 、 「 三 頭 八 臂 」 と 言 お う と い う 意味
あ い で あ る 。 仏 ・菩
薩 の 形 像 の 中 に も 、 身 は 一 つ で 八 臂 三 面 、 或 い は 五 ・ 六 面 、十
一 ・ 十 二 〔 面 〕 な ど と あ る 形 像 も あ る 。 ま た 、 千 手 〔 観音
〕 は 、 一 身 に 千手
千 眼 を 具 足 し て お ら れ る 。 そ う で あ る な ら ば 、 仏 性 の 道 理 は 千 変 万化
す る の で あ る か ら 、 或 い は 「 悉 有 仏 性 」 と も 言 わ れ 、 或 い は 「 山 河 大 地 」 と も説
か れ 、 或 い は ま た 「 有 仏 性 」 「 無 仏 性 」 、 或 い は 「 狗 子 」 、 或 い は 「 蚯 蚓 」 乃 至 「牆
壁 瓦 礫 」 と も 言 わ れ る の で あ る 。 〔 そ れ が 〕 「 三 頭 八 臂 」 に 当 た る か 。 た だ し 、 こ の 形 像 は 、 形 像 等 を 普 通 一 般 に 人 が い つ も 思 っ て い る の と は 異 な る は ず か 。 し ず か に 考 え よ 。 へ 無 念 寂 静 を 仏 性 と 言 う こ と が あ る 。 教 家 の 一 方 の 道 理 を 聞 く と き こ の よ う で あ 二 七Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) 道 理 ヲ キ ク ト キ 如 7 此 、 世 間 ノ 詞 ニ テ 見 ハ 、 ダ ソ 今 ノ 蚯 蚓 ノ 段 無 二 正 躰 「 不 レ 可 レ 為 二 仏 陸 「 ヘ ロ ム ケ ノ 切 ト 云 詞 二 付 テ ハ 、 葛 藤 ノ 根 源 ヲ キ ル ト 云 ミ シ ギ フ、 人 未 識 ノ 詞 ア リ、 ス シ ラ タ イ 第 一 義 諦 ア ヤ マ レ ハ 第 二 諦 二 落 ッ 、 月 二 第 ヤ マ イ 一
森
峨
第 二 月 服辱
。杢
ヤル
尺
天 月 第 一 月 、 第 二 水 中 月 ト タ ッ レ ト モ 、 此 義 キヨ シ ツ 不 レ 然、 モ ト ヨ リ 虚 実 ニ カ カ ハ ラ ス 、 第 一 月 此 十 ノ 字 無 用 ナ ル ヘ キ 歟 ノ ヲ ハ リ ニ 第 二 月 ナ シ 、 第 十 二 月 ノ ハ シ メ ニ ( 二 四 四 a ) 第 一 月 ナ シ 、 一 卜 可 レ 明、 蚯 蚓 ハ 如 レ 詞 モ ア リ ヌ ヘ シ 、 但 仏 地 ハ 可 レ 動 乎 可 レ 切 哉 、 三 界 切 テ 為 二 両 段 「 一 心 在 二 何 方 「 尽 界 切 為 二 両 段 一 卜 云 フ 詞 有 哉、 斬 タ ル 方 ハ 千 万 ニ モ ア レ 、 コ レ ヲ 一 頭 ニ シ テ 、 未 斬 仏 向 上 仏 性 ヲ 一 頭 ト ス ル カ 、 私 云、 未 斬 時 ハ 一 段 ナ リ ト 決 定 ス ル コ ト ノ 不 恁 麼 ナ ル ハ 、 未 斬 時 ノ 両 段 、 斬 時 ノ 一 段 ア ル ヘ キ ヲ 、 未 斬 時 ハ タ タ 一 段 也 卜 決 定 ス ル ユ ヘ ナ リ 、 恁 麼 ナ ラ ハ ス ナ ハ チ、 未 斬 時 ノ 一 段 モ 、 斬 時 ノ ( 二 四 四b
) 両 段 モ 、 ト モ ニ 不 恁 麼 ナ ル ヘ カ ラ ス 、 シ カ ア レ ハ 未 斬 時 ノ 「 段 モ 恁 麼 不 恁 麼 ナ ル ヘ シ 、 斬 時 ノ 両 段 モ 恁 麼 不 恁 p 丶 「 」 乂 ← ’ に 二 八 る 。 世 間 の こ と ば で見
る な ら ば 、 こ こ の 蚯 蚓 の 段 は う ま く 説 き 示 し て い な い 。 仏 性 と す べ き で は な い 。 . 、 「 切 る 」鯨
う 。 と ば に 関 し て は 、 「纛
の 根 源 を き る 」 と い う天
未 識 」 の こ と ば が あ る 。 へ第
一 義 諦 を 錯 れ ば 第 二 諦 に 落 ち る 。 月 に 第 一月
〈 天 の 月 で あ る 。 錯 ら な い 〉 、 第 二月
く 眼 に 病 が あ 〔 っ て 見 ら れ 〕 る 月 で あ るV
。 水 に宿
る 月 〔 の 場 合 〕 、 天 月 は 第 一月
、 第 二 は 水 中 の 月 と す る け れ ど も、 こ の 意 味 は そ う で は な い 。 も と よ り 虚 実 に か か わ ら な い 。 第 一 月 の 終 り に 第 二 月 は な い 。 第 二 月 の 初 め に 第 一 月 は な い 。 一 つ と 知 る べ き で あ る 。 へ 「 蚯 蚓 」 は 〔 「 斬 為 両 段 」 の 〕 こ と ば の よ う に も あ る に ち が い な い 。 も っ と も 、 仏 地 は 動 く こ と が で き る の か 。 切 る こ と が で き る の か 。 〔 三 界 唯 一 心 で あ る が 〕 三 界 を 切 っ て 両 段 と し た と き 、 一 心 は ど ち ら に あ る の か 。 「 尽 界 を 切 っ て 両 段 と す る 」 と い う こ と ば も あ る の か 。 ひ と つ へ斬
っ た 箇 所 は 千 万 で あ っ て も よ い 。 こ れ を 一 頭 に し て 、 未 斬 ・ 仏 向 上 ・ 仏 性 を ひ と つ の も の 一頭 と す る の か 。 へ 私 が 言 う 、 「 『
未
斬 時 は 一 段 な り と 決 定 す る 』 こ と が 『 不 恁 麼 』 ( そ の よ う で は な ふ た つ ひ と つ い ) で あ る の は、 未 斬 時 の 両 段 、 斬 時 の 一 段 が あ る は ず で あ る の を、 『 未 斬時
は 』 た だ二
段 な り と 決 定 す る 』 か ら で あ る 。 そ の よ う で あ る な ら ば 、未
斬時
の 一 段 も 、 斬 時 の 両 段 も 、 と も に 『 不 恁麼
』 で あ る は ず が な い 。 そ う で あ る と す る と、 未 斬 時 の 一 段 も 恁 腰 ・ 不 恁 麼 で あ ろ う 、 斬時
の 両 段 も 恁麼
・ 不 恁 麼 で あ ろ う 」 と 。Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 麼 ナ ル ヘ シ 、 蚯 蚓 モ ト ヨ リ 一 段 ニ ア ラ ス ハ 、 何 ソ ハ シ メ テ 両 段 ナ ラ ン 、 ユ ヘ ニ モ ト ヨ リ 斬 ニ ア ラ ス 、 未 斬 ニ ア ラ ス 、 蚯 蚓 キ レ テ 両 段 ニ ア ラ ス ハ 、 サ ラ 一 ニ ノ ニ ト ナ ル ト 云 ヘ カ ラ ス 、 両 段 何 ソ 未 斬 以 前 ノ 蚯 蚓 ニ ア ハ サ ラ ム 、 恁 麼 ナ ラ ハ ス ナ ハ チ 、 蚯 蚓 イ マ タ キ レ サ ル ニ 両 段 ト 成 ト 云 ヘ シ 、 (一 「 四 五 セ ン a ) 両 段 ト ナ ル ト イ フ ハ 、 夢 中 説 夢 ノ 道 得 ナ ツ シ ロ ウ ア ソ ツ リ 、 頭 上 安 頭 ノ 参 学 ナ リ 、 ク 両 頭 倶 動 ト イ フ 両 頭 ハ 、 未 斬 ヨ リ サ キ ヲ 一 頭 ト を ト セ ル カ
O
キ レ タ ル 両 段 ハ 一 頭 ニ シ テ 、 サ ラ 一 二 頭 ノ ア ル カ 文 、 仏 向 上 ノ 一 頭 ハ 、 蚯 蚓 ノ 上 二 置 テ 仏 向 上 ノ 義 ヲ ア ラ ハ ス ヘ キ ナ リ 、 仏 性 ヲ 非 動 非 不 動 ト 云 ヘ ハ 、 倶 動 卜 談 セ ム ニ ハ詮
ノ 所 在乗
葬
ル 也・ 私 云 、 両 段 ヲ サ シ テ カ ナ ラ ス 両 頭 ト 云 ヘ キ ニ ア ラ ス 、 ユ ヘ ニ 倶 動 ナ リ、 ( 二 四 五b
) 両 ト イ フ ハ ニ ニ ア ラ ス 、 三 ニ ア ラ ス 、 未 斬 時 ノ 両 ナ ル カ ユ ヘ ニ 、 へ 倶 ト イ フ ハ ニ ヲ 倶 ナ ラ シ ム ル ニ ア ラ ス 、 一 ヲ 倶 ナ ラ シ ム ル ニ ア ラ ス 、 ド シ ウ キ ウ タ ワ 寂 静 コ レ 倶 ナ リ、 コ ノ 倶 従 来 ノ 旧 案 ヲ 脱 落 シ ヤ ク ツ ヤ ゥ 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) へ 「 蚯 蚓 も と よ り 一 段 に あ ら ず 」 な ら ば 、 ど う し て 改 め て 両 段 で あ ろ う 。 だ か ら、 「 も と よ り 」 斬 で は な く 、 未 斬 で は な い 。 へ 「 蚯 蚓 き れ て 両 段 に あ ら ず 」 な ら ば 、 決 し て 一 つ が 二 つ に な る と 言 う べ き で は な い 。 「 両 段 」 が ど う し て 未 斬 以 前 の 蛆 蚓 に 会 わ な い の だ ろ う 。 そ の よ う で あ る な ら ば 、 蚯 蚓 が ま だ 斬 れ な い の に 「 両 段 」 と な る と 言 う べ き で あ る 。 「 両 段 」 と ( 17 ) な る と い う の は 、 「夢
中 説 夢 」 の 道 得 で あ る 。 「 頭 上 安 頭 」 の 参 学 で あ る 。 へ 「 両 頭 倶動
と い ふ 両 頭 は 、 未 斬 よ り さ き を 一 頭 と せ る か 、 〔 仏 向 上 を 一 頭 と せ る か 。 両 頭 の 語 、 た と ひ尚
書 の 会 不 会 に か か は る べ か ら ず 。 語 話 を す つ る こ と な か れ 。 〕 き れ た る 両段
は 一 頭 に し て 、 さ ら に 一 頭 の あ る か 」 。 「 仏 向 上 」 の二
頭 」 は 、 蚯蚓
の 上 に お い て 「 仏 向 上 」 の 意 味 を 表 す べ き で あ る 。 仏 性 を 非動
・非
不動
と 言 う か ら 、 「 倶動
」 と 説 く と き に は 、 「 仏 性 の 所 在 は 不 堪 」 で あ る 。 へ 私 が 言 う 、 「 『 両 段 』 を 指 し て、 『 倶 動 』 で あ る 」 と 。 へ 「 両 」 と い う の は 二 で は な い 、 必 ず し も 『 両 頭 』 と 言 う べ き で は な い 。 だ か ら 三 で は な い 。未
斬 時 の 両 で あ る か ら 。 へ 「 倶 」 と い う の は 、 二 つ を 倶 に さ せ る の で は な い 。 一 つ を 倶 に さ せ る の で は な い 。 へ 寂 静 こ そ が 「 倶 」 で あ る 。 こ の 「 倶 」 は 、 従 来 の 固 執 し た 謬 っ た考
え を 脱 落 す 二 九Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) ス ル ユ ヘ ニ 動 ト イ フ ナ リ、 タ ト ヘ ハ 衆 生 ノ 仏 ニ ナ ル ヲ 動 ト イ ヒ 、 仏 ノ 仏 ニ ナ ル ヲ 動 ト イ ハ ム カ コ ト シ、 セ ム 未 斬 ヨ リ サ キ ヲ 一 頭 ト セ ル カ ト 云 ハ 、 頭 頭 コ レ 分 外 ニ ア ラ サ ル ヲ 一 頭 ト 云 ナ リ、 タ ト ヘ ハ 万 法 唯 一 ( 二 四 六 a ) ト イ ハ ム カ コ ト シ 、 ヒ 仏 向 上 ヲ 一 頭 ト セ ル カ ト イ フ ハ 、 上 ノ 下 ニ マ タ レ ス 、 下 ノ 上 ニ ノ コ ラ サ ル 、 コ レ ヲ 仏 向 上 ト 云 ナ リ、 コ ノ 理 待 ニ ア ラ ス 、 対 ニ ア ラ ス 、 こ セ ム コ レ 向 上 ノ 一 頭 ナ リ 、 シ カ レ ハ 未 斬 ヨ リ サ キ 一 頭 卜 、 仏 向 上 ノ 一 頭 ト ヲ ナ ラ ヘ テ 、 両 頭 ト イ ハ ム ト ニ ハ ア ラ ス 、 タ ト ヒ ナ ラ ヘ ム ト イ ト ナ ム ト モ ナ ラ フ ヘ カ ラ サ ル カ ユ ヘ ニ 、 仏 道 ノ 道 理 ヲ モ テ 斬 未 斬 ト モ ツ カ フ ヘ シ 、 一 方 ニ ト ル ヘ カ ラ ス 、 百 千 二 斬 ト モ 蚯 蚓 両 段 ト ナ ル ヘ カ ラ ス 、 キ レ ヌ ( 二 四 六
b
) ト キ 一 段 ト 云 事 ナ キ ユ ヘ ニ 両 段 ト イ フ 、 有 仏 性 ノ 義 ヲ 以 テ 両 段 ト イ ヒ 、 無 仏 性 ノ 義 ヲ 以 テ 両 段 ト イ フ 義 ニ テ ア ル ナ リ 、 シ カ レ ハ コ レ ヲ ナ ラ ヘ テ ニ ト モ 三 ト モ イ ハ ル マ シ キ 道 理 ナ リ 、 ハ ン ソ ノ 動 ト イ フ ニ 、 倶 動 ト 云 フ 、 定 動 智 抜 ト モ ニ 動 ナ ル ヘ キ ナ リ 、 私 云 、 倶 ト 云 ハ 動 ノ 全 面 ナ リ 、 彼 此 ヲ 強 為 シ 三 〇 る か ら 「 動 」 と い う の で あ る 。 へ 例 え ば 、 衆 生 が 仏 に な る の を 「 動 」 と 言 い 、 仏 が 仏 に な る の を 「動
」 と 言 う よ う な も の で あ る 。 へ 「 未 斬 よ り さ き を 一 頭 と せ る か 」 と い う の は 、 頭 々 が格
別 で は な い こ と を 「 一 頭 」 と い う の で あ る 。 例 え ば 、 「 万 法 唯 一 」 と い う よ う な も の で あ る 。 へ 「 仏 向 上 を 一 頭 と せ る か 」 と い う の は 、 上 が 下 に 待 た れ な い、 下 が 上 に 残 ら な い 、 こ れ を 「 仏 向 上 」 と い う の で あ る 。 こ の 理 は、 〔 上 を 〕 待 つ の で は な い 。 〔 下 に 〕 対 す る の で は な い 。 こ れ が 「 向 上 」 の二
頭 」 で あ る 。 そ う で あ る か ら 、 「 未 斬 よ り さ き 」 の 「 一 頭 」 と 、 「 仏 向 上 」 の 「 一 頭 」 と を 並 べ て 、 「 両 頭 」 と 言 お う と い う の で は な い 。 た と え 並 べ よ う と 努 め た と し て も 、 並 べ る こ と が で き な い の で あ る か ら 、 仏 道 の 道 理 に よ っ て 、斬
と も 未 斬 と も 使 う べ き で あ る 。 一 方 だ け に と っ て は い け な い 。 へ 百 千 に 斬 っ た と し て も 、 蚯 蚓 は 「 両段
」 と な る は ず が な い 。 斬 れ な い と き 「 一 段 」 と 言 う こ と が な い の で あ る か ら 「 両 段 」 と 言 う 。有
仏 性 の 意味
で 「 両 段 」 と 言 い、 無 仏 性 の 意 味 で 「 両 段 」 と 言 う の で あ る 。 そ う で あ る か ら 、 こ れ を 並 べ て 二 と も 三 と も言
わ れ る は ず が な い 道 理 で あ る 。 へ 「 そ の 動 と い ふ に 、 倶 動 と い ふ 、 定 動 智 抜 と も に 動 な る べ き な り 」 。 へ 私 が 言 う 、 「 『 倶 』 と い う の は 『 動 』 の 全 面 で あ る 。 あ そ や こ れ を 、 し い て 『 倶 』Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty テ 倶 ト 云 ニ ア ラ ス 、 定 動 ノ 動 ニ ア ラ ス 、 智 抜 ノ 動 ト 云 ニ ア ラ ス 、 倶 動 コ レ 倶 動 ト イ フ ナ リ 、 先 以 レ 定 動、 後 以 ノ 智 抜 ト 云 事 ア リ 、 凡 悩 ヲ ハ ( 二 四 七 a ) 定 ヲ 以 テ 動 シ テ 、 智 ヲ 以 テ 抜 ト 云 ナ リ 、 今 ハ 倶 動 ト イ フ 、 覚 不 覚 ト モ ニ 仏 法 ト イ フ ホ ト ノ 心 二 、 カ ク ノ コ ト ク ツ カ フ ナ リ 、 両 頭 ニ カ キ ラ ス 、 千 頭 万 頭 モ 動 ト ツ カ ヒ 、 定 ノ 所 ニ モ 抜 ア リ 、 抜 ノ 所 ニ モ 動 ア ル ヘ キ ナ リ、 へ : ζ 芋 未 審 仏 性 在 阿 那 箇 頭 、 コ ノ 道 得 ハ 審 細 ニ ス ヘ イ フ カ シ シ 、 非 一 非 大 非 小 ト 云 程 ノ 事 也 、 私 云、 仏 性 ノ 所 在 ト シ リ カ タ キ ニ ヨ リ テ 、 コ レ ヲ タ ッ ネ ム カ タ メ ニ 、 未 審 仏 性 ト 云 フ ニ ア ラ ス 、 道 得 ノ 審 細 ナ ラ ム ハ 、 仏 性 ノ 未 審 ナ ル ヘ キ カ ユ ヘ ニ 、 明 見 ( 二 四 七
b
) 仏 陸 コ レ 未 審 仏 性 ナ リ 、 在 阿 那 箇 頭 ト イ フ ハ 、 仏 性 ノ 面 イ グ ム リ ヤ ウ 目 幾 無 量 ナ ル ヘ キ ソ ト 問 フ ナ リ 、 コ レ ス ナ ハ キ タ イ チ 不 知 ノ 問 ニ ア ラ ス 、 疑 滞 ノ 問 ニ ア ラ ス 、 ユ ヘ ニ コ ノ 道 得 ハ 審 細 ニ ス ヘ シ ト イ フ 、 仏 … 圧 斬 為 両 段 ○ 文 、 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) と 言 う の で は な い 。 『 定 動 』 の 『 動 』 で は な い 。 『智
抜 』 が 『 動 』 と い う の で は な い 。 『 倶 動 』 が 『 倶 動 』 で あ る と い う の で あ る 」 と 。 へ 先 ず 「 定 」 で 「動
」 か し て、 後 に 「 智 」 で 「 抜 」 く と い う こ と が あ る 。 煩悩
を 「 定 」 で 「 動 」 か し て 、 「 智 」 で 「 抜 」 く と い う の で あ る 。 こ こ で は 「 倶 動 」 と あ る 。 覚 ・ 不 覚 が とも
に 仏 法 で あ る と い う ほ ど の 意 味 に、 こ の よ う に 使 う の で あ る Q へ 「 両 頭 」 に 限 ら な い 。 千 頭 万 頭 も 「 動 」 と 使 い 、 「 定 」 の と こ ろ に も 「 抜 」 が あ り 、 「 抜 」 の と こ ろ に も 「 動 」 が あ る は ず で あ る 。 へ 「未
審 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 、 : : こ の 道 得 は 審細
に す べ し 」 。 へ 非 一 ・ 非 大 ・ 非 小 と い う ほ ど の こ と で あ る 。 へ 私 が 言 う、 「 『 仏 性 の所
在 』 と し て知
る こ と が 難 し い か ら 、 こ れ を た ず ね る た め ニ と ば に 『未
審 、 仏性
〔 在 阿 那 箇 頭 〕 』 と 言 う の で は な い 。 『 道 得 』 が 『 未 審 』 で あ る の は 、 『 仏 性 』 が 『 未 審 』 で あ る は ず で あ る か ら 、 明 見 仏 性 が 『審
細 仏 性 』 で あ る 。 『 阿 那 箇 頭 』 と い う の は 、 仏 性 の 面 目 は ど れ ほ ど 無 量 で あ ろ う か と 問 う の で あ る 。 こ れ は 知 ら な く て 問 う の で は な い 。 疑 滞 の 閊 で は な い 。 だ か ら 『 こ の 道 得 は審
細 に す べ し 』 と い う 」 と 。 へ 「 仏 性 斬 為 両 段 … … 」 。 一三
Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Umversrty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) コ ノ 仏 性 ヲ 談 ス ル 事 十 四 段 ナ リ 、 仏 陸 斬 テ 十 四 段 ト モ 云 フ ヘ キ 歟 、 凡 仏 法 ヲ 談 セ ム ニ 、 仏 性 ヲ 審 細 二 沙 汰 セ ム ホ カ 、 又 不 レ 可 レ 有 二 別 儀一 哉 、 真 如 ト イ フ モ 実 相 ト イ フ モ 仏 性 ナ ル ヘ シ 、 七 十 五 帖 ノ 今 ノ 草 子、 正 法 眼 蔵 ハ タ タ コ ノ ( 二 四 八 a ) 仏 性 ノ ミ ナ ル ヘ シ 、 仏 性 ノ 審 細 ノ 一 分 ヲ 挙 ス ル ト キ 、 仏 性 斬 為 両 段 、 未 審 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 ト イ フ ヘ シ ト ナ リ 、 \ ( 18 ) 仏 性 斬 為 両 段 ハ 、 仏 与 レ 性 斬 テ 為 二 両 段 一 ト ト ン コ イ フ カ 仏 之 与 性 達 此 達 彼 ノ ユ ヘ ニ 、 尚 書 ノ 道 得 ハ 蛆 蚓 為 両 段 ナ リ 、 先 師 ノ 指 示 ハ 仏 性 斬 為 両 段 ナ リ、 蚯 蚓 斬 為 両 段 ハ 見 聞 邪 正 ニ ワ タ ル 、 仏 性 斬 為 両 段 ハ 相 伝 古 今 ヲ 超 過 ス 、 又 尚 書 ノ 道 得 ハ ( 二 四 八
b
) 未 審 仏 性 在 阿 那 箇 頭 、 先 師 ノ 指 示 ハ 未 審 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 、 尚 書 ノ 道 得 ハ 所 在 ノ 知 不 知 ニ ニ タ リ 、 先 師 ノ 指 示 ハ 蚯 蚓 ノ 未 審、 仏 性 ノ 未 審 二 超 越 ス ル 事 ヲ 挙 揚 ス 、 イ マ カ サ ネ タ ル 審 細 ノ 小 ス コ シ キ ロ ヘ ン イ ウ 許 ヲ 挙 セ ハ 、 応 〆 道 仏 性 斬 為 両 段 、 未 審 仏 ハ ワ リ オ イ フ カ シ 性 阿 那 箇 頭 、 蚯 蚓 斬 為 両 段、 未 審、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 、 \ 無 イ フ カ シ 、 仏 性 阿 那 箇 頭 ニ カ ナ キ ト イ ハ マ ホ 三 二 へ こ の 仏 性 を 説 く の は 〔 仏 性 の 巻 で は 〕 十 四 段 で あ る 。 仏 性 を 斬 っ て 十 四 毀 と も 言 う べ き か 。 大 体 、 仏 法 を 説 く の に 、 仏 性 を こ と こ ま か に と り あ げ て 論 議 す る ほ か に、 ま た 別 の こ と が あ る は ず が な い で は な い か 。 真 如 と い う の も 、 実 相 と い う の も 仏性
で あ ろ う 。 七 十 五帖
の こ の 草 子 、 『 正 法 眼 蔵 』 は 、 た だ こ の 仏 性 の み 〔 を 説 い て い る と 言 っ て よ い 〕 で あ ろ う 。 へ 仏 性 の 「審
細
」 の 一 分 を 挙 げ る と き 、 「 仏 性 斬 為 両段
、 未 審 、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 と い ふ べ し 」 と い う の で あ る 。 へ 「 仏 性 斬 為 両段
」 は 、 「 仏 と 性 と を 斬 っ て 両 段 と 為 す 」 と い う の か 。 「 仏 之 与 ( 19 ) 性 、 達 此 達 彼 」 で あ る か ら 。 尚 書 の 道 得 は 「 蚯 蚓 斬 為 両段
」 で あ る 。 へ 先 師 〔 道 元 和 尚 〕 の 指 示 は 、 「 仏 性 斬 為 両 段 」 で あ る 。 「 蚯 蚓 斬 為 両 段 」 は、 見 聞 邪 正 に つ な が る 。 「 仏 性 斬 為 両 段 」 は 、 相 伝 古 今 を 超 越 す る 。 ま た 、 尚 書 の 道 得 は 「 未 審 、 仏性
在 阿 那 箇 頭 」 。先
師 の 指 示 は 「未
審 、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 」 。 尚 書 の 道 得 は 、 〔 仏 性 の 〕 「 所 在 」 を知
っ て い る か 、 知 ら な い か を た ず ね て い る よ う に 見 え る 。 へ 〔 「 未 審 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 」 に 対 す る 〕 先 師 の 指 示 は、 〔 「 仏 性 斬 為 両 段 、 未 審 、 蚯 蚓 在 阿 那 箇 頭 と い ふ べ し 」 と あ っ て 、 〕 蛞 蚓 の未
審 は 、 仏性
の 未 審 に 超 越 す る こ と を 挙 揚 す る 。 い ま 更 に 加 え た 「 審 細 」 の少
し ば か り挙
せ ば 、 次 の よ う に 言 う べ き で あ る 。 「 仏 性 斬 為 両 段、 未 審 、 仏 性 在 阿 那箇
頭 。 蚯 蚓 斬為
両 段、 未 審 、 蚯蚓
在 阿 那 箇 頭 」 。 へ知
り た い 、 仏性
は ど っ ち の方
に な い と 言 い た い の か 。 何 も 仏 性 で な い も の は なKomazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty シ 、 ナ ニ モ 仏 性 ナ ラ ヌ モ ノ ナ キ ユ ヘ ニ 、 ( 二 四 九 a ) 両 頭 倶 二 動、 仏 性 在 阿 那 箇 頭
0
仏 性 ノ 所 在 二 不 堪 也 ト イ フ カ 、 不 動 不 退 ハ 仏 性 ナ リ 、 私 云 、 仏 性 モ ト ヨ リ 非 有 非 無 、 非 動 非 静 、 ユ シヨ ヘ ニ 動 駲 処 仏 駐 ノ 所 在 ナ ル ヘ カ ラ ス 、 所 在 モ シ 動 ナ ラ バ 、 仏 性 モ 動 ナ ル ヘ キ カ ユ ヘ ニ 、 仏 性 ノ 所 在 動 ナ ル ヘ カ ラ ス 、 コ ノ ユ ヘ ニ 倶 動 ナ ラ バ 、 仏 性 ノ 所 在 二 不 堪 ナ ル ヘ キ カ ト ハ ア ル ナ 、W
モ シ 倶 動 ナ ラ バ 、 仏 性 イ ッ レ ノ 所 ニ カ ア ル 、 モ シ 仏 性 ナ ラ バ 、 イ ツ レ ノ ト コ ロ ニ ア リ テ カ 倶 動 ナ ル 、 ( 二 四 九b
) 倶 動 ナ レ ハ 、 動 ハ ト モ ニ 動 ス ト イ フ ト モ 、 仏 性 ノ 所 在 ハ 、 ソ ノ 中 ニ イ ッ レ ナ ル ヘ キ ソ ト イ フ カ 、 レ イ ウ 私 日 、 動 世 界 ノ 倶 二 玲 瓏 ナ ル 、 イ ツ レ ノ 所 力 倶 動 ナ ラ サ ラ ム 、 カ ク ノ コ ト ク 尋 ヌ ル 所 二 、 レ イロ ウ セ ソ ト ウ フ マ イ 仏 性 ノ 能 所 玲 瓏 ナ リ 、 蚯 蚓 ノ 斬 動 不 昧 ナ リ 、 ユ ヘ ニ ソ ノ 中 ニ イ ツ レ ナ ル ヘ キ ソ ト イ フ カ ト 云 ハ 、 是 什 麼 物 恁 麼 来 ノ 道 得 ナ リ 、 説 以 一 物 即 不 山 ー ノ 詞 ヲ マ ツ ヘ カ ラ ス 、 へ 師 日、 莫 妄 想 、 コ ノ 宗 旨 ハ 、 作 麼 生 ナ ル ヘ キ 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) い の で あ る か ら 。 へ 「 両 頭 倶 動 、 仏 性 在 阿 那 箇 頭 〔 と い ふ は 、 倶 動 な ら ば 〕、 仏性
の 所 在 に 不 堪 な り と い ふ か 」 。 不動
・ 不 退 は 仏 性 で あ る 。 へ 私 が 言 う、 「 仏 性 は も と よ り 非 有 非 無 、 非 動 非 静 〔 で あ る 〕 。 だ か ら 動 く と こ ろ が 『 仏 性 の 所 在 』 で あ る は ず が な い 。 『所
在 』 が も し動
な ら ば 、 仏性
も 動 で あ る は ず で あ る か ら 、 『 仏性
の 所 在 』 が 動 で あ る は ず が な い 。 こ の ゆ え に 、 『 倶 動 な ら ば 、 仏性
の 所 在 に 不 堪 』 で あ ろ う か と あ る の で あ る 」 と 。 へ も し 「 倶 動 」 で あ る な ら ば 、 仏性
は ど ち ら に あ る の か 。 ば 、 ど ち ら に あ っ て 「 倶動
」 な の か 。 へ 「 倶 動 な れ ば 、 動 は と も に 動 ず と い ふ と も、 な る べ き ぞ と い ふ か 」 。 も し 仏性
で あ る な ら 仏性
の所
在 は 、 そ の な か に い つ れ へ 私 が 言 う 、 「 『 動 の 世 界 が 倶 に 玲 朧 で あ る 。 ど こ が 倶 動 で な い で あ ろ う 。 』 こ の よ う に 尋 ね る と こ ろ に 、 仏性
の 能 所 が玲
朧 で あ る 。 蚯 蚓 の 斬 ・ 動 は く ら ま さ な い の で あ る 。 だ か ら 、 『 そ の な か に い つ れ な る べ き ぞ と い ふ か 』 と い う の は 、 〔 そ の ( 20) う ち の ど ち ら を も と い う こ と で あ り 、 〕 『 是 什 麼 物 恁 麼 来 』 の 道 得 で あ る 。 『 説 似 一 物 即 不 中 』 の こ と ば を 待 つ べ き で は な い 」 と 。 \ 凶 「師
い は く 、莫
妄 想 。 こ の 宗 旨 は 作 麼 生 な る べ き ぞ 」 。 「 莫 妄 想 」 ( 妄 想 す る こ と 三 三Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) ソ 文 、 莫 妄 想 ト 云 詞 、 両 頭 ニ モ 不 レ 付、 又 仏 性 ニ モ ( 二 五 〇 a ) 不 レ 付 、 タ タ 妄 想 ト 云 コ ト ア ル ヘ シ ト 心 得 也 、 タ ト ヘ ハ 実 相 ヲ 実 相 ト イ フ 程 ノ 事 ナ リ 、 諸 法 ヲ 実 相 ト 云 ニ ア ラ ス 、 私 云、 イ フ コ コ ロ バ 、 莫 妄 想 ノ 詞 ヲ フ タ タ ヒ 挙 揚 ス 、 作 麼 生 ノ 宗 旨 ハ 莫 妄 想 ナ ル ヘ キ カ ユ ヘ ニ 、 妄 想 ス ル 事 ナ カ レ ト 云 フ ナ リ 、 私 云、 妄 想 ス ル 事 ナ カ レ ト イ フ 、 コ レ 莫 妄 想 ヲ 莫 妄 想 ト 道 得 ス ル 也 、 ク ワ イ ヒ 私 云 、 莫 妄 想 ヲ 回 避 ス ル 両 頭 ナ シ 、 倶 動 ナ シ 、 仏 性 ナ シ 、 タ タ 仏 性 ハ 妄 想 ナ シ ト イ フ カ 、 ( 二 五 〇 b ) 莫 妄 想 ト 云 ハ 説 似 一 物 ト イ フ 同 事 ナ リ、 動 ス ル ハ イ カ カ セ ム ト 云 ハ 、 動 ス レ ハ サ ラ ニ 仏 性 一 枚 ヲ カ サ ヌ ヘ シ ト 道 取 ス ル カ 、 動 ス レ ハ 仏 性 ニ ア ラ サ ム ト 道 著 ス ル カ 、 私 云、 動 ス レ ハ サ ラ ニ 仏 性 一 枚 ヲ カ サ ヌ ト イ フ 一 枚 ハ 、 動 ノ ホ カ ニ 仏 性 ヲ 一 枚 ト 云 ニ ア ラ ス 、 仏 性 一 枚 ナ レ ハ 動 モ 一 枚 ナ ル ヘ シ ト ナ リ 、 ソ ノ ユ ヘ ハ 動 二 動 ヲ カ サ ネ ム ヲ 仏 性 ノ 一 ケ ア 枚 ト イ ヒ 、 一 枚一
二
枚 ヲ 減 セ ム ヲ 動 ノ 倶 卜 云 ヘ キ カ ユ ヘ ニ 、 動 取 半 枚 ヤ フ レ ハ 仏 性 ノ 】 枚 ヤ フ ル ヘ シ ト ナ リ、 ( 二 五 】 a ) 三 四 莫 れ ) と い う こ と ば は 、 「 両 頭 」 に も 関 係 な い 。 ま た 「 仏性
」 に も関
係 な い 。 た だ 「 莫妄
想 」 と い う こ と が あ る は ず で あ る と 理 解 す る の で あ る 。 例 え ば 、 実 相 を 実 相 と 言 う ほ ど の こ と で あ る 。諸
法 を 実 相 と 言 う の で は な い 。 へ 私 が 言 う 、 「 そ の わ け は 、 『 莫 妄 想 』 の こ と ば を再
び 挙 揚 す る 。 『作
麼
生 』 の 『 宗 旨 』 は 『 莫 妄 想 』 で あ ろ う か ら 、 『 妄 想 す る こ と な か れ と い ふ な り 』 」 と 。 へ 私 が 言 う 、 「 『 妄想
す る こ と な か れ 』 と い う の は 、 『 莫 妄 想 』 を 『 莫 妄 想 』 と 道 得 す る の で あ る 」 と 。 へ 私 が 言 う 、 「 『莫
妄 想 』 を 回 避 す る 『 両頭
』 は な い 。 『 倶 動 』 は な い 。 『 仏 性 』 は な い 。 『 た だ 仏 性 は 妄 想 な し と い ふ か 』 〔 で あ る 〕 」 と 。 へ 「 莫 妄 想 」 と い う の は 、 「 説 似 一 物 〔 即 不 中 〕 」 と い う の と 同 じ こ と で あ る 。 へ 「 動 ず る は い か が せ む と い ふ は 、 動 ず れ ば さ ら に 仏 性 一枚
を か さ ぬ べ し と 道 取 す る か 、 動 ず れ ば 仏 性 に あ ら ざ ら む と 道著
す る か 」 。 へ 私 が言
う 、 「 『 動 ず れ ば さ ら に 仏 性 一 枚 を か さ ぬ 』 と い う 『 一 枚 』 は、 『 動 』 の ほ か に 『 仏 性 』 を 『 一 枚 』 と い う の で は な い 。 『 仏性
一 枚 』 で あ る か ら、 『 動 』 も 『 一 枚 』 で あ ろ う と い う の で あ る 。 そ の わ け は 、 『 動 』 に 『 動 』 を重
ね る の を 『 仏 性 』 の二
枚
』 と 言 い 、二
枚 』 に 『 一 枚 』 を 減 ら す の を 、 『 動 』 の 『 倶 』 と 言 う べ き で あ る か ら 、 『 動 取 』 の 半枚
を 破 る な ら ば 、 『 仏 性 』 の 『 一枚
』 を 破 る べ き で あ る と い う の で あ る 」 と 。Komazawa University Kom 三1z三1w三1 Unlverslty 風 火 未 散 ト イ フ ハ 、 仏 性 ヲ 出 現 セ シ ム ル ナ ル ヘ シ 、 ○ 風 火 ス ナ ハ チ 仏 性 ト イ フ ヘ カ ラ ス ユ ゲ ソ サ ソ 云 云 、 三 界 常 住 不 壊 世 間 法 ト 云 フ モ 未 散 ナ リ 、 仏 法 未 散 ト モ イ フ ヘ シ 、 仏 性 切 テ ト 云 様 二 、 未 散 モ 散 モ ト リ カ ヘ テ 心 得 ヘ シ 、 私 云 、 ヲ ホ ヨ ソ 仏 性 ノ 体 相 イ カ ナ ル ヘ シ ト シ ラ サ ル ウ ヘ ハ 、 有 情 ニ ア リ 非 情 二 有 ト 云 フ 詞 ノ ミ ア リ テ 、 イ マ タ ソ ノ 面 目 ヲ シ ラ サ ル カ コ ト シ 、 詞 ニ ョ リ テ 理 ヲ ア キ ラ メ サ ル ト キ ハ 、 コ ト ハ 理 ニ マ ト フ ノ ミ ニ モ ア ラ ス 、 語 ニ モ 迷 ナ リ 、 仏 性 ヲ ( 二 五 一 b ) 仏 性 ト 開 演 ス レ ト モ 、 詞 シ ソ ノ ミ ア リ テ 実 ナ シ 、 仏 性 ノ 親 切 二 開 演 セ ラ ル ル ト キ ハ 、 風 火 未 散 ト キ コ ユ 、 風 火 未 散 ト イ フ ハ 、 風 火 イ マ タ 散 セ ス ト イ フ ニ ハ ア ラ ス 、 風 火 ノ 始 終 ヲ ト ク コ ト ハ ナ リ 、 風 性 常 住 無 所 不 周 ノ 道 理 ナ リ 、 ソ ノ ユ ヘ ハ 始 終 未 散 ナ ル コ ト ヲ 風 火 ト イ フ、 風 火 ノ 始 終 ハ 仏 性 ノ 始 終 ナ ル ユ ヘ ニ 、 散 ニ ア ラ ス 未 散 ニ ア ラ ス 、 コ レ ヲ 仏 性 ト イ フ 、 出 ニ ア ラ ス 現 ニ ア ラ サ ル コ レ ヲ 仏 性 ト イ フ 、 未 散 ノ 風 火 二 出 現 ( 二 五 二 a ) ス ル コ ト ヲ 風 火 ト イ フ 、 風 火 ノ 未 散 二 出 現 ス ル コ レ ヲ 仏 性 ト イ フ、 ユ ヘ ニ 仏 性 ナ リ ト ヤ セ ム 、 仏 性 ト 風 火 卜 、 倶 出 ス ト イ 『 正 法 眼 蔵 抄 』 口 語 訳 の 試 み ( 伊 藤 ) へ 「 風 火 未 散 と い ふ は 、 仏 性 を 出 現 せ し む る な る べ し 。 〔 仏 性 な り と や せ む 、 風 火 な り と や せ む 。 仏 性 と 風 火 と 、 倶 出 す と い ふ べ か ら ず 、 一 出 一 不 出 と い ふ べ か ら ず 。 〕 風 火 す な は ち 仏 性 と い ふ べ か ら ず 」 と あ る 。 「 三 界 常 住 不 壊 世 間 法 」 と い う の も 「 未 散 」 で あ る 。 〔 風 火