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学校,家庭,地域のパートナーシップ研究と

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人間の福祉 第26号(2012)15〜24

〈原著論文〉

       アメリカにおける

学校,家庭,地域のパートナーシップ研究と

    PTA活動のパートナーシップ事例※

大 平 滋※※

はじめに

 現在,アメリカでは学校,家庭地域のパートナーシップ活動が進められている。古くから PTA活動は大きな成果をあげ,家庭とのパートナーシップのよい実践ともいえる。

 学校,家庭地域のパートナーシップ活動の研究そのものは,1980年後半から子どもの世話 を学校だけではなく,家庭や地域と分担して子どものケアーを丁寧にみていこうとするものと して始まった。

 本研究では,これらのパートナーシップのあり方の研究の進展の経緯やその背景,現在行わ れているパートナーシップのためのアクションチームについて明らかにする。また,身近なパー

トナーシップの基本になっているPTA活動についての事例研究を行う。

1 パートナーシップ研究の経緯

 パートナーシップ活動の基本は,子どものケアーを子どもに関わるすべての大人が責任を持 とうというものである。

 パートナーシップのあり方の研究は,1980年代後半から始まり,パートナーシップ活動のた めの具体的実践の展開とそのための理論構築が進められた。パートナーシップの活動母体とし てThe ATP(an Action Team fbr partnerships)というチームを組んで行い,活動の方法を共有 化して実践を深め拡大させていった。

 特に研究の中心は25年以上,ジョン・ホプキンス大学がリードし,教師,両親生徒地域 の人々に対しての就学前教育,小学校,中学校,高校が発展するためのプログラムやパートナー

※η1θρorごηθ融ψアε3εαアC乃麹0ηんηεr Cαη5凶00乙αルητ伽αηげ伽αrεα,αηゴ〃ZθCα3θ∫!μめノげ∫加ρα吻8r51ゆ加  1)z4αcご∫漉γ

※※Shigeru OHIRA 立正大学社会福祉学部人間福祉学科

キーワード:アメリカ,「学校,家庭地域のパートナーシップ」,PTA活動プログラム,学力保障        一15一

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シップの研究を行ってきた。

 (Dパートナーシップのプログラムを作るための新しいコンセプト

 1986〜2004年忌でのパートナーシップの調査から,世話(ケアー)の改善のための6つの タイプ(1992,95)が指摘されている。1.子育て 2.コミュニケーション 3.ボランティ ア 4.家庭学習 5,判断力,決定 6.地域の協力(1>などとなっている。

 さらに効果的なパートナーシップのプログラムを作るための新しいコンセプトとして次の 6つが指摘されている。(Epstein&Sheldon,2006)

「1.学校,家庭,地域のパートナーシップは,親らしい関わりよりも重要な項目である。パー  トナーシップは,生徒の学びと発展に,両親教育者,地域の人々が,責任を分かち合う  ということを認めることである。

2.学校,家庭,地域のパートナーシップは,多次元の概念である。

 関わりの6つの型の骨組みは,違った方法で,家庭との関わりを援助する。

3.学校,家庭,地域のパートナーシップのプログラムは,学校とクラスを組織するうえで  必須な構成要素である。

4.学校家庭地域のパートナーシップのプログラムは,多次元のリーダーシップを求め  るQ

5.学校,家庭地域のパートナーシップのプログラムは,生徒の学習と発展の増加に焦点  を当てなければならない。

6.学校,家庭,地域のパートナーシップのすべてのプログラムは,おおむね公平であるこ

 と。」②などである。

 また,2002年のNCLB法,落ちこぼし防止法(No Child Left Behind Act)もパートナーシッ プの進展に大きな影響を与えている。学校だけでは,子どもの学力の保障が不可能なので,家 庭や地域のバックアップが不可欠な要素として認識されている。

 このNCLB法成立以後に,学校での学力保障が担保されているかが重要となり,学力調査が 行われ,それぞれそれを公表するようになっている。カリフォルニア州でも,各公立学校では

この学力テストの結果が各学校のホームページ上に公表されている。また,この学力向上のた めに多くの公立学校で宿題を多く課している。そのために,日本のように学習塾がないアメ リカでは,宿題の世話は保護者の役割となっている。小学生でも,学年が上がるに従ってその 宿題の世話は保護者にとって負担となっているようだ。

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2 パートナーシッププログラムについて

 (D 行動チーム(ATP)活動の5つのステップ

 次に効果的なパートナーシップを展開させるためには,行動チームを立ち上げて実施して

いる。

 パートナーシップのための行動チーム(ATP)を立ち上げ活動していくためには,活動の5 つのプロセスが指摘されている。以下そのプロセスをあげてみる。

「ステップ1.パートナーシップのための行動チームを作る。

  チームは,少なくとも2〜3人の違うレベルの教師,行政,専門家 2〜3人の違う地  区または,違う文化の親一人の管理者。その他に,地域から,高校,少なくとも違うレ  ベルの二人の生徒スクールワーカー,スクールカウンセラー,社会ワーカー,看護師,

 学校心理学者,秘書管理人などから構成される。メンバーは6〜12人またはそれ以上で  ある。議長は,尊敬されている人。

ステップ2.基金とその他の援助。最近のデーターでは,毎年少なくとも1チーム当たり2,500  ドル必要である。

ステップ3.スタートする時の確認事項。資源,時間,人材,PTA・PTOなど。

ステップ4.一年の行動計画の発展。ゴール,目的,期待した結果結果までの方法,個々  の特別な改革など。具体的な詳細,責任,経費,評価などの視点から把握する。

ステップ5.継続的な計画改革,プログラムの評価」(3>となっている。

 このように,パートナーシップの行動チームを効果的に活動させるために,パートナーシッ プの目的を明確にし,使える人材や財源を理解し,一年ごとの目標と中長期ごとの目標を決め て,活動の成果の評価を行いつつ継続的な活動として実施していくことに特徴がある。行政指 導でもなく,どこかのモデルの踏襲でもない,独自の自主的な活動が展開されるのである。

 ② 学校と地域のパートナーシップの型

 パートナーシップの基本姿勢は,「学校の改善における地域の関わりあい」である。そのため,

学校と:地域のパートナーシップには,いろいろな型がある。

 まず,このパートナーシップのための地域パートナーとして広く想定され,なおかつ地域活 動の長い実績をもつ活動母体があげられている。

 具体的な地域パートナーは「ビジネス,会社。大学と教育施設。健康医療組織。行政と軍代 理人。国のサービスとボランティア組織。信仰を基盤とした組織(教会)。シニア市民組織。

文化・レクリエーション機関。メディア組織。その他の地域の組織。個々の地域。」㈲と広範になつ       一17一

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ている。

 学校と地域のパートナーシップの成果については,地域の関わりを促進するために学校がで きることとして4点をあげている。「学びのための高度な関わりあい。地域の関わりあいのた めの主要な支援。歓迎すべき学校の傾向。コミュニケーションの二つの方法。」6)などである。

 これらを説明すると,

 「学校は地域の関わりあいを促進するために何ができるか」として,高度な関わりあいの学習,

地域の関わりあいのための主な支援居心地のいい学校の傾向などの視点で検討されている。

 パートナーシップの影響と評価では,学校,家庭,地域のパートナーシップは,生徒の成果 改善のためになされるものであることが認識されている。

 生徒が勉強において成功するためには,つまり「質の高い学習」を保障するためには,「生 徒の家庭と地域との強力なパートナーシップを持っている」ことが不可欠と考えられている。

 親の関わりの影響では,「子どもの教育の発展に家庭の強力な支援が重要である」ことが認 識されている。このことに関しては,多様な調査の結果から「強力な家庭と地域の関わりあい が高成績を示している」(6)といわれている。

 特に,先ほど述べたように,アメリカの学校では,家庭学習が重要視されている。子どもへ の親の責任が強く認識されているためである。また,日本のような学習塾がないために,家庭 学習は親の責任と認識されている。そのため,学校での「成功」は家庭の協力が不可欠となっ ているQ

 そのため,学問的成果としては,「リテラシー(読解力)。就学前の家庭の関わりあい。」な どが期待されている。特に,「家庭は,就学前の子どもにおいて,読解力と読む能力に大きな 影響を与えている」と理解されている。

 また,「小学校低学年における家庭の関わりでは,物語を読むこと(storybook reading),児 童のリテラシー,家庭と地域の関係性」などが指摘されている。そのため,「読み聞かせのボ ランティア」(7)活動は一般的なものである。

 学業成績以外の成果としては,「新しい学校への変遷,出席,行動,問題行動を減少させ る」(8〕などが指摘されている。つまり,パートナーシップがうまく機能することにより,学校 そのものが新しい変遷をし,子どもたちの出席もよくなり,良い行動が生まれ,問題行動も減 少するということである。

 それでは,次に多くの学校で身近なパートナーとして実践しているPTA活動をみていぎだい。

3 アメリカのPTAのこれまでの活動

 アメリカでは,PTAは,全米PTA(Nationa1 PTA)に属している団体のみがPTAまたは PTSA(職員も成員になっている場合)を名乗り,属していないグループは PTO (Parent−

Teacher Organization)の名称を用いている。

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人間の福祉 第26号(2012)

 PTAは,1897年当時まだ女性の参政権のなかった時代に,フィービー・アパーソン・ハース ト(英:Phoebe Apperson Hearst)とアリス・マクレラン・バーニー(Alice McLellan Birney)

という二人の女性の発案により,ワシントンD.C.にて開催された,全米母親議会(NationaI Congress of Mothers)がその母体となっている。この全米母親会議は予想に反して,父親や教 師や政治家も含め2000人もの人聞が集まった。そのため「全米保護者教師議会(NationaI Congress of Parents and Teachers)」と名称を変え,後に「全米PTA団体(National PTA Organization)」へと発展していったものである。

 カリフォルニア州では,このPTA協会に属しているものが多く,地区PTA協会州のPTA協 会の傘下に入って活動している(9)。アメリカ国内では,最近はこのPTA協会に属さないで,学 校単位で比較的自由に活動できるPTO団体が増加しているといわれている(lo}。

 しかし,保護者とのパートナーシップの原型は,やはりPTA活動であるといえる。一般的に,

アメリカでは毎年各家庭がPTAに加入するかどうかを尋ねられ,加入することは自由意志と なっている。一般的には,次のような活動が行われている。財政的なものとしての団体の会計,

寄付金集め,広報活動。人材支援としての教育支援活動,図書整理や読書指導,作文添削,ト リップ活動援助,スポーツ・コーチなど。安全活動としての学校周囲の交通整理,緊急災害支 援など。会の運営や親睦としてのクラス役員,親睦会,講演会,教職員への感謝週間など多様

にわたっている。まさに,PTAまたはPTO活動なくして学校の教育活動が成り立たないぐらい のパートナーといえる。

4 学校とPTA活動のパートナーシップの事例

 事例研究として,カリフォルニア州のロサンゼルス郊外の閑静な住宅地となっているラン チョパロベルデ市 RANCHO PALOS VERDES(時々省略されたRPV)の小学校の事例をあ

げる。

 ランチョパロベルデ市は,1973年にロサンゼルス・カウンティに含まれた。人口は41,643人

[2010年時点]。人口構成は,白人系56.0%,アジア系28.8%,ラテン系8.5%,アフリカ系2.4%

などとなっている⑳。

 経済的に豊かな郊外都市であり,教育レベルも高い文教地区といえる。

 (1)Rancho Vista School(公立小学校)

 この小学校の特徴は,保護者の参加する場面が多く,アカデミックなカリキュラムを多く取 り入れている点である。

 保護者参加の学校づくりでは,「保護者参加が学校の不可欠な部分。保護者が学校で,ある いは学校のプロジェクトで1カ月に8時間を過ごすように」要求されている。

 また,スペイン語は幼稚園のカリキュラムの一部として提示されている。小学校はすべての       一!9一

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クラスは最小限1週間に3回スペイン語の授業がある。現在,アメリカでは,スペイン語も母 国語となっており,特にカリフォルニア州では,ラテン系が多いため,スペイン語も必須の言 語となりつつあるためである。

 学校のクラスは,幼稚園登録が教師毎に20人の園児,児童に制限されている。幼稚園のク ラスは午前8時30分から午後2時15分までの授業となっている。

 以下小学校の授業時間とクラス数である。

Regular Schedule:

Kindergarten 8:30 am−2:15pm lst−2nd Grade 8;30 am−2:35 pm予F 3rd−5th Grade 8:30 am−3:00 pm T下

K−4クラス,1−2年一3クラス  3−5年一2クラス 全校約240名

 Rancho Vista Schoolは,保護者のボランティア活動が前提になっている学校である。 PTA活 動が自主的な団体とはいえ,学校運営の上での重要なパートナーとなっている。学校が主に,

PTA活動と親の参加(親のボランティア活動)を前提とした実践が展開されている。以下,こ の点を中心に見てみる。

 ①保護者参加学校

 学校のホームページによると,「保護者参加は我々の学校共同体の非常に重要な部分です。

それは我々の学校に莫大な利益です。そして,保護者が学校で支援するとき,子どもたちを愛 しています。」となっている。

 保護者は最小限1カ月に8時間,学校プログラムでのボランティア活動に参加することに同 意することになっている。これらの時間は次の方法の1つ以上で行うことができる。

「i)教室で一学校でプロジェクトの援助

 ii)家で教師からプロジェクトの援助一授業時間の前か後に一

 iii)週末の間に一大きいイベントに取り組みます一キャンパスのbeauti且cationプロジェクト    一資本の改良プロジェクトー

 iv)学校関連のミーティングに出席します」吻

 プログラムはライフスタイルを受け入れる柔軟性を提供しており,それでそれぞれの家庭が 学年毎に最小限80ボランティア時間を完了することを期待されている。

②PTA活動

PTAの趣旨および活動は以下の内容になっている。

PTAの趣旨については以下のとおりである。

      一20一

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人間の福祉 第26号(2012>

 保護者会(PTA)は「ボランティアが我々の子どもたちを豊かにします」を今年度のスロー ガンとして活動がなされている。

 Rancho Vista小学校PTAは「我々の子どもたちの学歴を補う顕著な,そして有益なプログラ ムを提供するために勤勉に働く献身的なボランティアで構成された特定非営利活動法人です。

加えるに,PTAは家と学校の間に肝要な連携を提供します;コミュニケーション保持の月例会,

ニュースレターと教室での連絡を通して開きます。

 PTAがRancho Vista学区共同体の不可欠な部分であるから,すべての親教師,児童たち,

家族メンバーと友人たちは参加して,そして活発なメンバーになるよう促されます。」

 活動内容は以下のとおりである。

「・Rancho VistaのPTAは舞台芸術プログラム,集会,実地見学,学年レベルの充実化と考古   学の発掘のような教育プログラムのための資金を提供します。

 ・我々は同じく「サイエンス」博覧会,アートの旅スペリングコンテスト,ReHections芸   術と識字プログラムとリーダーのエクスプレスを読んでいる報償制度に資金を供給します。

 ・PTAは健康とレッドリボン週のような安全プログラムを提供します,安全性と麻薬危険性   認識。人間形成と反いじめのプログラムの黄色いリボン週。

 ・我々は通学区域とPTA評議会との調整で,避難訓練を援助することに加えて学校の緊急準   備の供給を維持します。

 ・教室で使用するライブラリ本,テクノロジーラボのためのコンピュータとラップトップコ   ンピュータを購入します。

 ・親のために,ワークショップとセミナーのための講師を提供します。

 ・我々は我々の素晴らしいキャンパスを非常に誇りに思っています,そしてそれを我々がキャ   ンパスのbeauti廊ationプログラムの方法によって維持します。

 PTAサポートなしで,これらのプログラムのいずれも可能ではないでしょう。Rancho Vista PTAはPeninsula教育財団(PEF)に同じく主要な寄贈者です。 PEFは我々の音楽プログラム,

図書館秘書と我々の技術秘書の一部の給料に資金を供給します。」

 活動資金については以下のようである。

 「これらのプログラムと活動は毎年PTAにおよそ100,000ドルのコストがかかりました。 PTA のより大きい資金集めの労力はRancho Vistaキャンペーン,贈り物用包装セール,本フェアな

ど。常に人気が高い,楽しみに満ちた春カーニバルも含みます。他の資金調達者はラルフコミュ ニティー貢献プログラムなどです。」㈲

 これらの多様なPTA活動を維持するための資金源は,募金集めと寄付,資金を集めるための 催しの開催などの自主的な活動で賄われている。現在の年間活動資金10万ドル(約800万円)

を確保するために積極的に努力がなされている。

 特に,現在のアメリカの経済の低迷やガソリンの高騰により,市民生活に多大な影響がでて きており,資金集めも大変になってきているようである。

       一21一

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 (2) The Cornerstone Elementary SchooI

 この学校は,公立学校でありながら,子どもの入学の条件が,保護者のボランティア活動が 義務(時間数がある)づけられている。このような条件がついているが,市内でNOユという 評価を得ているため,大変人気が高く,入学は抽選で行われている。学校周辺は高級住宅地(周 辺の住宅は,80万ドル程度以上といわれている。)である。

 学校へのボランティア活動とPTA響動をとおしてのボランティア活動があるが,保護者との パートナーシップが前提となっている。

 ボランティア活動の程度は,入学している子どもの数によるが,一人の子どもで4週に4回,

二人の子どもがいると5回,3人以上の子どもが通っていると6回となっている。また,時問 数としては,年間最低15時間以上が要求されている。そして,毎月開かれる夜の会合は義務と なっている。

 ボランティアのスケジュールは,可能日を2日提出し,その月のボランティア活動日は,月 の2週前に公表される。

 内容は,多様であるが,教室での活動では,週に1度の教室活動。専門的な活動では,体育,

科学数学などの教科での補助活動。他に,ジュニア向けの素晴らしい本活動。読書グループ 活動。図書館とテクノロジー(コンピュータ)での活動がある。

 教室での活動以外では,芸術の旅。文化的な研究。スペイン語。科学の夜などの活動がある。

 さらに財政であるが,後援クラブと多様な資金集め活動がある。後援クラブでは,家族会員 は50ドル。また児童一人当たり!5ドルを毎年集めている〔14)。

 このように保護者の役割は大きく,保護者も学校任せではない。多くのボランティア活動 を通して,保護者は学校のことを他人事ではなく,自分の問題として取り組み,また,子ども の状況もよく理解できる。さらに,教職員との信頼関係も強いものとなっている。

おわりに

 アメリカにおけるパートナーシップのあり方の研究の進展の経緯やその背景。現在行われて いるパートナーシップのためのアクションチームについてその概要を検討してきた。

 アメリカは基本的にキリスト教の背景のもとにボランティア活動が盛んである。それぞれの 家庭や地域活動各種の自発的なクラブ活動など多様な活動母体があり,また,それらの活動 に積極的に参加をすることに大きな価値を見出しているといえる。

 本研究の基本は,自発的な多様な活動を「仕事」としてではなく,子どもたちの成長を手助 けするために,大人たちがパートナーシップをもって活動する実態を探るものであった。子ど もたちや地域のために,積極的にボランティア活動を無理なく行っている。その活動は,ひと つの生き方にもなり,自己実現にもなっている。新たな関わりに参加し,活動することにより

「人生を豊かに生きている」ように見える。

      一22一

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人間の福祉 第26号(2012)

 しかし,このパートナーシップ活動も,目的をもって行わないと効果を生みだせない。もう 一方,パートナーシップが進められる背景には,地方分権や自治の意識が高いこと。または,

地方分権のもとでの財政的な危機において,学校などの教育予算に財源が十分に与えられない ことも大きな背景となっているといえる。

 さらに,アメリカは日本以上に教育への価値が高く,大学教育を受けていないと社会的な成 功もままならないという意識が強いように感じられる。または,高等教育を受けていないと失 敗すると考えている人が多いようである。

 このような,背景のもと,アメリカ全体としての教育熱と財政的危機感もあいまって,教育 へのパートナーシップという考え方が急速に広がっていったものと考えられる。

 1980年代後半から始まった本格的なパートナーシップ研究は,多くの実践を踏まえて大きく 進化させてきている。多様な活動の型や活動の方法などを概観してきた。今回は,多様な活動 チームなどの具体的な実態調査ができなかったので,今後の課題としたい。

 身近なパートナーシップの基本になっているPTA活動については, Rancho Vista School

(RANCHO PALOS VERDES市)の事例研究を中心に行った。 PTA活動に積極的に参加し,

また,この小学校は学校でのボランティア活動が入学にあたっての前提となっていた。ボラン ティア活動は学校主体とPTA主体とのものがあり,まさにパートナーシップなくして学校運営 がありえない事例であった。このボランティア活動を通して,保護者たちは,日常の子どもの 様子を理解し,教師との信頼関係を築いていた。子どもたちも,日常的に保護者が教育現場や 活動に入っているため,多様な大人との関係性が出来ていて,非常に落ち着いた様子で授業に 取り組んでいた。他人任せや「モンスターペアレント」といわれるような保護者はいないよう である。大人のこのような子どもへの取り組みや生き方は,確実に子どもたちにも伝わってい るようである。

 両小学校の学校見学と校長先生への聞き取り調査を行った2011年3月19日時点において,日 本の大震災の様子を知った子どもたちが,自主的に日本への支援募金を行っていた。パートナー シップのもとでの子どもにやさしい学校づくりは,日本の学校づくりやPTA活動パートナー シップのあり方の参考になるといえる。

参考文献

(1>Joyce L. Epstein and Associates School, Family, and Community Partnerships−Ybur Handbook fbr  Action−third Edition Corwin Press,2009

(2)Chandler BarbouL Nita H. Barbour. Patricia A, Sculy Families, Schools, and Communities−

 Building Partnerships負)r Educating Children−Third EditioガMerill Prentice Hall,2005

(3)Joyce L. Epstein School, Family;and Community Partnerships−Second Edition W6stview Pres&

 2011

(4)リチャード・エルモア,神山正弘訳「現代アメリカの学校改革一教育政策・教育実践・学力」同  時代社,2006

一23一

(10)

(5)アメリカ教育学会編「現代アメリカ教育ハンドブック」東信堂,2010

(6)松尾知明「アメリカの現代教育改革一スタ・ダードとアカウ・タビリテ・の光と影煉信堂,

 2010

(7)赤星晋作「学校・繊・大学のパートナーシ・プーウ・スト・フィラデルフ・ア改翻欄WEPIC)

 の事例研究」学文社,200!

注記

(1)J・yce L Ep・t・in and A…ci・… S・h・・1, F・mHy, and C・mm・ni・y P。,・nership,.狗。, Handb。。k偽r  Action−third Edition Corwin Press,2009, p1

2345678 同前,pp.1−2

同前,pp.19−23 同前,p33 同前,p34 同前,p41 同前,pp.4144 同前pp.49−50

(9)全米P]蓋協会ホームページによる。(http:〃wwwptaorg/lndex.asp)

  カリフォルニア州PTA協会ホームページ(http:〃wwwcapta.org/)

(10>PTOホームページによる。(httpl〃wwwptotodaycom/)

(1Dカリフォルニア州財務課統計資料による.(http・〃wwwd。f、a.9。v/)

  ランチョパロベルデ赫一ムページ(http・〃w鴨・,P・1・・v・・d・…恥 ,p。/)

働 RANCHO PALOS VERDES, Rancho Vista Schoolホームページ

  (http・〃www・an・h・vi・t・・1・m・nt・・y・。㎡)

(13>同前

(1のRANCHO恥しOS VERDES, Th・C・merst・n・El・m・n・。,y S、h。。1ホームペ_ジ   (httpl〃wwwpvpusd.k12,ca.uslcstonelindex,html)

本研究は・2010鞭立正大学・礪湛山言己念齢(研究助成)研究「アメリカにおけるr地域研究』

の実態研究一カリフォルニア州を中心に一」によるものである。

一24一

参照

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