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看護師に対する効果的な糖尿病教育方法の検討

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Academic year: 2021

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(1)

看護師に対する効果的な糖尿病教育方法の検討

笹本 陽子,金子 祐子,渋谷 友子,貞永 美里(現外来),

      神崎 博子,山本 京子 北海道社会保険病院 7階病棟

Key Words:

糖尿病、看護師への教育

      要  旨

 看護師に対する糖尿病教育は、従来医学的な知識を伝えることが多かった。しかしアンケートを行った 結果、効果的な方法ではないことが分かった。

 効果的な方法は、患者の生活に知識を合わせる方法を共に考える場の提供であるという結論を得た。

         はじめに

 今日、糖尿病患者は年々増加し、原疾患に糖尿病 を合併する患者も増加している。この中で、職員の 知識不足によるケア内容のばらつきが問題であると いう先行研究があった。当院でもインスリン作用時 間や自己血糖測定器等の使用方法、食事療法に関す る知識不足による不適切な事例があった。当院に通 院または入院される糖尿病患者が、糖尿病を専門と する部署だけでなく、どの部署においても基本的な 知識に基づいた医療及び看護ケアを受けられるよう

にすることは重要であると考え、今回、看護師の糖 尿病に関する知識について調査し、効果的な教育方

法を検討した。

         研究目的

 A病院看護師の糖尿病に関する知識の程度と糖尿 病看護のどのようなことに難しさや疑問を感じてい

るのか明らかにし、効果的な教育方法を検討する。

は、1、所属部署、2、経験年数、3、糖尿病教 育経験の有無、4、糖尿病教育時に困ったことが あるかとその内容、5、学習会への参加希望の有 無、6、糖尿病の基礎知識を問う問題(病態生理・

食事療法・運動療法・薬物療法・日常生活上の注 意点に関する計14問・別表1)とした。

100%

80%

60%

40%

20%

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26% 13%

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27瓢

         研究方法

1)調査期間:2007年3月25日〜4月2日 2)調査対象:A病院看護師232名

3)調査方法:自記式質問紙調査(留置法)

4)調査内容:質問紙は、糖尿病教育ケアに使用さ れるテキストを参考に独自に作成した。質問内容

□不明

□10年以上

■3年〜10年未満 回3年未満

教育経験有   教育経験なし

図1 看護師経験年数と教育経験の有無 5)分析方法:t検定。有意水準を5%以下とした。

6)倫理的配慮:研究協力は強制ではないことを文 書で説明し同意を得て実施した。またデータ収集  は無記名で個人が特定されないようにし、研究以

外の目的に使用しないことを説明した。

         結  果

 アンケートの回収率77%178名、有効回答率99%

176名であった。

 看護師としての経験年数による糖尿病教育ケアの 経験の差はなかった(図1)。

一18一

(2)

看護師に対する効果的な糖尿病教育方法の検討

 糖尿病の基礎知識を問う問題(以下問題とす)全 体の正答率で、経験年数での有意差を認めなかった。

問題全体の正答率は69%であった。

 糖尿病教育ケアを行っていた看護師の正答率と、

未経験者の正答率に有意差は認めなかったが、平均 点としては教育ケアの経験者で、高い傾向にあるこ

とがわかった。

 次に、知識の内容を、基礎的なものと、日常生活 に即したものとで有意差をみた。日常生活に即した 問題で、教育ケアの経験者と未経験者の間で、有意 差があった(図2)。

経験者      未経験者

    図2 知識の内容

■基礎知識

□日常の知識

 教育場面で困難を感じている理由としては、自ら の知識不足54%、対象の生活に合わせる方法が分か

らない47%であった。

         考  察

 糖尿病の知識についてのアンケートを行い、A病 院の看護師は、経験年数には関わらず、糖尿病の基 礎的な知識はある事がわかった。また教育ケアの経 験者と未経験者では、日常生活に即した知識に差が

あることが分かった。

 教育ケア経験者の47%が、生活に合わせる方法が 分からないとしている。これは、糖尿病とは生活習

慣病であり、生活習慣とは個々人によって違うもの であるからと考える。谷川らPは、糖尿病教育担当 者の条件として、「患者個々の病態、社会的背景、能 力などに応じた臨機応変な指導ができること」を挙

げている。

 生活と治療が密接に結びつく糖尿病患者にとって、

身近な看護師が、入院生活中の行動をどのように指 導していくかが、その後に影響を与えることになる。

そのため、医学的な知識を生活援助に結びつけるこ とができなくては、ケアの効果は半減する。

 これまで糖尿病看護に関する看護師への教育は、

病態生理や食事療法の考え方、インスリンの効果や 打ち方など医学的な知識を説明することが多かった。

しかし、それでは不適当であることが分かった。

 糖尿病そのものが社会的な問題になっている現在、

当院でも入院患者の約17%が、糖尿病の治療を受け ている。日常生活が治療に結びつく糖尿病患者への ケアを行う時に必要な知識とは、日常生活に医学的 な知識が、どのように当てはまるのかを説明できる

ことであると考える。

         結  論

 A病院の看護師への教育は、経験年数に関わらず、

知識を日常生活に結びつけるような方法を共に考え ていくことが、効果的である。

         引用文献

1)谷川博美、於保美千代:糖尿病センターにおけ   るスタッフ教育。プラクティスvol.8No.3.

 1991.

一19一

(3)

北海道社会保険病院

第7巻 2008

別 表 1

アンケート内容

1.糖尿病には1型と2型があり、2型には遺伝素因が関わっている 2.糖尿病でも尿糖の出ない人もいる

3.糖:尿病の三大合併症は網膜症、腎症、心臓血管障害である。

4.糖質を含む炭水化物の制限が、食事療法の基本である。

5.運動療法の仕方を問違えると、高血糖になることがある。

6.アルコールをとることで、低血糖を招くことがある。

7.インスリンは、一度はじめると、一生止められない 8.食事前に飲まないと効果の無い糖尿病薬がある。

9.食後に打っても効くインスリンがある。

10.運動後の血糖値が50mg/d/であったが、症状が無かったのでそのまま様子を見た。

11.指先穿刺での血糖測定と正中採血での血糖測定では、値の変わることがある。

12.糖尿病で足の切断にいたるのは、下肢血管の塞栓のためである。

13.糖尿病の運動療法は、息切れするほどの強度が効果的である。

14.下記の薬剤について、正しいものを線で結んでください。

   ノボラピッド     食後に飲んでも効果なし    アマリール       食直前に打つ

   ノボリンN      インスリンの分泌を促す    ベイスン       食事に関係なく打つ        食事の30分前に打つ

一20一

参照

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