骨髄移植 の基礎 的研究
Densi t y Gr adi ent に よ る免疫 担 当細胞 の分離 につ いて 金沢大学医学部内科学第 3 講座 ( 主任 :服部絢一教授 )
原 田 実 根
( 昭和 5 0 年 2 月 2 7 日受付 )
本論文 の要 旨は第 3 6 回 日本血液学会総会 ( 昭和 4 9 年 4 月 )において報告 した.
最近数年 間の免疫学 の進歩 はめざま しく.単 な る感 染防禦 とい う古典的 な概念 か ら免疫監視機構 ( I mm‑
unol ogi c als ur ve i l l a nc e ) とい う,よ り包括的 な考 え方 へ と変化 して きている.抗原 に特異 的 に反応 す る 抗体 は血清 中 の免疫 グロブ リンで代 表 され る もの で , 液性抗体 の主 な担 い手であ るが ,これ とは別 に抗原 を 認識 し特異的 にこれ と反応 す る感 作 リ ンパ 球 が 直 接
''e f fe c t orc e l l " と して関与 す る機構が あ り, これ は 細胞性免疫 のひ とっ と して知 られてい る. この e f f e ‑ c t orc e l lにつ いて は,これまでの多 くの優 れた細胞 生物学的研究 によ って ,その起源 ,性質 ,機能 お よび 分化増殖機構 などが明 らか にされつつあ る1 ) 2 ) .さ らに 免疫反応 に関与 す る リンパ球 には,胸腺 の影響 を うけ 主 に細胞性免疫 を担 当す ると考 え られ る胸腺 由来細胞 ( t hymus de r i ve d c e l l ,T c e l l )と,抗体産生 に あずか る骨髄 由来細胞 ( bone mar r ow de r i ve d c e l l ,B c e l l ) に二大別 され ,さ らにマ クロフ ァー ジ が第三 の細胞 と して考 え られてい る3 ) 4 ) . したが って抗 原刺激 を うけた生体 において は.これ ら三種類 の細胞 によって種 々の免疫反応 が遂行 されて い る もの と理解 されてお り,抗原 を認識 し特異 的 に反応 して生体反応 を惹起 し,さ らに免疫 的記憶 にいた る免疫応答 の過程 は細胞 レベルで解析 され るよ うにな って きてい る
5)6)同種移植免疫反応 で は体液性免疫 の関与 よ りは細胞 性免疫 がよ り重要 で ,反応 の主役 を演 ず る免疫担 当細 胞 は T c e l lであ るといわれてい る7 ) 8 ) .また ' t not s e l f " と して認識 され るのは組織適合抗原群 あ る い は 移植抗原群 と呼 ばれ る遺伝的 に決定 された細胞膜上 の 抗原 によ ってであ り7 ) ,拒絶反応 は この抗原 を 認 識 し 増殖分化 した T c e l lによ って惹 き起 され ,主 に そ
の細胞障害性 によって発現 され ると考 え られてい る8 ) 9 ) . しか し補体存在下 での抗体 の細胞障害性 や最近注 目 されている抗体依存性細胞性免疫 ( Ant i body de pe ‑ nde ntc e l トme di a t e d i mmuni t y) 1 0 ) の影響 も予想 さ れてお り,移植免疫 の詳細 な メカニズムにつ い て は , まだ不明 な点が少 な くない.
骨髄移植 は移植 され る gr a f tが形態的 に も機 能 的 に も異 な る数種頬 の単離 した細胞 によ って構 成 さ れ , しか も免疫担 当細胞 およびその前駆細胞 を も含 んでお り,さ らに gr a f tはただ生者 す るだ けで は目的 を達 せず 自己再生 ,分化 および増殖 をお こな って造血 を営 まねばな らぬ点 で他 の臓器移植 とは きわめて臭 ってい る
11) ,同種骨髄移植反応 で は hos t の免 疫 担 当細 胞 が gr a f t の組 織 適 合 抗 原 群 を認 識 して 惹 き起 す hos tve r s us gr a f t r e a c t i on ( HVGR) と, 逆 に gr a f t中の免疫担 当細胞が hos t に対 して反応 す る gr a f tver s us hos tr e a c t i on ( GVHR) の二種 類 の 拒絶反応が理論上生 じうる.骨髄移植 は免疫生物学 の 基礎的研究分野で は欠 くことので きない実験方法 と し て重用 されて きたが , ヒ トにおける本格的 な臨床応用 即 ち造血不全 の治療手段 と して利用 され成功例 が報告 され るよ うにな ったの は, ごく最近 の ことで あ る
12)近年 ヒ ト主要組織適合抗原 ( HL‑ A) につ い て の理 解
が深 ま りまた検索法 が開発 され .一方 hos t の 免 疫
能 を低下 させ る免疫抑制療法 が進歩 した結果 ,腎移植
の豊富 な臨床経験 が示す よ うに HVGR を か な りな
程度 まで コン トロールで きるよ うにな った
13). ヒ ト骨
髄移植 で は 一旦 gr a f tが生者 して も GVHR が 発
現 す ると , hos t は体重減少 ,下痢 , 皮 膚 炎 お よ び
造血 リンパ組織不全 などを主徴 とす る gr a f tver s us
Fundament als t udi es on human bone marr ow t r ans pl ant at i on ;Physi cal s epar at i on
ofi mmunocompet entcel l sf r om bonemarr ow cel l sby densi t ygr adi en t .Mi ne Harada
Thi r d Depar t ment of I nt er nal Medi ci ne ( Di r ect or : Pr o f .K, Hat t or i . ) , School of
Medi ci ne , Kanazawa Uni ver si t y.
骨髄 移植 の基礎的研 究
hos t di s e as e ( GVHD) を招来 して しば しば 死 に 至 ることが知 られて い る
11) . した が っ て GVHR を いか に予 防す るか .あ るい は一 旦生 じた GVHR を いか に軽減 す るか とい うことが . ヒ ト同種骨髄移植 に お け る解決 すべ き重要 な課題 と して残 されて い る. こ れには gr a f t中 よ り免疫 担 当細 胞 を物理 的 に除去 し た り,あ るいは何 らかの生物化学 的処理 をお こな って 免疫 担 当細胞 の機能 を消失 させ る方法 が可能性 と して 考 え られ る.
本論文 で は GVHR の予 防 ない し軽減 す る方法 を兄 い出す ことを目的 と して ,各種濃度 の牛 血清 アル ブ ミ
ン ( bovi ne s er um al bumi n,BSA) 溶液 によ る不 連続密度 勾配遠心法 ( BSA di s cont i nuous de ns i t y gr adi e ntc ent r i f ugat i on,BSA・ DDGC) を利用 して
ヒ ト骨髄細胞 をい くっか の層 に分画 し,得 られた各分 画 につ いて細胞 の種類 や機能 を種 々 の 角 度 か ら検 討
し,一 定の成績 を得 たので報告 す る.
実験材料 およ び実験方法 1. 対象 お よび骨髄細胞採取
当科外来 お よび入院患者 の うち免 疫 学的異 常 を有さ ず ,はば正常 ない しごく軽度 の異常 しか示 さない骨髄 像 を有 す る ものを対象 と した .骨髄穿 刺 は型 の ごと く お こない,ヘパ リン加穿 刺液 を約 2ml 得 た .室温 1‑
2 時 間放置 また は pl a ' s ma gel (再 々蒸留 水 に ge l l a t i n 3g,Ca C l ! ・H
20 0. 2 g,Na CI0. 7 g を加 え 全 量 1 0 0 ml と した もの)を 1ml 加 え混 和後 2 0‑30 分 37 o C 恒温槽 に放 置後 ,赤血球 が 可 及 的 に ま じ ら ず ,かつ有核細胞 に富 む上清 を得 た .必要 に応 じて培 養 液 ( RPMI 1 6 4 0 又 は Mc Coy 5A) あ る い は
2 9 7
HBSS で洗浄遠心 した . 2.BSA‑ DDGC の方法
1 )3 5% s t oc ks ol ut i on の調整
BSA 粉末 ( Fr a c t i on V powder ,Ar mour Ph・
ar ma c e ut i c alCo. ) には浸透圧 に影 響 を 及 ぼ す 程 度 の塩類 が含 まれて い るので , Di c ke
15)の方 法 に準 じ て次 の よ うな浸透圧調整 をお こな った .まず BSA 粉 末 を再 々蒸留水 に溶 か し 1 7. 5% BSA 溶液 を 作 製 し その浸透圧 を os mome t er ( Advanc e Co. ) で 測 定
した .この 1 7. 5% BSA 溶 液 の浸透圧 の 2 倍 の値 ( 35
% BSA 溶液 の浸透圧 ) との和 が 3 7 5 mOs m とな る よ うに浸透圧 を調整 した pH7. 2 の Tr i s ( hydr ox・
yme t hyl )ami no me t hane buf f er を作 製 した . 5 0 g の BSA 粉末 を 9 0 ml の 上 記 Tr i s buf f er に完 全 に溶 か し r e f r a c t ome t er ( At ago Co. ) で r e f r a ct ・ i ve i nde x が 1. 4 0 0 3 にな るまで Tr i s buf f er を 加 えて 3 5% s t oc k s ol ut i on と した .ただ ちに f i1 ‑ t er pa d ( Toyo Ros h i ,0. 4 5 仏 No. 8 5 ) で 加 圧 液 過 して滅 菌 し ‑ 2 0o C で保存 した .
2)Na Cl ‑ PhQS pha t ebuf fer( N‑ Pbuf fer ) の作 製 0. 9 4% の食塩水 9 0 0 ml に 0. 2 M,pH7. 2 の Pho・
s pha t e buf f er お よび再 々蒸留水 をそれぞれ 2 2. 5ml づっ加 え た ものを N‑ P buf f er と した . つ い で オー トク レー ブで滅 菌後浸透圧 が 3 0 0mOs m とな る よ うに調整 した . この N‑ P buf f er で s t oc k s ol ‑ ut i on を稀釈 し 2 9,27.2 5,2 3.1 7% の各濃 度 の BSA 溶液 を作 製 した .
3)Ce nt r i f uga t i on の方 法
各 BSA 溶液 を 5ml の Ni t r a t e c el l ul os e t i ube (2 Ⅹ 1 /2 i nc h,Be c kmann) に 1ml づ っ 比 重 の 重 い
Fi gur e1 Sc hemat i c r e pr e s e nt a t i on ofdi s c ont i nuous dens i t y gr a di e nt c e nt r i f uga t i on ( BSA・ DDGC)
Cell suspension in 17e / i BSA
BSA concentration
I・ ・・ ・・ B }
順序 で気泡 を作 らぬよ うに注意深 く重層 し.さ らに 1 7
% BSA 溶液 に浮遊 させた 1 0 0×1 0
6前後 の骨髄細胞 を 2 3% BSA 溶液 の上 に重 層 した . 遠心 は冷却遠心機
( 富永製作所 ・CG‑1 01 )で 1 0o C I O O O g の条件 で 3 0 分 間行 ない,各濃度 BSA 溶 液 の境 界に生 じた細胞層 を 比重 の軽 い順 に A,B.C.D 分 画および Pe l l e t と し た.得 られた各分 画 細 胞 は必 要 に応 じて HBSS また は培養液 で 2 回洗浄 し. 0. 3%Tr ypa n bl ue を用 い る dye e xcl us i on t e s t で vi a bi l i t y をチ ェ ック した後 ,適 当 な細胞濃度 に調 整 し以下 の実験 に使用 し た. BSA‑ DDGC の 方 法 の概 略 を Fi g . 1に示す .
3. 分画骨髄細胞 の種類 .形態 および機能 1)分画骨髄細胞 の細胞分 布 と形態学的特徴 得 られた各分画 の細胞数 の算定 と共 に Gi ems a 染 色塗沫模本 か ら各分画骨髄細胞 の光顕的形態分頬 を行 な った.
2)Phyt ohemaggl ut i ni n ( PHA) お よ び Poke‑
wee dmi t oge n( PWM) に対す る i nvi t r o 反 応 性
ヒ トにおいて は T c el ls t i mul a nt の ひ とつ と考 え られてい る PHA と ,T c e l l ,Bc el l 両方 を 刺 激 す るといわれてい る PWM に対す る反応性 を滝 口 ら
15)の 方 法 に よって検討 した .まず各分画細胞 1×1 0
6個 を自己血 祭 10% と抗 生 物 質 ( PC I O O uノm l ,SM I O O 〟g / ml ) を加 えた RPMI1 6 4 0 培養液 ( GI BCO)2 ml とともに培養試験管 に入 れ , PHA‑ P ( Di f co) の 場合 は 2〟1 , PWM ( Di f c o) の場合 は 2 0 〟 1 を添加 し.
それぞれ 7 2 時間および 9 6 時 間 3 7 o C にて 5% CO!
i nai r.1 0 0% 湿度 の条件下 で培養 した .培養終了 前 2 4 時間 に於 いて 1〟Ci の 3 H‑ Thymi di ne( Amer s ham, Spe c.Ac t . 5Ci / mmol ) を 各 試 験 管 に 加 え た . 培養終 了後 0. 8 5% の冷食塩水 を 加 え て 2 回 1 5 00 rpm. 1 0 分 間遠心洗浄 し. っ いで 2 回 1800rpm に て 5% TCA ( Tr i chl or o a c e t i c a ci d) で遠心洗浄 し,
さ らに 1 回 メ タノールを加 えて遠心 した .沈連 を乾燥 させた後 . 0. 25ml の Hydr oxi de of Hyami ne 1 0 ‑ Ⅹ ( Pa c kar d Co. ) を加 え 5 6o C.6 0 分恒温槽 にて i nc uba t e 後 . シンチ レー ション液 ( Tol uene ll に POP 5 g,POPOP 1 0 0 mg を 溶 か した もの) を 1 0 ml づっ加 えて 3 H・ Thymi di ne の取 り込 み即 ち芽球 化 した リンパ球 の DNA 合成 を 串% TCA 不 溶 性 3 H‑ Thymi di ne 量 と して液体 シンチ レー シ ョ ン カ ウ
ンターで活性 を測定 した.培養 はいずれ も dupl i c a ‑ t e で行 い誤差 が 1 0% 以 内 にな るよ うに し, そ れ以 上 の ものは除外 した .
3)Al l oa nt i ge n に対す る反応性
a l l oa nt i ge n と しては Conr ay‑ Fi col l法
16)に よ っ て分離 した正 常 健 康 人 末 梢 血 リ ンパ 球 を もち い て Ba c h ら1 7 )の方 法 を修 正 して 各 分 画 骨 髄 細 胞 との one wa y mi xe d l e ukocyt e cul t ur e ( MLC) を 行 なった.まず s t i mul a ntc el lと して 1. 5×1 0
6/ 0. 2 5 ml の各 分 画骨髄 細 胞 および末梢血 リ ンパ 球 を培 養 試験管 に入 れ ,これに 5 0 〝g / 0. 1 ml の Mi t omyci nc ( 三共製薬 ,MMC) を含 む RPMI1 6 4 0 培養 液 を加 え 混和後 . 3 7 o C,3 0 分間 i nc dba t e L.つ いで冷 して おいた培養液 を加 え て 2 回 遠 心 洗 浄 した . これ に r es pondi ng c e l lと して各分画細胞 1×1 0
6を 2) と 同 じ培養液 2ml とともに加 え ,2) と同様 の条件 で 7 日間培養 した.培養終了 2 4 時間前 1〟Ci の 3 H・ Thy・
mi di ne を 加 え培養終了後 ,2) と同様 の処理 を行 な って 5% TCA 不溶性 3 H・ Thymi di ne 量 と して 活 性 を測定 した .
4 ) 羊赤血球 ロゼ ッ ト形成性 リンパ球
ヒ トで は T c el lのマーカーといわれ る羊赤血球 と s pont a ne ous r os e t t e を形成 す る リンパ球 Ros ‑ e t t e f or mi ng c el l( RFC) につ いて .矢 田 ら
18)の方 法 に従 って検討 した . HBSS で 3 回洗 浄 後 , 牛 胎 児 血清 ( FCS) 中 に 5×1 0
6/ ml の細胞濃度 に調 整 した 各分画細胞浮遊液 0. 1 ml と FCS に 1×
10
8/ ml と なるよ うに した羊赤血球浮遊液 0. 1 ml とを小試 験 管 に とり, 混和液 3 7 o C にて 1 5 分間 i ncuba t e 後 , 100 0r pm,5 分間遠心 し,さ らに O o C の 水 浴 中 で 1 時間以上反応 させた.反応終了後毛細管 ピペ ッ トを も ちいてゆるやか に再浮遊 させ ,その一部 を血球計算盤 に入 れ 4 0 0 倍 で検鏡 した. 2 5 0 個以上 の各分画細胞 につ いて 2 個以上 の羊赤血球 と結合 して い る リンパ球 を陽 性 と して陽性率 を計算 した.また別 に作製 しておいた 各分画骨髄細胞 の Gi e ms a 染色塗抹標本 よ り, リン パ球 の百分率 を求 めてお き.各分画骨髄細胞 に含 まれ る リンパ球中 に占め る RFC の割合 いを間接的 に求 め た.対照 と しては Conr a y‑ Fi col l法 で 分 離 した正 常健康人 の末梢血 リンパ球 の RFC を用 いた.
5)Col on yf or mi ngc el li ncul t ur e( CFC・ C) i nvi t r o での造血能 を測定 す るひ とつの 指 標 と し て ,軟寒天培地上 に形成 され る精粗球 コロニーを各分 画骨髄分画細胞 について , Pi ke ら
19)の 方 法 を 用 い て検討 した .まず コロニーの発育 に不可欠 な col ony s t i mul a t i ng f a c t or ( CSF) を 産生 す る f e e der l ayer を作製 した.健康正常人 よ りヘパ リン加血液約 1 0 ml を試験管 に とり室温 で 1‑2 時 間放置後 ,毛 緬 管 ピペ ッ トで l eukoc yt e r i c h pl as ma を得 た.
Mc Coy 5A me di um ( GI BCO) に FCS 1 5% と .
骨髄移植 の基礎的研究
種 々の ア ミノ酸 や ビタ ミン頬 を Pi ke らの処 方 に従 が って添加 した ものを培養液 と して用 いた .この培養 液 を前 もって 37 o C に加温 してお き. こ れ に沸 と う後 完全 に溶解 した 5% 寒 天 ( Ba c t o・ Agar ,Di f c o) 杏 9:1 ( 最終濃度 0. 5%) で加 え 4 0o C にな る ま で 冷 し た後 ,先 に得 た I eukocyt e r i c h pl as ma を 1×
1 0
6/ ml の濃度 にな るよ うに加 えよ く混和 した . 混 和 後 ただちに この細胞浮遊液 を 1 ml づっ 3 5 mm Pe t r i ・
di s h ( Fal c t ) n ♯1 0 0 8 ) に分注 し室温 にて ゲル化 さ せた ものを f e e derl ayer と した . f e ederl ayer は 37 o C,1 0% CO2i n a i r ,1 0 0% 湿 度 の 条 件 に した i ncuba t or に保存 し,作製後一週 間以 内 に使 用 す る よ うに した.一方 over l ayer ・ も f e e der l ayer 作 製 の場合 と同 じ要領 で行 な った .寒天 を最終濃度 0. 3
% になるよ うに培養硬 に加 え .さ らに培養 液 で 3 回 洗浄 した各分画骨髄細胞 を 2 ×1 0
5/ ml の濃度 になる よ うに加 え , こ れ を 上 記 f e e der l a yer の上 に c r ver l a yer と して 1ml づっ重層 しゲル化 す るまで 室 温 に放置 した.以上 の操作 はすべ て 無 菌 下 に 行 な っ た .つ いで di s h を上記 と同 じ条 件 の i ncuba t or に移 し 1 2 ‑1 4 日間培養 した.培養終了後倒立 顕 微 鏡 で 観察 し,軟寒天層 に形成 された 4 0 個以上 の細胞か らな
る コロニー数 を算定 した.
実 .験 成 績
1 .分画骨髄細胞 の細胞分布 と形態学的特徴 得 られた ヒ ト骨髄細胞 の各分画 におけ る細胞数分布 は 1 0 例 の平均値 と して示す と Fi g. 2 の よ うに な り , A 分画 に最 も少 な く常 に 1 0% 以下 ,B 分画 は 1 0 ‑2 0% , C お よび D 分画 は最 も多 く 4 0% 前後 であ っ た . 穿 刺 液量が約 2ml と比較的多 くかな り末 梢 血 の 混 入 が 避 け られないために ,P 分画 におけ る細胞数 は ど の 程 度末梢血が混入 す るか によ って変動 が大 きか った , P 分画 を含 めた回収率 は BSA・ DDGC を行 な う際 17
% BSA 溶液 に浮遊 させた全骨髄細胞数 の約 6 0 ‑7 0%
であ っ た . Gi e ms a 染 色 所 見 に つ い て は Fi g. 3 に,また 5 例 につ いての各分画骨髄細胞 の百 分率 は平 均値 と標準偏 差 を Tabl e lに示 した . Fi g.3 A と 3 B か ら明 らか なよ うに A,B 分画 には赤 芽球 系 ,頼粒 球系 ともに大型芽球様細胞 が多数 を占めた .一 方 C分 画 は Fi g.3 C に示 す よ うに大型 芽球 様 細 胞 は減 少 し骨髄球以下 のやや成熟 した好中球 が増加 .また リン パ球 も 1 0% 前後 み られ た . つ い で D 分 画 に は Fi g.
3 D に示 す ごと く小 リンパ球 が集中 して分布 し.頬 粒 球 も後骨髄球以下 の成熟 した ものが 多 く見 られ た . Pel l e t は遠心操作 によ り破壊 された細 胞 が 多 く分 頬
2 9 9
不可能 な ものが約 2 0% を占め .主体 をなすの は成熟 好中球 で ,その他 .好酸球 が集中的 に分布 し リンパ球 も散見 された.多染性正球 性 赤 芽 球 はどの分画 に も 20% 前後分布 し,巨核球 は A,B 分画 ,形質細 胞 は C.
D 分画 ,単球 は特 に一定 の傾向 を示 さなか った . 2.PHA お よび PWM に対す る i nvi tro 反 応 性
Mi t oge n を加 えた場合 と加 えなか った場合 の 3 H・
Thymi di ne の取 り込 みの比 を I ndex ofs t i mul a ・ t i on ( LS. ) と して表す と. PHA に対 して D 分 画 は A.
B および C 分画 に比較 し最 もよ く反応 し, I . S. は常 に 1 . 1 以上 の値 を示 した .また C 分画 も Ⅰ . S. が 1.1 以 上 の 値 を示 す場合 があ ったが . A,B 分画 は常 に 1 . 0 以下 で あ って PHA は cyt ot 占立i c に働 い た . Tabl e 2 に代表的 な場合 を示 したが .PHA 非添加 で B,C 分 画 細胞 が高 い ba c kgr ound 値 を示 したの は , こ の 分 画 に DNA 合成 を行 な って いる細胞 が 多 い た め と思 われ る.一方 PWM に対 しては各分 画 の反 応 は一 定 の傾向 を示 さなか ったが , Ta bl e3 および Fi g. 4 に示す よ うに LS. が 1 . 0 以上 にな る場合 が多 か った .
3.Al l oant i gen に対 す る反応性
リンパ球 によ って規定 され る組織適合抗原 ( Lym・
phoc yt e def ine d de t er mi na nt s ) の 最 も信 頼 で き る検査法 であ るといわれてい る MLC に よ って 骨 髄 リンパ球 の T c el l 機能 を検討 す る と , Tabl e 4
Fi gur e2 Di s t r i but i on pr of il eofhuman bone mar r ow c el l s f r a c t i onat e d by BSA‑ DDGC
s
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F‑ o
lua 3 J a d
8
Ta bl e1 Mor phol ogi c a ldi f f e r e nt i a t i on off r a c t i ona t e d huma n bone mar r ow c e l l s
Fr ac t i on
A B ′ C D P
e l l e t Er yt Pr Mac hr oe obl r t yb o. as 吉a l . t s . 1. 1 8±0. . 8±0. 2 4 0. 3 土0. 2 8 0. 1 土0. 21 0. 1 4 3 (+) 土0. 2 4 8. 5±6.
01 2. 1 土1. 6 0 Mac r o. Pol y.
Mac r o. Or t h.
Nom o. Bas . 5. 3 . 1±2. 4±0. ll 97 2. 0. 0±0. 8±0. 51 2 4 0.
8±0. 47 0. 7土0. 87 Nom o. Nom o. Or Pol t y. h.
Mi t os i s
Gr Mye anul l oc ob yt l . e s 2 3. 0. 8. 3 3±0. 8 土3. 土0. 7 2 7 4 4 4 2 7. 0. 7二 5 3±0, o±1. ±1 . 1 2 57 23. 0 4 0. 3±6 1±0. . 46 2 0 1 4
. 9±6. (+) 6 8 1. 4 土1. 3 9 Ne ut r . Pr om, 2 9. 1 士4.
03 3 6. 5±3. ll 7° . 3±3. 52 Ne ut r . Mye l . 1 2. 3±1, 7 4 l l.
3±3. 1 4 27. 7±1 7. 92l l. 7±5. 2 4 Ne ut r . Me t . 7. 0±0. 48 6. 3±3.
1 4 l l. 0±3. 6 9 21. 8±4. 2 9 1 2, 6±5 ∴47 Ne ut r . St . 0. 8±0 . 43
0. 6±0. 57 8. 2±4. 3 9 1 8 . 4土3. 8 4 2 7. 6±5. 93 Ne ut r . Se g. 0.
7±0. 2 6 0 . 4土0. 2 6 2. 8 土2. 47 4. 3±2. 47 1 7. 7±3. 83 Eos i n. 1. 5±0. (+) 31 0. 1. 4±0, 3±0, 2 21 0. 4 5±0. 3 8 1. 8 ±1. 2 4 4. 1. 6 2 ±1. 土1. 6 51 0
Bas ophi l (+) 1
. 4 ±1 . 71 Monoc yt e s
Lymphoc Lar ge yt e s 2. 8±1.
91 1. 9±0. 6 0
1. 8±0. 2 4 2. 0±0. 7 9 2. 8±1. 01 2. 9±2. 0 8 1. 7 ±1. 62 Smal l
0. 9±0. (+) 31 0. 8±0. (+) 77 1 0. 3±3. 79 21. 2±4. 86 5.
2 ±1. 88 2 2. 7±9. 7 4 Pl as mac e l l
Me gakar yoc yt e s 1. 4±0. (+) 3 4 1. 6±0. (+) 6 4 Uncl as s i f i e d 1. 7士0
. 73 1. 3±0. 7 4
Ta bl e2 PHAs t i mul a t i onoff r a c t i ona t e dhuma nbon em
a r r ow c e l l s Fr ac t i on 3 H‑ TdR upt akei n 3 day
sc ul t ur e( c pm) Wi t houtPHA wi t hPHA Ⅰ .
S.
*A 491 95 1 3 6
76 0. 2 8
B 1 1 081 4 3 9022 0. 3
5
C 211 5 77 432 02 0. 2
D 3 66 72 61 3 5 4 1. 67 0
P
骨髄移植 の基礎的研究
Ta bl e3 PWM s t i mul a t i on off r a c t i ona t e d huma n bone mar r ow c e l l s
Fr ac t i on 3 H‑ TdR upt akei n4daysc ul t ur e( c pm) Wi t houtPWM wi t h PWM I .
S. + A 3 5 7 9 4 42 8 8
1 1. 2 0
B 91 1 2 4
5 5 9 5 7 0. 61
C 1 8 4 8
3 0 41 92 6 0. 2 3
D 3 03 5 0 3 751 1 1.
2 4
P 82 3 8 1 1 85 8 1. 4 4
*
LS.:I nde x・ ofSt i mul a t i on ‑ c c pm i n c ul t ur e wi t h PWM
pm i n c ul t ur e wi t houtPWM Ta bl e4 0ne wa y mi xe d c ul t ur e o
f f r a c t i ona t e d huma n bone mar r ow c el l s a s r e s ponder a nd per i pher a l bl ood
l ymphoc yt e s a s s t i mul a nt
Fr ac t i on 3 H‑ Td R upt akei n7daysc ul t ur e( c pm) Synge nei c Al l o
gene i c Ⅰ . S
一AB 4 7 9 8 5 0 7 0 1.
1
C 55 96 4 921 0
. 9
D 1 09 4 2 73 3 2. 5
P 〔 1 2 4〕 〔 82 4〕 〔 6. 6〕
* I ndexofs t i mul a t i on ‑ c pm i nc ul t ur eofal l oge ne i c c omb i na t i on c pm i n c ul t ur e ofs yng
e ne i c c ombi na t i on に示 され るよ うにや . D
分画 は Ⅰ . S.2. 5 と高 値 を 示 し 常 に 1. 5 以上 の値
であ った. したが って D 分画 は al 1 ‑ oa nt i ge
n であ る MMC 処理末梢血 リ ンパ 球 を 認 識 しうる リンパ球即 ち T c e
l lに富 む分画であ る こ と がわか る. 3 H‑ Thym
i di ne の取 り込 ' みが ba c kgr o・
und において
か な り低下 してい るの は PHA や PWM の場合 に くらべ .培養期 間が長
い こと に よ る と考 え られ る. 以上 mi t oge n
と al l oa nt i ge n に対す る反 応 性 を それぞれ 4 例
について検討 した結果 を平均値 と して図 示 す ると Fi g . 4 の ごと くな り .D
分画が PHA お よ び a l l o
a nt i ge n に高 い反応性 を示 してい ることは明 らかであ る. 4
.羊赤血球 ロゼ ッ ト形成性細胞 羊赤血球 と s pont a ne o
us r os e t t e を形成 す る リ
ンパ球 は A.B 分画 にはほとん ど認 め られな い が , 6 例 の検討 で は Fi g. 5 に示 3 01 す よ うに C. D 分画 には そ れ ぞれ 6. 9±3. 6 %
, 1 4. 6±6. 4% とな り, D 分 画 に RFC が最 も
多 く観察 された .さ らに D 分画 につい て 骨 髄 リンパ球 中の RFC
を間接的 に求 め ると. 5 7. 2±
l l. 4% とな り
. 3 0 例 の健康正常人 で得 られた成績 5 2. 5
±7. 3% とほぼ同様 の値 を示 した . した が って D 分
画 に含 まれ る リンパ球 に も末梢血 リンパ球 とはぼ同程 度 の RFC が存在 す ることが明 らか と
な った . 5.Col onyf or mi ngc el l
i nc ul t ur e( CFC‑ C) 各分 画 に
つ いて 2×1 0
5個 の骨髄細胞 あた りの CF‑
C・ c 数
を 4 枚 のプ レー トの平均値 と標 準 偏 差 で 表 わ す と,代表的 な
場合 は Fi g. 6 の ごと くな り . A 分 画 は 2 3 9±2
8 と最 も高値 を示 し B,C 分 画 が これ に つ
ぎ.D 分
画 は最 も低 く常 に末分画 の場合 よ り低値 を 示
した .A 分画の CFC‑
Fi gur e4 Re s pons e off r a c t i ona t e d human bone mar r ow c el l s t o PHA,PWM a nd al l oant i ge n
.HいL
uO
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8 Fr acti on C D
*
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Fr a c t i onD l ymphoc yt e
・* PBL:Per i pher albl oodl ymphocyt e
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el li n c ul t ur e ( CFC・ C)Off r a c t i nat e dhuma nbonemar r ow c el l
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Fr acti on
* A vs B,C,
DandUF;P<0.05 (Mann‑WhitneyUtes
t)** UF:Unfractionatedbonemarrowcells Figu re7Ratio ofpl a t i ng ef nc i e n
c y off r a c ・ t i ona t e d a nd
unf r a c t i ona t e d huma n bone ma ‑ r r ot
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J
4A B Fr acti on C D
* Rat i o ofpl a t
骨髄移植 の基 礎的研究
U t es t ) , 4 例 につ いて行 った検討 で もほぼ 同 様 の 傾 向 がみ られ た.さ らに末分 画 の場 合 の CFC‑ c 数 の 平均値 と各分 画骨髄細胞中 の CFC・ c 数 の平均値 と の 比 を Rat i o ofpl a t i ng ef nci ency と して 表 わ す と .Fi g. 7 の よ うに A 分画 は 2. 4 ‑5. 8 倍 ,B 分 画 は 1. 8 ‑4. 8 倍 と高値 を示 したが ,C 分 画 は高 々 2 倍 ま で で D 分 画 は常 に 1. 0 以下 であ った .即 ち CFC・ C は A , B 分 画 に集 中 し,と くに A 分 画 にその ピー クが 認 め ら れ ,C,D 分画 は CFC‑ C には乏 しか った . ヒ トの 頼 粒球 コロニ ーはその形態 的 特徴 によ っ て , 好 中 球 コ
ロ ニー とマ クロフ ァー ジコロニー とに区別 され るが , Fi g. 8 にその 1例 を示 した .
考 零
1.BSA‑ DDGC につ いて
血液 ない し造血臓 器 か ら血液細 胞 を分離 また は分 画 す る方法 には種 々の ものが考 案 されて い るが ,大別 す ると細胞 の容積 や大 きさの差 と,比重 の差 を利用 す る ものにわ け られ る.比 重差 を利用 す る細 胞 分 画 法 に は,連続的密度 勾配 で行 な うもの と非連続 な もの とが あ り,密度 勾配 に使用 され る溶媒 と して は BSA の他 に Fi co l l ,ア ラ ビア ゴム . Gl ycogen な ど が よ く 知 られてい る
20).BSA はまず末 梢血液 よ り 白 血 球 を 分離 した り
21 ) ,赤血球 を分画 す るの に利用 され たが
22),BSA 溶液 の濃度 を比 を変 え ることによ って 末 梢 血 か ら額粒球 と リンパ球 を分離 す ること も試 み られ ,低 比 重層 に 9 0 ‑9 6% の リンパ球 ,高比 重層 に 93 ‑9 5% の 頬粒球 を含 む とい う分離成績 が報告 され た
23),さ ら に 技術的改良 が重 ね られ , Shor t man 2 4 )は全 血 で な く, あ らか じめ赤血球 を除去 した buf f y coat を BSA 浮遊液 と して重層 す る方 が ,細 胞 の s t r e ami ng が 起 らず濃度 勾配 も乱 れず c el laggr egat i on が減 少 し分離精度 が向上 す る点 で有利 で あ ると述 べ て い る . Di cke
14)は BSA・ DDGC に影響 を及 ぼ す 諸 因 子 を ひ とっ ひ とっ厳重 にチ ェ ック して高 い再現性 を得 る こと に努 めてい る.その主 な ものを列挙 す ると次 の ごと く であ る. 1 ) pH ;s t ock s ol ut i on の pH は 5. 3 が最 も細胞分離 が良好 で 7. 2 にな ると dens i t yequト l i br i um が底 部 に移 り,細 胞 が 高 比 重 域 に 集 中 す る.また この pH で は と くに明 らか な細 胞 障 害性 は 見 られ なか った . 2) BSA の濃 度 ; BSA 濃 度 が 溶 液 の比 重 を決定 し,わずか な濃度誤差 で も分 画 され た 細胞 の分布 が異 な って くるので . と くに重要 で あ る . BSA 濃度 と r ef r a ct i ve i ndex は各種濃度 の BSA
標準溶液 の e xt r apol at i on に よ る分析 か ら直 碍 関 係 にあ ることが明 らか に されて い るので .2 0% 以 上
3 0 3
の枯 楯 な BSA 溶液 の正確 な濃 度 は r ef r a ct omet r y を行 な って r e f r act i ve i ndex に よ って決定 さ れ る 必要 が あ る.また比 重 を直接測定 す る こと も高粘度 の ため困難 であ るが , pyknome t r y に よ って測定 す る ことがで きる.た とえば 3 5% BSA 溶 液 の比重 は 1 . 1 0 0 4 ± 0. 0 01,27% で は 1. 07 8 0±0. 0 0 1で あ る こ と が確 かめ られて い る.3)浸透圧 ;高浸 透圧 で は細 胞 は収縮 し低浸透圧 で は膨張 す ることはよ く知 られて い る. したが って浸透圧 は分 画 され る細 胞分布 に重大 な 影響 を及 ぼ し,細 胞 は高浸透圧 で は高比 重域 に ,低 浸 透圧 で は低 比重域 に集中 して分布 す る結 果 を招 く.さ らに使用 す る BSA 粉末 に も少 量 の塩類 が含 まれ るの で ,新 しい l ot ごとに浸透圧 を測定 し, そ の 結 果 に あわせて Tr i s buf fer の浸透圧 も調整 しな け れ ば な らない. BSA に含 まれ る塩類 を イオ ン交 換 樹 脂 に よ って除去 す る方法
25)もあ るが ,本実験 で行 な った浸 透圧調整法 で も.分 画細胞 の機能 を明 らか にす る上 で は問題 な く再現性 も十分 で あ った .その他 分 画 すべ き 細胞数 ,温度 お よび遠心 力 な ど も少 なか らず影響 を及 ぼす といわれ る. 、一方 あ る分 画 を再 び BSA‑ DDGC によ って分 画 す る r ef ac t i onat i on を行 な え ば , よ り純粋 な分 画が得 られ る. BSA 溶 液 は 35% 溶 液 ( Pent ex Co. ) と して市販 されて い る もの もあ り . こ れを用 いて胸腺細胞
26)や肺細 胞2 7 )な どの het er ogen・
ei t y を明 らか に した報告 もあ るが .l ot ご と に 品 質 が一定 で ないので正確 を期 す る実験 には同一 l ot の ものを使用 す る必要 があ るといわれて い る.骨髄細 胞 の よ うに形態 的機 能 的 に異 な る多種類 の細 胞 によ って 構 成 されて い る場合 に は,よ り再現性 の高 い分 画法 が 望 まれ る.しか しなが ら Tabl e lよ り明 らか な ご と く,あ る一種 の細胞 を純粋 に集 め る ことは ,骨髄細 胞 の場合 は困難 で隣接 す る各分 画 間 で over l ap す る ことは避 け られない .即 ち骨髄 リンパ球 と同 じ比 重 を 有 す る頼粒球 や赤芽球 が混在 す る. しか し細 胞 を集 団 と して分析 す る研究手段 と して は, この BSA‑ DDGC
は有用 で あ り, と くに多種 類 の細 胞 か らな る骨 髄 細 胞 の分画 には適 して い ると思 われ る .高分子多糖体 ポ
リマーで あ る Fi col lが最 近頻 用 さ れ て い る が
28)廉価 であ り高濃度 で も浸透圧 に影響 を与 え な い こ と . 毒性 が な く高圧滅 菌可能 な ことな どが有利 な点 で あ ろ
う. しか し骨髄細 胞 によ る検討 で は ,BSA に く らべ 回収率 がか な り低 下 す る成績 を得 て い る.
2 .骨髄 リンパ球 の T c el l機 能
同種骨 髄移植 にお いて生 じる GVHR は donor ‑
r e ci pi ent 間 の組 織適合性 の差 によ って 重 症 度
29)が,
また gr a f t中 に含 ま れ る免 疫 適 格 細 胞 と く に T
c el lの量的 な差 によ って発現時期
11)が 決 定 さ れ る と い う.従 が って GVHR を解析 す るには骨髄 リンパ球 の T c el l機能 を量的 お よび質的 に検討 す るこ と が 不可欠 で あ る.骨髄 リンパ球 の起源 ,分化 お よび機能 につ いて ,現在 まで に得 られて い る知 見 を主 に実験動 物 にお け る成績 か ら要約 す ると ,1 )骨髄 リ ンパ 球 は マ ウス
30), ラ ッ ト
31),モルモ ッ ト
32)L な どの実 験 動 物 で 総有核細胞数 の約 2 0 ‑ 2 5 % を占め , ヒ トで は 15%
前後
33) 3 4 )といわれ る. 2) Aut or a di ogr a phy を利用 した骨髄 リンパ球 の c yt oki ne t i c s の研究
35)や 染 色 体 マー カーを使 った リンパ球 の分化増殖 に関 す る研究
36)
などよ り,骨髄 リンパ球 は骨髄 で産生 され る .い い かえれば他 の血球 と同 じ幹細 胞 か ら分化 す る もの と一 応考 え られて い る.3)骨髄 リンパ球 は形態 的 に は大 部分 を占め る小 リンパ球 と比較的大型 の I ar ge l ym・
phoi d c el l あ るいは t r a ns i t i onalc el l に 区 別 され .後者 は小 リンパ球 の pr e c ur s or c el lと考 え られて い る3 7 ) .4)小 リンパ球 は l i f e s pa n の 長 短 によ り s hor t ・ l i ve d の もの と l or l g・ l i ve d の もの に分 け られ るが ,骨髄小 リンパ球 は大部分 が s hor ト
・ l i ve d で , l ong‑ 1 i ve d の もの は ご く少 な い と い わ れてい る
38).従 が って骨髄 に も T c el l と考 え られ る.い わ ゆ る l ong・ l i ve d,r e ci r cul a t i ng and s ma l ll ymphoc yt e と区別 で きない リンパ 球 が存在 す る もの と思 われ る.5)骨髄 リンパ球 の免疫 学 的 機 能 につ いての詳細 はまだ不明 で あ るが . この方 面 につ い ての報告 が最近 は多 い .細胞 表面 に免疫 グロブ リンを 有 す る リシバ球 が多数 み られ ること
39),抗体産生 前 駆 細胞 の存在 が 確 か め られ て い る こ と
40). 一 方 i n vi t r o で PHA 反応性 を示 し MLC に お い て 活 性 を 示 す こと
41)42),さ らに GVHR を起 しうること
43)44)吃 どの事実 か ら.骨髄 リンパ球 には Bc el lお よび T c el lとい う機能的 に異 な る少 くと も 2 種 の リ ンパ 球 の popul at i on が存在 す ると考 え られて い る.
細胞分 画法 によ って骨髄 リンパ球 の機能 を検討 した 成績 が い くつか報告 されて い る. ま ず Di c ke ら
41)は細胞構成 が ヒ ト骨髄 とよ く似 て い るマ ウス肺細 胞 を BSA・ DDGC によ って分画 し造血能 は肺 コロニー 法 . GVHR は s pl e e n we i ghta s s a y 法 を用 い て 検 討
した結果 .造血能 に富む 分 画 とは異 な る分 画 に GVHR が み ら れ る ことを報告 す るとと もに , ヒ トお よ び サルにお いて PHA に i n vi t r o で 反 応 す る T c el lが マ ウスにおいて は GVHR 陽性 の 分 画 と ほ ぼ 同 じ de ns i t y を有 す ることを明 らか に した . Phi レ l i ps ら
43)は細胞 の容積 .大 きさお よび細 胞 表 面 性 質 の差 を利用 した細胞 分画法 セ あ る vel os i t y s edi m・
e nt a t i on によ って マ ウス骨髄細胞 を造血能 に 富 む 分 画 と GVHR を起 す分画 にそれぞ れ分離 しうる ことを 明 らか に した.同 じ方法 を用 いて マ ウスお よび ヒ トの 骨髄細胞 を分画 し. i n vi t r o で PHA に反応 し MLC に お い て 活 性 を 示 す細胞集団 はほ とん ど小 リ ンパ 球 か らな り ,CFC・ S や CFC‑ C とは異 な る s edi me ・ nt i ng r a t e を示 す成績1 2 )も得 られ て い る . さ らに Bur l e s on ら
44)は BSAI DDGC によ っ て マ ウ ス骨 髄 リンパ球 の T c el l機能 を GVH 活性 を指 棟 と して 検討 した結果 GVH 活性 を示 す細胞 は高 比 重 域 に 分 布 し.この分画 を構成 す る リンパ球 は形態 的機能 的 に いわゆ る l ong・ l i ve d,s mal ll ymphocyt e と判 別 で きない と主張 してい る.また ラ ッ ト骨髄 リンパ球 に も GVH 活性 のあ る ことが明 らか に されて い る
45).著者 ら
46)も BSA・ DDGC によ って マ ウス骨 髄 リ ンパ 球 の T c el l機能 を検討 した結果 .小 リンパ球 に富 む 高比重域分画 は i n vi t r o で PHA に反応 し. MLC
で活性 を示 し.さ らに GVHR を 惹 起 ̀ し う る即 ち T c el l機能 を有 す ることを報告 したが . この際 行 な った ,最 も信頼 で きる T c el lの マー カ ー で あ る ∂ 抗原 によ る骨髄細胞 の検索 で は , ∂抗原 陽性 リ ンパ 球 は従来 の報告
47)48)と同様 に ごくわずか しか証 明 さ れ な か った .一般的 には T c el lは骨髄 において前 駆 細 胞 よ り分化増殖 して胸腺 に移行 し,胸腺 の影響 を うけ て さ らに分化成熟 して T c el lと しての機能 を 獲 得 し.末 梢 リ ンパ 組 織 に 出 て い わ ゆ る l ong・ l i ve d.
r e ci r c ul a t i ng,s mal ll ymphoc yt e にな る もの と理
解 されて い る.骨髄. にβ抗原 陽性 リンパ球 が ほ と ん ど
証 明 されない ことは既 に述 べ たが ,一方細 胞表面 に免
埼 グロブ リンを証 明で きない リンパ球 が 5 0 % 以上存
在 す るとい う報告 もあ る
39).この点 につ いて は骨 髄 で
産生 され た リンパ球 が ,その まま骨髄 内で成熟 L T
c e l l機能 を持 っ に至 った とす る可能性 と r e ci r c ul a ・
t i ng,s mal ll ymphocyt e が さ らに成熟 し骨 髄 内 に
移 行 した とす る可能性 のふ たっが考 え られ る.いいか
えれば pr e t hymi cT c el lか pos t t hymi cT c el l
か1 9 )とい う問題 で あ るが , Komur o ら
50)は骨髄 リ ン
パ球 に胸腺 よ り抽 出 した ホルモ ン様物 質 ( Thymos i n)
を 作 用 さ せ ると . β抗原 陽性細 胞 が出現 す るとい う
注 目 す べ き報 告 を して い る . 一 方 Cl ama n
引) は
nude mous e の骨髄 リンパ球 が PHA お よび ConA
に反応 しなか った ことよ り.骨 髄 の T c el l も胸
腺依存性 で あ ると述 べて い る. この よ うに骨髄 リンパ
球 の免疫学 的機能 や l i f e hi s t or y につ い て は次 第
に明 らか に されて きて い るが , ヒ ト骨髄 リンパ球 につ
いて は技術的困難性 や末 梢血 リンパ球 の混入 が避 け ら
骨髄移植 の基礎的研究
れ ない ことなどよ り.まだ十分 な知 見 が得 られて いな い.骨髄移植 で実 際 に gr a f tと して用 い られ るの は 骨髄穿刺液 であ るか ら,その免疫 学的機能 や造 血能 を 検討 す ることは重要 で あ る.本実験 で得 られ た成績 か ら明 らかな よ うに ,骨髄穿 刺液中 の リンパ球 につ いて も実験動物 の場合 とはぼ同様 の成績 が得 られ た . ヒ ト にお け る T c e l lの マーカーと して は 5 2 ) 5 3 ) , 蛍 光 抗 体法 で証明 され る リンパ球 原形質 の HTL 抗原 ( hu一 ma n t hymus l ymphoi d t i s s ue a nt i ge n) , ヒ ツ ジ 赤血球 との ロゼ ッ ト形成性 , i n vi t r o で PHA や ConA のよ うな非特異 的 mi t oge n や MLC に お け る a l l oa nt i ge n などの特異 的抗原刺激 に対 す る反 応性 ,さ らに芽球化 した T c e l lか ら放 出 され る生 物学 的活性 因子 ( l ymphoki ne ) の直接 ない し間接 的 測定 などが利用 されて い る.勿論病 的状態 で は , これ らの マーカ‑は必 ず しも厳密 な意 味 で は T c e l l の マーカーと して使用 で き な い場 合 もあ り う る . i n vi t r o PHA 反応性 は Ta bl e 2 ,Fi g.4 に 示 さ れ るよ うに D 分 画 のみが常 に Ⅰ . S. 1 . 1 以上 とな り ,D 分 画 は T c e l l機能 を保 持 して い る ことが わか る. 一 方 C 分 画 に も D 分 画 の約 1 / 2 の リンパ球 が見 られ ,PHA
反応性 も LS. の平均値 で示 す と 1. 0 以下 で は あ る が 1 . 1 以上 の場合 もあ り,また A,B 分画 よ り高値 を
示 す傾 向がみ られた . これ は, この分 画 に は頬粒球 が 多数混在 し リンパ球 が量的 に少 ないために ,芽球化 し て DNA 合成 を 行 な う リ ンパ 球 の 3 HI Thymi di ne 取 り込 みの増加 と して は認 め られ なか った もの と考 え
られ る.末梢血 リンパ球 を a l l oa nt i ge n とす る one wa y MLC に お い て も Fi g. 4 Ta bl e 4 , に み られ るよ うに PHA と同様 の傾 向 がみ られ たが Ⅰ . S.
の値 を比較 す ると D 分画 の T c el l機能 は よ り明 ら かであ る. PWM に対 して は Ta bl e 3 ,Fi g. 4 に 示 され るよ うに どの分画 も反応 しうると考 え られ る. こ れ は PWM が T,B c el l両方 を刺激 し う る こ と , 既 に述 べ たよ うに小 リンパ球 の前駆細 胞 や抗体産生細 胞 が軽比重域 に分布 す ること 4 0 5 4 ) な どと考 え 合 わ せ る と ,PWM が これ らの細胞 を刺激 して い る可能性 も否 定 で きない. ヒ トで は GVH a s s a y を 行 な う こ と は不可能 であ るが , T c el lが非 自己 で あ る抗 原 を 認識 し増殖 す るとい う免疫 応答 の 初 期 段 階 の 出 来 事 は ,GVHR において も当然発現 して い ることで あ り, この意 味 にお いて MLC は T c e l l機能 を i n vi ‑ t r o で評価 しう る有 用 な方 法 で あ る . 羊 赤 血 球 と s pont a ne ous r os e t t e を形成 す る リンパ球 は .胸 腺 リンパ球 の ほとん どを 占め , HTL 抗 原 陽 性 で i n vi t r o PHA 反応性 が高 く胸腺依存 部 に局 在 す るな ど
3 0 5
の事実 よ り. T c el lの性 質 と考 え られて い る 5 2 ) 5 3 ) この RFC は Fi g. 5 よ り明 らか な ごと く ,D 分 画 に最 も多 く観察 され , しか も末 梢血 リンパ球 とほぼ同程 度 の比率 で認 め られた .また C 分 画 に も D 分 画 の約 1 / 2 程 度 の RFC が見 られた .
以上述 べて きた成績 よ り, ヒ ト骨髄 リンパ 球 に も PHA に反応 し , a l l oa nt i ge n を認 識 し さ ら に羊 赤 血球 と ロゼ ッ トを形成 す るなどの T c el l機 能 を 有 す る リンパ球 が存在 し,本実験 で用 いた BSA‑ DDGC
で は D 分画 つ いで C 分 画 に集 中 して分布 し,従 が っ て 骨髄 T リンパ球 を分離 除去 す ることは可 能 で あ る こ と が明 らか とな った .
3 .造血幹細胞
造血幹細胞 の起源 につ いて は古 くか ら論 議 されて き たが ,1 9 6 1 年 Ti l la nd Mc Cul l oc h の 牌 コロ ニ ー 形成法 5 5 ) の開発以 来 ,造血幹細胞 は抽象 的 な概念 か ら 具体的 な論議 の対象 とな って きて い る.最 近数年 間 の 技術的開発 とと もに幹細胞研究 が盛 ん に行 なわれつつ あ り新 しい知見 も得 られて い るが ,造血機 構 の詳細 は まだ完全 に解明 されて いない状況 で あ る.致死 量 X 線 照射 を うけたマ ウスに同種骨髄移植 を行 な うと 8‑10
日後牌 には肉眼的 コロニー ( CFC‑ S) が生 じる 5 5 ) . こ の CFC‑ S は赤芽球 系 ,頬粒球系 ,巨核球 系 お よび 混 合型 の細 胞構成 を有 し.他 の マ ウスに再移 植 す ると再 び同様 の コロニーが生 じる こと 5 6 ) ,移植 骨髄細 胞 数 と 牌 コロニー数 とは直線 関係 にあ って 1 個 の幹細胞 が分 化増殖 す ることによ って コロニーが形成 され ること 5 6 )
な どよ り自己再生 ,分化 お よび増殖 の可 能 な mul t i ‑
pot e nt i als t e m c e l lと見倣 されて い る. 一 方 リ ン
パ球 か らな る コロニーは証 明 されて い な い が , マ ー
カー染色体 を用 いた実験成績 3 6 ) 5
7)58)な どよ り. CFC‑ S
は骨髄 系 のみな らず リンパ球 に も分化 しうる ことが明
らか に されて い る.従 が って骨髄 系 お よび リンパ系両
方 に分化 しうる共通 の幹細 胞 の存在 が予想 され る. ヒ
トで は CFC‑ S に相 当 す る mul t i pot e nt i al s t e m
c el lの存在 はまだ確認 されて いないが . ヒ ト骨 髄 細
胞 の i n vi t r o c ul t ur e で頼粒球 系 コロニーを発育
させ る方法 1 9 ) 5 9 ) が開発 されて い る. こ の CFC・ C は
mul t i pot e nt i als t e m c e l lが頼粒球 系 へ分化 す る方
向 に c ommi t さ れ た uni pot e nt i a ls t e m c e l l
であ るといわれて い る 6 0 ) 6 1 ) 6 2 ) .CFC‑ S が骨髄 細 胞 分 画
法 で ど こに分布 す るか につ いて は , ve l os i t y s e di ・
me nt a t i on に よ る検討 4 3 ) で ,CFC・ S の ピー クは GV
HR を起 す分画 と は異 な る s e di me nt i ng r a t e を
示 す大型細 胞 によ って 占め られ るとい う.既 に述 べ た
よ うに著者 ら 4 6 ) も BSA・ DDGC に よ る検 討 で T
cel l機能 を示 す ,主 に小 リンパ球 か らな る D 分 画 よ り 軽 い dens i t y ( A,B 分画 )に CFC‑ S が 集 中 して 分 布 す るとい う成績 を得 て い る.一方 ヒ トの CFC‑ C に つ いて は vel os i t y s edi ment at i on で 調 べ られ て お り
42).や は り T c el l機 能 を示 す分画 と は 明 らか に異 な る s edi ment i ngr a t e を認 めた とい う . BSA DDGC によ る検討 で は Fi g . 4 に示 され る よ う に , T c el l機能 を有 す る リンパ球 に富 む D 分 画 よ り比 重 の軽 い A,B 分画 に CFC・ C が多数見 られ , と くに A 分 画 にその ピー クが あ りかっ他分 画 に比較 して有意 に高 い コロニー数 が得 られた . Wor t on ら
6日は BSA・
DDGC と vel osi t ys edi ment at i on によ って CFC‑
S と CFC・ C との関係 を検討 し ,CFC・ S と CFC‑ C はか な り over l ap す る部 分 は あ る も の の , そ の ピー クはそれぞれ異 な るとい う成績 を得 てお り. Ha s ・ ki l l ら
25)も CFC・ C が CFC・ S よ りやや高 比 重 域 に 分布 す ることを明 らか に してい る.結局両者 と も小 リ
ンパ球 と異 な る,即 ち小 リンパ球 よ りやや大 き く比重 の軽 い細胞 で あ り.さ らに CFC・ S は CFC‑ C よ り比 重 が軽 くかっ CFC・ C よ り小型 の細 胞 とい うことに な る. この ことは CFC‑ C が CFC・ S の分化 した もの で あ るとい う成績
60)6日62)を考慮 す ると非常 に興 味 深 い こ とであ る. ヒ トで も CFC‑ S に相 当す る細 胞 は CFC‑
C よ り軽比重域 にあ り,よ り小型 の 細 胞 で あ る可 能 性 も示唆 され る.と ころで幹細胞 その もので はないに して も ,CFC‑ S あ るいは CFC‑ C を形 態 的 に 同 定 し よ うとい う試 みが , Bekkum らによ って な されて い る. Bekkum ら
63)は まず CFC. S r i ch f r act i on を r ef r act i onat i on してか な り純粋 な CFC・ S f r act i on
を得 た . そ して形態的検討 を 加 え s t em c el l ̀の 候 補者 と考 え られ る細胞 は .光顕的 に は一 見小 リンパ 球 様 に見 え るが .電顕的 に は核小休 を有 L or ganel ・ l ae に乏 しい小 リンパ球 とは異 な る細 胞 で あ ろ うと述 べて い る.さ らに Di cke ら
64)は ヒ トお よ び サ ル の 骨髄細胞 につ いて同様 の検 討 を行 な った結果 ,ほ とん ど CFC‑ C よ り成 る分画 の細 胞 は i n vi t r o で PHA に 反 応 せ ず 形 態 的 に は上 記 の マ ウス幹 細 胞 の 候 補 者 によ く似 て い る と い う . こ の c andi dat e s t em c el lにつ い て は異 論 もあ り
65)リ ンパ 球 の c el l ki ne t i cs の研究 か ら l ong‑ 1 i ved の骨髄小 リンパ球
66)
, あ る い は t r ansi t i onalc e
l167)な い し l ar ge l ymphoi d c e
l168)を造血幹細胞 と想定 して い る もの もあ る. ヒ トで は CFC・ S に相 当す る幹細 胞 の存 在 を 示唆 す る直 接 的 証 明 は ま だ な い が . Phi l adel phi a 染色体 が認 め られ る慢性骨髄性 白血病 や発作性夜 間血 色素尿症 な どにお け る臨床 的観察
69)70)7日か ら. mul t i ・
pot ent i als t em c el lの存在 が予想 されて い る . い ず れ にせ よ骨髄細胞 中 に造血幹細胞 が存 在 す ることに は異論 はないよ うで あ るが ,その形態 や分化機構 など につ いて はまだ不明 な点 が多 い.
4 .臨床的骨髄移植 への応用
骨髄移植 の臨床応用 にお け る最 も大 きな障害 は .他 の臓 器移植 で も問題 とな る HVGR と骨髄 移 植 に の み見 られ る GVHR で あ る . Bor t i n 7 2 )に よれば 1 959
‑ 6 2 年 の問 に行 なわれ た骨髄移植 は 2 0 3 例 にの ぼ るが . その うち確実 に骨髄細胞 の生者 が証 明 されたの は僅か
5. 4% にす ぎない とい う.いずれ も移 植免 疫 の 知 識 に乏 しくかつ評価 す る技術 が なか った時代 に行 なわれ た ものであ り ,HVGR や GVHR が原 因 と な って 移 植 が不成功 に終 っ た もの と患 わ れ る . 両 反 応 と も donor ‑ r e ci pi e nt 間 に組織適合性 の差 が 認 め られ る 場合 に発現 して くる もので あ るか ら. この組織適合性 の差 を克 服 す る ことが まず解決 され ね ば な ら な い . HLA につ いて は抗血清 の標準化 を除 け ば 検 索 法 も 現在 はぼ確立 されてお り
73)臓器移植との関係 をみると 腎 移植
13)で も皮膚移植
74)で も HL‑ A i dent i c al な組 み 合 わせの場合 に最 も高 い移植成功 率 が得 られ て い る . 一方 同種移植 で は HL・ A i de nt i c al な場 合 で も i so・
genei c な組 み合 わせで はな く , ま た non HLA 抗原 の影響 も無視 で きないので ,自己 とは異 な る両種 抗原 に対 す る反応 をで きる限 り抑制 す る目的 で .r e ci ‑ pi ent の免疫能 を低下 させ る処置 .即 ち免疫抑制療法 をあ らか じめ実施 してお く必要 が あ る.組織適合性 を 考慮 し十分 な免疫抑制療 法 を行 な うことに よ って拒絶 反応 が コ ン トロールされ うる もので あ ることは.既 に
8 0 0 0 例 を越える腎移植 の豊富 な臨床経験
13)が 如 実 に こ
れを示 してい る.臨床的骨髄移植 の対象 とな る疾 患 は
いず れ も治療困難 で予后不良 な もので あ るが .大別 す
ると白血病 ,再生不良性 貧血 お よび免疫 不全症 の 3 つ
で あ る.最近 の組織適合性 検索 や免疫 抑制療法 の発達
に伴 って .骨髄移植例数 は増加傾 向 を示 し 1 9 6 8 年 よ り
7 3 年 まで 1 4 8 例 が報告 されて い る
13). しか しそ の 生 者
率 は全体 と して 4 5% ,生存率 は 2 5% と余 り良 い成
績 とはいえ ない .移植前 に必要 な免疫学 的処置 を施 し
て も移植骨髄細胞 が一 旦生者 した後 に GVHR が生 じ
れば ,移植 はほ とん ど成立 せず 目的 は遠成 され ない こ
とにな る. GVHR の予 防 には HVGR にお け る と同
様組 織適合性 を考慮 す ることが重要 な ことはい うまで
もないが , HL‑ A i dent i c al な場合 で も 5 0% 程 度
に GVHR が起 りうる.従 が って GVHR をいか に防
止軽減 す るかが骨髄移植 の臨床応用 にお いて解決 すべ
き重要 な問題 で あ る.問題解決 の 具 体 的 手 段 と して
骨髄移植 の基礎的研究
は,免疫抑制剤 や抗 リンパ球血清 の使用 .免疫 適格細 胞 の除去 などが考 え られ る.骨髄移植 におけ る免疫抑 制剤 と して は c ycl ophos phami de や me t hot r ex‑
a t e が もっぱ ら使用 されているが .投与期間や投与 法 を工夫 す る ことによ って移植成功例 が最近報告 され る よ うになった
1日12)75). しか し HLA noni de nt i c al な場合 には効果が落 ちるといわれてい る し,また大量 長期投与で は造血不全 などの重篤 な副作用 が知 られて いる.抗 リンパ球 血清 の GVHR 抑制効果 も明 らか に されてお り既 に臨床的 に も使用 され重症 の GVHR を 抑制で きるといわれているが
, 1)異 種 血 清 な の で a na phyl a xi s を起 す可能性 ,2 ) 力価 の不安定性 ,3) 出血傾向を招 く危険性 などの問題 点 が 指 摘 さ れ て い る.最近 は hi s t oc ompat i bi l i t y・c ompl e x に つ い て幾多 の研究 が発表 されてお り,少 くと も LD ( l y・
mphoc yt edeane d) ,I R ( i mmuner es pomsi ve ) ,お よび SD ( s er ol ogi c al l y def ine d)de t er mi nant s があ ることは確実 といわれ , これ ら de t er mi nant s の解明 と共 に HL‑ A ma t c hi ng につ いて も将来 の発 展 が期待 され る.
細胞分画法 を利用 して GVHR を惹 き起 す免疫適格 細胞 を除去 す る試 み も既 に 臨 床 的 にな さ れ て い る . de Koni ng ら
76)は l ymphope ni c i mmunol ogi c al def ic i e nc y の小児 に BSA‑ DDGC 法 によ って ,Abu・
Zahr a ら7 7 )は白血病症例 に vel os i t y s e di me nt a ‑ t i on 法 によ って ,それぞれ免疫 適格細胞 を 除 去 して 同種骨髄移植 を行 な ったところ,いずれ も GVHR が 軽度であ った といい ,GVHR を軽減す る有 望 な方 法 だ と述べて い る.最近 Di c ke ら
78)は 1 0 例 の comb・
i ne d i mmunode凸c i e nc y di s e as e の患者 に BSA‑
DDGC 法 によ って得 られた濃縮幹細胞浮 遊 液 を移 植 した結果 . HLA i de nt i c al の場合 には少 量 の 骨 髄 移植 で免疫能 が回復 し , HLA noni de nt i c al の 場
3 0 7
合で も GVHR を抑制 で きた と述 べてい る.骨髄移植 が結局 は造血幹細胞 の移植 に他 な らず ,GVHR が 免 疫 適格細胞 によ って惹 き起 こされ ることを考 え れ ば . 上記 の ごと く免疫 適格細胞 を物理的 に除去 して造血幹 細胞 に富 む分画 を移植 す ることは.非常 に合理的 な こ とといえ る.従 が って本実験成績 よ り考 えて A.B 分 画 を移植 すれば ,GVHR を防止 ない し軽減 す る こ と が可能 であ ると予想 され る. しか し問題点 と して ,1 )
操作 がやや面倒で大量 の骨髄細胞 を処理 す るには BS A が非常 に高価 であ る ,2 ) 分画後 の回収率 か らい え ば vel os i t y s e di me nt a t i on 法 よ り優 れ て い る と い うが
4日,骨髄細胞 中の幹細胞 は もと もと極 めて 少 な いので ,再生不良性 貧血 の場合 の よ うに大量 の骨髄細 胞 の移植 を必要 とす る時 には操作 によ る細胞 の ロスが 特 に深刻 な問題 とな る.3)造血幹細胞 よ り分 化 した 免疫適格細胞 によ って遅延型 の GVHR が起 って くる 可能性 があ る,などの諸点 が挙 げ られ る. しか し細胞 数 については最近 の細胞冷凍保存 技 術 の 進 歩 に よ っ て .分画 した造血幹細胞 を冷凍保存 して pool して お き,必要 な時 に十分量 を解凍 して使用 す ることは実 施可能 であ る
79)80)81).著者 ら
82)もマ ウス造 血 幹 細 胞 が 凍害 に抵抗性 を示 す成績 を得 てお り,今後検討 に値 す る方法 と考 え られ る.いずれにせ よ適確 な治療法 が確 立 されていない造血不全状態 を呈 す る疾患 に対 して , 骨髄移植 は有効 な治療手段 とい うことがで きる.
BSA・ DDGC は単 に骨髄移植 への応用 だ けでな く免 疫学 ,血液学 .広 く細胞生物学 の分野 にお いて ,細胞 を集団 と して解析 してい く研究手段 と して有用 な方法 であ り,今後大 いに利用 され ることが期待 され る.
結 論
ヒ ト同様骨髄移植 において生 じる GVHR を防止 な い し軽減 す る方法 を兄 い出す ことを目的 と して , ヒ ト
Ta bl e5 Summar y of s ome bi ol ogi c al pr oper t i es of f r a c t i ona t e d huma n bone mar r ow c el l s
Fr act i on di Lymphocy s t r i but i on t r e s PHA pons e r e s PW M pons e MLC RFC
CFC‑ C A B
C + + + + + +
+ +++ ++ +
D +++ +十十 + 十
骨髄細胞 を BSA・ DDGC によ って分画 し , 得 られ た 各分画 につ いて免疫学的および血液学的検討 を行 な っ た結果 ,以下 の成績 を得 た .主 要 な成 績 を Ta bl e 5 に表示 す る.
1 .比重 の差 によ って ヒ ト骨髄細胞 を 4 層 に分画 し た .それぞれの分画 は形態的機能的 に特徴 あ る細 胞集 団 と して区別す ることがで きた.幼若 な細胞 は低 比重 域 に,成熟 した細胞 ほど高比重域 に分布 す る傾 向 がみ
られた .
2 .低比重域 には大型芽球様細胞 が多 く.造血能 の ひとつの指標 であ る CFC‑ C に菖 むが ,免疫適格細 胞 と くに T c e l l機能 を有 す る リンパ球 はほとん ど認 め られなか った.
3 .高比重域 には小 リンパ球 が集中 して分布 し, し か も PHA に反応 し a l l oa nt i ge n を 認 識 し , さ ら に羊赤血球 とロゼ ッ トを形成す る,即 ち T c el l 機 能 を有 す る リンパ球 に富 むが ,造 血 能 に は乏 しか っ た. したが って ヒ ト骨髄細胞中 に も T c e l lの 存 在 す ることが示唆 された.
4 .以上 の成績 か ら骨髄細胞 よ り T c e l l機 能 を 有 す る リンパ球 を除去 す ることは可能 であ り,造 血能 に富 む分画のみを移植 す ることによ って GVHR を予 防 ない し軽減 しうることが示 された .
稿 を終 るに臨 み .御指導 .衡校閲 を載 いた服部絢一 教 授 に深謝 いた します .また直接御指導 .御助言 を戦 いた 前 金沢大学第三内科講師 ( 現金沢医科大学 内科 助 教 授 ) 滝 口智夫博士 ,な らびに御協力 と御援助 を戦 いた金沢大 学 がん研究所右 田俊介教授 に深 く感謝 いた します .
本研究 は文部省科学研究費 ( 9 4 4 0 3 4 ) お よび厚生省特 定疾患 (再生不良性貧血)研究 費 によ りな され た .記 し て感謝 の意 を去す る.
文 献
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骨髄 移 植 の基 礎 的 研 究