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全文

(1)

ハザードマップを 解剖 する

中村 功

Nakamura Isao

廣井 脩

Hiroi Osamu

1.2003 年富士山 ハザードマップアンケート 調査

1.1 全体的評価と マップ概 要

1.2 住民評価 が低 かった項 目

1.3 ハザードマップのわかりやすさに影 響す る要 因

2. グ ループ イ ンタビ ュ ー の結 果

2.1 御殿場市印野地区

2.2 十勝岳美瑛町

3. 全国 のハ ザ ー ド マ ッ プ

3.1 利用 しやすさ

3.2 理解 しやすさ

3.3 避難 に対 する 実用性

3.4 ハザードマップの 進化

附属資料 )火 山 周 辺 自 治 体 における グ ル ープ イ ンタ ビ ュ ー

1 御殿場市 (1 )

30 代グループ ( 2)50 代グループ

2 美 瑛 町 (1 )白 金 地 区 (2 )三 沢 地 区

キ ー ワ ー ド: 富士山 、ハ ザ ー ド マ ッ プ 、火 山 防 災

執筆分担 : 中 村 功( 東洋大学社会学部 )

廣 井 脩( 東 京 大 学 社 会 情 報 研 究 所) 1 、監 修

(2)

はじめに

火山ハ ザ ー ド マ ッ プと は、 ある 火山 で将来起 きう る災 害の 被害想定( 危険 の種 類や 範囲)

や、 防災情報 (避 難 場 所や 避難 経路 など )を 示し た地 図のこと であ る。 わかりやすい ハザ

ー ド マ ッ プを 作成 し、 そ れ を住 民や 行政 が有 効に 活用 すれ ば、 迅速 で的 確な 避難 が促 進さ

れ、 噴火災害 に よ る被 害を 低減 す る こ と が で きる 。

日 本ではじ めて ハ ザ ー ド マ ッ プが 作ら れ た のは 、1983 年、北 海 道 駒ヶ 岳に お い て で あ っ

たが 、住 民に 公開 さ れ た の は十勝岳(上 富良野 町 1986 年、 美瑛町 1987 年)のもの がはじめ

てである 。そ の後 、雲 仙普賢 岳 や有 珠 山 等の 噴火 が あ り、 また 、国土庁 に よ る「 火山噴火

災 害 危 険 区 域 予 測 図 作 成 指 針」の作 成(1992 年)や 建設省による 技術指導 など 、国の 施策

もあって 、多 くの 火山 でハ ザ ー ド マ ッ プ が作 ら れ る よ う に な っ た。

そ の結 果、2003 年 現 在 、我 が国 に あ る 108 の活 火 山のうち 、33 の 火山 でハ ザ ー ド マ ッ プ

が作 ら れ て い る。 その 内訳 は「 活 動 的で 特に 重 点 的に 観測研究 を行 う べ き火 山」(全 13)

の う ち1 2、 「活 動 的 火 山 及び 潜 在 的に 爆発活力 を有 する 火山 」(全2 4)のうち 18 、そ

してその 他の 火山 が3 で あ る(「」 内は 文 科 学 省 測 地 学 分 科 会 火 山 部 会 に よ る分 類)。

表1 ハ ザ ー ド マ ッ プ が あ る火 山

・「 活 動 的で 特に 重 点 的 観 測 研 究を 行う べ き 火山 」 十 勝 岳、 樽 前 山、 有 珠 山、 北 海 道 駒 ヶ岳 、草 津 白 根 山 、浅 間 山 、伊 豆 大 島、 三 宅 島、 雲 仙 岳、 阿 蘇 山、 霧 島 山、 桜島 、 ・「 活 動 的 火 山 及 び潜 在 的 に爆 発 活 力を 有す る火 山」 雌 阿 寒 岳 、岩 木山 、秋 田 焼 山、 岩 手 山、 秋 田 駒ヶ 岳、 蔵 王 山、 鳥 海 山、 吾 妻 山、 安 達 太 良 山、 磐 梯 山、 那 須 岳、 新 潟 焼 山 、焼 岳、 御 嶽 山、 九 重 山、薩 摩 硫 黄 島 、 口 永 良 部 島 、 諏 訪 之 瀬 島 ・そ の他 の火 山 ア ト サ ヌ プ リ、 恵山 、中 之 島

しかし 、こ れ ら のハ ザ ー ド マ ッ プ は主 に自 然科学 的 観点 から 検討 ・制 作されて きたのが

現状 であ る。 その 結果 、自 然科学 的 には 正確 かも しれない が、 一般住民 には 分か りにくか

っ た り、利 用し に く いマップ も散 見される 。外 国の 例である が、1985 年のコ ロ ンビ ア のネ

バド ・デ ル・ ル イ ス山 の噴 火で は、 せ っ か く のハ ザード マ ップ が活 用されず 、大 きな 被害

につながった ケ ー スも あ っ た。 そ こ で、 利 用 者である 住民 の立 場か ら これ を 再 検 討し 、よ

り有 効な ハ ザ ー ド マ ッ プを め ざ すことが 重要 になってくる 。

2000 年から 2001 年 にかけて 多発 した 低 周 波 地 震を き っ か け に、 富 士 山に お い ても 火山

(3)

こ う し た状 況の 中で 、よ り よ いハ ザ ー ド マ ッ プ の条 件を 探る た め に、 筆者 らは 次のよう

な作 業を 行っ た。す な わ ち、第一 に、ハ ザ ー ド マ ッ プ作 成が 進 行 中の 富 士 山に 焦点 を あ て、

マ ッ プの 試 作 版に 対す る住 民の 評価 を明 らかにするために 、ア ン ケー ト 調査 を行 った 。調

査の 対象 は、 御殿場市

355 人、富士吉田市 361 人、 計 716 人の 住民 で、2003 年9月 に訪

問面接法 によって 実施 した 。

第 二に 、

よ り詳 しい 生の 意見 を集 め る た め に 、

ハ ザ ー ド マ ッ プ が作 ら れ た地 域に お い て、

住民 グルー プイ ン タ ビュ ー を行 った 。対 象は 全国 のハ ザ ード マ ップ の中 でもわかりやすい

と思 わ れ る十勝岳(美瑛町)と 、マ ッ プの 試作版が 作られた 富士山(御 殿 場 市)の住 民である 。

美 瑛 町では

2003 年 12 月、白 金 地 区と 三沢地区 の住 民1 4人 に対 し、 また 御殿場市 では

2004 年2 月、 印野地区 の住民 12 人に 対し てグループインタビューを 行っ た。

そして 第三 に、 住 民 向け に つ く ら れ た 全国 のハ ザ ー ド マ ッ プ を収 集し 、そ れ ら を概 観す

るなかで 、よ りよ いハ ザ ー ド マ ッ プ の条 件を 検討 した 。

1.2003 年 富 士 山ハ ザ ー ド マ ッ プ ア ン ケ ー ト調 査

1.1 全体的 評価 とマップ 概要

前 述の よ う に、 筆者 らは 、ア ンケート 調査 において 、御 殿 場 市と 富 士 吉 田 市の 住民 に、

試 作 版の ハ ザ ー ド マ ッ プ( 火山 防災 マ ッ プ) を見 て も ら い な が ら、 どの 程度 わかりやすい

かを たずねた 。

全 体 的な わ か り や す さとし て は 、

「ま あ わ か り や す い 」という 評価 が最 も多 く 、御 殿 場 市

66.2%、富士吉田市 で 75.3 %で あ っ た(図 1.1) 。全体的 には 、住 民にある 程度評価 され

ているといえるが 、

「と て も わ か り や す い 」と い う人 は1 割に も達 に て お ら ず 、ここに マッ

プの 問 題 点が 存在 している 。

地 域 別で み る と、 御殿場市 では 「と て も わ か り や す い 」という 人が 富 士 吉 田 市よ り若 干

多い が、「や や わ か り に く い 」、「と て も わ か り に く い 」という 人も 多く な っ て い る。

9.6 6.4 8.0 66.2 75.3 70.8 20.8 16.6 18.7 3.4 1.7 2.5 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 御殿場 富士吉田 全体 とてもわかりやすい まあわかりやすい ややわかりにくい とてもわかりにくい

(4)

次 に、ハ ザ ー ド マ ッ プ の各要素 について 評価 してもらった 。評 価の 高い 項目 としては「図

上の 色分 けや 線の 意味 」 、 「危 険 地 域の 場所 」 、 「火 山 現 象の 説明 」 、 「噴火時 にとるべ

き行 動」、「 火 山 情 報の 説明 」などの 項目 で、で い ず れ も半 数 以 上が 高い 評価 を し て い た。

ま た、 「マップ 全体 の大 きさ 」や 「地 図の 数」 も「 適当 」(図表表記 は「 中」) と い う人

が そ れ ぞ れ7 割、8割 を越 えており 、評価 は低 く な か っ た 。(数 字は い ずれ も 御殿場市 の場

合)

実 際の 図を み る と、 全体 の大 き さ はA 1(A 3×4 枚分)の 表裏印刷 で 、裏 面( 地域拡大

面) の図 中の 危険地帯 の色 分け は、 危険 な方 から 赤、 ピ ン ク、 黄色 、青 となっている 。火

山 現 象の 説明 は写真入 りで 13 の現 象があり 、住 民の と るべ き 防災対応 も含 めて 、説 明さ

れている(表紙面) 。ま た、 住民 の と る べ き行 動は 、普 段の 準備 、噴 火し そ う な と き、 避難

の場 合の 注意 、降灰時 と、 ほぼ A3 大の ペ ー スを 割い て図 入り で説 明さ れ てい る (地域拡

大面 )。 火山情報 に つ い て は、 緊急火山情報(赤) 、臨 時 火 山 情 報(黄)、 火山観測情報(緑)

と色 づ け さ れ たス ピ ーカ ー の絵 とともに 解説 さ れ て い る。(こ こ まで は 両市共通) 。

地図 の数 は御 殿 場 市が 1( 地 域 拡 大 面) で、 富 士 吉 田 市が 2( 地 域 拡 大 面) で あ る。 実

際の 図を 見る と、 情 報 量の 多さ に圧 倒さ れ る が、 表記自体 は、 わ か り に く く な い よ う に み

える 。

(5)
(6)

1.2 住民評価が 低かった 項目

一 方、 住民 の評 価の 低かった 項目 は、 「自 宅で の掲 示し や す さ」、「 地 図 上の 目印 とな

る も の」、「 避難経路 」 、 「地 図の 複雑 さ」 な ど で、 いずれも 1/ 4以 下の 人し か高 い評

価を 与え て い な か っ た 。(数字 は御 殿 場 市の 場合)

このうち 、掲 示の し や す さ はA 1版 だと 大き す ぎ る と い う こ と で あ る。 地 図 上の 目印 と

し て は線 路・ 駅と 国道 が色 付け さ れ て記 入さ れ て い る が、 その 名称 は記 入さ れ て い な い。

また 地の 図は 5万 分の 1図 を若 干 拡 大し ている が 、そこに 書か れ てい る 文字 は小 さく 、ラ

ン ド マ ー クとなる 地名 は記 入さ れ て い な い。 避 難 所は 掲示 されているが 、そこに 至る 経路

は記 されていない 。地 の地 図が 5万 分の 1の 地 形 図そ の ま ま な の で 、図 は確 かに 複雑 であ

る( 地 域 拡 大 面) 。

33.2 19.0 48.0 25.0 52.1 40.1 35.8 24.3 19.8 20.7 58.5 43.4 19.7 58.5 52.4 52.2 64.4 26.4 39.9 50.8 32.4 35.9 35.5 44.6 34.8 54.9 31.0 45.9 76.7 34.4 40.2 39.4 2.4 54.6 12.0 24.2 15.5 24.0 28.8 31.1 45.4 24.4 10.5 10.6 3.6 7.1 7.4 8.4 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% #マップ全体の大きさ 自宅での掲示しやすさ 全体的文字の大きさ 地図の文字 危険地域の場所 自宅のおおよその場所 避難場所の位置 地図上の目印となるもの 避難経路 地図の複雑さ 図上の色分けや線の意味 図に使われた用語の意味 #地図の数 火山現象の説明 噴火時にとるべき行動 火山情報の説明

(7)

ま た、 両市 で差 の あ る項 目は つ ぎ の と お り で あ る。

第 一に 、「 ハ ザ ー ド マ ッ プ全 体の 大き さ」に つ い て は富 士 吉田 市 の 39.1%が「 大きすぎ

る」と し て い る の に 対し て、御 殿 場 市で は そ の よ う な人は 27.3%で あ っ た。そ れ と相 反し

て富士吉 田市 では 、59.8%の人 が、 文字 の大 き さ が「 大きくて 見やすい 」と 、高 い評 価を

したのに 対し 、御 殿 場 市では 36.1%し か そ の よ う な 評価 をしなかった 。

富 士 吉 田 市の ほ う で、 図が 大き すぎる と 評価 する 人が 多か っ たの は 、メイン の図 が2 つ

に分 か れ て い た た め で あ ろ う。 また 字の 大きさは 、富 士 吉田 市 では 市の 主 要 部の 拡 大 図が

あり 、そ の部 分に は主要路 ・線 路・ 駅な ど、 ランドマーク の字 が地 の地 図と は別 に大 きな

活字 で記 さ れ て い る。 一般住民 にとって 、こ う し た地 図の ほ う が見 やすいと 思われる 。図

は よ り縮 尺を 大きくし 、主 要な 地名 は別 に拡 大 文 字を 入れ る の が望 ま し いの で はな い かと

思う 。

第 二の 違い は、「

危険地域 の場所」や「自宅のおおよその場 所」など 、地図内容の

把握しやすさである 。評価の 高い人 は、

御殿場市 で そ れぞ れ 58.9%、43.4% に対 して 、

富 士 吉 田 市では 45.4%、36.8%と な っ て お り、い ず れ も御 殿 場 市の ほ う が評 価が 高い 。マ

表 1.1 ハザードマップ 要素 の住 民 評 価(御殿場・ 富士吉田別)

御 殿 場 市 富 士 吉 田 市 高 中 低 高 中 低 #マップ全 体の 大きさ 27.3 70.1 2.5 39.1 58.7 2.2 自 宅での掲 示しやすさ 18 29.3 52.7 19.9 23.5 56.5 全 体 的 文 字の 大きさ 36.1 46.5 17.5 59.8 33.5 6.6 地 図の 文字 21.1 48.5 30.4 28.8 53.2 18 危 険 地 域 の 場 所 58.9 27.9 13.2 45.4 36.8 17.7 自 宅のおおよその 場 所 43. 4 31.3 25.4 36.8 40.4 22.7 避 難 場 所 の 位 置 36.3 32.7 31 35.2 38.2 26.6 地 図 上の目 印となるもの 22.3 43.7 34.1 26.3 45.4 28.3 避 難 経 路 14.4 32.1 53.5 25.2 37.4 37.4 地 図の 複雑さ 19.4 54.6 25.9 21.9 55.1 23 図 上の 色分 けや 線の 意味 57.7 29 13.2 59.3 33 7.8 図に使われた用 語の 意 味 44.5 44.8 10.7 42.4 47.1 10.5 # 地図の 数 13.2 83.4 3.4 26 70.1 3.9 火 山 現 象 の 説 明 58.6 33.5 7.9 58.4 35.2 6.4 噴 火 時にとるべき行 動 52.1 39.2 8.7 52.6 41.3 6.1 火 山 情 報 の 説 明 50.7 37.7 11.5 53.7 41 5.3

ップ を見 ると 、御殿場 の場 合は 、危 険 場 所が 単純 な同 心 円 上に 分布 しているのに 対し て、

富士吉田 では 複雑 な形 になっている 。これは 災害 の様 態の 差で あ っ て、 表記 の問 題ではな

(8)

であったのに 対し て、富 士吉田 市 では 26% と倍 になっている。こ れ は、メ イ ンの 図が 富士

吉田 では 2つ に分 か れ て い る た め で あ ろ う。

1.3 ハ ザ ー ド マ ッ プの わ か り や す さ に 影響 す る要 因

では 、

「 ハ ザ ー ド マ ッ プ( 防災 マ ッ プ )

」 全体 の わ か り や す さ に は、 何が 最も 影響 し て い

る の で あ ろ う か。

こ の こ と を 調 べ る た め に 、 各 項 目 の 評 価 と 全 体 評 価 の 間 で 相 関 係 数 を と っ て み た ( 図

1.5)。

その 結果、いずれの 項目 とも 全体 の わ か り や す さ と は正 の相 関が 見られた が、そ の中 で「

ップ全体 の大き さ」、

地 図の数 」との 関 係 性はあまり高 くなかった。 つまり 、マッ

プ全体の大きさ

や掲 載さ れてい る

地 図の数は、ハザードマップのわかりやすさとあまり

関係がないということである。

しかし、 それ以 外の項 目とは 0.3 以上と、 一定の 関係があった 。特に 重要なのは、

避難場所の 位置」、「地図上の 目印となるもの」、「地 図の複 雑さ」、「噴火時に

とるべき行動」 、 「火山情報の 説明」で相関係数が0.4 を越えており 、全体的なわ

0.12 0.32 0.32 0.36 0.36 0.41 0.41 0.36 0.42 0.30 0.37 0.21 0.36 0.42 0.44 0.11 #マップ全体の大きさ 自宅での掲示しやすさ 全体的文字の大きさ 地図の文字 危険地域の場所 自宅のおおよその場所 避難場所の位置★ 地図上の目印となるもの★ 避難経路 地図の複雑さ★ 図上の色分けや線の意味 図に使われた用語の意味 #地図の数 火山現象の説明 噴火時にとるべき行動★ 火山情報の説明★

(9)

かりやすさと高 い関 係 性があることがわかった。つまり、 避難場所の位 置や地図上の

目印となるもの が記さ れ て お り、、 地図が複 雑でな く、噴火時に と る べ き行動 や火山

情報の説 明がわかりやすく書 かれていると、 住民はそのハザードマップ をわかりやす

いと感じる傾向がある。

次に 、住 民の 性別 や年齢差 がわかりやすさに 影響 し て いる か をみ て み た(図 1.6)。全体的

わかりや すさとの 関係 を見 ると 、男女別 では 、女 性の 方が わ か り に く い と い う傾 向がごく

わ ず か だ が見 ら れ る。一 方、年 齢 別で は、70 歳以上の 人で「とてもわかりにくい 」という

人が 多い ほ か は、 一貫 した 傾向 は見 られなかった 。年 齢が 上が る ほ ど わ か り に く い と い う

人が 増えると 予想 していたのに 、意 外な 結果 であった 。

8.2 7.7 8.8 11.7 6.0 12.3 6.2 72.8 68.8 74.5 72.7 64.9 73.8 69.8 67.9 16.6 20.9 14.6 13.3 26.1 23.1 17.9 16.0 3.1 9.9 0 0 3 2.3 2.2 2.6 2.5 0% 25% 50% 75% 100% 男性 女性 20歳∼29歳 30歳∼39歳 40歳∼49歳 50歳∼59歳 60歳∼69歳 70歳以上 とてもわかりやすい まあわかりやすい ややわかりにくい とてもわかりにくい

1.7 全 体のわかりやすさと性 別・ 年齢 の関 係

以 上が 、内 閣 府 作 成 のハ ザ ー ド マ ッ プ の試作版 に関 する 住民 の評 価で あ る が、 これらを

ま と め る と、 次の よ う に な る。

調査結果 を見 ると 、富士山 の防 災マップ(試作版) について 、住 民の 評価 は ま ず ま ず で あ

った 。特 に 、

「噴火時にとるべき行 動」と「火山情報の説明」のわかりやすさが、全体

(10)

アーしているといえる。

しかし、全体的評価で「とてもわかりやすい」と い う人が少ない 点には問題 がある。

とくに、 ハザードマップのわかりやすさに関係 の深い

避難場所 の位置 」、「 地図上

の目印と な る も の」 、 「地図 の複雑 さ」については 、評価 があまりよくない。 実際の

図を見て も、「 地図上 の目印 となるもの」や 「地図 の複雑 さ」に つ い て は改良 の余地

がある、と思わ れ る。

2. グループインタビューの結果

2.1 御殿場市印野地区

富士山 ハザードマップ試 作 版で、 全体的評価が 「とてもわかりやすい」という人

が少なかった原 因と し ては、 アンケート調査 で明らかになったマップ中 の各 要 素もあ

るが、そのほかにも重要な要素 があるのではないだろうか 。

住民に試作版をみてもらいながら、 自由に 意見を 言ってもらう 形式の グループイン

タビューから、それを検討していこう。

グルー プイ ン タ ビ ュ ー を行 って 、最 も印象的 だっ た の は、50 歳、60 歳代の 人が 、「字 が

多く て見 る気 がしない 」と 言っ て い た こ と で あ る 。会 場で 「後 で感 想を 聞き ま すの で 、ま

ず地 図をよく 見て く ださ い 」と お願 いしたが 、50 歳、60 歳代 グループ でよ く見 ていたの

は5 人中 1人 に過 ぎ な か っ た。ある

50 歳 代の 女性 は、

「 新聞 でも 見出 し し か読 ま な い の に、

字は 読みたく ない 。

」 といっていた 。ま た、 ある

60 歳代 の男 性は 、「マップ は何 でもかん

でも 情報 を入 れすぎで 、欲 張っ て い る。 ポイント だ け で い い。」と い っ て い た。

こ こ ろ み に御 殿 場 版の マ ッ プ( 試 作 版)の字 数を 数え ると 、全 部で お およ そ 61 58 字(地

域 拡 大側

2261 、表紙側 3897)もあった 。これは 400 字詰原 稿 用 紙で い う と1 5枚以上 にあ

たり 、ち ょ っ と し た論 文な みの 分量 であ る。(こ の数 字は 凡例 は含 むが 、図中 の文 字はのぞ

いた 数字 で あ る)。

日 本 人の 平均読書 スピード は、 毎分

400−600 字とい われており、 試作版の 字を 読む だ

けで 15 分は か か る計 算になる 。こ れだけ の 文字 の多 い も のを 配布 さ れ て、 読ん で おく よ

うにといわれても 、読 む人 は少 な い だ ろ う。 ちなみに 、十勝岳 美瑛 町の マ ッ プは 、全 国の

中で もシ ン プ ルな も のだ が、これだと 約1 6 7 9字 と、原稿用紙 4枚 強で ある 。そ れ で も、

美瑛 の住 民に 話を 聞く と、 字が 多い と言 う人 が い た。 十 勝 岳に くらべる と災 害の 性質 が複

(11)

木の種類 まで描 かれている。 その一 方で、生活道路 、道 路 名・駅 名が把 握で き ず、見

にくいという意 見があった。 住民が 危険ゾ ー ンや避難先を 把握す る た め に、必要最低

限な情報 だけを 、適切 に表示 する必 要があるのではないだろうか 。住民 の話を 聞いて

いると、 主に主要生活道路と 、小・ 中学校の 位置を 手がかりに、 空間を 把握している

ようなので、ハザードマップ としては、これ 以外は 大胆に カット してもよいのかもし

れない。 とくに 、重要 と思わ れ が ち な等高線 だが、 煩雑なので、 ないほうがよい、と

いう声が多かった 。

また

御殿場の 地 域 拡 大 図は 、左半分 が山 腹の 無人地帯 で あ り、住民 は ふ だ ん そ ち ら に は

行かない ので 、生 活 区 域だ けを 拡大 し た ほ う が よ い、 と い う意 見も あ っ た。 確か に、 表紙

面に は山 頂を 中心 と し た広域図 が あ る の で、 地 域 拡 大 図に 富士 山頂 まで 書き 入れるの は不

必要 かもしれない 。

全体に、よ りシンプルな 図を望む声が 多かったが、 ある 30 歳代の

女性は

、「デ ィ ズ ニ ー ラ ン ドの 案 内 地 図 の よ う な も の が よ い」 と 言っ て い た 。 防災 マップ

も、 わ か り や す さ を追 求すると 、そ のよう な 地図 に近 づい て い く。

また 住民 が真 っ先 に見 る部 分は 地 域 拡 大 図と 火山現象 の説 明で あ っ た。 たしかにその 部

分が 最も 重要 で あ り、 それ 以外 の情 報は 副 次 的 情 報と い え る。 と く に「 豊か な自 然と の共

生」 に つ い て は、 防災目的 の地 図に は不必要 、と の声 が多 か っ た。

60 歳代 のある男 性は 、あ ま り の情報量 の多 さに 「こ れ じ ゃ、 実務用じゃなくて 学習用。

教室 で説 明し な く て は な ら な い 。

『 火山学習 マ ッ プ』 とタ イ ト ルをつけ 替え な くて は 。」と

言っ て い た。 確か に そ の よ う な 面は 否めない 。実用的 なマップ には 、① 字は 少な く、 ②図

はシ ン プ ルに 、③ 不 必 要な 情報 は掲 載しない 、という 3つ の要 素が 不 可 欠である 。

2.1 富士山 グループインタビュー での 意見(要 約)

・ 新 聞で も 見 出 し し か 読 ま な い の に 、 字 は 読 み た く な い 。 ・ マ ッ プ は 何 で も か ん で も 情 報 を入 れ す ぎ で 、欲 張 っ て い る。 ポ イ ン ト だ け で い い 。 ・ こ れ で は 、 実 務 用 じ ゃ な く て 学 習 用 。 教 室 で 説 明 し な く て は な ら な い 。『 火 山 学 習 マ ッ プ』 と タ イ ト ルを つ け 替 え な く て は 。

道 路 が 国道 し か 着 色 さ れ て い な い 。生 活 道 路 や 駅名 が わ か ら ず見 に く い ・避 難 の た め の情 報 が な い。 避 難 用 で は な く 危 険 を 知ら せ る 地 図 に な っ て い る。 自 分 が ど こ に 避 難 す れ ば よ い の か わ か ら な い 。 ・ 避 難 用 の 図 と 、 今回 の よ う な 危険 を 示 す 地 図が 、 分 か れ て い た 方 が よ いの で は 。 ・ メ イ ン 図 と 火 山 現 象 の 説 明 を 表裏 に 分 け る の は 見 に く い 。 ・ 表 紙の 富 士 山 の 写真 は 地 元 ( 御 殿 場 ) 側 か ら撮 影 し た も の に し て ほ し い。 ・ 重 要 施 設 は マ ー クで 示 し 、 デ ィ ズ ニ ー ラ ン ドの 案 内 地 図 の よ う な も の が よ い ・ 火 山 現 象 の 説 明 で 、「 逃 げ た 方 が よ い 」 で は な く 、 よ り 命 令 調 に し た ほ う が よ い 。 ま た 「巻 き 込 ま れ る と 死 亡 し ま す」 な ど 、 人 ご と の よ う に 書か な い で 欲 しい 。 ・ 防 災 用 品 と 一 緒 に入 れ て お い て、 い ざ と い う と き に 携 帯 し て い き た い 。 ・ 自 分 の 住 む 地区 が わ か り に く い 。 印 野 地 区 な ど(市 内 6 地 区あ る )地 区 を 色 分 け し て

(12)

・ 地 図は 凡 例 ス タ イ ル で は な く 、図 中 に 説 明 を書 き 入 れ た 方が よ い 。 ・漠然 と し た 不 安だ け が あ っ た の で 、こ う し た も の が 早 く で き る の を 待ち 望 ん で い た。

ハザードマップ は住民 の生命 と財産 にかかわる情 報であるから 、できるだけ 正確に

かつ詳細 に作成 しなければならない 、という 作成者 の意図 はよくわかるが、利用者で

ある地域住民の 読 解 能 力と情報処理能力には 限界がある。 とかく 、「正 確さ」 は「わ

かりにくさ」に、 そして「詳細 さ」は「情報過多」に陥りやすい。

す で に 見た よ う に 、富 士 山マップ( 試作版)は 、わかりやすさという 面で は 、あ る 程度 の

水準 を達 成し て い る。 し か し災 害 情 報の 研究分野 では 、住 民に 伝え る情 報 内 容は 小学校高

学年 の児 童が 理解 で き る程 度が 望ま し い と い う意 見もある 。そ う考 え る と こ のマップ は情

報 過 多で 難解 な面 が あ る。 よく 読め ば わ か る が、 読む 気が し な い、 というのでは 高い 評価

は得 られない 。火 山 防 災マップ に科学的 な危 険度地 図 だ け で は な く て、 防 災 的な 意味 を持

た せ る と し た ら、 科 学 的な 正確 さや 詳細 さを ある 程度 犠牲 にしても 、住 民の 理解 しやすさ

を優 先するよ うな 、図 のデ フォル メ やシ ン プ ル化 を行 う選択肢 が十 分に あ る の で は な い だ

ろ う か。

以 上、 い く つ か の問題点 はあるものの 、こ う し たマップ を配 布す る こと は 、も ち ろ ん有

意義 なことである 。実 際、 イ ン タ ー ビ ュ ーをした 住民 も、 こうした マ ッ プの 早期配布 を切

望してい たし 、住 民 自 身が 火山防災 を考 える 上で 、貴 重な 第 一 歩と な る だ ろ う。 今後 は、

こ れ ま で のマップ を土 台にして 、避難用 の よ り実用的 なマップ に進 んで いくべき ではない

だろうか 。

2.2 十勝岳美瑛町

美瑛町 は十勝岳 に源 を発 する 美 瑛 川に 沿っ た地 区である 。火 山 災 害と し て は特 に融雪火

山 泥 流の 危険 が大 きく 、大 正 時 代に は大 きな 被害 にあっている 。美瑛町 のハ ザ ー ド マ ッ プ

はA 1片 面 印 刷で 、全 国の 中で も比較的 シンプル で見 や す い。 マ ッ プの 面積 を最大限 に使

って 町 全 体の 地図 が大 きく 載せられ 、山 に近 く危険度 の高 い白 金 温 泉 地 区に つ いて は 、避

難 経 路も 明示 した 拡 大 図も 掲載 さ れ て い る。 グ ループ イ ンタ ビ ュ ー は そ の白 金 温 泉 地 区の

ホ テ ル・民 宿 業 者(男性 5人)と 、よ り下 流の 三沢地区 の住 民(男性 5人 、女 性5 人)に対 して

行っ た。

(13)

2.1 美瑛町 のハザードマップ (防 災緊急避難図 )

上 流の 白金温泉地区 では 次の よ う な声 があった 。

ま ずマップ の図 に つ い て は、

「 地図 は記 載が 細か す ぎ る 。等高線 な ど は い ら な い 。道 路だ

けでよい 。」

「 地図 には 目印 に な る建 物が あ っ た方 が よ い 」と 、シンプル 化と ランドマーク

の明確化 が望 ま れ て い た。 そ し てマップ は「 難し く な れ ば な る ほ ど 見な い」 とい う声 もあ

った 。一 方「一 番 危 険な 白金地区 の地 図が 小さ い 」

「白 金 地 区だ け が も っ と大 きくあればよ

い。 他の 地区 は い ら な い」 と い っ た よ う に、 局 地 的な 詳し い図 を望 む声 もあった 。地 図に

は避 難 場 所が 数字 で書 か れてい る だけな の で 、理 解で き る かどうか をたずねたところ 、

「避

難 場 所は 番号 だけでも 地元 の人 な ら わ か る」 と い う答 えだった 。

そ の他 の記 述に つ いて は 、

「 解 説 的な こ と が多 す ぎ る 」

「 火山現象 の説 明は 必要 ないので

は。なぜ 発生 す る の か は我 々に は関 係な い 。

」といった 解説 の簡略化 を求 める 声が 多かった 。

さ ら に「 重要 なことが 一目 でわかる よ う なポ ス タ ー的 なものがよい 」

「 ど ん な危 険があり 、

どうなったら 、ど う す れ ば よ い か の 記述 が必 要」 というように 、行 動 指 示を 簡潔 に示 した

方がよい 、という 意見 もあった 。

マップ の活 用に つ いて は 、

「 食堂 に貼 ってある 」

「事務所・休憩所 に貼 ってある 」

「客 室の

イ ン フ ォ メ ー シ ョ ンに 一部 をコピー して 入れ て あ る」とかなり 活用 し て いる よ うで あ っ た 。

また 観光協会 では 「マップ を記 念に ほ し い と い う 観 光 客がいる 」という 。ハ ザ ー ド マ ッ プ

(14)

時は 、噴 火 防 災 対 策が 1つ の観 光 資 源と なりう る 可 能 性を 示す も の で あ る。

次 に富士山 のハ ザ ー ド マ ッ プ

(試作版)と見 比べてもらうと、

「 美瑛 のマップ はウ ラに 記載

がないの がよ い」

「 富 士 山は 字の 大きさが 小さ す ぎ る 、複 雑 」と 美瑛 のマップ を評 価す る声

があがり 、最 後に は全 員が 「全 体として 美瑛 の図 のほうが わかりやすい 。

」 といっていた 。

他方 、下 流の 三沢地区 では 次の よ う な意 見が あ っ た。

ま ず図 についてだが 、

「 美瑛 の地 図は ぱ っ と見 て こ ち ゃ こ ち ゃ し て い る 。字 の小 さいとこ

ろが ある 。

「 等 高 線はない 方がよい 」と簡略化 を望 む人 が い る一 方 、

「マップ はわかりやす

い。避難場所 は番 号だ が、避難訓練 を毎年行 っているので 、番 号で も わか る 。」と 評価 する

声も あ っ た。 また 「地図中 の主 要 建 物( 小 学 校な ど) は大 きな 字で 書い て ほし い 。」「 道路

は は っ き り書 い て ほ し い」とラ ン ド マ ー クの 明 確 化を 求め る声 もあった 。避難 に つ い て は、

「避 難は 車で 行う こ と に な っ て い る 。避 難 訓 練も 車で お こな う 。昭 和6 3年 の噴火時 には

車に 位牌 など 避難道具 を積 み込 み避 難 準 備し た。

「 子 供に 服を 着せ て車 に押 し込 んだ 。」と

いう 。そ う し た中 で「 避難 路が 描か れ て い な い。もっとも 現場 には 看板 はあるが 。」と 避難

路の 記入 を求 める 声が あ っ た。 融雪火山泥流 は積雪期 に起 こ る が、 すべての 道が 除雪 され

て い る わ け で は な い 。そこで 、

「除 雪し ていな い(通行止 めの)道 路もかかれているとよい。」

と言 う人 も い た。 ただ し、 町で は噴 火の 危険 が迫 ると 避難道路 に重 機を 出し て、 緊急 に開

通させる と い う こ となので 、

こ れ に つ い て は 問題 な い の か も し れ な い 。

ま た図 を見 な が ら、

火山情報(緊 急・臨時 の区 別)について 尋ねたが 、あ ま り ぴ ん と き て い な い よ う で あ っ た。

よりわかりやすい 記述 が必 要か も し れ な い。

次 に活 用だ が、 5人 中3 人は 配布 さ れ たマップ を紛 失し てお り、 1人 はイ ン タ ビ ュ ーの

た め に、 奥か ら出 してきた 。ペ ンショ ン 経営 の1 人だけが 、フ ロ ン トに 掲示 していた 。一

般の 住宅 では マ ッ プは ほとん ど 貼ら れ て い な い よ う で あ る 。

その 理由 と し て、ある 主婦 は 、

「イ ンテリ ア 的に 地図 を室 内に 貼るのは 抵抗 が あ る 」と い

う。また「 貼れ る大 き さ はカ レンダ ー 大が 限度 」

「 私は A3 程度 」と い う声 もあった 。やは

りA 1版 は、 住宅 に貼 る に は、 大き す ぎ る の で あ ろ う 。ま た「 地図 が折 って 配布 されるの

で貼 ら ず に し ま わ れ る の で は。 丸め て配 布さ れ れ ば貼 る し かな い ので は 。折 ると 貼ったと

き に も で こ ぼ こ し て、きたない 。」と配 布 方 法の 工夫 を促 す声 もあった 。配られた マ ッ プの

保存 も、 1つ の問 題である 。

3. 全国 のハ ザ ー ド マ ッ プ

(15)

われわ れは

2003 年に、 火山 を擁 する 全国 の自治体 に依 頼し 、 住民向け のハザードマッ

プを 収集 した 。そ の結 果、 別表 のように

25 種類の マップを 収集 することができた(富士山

の試作版 は含 ま な い)。

ハ ザ ー ド マ ッ プ (あ る い は防 災マップ )は 火山周辺 の自治体 によって 作ら れ る が、 ほと

ん ど の場 合、 1つ の火 山が 複数 の自治体 に ま た が る の で、 火 山 防 災 協 議 会な どの 協 議 会を

設け て、 共通 のマップ を作 っている 。そ の結 果、 1つ の火 山で 1つ のマップ が作 成される

こ と が多 い。 し か し中 には 十 勝 岳の よ う に、 各町 が独 自の マ ッ プを 作成 し た り、 富 士 山の

よ う に、 1つ の協議会 が方面別 に複数作 る こ とで 、1 火山 に複 数の マ ッ プが 存在 すること

も あ る。

3.1 利用し や す さ

マップ の使 い や す さ に影 響す る要 素として 、ま ず考 え な く て は な ら な い の は、 全体 の大

き さ で あ る。 字を 大き く す る な どマップ の見 やすさを 考えると 、全 体の サ イ ズが ど うし て

も大 き く な っ て し ま う が、 そ う な る と見 る の も大 変だ し、 貼る 場所 にも 困っ て しま う 。

3.1 A 3サイズ の有珠山 のハザードマップ(表 面)

(16)

全国 のマップ を概 観すると 、最 もポ ピュラ ー なサイズ は

59.4cm×84.1cm のいわゆる A

1サイズ で あ る。 美 瑛 町、 岩 木 山、 岩 手 山、 蔵 王 産、 磐 梯 山、 浅 間 山、 九 重 硫 黄 山、 阿蘇

山、 霧 島 山 、富 士 山(試作版)などが 、 縦横 はさまざまである が、 いずれもこの サイズに該

当す る。 しかしすでに 述べ たよう に 、富士山 ア ン ケ ー ト調 査で は こ の大 き さ が適 当である

と す る人 は住 民の 1/ 3に し か す ぎ ず、 多く の人 が大 き す ぎ る と感 じている 。こ の大 きさ

では ドア や ふ す ま に貼 る こ と は で き な い し、 壁に 貼る に して も 面積 が大 きすぎて 、インテ

リア 的に 敬遠 さ れ が ち に な る。 貼り やすさ を 考えると マ ッ プは 小さ いほ う がい い 。

最も 小さ いマップ は、有珠山 や那須岳 のA 3(42×29.7cm) サイズ であった(恵 山もほぼ 同

じ大 きさ)。この サイズな ら冷蔵庫 にも 貼れるし 、コピーも 簡単 にできるので 使い 勝手 がよ

い で あ ろ う。

第二 に、 情 報 量を 確保 す る た め に表 裏 印 刷さ れてい る マ ッ プが 多い が、 貼る こ と を考 え

ると 裏面 は な いほ うがよい 。も ち ろ ん、 裏に は緊急性 が な い内 容を 選ん で載 せるといった

工夫 も見 られるが 、地 域拡大 図 と現 象 説 明が 表裏 に分 か れ て し ま っ て い る富士山 のような

場合 は、 配られた 当初 に見 る際 にも 、図 の理 解が 妨げ ら れ る こ と が あ る 。

も し、 ど う し て もA 3片 面に 収ま ら な い よ う な 内容 を伝 達したい 場合 には 、思 い切 って

冊子形式 にして もよ いの では な い だ ろ う か。

3.2 理解し や す さ

で は ど の よ う な 地図 が 望ま し い ので あ ろ う か。 小山(2001) によると 、ハ ザ ー ド マ ッ プ

のタイプ には表

3.1 のようなものがあり、中 でも 3)、特に 複数 の典型的 ケースからの 想定

図が 望ま し い と述 べている 。

3.1 ハザードマップの タイプ

1)最大実績想定型( 噴火史上 に起 きた 各 現 象の 最大実績 を想 定し ,危 険 区 域を 求め る) 2)特定現象着目型( 噴火史上 に起 きた 特定現象 (複数可 )に 着目 し, 危険区域 を求 める) 3)典 型 的 噴 火ケース 想 定 型(噴火史上 に起 きた 典 型 的な 噴 火( 複 数 可) を想 定し ,危 険 区 域 を求 める) 4)現行噴火対応型( す で に噴 火 開 始し て い る場 合, その 時点 ま で に生 じた ,あ る い は生 じつ つ あ る噴 火 を想 定し ,危 険 区 域を 求め る。 ( 小山真人, 月 刊 地 球 2001 年 11 月号 )

これまでの 議論 からも明 らかなように 、住 民の 立場 からすると、シ ン プ ルで 要点 を絞 った

図が 最も 望ましい 。そ うなる と 実 績 図は ど う し て も煩 雑に な る し、 複数 の現 象 別 想 定 図も

ど れ に注 目す べ き か を は っ き り さ せ な い と、 と ま ど い を与 える こと になるだろう 。多 くの

(17)

うか 。ま た火砕流 ・噴 石・ 溶岩 といった 噴火当初 に危 険な 現象 と、 土 石 流な ど、 噴 火 後の

降 雨 時に 危険 な現 象が 同一地図 にあ ることが 多い が、 このあたりは 図を 分け たほ うが 実用

的か も知 れ な い。 島 原 市の マ ッ プで は土石流 だけ を対 象に し て いた し、 十 勝 岳で も融雪火

山 泥 流を 中心 に し て い るが 、思 い切 って 最も 注意 を促 す べ き現 象に 的を 絞っ てマップ を作

るの もよ い か も し れ な い。

危 険を 知ら せ る に は 凡例 など 図の 説明 が必 要だ が、 記述 はシ ン プ ルに し、 できれば 図中

に説 明を 書き 込む こ と で、 凡例 をなくす ほう が望 ま し いの で は な い か。 実際 、美瑛町 、有

珠山 、雲仙普 賢岳 などには 凡例 が な い。 そ し て危 険の 程度 が、 赤・ 黄色 ・青 ・白 等のよう

に色 分けされ 、空間的 に一 目で 分か る工 夫も 必要 で あ る。 富 士 山( 試 作 版) な ど は比較的

わ か り や す い が、 御 嶽 山の よ う に、 危 険 度の グレード が わ か り に く いものも ある 。それと

ならんで 、噴 火 現 象の 説明 を し て、 具 体 的に ど の よ う な危 険が あ るか を 知ら せ る こ と も重

要である 。そ の際 、単 なる 火山学的知識 ではなく 、被 害の 程度 や対 処の 指示 をすることが

重要 で あ る。 写真 を入 れ た り、 字の 大き さ に よ っ て、 各 現 象の 危 険 度が 一目 で分 かるよう

に工 夫するこ とも 必要 で あ る。

次 に地 の地 図が わ か り や す く 、空 間 理 解が しやす い こと も重 要である 。これは 言い かえ

ると 、自 宅の 位置 や危 険 場 所の 認識 しやすさ のことである 。ほ と んど の マ ッ プの 原図 は、

国 土 地 理 院発 行の 地 形 図を ベ ー スに してい る 。地形図 には 2万 5千 分の 1、 5万 分の 1、

20 万分の 1と いったシ リ ー ズ があるが、その 中で は5 万分 の1 図ベース が比 較 的 見やすい 。

2万 5千 図で も よ い が 等 高 線・ 土地利用区分 など 、情 報が 細か す ぎ る。 20 万分 の1 は原

図に 緑の 濃淡 が あ り、 縮尺 も大 きすぎて 自宅 の位 置確 認が 難し い。 後で 危険度等 の色 分け

を施 さ ね ば な ら な い の で、 地の 図は 無 着 色がよい 。ま た浅間山 のような 衛 星 図は 非常 にわ

か り に く い。 原図 は拡 大し たほう が 見やすく 、縮 小すると ベ ー スの 縮尺 が大 きくても 字が

小さ く な り見 に く い。 美瑛 な ど は5 万分 の1 図を 拡大 しているので 見やすい 。

し か し、そもそも 国 土 地 理 院の 地 形 図に は 、

住 民にとっ て不必要 な情 報が 多す ぎ るの で 、

原図 もロ ー ド マ ッ プの よ う にシ ン プ ルに 加工 し直 す必 要がある 。

メ ン タ ル マ ッ プ の認識上 、

道路 ・鉄 道と い っ たライン だ け で な く地 名・ 建物 といった 点的 ランドマーク が豊 富なほう

が よ い。 特に 読図 の苦 手な 人は 方 向 性で は な く、 目印 で場 所を 認識 するので 、そ う し た人

への 配慮 が必 要である 。吾妻山 、草 津白根 山 な ど のマップ では 、施設名 や地 名の 表示 がわ

か り や す い。 また 危険区域 の着 色が 濃すぎず 、地 の文 字が は っき り 読め るほ うがよい 。樽

前山 、有珠山 、浅間山 、焼 岳、 御 岳 産などは 危険区域 の色 が濃 かったり 、網 掛け 表示 がし

て あ り、 地の 地図 が見 に く い。

(18)

所)避難したらよいかが 分からなくてはならない。ま ず避 難の タイミングである 。たとえば

気 象 庁が 出す 緊急火山情報 な ど は、 事態 の逼迫性 を知 る よ い指 標と な る は ず で あ る。 マッ

プを 見る と、 その ほ と ん ど で火 山 情 報の 種類 は解 説さ れ てい る 。し か し そ れ が行 動 指 示と

連動 している ケ ー スは 少な い。 それでも 焼岳 、御嶽山 、那須岳 など では 、

「 緊急火山情報 」

=「 要 避 難」、「臨 時 火 山 情 報」=「 要 注 意」、「火 山 観 測 情 報」=「 随時 」な ど、 行動指針

とセット になっており 、実用性 があ る( 例は 那 須 岳)。

ま た美 瑛や 草 津 白 根 山で は火山泥 流の 、

そして 那 須 岳で は溶岩流 の予 想 到 達 時 間があり 、

こうした 情報 も避 難の タ イ ミ ン グや スピード を考 える 際に 重要 で あ る。 一方 、樽 前山 、有

珠山 、恵 山、 吾 妻 山、 那 須 岳、 霧 島 山な どで は、 噴火 の前 兆 現 象が 書か れ てい る 。これも

単な る知 識の 羅列 ではなく 、

ポ イ ン トを 絞り 、避難 との 関 連 性を つ け る こ と が 重要 で あ る。

たとえば 有 珠 山で は、

「地 震 多 発は 必ず 噴火 につながると 考え て 、早 めに 避難 す る こ と が大

切で す」 とな っ て い る 。

注 意 事 項と し て は住 民の 心得 と し て、 どの マ ッ プに も類 似の 項目 が並 んでいる 。典型的

な例 と し て、たとえば アトサヌプリ では 、

「 噴火 に備 えて 」と題 して 、非常持 ち出 し品 を用

意す る、 避難収容施設 を確 認す る、 町内 の協 力・ 連絡体制 を確 認す る、 など があ げ られ て

いる 。ま た「 噴火 が始 まったら 」と 題し て、 あわてず 落ち 着い て行 動す る、 火山情報 に注

意す る、 戸締 まり ・火 の元 ・電 気などを 確認 する 、テレビ ・ラジオ ・役 場の 防災無線 や広

報車 な ど で正 しい 情報 を収 集す る、 デマ に惑 わ さ れ な い、 役場 の指 示に 従っ て避 難す るな

どが 載っ て い る 。 そのほか 、 災 害用伝 言 ダ イ ヤ ルの 利 用(岩手山)、 高 齢 者 等の 災 害 弱 者や

観 光 客の 避難 を助 ける(吾妻山、 浅間山他)、 避難勧告・ 避難指示 に従 う(雌阿寒岳 、霧島山

他)、谷底 や川 沿い は泥 流の 危険 がある(美瑛 、恵山他)なども ポピュラーな 項目 である。

こ れ ら も必要性 が高 いものに ポイント を絞 って 伝え る必 要が あ る の で は な い だ ろ う か。

たとえば 「あ わ て る な 」と いって も 、あ わ て て い る人 はマップ の記 述な ど思 い出 さ な いだ

ろ う し、 また 、

「 デマ に注 意」 と い っ て も、 デマ だと 知っ て惑 わされる 人は い な い 。

「 不確

かな 予知情報 は み だ り に人 に伝 え な い」 というほうが 、ま だ実際的 で あ る。

そ の一 方で 、

「 親戚 や知 人などに 避難 する 旨を 連絡 しておく 、子供 や高齢者 な ど は避 難に

時間 がかかるので 早め に避 難させる 、夜 間の 避難 は大 変 危 険な の で で き る だ け余 裕をもっ

て避 難す る」(北海道駒 ヶ岳)などは 、実際的 な注 意 事 項と い え る。

ま た、 非 常 持ち 出し 品の リ ス トや 、避難時 の服 装も 多く のマップ に載 っている 。たとえ

ば持 ち出 し品 としては 「携 帯 電 話・ ラ ジ オ、 貴 重 品・ 現金 、ヘ ル メッ ト ・マスク など 、常

備薬 ・応急医 療品 、非常食 ・飲料水 、懐 中 電 灯・ 雨具 など 、防 寒 用衣 料 ・下 着、 乳幼児用

品・ 介 護 用 品」( 恵山)な ど は典型的 なものである。ま た 詳しいものには 「 着替 え( 長 そで

上着 、T シャツ 、ズボン 、下着 、く つ下 など )、ヘルメット 、(防 災ずきん )、手 ぶくろ・軍

手、ゴ ー グ ル、 マ ス ク、 かさ ・カッパ 、リ ュ ッ ク サ ッ ク 、毛 布・ タ オ ル、非常食 (水

3 リ

ッ ト ル以 上、乾パ ン、もち 、缶 詰、レトルト 食品 、ア メ、チ ョ コな ど )

、常備 く す り・救急

箱、現金 ・小 銭、預金通帳 ・印鑑 、健 康保険 証 、携 帯 電 話 、ラジオ(予 備 電 池 )

、懐中電灯

(19)

広 域 的な 停電 や断 水は ま れ で、山か ら多 少離 れ れ ば日常的 な生 活が 行わ れ て い る ので ある 。

噴 火 避 難 時に 本当 に必 要な も の を、 ポイント を絞 って 提示 する 必要 が あ る。

た と え ば有珠山 では 、

「 学校 や病 院・福 祉 施 設で は教 材や カ ル テなどの 持ち 出し を考 えて

おく 」

「 農 作 物や 家畜 ・ペット のことを 考え て お く」 など 避難生活 の長 期化 を考 えており 、

実 際 的である 。そ の ほ か、 位牌 や思 い出 の写 真な ど、 家の 焼失 を考 えた 持ち 出し 品の 提示

も必 要な の で はな い だ ろ う か。

一方 、車 での 避難 の可 否は 、グ ル ー プ イ ン タ ビ ュ ーで も住 民の 知りたい 情報 としてあ

がっていたが 、ほ と んど の マ ッ プで 欠如 し て いた 。今 回 収 集し たマップ では 桜島 のものに

「避 難は 徒歩 で、 車は 使わない 」と あ っ た。 また 、駒 ヶ岳 や島 原市 のマップ でも 、車 によ

る避 難は ひ か え る よ う に と 記載 さ れ て い るという 。そ の一 方、 有 珠 山の マ ッ プに は「 避難

が遅 くなると 車が 渋滞 する 」とあり 、車 での 避難 を前 提と し てい る 。ま た聞 き取 りに 行っ

た美 瑛町 でも 、車避難 を前 提として 、車 での 避難訓練 を し て い た。 自 治 体 自 身が 「決 めか

ねている 」あ る い は「 黙認 している 」という 面も あ る の だ ろ う が、 なんとか マ ッ プに 記載

す る こ と は で き な いだ ろ う か。

地震 や風水害 とは 異な り、 噴火 では 、① 避難 する べき 距離 が長 い こ と、 ②避 難が 長 期 化

し一 度 避 難し た ら な か な か 自宅 に戻 れ な い こ と(荷物 が多 くなりがち)、③噴 石に は車 の屋

根が 一定 の有効性 を持 つ こ と、 そ し て④ 一般 に火 口 付 近の 危険地帯 には 人口 が少 なく 渋滞

が少 ない こと 、などの 特徴 が あ る。 こうしたことから 、郊 外で は で き る だ け 車 避 難を 可と

する 方向 で検 討す べ き で は な い か と 考え ら れ る。

第 三に 、避 難の 目 的 地である 避難場所 に つ い て で あ る。 ほ と ん ど のマップ では 避難所一

覧が 掲載 されているが 、ど の地 区の 住民 がどこに 避難 す べ き か や、 使用 す べ き避難路 につ

い て は記 述のない マ ッ プが 多い 。噴 火の 状況 によって 避難場所 が異 な る こ と も あ り、 はっ

きりできない 場合 もあるだろう が、 すくなくとも 避難 の方向性 くらいは 明示 しておくべき

だ ろ う。

以上、 必要 な実用的 情報 を述 べ た が、 実 用 的な マ ッ プは 同時 にシ ン プ ルで な く て は な ら

ない 。従 って マ ッ プに 載せ る情 報は 、必 要性 を基 準に 厳選 し な く て は な ら な い。

し か しこ れ ま で作 ら れ たマップ を見 ると 、必要性 が低 い情 報が 多く 載っ て い る。 た と え

ば、 グルー プイ ン タ ビュ ー でも 出た 「山 の恵 み」 はそ れである 。そ こ に は、 火山 は様 々な

観光資源 や、 おいしい 水を 作り 出し てくれ る 、と い っ たことが 書か れ てい る 。しかし 、こ

う し た情 報は 、ハ ザ ー ド マ ッ プ とは 別に 教 育 現 場 等で 知っ て もら う 必要 があるが 、避 難に

は不必要 な情 報で ある 。そ の ほ か必要性 の乏 しい 情報 に、 山の 写真 やマップ の製 作 目 的、

想定条件 な ど も あ る。 さ ら に観 測 態 勢や 火山情報伝達 の流 れ、 協 議 会の 活動 な ど は、 行政

職員 は知 ってお いた ほう がよ い 情報 か も し れ な い が、 住民 に と っ て は不必要 で あ る。 噴火

の歴 史に つ い ては 微妙 なところだが 、噴 火の 歴史 がマップ に反 映さ れ て い る わ け だ か ら、

詳し く述 べる 必要 は な い の で は な い だ ろ う か 。

「 防災 マ ッ プ」の目 的 は、教育 ではなく 、あ

くまでも 「防 災」 であることを 忘れ て は な ら な い 。

3.4 ハザードマップ の進 化

様 々な ハ ザ ー ド マ ッ プを み る と、 製作 さ れ た年 代に よ っ て か な り の違 いが 見られる 。

(20)

報を 強化 した 、住民向 けのものへと 進化 してきた と い え よ う(表 3.1)。

かつては 「危 険 区 域 予 測 図 」な どという 名称 も使 われていたが 、最 近で は「 火山防災 マ

ップ 」に 統一 さ れ て い る。すでに 述べ たよう に 、国土庁 の指 針が

1992(平成4)に 作られて

以 降 、 ハ ザ ー ド マ ッ プ 作 り が 進 ん だ が、 よ り 多 く 作 ら れ る よ う に な っ た の は 有 珠 山 噴 火

(2000∼01 年)以降である 。とくに有珠山以降 の新 しいものでは 、見 やすさが 改善 されたり 、

防災情報 が充 実す る な ど、 それ 以前 とは 大き な相 違が 見られる 。

しかし 、現 在 一 般 的 な「 火山防災 マ ッ プ」 の内 容は 、危 険 度 予 測 図に 様々 な防 災 情 報を

付け 加え た も の に す ぎ な い よ う にも み え る。 その 結果 、情 報の 網 羅 性・ 学 習 性に は富 んで

きた が、 避難 のための 実 用 性に は問 題が 残っ て い る。 もちろん 、こ う し た「 防災 マ ッ プ」

も自治体 職員 や住 民の 啓 蒙 用と し て は有 用である 。しかし 次の 段階 としては 、避 難に 的を

絞っ た、 より 実用 性の 高い マ ッ プの 製作 が必 要な の で は な い だ ろ う か。

たとえば、美 瑛 町の マ ッ プは「火 山 防 災マップ 」で は な く「 防 災 緊 急 避 難 図」と題 され 、

いざというときの 住民 の緊 急 避 難を 想定 して 作ら れてい る 。そ の意 図はまだ 十分 に実 現し

てい る と は必 ず し も い え な いが 、今 後は 、そ う し た方 向へ の発 展が 、お お い に望 まれると

こ ろ で あ る。

3.1 ハザードマップの 進化

名称

①危 険 区 域 予 測 図

②火 山 防 災マップ

③防 災 緊 急 避 難 図

内容

科学的危険度地図

危 険 度 地 図+ 防災情報

避難 を中 心にした 地図

特徴

科学的正確性

情報 の網羅性 ・学習性

シンプル さ・ 実 用 性

主な 対象 科学者+ 行政

(防 災 部 局 )

自 治 体 職 員+ 住民

住民

北海道駒 ヶ岳 大 島

富 士 山 その 他

美 瑛 町

(21)
(22)

全国の火山ハザードマップ(火山防災マップの特徴の概要

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 1 アトサヌプリ 59.4 × 42 ㎝ 裏有 典型的噴火ケ ース推定型 凡 例 シ ン プ ル、地図内に 書き込みあり 地の文字は見 づらい5万図 を縮小 火山情報の直 感的解説あり 噴火が始まっ たら 弟子屈町の活 火山」噴火史 弟子屈町 国 際航業 平成 13 年 ことばが平易 2 雌阿寒岳 59.4 × 42 ㎝ 裏有 複数の典型的 噴火ケース推 定型 凡 例 シ ン プ ル、シナリオ あり 困難 20 万図 を拡大 火山情報に注 意 服装出し品避 難所一覧 山の写真 過 去の噴火 足寄町 国際 航業 平成12 年 工夫あり 地 図は見にくい 3 十勝岳 美瑛町 59.4×84.1 ㎝ 裏なし 過去 2000 年 をもとにした 想定図 凡例なし 現 象解説なし 可能 (5万 図を拡大)図 は見やすい 火山情報 地 図内に泥流到 達時間記入 避 難 経 路 図 避難所171 泥流からの逃 げ方図示 立入規制の種 類 美瑛町 北海 道地図 地図を最大に 取りシンプル 4 十勝岳上富良 野町 51.5×72.8 ㎝ 裏なし 想定図 凡例シンプル 図中に書き込 み 解説は泥 流のみ 可能(2万5 千図を縮小 なし 避難所 服装 他イラスト多 用 「火事が起き たら」「地震の 時は」 上 富 良 野 町 平成13 年3月 5 樽前山 42×59.4 ㎝裏 なし 1739 年と同規 模を想定 凡例大きい現 象・被害の説 明雲仙との比 較 困難 20 万図 危険範囲の着 色が濃い 火山情報の種 類 前兆現 象 噴火が始まっ たら災害に備 えて 火山情報の流 れ 風向頻度 道市町 国際 航業 平成6 年 真ん中で2つ 折り、めくる 方式

(23)

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 6 有珠山 42 × 29.7 ㎝ 裏有り 1822 年と同規 模噴火を想定 凡 例 な し 各 現 象 の 写 真 ケース別に現 象、場所解説 困難 (20 万 図を拡大)危 険域の着色濃 い 地震多発は噴 火に直結→早 期避難 避難のポイン ト(車の渋滞 長期避難を考 え 教 材, カ ル テ,家畜の持ち 出し) 噴火史 市 町 村 国 際 航業 平成14 年 避難場所なし コ ン パ ク ト (A3) 7 北海道駒ヶ岳 84.1 × 118.9 ㎝ 裏有り 特定現象着目 型 × 3 図 そ の他8図あり 危険度分けあ るが、どの現 象の危険度が 高いか不明 困難(250m メ ッシュ図を 1/20 万分に縮尺 火山情報の種 類・発令基準 避難所一覧 噴火史、航空 写 真 協 議 会 の活動、観測 体制 駒ヶ岳火山防 災会議協議会 平成11 年 行政資料型ハ ザードマップ 巨大 8 恵山 44.5 × 31 ㎝ 裏なし 小噴火と中噴 火に分けた想 定図 凡例 項目は 少ないが説明 が多い 火山 現象の解説な し やや困難(2 万5千図を縮 小)危険区域 の着色に透過 性なし 前兆現象 「もし噴火し たら」 火山防災会議 協議会(恵山 町、椴法華村) ア ジ ア 航 測 平成13 年 情報コンパク ト 9 岩木山 59.4×84.1 ㎝ 裏有り 典型的ケース 想定図 凡例普通 見にくいが可 能(20 万図ベ ース) 噴火推移解説 あり なし 山の恵み 制 作目的 観光 案内 火山史 県 砂防地す べり技術セン ター 14 年 キャラクター によるナビゲ ーションあり 10 岩手山 84.1×59.4 ㎝ 裏無 過去2回から の想定図 凡例単純 可能 (5万 図ベース) なし 避難所の場所 なし 建 設 省 県 市 町村 平成10 年

(24)

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 11 蔵王山 59.4×84.1 ㎝ 裏有り 2000 年間最大 規模による想 定図 凡例簡素 蔵 王山Q&A 可能 若干見 づらい(20 万 図と5万図ベ ース) 火山情報の解 説 避難時の心得 5箇条 服装 については図 示 持ち出し 品 想定条件噴火 史火山情報の 流れ観光案内 県 市町村 砂 防地すべり技 術センター H14 12 吾妻山 84.1×59.4 ㎝ 裏有り 1893 年実績と 同程度を想定 凡例わかりに くい 危険度 不明 可能(2 万 5 千図ベース縮 小 ) 学 校 名・施設名入 り 火山情報の種 類 噴火の前 兆現象 避難経路と方 向あり 避難 所 避難の心 得 持出し品 噴火歴、観測 態勢、火山情 報の伝達方法 市町村(火山 防 災 連 絡 会 議)平成14 年 泥流について 具 体 的 記 述 イラスト豊富 13 安達太良山 59.4×42.0 ㎝ 裏なし 900 年前噴火 と同程度を想 定 凡例標準 可能(5万図 ベース縮小) 危険区域の色 分けわかりに くい 火山情報の種 類 避 難 の 心 得 携行品リスト なし 市町村(火山 防災連絡会議) 制作年不明 14 磐梯山 84.1×59.4 ㎝ 裏なし 1888 年と同程 度を想定 凡例簡素 危 険度不明 困難(2万5 千 図 を 縮 小 か)→見にく い 火山情報の種 類は提示され るが解説なし 避難経路 山の写真 火 山情報の伝達 経路 市町村(火山 防 災 連 絡 会 議)製平成13 年

(25)

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 15 那須岳 42 × 29.7 ㎝ 裏なし 水蒸気爆発と マグマ噴火の 2図を想定 凡例簡素 危 険度なし 可能(5万図、 20 万 図 ベ ー ス) 火山情報を行 動指示に結び つ け 明 快 溶 岩流の予想到 達 時 間 前 兆 現象 なし 山の写真 市 町 村 ・ 県 ダイヤコンサ ル タ ン ト H14 年 16 草津白根山 72.8×51.5 ㎝ 裏有り 50 年、100 年、 200 年に一度 の3種の想定 凡例複雑(3 種類の想定が 混在)噴石・ 火山灰の解説 可能(5万図 ベース)地名 豊富 火山情報の種 類 泥流の到達時 間図示 心 得 噴 火 時 の 注 意 持 出 し品リスト 火山情報の流 れ 作成の趣 旨 町村 国際航 業 平成7年 登山・交通規 制の細目 火 山ガスへの警 戒呼びかけ 17 浅間山 84.1×59.4 ㎝ 裏なし 1108 年噴火を 想定 凡例簡素 危 険度不明 発 生する現象の 図示 火山用 語の解説 不可能(20 万 分 の 一 衛 星 図)危険域網 掛け表示で、 地の文見えず 火山情報 避難場所 噴 火が始まった ら 噴火に備 えて 火山情報の流 れ 天明噴火 の被害 経緯 市町村 国際 航業 平成7 年 図が見にくい サブ図が多い 18 焼岳 59.4 × 42 ㎝ 裏あり 2000 年前と同 規模を想定 凡例簡素(説明 なし) 火砕流 と火砕サージ を区別 危険 度なし 部 分 的 に 可 (20 万図を拡 大)→見やす い危険域の表 示濃く地が見 にくい 火山情報(解 説・行動指針 付き) 前兆 現象 防災用品リス ト 噴火時の 注意 噴火史 火山 情報伝達経路 目的 山の写 真 各村 砂防地 滑り技術セン ター 平成14 年 御嶽山と同型 式

(26)

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 19 御嶽山 59.4 × 42 ㎝ 裏あり 過去 9-2 万年 の実績をもと に想定 凡例簡素(説明 なし)火砕流と 火砕サージを 区別 危険度 なし 部 分 的 に 可 (20 万図を拡 大)→見やす い危険域の表 示濃く地が見 にくい 火山情報(解 説・行動指針 付き) 防災用品リス ト 噴火時の 注意 噴火史 トピッ ク 火 山 情 報 伝 達経路 目的 山の写真 村 県 砂防地 滑り技術センター アジア航測 平 成14 年 焼岳と同型式 20 伊豆大島 88 × 62.5 ㎝ 裏なし 実績図と現象 別想定図の混 合型 凡 例 複 雑 地 質学的でわか りにくい 実 績多い 溶岩 流下区域・避 難施設が詳細 可能 (2万 5千図) 避難情報(サ イレン・打鐘 パターンの図 示) 避難時の身支 度 避難所 避難 壕 避 難 港 ヘリポート図 示 災害時の情報 の流れ 町 国際航業 平成6 年 地質学的情報 が詳細すぎる 桜島と同タイ プ 21 九重硫黄山 59.4×84.1 ㎝ 裏なし 想定図だが根 拠は不明 危険について は土石流流出 方向のみ。 可能(2万5 千図) 火山情報の種 類 噴火が始まっ た ら 持 出 品 リ ス ト 火 山 災害に備えて 避難路図示 山情報の流れ 町 危険情報が少 ない 22 阿蘇山 59.4×84.1 ㎝ 裏有り 不明 噴石・火砕サ ージ・降灰の 可能(2万5 千図)地の地 火山情報 立 入禁止の赤い 火口付近から の避難方法フ 火山史 町村 国際航 業 平成7年 火山灰の厚さ と被害の関係

(27)

火山名 1外観 (タテ x ヨコ) 2タイプ (メイン図) 3危険の理解 しやすさ 4 空 間 理 解 (自宅把握) 5避難タイミ ング 6行動指示 7必要度の低 い情報 8発行元・制 作者・発行年 9特記事項 23 雲仙岳 (H5 年まで 13 枚 そ の 1 例 島原) 29.7 ×42.0cm (広報誌版) 現行噴火対応 型(+土石流 想定図) 土石流のみを 対象 凡例無し 避 難対象区域を 示すものでシ ンプル 可能(2万5 千図を縮小) 大雨注意報で 避難準備、自 主判断と防災 無線で避難開 始 児童・要介護 者についての 取り決め詳細 平 成 5 年 度 建設省復興工 事事務所+市 別 刷( マ ッ プ 型)を全戸配布 分析は広報誌 版 24 霧島山 84.1×59.4 ㎝ 裏なし 500 年に一度 の想定図 凡例はシンプ ル 絵 入 り 想 定火口別の想 定のため図は 煩雑 火山現 象の解説はあ るが危険度は 不明 可能(20 万図 を拡大) 火山情報の種 類 前兆現象 噴火が始まっ たら 火山情報の流 れ 県町村 国際 航業 平成8 年 火砕物の厚さ と被害の関係 火山ガスに注 意 25 桜島 75×54 ㎝ 裏 なし 有史以来の実 績図+大正噴 火規模想定の 現象別予測図 凡例 シンプ ル過去の溶岩 流/ 火 砕 流 / 降 灰域の3種 可能 (2万 5 千 図 を 縮 小) 大規模噴火で は、噴火が始 まる前の避難 が大切 前兆 現象 避難先 避難 港 避難時の 心 得 車 は 使 わない なし 市町 国際航 業 平成6年 伊豆大島と同 タイプ

参照

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