連邦取引委員会による広告の規制
一日本の不当表示規制への示唆ur
内 田 耕 作
Ⅰ はじめに
アメ.リカ合衆国にあつてほ,1960年代後半把おけるコンレユ−マリズムの榛 東を契機として,連邦取引委員会紅よる広告規制をめぐる諸状況に大きな変化 があった。そういった変化は種々雑多でプラグマティックなものであるが,次 のよう紅まとめることができよう。すなわち,①従来適用されてこなかった規 制要件が新たに適用されるようになった,⑧新しい類型の排除措置が命じられ るようになった,⑧消費者情報の適正化のための新しい仕組みが考案された,
(1)
④命令の形成過程への大衆参加が認められるようになった,というふうに・であ る。
こういった連邦取引委員会の最近の広告規制活動については,私ほ.,従来の
(2)
広告規制活動と対比しながら紹介・検討をおこなってきた。というのも,従来
(1)もっとも,厳密にいえば,命令形成過程への大衆参加は,広告規制に固有のもので はない。しかし,連邦取引委員会の命令の形成過程への大衆参加は,連邦取引委員会
紅よる広告規制と密接に周達しているといえよう。というのほ,命令形成過程への大
衆参加は,広告規制の分野でまず問題となったし,この命令形成過程への大衆参加の 申立とともに,訂正広告命令という新たな類型の排除措置が要員会把捉案されている
からである。論理的紅も,消費者に直接かかわりをもつといえる広告に対する連邦取 引委員会の規制を問題として,消費者大衆が参加を申し立てるということは最も考え
られうることであるように思われるからである。
(2)規制要件の動向紅ついては,「連邦取引委員会による広告規制の歴史的展開一要件
を中心として−」法学雑誌23巻2号268ぺ・−・汐(1976年),「連邦取引委員会による
欺瞞的広告の規制」法学雑誌23巻4号588ぺ一汐,24巻1号141ぺ一汐(1977年),「連
邦取引委員会紅よる不公正な広告の規制」法学雑誌23巻1号110ぺ」一汐(1976年)参
照。排除措置の動向については,「連邦取引委員会消費者保護命令の新展開」法学雑誌
21巻3号416ぺ一−ジ,4号521ぺ−ジ(1975年)参照。消費者情報の適正化のための新
連邦取引委員会による広告の規制 −Jg7−
411
の広告規制の法理と比べて,極めて注目すべき広告規制の法理の展開がおこな われてル、るからである。また,この時期の連邦取引委員会把よる広告規制の法 理の新たな展開ほ,日本に.おける不当表示規制の法理の展開に.対して極めて大
きな示唆を与え.るもののように、思われたからである。
もっとも,それらの論文を書いたときの私の関心ほ,個別の論文のテーマと して二示したそれぞれの論点をきわだたせるととに.あった。したがって,個々の 論文では,論文のテーマ相互の関係はかならずしも充分に明らか把.されて−いる とほいえ.ない。そこで,今日までの研究の成果をふまえながら,連邦取引委員 会に.よる広告規制の法理に.ついて鳥放するまとめの論文を書きたい。
との論文ではまた,日本の公正取引委員会紅よる不当表示規制は連邦取引委 員会による広告規制から何を学ぶぺきかということをも考えたい。この点紅つ いて考えることによって,将来予定している公正取引委員会に.よる不当表示規 制の検討に際しての一つの視角が得られるものと思われるからである。
もっとも,本稿では,ある一一つの観点−たとえば消費者情報の適正化とい う観点−−から連邦取引委員会に.よる広告規制の法理をみてゆくというような 方法をとって:いない。をういった方法が極めて有用なものであることほ事実で
あるが,本稿ではむしろ,連邦取引委員会に.よる広告規制の法理の展開を多面 的把.析出し,もって日本の公正取引委員会紅よる不当表示規制が連邦取引委員 会軋よる広告規制から学ばなけれはならない点をトー・クルに明らかにするとい うことに重点を置きたい。その点で本稿の叙述ほややまとまりを欠くものとな
(8)
るがやむをえない。
したがってまず,規制要件の動向,排除措置の動向,消費者情報の適正化の ための新しい仕組み,命令の形成過程への大衆参加の順に,連邦取引委員会に
しい仕組み紅ついては,「連邦取引委員会による不実証広告の規制」法学雑誌22巻3号
412ぺ」−・汐 (1976年),「連邦取引委員会の広告実証プログラム」法学雑誌22巻4号588
、ぺ−ジ(1976年)参照。命令の形成過程への大衆参加紅ついてほ,「連邦取引委員会の 命令形成過程への大衆参加」法学雑誌24巻2号246ぺ」−ジ、 (1977年),3号397ぺL−・ジ,
4号502ぺ−ジ(1978年)参凰,
(3)連邦取引委員会による広告の規制が消費者情報の適正化にとってどのような役割を
果たしうるのかといった視角からの再検討は別の機会に譲ろう。
算51巻 欝3・4写 412
ー∫βg−・
よる広告の規制に.ついてのまとめをしながら,公正取引委員会による不当表示
り) 規制が学ぶべき点を明らかにしよう。続いて,不当表示の規制に際して我々ほ
どのような態度で臨むぺきかという点についての示唆を連邦取引委員会による 広告規制から得たい。
ⅠⅠ規制要件の動向
(8) 連邦取引委員会による広告規制の実体要件となるのほ,「 欺瞞的な行為蜜たは
(¢) 慣行」と「■不公正な行為または慣行」とである。従来ほもっぱら前者が用いら
れて/いたが,コソシュこ・マリズムの橿頭を契機に後者も用いられるよう紅なっ
た。以下,このこ.とが何を意味しているのかを探ってみたい。そうすることに よって,日本の不当表示規制の要件の展開に.対して示唆が与え.られるように思 おれるからである。
コンて/ユ−−マリズムの榛頭を契機とする不公正な広告の規制は,何も唐突に 開始されたわけでほなかった。それは,それまでの欺瞞的広告の規制の展開の 実績に.立脚したものであるといえよう。
1938年,「不公正な競争方法」という実体要件紅加えて,「不公正または欺瞞的 な行為またほ慣行」という実体要件がホイラー・リー修正法紅よって新たに遵
(7) 邦取引委員会法貨5条に挿入された。それは,コモン・ロ−・・のもとで遵法な活
動あるいは反トラスト法違反となるおそれのある活動の規制に委員会の権限を
(4)なお表文では,注(2)であげた拙稿から随時引用するが,逐一典拠は示さないこと にする。
(5)なお,管轄要件,すなわち,「商業」およぴ「公共の利益」紅関しても,消費者保護 的機能の拡充が歴史的に.みうけられる。拙稿「連邦取引委員会による広告規制の歴史 的展開一要件を中心として−・」法学雑誌23巻2号268,280−83ぺ−ジ(1976年)
参照。
(6)1938年のホイラーー・リ・−修正法紅よっで両規定が挿入されるまでの実体要件は,「不 公正な競争方法」のみであった。その要件のもとでも広告規制ほおこなわれた。拙稿
・前掲272−73ぺ−ジ参照。しかし,その要件のもとでの広告規制は,実質的紅ほ,
広告が欺瞞的であるとして規制するものであった。See Note,The Regulationof Advertising,56Colum.L。Rev.1018,1025n.45(1956).
(7)See15U.S.C.Aい §45(a)(1975Pamphlet No.1).
連邦取引委員会による広告の規制 ーヱ∂9−
413
(8)
限定したり,違反の規制に.際して違反が競争侵害低またはその可能性をもつこ
(9) とを委員会が現実に立証することを要求したりす皐ような裁判所の判決檻よっ て,委員会の活動,とりわけその消費者保護的活動が大きく制限されるこ.とが 予期されたからであった。
そして,このホイラー・リー修正法制定以後は,広告の規制紅挺しでは「欺 瞞的な行為またほ慣行」という要件がもっぱら用いられてきた。というのは,
こ.の要件の方が「不公正な行為または慣行」という要件よりも明確であり,か つ,この要件のみで広告の規制ほ充分おこなえ.ると考えられたからであった。
もっともそこにほ,何が欺瞞的な行為または慣行となるかは司法審査を条件と して委員会に委ねられて几・、るという考慮が働いていたであろう。そしで実際,
委員会は,この「欺瞞的な行為またほ慣行」という要件のもとに欺瞞的広告の 規制をおこない,「欺瞞」概念の外延を拡張サーることに.よって軽々の広告慣行の 規制をおこ.なってきたのである。
連邦取引委員会が禁じる欺瞞的広告ほ.,広告における墨大な非真実,すなわ ち,消費者の購買決定把影響を与える虚偽表示のみであり,些細なものを含ま ない。消費者の購買決定に彪響を与える虚偽表示としてほ,生命・身体に危険 な事実の不実表示,経済的損失を与える不実表示,製品の特質からみて非本質 的な事実の不実表示がある。
製品が生命・身体に危険であり,有害であるかいなかは,消費者の購買決定 にとって極めて憲要である。この,製品の危険性に.ついての不実表示が欺瞞的 といえるということほ,争いの最も少ないところであるように思われる。
取引内容あるいは取引条件がどのようなものであるかほ,これまた,消費者 の購買決定にとって極めて重要な要素である。したがって,取引内容に′ついて の不実表示は,消費者の購買決定紅影響を与えるものといえよう。また,価格 や品質保証といった取引条件についての不実表示も,同じく,消費者の購買決 定に.影響を与えるものといえよう。
(8)FTCv.GIトatZ,253U.S.421(1920).
(9)FTCv.RaladamCo・,283U・S・643(1931)
第51巻 欝3・4号 414
・−ユタ♂−
ところで,消費者の購買決定に.影響を及ばず虚偽表示ほ,生命・身体に危険 な事実の不実表示,経済的損失を与える不実表示に限られるのではない。製品 の起源紅ついての不実表示のように.製品の内在的な特質とほ直接に.関係をもた ない点での不実表示も,消費者の購買決定に影響を及ぼす場合が考え.られう る。こういった不実表示は.,井本質的不実表示と呼ばれている。そのようなも のめ・一つの類型として,広告され・た製品の内在的な特質と実物の内在的な特質 とは同じではあるが,実はその製品は消費者が買おうとレたものとは違い,消 費者が期待した物を手紅入れることができなV■、場合がある。たとえば,起源に つV、ての不実表示,製造過程・販売過程の不実表示,規模または施設の不実表 示,他の製品表示の使用,証明書等の取得紅関する不実表示がそうである。も
う−一つの類型としては,消費者は買おうとしたものを手に入れているとしても 売主が消費者の購買を誘引する方法に問題のある場合がある。たとえば,訪問 販売やおとりのように.最初に消費者と接触する段階での不実表示,保証(en・
dorsement),証言,テスF,実演のように広告主張を支持する客観的な証拠 に関する不実表示,製品の効能などの積極的製品主張のための合理的根拠が存 在するかのどとき印象を消費者に.与え.る不実証広告がそうである。
こうした非本質的不実表示は,製品の内容とか取引条件とはかかわりあいを もたず,いわば本質的でない点での不実表示であるのセ,消費者の購買決定に 実質的な影響を与えるものでほないとの批判もあろう。しかし消費者は,生命
・身体に害のない,品質の良い物を適正な取引条件で手に.入れることで満足す るものではない。消費者は種々の時好をもっている。また,消費者は,商品を 購入するよう不当に.誘引されてはならないのである。つまり,消費者は,商品 や取引条件のみならず,その他種々の事実紅ついても適正な情報を与えられ,
また,飽から不当な影響を受けることなく自ら,実際に商品を買うのかいなか,
どの商品を買うのか紅ついて合理的な決定をおこなわなければならないのであ る。この要請を満たすものとして,委員会は,非本餐的不実表示の規制をおこ なっているのである。
このように.,連邦取引委員会は欺瞞的広告としで広範な広告慣行の規制をお
連邦攻引委員会による広告の規制 −ヱ9J−
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こなっている。とりわけ非本質的不実表示の類型を拡張することによって広範 な広告慣行の規制をおこなってきたといえよう。この,「欺瞞」概念の外延の可 絶な限りの拡張濫.よって連邦取引委員会が薄々の広告慣行を規制しようとして きたという点が,日本の不当表示規制が学ぶぺき点の・一つであろう。・一つの要 件を可能な限り拡張するこ・とによって,その翠件の限界が明らかになってく る。また,そうすることに.よって,別の新しい要件を適用する必要性が認識さ れるし,その新しい要件の適用軋対する承認が得られることになる。日本の不 当表示規制は,諸問題の存在に.もかかわらず,不当表示規制の主たる要件競走 である景表法第4轟とくに.その算3号を充分に適用し,規制の展開をはかって きたとはかならずしもいえない。このことは,日本に.おいて不公正な広告の規 制の要件規定として独禁法欝19粂の「不公正な取引方法」を実際軋通用するこ
く10)
との是非ともかかわってこくるように.思われる。
この点,アメリカ合衆国では,コソシュ」−・マリズムの接頭を契機として,従 来はとんど用いられていなかった「不公正な行為またほ慣行」という要件が適 用されるようになった。このこ.とほ,長年に.わたる欺瞞的広告め規制の遂行の
うちに得られていた認識,すなわち,「欺瞞」概念紅はおのずから限界があり,
すべての広告慣行を欺瞞的広告として規制することはできないとの認識や,「疲 瞞.」概念とほ別の概念に題づき規制をおこなった方が望ましい場合もあるとの 認識が,具体的行為となって表われたということを意味しているといえよう。
連邦取引委員会が,不公正であるとして規制するように.なったのは,適正な 情報が提供されていないという現実そのもの,あるいは,消費者の弱みにつけ 込むというような広告主の広告をおこなう潜度それ自体である。
前者紅.該首す−るのが,生命・身体の危険,製品内容,取引条件等について,
消費者の購買決定にとって重要と思われる適正な情報が広告主匿よって提供さ れてこいない場合である。ところで,こういった不表示は,従来,欺瞞的広告と
(10)なお,ここでは不当表示規制の考え方一般紅ついて言及しているのであっで,解釈 論を展開しているのではない。この点は留意されたい。詳細な解釈論ほ別稿に議らざ
るをえない。
欝51巻 第3・4号 416 ーヱ92−・
して規制されうるものであるかいなかとして問題になった。つまり,消費者の 購買決定檻.と一ろて.重要な事実を開示していないこと.が,積極的な虚偽と同様隼
ミスリL−デイングとなり,したがって欺瞞的となるかいなかが問題となった。
連邦取引委員会ほ,・−一定の事実を広告物において開示していなV、こ・とが虚偽 となるというこ.とを規定する,1938年のホイラ、−・リ一億正法によって連邦取
(11)
引委員会法に追加された食品等のラペリング以外の虚偽広告物の解釈規定や連
(12) 邦取引委員会に執行権限を付与しでいる積極的開示立法と呼ばれる−−「連の法律 から示唆を得つつ,連邦取引委員会法第5条のもとでの広範な裁量権限を行使
することに:よって∴:不表示が虚偽かつ欺瞞的となりうるとして規制をおこなっ てきた。
したがって,はとんどの不表示ほ,欺瞞的広告として規制されうるものでは ある。しかし,欺瞞的広告として規制しようとすれば一定の事実を表示しない 広告が消費者をミスリ−ドするものであるかいなかが問題となってくる。この 制約のために,欺瞞的広告として規制するのが困難あるいは不可能と思われる 不表示もある。また,消費者の購買決定にとって重要な事実が開示さ叫ていな いことが消費者をミスリ−ドするとして規制するのではなく,むしろ,重要な 事実が開示されていないことそれ自体が消費者にとって不公正であるとして規 制する方が率直であるように思われる。ここ紅,不表示を不公正であるとして 規制する意味がある。もっとも,委員会が従来から不表示を欺瞞的であるとし て規制してきた実績の上紅.立って,不公正な広告としての木表示の規制がおこ なわれているのであるということは,留意されなければならない。
連邦取引委員会が,不公正であるとして規制するように・なったもう一つの類 型は,広告主の広告をおとなう態度それ自体である。これに・該当するのほ,消 費者の願望,恐れ,罰の意識などに.不当につけ込む広告,高年的な慣行,小売 食料品店での広告製品の入手不可能およびミスプライシ∵/グ,不実証広告など
(11)See15U.S.C.A.§55(a)(1)(1973)。なお,拙稿・前掲(注5)277ぺ−ジ をも参照。
(12)拙稿・前掲278−79ぺ−・ジ参照。
連邦取引委員会による広告の規制 ーJβ∂−
417
である。このような不公正と考えられている広告主の態度は,「欺鵬」概念によ って捕捉するのほ極めて摘難であるか,全く捕捉しえないものである。ここに,
不公正な広告として規制する意味がある。
このように.,広告が虚偽で消費者をだます潜壷的なカをもっているかいなか を問題とするのでほなく,適正な情報が提供されていないという現実そのも の,あるいは,広告をおこ.なうに際しての広告主の態度またほ広告後の広告主 の態度それ自体を問題とすることは,欺瞞的広告の規制とは異なった,別の新 しい規制のデイメソ㌔ヨンを拓くものであるように思われる。また,それは,
欺瞞的広告の規制と比べて,問題の発生源での根本的解決を可能とするものと いえる。しかも,「不公正」概念は,「急激に変化する経済に歩調を合わすこと
(1a) ができる漸進的かつ発展的な適用を可能とするダイナミックな分析手段」とし て極め・て有用なものである。この点,日本でも「不公正な取引方法」という要 件を適鳳することによって不公正な広告の規制をおこなうことが期待されてい るム
ところで,こ.の「不公正」という概念はあいまいな概念であるので,ほとん どすべての広告を不公正であるとして規制することが可能である。しかし,私 は,すべての広告を不公正な広告として規制すべきであるとほ思わない。そうで ほなく,明らか紅欺瞞的である広告ほ「潮時的な行為またほ慣行」という要件 のもとで規制すべきであると考えている。けだし,「欺瞞」という概念と「不公 正」という概念を比較した場合,前者の方がはるか紅明確な概念であるからで ある。
そして,かならずしも明確でない「不公正」要件を用いなければならない場 合にほ,委員会が,どのよう紅考.え.てある広告が不公正となるのか,あるいは,
どのような基準である広告が不公正となるのかについて明らかにすることが必 要であるように.思われる。そうしてはじめて,何が不公正となるのか紅ついて 広告主紅予見可能性を与えることができ,その結果,違反を抑止することが可
(13)PfizeI・,Inc,81F.TlC.23,61(1972)
418 第51巻 貨3・4号
−」.94−
能となるからである。さらには,委員会による法の執行も容易となるからであ る。
しかも,規則を制定すると.とによって,どのような広告が不公正上なるかに ついて∴細かく規定することが必要であるように思われる。この点1975年の連 邦取引委員会法改正によって,「不公正またほ欺瞞的な行為または慣行となる 行為または慣行を明確に定義する規則」の制定権限が明文でもって委員会に付
(14)
与されたことは,極めて興味深い。けだし,どのような広告が不公正となるの かについての実体的規則の制定を一層促進することとなるように思われるから である。規則を制定することによって何が不公正な広告となるか紅ついて明ら かにす皐といった配慮も,日本の不当表示規制が学ぶべき点の一つであるよう に.思われる。
ⅠⅠⅠ排除措置の動向
コンシューマリズムの接頭を契機として,違法な行為を禁じるのみならず,
積極的行為を求める命令,すなわち,訂正広告命令,返還命令,クーリング・
オフ期間設定命令といった新しい類型の排除措置が提案されたり,命じられた りするようになった。これらの種々の積極的行為を求める命令ほ,この期に突 然おこなわれるよう紅なったのでほない。それほ,コン1ンユ−マリ.ズムの超頑
までの排除措置の展開の上に.立ったものである。そこで,この点を明らかにす ることによって−,日本の不当表示規制に.おける排除措置に・対する一つの示唆が 与えられるものと思われる。
連邦取引委員会法の法文およびその制定史に・よれば,排除措置の範囲に関し ては何ら明言されておらず,したがって,連邦取引委員会は,どのような排除 措置を形成するかについては広範な裁屋権限を付与されているように思われ る。それに対し,裁判所は,消極的に排除措置の範囲を限定するのみで,排除 措置が拡大されうる範囲を積極的に・明らかに・しでおらず,委員会の広範な裁愚
(14)See15U.S..C.A.§57a(1975Pamphlet No.1):
連邦取引委員会による広告の規制 −ヱ95−
419
権限を認めているように思われる。
そこで,委員会は実際のところ,欺瞞的広告の規制に.際して種々の根拠から
(15)
積極的開示を求める命令をときおり発してきてごいる。つまり,槙極的開示が,
生命・身体の安全の確保のために必要であるとか,購買決定紅とって重要な製 品内容,取引条件またほその他の非水質的事実についての不開示による大衆の 実質的なミスリ−ドを阻止するの把.必要となるとか,あるいほ,将来の違法行 為の反復の防止のため紅必要であるとかという根拠である。しかも,このよう な積極的開示命令は,裁両所によって支持されている。
このように.連邦取引委員会が排除措置の形成紅あたり広範な裁患権限を行使 して:きたということは.,日本の不当表示規制が学ばなければならない点セあ る。との点,排除命令について規定する景表法第6条1項および不公正な取引 方法の差止紅ついて規定する独禁法第20条1項の解釈論的展開によって,違法 行為の単なる禁止のみならず,種々の積極的行為を排除措置として求めること は可能であるように思われる。特紅,景表法の排除命令の場合紅ほ確実紅.そう いえるように㌧思われる。
アメリカ合衆国の場合,連邦取引委員会が欺瞞的広告の規制紅.際して排除措 置として積極的開示命令を従来から発してきたことほ.,委員会が積癌的開示の みならず,必要とあらばその他の積極的行為を求める命令をも発することがで きるということを意味していたといえよう。実際,委員会は.,コンシュ∴−マリ ズムの時代になって−,種々の積極的行為を排除措置としで求めている。
そういったものの一つが,訂正広告命令である。それは,当該不実表示の禁 止に加え,一定期間,広告費の何パ−セントかを充当し,以前の広告ほ欺瞞的 であったということを広告主が開示するよう命じるものである。この訂正広告 命令は,−・定の開示を広告主紅h求めるという意味で積極的開示命令の一種であ
る。しかし,訂正広告命令ほ,従来の積極的開示命令とは大きく異なる。従来
(15)なお,この展開に対しては.,連邦取引委員会法第12条以下の食品等の広告紅関する 規定のうちの虚偽広告の解釈規定ならび紅積極的開示立法の与えた影響が大きいもの
と思われる。拙稿・前掲(注5)276−79ぺ−ジ参照。
第51巻 第3・4号 420
一Jp6−
の積極的開示は,将来の広磐物での欺瞞的主張を防止するため紀要求される。
それ紅対し,訂正広告ほ,過去の欺瞞的広告の残余効果の消散のために要求ざ れる。したがって,それは,将来の広告物がもほや欺瞞的主張をおこなってい ないとしても要求されるこ.と紅なる。訂正広告として−・定期間,広告費の何パ
−セントかを充当することによって過去の広告が欺瞞的であったということを 消費者紅.知らせることは,消費者の保護となるということはいうまでもない。
それのみならず,そのことが消糞者の行動軋影響を与えたり,そのことに・よっ て広告主が不当に得た利得が吐出される結果,違法な行為に・よってかたむいた 競争上のアンバランスが回復されること紅なる。このよう紅,訂正広告命令は,
伝統的な差止命令紅対してはもちろんのこと,積極的開示命令紅対してもほる か紅,消費者保護および競争秩序維持の観点からみて有用なものであ畠といえ
る。
返還命令は,不公正またほ欺瞞的な行為またほ慣行濫.よって取得した金銭ま たほ財産を違反者が消費者紅.返遺するよう命じるものである。この命令砿魔づ き金銭または.財産が返還されるのほ,差止命令確定後紅.損失をこうむった購入 者でほなく,確定命令以前の違反者の行為紅.よって損失をこうむった者であ
る
のこうむった観失が回復されるという点で,消費者保護に.役立つものといえよ
う。また,それは不当に.得た利得を吐出させるという点で,競争上の原状回復 効果をももつものであるといえよう。これらの点で,この命令は,従来の伝統
(16)
的な差止命令と比べて極めて商用なものといえるであろう。
(16)もっとも,委員会が返還命令を発したうちの−・V3(UniversalCredit Acceptance Corp.,3Trade Reg‖ Rep。§20240(FTC1973))の司法審査紅おいて,控訴裁判 所は,委員会が返還命令を発する権限を有しないと判示した。その主たる理由は,制 定法違反と宣言する前の行為によってこうむった損害紅対して委員会が私的救済を命
じるのほ,連邦取引委員会法の全般的目的と}徹せず,許されないということである。
Heater v。FTC,503F 2d321(1974).それに対し,委員会は,サ−Vオレ・−ラ イ(ceItioIaIi)を求めなかったが,返還命令を発する権限を有するとの信念を再確 認している。See Scher et al.っ EmergingIssues under the M11gn11SOn−Moss
WaIでantyqThe FederalTrade CommissionImProvement Act,45 Antitrust
L.J.96,102(1976)り(Iema工ks of G.Norton);Abrams,Section205and206
連邦取引委員会による広告の規制 l一一Jp7▲
421
ク−リング・オフ期間設定命令は,委員会が,制裁なしで契約の解除ができ る何日かのク−リング・オフ期間,すなわち.,頭を冷やして契約をみなおす熟 慮期間を売主が買主紅与え.ることを命じるものである。この命令が発せられる のほ,高圧的あるいは欺瞞的な販売策略,非良心的な販売攻勢紅.よって,熟慮 する適当な時間をもたない間に消費者紅契約を締結させるような慣行をおこな っている者に対しでである。そこで,この命令か,消費者の保護となることほ いうまでもない。それとともに,この命令は,不公正な競争から事業者を保護 し,競争者が同様の慣行紅訴宜るのを防止するものでもある。つまり,この命 令は,公正な競争秩序の維持にも有用なものである。
このように,これらの命令ほいずれも,基本的に効果的でなく;かつ,しば しば無視される,遵法行為の単なる禁止を求める犯すぎない伝統的な差止命令 を歴史上ほじめて越えるものであり,有効な消費者保感となる、可能性をもつよ
うに思われる。さらに・ほ ,これらの命命は,消費者保護ととも紅,競争秩序維 持をも念頭に.おいて考案されたものであるという点で極めて注目私儀するもの のように腰、われる。そこで,当面審判軋訴えででも,こ.れらの命令を制度とし て安定させることが肝要であろう。そうすることによって,裁決のみならず,
多くの開拓者的作業が必要とされる法分野の探査,展開のために創設され,か つ,その権限を付与された連邦取引委員会の本来の費務が全うされるこ′と把.な るであろう。日本においても,公正取引委員会ほ,消費者保護に.有用であり,
かつ,競争秩序維持に・も役立つ排除措置を,さしあたりその成否はともかくと して,模索する必要があるであろう。
ⅠⅤ 消費者情報の適正化のための新しい仕組泉
まず不実証広告の規制紅ついて,続いて広告実証プログラムについて述べよ う。
Of the FederalTradeCommissionImprovement Act,44AntitrustL.).523,
530(1975).連邦取引委員会紅広範な裁塩梅限を認めてきた最高裁判決(FTC v
Sperry&Hutchinson Col,405U.S.233(1972))からすれば,返還命令が認め
られないとの結論にほ問題があるよう紅思われる。
−ヱ9β− 算51巻 第3・4号 422
(1)不実証広告の規制
木実証広告の規制ほ,「不公正」要件を適用することによって可能となったも
(17) のである。そして,不実託広告を不公正であるとレて■規制することが可能とな
った緒泉,新しい類型の排除措置が命じられうることとなった。不実託広舎と ほ,広告主が,製品の効能などに.関する主張いいかえれば積極的製品主張をお
こなうだけの合理的根拠を広告に先立ちもつことなく,そのような主張をおこ なうものであり,不公正な慣行となる。それ風潮してほ,合理的根拠のない主 張を広告主がおこなうのを差し止める命令,結果的にほ,広告主が広告に先立 ち主張が真実であることを実証するよう求める命令すなわち広告実証命令が発 せられること紅.なる。
この不実証広告の規制の法理の特質は,欺瞞的広告の規制中法理の特質と比 較するときに.より・岬層明らかになる。策1点は,規制対象の拡大にみられる。
不実証広告の規制によって新たに,結果的に呉実であっても広告に.先立ち広告 主によって実証されていない広告,およぴ,虚偽であると立証されがたいが真 実であるかいなか疑わしい広告が規制の射程距離内に、入ることとなった。欺瞞 的広告の規制の法理のもとでほ,広告が虚偽かつ欺瞞的である場合紅のみ規制 がおこなわれるに.すぎない。つまり,広告が結果的軋真実であればよく,広曽 主が広告に.先立ち広告においておこなわれる、−・定の主張が真実であるというこ
とを実証したかいなかは問題とならない。また,広告が虚偽であるということ の立証責任が委員会にあることとあいまって,真実であるかいなか疑わしいが 立証が容易でない主張が広告においておこなわれている場合紅ほ,事実上規制 がおこなえない。第2点ほ,委員会の立証負担が緩和されるということにみら れる。不実証広告の規制の法理のもとでほ,委員会は,広告主が広告に・おいて おこなう主張のための合理的根拠をもっていなかったということを立証すれば
よい。欺瞞的広告の規制の法理のもとでは,委員会は,広告が虚偽かつ欺瞞的
(17)もっとも,不実証広告を欺瞞的広告として規制しえないわけでほないように思われ る。この点についてほ,拙稿「連邦取引委員会による欺瞞的広告の規制(2・完)」法
学雑誌24巻1号141,154ぺ」一汐(1977年)参照。
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であるということを立証しなければならない。第3点は,広告の虚偽がしばし ば発生する段階で広告が兵実であることを確保するのを可能とする極めて有用 な排除措置が命じられるということに載られる。不実証広告の規制の法理のも とでは,広告主が合理的根拠をもたないである積極的製品主張をおこなうのを 差し止める命令,実質的に.は広告実証命令が発せられる。欺瞞的広告の規制の 法理のもとでほ,積極的行為を求める命令もときおり発せられてはいるが,違 法行為の単なる禁止を求める命令が発せられるのが一山般的である。
このように,欺瞞的広告の規制の法理が広告の機能面を問題とするのに対し て,不実証広告の規制の法理は広告主の広告をおこなう態度それ自体を問題と しているということができる。そこで,この不実証広告の規制ほ,広告の真実 性を確保するの紅極めて有用な方途であるということができる。
もっとも,この有用な不実証広告の規制も,散発的に.おこなわれるにすぎな いなら,その有用性は限られたものに止まる。そこで,第1に,広告に.おいて おこなわれる主張の類型ごとに,何が実証となるカモに関する客観的な規準を規 則として定めることが考えられる。そうすることによって,広告主ほ.,広告に おいでおこなおうとする主張の合理的根拠が何であるかを知ることができる。
また,そうすることに.よって,委員会紅よる法の執行も容易となる。寛2に,
(18)
広告実証プログラムとのり・エゾンが考えられる。それに.よって,不実証広告紅 関する産業規模での違反の発見が可能となる。というのは,広告実証プログラ ムのもとでは,広告の実証に関する資料の提出命令が,いちどきに.,・一・産業内 の複数の会社紅対して発せられており,プログラムに基づいて振出された資料 を分析すれば広告が不実証であるかいなかが発見されるからである。その結果,
産業規模での違反の規制が可能となるし?ひいては,産業規模での広告慣行の 向上がもたらされることになる。
このように,不実証広告の規制は,広告でおこなわれる主張の実証に.関する 規則の制定や,広告実証プログラムとのリエゾンによって,それがもつ有用性 が高められるものである。また,不実証広告の規制は,そのような努力を試み
(18)後述ⅠⅤ(2)参照。
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るだけの価値を隠するもののように思われる。不実証広告の統一・的な規制体系 が築かれなければならないゆえんである。
ところで,情報の適正化にとって極めて有用と思われるこの不実証広告の規 制を日本においておこなおうとすれほ,その法的根拠はどこにおかれるであろ
うか。まず,景表法貨4条3号の指定によっそ不実証広告の規制をおこなうこ とができるように思われる。連邦取引委員会も不実証広告を欺瞞的広告として
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規制しようとしていること紅ついてほふれた。もう−一つは,独禁法第19条の不
(餌)
公正な取引方法として「規制することが考えられる。これほ.,連邦取引委員会が 主としてとろうとしている方法と一致する。もっとも不実証広告の規制紅際し ていずれの要件規定を用いようとも,排療措置の面での障害の克服の方ほむし ろ容易であるよう紅思われる。というのは,排除措置としては広禽主が合理的 根拠をもたないで積極的製品主張をおこなってほならないとの命令が発せられ るにすぎないからである。つまり,その命令ほ形式的にみれば単なる禁止を求 めるにすぎない差止命令にすぎず,事実上広告実証命令として機能するにすぎ ないからである。
なお,不実証広告の規制の法理は,広告規制のための法理紅とどまるもので ほないように思われる。つまり,この法理ほ,消費者の生命・身体の安全紅か かわる製品に.閲し=てほ製造業者が実際にそれが安全であるとの合理的根拠をも つことなく製造し販売してはならないというように,製品の製造および販売そ れ自体の規制の手段として展開される可能性をも、つものであるように思われ
る。この点でも,不実証広告の規制ほ,注目に価しよう。
(2)広告実証プログラム
連邦取引委員会は,広告製品の安全性,性能,効能,品質または比較対照価 格に関する主張を実証する資料の提出を広告主に.求め,それに応じて広告主に
よって提出される資料を大衆の利用に供するというプログラムを決議した。委
(19)注(17)参照。
(20)なお,不公正な取引方法の定義規定(第2条9項)の何号を適用するかといった解
釈論については将.来の検討を待ちたい。
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連邦取引委員会による広告の規制
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員会は,資料を大衆の利用に供することによって,大別してこつの目標,すな わち,消費者の合理的な製品選択を助けること,およぴ,違反を抑止し,公正 な競争を確保することを企図していた。同時紅,委員会は.,資料が公表される 結果として,訴追,規則制定などによる政府介入の必要性が,ある程度まで,
広告に.おいておこなわれる主張についての消費者の自覚および知識の増大とい う形をとった自由市場インセンチイヴに取って替えられるであろうということ
(21)
をも期待していた。
ところで,この広告実証プログラムは,差止命令という形で消費者情報を適 正化しようとする仕組みとはいくつかの点で異なる。第1k,差止命令ほ,広 告主の連邦取引委員会法貨5条違反に・対する排除措置として命じられるの軋対
し,広告実証プログラムは,広告主が違反をおこなっているかいなか紅かかわ らず,広告製品紅関する−・定の主張を実証する資料を提出するよう広告主に求 め,それに.応じて提出される資料を大衆の利用に・供しようというものであろ。
第2に,差止命令が法違反に対する排除措置として命じられるのに対し,広雀 実証プログラムは,積極的に,実証寧料を広告主から人事し,大衆の利用に供 しようというものである。策3紅,差止の目的が達成されるかいなかは,究極 的にほ.,消費者が,適正化された情報を利用することに・よって一合理的な製品選 択をおこなうかいなかにかかっているが,差止命令ほ,本来的に,広告主紅発 せられることによヶて完結するものである。そして,差止命令紅従わない広告 主に対しては制裁が課されることになるbそれに.対し,広告実証プログラムの
目標が達成されるかいなかは,かなりの程度まで,個人消費者,消費者グル−
プが,果たすことが期待されている役割を全うするかいなか紅かかっており,
しかも,全く強制手段はない。それだ仇 個人消費者等の積極的活動が期待さ れているといえる。
このように,広告実証プログラムは,消費者情報の適正化のための極めでユ ニークな新しい仕組みである。もっとも,広告の主要テーーマとなる製品につい
(21)もっとも,広告実証プログラムが違反発見の仕組みとして機能するということ紅つ
いてはすでにふれた。前述ⅠⅤ(1)参照。
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ての主張を実証する資料が消費者にイ云適され,それを参考として消費者が製品 の購買を決定するとしても,消費者の購買決定紅必要と思われる,製品に.関す るあらゆる情報が提供されていることにはならない。現代の広告はあまりに・も 製品に.ついで情報を提供するものではないので,広告の主要テーマとなる製品 に.ついての主張を実証す・る資料の提供は,それだけでほ,消費者の購買決定に 必要な情報としてほ極めて不充分だからである。
しかし,今,着目しなければならないのは,たとえわずかな情報であっても,
委員会が積極的に製品に関する情報を提供する法的仕組みを作り出したという 事実そ・のものである。というのほ,消費者の購買決定にとつて必要な情報があ
まりにも提供されてV、ないという現状を反映じて,従来から製品に関する情報 の提供の必要性が大きく叫ばれていた紅もかかわらず,そのような情報を提供 する一般的な仕組みははとんど全く提起されてこなかったからである。そ・の 点,広告実証プログラムほ,購買決定紅とって必要な,製品についての情報の 提供紅向けて,ささやかな一歩を踏み出したといえよう。今後の課題は,広告 においておこなわれる製品に関する主張紅よって枠付けされない製品について の情執 すなわち,広告紅おいて−主張されていないにもかかわらず,消費者の 購買決定に.とって重要な製品紅ついての情報を提供する方向に向けてさらに.進 むことであろう。
この点,日本にトおいても,不当表示がおこなわれてからそ・れを規制するとい ういわば消極的な規制のしかたでほなく,消費者の必要とする情報を積極的に 提供するとV、うしかたでの消費者情報の適正化の必要性は,極めて大きいもの のように思われる。そこで,そのような方法で消費者情報を適正化してゆくた めの努力がおこなわれなけれはならない。さしあたり,消費者情報の適正化の ために.,独禁法算40条および算43条の情報収集および情報公表の権限を行使す
ることができるかどうか検討されなければならない。
Ⅴ 命令の形成過程への大衆参加
行政の決定過程への大衆参加は,アメリカ合衆国に‥おいてほ,1960年代後半
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以降,大きな政治的,社会的問題であり,法学上も極めて興味深い展開が示さ れてし、る。連邦取引委員会の命令形成過程に.おいても,大衆の参加が試みられ,
かつ,それが委員会によって認められている。このこ.とほ,従来の規制のパタ ーン,すなわち,公益訴追者たる連邦取引委員会と違反者たる被番人(あるい ほ違反者と目される被疑人)とが命令形成過程に.おいて対略するというバク・−
ンに大きな変化をもたらすものであり,連邦取引委員会が公益を全面的に.代表 するという「神話」の崩壊を意味するものといえよう。
もっとも,−・定の申立人が連邦取引委員会の手続へ参加する当然の梅利をも
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