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消費者による連邦取引委員会法の執行

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Academic year: 2022

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(1)

ー は じ め に 三 論 点 の 検 討

H

消費者保護と連邦取引委員会法の目的︵以上三巻三号︶

口消費者への私的訴権の付与と連邦取引委員会法の立法意図 口消費者への私的訴権の付与と連邦取引委員会法の目的の達成

①連邦取引委員会による消費者保護目的の達成の度合︵以上四巻二号︶

②私的執行が連邦取引委員会による執行に及ぼす影響︵以下本号︶

③私的執行が認められうる場合 四代替手段の利用可能性とその有用性 四 む す

び 目

費 者 に よ る 連 邦 取 引 委 員 会 法 の 執 行

︵ 三

・ 完

5‑3‑397 (香法'85)

(2)

されるのを確実にするということである︒ と合致しているかどうかについて検討する︒

' j

.1  

 

消費者への私的訴権の付与と連邦取引委員会法の目的の達成︵続︶

私的執行が連邦取引委員会による執行に及ぽす影響連邦取引委員会による執行が私的執行によって阻害さ

れることになれば︑私的執行を認めることの意味は少ないということができる︒逆に︑連邦取引委員会による執行が

私的執行によってあまり阻害されないということになれば︑私的執行を認めてもさしつかえないということになる︒

そこで︑以下︑私的執行が連邦取引委員会による執行に対してどういった影響を及ぽすのか︑また︑それは重大なも

のであるのかどうか︑について検討を加えることにする︒

まず︑私的執行がもたらすと考えられるメリットについて検討する︒続いて︑私的執行がもたらすと主張されるデ

メリットについて検討する︒そして最後に︑私的執行がもたらす結果が︑連邦取引委員会による執行がもたらす結果

私的執行がもたらすと考えられるメリット

( 4 6 )  

ち︑メリットと考えられるのは次のものである︒

第一は︑連邦取引委員会法のより十全たる執行が可能となるということである︒これに寄与するのは︑次の二つの

ことがらである︒すなわち︑第一は︑連邦取引委員会は︑公共の利益となると信じるときにのみ︑

始することができるにすぎず︑ 私的執行が連邦取引委員会による執行に対して及ぼす影響のう

その審判手続を開

また︑委員会の人的物的資源は限られているのに対し︑私訴はこういった制約を受け

ないということである︒第二は︑消費者は︑連邦取引委員会よりも︑連邦取引委員会法が正式に執行されることに対

してはるかに大きなインセンティブをもっているので︑消費者の私訴を認めるということは︑法が一層効果的に執行

第二は︑潜在的な違反者に対する抑止力が強力となるということである︒消費者が︑損害賠償または

(2)  (→ 

︵お

よび

︶差

5‑3‑398 (香法'85)

(3)

第五は︑消費者に︑

っては︑消費者は︑

こうむった損失を回復させることができるということである︒連邦取引委員会による執行によ

こうむった損失を回復することはできないというのが一般の見方である︒それに対し︑消費者が に合致しているということである︒ ことができる︒ 強いられていると感じず︑

した

がっ

て︑

ばならないなら︑

止救済を利用することができるということは︑連邦取引委員会だけによる執行よりも︑事業者に対してより大きな抑

止力をもつということになるように思われる︒もし︑違反の結果︑消費者がこうむった損害を広告主が賠償しなけれ

そのことが︑違反の抑止効果を達成する︒消費者がクラス・アクションを用いることができると想

定される場合には︑違反の抑止効果はさらに大きくなる︒他方︑差止救済は︑連邦取引委員会の差止命令と似ている

が︑それも︑抑止力をもつように思われる︒というのは︑連邦取引委員会に加えて︑消費者も︑違反行為をやめさせ

ることとなる手続を開始することができるということは︑監視の目が増えることになるからである︒

第三は︑消費者が私的救済を与えられるなら︑連邦取引委員会は︑すべての不服の申立てについて考慮することが

一層重要な事件のみを処理するようそのプライオリティーを移すことができ

るということである︒また︑委員会は︑多くの執行負担から解放されて︑インフォーマルな相談および規則制定を通

じての政策の展開にその限られた資源を充当することができるようになるということである︒その結果︑些細で技術

的な違反を訴追するのに過剰にかかわり︑公的に重要な問題を含んでいる事件を選択していないとの批判を克服する

第四は︑訴訟の対象となる違反は︑自由市場において︑とくにアト・ランダムに選定されるので︑行政機関による 執行に内在するほとんど回避不可能な恣意性が排除できるということである︒つまり︑選定という結果を本来的に回

避することができない行政的執行によって人工的にバランスを変えるよりも︑私的執行は︑経済のシステムとはるか

5‑3‑399 (香法'85)

(4)

私訴を提起すれば︑損害賠償を得ることも可能になる︒この点も︑

佃私的執行がもたらすと主張されるデメリット

て︑

広告

主が

私的執行が連邦取引委員会による執行に対して及ぼす影響の

うち︑デメリットと主張されるのは次のものである︒すなわち︑第一は︑私的執行によって︑連邦取引委員会が︑連

邦取引委員会法のもとでの先例の展開をコントロールする力を奪われるということである︒第二は︑私的執行によっ

やっかいな訴訟にさらされるということである︒第三は︑私的執行によって︑違反者に対して過度の

制裁が加えられるということである︒第四は︑私的執行によって︑司法積極主義が導入されるということである︒以

下︑それぞれについて︑簡単な検討をおこなうことにする︒

⑧先例を展開する連邦取引委員会の力連邦取引委員会法は︑その第五条において︑﹁不公正な競争方法または

不公正もしくは欺眺的な行為もしくは慣行﹂を違法とし︑この広範な禁止を執行する権限を︑専門的機関である連邦

取引委員会に与えている︒このように連邦取引委員会に執行権限が与えられたのは︑専門的な機関である連邦取引委

員会が︑﹁不公正な競争方法または不公正もしくは欺職的な行為もしくは慣行﹂の具体的な内容を統一的に明らかにす

るということを期待したからであった︒そこで︑消費者が私訴を提起することによって︑裁判所が︑独自に︑﹁不公正

な競争方法または不公正もしくは欺腸的な行為もしくは慣行﹂の具体的な内容を確定することができるならば︑それ

( 4 7 )  

によって︑法が意図している執行のしくみは害されることになる︒以上が︑私的執行のデメリットとして主張される

ことの第一点である︒

しかし︑こういった結果は︑消費者による私的執行に必然的に伴うものではない︒

容を援用することができるからである︒

つま

り︑

メリットの一っとしてあげることができる︒

というのは︑すでに連邦取引委

員会が禁止の具体的な内容を明らかにしている場合には︑裁判所は︑連邦取引委員会が明確にした禁止の具体的な内

その場合には︑裁判所は︑法の禁止の具体的な内容を改めて独自に

四四

5 ‑3‑400 (香法'85)

(5)

確定することは必要ではなくなるからである︒したがって︑

ということができるが︑

というわけではないということである︒ そのような場合には︑専門的な機関である連邦取引委員

会が確定した法の具体的な内容と裁判所が確定した法の具体的な内容が併存したり︑あるいは︑相互に矛盾したりす

るといった︑法の具体的な内容についての混乱が生じる危険性を避けることができる︒

そこで︑結局︑先例を展開する連邦取引委員会の力に関しては︑私的執行は︑一般に︑デメリットを内包している

そのデメリットは︑私的執行に必然的に随伴するものではなく︑私的執行を一定の範囲に限

定することによって︑克服することができるものであるということができる︒

⑮やっかいな訴訟からの広告主の保護連邦取引委員会法は︑﹁公共の利益﹂となるときに限り︑その審判手続

を開始することができるということを定めている︒この﹁公共の利益﹂という要件が挿入されたのは︑次のことを示

すためである︒すなわち︑連邦取引委員会法の禁止の内容が広範であるので︑すべての事件で正式の執行が望ましい

つまり︑連邦取引委員会は︑公益性についてのその判断に従って︑多様なイ

ンフォーマルな執行手段を選ぶこともできるし︑また︑正式の執行手段を選ぶこともできるということである︒見方

を変えていえば︑公共の利益とはならない審判手続の開始から︑広告主を守るというのが︑連邦取引委員会法の政策

である︒したがって︑被告の行為が連邦取引委員会法に違反しているときはいつでも︑消費者が自由に私訴を提起す

るのが許されるとすれば︑﹁公共の利益﹂とならない訴追から広告主を守るという法の政策は︑確実にくじかれるとい

( 4 8 )  

うことになる︒その結果︑法の政策とはうらはらに︑広告主は︑やっかいな訴訟にさらされるということになる︒こ

れが︑私的執行のデメリットとして主張されることの第二点である︒

四五

しかしながら︑公共の利益とならない審判手続の開始から広告主を守るために︑公共の利益という要件が連邦取引

委員会法に挿入されたという理解については︑疑問がある︒公共の利益という要件が連邦取引委員会法に挿入された

5‑3‑401 (香法'85)

(6)

のは︑連邦取引委員会の人的物的資源が限定されているので︑些細な事件に連邦取引委員会をかかわらせないように

し︑より重要な事件にその人的物的資源を充当させるためであった︒

したがって︑連邦取引委員会が︑﹁公共の利益﹂となるときにのみその審判開始決定をおこなう結果︑違反をおこな

った広告主が一定の場合に訴追されないということになるが︑それは︑その広告主が訴追を免れる権利をもっている からではない︒それは︑審判の開始決定に﹁公共の利益﹂という要件が課せられていることの反射的な効果にすぎな い︒たとえ審判開始決定がおこなわれないとしても︑広告主の行為は︑依然として︑違法なままである︒そこで︑そ の行為に対して消費者が私訴を提起することによって︑連邦取引委員会法を執行するということは︑法の目的に反す

ることではなく︑

また︑審判の開始決定が公共の利益とならないときには広告主は︑事件をインフォーマルな手続で解決できる権利

をもっているわけではない︒

ンフォーマルな執行手段についての規定をもっていないからである︒インフォーマルな執行手段は︑連邦取引委員会

の規則で定められているにすぎない︒

ーマルな執行手段を選ぶのかは︑連邦取引委員会の裁量に属することがらである︒ゆえに︑連邦取引委員会のもとで はインフォーマルな執行手段によって解決がはかられると思われるような違反に対して︑私的執行がおこなわれると

して

も︑

結局

かえって法の目的を達成することになる︒

ことになるとしても︑ というのは︑連邦取引委員会法は︑執行手段として正式のものしか規定しておらず︑

しかも︑連邦取引委員会が正式の執行手段を選ぶのか︑

それによって︑広告主の権利が不当に侵害されるということにはならない︒

そのことは︑私的執行のデメリットであるということはできない︒ イ

または多様なインフォ

やっかいな訴訟から広告主を保護するということは︑連邦取引委員会法の執行権限を連邦取引委員会に付与 したことの究極の目的ではないので︑消費者に私的訴権を許すことによって︑広告主がやっかいな訴訟にさらされる

四六

5 ‑ 3‑402 (香法'85)

(7)

議は妥当性を失なうことになる︒

︑ ̀ ' '

d ︵ 

四七

違反に先立ち︑不公正︑欺職的またはミスリーディングと考えられていなかっ

︵ 違 反 者 に 対 す る 過 度 の 制 裁

た慣行をおこなったために︑インジャンクションが発せられたり損害賠償が命じられたりするということは︑会社を

( 4 9 )  

過度に罰する結果になる︒このことも︑私的執行のデメリットとして主張される︒

しかし︑連邦取引委員会は︑過去七

0

年にわたり︑連邦取引委員会法の禁止の内容を具体的に確定してきたのであ

るから︑事業者は︑どういった行為が連邦取引委員会法上問題にされうるか判断を下すことができると一般にいうこ

とができる︒また︑連邦取引委員会が禁止の内容を具体的に明らかにしている状況に私的執行を限定すれば︑この異

私的執行を認めることによって司法積極主義がもたらされるということも︑私的執行

( 5 0 )  

のデメリットとして主張される︒ 司法積極主義の導入

しかし︑連邦取引委員会法は︑包括的であるとしても︑不公正または欺眺的な行為または慣行が違法であると明確

に宣言しているのであるから︑裁判所は︑政策形成という立法機能を奪うということには必ずしもならない︒また︑

消費者保護という必要性の方が︑司法積極主義に対する異議よりもはるかに勝っているということもできる︒なお︑

すでに述べたように︑連邦取引委員会が禁止の内容を具体的に明らかにしている場合にのみ消費者による私的執行を

認めるとすれば︑

り u i  

この批判は妥当性を失なうことになる︒

私的執行の結果と連邦取引委員会による執行の結果との相反性消費者による私的執行が認められるべきで

あるかどうかの検討に際しては︑さらに︑私的執行がもたらす結果が︑連邦取引委員会による執行がもたらす結果と

( 5 1 )  

合致しているかどうかをみておかなければならない︒もし︑私的執行の結果が︑連邦取引委員会による執行がもたら

す結果と絶対的に合致しないなら︑消費者への私的訴権の付与は認められるべきではないということになる︒

5 ‑ 3‑403 (香法'85)

(8)

致しないということにはならない︒

消費者に私的訴権を付与することからは︑次の三つのことが帰結する︒すなわち︑①一定の状況において︑法を正 式に執行する権限が消費者に与えられる︑②法違反が立証される場合には︑損害賠償および︵または︶差止という救

済が消費者に与えられる︑③そういった救済のために︑大きな抑止効果が生じる︑ということである︒そこで︑以下︑

それぞれが︑連邦取引委員会による執行の結果と合致するかどうか︑検討を加えることにしよう︒なお︑ここで実際

に問題となるのは︑差止という救済ではなく損害賠償という救済であるように思われるので︑以下の検討では︑損害

的であるようにみえる︒ 連邦取引委員会法は︑﹁公共の利益﹂となるときに限り︑ 賠償という救済に焦点をあてることにする︒

①正式の執行権限を消費者に付与することの適切性 連邦取引委員会が審判の開始をおこなうことができると規定しているにすぎない︒同法には︑禁じられている行為を すべて排除すべきであるということを議会が意図していたという結論を導く規定はどこにも存在しない︒そこで︑連 邦取引委員会が正式の執行手続を開始するまで︑連邦取引委員会法は︑事業者が違反し続けるのを許しているという しかし︑連邦取引委員会法は︑連邦取引委員会が行動をおこすまで︑法違反の状態が継続するのを許すという政策

を積極的に明らかにしているわけではない︒また︑連邦取引委員会が行動をおこさないのは大部分の場合︑連邦取引

委員会の人的物的資源が限られているからであり︑その関心が欠けているからではない︒

そこで︑連邦取引委員会法は︑連邦取引委員会による執行を補完して︑消費者が執行をおこなうということに好意

ゆえに︑連邦取引委員会法による禁止の内容が具体的に明らかにされている限りで︑この点

に関しては︑消費者が同法を執行するということと︑連邦取引委員会が同法を執行するということとは︑絶対的に一 ことができるかどうかが問題となる︒

四八

5‑3‑404 (香法'85)

(9)

四九

損 害 賠 償 を 消 費 者 に 付 与 す る こ と の 適 切 性 一 定 の マ ー ケ テ ィ ン グ 慣 行 を 差 し

止めることによって︑間接的に消費者を保護するということを意図しているにすぎない︒それは︑すべての効果的な

手段を尽くして︑こうむった損害を消費者に回復させるということを意図しているわけではない︒そこで︑消費者が

私訴を提起するのを許すことによって︑消費者が損害賠償を得ることができるようにするということは︑連邦取引委

( 5 2 )  

員会による執行の結果と合致しないのではないかという疑問が生じてくる︒

たしかに︑損害賠償がもつ損害の回復という機能にのみ着目すれば︑私訴の結果は︑連邦取引委員会による執行の

結果とは合致しないということになる︒しかし︑損害賠償がもつもう︱つの機能︑すなわち︑違反の抑止という機能

に着目すれば︑私訴の結果は︑連邦取引委員会による執行の結果と合致するということになる︒しかも︑連邦取引委

員会法違反によって典型的な消費者がこうむる被害は︑むしろ僅少なものであるので︑消費者による私訴は一般に︑

損害の回復を意図したものではなく︑違反の抑止をねらったものであるということができる︒さらには︑損害の回復

という効果を消費者に与えることによって︑より一層消費者が私訴を提起するようになり︑違反の抑止という効果も

達成することができるということになる︒そこで︑この場合︑損害の回復という損害賠償の機能に着目して私訴をみ

ることは適切ではなく︑むしろ︑違反の抑止という機能に着目して損害賠償をみることの方が適切であるということ

ができる︒ゆえに︑消費者に損害賠償を与えることとなる私訴の結果と︑連邦取引委員会による執行の結果とは︑絶

一九七五年の連邦取引委員会改善法の制定によって︑連邦取引委員会が一定の場合に︑消費者のために損害

を回復するための訴訟を裁判所に提起することができるようになった︒このことは︑こうむった損害を消費者に回復

させることに︑連邦取引委員会法が必ずしも敵対していないということを示しているものとみることができる

なお

対的に合致しないというものではない︒

(b) 

連邦取引委員会法第五条は︑

5‑3‑405 (香法'85)

(10)

消費者に私的訴権を付与することによって︑違反が実際に抑止されるかどうか

という問題は︑消費者がどういったタイプの救済を利用することができるかという問題と密接に結びついている︒

まり︑消費者が損害賠償という救済を利用することができるのか︑

かによって︑違反抑止の効果も違ってくる︒また︑相互に関連するが︑消費者が実際にこういった救済を利用するか

どうかという問題も︑違反が実際に抑止されるかどうかという問題と密接に結びついている︒

成すること以上の効果をもつわけではない︒したがって︑

E

差止救済を許すことの正味の効果は︑連邦取引委員会法上の差止命令の効果と同じである︒それ

は︑詐欺的なマーケティング慣行によって消費者がだまされ続けるのを阻止するという連邦取引委員会法の目的を達

それは︑連邦取引委員会の政策と完全に一致している︒そ

こで︑差止救済を消費者に許すことについては︑

なお︑差止救済が消費者に付与されたとしても︑消費者がそれを単独で現実に利用するかどうかについては大きな

疑問が残る︒そこで︑差止救済のみを消費者に許すことによっては︑違反が実際に抑止されるということには必ずし

損害賠償

それに対して︑損害賠償を消費者に許すことについては︑大いに異論がある︒

が大きな抑止力をもちうる場合があるということについて︑意見の一致がみられるからである︒ここでは︑

害賠償が認められるべきであるのかどうか︑

められるのかどうか︑

ところで︑消費者が︑個人訴訟しか提起することができないとすれば︑そもそも消費者がこうむる損害は少ないの

で︑消費者は訴訟を提起しそうになく︑したがって︑違反抑止の効果を期待することはほとんどできない︒たとえ懲

(イ)

クラス・アクションが認められるのかどうかといったことが︑問題となるということができる︒ もならないといえよう︒

差止救済

(c) 

( 5 4 )  

私的執行と違反抑止の効果

または差止という救済を利用することができるの

ほとんど異論の余地がない︒

とい

うの

は︑

それが認められるとして補償的損害賠償のみならず懲罰的損害賠償が認

五〇

一応

︑損 そ

5 ‑ 3‑406 (香法'85)

(11)

しかしながら︑すでに述べたように︑

罰的損害賠償が認められるとしても︑事態の大幅な改善は期待できそうにない︒そこで︑消費者がクラス・アクショ

( 5 5 )  

ンを提起することが許されるということを︑違反抑止の効果を問題にするに際しての前提としなければならない︒以

下では︑消費者がクラス・アクションを利用することができるということを前提として︑損害賠償という救済を消費

者が利用することができるかどうかについて議論を進めてゆくことにする︒

消費者は損害賠償を要求することができないという立場からは︑次のような主張がおこなわれる︒消費者か損害賠 償という救済を利用することができるのであれば︑違反者は︑行為時には確定されていない責任を負わされるという

危険にさらされる︒そのような責任のおそれは︑広告主の元来の行為に莫大な抑止効果を及ぽす可能性をもつ︒

そこ

で︑損害賠償という救済は︑消費者がだまされ続けるのを阻止するだけではなく︑それを超える拡張的な効果をもっ

ているということができる︒それに対し︑連邦取引委員会法は︑単に︑消費者がだまされ続けるのを阻止することだ

けをねらった差止命令を発する権限を連邦取引委員会に与えているにすぎない︒そこで︑消費者が損害賠償という救

済を利用することができるということは︑連邦取引委員会法が宣言している政策と一致しない︒

こういった批判は︑損害賠償がもつ機能の半面しか語っていない︒というの

は︑消費者に対して損害の回復を許すことによってはじめて︑私訴を提起するインセンティブが消費者に与えられ︑

結果的に︑違反行為の抑止という効果を達成することが可能となるからである︒

また︑消費者に損害賠償を付与するということそれ自体が︑過度の違反抑止効果を常にもつということにはならな

い︒たしかに︑連邦取引委員会による執行を通じては奪われない利得が︑消費者による私訴を通じて奪われるという

ことになれば︑消費者による私訴の方が連邦取引委員会による執行よりも大きな抑止効果をもつということはできる︒

しかし︑損害賠償という形で奪われる利得は︑そもそも︑違法な行為によって広告主が得たものである︒広告主は︑

5 ‑ 3‑407 (香法'85)

(12)

はな

らな

い︒

本来

そういった利得を保持する積極的な権利をもっているわけではない︒連邦取引委員会による執行によって︑こ

ういった利得が奪われないのは︑現行の法制度上そういった利得を奪う直接の手段を連邦取引委員会が欠いていると

( 5 7 )  

考えられているからである︒つまり︑こういった利得が奪われないのは︑制度上制約があると考えられているからに

すぎない︒したがって︑消費者による私訴によって広告主が違法に得た利得が奪われるとしても︑それは︑本来保持

が認められるべきでないものが奪われたにすぎず︑広告主の行動に対して過度の抑止効果が働くということにはなら

そこで︑次に問題となるのは︑損害賠償として︑補償的損害賠償のみが認められるべきであるのか︑

要件を満たす限り懲罰的損害賠償も認められうるのかということである

懲罰的損害賠償の違反抑止効果については︑

もの

であ

り︑

べきであるということについては︑

また

は︑

その

それが︑連邦取引委員会による執行がもつ違反抑止効果よりも大きい

かつ︑過大なものであるかどうかということが問題になる︒この点︑違反行為によって消費者がこうむ

る損失は必ずしも大きいとはいえないので︑消費者に懲罰的損害賠償を認めることによって消費者が現実に私訴を提

起するのが促進され︑その結果︑違反の抑止も一層達成できるということになる︒もし消費者が補償的損害賠償しか

求めることができないとすれば︑消費者が実際に私訴を提起するインセンティブは弱くなる︒逆にいえば︑懲罰的損

害賠償を消費者に認めることによって︑消費者が現実に訴訟を提起するインセンティブは強められることになる︒そ

の結果︑違反を抑止するという効果も一層達成されることになる︒したがって︑消費者に懲罰的損害賠償を認めるこ

とが︑必然的に︑連邦取引委員会による執行がもつものよりも大きく︑かつ過度の違反抑止効果をもつということに 一層の議論を必要としないであろう︶︒ ︵なお︑補償的損害賠償が認められてしかる

ない

5‑3‑408 (香法'85)

(13)

ではなく合致するものであるということができる︒ いうことである︒

第一に︑消費者による連邦取引委員会法の執行は︑次のようなメリット︑すなわち︑①連邦取引委員会法をより十

全に執行する︑②潜在的な違反者に対する抑止力を強化する︑③連邦取引委員会の人的物的資源の適正な充当に資す

る︑④事件選択の恣意性を排する︑⑤消費者がこうむった損失を回復させる︑といったメリットをもっているという

こと

であ

る︒

第二に、消費者による連邦取引委員会法の執行は、次のようなデメリット、すなわち、~先例を展開する連邦取引

委員会の力を奪う︑②やっかいな訴訟に広告主をさらす︑③違反者に過度の制裁を加える︑④司法積極主義を導入す

る︑といったデメリットをもっていると主張されるが︑

禁止の内容を具体的に明らかにしている状況に消費者による執行を限定することによって妥当性を失うことになると

止さ

れる

第三に︑消費者による連邦取引委員会法の執行は︑次のような結果︑すなわち︑①連邦取引委員会法の執行権限が

正式に消費者に付与される︑②損害賠償および︵または︶差止という救済が消費者に付与される︑③違反が大いに抑

といった結果をもたらすが︑それらの結果はいずれも︑連邦取引委員会による執行がもたらす結果と相反

するものではなく︑

結局のところ︑消費者による連邦取引委員会法の執行はメリットをもっており︑そのデメリットと考えられること

は連邦取引委員会が禁止の内容を具体的に明らかにしている状況に消費者による執行を限定することによって妥当性

を失うことになり︑消費者による連邦取引委員会法の執行の結果は連邦取引委員会による執行の結果と相反するもの 小括

その主張は︑そもそもあたっていないか︑連邦取引委員会が

むしろ合致するものであるということができるということである︒ 以上の検討から明らかになるのは︑次のことである︒

5‑3‑409 (香法'85)

(14)

み︑私訴が提起されうるからである︒ 消費者の保護をはかることができるからである︒ ら

れる

おこなうことにしよう︒ どういった場合に︑連邦取引委員会が禁止の内容を具体的に明らかにしているということができ︑

って︑消費者による連邦取引委員会法の執行を認めることができるかである︒

③ 私 的 執 行 が 認 め ら れ う る 場 合

続いて︑裁判所の裁量によって私的執行を認めないということができるのかどうかについて検討しよう︒

︵ 私 的 執 行 が 可 能 な 場 合

したが

まず︑私的執行を認めることができると思われる場合について検討しよう︒

消費者による連邦取引委員会法の執行は︑すべての場合に許されるか︑すべての場

( 5 8 )  

合に否定されるかという二者択一の問題ではない︒特定の場合に限って︑消費者による執行を許すということも考え

つまり︑連邦取引委員会による執行の場合には保護されると考えられる利益を侵害する程度が最小限にとど

まる場合に限って︑消費者による執行を許すということである︒

最小限にとどめられるのはどういった場合であろうか︒ そうすれば︑デメリットを最小限にとどめながら︑

それでは︑連邦取引委員会による執行の場合には保護されると考えられている利益の侵害が︑私的執行を許しても

それは︑被告の行為が連邦取引委員会法に違反するおそれが

執行が認められるならば︑ あるということを連邦取引委員会が以前に示している場合である︒このような場合に限って連邦取引委員会法の私的

それが連邦取引委員会による秩序ある先例の展開に介入する危険は排除されないとしても 最小限となるであろうし︑広告主に対して不当な負担が課せられる危険も最小限となるであろうし︑私的執行が違反 者に対する過度の制裁となる危険も最小限となるであろうし︑また︑司法積極主義が導入される危険も最小限となる であろう︒けだし︑違反となるということを連邦取引委員会が明らかにしている行為をおこなった広告主に対しての

いい

かえ

れば

問題

は︑

その行為が連邦取引委員会法違反となるということを知ってい この点についての検討は︑項を改めて

五四

5 ‑ 3‑410 (香法'85)

(15)

効果も当然のこととして含んでいる︒しかも︑ しかし︑消費者が得る便益は︑被害をこうむった消費者が回復する損害賠償の総和ではない︒それは︑違反抑止の

それは︑金銭に換算することは容易ではないが︑消費者にとっては極 に関与すべきではないということもできる︒ まず問題となるのは︑私的執行の結果として消費者が得る便益が︑

それを実現するために必要となる費用を超える場合︑裁判所は︑私的執行を拒絶する裁量権限を常にもっているとい

( 6 2 )  

うことができるかどうかである︒この点︑連邦取引委員会は︑公共の利益となるときにのみ審判手続を開始すること

ができるにすぎないのであるから︑裁判所は︑補完的な役割を担う私的執行に際して︑それとの均衡上︑些細な事件

(ii) 

私的執行を拒絶する裁判所の裁量権限 会法違反であると解釈した行為と同一であるか︑

五五

るか知るべきである広告主に対してのみ︑私訴が提起されうるからである︒

被告の行為が連邦取引委員会法に違反するおそれがあるということを連邦取引委員会が以前に示している場合とし

ては︑次のような場合が考えられる︒第一は︑被告がおこなった特定の行為が連邦取引委員会法に違反しているとし

て連邦取引委員会が以前に命令を発したことがあり︑被告の行為がその特定の行為と同一であるか︑それに酷似して

( 5 9 )  

いる場合である︒第二は︑被告の行為が︑被告以外の者に対する命令を通じて連邦取引委員会が以前に連邦取引委員

( 6 0 )  

それに酷似している場合である︒第三は︑被告の行為が︑連邦取引

委員会が宣言した実体的規則に違反していると思われる場合である︒

以上に述べた場合を超えて︑消費者による私的執行を認めるならば︑私的執行がもつと主張されているデメリット

が現実化する可能性が大きくなり︑また︑私的執行の結果と連邦取引委員会による執行の結果とが合致しなくなるお

それが生じてくるように思われる︒そこで︑さしあたり︑以上の場合に限って私的執行を許すことが︑妥当であると

( 6 1 )  

いうことができよう︒

5‑3‑411 (香法'85)

(16)

いう設問そのものが︑ めて大きな便益であるということができる︒したがって︑私的執行の結果として消費者が得る便益が︑るために必要となる費用を超えると安易に判断されるべきではない︒ それを実現す

また︑ここで問題としているように︑連邦取引委員会がすでに法の禁止の内容を具体的に明らかにしているような

場合には︑私的執行に随伴する費用は最小になるということにも留意することが必要である︒

さらには︑私訴が一般に認められるようになっても︑消費者がそもそも︑連邦取引委員会法を執行するための私訴

. . .  

を頻繁に裁判所に提起するということはほとんどありえないように思われる︒得られる便益および訴訟費用を考える

と︑メリットのない訴訟を消費者が提起するということは︑なおさらありそうにない︒

このようにみてくると︑私的執行の結果として消費者が得る便益が︑それを実現するために必要となる費用を超え

るということを理由として︑裁判所が私的執行を拒絶する裁量権限を常にもっているということができるかどうかと

保護

に価

し︑

とこ

ろで

ここではほとんど意味をもっていないということができるように思われる︒

次に問題となるのは︑裁判所は︑おびただしい数の訴訟が提起されるので︑その負担が増大するということを根拠

( 6 3 )  

として︑私的執行を拒絶する裁量権限をもっているということができるかどうかである︒

この点︑私的執行を拒絶する裁量権限を裁判所に認めることは︑司法積極主義をもたらすことになる︒というのは︑

負担の増大を根拠にして私的執行を拒絶する裁量権限を裁判所に認めるときは︑裁判所は︑どのクラスの利益が法的

どのクラスの利益が法的保護に価しないかについて価値判断をおこなうことになるからである︒

そういった価値判断は︑まさしく︑議会に留保されている立法的判断である︒しかも︑議会は︑連邦取

引委員会法第五条において︑﹁不公正な競争方法または不公正もしくは欺賜的な行為もしくは慣行﹂はこれを違法とす

るということを明らかにしている︒そこで︑負担の増大を根拠にして私的執行を拒絶する裁量権限を裁判所に認める

五六

5 ‑ 3‑412 (香法'85)

(17)

( 4 6 )

以 下 ︑

Se eN ot e  ( B .  

U .  

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R e v . ) ,   sup

ra o   n t e ( 3 ) ,   at   76 6; N  ot e  (Ha

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;   Co mm en t,   sup ra   n o t e ( l O )

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8 3 .  

( 4 7 )

以 下 ︑

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R e v . ) ,   i d .   a t   7 8 5

8 6 .  

( 4 8 )

以 下 ︑

S

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8 8 .  

( 4 9 )

以 下 ︑

S

Ga rd , su pr a  n o t e ( l l ) ,   a t   2 8 1   n .   4 0 ; L   e a f f e r

 

L i p s o n ,   su pr a  n o t e ( 2 8 ) ,   a t   5 2 3 .  

いうことになる︒

それゆえ︑消費者による連邦取引委員会法の執行は︑前述の場合には少なくとも︑認められてしかるべきであると めないということはできないということである︒ すなわち︑①被告がおこなった特定の行為が連邦取引委員会法に違反しているとして連

邦取引委員会が以前に命令を発したことがあり︑被告の行為がその特定の行為と同一であるか︑それに酷似している

場合︑②被告の行為が︑被告以外の者に対する命令を通じて連邦取引委員会が以前に連邦取引委員会法違反であると

解釈した行為と同一であるか︑それに酷似している場合︑③被告の行為が︑連邦取引委員会が宣言した実体的規則に

違反していると思われる場合に︑消費者による連邦取引委員会法の執行を認めることができるということである︒

第二に︑消費者の得る便益がそれを実現するために必要となる費用を超えるということを根拠としたり︑裁判所の

負担が増えるということを根拠としたりして︑裁判所がその裁量によって消費者による連邦取引委員会法の執行を認

•1 卜 " ぃまず第一に︑次の場合に︑ 小括以上のことから明らかになるのは︑次のことである︒

ゆえ

に︑

こういった司法積極主義は︑認めることができない︒

五七

ということは︑立法という形で議会がすでに下している判断を裁判所の都合で変更するのを許すということになる︒

5‑3‑413 (香法'85)

(18)

ばく

(~)益l'-'SeeGard, id. at 283‑84; Comment, supra note(lO), at 441‑44. Cf. Comment, supra note(8), at 65, 67‑70. 

ば)五ピCf.Note (B. U. L. Rev.), supra note(3), at 773‑74, 791‑94; Comment, supra note(lO), at 438 n. 124. 

(器)See also Note (Conn. L. Rev.), supra note (7), at 301‑02 ; Lea ff er & Lipson, supra note (28), at 523. Cf. Comment, supra note 

(8), at 65‑67. 

(店)See Note (U. Pitt. L.Rev.), supra note(3), at 128. 

(苫)益l'‑'SeeComment, supra note(lO), at 438 n.124. Cf. Note 

CB. 

U. L. Rev.), supra note(3), at 772‑73. 

ぼ)Cf. Lovett, Private Actions for Deceptive Trade Practices, 23 Ad. L. Rev. 271, 283‑90 (1971). 

(;g)~ 沿,~Iパ・トヽ,入m,'¥芯

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4

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111111‑111

判記

9

1

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匪゜wQ~Q薔翌Uや竺'誕如'ffj,£ や据芦ヤ心J.JJ

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ぼ)公l'‑'SeeNote (B.U.L.Rev.), supra note (3), at 789‑91. 

(宮)fJ Q密ぐI:IQ44P‑U竺'測丑44P‑Qr{:~ 心や匝憮牧昔4F‑,.,;;J如呪ぷべ゜

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匝紹取玲溢笹旦歪兵

~v~t-Q;,0fJ..1JU~心゜SeeNote. Consumer Protection Standing Consumers Can Bring 

a Private Action under Section 5 of the Federal Trade Commission Act if Harmed by Persistent Sales Practices That Were 

Previously Determined Violative of Section 5 (a) (1) by the Federal Trade Commission in a Consent Order Directed Against 

Defendant's Franchisor. Guernsey v. Rich Plan of the Midwest, 408 F. Supp. 582 (N. D. Ind. 1976) ., 28 S. C. L. Rev. 711, 724 

(S8/fHi) 

tn 

│c g

(19)

消費者の回復をはかることができる一層有用な代替手段が存在すれば︑

( 6 4 )  

者に私的訴権を付与してまで消費者の回復をはかる必要はないということもできるからである︒

留意しておかなければならないのは︑

この

点︑

のであるかどうかである︒

とい

うの

は︑

消費者の回復として何を想定するかである︒

五九

まず考えられるのは︑ 消費 ここで問題となるのは︑回復のための代替手段を消費者が利用することができるかどうか︑

四代替手段の利用可能性とその有用性

ま た

それが有用なも

25

(1977); 

R e

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4) , 

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1085; 

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7)

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30 2.  

しかし︑この主張はあたっていない︒というのは︑同意命令に応じた事業者が︑同意命令に違反した場合には︑命令を強制するた

めの手続が連邦取引委員会によってとられるが︑ここで問題としている私的執行は︑想定によれば︑その命令強制手続の補完的役

割を担っているにすぎないからである︒それゆえ︑同意命令を根拠として私的執行がおこなわれるとしても︑事業者が同意命令の

形成に協力しなくなるというようなことにはならない︒

( 6 0 )

この場合の命令にも︑差止命令のみならず同意命令が含まれる︒この点︑他の事薬者に対して発せられた同意命令を根拠として私

的執行をおこなうことには問題があるとの主張がおこなわれる余地がある︒というのは︑同意命令の形成過程では法的争点につい

て充分な審理がおこなわれておらず︑したがって︑そこに連邦取引委員会による秩序ある先例の展開があったということを認める

ことには疑問が残るからである︒しかし︑同意命令の形成に際して連邦取引委員会が合法的な活動をおこなっているということを

否定することはできないのであるから︑同意命令においても連邦取引委員会が秩序ある先例を展開したとみることができる︒

( 6 1 ) なお︑以

t

に述べた場合は偶然的であるので︑それを超えたところで私的執行が認められることによってはじめて︑消費者の保護

を充分にはかることができるということもできる︒この立場から理論的検討を加え︑実現の方策を模索するものとして︑

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( 6 2 )

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( 6 3 )

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) ,  

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284

85 .

5‑3‑415 (香法'85)

(20)

( 6 8 )  

この点に関しては︑次のようにいうことができる︒今日︑すべての州および

コロンビア特別区において︑広範囲にわたる非良心的またはミスリーディングな取引慣行に対する何らかの保護を消

費者に与えることを目的とした制定法が︑少なくとも一っ制定されている︒それらの制定法はすべて︑連邦取引委員

( 6 9 )  

会によって鼓舞されたか︑それを何らか模倣するものであった︒これらの州法は大部分︑法を執行する権限を州の機

関に付与したり︑侵害された消費者のための私的訴権を創設したりすることによって︑消費者の保護に寄与しようと

(2) 

消費者がこうむった損害を回復するということである︒しかし︑消費者の回復として想定することができるのは︑

れだけではない︒違反がおこなわれないという状態を保持するということも︑消費者の回復として想定することがで

( 6 5 )  

きる

そこで︑具体的には︑代替手段によって︑消費者がこうむった損害を回復することができるかどうか︑違反がおこ ︒

なわれないという状態を保持することができるかどうか︑が問題になる︒

ところで︑消費者は︑回復のための手段をいくつかもっている︒消費者の回復は︑コモンローまたは州の消費者保

護法においてはかることが可能である︒しかし︑身体が侵害される場合とは異なり︑経済的な侵害の場合には︑侵害

( 6 6 )  

された消費者は︑必ずしも充分な回復を受けることはできないようにみえる︒

コモンロー上の救済

9

不法行為にかかる一連の理論を根拠として︑

( 6 7 )  

この点に関しては︑次のようにいうことができる︒侵害された消費者は︑契約または

の理論が︑回復を困難にする欠点をもっている︒また︑消費者がこうむる損害はわずかであると考えられるので︑消

費者がそもそも訴訟を提起するかどうかは疑問であり︑成功報酬ベースでさえ消費者が弁護士をみつけることができ

州の消費者保護法による救済 るかどうかもわからない︒ コモンロー上の訴訟を提起することができる︒しかし︑ そ

ほとんどすべて 六

5 ‑3‑416 (香法'85)

(21)

(ii) 

六 している︒そこで︑州の機関に執行権限を付与することによって消費者の回復をはかることができるのか︑また︑消費者に私的訴権を付与することによって消費者の回復をはかることができるのか︑が問題となる︒

︷州による執行州の機関に執行権限を付与することによって消費者の回復をはかることができるということ

ができるためには︑まず第一に︑州に付与された執行権限がそもそも︑消費者の回復をはかるのに充分なものでなけ

ればならず︑第二に︑州に付与された権限が︑消費者の回復をはかるために充分に活用されていなければならない︒

州の機関に付与された執行権限が︑消費者の回復をはかるのに充分なものであるということができるかどうかを客

観的に明らかにするのは容易ではない︒しかし︑連邦取引委員会に付与された執行権限と比較してみれば︑一般に︑

( 7 0 )  

遜色のない執行権限が州の機関に付与されているということができる︒そこで︑州の機関に付与された執行権限は︑

一応︑消費者の回復をはかるのに充分なものであるという結論を下してもよいように思われる︒しかしながら︑州法

には︑州法としての内在的な限界が存在するため︑その消費者保護機能には限りがある︒

一層問題なのは︑州の機関に付与された権限が︑消費者の回復をはかるために充分に活用されているということが

できるかどうかである︒この点については︑消費者保護という目的を連邦取引委員会が充分に達成しているとは必ず

( 7 1 )  

しもいえないという結論を下すに際してあげた理由の多くが︑ここでもあてはまっているように思われる︒それゆえ︑

州の機関に付与された権限は︑消費者の回復をはかるために充分に活用されているとは必ずしもいえないというのが︑

ここでの結論である︒

消費者への私的訴権の付与消費者に私的訴権を付与することによって消費者の回復をはかることができる

ということができるためには︑第一に︑消費者に付与された私的訴権およびそれを現実化ずるための法的手段がそも

そも︑消費者の回復をはかるのに充分なものでなければならず︑第二に︑消費者に付与された私的訴権が実際に充分

5‑3‑417 (香法'85)

(22)

小括 ないというのが︑ここでの結論である︒ に活用され︑消費者の回復がはかられていなければならない︒

この

点︑

ほとんどの州において民事訴訟が認められており︑しかも州によっては︑

いった最低額の回復や︑二倍額︑三倍額のまたは懲罰的な損害賠償が認められている︒また通常︑費用および弁護士

報酬の回復が認められている︒さらには︑

とが

でき

四割の州において認められている︒

そこで︑消費者への私的訴権の付与およびそれを現実化するための法的手段の整備は︑相当のものであるというこ

したがって︑連邦取引委員会法に基づく消費者の私的訴権を認めるまでもなく︑州法のもとでの消費者へ

の私的訴権の付与を通じて︑消費者の回復をはかることができるといえなくもない︒

しかし︑州法の内容は様々であり︑

の回復が充分にはかれないということが予期される︒また︑州法としての性格上︑消費者の回復が限定されるように も思われる︒

うことである︒ クラス・アクションが︑

しか

も︑

コモンロー上の訴訟が現実に提起されるかどう

コモンローに基づく訴訟には︑回復を

一般に損害の賠償に重点がおかれているので︑州法によっては消費者 つまり︑州法に基づく訴訟では︑消費者がこうむった損害の回復のみならず︑違反抑止の効果も︑限定

されたものにとどまる可能性があるということである︒実際にも︑消費者は︑散発的にしか私的救済規定を援用して

( 7 2 )  

いない︒それゆえ︑州法に基づく私的訴権を消費者に付与するだけでは︑消費者の回復を全面的にはかることはでき

,1

ては︑消費者の回復をはかることができないということである︒ 以上の検討から明らかになるのは︑次のことである︒すなわち︑第一は︑

困難にする欠点があるからであり︑

とい

うの

は︑

また︑被害額が僅少であるので︑ コモンロー上の訴訟を通じ

か疑問が残るからである︒第二は︑州の消費者保護法を通じては︑消費者の回復を充分にはかることができないとい

というのは︑行政機関の内在的限界のゆえに︑州の機関に執行権限を付与することによっては消費者

1 0

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5 ‑ 3‑418 (香法'85)

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