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^ 消費者による連邦取引委員会法の執行

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(1)

事件の紹介 はじめに 曰消費者保護と連邦取引委員会法の目的︵以上本号︶

むすび

消 費 者 に よ る 連 邦 取 引 委 員 会 法 の 執 行

^ 

3‑3‑397 (香法'84)

(2)

一九七六年になって︑ガンジー対リッチ・プラン・オブ・ザ・ミッドウェスト事件において︑

(4 )

5

) 

消費者の私的訴権が認められた︒

そこで︑本稿において︑連邦取引委員会法を執行するための私的訴権が消費者に認められうるかいなかについて検 し

かし

一九一四年に制定された連邦取引委員会法は︑その執行権限を連邦取引委員会に付与している︒しかし︑連邦取引 委員会が︑与えられたその役割を充分に果たすことができないとき︑だれが補完者として︑連邦取引委員会法の効果 そういった補完者として考えられうるのは︑私的当事者︑とりわけ消費者である︒それでは︑消費者は︑連邦取引

委員会法を執行するための私的訴権をもっているのであろうか︒この点が訴訟上問題となったのは︑

一九

0

七年より前にも︑私人による連邦取引委員会法の執行が問題になったことがある︒しかし︑

(l ) 

は︑すべて︑消費者によるものではなく︑侵害された競争者によるものであった︒

消費者の私的訴権がはじめて問題となり︑それについて的確な論点が提起されたのは︑

(2 ) 

ェー対ブリストル・マイヤーズ・コーポレーション事件においてであった︒もっとも︑当該事件では︑消費者の私的

訴権は認められなかった︒また︑

(3 ) 

訴権は認められなかった︒ A

こ ︑

t

t

入ってからのことである︒

また

︑ それに続くカールソン対コカ・コーラ・カンパニー事件においても︑消費者の私的

的な執行を確実にすることができるのであろうか︒

は じ め に

それ

はじ

めて

一九七三年のハロウ

一九

0

年代に

3 ‑ 3‑398 (香法'84)

(3)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑‑) (内田)

討を加えることにする︒まず︑消費者の私的訴権が問題となった事件を具体的に紹介する︒そして︑それに続き︑個々

(6 ) 

の論点について検討を加えることにする︒

( 1

)  

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1 9 7 6

) .   もっとも︑競争者の私的訴権は認められてい

ない︒この事実および判例については︑

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( 3 )  

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( 1  

) .  

( 5 )

もっとも︑本判決のあとに下されたポット対ホリデー・ユニバーサル・インコーポレーティド事件においては︑消費者の私的訴権

は認められていない︒

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§6

09

73

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7 6 ) .

  当該事件を審理した裁判 区の法であるからだけではなく︑ ハロウェー事件を審理した裁判所の判決によって拘束される︒というのは︑

それが正しい判決であるからである︒﹂

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9 3 0 2

.  

それが本裁判

( 6 ) 連邦取引委員会法を根拠として消費者が私訴を連邦裁判所に提起することができるかどうかに関しては︑大きく分けて次の二点

が問題になる︒すなわち︑第一は︑そもそも連邦裁判所が︑そういった訴訟について審理をおこなう管轄権限をもっているかいな

かという問題であり︑第二は︑消費者が︑連邦取引委員会法のもとで訴権をもっているかいなかという問題である︒本稿で検討す

るのは後者であるが︑前者に関しては︑

2 8

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C .

  §

1 3

3 7

が︑連邦取引委員会法に適用があるというのが︑

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( 1 ) .

 

所は︑次のようにいう︒﹁本裁判所は︑

( 4

)

後述二②参照︒

( 2 )

後述二①参照︒

一般的な見解である︒

3‑3‑399 (香法'84)

(4)

(l ) 

ハロウェー事件判決

ここ

では

事件の紹介

まず︑消費者の私的訴権を認めなかったハロウェー事件判決をとりあげることにしよう︒というのは︑

それは︑消費者に私的訴権を与えることに反対の主張について最も包括的に述べるものであるからである︒また︑そ れは︑私的救済のために連邦裁判所を利用するのを制限するという観点からの司法抑制の態度を裁判所が示した最適

次に︑消費者の私的訴権を認めたガンジー事件判決について紹介しよう︒というのは︑

すな

わち

決を前提としても︑消費者の私的訴権を認めることができる場合があるということを示しているからである︒

このように︑以下︑二つの判決を具体的に紹介するわけであるが︑次の事実を念頭においておくのが有益である︒

ハロウェー事件において消費者が異議を申し立てた広告慣行は︑連邦取引委員会がそれ以前に何ら措置を

ガンジー事件で消費者が異議を申し立てた広告慣行は︑連邦取引委員

とったことがなかったものであるのに対して︑

会が以前に同意命令を発した慣行とほとんど同じものであったという事実である︒ の例であるからである︒

それ

は︑

事案は︑次のようであった︒控訴人は︑消費公衆および広告視聴者の利益を代表していると主張して︑広く売られ ている非処方鎮痛剤エキセドリンの製造業者であるブリストル・マイヤーズ・コーボレーションに対して︑クラス・

アクションを提起した︒控訴人は︑基本的に︑次のような申立てをおこなった︒すなわち︑多様な広告物でのブリス

ハロウェー事件判 七

3 ‑3‑400 (香法'84)

(5)

消費者による連邦取引委員会法の執行(一)(内田)

トル・マイヤーズの表示ー│←︷キセドリンは︑普通のアスピリンよりも痛みを和らげるのに一層有効な薬であり︑

つ、そうであると証明されたという表示——は、虚偽で欺眺的で実質的にミスリーディングであり、

依拠して人々は︑同様に効能があり︑あまり高価ではないその他の鎮痛剤に優先して︑

誘引されたし︑また︑将来も誘引され︑その結果︑金銭的損失をこうむるという申立てである︒

(2 ) 

その申立ては︑三つの基本的な理論に基づいていた︒すなわち︑第一は︑連邦取引委員会法第五条︑第一1

一条

およ

(4 ) 

び第一四条に根拠をおく︑制定法上の訴訟である︒第一一は︑詐欺に対するコモンロー上の訴訟である︒第三は︑被控

訴人の広告物はパプリック・ニューサンスとなるという衡平法上の主張である︒控訴人は︑補償的損害賠償および懲

罰的損害賠償の両者とともに︑宣言的救済および差止的救済を求めた︒

地方裁判所は︑救済が付与されうる根拠となる主張について控訴人が述べていないということを理由に︑控訴人に

よる制定法上および衡平法上の主張を斥け︑また︑管轄上の訴額の欠如を理由に︑そのコモンロー上の主張を斥けた︒

それに対し︑控訴審は︑本稿にかかわりのある点については四つの柱をたてて︑次のように判示した︒

①連邦取引委員会法の執行を目的とする私訴にかかる争点についての大まかな概観

者および公衆メンバー一般が︑連邦取引委員会法第五条︑第︱二条︑第一四条を執行するために私訴を提起すること

この点︑連邦取引委員会法には︑同法が禁止する慣行を禁じ︑当該行為の侵犯に随伴する損害賠償を得るための訴

権を︑消費者であれ事業上の競争者であれ︑そもそも私人に対して与えることを意図する条項はどこにも存在しない︒

一九一四年に制定されたときであれ︑

意深く検討すれば︑ が許されるかどうかである︒

七五

も︑

それに

エキセドリンを購入するよう

中心となる問題は︑消費

一九三八年に修正されたときであれ︑連邦取引委員会法およびその立法史を注

そのような私的訴権を議会が熟慮していなかったか︑意図していなかったということが強く示唆

3‑3 ‑401 (香法'84)

(6)

控訴人は︑裁判所が︑法の暗示する意味をくみとることによって︑制定法の禁止を執行するのに必然的に付随する

ものとしてそのような訴訟を認識し︑受け入れるべきであると主張する︒

控訴人は︑規制を目的とする種々の連邦制定法に対して司法上形成されたコロラリーとして︑民事救済が暗示され

た数多くの実例を指摘する︒大ざっぱにいえば︑私的訴権を暗示する論理的根拠は︑次の点にある︒すなわち︑①訴

えられた行為は︑連邦制定法または憲法によって禁止されている︑②被告は︑制定法遵守の義務が課せられるクラス

に分類される︑③侵害を主張する当事者を︑制定法の保護の範囲内におくか︑その者に︑実質的な便益または免除を

与えるという立法意図が存在する︑④侵害または切迫した損害が︑被告の義務違反から直ちに帰結する︑および︑⑤

回復のための代替の道は︑利用することができないか︑無力である︑という点である︒

これらの要素は︑

たしかに︑必要ではあるが︑充分な条件ではない︒また︑それらが組み合わさっても︑私的訴権

の暗ホが自動的に是認されるわけではない︒私訴の暗示を斥ける我々の判決の中心に位置するのは︑主張された私的

救済がどういった結果をもたらすのかについての分折であり︑

的とこの結果との比較である︒この分析は︑③および④の要素︑すなわち︑立法意図︑

ために議会が提供した手段の無力︑ また︑議会が助長することを求めている政策および目

およ

び︑

について一層議論をおこなうことと結びついている︒ その目的を達成する

連邦による付随的な救済を裁判所が暗示するということは︑注意深く取り扱われなければならない事柄である︒と

いうのは︑注意深くうちたてられた立法の仕組みーー'それは︑

ケートなバランスの結果であるーが︑不注意にではないにしても︑裁判所によって歪曲されてはならないからであ

る︒この注意は︑本件のように制定法の実質的な禁止と︑ さ

れる

しばしば︑連邦の利益と州の利益︑公益と私益のデリ

その執行の責任を負っている特別の行政機関の権限および

七六

3‑3‑402 (香法'84)

(7)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑) (内田)

正によって変更されたのであろうか︒

(3) 

一九三八年のホイラー・リー修正法

七七

義務を定める規定とが︑不可分に絡み合っている状況や︑詐欺および欺職に対するコモンロー上の救済の既存のシス

テムを排除したり無効にしたりせずに︑その上に連邦法の仕組みを議会が付加した状況にあっては︑とくに適切であ

が︑

それ

は︑

か つ

︑ 一九一四年の原始連邦取引委員会法連邦取引委員会法が定める禁止は︑大まかに枠付けされたものである その執行の責任を明示的に負っており︑その目的のためにつくられた特別の機関の排他的な領域

であるということが意図されていた︒委員会は︑差止の手続および命令が公益を促進するとの決定に拘束され︑また︑

それに従う︑一部は訴追にかかわり︑一部は裁判にかかわる広範な責任と裁量を与えられた︒第五条は︑私的な違法

行為に対する救済を行政が私人に与えるのを許していない︒また︑私人は︑審判開始決定をおこなう権利を与えられ

ていない︒私的利益による関与としてただひとつ意図されたのは︑第五条⑮項において述べられているような︑許可

一九二六年に裁判所は︑第五条のもとでの﹁不公正な競争および充分な理由の立証に基づく参加である︒最終的に︑

方法﹂という主張を︑反トラストの申立てに追加しようとする私的当事者の努力を容赦なく片付け︑そのような救済

( 5 )  

は︑﹁まず第一に委員会によって与えられなければならない﹂と判示した︒

ホイラー・リー修正法は︑反トラスト規制の付随物としての︑欺眺的な広告慣行のコントロールから︑詐欺からの

消費者保護という公認の目的へと強調を移すことを明らかにした︒しかし︑この目標を達成するために変更をおこな

うにあたり︑議会は︑意図的に︑広告の規制を︑既存の機関である連邦取引委員会に委ねることを選んだ︒ホイラー・

また︑制裁を追加したけれども︑議会は︑明らかに︑これらの追加された権リー修正法は︑委員会の権限を拡張し︑

(2) 

る ︒

一九一四年における私訴の排除は︑連邦取引委員会法に対する後の修

3 ‑ 3‑403 (香法'84)

(8)

それゆえ︑議会が︑ 一九一四年法によってつくられた制度の型の内で行使されることを意図していた︒議会がこういった基本的な 政策判断をおこなったということは︑商業慣行を扱うにあたっての連邦取引委員会の専門性︑インフォーマルな手続

を通じて任意応諾を得るにあたって︑緩衝機構として行為するその能力︑および︑正式の執行手段がいつ必要かを決

定するにあたってのその健全な裁量への言及が︑立法史において頻繁におこなわれているということからわかる︒議

会は

一般化された︑制定法の政策宣言の流動的な輪郭を︑意味があり一貫している事業行為基準へと具体化するに

あたっての︑委員会の活動歴を承認する旨表明した︒また︑議会は︑連邦取引委員会が︑﹁不公正な競争方法﹂に対す

る一九一四年法の禁止を具体化するにあたっての経験をもっているので︑それは︑広告に適用されるものとしての﹁欺

晦性﹂という広い基準に息吹を吹き込む責任を果たすのにとくによく適していると考えた︒議会は︑行政が定義をそ

のように洗錬することができるまでは︑裁判所が課す責任を事業者に負わせようとする努力を拒絶するということを

一九三八年に議会がとった行動は︑第五条に基づく訴訟は︑私的当事者

(6 ) 

ではなく︑連邦取引委員会によって提起されなければならないと判示した最高裁判決が︑同法を解釈した脈絡にそう

討議がおこなわれた︒

ため

に︑

ものであった︒たしかに︑一九三八年における修正法の制定に際しては︑消費者の利益および必要について徹底的な

(7 ) 

しかし︑議会は︑二つの重要な点のために︑すなわち︑ララダム事件判決の先例をくつがえす

また︑﹁不公正または欺眺的な行為または慣行﹂の禁止の中に︑食品︑医薬品および化粧品にかかる新規定を

具体化するために︑第五条にその注意を向けたのである︒議会は︑決して︑第五条の私的執行を排除する最高裁判決

の解釈を変えるために︑動いたのではなかった︒

一九一四年法において定められたパターンに従って︑ 連邦取引委員会法を修正するにあたって︑ 明確に述べた︒ 限

が︑

ホイラー・リー修正法の執行を全面的に

七八

3 ‑ 3‑404 (香法'84)

(9)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑‑) (内田)

①  れる︑立法上のバランスの産物であり︑ また排他的に連邦取引委員会に委ねるということを意図していたという結論は︑避けることができない︒

④私的救済を暗示する裁判的の自由控訴人は︑裁判所が︑制定法の形式に目を向けるべきではなく︑制定法

が促進することを求めている社会的目標に目を向けるべきであると主張し︑また︑私的訴権を通じてのみ︑虚偽で欺

職的な広告に対する︑意味がある消費者保護が達成できると主張する︒

しかし︑本件では︑裁判所の解釈の自由は制限されている︒我々は︑目的および手段︑すなわち︑促進される社会

的目的︑および︑それらの目標を達成するための行政的手段が︑制定法の︑一体となった包括的な構造へと不可分に

織り交ぜられている法について考えている︒両者は︑消費者保護のみならず︑影響を受ける事業の利益をも考慮に入

とくに︑整律された執行︑商業基準の規律ある展開︑および︑多数の訴訟か

らの自由︑が考慮に入れられている︒

公的執行と私的執行の両立性の問題

︑ ︑

, •1

1,  

起されるように思われる︒

七九

一貫性が欠如するそういった可 私訴が完全に自由になるなら︑法の公的執行に対して種々の問題が提

連邦取引委員会法は︑広範囲の柔軟な執行権限を連邦取引委員会に与えているが︑それは︑委員会の健全な裁

量および専門的判断において必要と考えられるときに︑使用することができるものである︒この裁量権限を行使する

にあたっては︑種々の要素が考慮されなければならないが︑なかんずく︑各々の行為を委員会の広範囲の政策目標と

衡量し︑連邦取引委員会の全般の執行プログラムにおいてそれが占める位置を決定することが必要とされる︒

しかし︑私人の訴訟当事者は︑そのような拘束を受けない︒彼らは︑整合的な執行プログラムではなく︑異なる関

心を反映する︑ばらばらの訴訟を起こすことができる︒その結果︑選定された被告のみならず︑裁判システムにも負

担がかかる︒議会が︑排他的な執行権威として連邦取引委員会に焦点を絞ったのは︑

3‑3‑405 (香法'84)

(10)

能性を避けるためであった︒

② 連邦取引委員会法において具体化された執行のしくみは︑連邦取引委員会法の広範な禁止に確定性および特定

性を与えるという委員会の役割を強調するものである︒連邦取引委員会は︑準司法機関として︑規制法を多様な事実

状況に適用する先例を︑中心となって規律正しく展開する能力をもっている︒連邦取引委員会は︑また︑法の文言を

遵守しているかどうか懸念している者に助言させるために︑利用することができる︒こういった便益は︑適用されう

る行為基準が確定されることによって︑広告主に役立つのみならず︑連邦取引委員会による将来の執行行為のための

固い法的踏み台として貢献することによって︑消費者にも役立つ︒私的当事者が訴える連邦の種々の裁判所が︑こう

いった中心的な行政上の裁判機関にとってかわるなら︑これらの利点は︑あやうくなる︒

③欺購的な広告を阻止する適切な機関として連邦取引委員会を選ぶという一九三八年のその選択に際して︑議会

は︑訴訟に訴えることを必要とせずに︑取引慣行にかかる紛争を解決するというその機関の証明ずみの能力や︑任意

応諾を鼓舞するその手続機構を活用することを熟慮した︒それに対し︑裁判所は︑解決を促進するための比較的未発

達の仕組みしか︑その職権の内にもっていない︒より重要なことに裁判所は︑当事者による解決が︑連邦取引委員会

法の基底である広範な公益を促進するものであるのかどうかを評価するのに必要な︑事業慣行についての専門性およ

び知識を欠いている︒

④ 連邦取引委員会の特別の専門性をもち出して︑議会が規定し意図した︑行政行為の司法審査のたぐいを禁止す

るための障壁とすることはできないが︑他方︑連邦取引委員会の特別の専門性は︑裁判所が︑委員会による考慮の助

けなしに︑関連ある主題に直接に立ち入ることができるとの観念を禁じているし︑また︑禁じるべきである︒委員会

は︑特定の広告表示が購入者に及ぽす影響の可能性に関して︑知識の蓄積をおこなってきたし︑また︑近年︑虚偽広

八〇

3 ‑3‑406 (香法'84)

(11)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑) (内田)

目的および目標は︑補償的救済を裁判所が暗示することによって促進されるという傾向をもっている︒しかし︑この

一般化は︑目下の問題に関しては︑議会の明白な選択によって拒否されている︒すなわち︑連邦取引委員会法に基づ

く訴訟に関しては︑我々は︑本来的に私的である不満を回復するための手段として︑連邦取引委員会法が役立つべき ら

ない

と控訴人は主張する︒

を選

択し

⑤いくらかの不利益は︑おそらく︑私人が提起した訴訟に連邦取引委員会が参加することによって︑または︑優

先的管轄権という﹁柔軟性のある﹂原理を裁判所が用いることを通じて︑部分的には是正することができる︒しかし︑

このことによっては︑訴追される事項を連邦取引委員会のプライオリティーに従ってコントロールし︑その執行目標

その行政的および人的資源を節約するという連邦取引委員会の能力を維持することはできない︒私人の訴

訟当事者が委員会の政策から逸脱し︑その先例を害し︑または︑メリットのある訴訟を和解によって不利に処理する

かもしれない︑と委員会が危惧するときに︑介入するよう委員会に求めることは︑︵裁判所に対するレースにおいて︶︑

委員会を︑私的関心事に対する部分的な人質︑部分的な競争者とし︑かつ︑その資源のみならず公益に対するその寄

与の範囲をも危機にさらすという結果に終わる︒

伺損害賠償という救済が必要であるとの主張連邦取引委員会は︑虚偽広告の犠牲となった人に損害賠償を与

える権限をもっていないので︑裁判所は︑私訴において補償的損害賠償を回復することができるようにしなければな

一般

に︑

かかわることによって︑促進される︒ 告を訂正し︑欺職的な取引慣行の効果をなくすための新しい革新的な救済を積極的に展開してきた︒こういったことは︑広告および販売のテクニックに連邦取引委員会が親しんでいるということを反映しており︑新的な救済を効果的に使用するということは︑救済を展開し︑

か つ

つかさどることに︑連邦取引委員会が継続的に そういった新しい革

そうではないとしても少なくとも多くの場合に︑連邦制定法が定める禁止の

3 ‑3‑407 (香法'84)

(12)

ではないとの議会の目的によって︑

他方︑連邦取引委員会法は︑詐欺または欺眺に関するコモンロー上の訴訟において︑

において展開されるその訴訟の拡張形態において︑損害賠償を得る消費者の権利に影響を及ぽすことをもくろんでは

委員会は︑不充分な数のスタッフと︑

合する需要のために︑実際のところ︑虚偽広告の分野において効果的な執行をおこなうことができない︑

主張

する

ところで︑.控訴人がおこなっている異議は︑新しいものではない︒類似の主張は︑食品︑医薬品および化粧品の広

告に関する管轄権を委員会に与えた︑

また︑類似の異議は︑ まさにその立法に関する審議が議会でおこなわれていた間中︑

その後︑機会あるごとに述べられた︒しかし︑議会は︑

また

は︑

コモンローの法体系

それが管轄する他の領域における競

と控訴人は

おこなわれた︒

連邦取引委員会法の執行における裁判所の役割は︑主として︑

連邦取引委員会法のもとでの裁判所の役割 委員会が行政過程を発動した後にのみ︑作動するものである︒裁判所の役割は︑直接的執行の役割ではなく︑行政過

一 部 は 協 力 的 な 役 割 で あ る

︒ 制定法およびその立法史を公平に読めば︑連邦取引委員会法を執行するための行政プログラムを排他的なものとす るというのが︑議会の明白な意図であるということが明らかになる︒妥協および譲歩を含む力のバランスを︑立法府 身のものさしを用いることなく︑ がどのように解決したかを裁判所が正当に知覚するとき︑裁判所は︑構成ベクトルの強さを測定するために︑それ自

その結論に従わなければならない︒連邦取引委員会法を執行する私的訴権を暗示す

程にかかわるー一部は監督的で︑

(iv) 

ンを︑変更するのが適当とは考えなかった︒

圃 委 員 会 は 無 力 で あ る と い う 主 張

いな

い︒

コントロールされている︒

一九三八年に確立された制定法のプラ

3 ‑3‑408 (香法'84)

(13)

消費者による連邦取引委員会法の執行(一)(内田)

た︒申立ては︑

( 8 )  

ガンジー事件判決

( 6 )

前注の判決を指す︒ ることlこのことが︑抽象的にみてどのように望ましく︑

または論理的にみえようとも

││Iは︑熟考して作り上げ

( l

)  

Ho ll ow ay

 v .  

B r i s

t o l   , M

ye rs o   C r p o r a t i o n , 8   4 5   F .2 d  9 8 6 ( D . C . C i r .  

1 9 7 3 ) .  

( 2 )  

1 5   U . S . C . A .   § 4 5   ( 1 9 8 3 )

・  

( 3

)  

1 5   U . S . C . A .   § 5 2   ( 1 9 8 3 )

・  

( 4 )  

1 5   U . S . C . A .   § 5 4   ( 1 9 8 3 ) .  

( 5 )  

Mo or

e v•

New 

Yo rk   Co tt on   E x ch an ge ,  2 7 0   U . S .   5 9 3 6 ,   0 3   ( 1 9 2 6 )

( 7 )  

FTC 

v .  

Ra la da m  C o . ,   28 3  U . S .   6 4 3 ( 1 9 3 1 ) .  

事案は︑次のようであった︒原告は︑本訴訟を︑自己および類似の状況にあるその他の人々すべてのために提起し

七 点 連 邦 法 に か か る 五 点 と 州 法 に か か る 二 点

̲ ー

iにわたっている︒原告は︑補償的および徴罰的

損害賠償とともに︑差止救済を求めた︒申立てにおいて︑原告は︑連邦取引委員会法違反︑

法違反︑貸付真実法違反︑

的販売慣行法違反を主張した︒ および︑詐欺ならびに不実表示についてのコモンロー上の不法行為︑

それに対し︑被告は︑次の主張︑すなわち︑①裁判所は︑主題に関する管轄権を欠いている︑②原告の申立ては︑ られたと我々が認める︑立法の構想に反している︒

インディアナ州欺職 シャーマン法違反︑証券

3‑3‑409 (香法'84)

(14)

しかも︑調査されたわずかのもののうちの一

0

分の一においてのみ︑差止命令が発せられているにすぎない︒その上︑ たり九

00

0

の不服申立てを受理しているが︑ 原告を含む人々のクラスを保護するために企画された︑ 連邦の規制立法から私的訴権を暗示するための理論的枠組は︑﹁黙示理論﹂

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として知ら

れている︒その理論のもとで救済を暗示するためには︑裁判所は︑①侵犯された規定は︑原告が申し立てる害悪から︑

および︑②求められている救済を原告に与えることが︑制定

法の目的に照して適切である︑ということを決定しなければならない︒

連邦裁判所は︑歴史的に︑連邦取引委員会法から私訴を暗示することはできないと認定してきた︒

連邦取引委員会が︑連邦取引委員会法の規定の執行に対して責任を負ってきた︒

しかしながら︑消費者詐欺を抑止するために行為するにあたっての連邦取引委員会の有効性は︑疑わしい︒だまさ

れた大部分の顧客は︑全く救済されない︒というのは︑政府は︑消費者に対する詐欺および欺隔にかかる事件すべて

のうちの︑極めてわずかにおいてしかおそらく行為することができないからである︒連邦取引委員会は︑現在︑年あ

これらの八分の一または九分の一を調査することができるにすぎず︑ それに対し︑裁判所は︑次のように判示した︒ 連邦民事訴訟規則第︱二条⑮項⑥号のもとで救済が付与されうる根拠となる主張について述べていない︑裁判所は自制すべきである︑という主張に基づいて︑却下すべきであるとの詳細な申立てをおこなった︒

本稿にかかわりのある点に関して守原告は︑連邦取引委員会法第五条①項①号のもとで違法であると連邦取引委

(9 ) 

員会が認定し︑宣言した販売慣行を︑被告が用いたと申し立てた︒それに対し︑被告は︑申し立てられた行為につい

ては︑委員会が優先的管轄権をもっているので︑連邦取引委員会法それ自体は私的執行のための規定を含んでいない

という理論に基づいて︑却下すべきであるとの申立てをおこなった︒ および︑③

一九

一四

年以

来︑

八四

3‑3‑410 (香法'84)

(15)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑‑) (内田)

連邦取引委員会が発する差止命令が有効であるかどうかについても︑厳しい批判が加えられている︒

の効能を不実表示することで︑当該会社が連邦取引委員会法に違反したととがめるものであった︒それに対し︑本件 は︑連邦取引委員会法第五条①項違反となる︑被告の欺職的な慣行および行為ならびに不公正な競争方法からの救済 を求めるために︑提起された︒原告は︑被告がリッチ・プラン・コーポレーションのフランチャイズとして経営をお

こなっているということをも申し立てている︒さらには︑

八五

一九

六三

年一

0

月三一日に︑連邦取引委員会が︑リッチ・

プラン・コーポレーションに対して差止命令を発したということも申し立てている︒

申立てにおける主張のすべてが真実であると仮定すれば、被告ー—'それは、

リッチ・プラン・コーポレーションの

フランチャイズとして経営をおこなっていると主張されている'│ーは︑同意審決において画定されたクラスに入るで

あろう︒その同意審決に含まれている会社の活動は︑申し立てられた被告の活動とほとんど同じであるので︑連邦取 引委員会が︑

一九六三年の差止命令において裁定を下した慣行に対してもったのと同じ見解を︑本件の慣行に対して ももつであろうということは︑推認できる︒もしそれが真実であれば︑連邦取引委員会は︑申し立てられた慣行を審

査し

かつ

それを不適切と認定していたのであるから︑連邦取引委員会法の私的執行に対する障害の一っー│ー国民

経済について概観している連邦取引委員会は︑欺職的な慣行が公衆に及ぽす侵害を測定するのに︑また︑その侵害と︑

その慣行を排除するのに見込まれる費用とを衡量するのに︑私人の訴訟当事者よりもよりよい位置にいるということ ーは︑除去されたことになる︒

連邦取引委員会は︑その重々しい行政過程をようやく開始して︑リッチ・プラン・コーポレーションに対して連邦 取引委員会法を執行したようにみえた︒申立てにおいて主張されたように︑リッチ・プラン・コーポレーションの代

ところで︑本件における事実の脈絡は︑ハロウェー事件のそれとは大きく異なっている︒ハロウェー事件は︑製品

3‑3‑411 (香法'84)

(16)

理人︑雇用者または代表者が︑消費者との取引において連邦取引委員会法に違反し︑したがって︑

られた差止命令に違反したのであれば︑委員会によって執行されるものとしての連邦取引委員会法が︑消費者にとっ

て空虚な約束であるとの結論は︑逃れがたいように思われる︒

消費者の利益を連邦取引委員会の﹁専門的判断﹂にまかせるための︑

は︑本件には存在しない︒当該裁判所は︑私訴︑すなわち︑被告および裁判システムに負担をかける断片的な訴訟が

﹁自由に許される﹂場合︑連邦取引委員会による法の執行に対して提起されると思われる諸問題を列挙した︒連邦取引

委員会法の執行が裁量的であり︑連邦取引委員会の﹁専門的判断﹂にのみ従うとの認定のための︑ハロウェー事件判

一九一四年法において定められ決の意見は︑裁判所の次のような結論にその根拠をおいている︒すなわち︑議会は︑

たパターンに従って︑ホイラー・リー修正法の執行を連邦取引委員会に全面的にまた排他的に与えることを意図して

いたとの結論である︒しかし︑裁判所は︑何らの裏づけをも引用することなく︑この結論に到達している︒本裁判所

は︑委員会が排他的な権限をもつと判示した連邦事件をみいだすことができなかった︒むしろ︑その権限は︑排他的

( 1 0 )  

ではなく︑第一次的であると判示された︒連邦取引委員会が﹁排他的な﹂権限をもつべきであったとの立法意図は︑

存在しない︒いったん連邦取引委員会が審判を開始し︑連邦取引委員会法への応諾を執行したとしても︑消費者によ

る後続の私訴は︑連邦取引委員会法の目的をくじくとの推認は︑その後の違反のえじきとなった消費者に︑回復を否

定することになろう︒連邦取引委員会法の広範な禁止に対して﹁確定性および特定性を提供する﹂という連邦取引委

員会の役割に対する侵害の可能性と︑消費者に対する便益とを衡斌するにあたり︑裁判所は︑消費公衆の利益となる

ように決定しなければならない︒欺眺的な慣行が公衆に及ぽす侵害を測定し︑かつ︑その慣行を排除するための考え

られうる費用をそれと衡量するにあたり︑国民経済について概観している連邦取引委員会が︑例外なく︑私人の訴訟 ハロウェー事件判決において述べられた理由 一九六三年に発せ

3‑3‑412 (香法'84)

(17)

消費者による連邦取引委員会法の執行(‑) (内田)

当事者よりもよりよい位置にいるとの結論を下すことは︑自由企業経済の基本的前提

̲̲

̲  消費者は︑価格︑

びサービスに基づいて競合商品の間で選択をおこなう機会をもつべきであるーを無視しているようにみえる︒連邦

取引委員会法は︑

論点の検討

0

年にわたり︑審判を通じての解釈の主題であったし︑

った︒事業者も裁判所も︑同法の正確な制限範囲を決定するのに︑困難はないはずである︒

本件に関して裁判所がもっている記録に照して︑法の目的を果たそうとすれば︑却下すべきとの被告の申立ては︑

この点に関しては︑斥けられなければならない︒原告に損害を与えるような態様で︑被告がおこなったと申し立てら

一九六三年に連邦取引委員会が裁定を下したものである︒それゆえ︑裁判所は︑被告がおこなって

れている行為は︑

いる慣行が︑連邦取引委員会法によって禁じられているということを申し立てることで︑原告は︑救済が付与されう

る根拠となる主張を述べている︑

( 8

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八七

連邦取引委員会法のもとでの黙示の私的訴権を認定するための要件として︑

げている︒すなわち︑①訴えられた行為は︑連邦制定法または憲法によって禁止されている︑②被告は︑制定法遵守

ハロウェー事件判決は︑次のものをあ

と判ホする︒原告は︑上述の理由で︑訴因を述べた︒

また

品質およ

‑ 0

年以上︑規則制定の主題であ

3‑3‑413 (香法'84)

(18)

制定法の目的に照して適切である︑ の義務が課せられるクラスに分類される︑③侵害を主張する当事者を︑制定法の保護の範囲におくか︑その者に︑実質的な便益または免除を与えるという立法意図が存在する︑④侵害または切迫した損害が︑被告の義務違反から直ちに帰結する︑および︑⑤回復のための代替の道は︑利用することができないか︑無力である︑という要件である︒それに対し︑ガンジー事件判決は︑次のものをあげている︒すなわち︑①侵犯された規定は︑原告が申し立てる害悪から︑原告を含む人々のクラスを保護するために企図された︑および︑②求められている救済を原告に与えることが︑

という要件である︒他方︑両事件判決の間に下された最高裁判決は︑連邦取引委

員会法の私的執行にかかるものではないが︑連邦制定法のもとでの黙示の私的訴権を認定するための要件として︑次

のものをあげている︒すなわち︑①原告は︑その利益をとくに保護するために制定法が定められたクラスのメンバー

である︑②そのような救済を与えるか否定するかのどちらかを示すといえる︑立法意図の徴候が存在する︑③私的執

行は︑立法の仕組みの根元的な目的に合致する︑および︑④訴因は伝統的に州に委ねられたものであるとはいえない

ので︑連邦法のみに基づく訴因を推認することは︑不適切ではない︑という要件である︒

ところで︑連邦取引委員会法のもとでの黙示の私的訴権を認定するための要件として︑理論上問題になりうるのは︑

ハロウェー事件判決であげられたものとしては︑③ないし⑤であり︑ガンジー事件判決であげられたものとしては︑

①および②であり︑最高裁判決であげられたものとしては︑①ないし④である︒これらを最大公約数的に処理すれば︑

(2 ) 

次の点が︑理論上問題となる要素であるということができるように思われる︒すなわち︑①消費者の保護が︑連邦取

引委員会法の目的であるかどうか︑②消費者に私的訴権を付与するのが︑連邦取引委員会法の立法意図であるのかど

うか︑③消費者に私的訴権を付与することによって︑連邦取引委員会法の目的が一層達成されることになるのかどう

か︑④回復のための代替手段を利用することができるのかどうか︑また︑それが有用なものであるのかどうか︑であ

  / J  

3‑3‑414 (香法'84)

(19)

消費者による連邦取引委員会法の執行(一)(内田)

一九三八年のホイラー・リー修正法

あっ

た︒ (一) そこで︑以下︑

それぞれの点について︑検討を加えることにする︒

消費者保護と連邦取引委員会法の目的

連邦取引委員会法は︑消費者保護がその目的であるということを明言する規定をもっていない︒そこで︑制定法の

文言︑立法意図をてがかりとして︑消費者保護が連邦取引委員会法の目的であるかいなかという論点について検討を

加えることにする︒

①︱九一四年の原始連邦取引委員会法

制定された︒そして︑

それ

ゆえ

するということは︑ る ︒

八九

それは︑第五条において︑商業における﹁不公正な競争方法﹂を違法とする旨宣言するもので

それは︑競争事業者間での反競争的な取引慣行を禁止するということを目的としており︑消費者を保護

(3 ) 

その目的ではなかったということができる︒

一九

三八

年に

は︑

法第五条に︑商業における﹁不公正または欺眺的な行為または慣行﹂が違法であるとの規定が挿入されるとともに︑ ホイラー・リー修正法が制定され︑連邦取引委員会

第︱二条以下に︑食品︑医薬品︑医療器具ならびに化粧品の広告に関する規定が追加された︒

ところで︑ホイラー・リー修正法を制定させたモメントとしては︑次のようなものがあった︒第一は︑連邦取引委

員会の権限を拡張して︑消費者保護を含むようにしたいというモメントである︒第二は︑欺眺的な広告を規制したい

というモメントである︒第三は︑競争事業者への侵害を立証することなく︑不公正な競争慣行を阻止する権限を委員 連邦取引委員会法は︑一九一四年に︑反トラスト法を補完するために

3‑3‑415 (香法'84)

(20)

ということができる︒ 会に与えることによって︑ララダム事件判決を立法上くつがえしたいというモメントである︒第四は︑食品︑医薬品︑医療器具ならびに化粧品に関するミスリーディングな広告の規制をおこないたいというモメントである︒以上のようなモメントが主として働いて︑

もっとも︑連邦取引委員会法が消費者保護を目的としているからといって︑そこから直ちに︑個々の消費者が︑連

邦取引委員会法を執行するための私的訴権をもっているとの結論を導き出すことができるわけではない︒というのは︑ 一九七五年の連邦取引委員会改善法によって強化された そこで︑この改善法によって︑地方レベルでの消費者利益の保護および消費者被害の救済に対しても︑連邦取引委

(6 ) 

員会法が関心をもっているということが表明されたとみることができる︒

④小括連邦取引委員会法は︑消費者保護がその目的であるということを明言する規定をもっていない︒しか

し︑連邦取引委員会法の文言およびその立法意図を検討すれば︑

者保護が︑その目的の一っとして追加され︑さらにそれが︑ 一九三八年のホイラー・リー修正法によって︑消費 ホイラー・リー修正法が制定されることになった︒

こういった制定法の文言および立法意図を検討すれば︑一九三八年のホイラー・リー修正法の制定によって︑消費

(4 ) 

者保護が︑競争秩序維持とならんで︑連邦取引委員会法のもう︱つの目的として追加されたとみることができる︒

③︱九七五年の連邦取引委員会改善法一九七五年の連邦取引委員会改善法によって︑﹁商業における﹂不公正

な競争方法および欺職的もしくは不公正な行為もしくは慣行のみならず︑﹁商業に影響を及ぽす﹂不公正な競争方法お

よび欺賜的もしくは不公正な行為もしくは慣行をも違法とするとの修正が︑第五条に加えられた︒また︑その改善法

によって︑侵害された消費者のために回復を得るための訴訟を︑一定の状況のもとで︑連邦取引委員会が裁判所に提

起することができるようになった︒

九〇

3 ‑3‑416 (香法'84)

(21)

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(,...) Cort v. Ash, 422 U.S. 66, 78 (1975). ~ S弄走竺'・く一全―.n-..LQ-.,;jJQ~1-Q芯'.:::一全—.‑.L.!!' 心ヤ—~,\.

︵田ビ︶

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tion of Private Cause of Action: Reappraisal and Retrenchment, 80 Dick. L. Rev. 167 (1976). 

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(N)~ 祖'や誓辻弄彩や~:b心ニ俎脳辻如正ばは丑溢...)~c--'.:: 1"'.;;; 茶淑罪や~i-0令如彩側~Di-0~J竺,*語S~G'藍園や竺

t::f, :;. 

(M) S罪旦0;や竺'眺縄拉~;

SeeComment, Consumer Protection ‑Federal Trade Commission Act ‑Private Right 

of Action for Enforcement of Cease and Desist Orders May Be Implied Under Federal Trade Commission Act. Guernsey 

v. Rich Plan of the Midwest, 408 F. Supp. 582 (N. D. Ind.1976)., 8 Rutgers• Camden L. J. 353,357 (1977); Note, Divesting 

the FTC of Exclusive Enforcement of the Federal Trade Commission Act: Guernsey v. Rich Plan of the Midwest, 38 U. Pitt. 

L. Rev. 113, 117 (1976) ; Note, Private Rights of Action Under the Federal Trade Commission Act, 11 Hous. L. Rev. 699, 

702 (1974) ; Note, Implied Civil Remedies for Consumers Under the Federal Trade Commission Act, 54 B. U. L. Rev. 758, 

762 (1974) ; Note, A Private Right of Action Under Section Five of the Federal Trade Commission Act, 22 Hastings L. J. 

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1269, 1271 (1971). 

~J Ql!l¥l瀧u0;ゃ竺'喘縄・全~;See Comment, id. at 357‑58; Note (U. Pitt. L. Rev.), id. at 118; Note (Hous. L. Rev.), id. 

at 703; Note (B. U. L. Rev.), ibid.; Note (Hastings L. J.), ibid.; Recent Decision, Federal Trade Commission Act‑

Consumer's Implied Private Right of Action‑There Is No Private Right of Action Under the FTC Act for Violation of 

a Consent Order. ‑Bott v. Holiday Universal, Inc., 5 Trade Reg. Rep. (1976‑2 Trade Cas.)§60973 (D.D.C.July 14, 1976)., 

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11 Ga. L. Rev. 220, 221 (1976); Recent Case, Administrative Law‑Federal Trade Commission Act‑Consumer 

Private Right of Action Recognized Under Section 5, 29 Vand. L. Rev. 1Q77, 1080 (1976) ; Note, Private Judicial Remedies 

for False and Misleading Advertising, 25 Syracuse L. Rev. 747, 764 (1974). 

(in) 15 U.S. C. A. §57 b (1983). 

(<.0) See Note (U. Pitt. L. Rev.), supra note (3), at 118; Recent Case, supra note (4), at 1080. 

(r:‑) See Note, Federal Trade Commission Act: A Private Cause of Action for Consumers: Guernsey v. Rich Plan of the 

Midwest, 408 F. Supp. 582 (N. D. Ind. 1976), 9 Conn. L. Rev. 294, 300 (1977); Note, The Phenomenon of Implied Private 

Actions Under Federal Statutes: Judicial Insight, Legislative Oversight or Legislation by the Judiciary?, 43 Fordham L. 

Rev. 441, 446‑47 (1974). 

参照

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