10. 自然数
彌永昌吉「数の体系(上)」岩波新書, 1972
※ ペアノの公理(だけ)を用いて次の問題に答えよ.
問題 1.
𝑀 = {𝑥 ∈ 𝐍 | 𝑥 ≠ 𝜑(𝑥)} とおく. 𝑀 = 𝐍 を示せ. このことから, すべての 𝑥 ∈ 𝐍 は 𝑥 ≠ 𝜑(𝑥)
を満たすことがわかる.問題 2.
𝐍 = {1} ∪ 𝜑(𝐍) かつ {1} ∩ 𝜑(𝑁) = ∅
を示せ.問題 3. [ハノイの塔] 上の図に示すように, 3 本の柱があり, 第 1 の柱には半径の異なる円板が大きさの 順に積み重ねられて塔をなしている. この塔を, 第 2 の柱を補助にしながら第 3 の柱にそっくり移動す ることを考える. ただし, 移動に際しては次の制約がある.
a) 1 回の移動では, いずれかの柱にある最上部の円板 1 枚だけを他の柱に移動して上に重ねるこ とができる.
b) 移動してきた円板は, それよりも小さな円板の上に重ねてはならない.
上のルールに基づいて, 第 1 の柱に積み上がった円盤を第 3 の柱にすっかり移すことが可能であること を証明せよ. (第 1 の柱に積み上がった円盤の枚数
𝑛
に関する数学的帰納法を用いよ.)問題 4. 問題 3 において, 移動に必要な最小の手数は
2
𝑛− 1
であることを証明せよ. (これも数学的帰 納法による.)問題 5. [オマケ] 壮大な伝説「ブラーマの塔」では、3 本の柱はダイヤモンドでできており, 第 1 の柱 には純金でできた 64 枚の円盤が積み上がっている. 神に命じられた僧侶たちは, 上のルールに基づい て, すべての円盤を第 3 の柱に移す仕事を昼夜を問わず実行しなければならない. そして, その仕事が 完遂したとき, 塔は崩れ落ち, 世界が終焉を迎えるという. 僧侶が無駄のない素晴らしい働きをし, 純 金の円盤 1 枚の移動を 1 秒でこなせば, 世界の終焉を迎えるまでの時間は
2
64− 1 秒となる. これは
およそ何年になるか, 計算せよ.11. 整数・有理数・実数
自然数:加法と順序
整数:加法に関して「群」になる. 乗法を合わせて「環」になる. 自然数の順序が拡張される.
有理数:加法と乗法を合わせて「体」になる. 整数の順序が拡張される. 順序体という.
実数:有理数の隙間を埋める.
a) 加法と乗法を合わせて「体」になる.
b) 有理数の順序が拡張されて「順序体」になる.
c) デデキントの連続性公理を満たす.
つまり, 任意の切断
(𝐴, 𝐵) に対して, ある 𝑥 が存在して,
𝑎 ∈ 𝐴 ⟹ 𝑎 ≤ 𝑥
かつ𝑏 ∈ 𝐵 ⟹ 𝑥 ≤ 𝑏
が成り立つ.
【参考書】
[1] 彌永昌吉:「数の体系(上)(下)」岩波新書, 1972.
これは平易に書かれているが, 自分で再構成しながらしっかり読み込めば, 数の数学的な基礎付け を通して数学の考え方が身につくだろう.
[2] 松村英之:「集合論入門」朝倉書店, 2004 (復刊).
主に§3.3 と §3.8 を見よ. 本書は, 集合・濃度・順序を扱った教科書である.
[3] ランダウ(蟹江訳):「数の体系―解析の基礎」丸善出版, 2014.
原著は 1929 年に出版されており, ペアノの公理から出発して自然数から実数までを一貫して構成 する理論は当時では最先端の考え方であった. 緻密な議論を一歩一歩積み上げる様子が見て取れ る. 数学は単なる計算技術ではないし, 数学の問題は答が用意されているわけでもない. 数学の本 質は何かを作り出す創造性にある.
今後の予定
7 月 3 日(火) 自然数
7 月 10 日(火) 整数・有理数・実数 7 月 31 日(火) 試験