三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
平成 25 年度
修士論文
鋼構造を用いた家屋内設置型の耐震シェルターの開発研究
指導教員 川口 淳 准教授
三重大学大学院工学研究科 建築学専攻
川崎 貴史
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
目次
第 1 章 序
1.1 研究の背景・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
1.1.1 震災とそれに対する国の取り組みの変遷・・・・・・・・・・・・・・ 2
1.1.2 住宅耐震化の現状・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6
1.1.3 地方公共団体による耐震シェルターに関する取り組み・・・・・・・・ 11
1.2 研究の目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 16
1.3 研究の流れ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17
1.4 既往の研究・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 18
1.5 既往製品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 19
1.5.1 「居室型耐震シェルター」の既往製品・・・・・・・・・・・・・・・ 19
1.5.2 「机型耐震シェルター」の既往製品・・・・・・・・・・・・・・・・ 22
第 2 章 居室型耐震シェルターの開発
2.1 開発における設計の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 26
2.2 居室型耐震シェルターの設計例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
2.2.1 シェルターの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 29
2.2.2 想定荷重・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30
2.2.3 力学モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 31
2.2.4 応力図・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33
2.2.5 許容応力度設計での判定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 41
2.2.6 塑性設計での判定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 54
2.3 重量物落下実験・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
2.3.1 実験目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
2.3.2 実験方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 61
2.3.3 実験結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 62
2.3.4 考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 63
三 重 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科
第 3 章 机型耐震シェルターの開発
3.1 開発における設計の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 65
3.2 張弦梁の力学的検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
3.2.1 検討項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 68
3.2.2 力学モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 76
3.2.3 仮定断面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 77
3.2.4 検討結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78
3.3 Xフレームの力学的検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
3.3.1 検討項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 83
3.3.2 力学モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 86
3.3.3 仮定断面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 87
3.3.4 検討結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
3.4 長辺方向ラーメンの力学的検討・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
3.4.1 検討項目・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 94
3.4.2 力学モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95
3.4.3 仮定断面・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 96
3.4.4 検討結果・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 97
3.5 机型耐震シェルターの設計例・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
3.5.1 シェルターの概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
3.5.2 想定荷重・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105
3.5.3 力学モデル・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・106
3.5.4 許容応力度設計での判定・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・109
第 4 章 結
4.1 まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
4.2 今後の課題・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・120
参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121 謝辞・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・122
三 重 大 学 大 学 院-1 - 工 学 研 究 科
第 1 章 序
1.1 研究の背景
1.2 研究の目的
1.3 研究の流れ
1.4 既往の研究
1.5 既往製品
三 重 大 学 大 学 院-2 - 工 学 研 究 科
年 自然災害 国の対応 地方公共団体の対応(静岡県)
1920~40年 1923年
関東大震災 1924年
市街地建築物法 改正
1940~60年 1948年
福井地震 1950年
建築基準法 制定
1960~90年 1978年
宮城県沖地震
1978年
大規模地震対策特別措置法 制定
1981年
建築基準法 改正
1979年
静岡県地域防災計画 (東海 地震対策編) 策定
1990~2010年
1995年
兵庫県南部地震
1995年
耐震改修促進法 制定 2001年
プロジェクト「TOUKAI-0」 策定
第 1 章 序
1.1 研究の背景
1.1.1 震災とそれに対する国の取り組みの変遷
世界有数の地震国である我が国において、建築物や土木構造物を設計する際に、それら の建物が最低限の耐震性能を有する事を保証する「耐震基準」を満たす必要がある。大き な震災が起こる度、その教訓を基に国は耐震基準を見直し、改正を繰り返してきた。表1.1.1 は我が国で起こった大きな震災とそれに対する国や地方公共団体の対応の年表である。例 えば、1923年の関東大震災を経て1924年に市街地建築物法が改正され、1948年の福井地 震を経て1950年に建築基準法が制定された。その後、1978年に宮城県沖地震を経て1981 年に建築基準法が大きく改正された。
一般的に、1981年以前の基準は「旧耐震」と呼ばれ、それ以降の基準は「新耐震」と呼 ばれている。「新耐震」は、中規模地震が起きた場合と大規模地震が起きた場合とに分けて 考え、中規模地震に対しては、「建物の構造体がほとんど損傷しない」事を保証し、大規模 地震に対しては「建物の構造体が倒壊・崩壊しない」事を保証している[1]。ここで、中規模 地震は震度5程度の地震であり、大規模地震は震度6~7程度の地震である。
表 1.1.1我が国で起きた震災と国や地方公共団体の対応の関係
三 重 大 学 大 学 院-3 - 工 学 研 究 科
図 1.1.1兵庫県南部地震の死亡者(N=5502)の死因内訳[2]
図 1.1.2兵庫県南部地震における建築年別の被害状況(建築物)[3]
88%
10%
2% 家屋, 家具類の倒壊によ る圧迫死と思われるも の(N=4831)焼死体(火傷死体) 及び その疑いのあるもの (N=550)
その他(N=121)
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無被害 軽微 小破 中破 大破 倒壊又は崩壊
1981年の建築基準法改正の後、我が国は1995年に兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)
を経験し、甚大な被害を受けた。死亡者のうち、家屋、家具類等の倒壊による圧迫死が約9 割に達した[2](図1.1.1)。 また「旧耐震」に基づいて建てられた建築物(昭和56年以前)
と「新耐震」に基づいて建てられた建築物(昭和57年以降)の被害状況に大きな差があり、
「新耐震」に比べて「旧耐震」に基づいて建てられた建築物は十分な耐震性能を有してい ない事が明らかになった[3](図1.1.2)。建築年が昭和56年以前の建築物の被害状況のうち、
大破以上の被害を受けたものは約3割であるのに対し、建築年が昭和 57年以降のものは、
約1割であった。
三 重 大 学 大 学 院-4 - 工 学 研 究 科
1995年の兵庫県南部地震を契機に、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(耐震改修促
進法)」が制定され、主に昭和 56 年以前に建てられた建築物の耐震改修を促進させる取り 組みが進められた。国による基本方針では、住宅、多数の者が利用する建築物の耐震化率 を2015年(平成27年)までに少なくとも9割にする目標が設定された。
国だけでなく、各地方公共団体も耐震改修促進計画を立てて、耐震改修等の目標を設定 し、目標達成の為の具体的な施策を実施している。例えば、静岡県では、2001年に、木造 住宅の耐震化プロジェクト「TOUKAI-0」を立ち上げ、住宅の耐震診断から耐震補強まで 一貫した補助制度を創設している。静岡県のホームページでは、「TOKAI-0」の制度一覧表 が広報されている(図1.1.3)。
また三重県では、住宅の耐震改修を促進させる施策として、「木造住宅耐震診断補助制度」
を創設している。これは、昭和56年5月 31日以前に建築された(着工も含む)木造住宅 を対象にしており、住宅所有者が無料で耐震診断を受けられる制度である。また「木造住 宅耐震補強補助制度」を創設し、耐震診断の結果「倒壊または大破壊の危険がある」と判 定された住まいの耐震改修工事の費用を県や市・町で補助している。補助基本限度額90万 円である。また主な要件として対象地区が定められており、市・町が認める防災上必要な 地区(例えば、密集した住宅地や指定された避難路沿いが対象地区)である事、更に対象 世帯が定められており、公営住宅法でいう収入が高額でない世帯、または高齢者(60 歳以 上)のみの世帯である事が条件となっている[4]。
三重大学大学院工学研究科-5-
図1.1.3プロジェクト「TOUKAI-0」における制度一覧
平成
2 5
年度 プロジェク トr TO U KA I
ー OJ総合支援事業 制度一覧区 分 事襲名 対象地減 対象建物等 補助対象 補 助事・繍動対象限度額 負担制合 備 考
耐診震断 1 わが家の専門家診断事 . ‑静岡県 全 峨 . S56. 5. 31以前の木造住 宅 ‑格鎖士による住民 ‑固 1/2
?
無料の耐震診 断 . 45.000円/戸 ‑県 3/8
‑市町1/8
2 木造住宅補強計画策定 ‑固 1/3 ⑬
事 業 . S56. 5. 31以前の木造住 宅 ‑県 1/6会
[通常]
‑補強計画の策定 ‑図面有 144.000円/戸 ‑市町1/6 補計強画 ‑静岡県 全 峨 (袴強後かっ+{).lw3) 孟1.0 ‑図面無(診断なしは125549..000000円円//戸戸}
‑高 齢者(65議以上)のみの世帯 (診断なしは269.000円/戸} ‑固 1/3
?
[高齢者制治] の 住 宅 ‑県 1/3会
‑市町1/3
3 木造 住宅耐震織 強 助成
‑県 30万円/戸 ‑県 10/10
?
事業(定額) . S56. 5. 31以前の木造住 宅
造木 [通常]
‑市 町ゐ任 意 ‑市町任意
‑耐震備強工事 住宅 補強
‑静岡県 全 峨 (袴強後lw孟1.0
かつ+{).3)
. ~高齢者(65議以上)のみ文は ‑県 10万円/戸 ‑県 1/2 ⑬
[高齢 者等割増]
身体障害者等がいる世帯持の住宅 ‑市 町 10万円/戸 ‑市町1/2
‑繍助金額のよ限 80万同/Fi . S56. 5. 31以前の木造住 宅
‑建替工事 (国費のよ限 40万円/戸) ‑固 1/2 ⑩ 建省 4 木造住宅建替助成事 業 ‑静岡県 全 峨 ‑特 定行政庁の勧告又は耐震波修 ‑繍助金額のよ限 110万円/戸 ‑県 1/4会
促進法に基づく指導 (現 状lwく0.7)
(国費のよ限 55万円/戸) ‑市町1/4
※平 成25年度限り 5 緊急事官送道路沿道等 ‑緊急事官送道路沿道、遊鍛路
‑固 1/3
木造住宅耐震化助成 沿道※又 は、避鍛地隣接※ ‑繍助対象経費 32.600円1m
?
補強 事 業 ※密集市街地、津 波 浸 水 . S56. 5. 31以前の木造住 宅
‑耐震備強工事 ‑繍助対象経費の100事 ‑県 1/6会
.
[緊急輸送道路沿道] 区減等に限る ‑住宅の高さが前面緊急輸送道路(袴強後Iw註1.0 ‑市町1/6
建替 までの京平痘厳に、幅 員 の1/2
かつ+{).3)
.
を加えたものを越えるもの‑建替・除却工事
除却 ‑上記以外の遜費量路沿道又は遜 ‑特 定行政庁の勧告又は耐震政修
(現状Iwく0.7) ‑繍助対象経費 32.600円1m ‑固 1/2 ⑮
[遊鍛路選費量地沿道] 促進法に基づく指導 ‑県 1/4会
総地隣?華 ‑繍助対象経費の23%
‑市町1/4 会 政 令 市 は 県 補 助 なし
三 重 大 学 大 学 院-6 - 工 学 研 究 科
図 1.1.4 平成 15 年における進捗状況[1] 図 1.1.5 平成 20 年における進捗状況[1]
1.1.2 住宅耐震化の現状
前項で示した通り、国や地方自治体による住宅耐震化促進のための取り組みが進められ ている中、住宅耐震化の進捗状況(推計値)は、下のようになっている[1]。図1.1.4は平成 15 年における住宅耐震化の進捗状況であり、総戸数約 4700 万戸に対して耐震性があるも のは約3550万戸、耐震性のないものは約1150万戸となっており、耐震化率は約75%に留 まっている。図 1.1.5 は平成 20 年における住宅耐震化の進捗状況であり、総戸数約 4950 万戸に対して耐震性があるものは約3900万戸、耐震性のないものは約1050万戸となって おり、耐震化率は約79%に留まっている。平成20年の全国の耐震化率は、平成15年より 4ポイント進捗しているものの、平成20年に達成すべき 81.25%よりも約2ポイントマイ ナスの状況となっている[1]。
以上より、住宅耐震化は十分に進んでいるとは言えない。国土交通省は、住宅耐震化を 実施しない理由を把握し、住宅耐震化のボトルネックを明らかにするため、インターネッ トを用いたアンケート(国土交通行政モニターアンケート、持家世帯アンケート)の結果 を報告している[5]。国土交通行政モニターアンケートの概要を図 1.1.6、持家世帯アンケー トの概要を図1.1.7に示す。
三 重 大 学 大 学 院-7 - 工 学 研 究 科
図 1.1.6国土交通行政アンケートの概要[5]
三 重 大 学 大 学 院-8 - 工 学 研 究 科 図 1.1.7持家世帯アンケートの概要[5]
三 重 大 学 大 学 院-9 - 工 学 研 究 科
図 1.1.8耐震化の必要性を感じていても実施しない理由(複数回答)
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耐震改修にお金がかかるから 地震が発生しなかったら無駄になってしまうから 耐震改修しても住宅の資産価値が上がるとは思えないから どのように依頼すればよいか分からないから 工法・費用・診断結果等の適切さをチェックできないから
悪徳業者に対する警戒心があるから 耐震改修をしても、大地震の時に被害を免れるとは限らないか
ら
工事中の生活が不安だから 耐震改修により見栄えが悪くなったり住宅の使い勝手が悪くな
るかもしれないから
すぐに必要と考えるほどの切迫感がないから 建替えや解体、転居を予定しているから 共同住宅に住んでおり、自分だけでは判断できないから 耐震改修をすること自体がわずらわしいから その他
持家世帯アンケートの結果(図1.1.8)によると、耐震化の必要性を感じている方が耐震 改修しない(予定なし)の理由として、最も多い理由は「耐震改修にお金がかかるから」
という耐震化のコストに関するものであり、約 75%を占める。また「工法・費用・診断結 果等の適切さをチェックできないから」が24.5%、「耐震改修をしても、大地震の時に被害 を免れるとは限らないから」が19%と高く、「住宅耐震化」を信頼していない住民が多くい る事を示している。
国土交通行政モニターアンケートでは、木造一戸建て住宅の居住者の耐震改修に対する 支払可能額について設問があり、図1.1.9がその回答である。木造一戸建て住宅の居住者の 耐震改修に対する支払可能額は100万円未満が約84%であり、100万円以上は約16%であ る。木造一戸建て住宅の居住者のうち昭和55年以前に建てられた住宅の居住者に着目する と100 万円未満が約80%であり、100万円以上は約20%である。よって、昭和56年以降 に比べて、それ以前に建てられた木造一戸建て住宅の居住者の方が耐震化に対する意欲が 高い事が分かる。
※ 昭和55年以前建築、耐震化の必要性を感じているが, 耐震改修を実施(予定)していない世帯を対象 (N=163)
三 重 大 学 大 学 院-10 工 学 研 究 科-
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数 咁戸 咂
図 1.1.10静岡県における木造住宅耐震補強工事の費用[6]
図 1.1.9耐震改修に係る支払い可能額
※ 持家・耐震改修未実施のモニターを対象 (無回答を除く)
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木造一戸建!
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'*万円未満 '*~$**万円未満 $**~"**万円未満 "**万円以上
昭和((年以前の! 木造一戸建!
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住民が考える支払可能額と実際にかかる住宅耐震化の費用は相当の差があると考えられ
る(図 1.1.10)。静岡県における平成 24 年度の木造住宅耐震補強工事における平均工事費
は180万円[6]である。
三 重 大 学 大 学 院-11 工 学 研 究 科- 1.1.3 地方公共団体による耐震シェルターに関する取り組み
前項より、住民の住宅耐震化に対するハードルは高いと言える。住宅耐震化に代わる、
地震時に家屋内にいる住民の命を救うアイデアが耐震シェルターである。耐震シェルター は、地震時に家屋が倒壊しても、一定の空間を確保する事で住民の命を守るものである。
耐震シェルターは住宅耐震化に比べて、一般的にコストが安く、大掛かりな工事を要しな い為、住民にとって住宅耐震化よりハードルが低いと言える。
東京都は、地震から命を守るための装置について、広く募集し、学識経験者・実務経験 者等で構成する評価委員会の審査により一定の評価を受けた事例を「安価で信頼できる木 造住宅の耐震改修工法・装置の事例」として紹介しており[7]、ベッドを安全空間にするタイ プのものや、部屋の一部を安全にするタイプの耐震シェルターが含まれている。また、東 京都における、耐震シェルター設置のための補助制度を創設している自治体は平成25年7 月時点で、千代田区など27自治体である。東京都のホームページでは都内各自治体が行っ ている耐震シェルター補助制度の一覧が閲覧できる。図1.1.11~14に示す。
また、三重県四日市市は耐震シェルターの設置工事に対する補助金制度を設置している。
四日市市耐震シェルター設置事業補助金交付要項では、昭和56年5月31日以前に着工さ れた木造住宅で耐震診断において「倒壊または大破壊の危険がある」又は「倒壊する可能 性が高い」と判断された住宅を対象に最大25万円の補助金を交付するとしている。このよ うに各地方公共団体によって住宅耐震化だけでなく耐震シェルターの普及を促進させよう とする取り組みが行われている。
三 重 大 学 大 学 院-12 工 学 研 究 科-
対象となる建築物対象者の要件(所得制限、年齢制限等) 補助支払又は融資対象限度額 補助率 又は利子補給率(上限) 担当課TEL内線 千代田区木造住宅耐震促進事業昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 当該住宅に住民票があること50万円10/10まちづくり推進部建築指導課 03-5211-4310中央区※詳しくは区へ問い合わせください。 都市整備部建築課構造係 03-3546-5459新宿区新宿区建築物等耐震化支援事業 補助昭和56年5月31日以前に着工した木造の2階建て以下の住宅、共同住宅、店舗等併用住宅(住宅の用に供する床面積の合計が延べ面積の1/2を超えるもの) ①世帯全員が住民税を滞納していないこと、及び世帯全員の所得金額の合計が800万円以内であること②年齢65歳以上の高齢者又は障害者 ・耐震シェルター45万円・耐震ベッド35万円 9/10予備耐震診断の結果「耐震補強が必要」と診断されていること 都市計画部地域整備課03-5273-3829
文京区耐震改修促進助成事業(木造住宅耐震シェルター等助成)補助・防火地域内の昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅で耐震化基準を満たさない建物・建築基準法上の道路に突出していない等 高齢者等のみ居住高齢者等:①満65歳以上で対象建築物に1年以上居住②一定基準以上の障害者で対象建築物に1年以上居住 耐震シェルター等上限 15万円 3/4耐震診断の状況により、準防火地域内の木造住宅の場合でも、シェルター等助成の対象となる場合があります。詳しくは区へ問い合わせください。 都市計画部地域整備課住環境整備担当 03-5803-1374 台東区台東区耐震シェルター等設置助成事業補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 ①年間所得額が200万円以下の世帯のうち20歳以上65歳未満の方がいない世帯②区の助成を受けた耐震診断の結果、耐震改修工事が困難なもの③建物の構造上の理由等により、耐震診断が困難なもの 50万円 9/10台東区都市づくり部建築課建築防災担当 03-5246-1335(直) 36413642
高齢者防災ベッド設置助成事業補助 昭和56年5月31日以前に建築された建築物で、木造の平屋建て又は2階建ての戸建て住宅、併用住宅、長屋又は共同住宅 ①65歳以上の高齢者のみで構成されている世帯②当該住宅に住民票があり居住していること③前年分の所得が200万円以下の世帯④住民税を滞納していないこと⑤共同住宅や借家に居住する方は、建築物所 27万円9/10 設置は構造上、住宅の1階部分のみで江東区民間建築物耐震改修等助成(耐震診断除く)を受けていないこと及び本事業の助成を受けていないこと 都要綱で定める耐震シェルター 福祉部高齢者支援課在宅福祉係 03-3647-4319(直通) 身体障害者防災ベッド助成事業補助 昭和56年5月31日以前に建築された建築物で、木造の平屋建て又は2階建ての戸建て住宅、併用住宅、長屋又は共同住宅 ①身体障害者手帳1・2級をお持ちの方で、障害者のみの世帯又は障害者と65歳以上の高齢者のみで構成されている世帯②当該住宅に住民票があり居住していること③前年分の所得が200万円以下の世帯④住民税を滞納していないこと⑤共同住宅や借家に居住する方は、建築物所有者の承認を得ていること 27万円9/10 設置は構造上、住宅の1階部分のみで江東区民間建築物耐震改修等助成(耐震診断除く)を受けていないこと及び本事業の助成を受けていないこと 都要綱で定める耐震シェルター(ベッド型に限る。)であること。 福祉部障害者支援課相談第一係 03-3647-4953(直通)
品川区耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された、2階建て以下の木造住宅等(戸建住宅、長屋、共同住宅) 品川シェルター①高齢者(65歳以上)、または身体障害者(障害者等級2級以上)の方がいる世帯②年間世帯所得が600万円未満であること。③共同住宅や借家に居住する方は、建築物所有者の承認を得ていること。その他のシェルター①高齢者(65歳以上)のみの、または身体障害者(障害者等級2級以上)の方がいる世帯②低所得世帯(200万円未満)③共同住宅や借家に居住する方は、建築物所有者の承認を得ていること。 (品川シェルター)50万円(耐震シェルター)30万円 10/10都市環境事業部都市計画課耐震化促進担当 03-5742-6634 江東区
耐震シェルター等助成制度一覧
平成25年7月1日現在
※ 融資金利、利子補給額・率等は、年又は年度ごとに変動する場合があります。詳細は、所管行政庁 問合せ先(担当課)にお問合せください。
制度の種類 事業名事業主体 所管行政庁 問合せ先助成制度の対象等
備考
1/4耐震シェルター等助成制度一覧
図 1.1.11 東京都各自治体の耐震シェルター補助制度(その 1)
三 重 大 学 大 学 院-13 工 学 研 究 科-
対象となる建築物対象者の要件(所得制限、年齢制限等) 補助支払又は融資対象限度額 補助率 又は利子補給率(上限) 担当課TEL内線 平成25年7月1日現在
※ 融資金利、利子補給額・率等は、年又は年度ごとに変動する場合があります。詳細は、所管行政庁 問合せ先(担当課)にお問合せください。
制度の種類 事業名事業主体 所管行政庁 問合せ先助成制度の対象等
備考
目黒区目黒区耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 年間所得額が200万円以下の世帯のうち、65歳未満の方(障害程度1級又は2級の人を除く)がいない世帯 30万円10/10住宅の1階部分に設置すること。既に、耐震シェルター等の設置助成または耐震改修助成の交付決定を受けていないこと。 都市整備部建築課耐震化促進係 03-5722-9490 大田区大田区耐震シェルター等設置助成事業 補助昭和56年5月31日以前に建築確認を受けた木造住宅 年間課税所得額が200万円以下の世帯のうち、65歳以上の方又は障害者の方が居住していること 50万円9/10・設置場所は1階部分とすること。・耐震改修工事助成を受けていないこと。 まちづくり推進部都市開発課防災まちづくり担当 03-5744-1349 世田谷区世田谷区耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された平屋または2階建て木造建築物で、一戸建て住宅、過半が住宅の店舗併用住宅、長屋または共同住宅 ①年間所得額が200万円以下の世帯②20歳以上65歳未満の方がいない世帯(身体障害者を除く)③区民税を滞納していない世帯 30万円10/10耐震改修工事もしくは簡易耐震改修工事の世田谷区の助成金交付を受けていないこと。東京都で指定している耐震シェルター等であること。 都市整備部建築調整課03-5432-2468 渋谷区渋谷区耐震シェルター等設置助成事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造2階建て以下の住宅 65歳以上高齢者、又は地震発生時に避難することが困難な方が居住していること 50万円10/10・設置は構造上、住宅の1階部分のみ・既に、耐震シェルター等の設置助成または耐震改修助成の交付決定を受けていないこと・地方公共団体が奨励している耐震シェルター等であること 都市整備部まちづくり課防災まちづくり係 03-3463-2647 中野区中野区防災ベッド設置助成金交付事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 75歳以上の者のみで構成される世帯に属する者、介護保険法の要介護状態区分が要介護4又は要介護5に該当する者、並びに身体障害者福祉法の下肢又は体幹の機能障害の等級が1級又は2級の者。 年間所得が500万円未満の世帯は50万円。500万円以上の世帯については25万円 10/10(年間所得に応じ限度額を定める) ・区が実施する耐震診断を受けた木造住宅・耐震改修前の耐震診断の総合評点が1.0未満の建築物に居住する者・ベッド設置が1階にできる者 都市基盤部防災・都市安全分野地域防災担当 03-3228-8930
豊島区耐震シェルター助成補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 年間所得額が200万円以下の世帯のうち65歳未満の方がいない世帯 30万円9/10・既に、耐震シェルター等の設置助成または耐震改修助成の交付決定を受けていないこと・東京都が推奨している耐震シェルター等であること 都市整備部建築課許可・耐震グループ 03-3981-0590 北区北区耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築に着手した木造住宅 ①居住者であること②住民税の滞納がないこと③20歳以上65歳未満の者(障害程度1級又は2級を除く)がいないこと④世帯全員の所得の合計額が年間200万円以下であること 27万円9/10東京都北区木造民間住宅耐震化促進事業の耐震改修又は建替えの助成を受けていないこと まちづくり部建築課建築防災担当 03-3908-1240 荒川区木造建物耐震化推進事業(耐震シェルター設置工事支援事業) 補助・昭和56年5月31日以前に建築された木造戸建住宅(貸家含む)・区の耐震診断支援事業を受けた建物 所有者又はその同居者が高齢者(65歳以上)又は障がい者(障害者手帳を持っていること) 30万円 2/3防災都市づくり部防災街づくり推進課 03-3802-3111 28262827 練馬区練馬区耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 ・世帯合計所得が一定以下、高齢者等の地震発生時に避難することが困難な方がいる世帯・住民税等を滞納していないこと 50万円9/10・1階に設置すること。・耐震改修工事等助成金の交付決定を受けていないこと。 環境まちづくり事業本部都市整備部建築課耐震化促進係 03-5984-1938
2/4耐震シェルター等助成制度一覧
図 1.1.12 東京都各自治体の耐震シェルター補助制度(その 2)
三 重 大 学 大 学 院-14 工 学 研 究 科-
対象となる建築物対象者の要件(所得制限、年齢制限等) 補助支払又は融資対象限度額 補助率 又は利子補給率(上限) 担当課TEL内線 平成25年7月1日現在
※ 融資金利、利子補給額・率等は、年又は年度ごとに変動する場合があります。詳細は、所管行政庁 問合せ先(担当課)にお問合せください。
制度の種類 事業名事業主体 所管行政庁 問合せ先助成制度の対象等
備考
足立区耐震シェルター等設置支援助成 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅で、耐震診断助成を受けて実施した耐震診断の結果、耐震性が不足しているものと判定されたもの 60歳以上の方を含む世帯、障がい者を含む世帯又は住民税非課税世帯 30万円100/100・自己所有で自己居住の住宅に限る。・耐震改修工事助成との併用は不可。 都市建設部建築安全課建築防災係 03-3880-5317 葛飾区葛飾区耐震シェルター等設置助成 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅で、地階を除く階数が2以下 ①65歳以上の者(以下「高齢者」という。)、又は高齢者と同居する者②身体上の障害が身体障害者福祉法施行規則別表5号の1級から4級の者(以下「障害者」という。)、又は障害者と同居する者上記①、②のいずれかに該当する方 27万円9/10都市整備部建築課03-5654-8552 八王子市八王子市耐震シェルター等設置補助事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅 ①世帯の年間所得額は公営住宅入居資格基準(障害者等世帯)額以下②使用者が65歳以上の方のいる世帯又は身体障害者などが同居する世帯③対象住宅に居住している者④市税の滞納がないこと。 27万円 9/10まちなみ整備部住宅対策課 042-620-7260 3404
立川市立川市木造住宅耐震改修等工事(耐震シェルター等設置工事)助成事業 補助市の助成を受けて実施した耐震診断の結果、「倒壊する可能性がある」又は「倒壊する可能性が高い」と診断された住宅 ①対象住宅を所有する個人で、市税を滞納していない者②世帯の年間合計所得が700万円以下であること③高齢者世帯又は障害者世帯であること 25万円1/2経済的な事情その他やむをえない事由により耐震改修工事を行わない場合の対策として、東京都耐震シェルター等設置支援事業要綱別表1に定めるものを設置する工事 市民生活部住宅課042-528-4384 府中市府中市木造住宅耐震改修等助成制度(耐震シェルター等設置) 補助昭和56年5月31日以前に建築された木造住宅で、市の助成制度に基づく耐震診断で評点が1.0未満と診断された住宅 次のいずれかの要件を満たす者①65歳以上のみの世帯に属する②身体障害者手帳(1・2級)、精神障害者保健福祉手帳(1級)、愛の手帳(1・2度)の交付を受けた者と同一世帯に属する 30万円 3/4東京都耐震シェルター等設置支援事業要綱別表1に定める耐震シェルター等の設置に限る 都市整備部建築指導課住宅耐震化推進係 042-335-4173 昭島市昭島市耐震シェルター等設置支援事業 補助昭和56年5月31日以前に建築された市の区域内にある木造住宅のうち、2階建て以下で現に住居として使用している住宅 ・高齢者又は障害者のみの世帯(高齢者・障害者の単身世帯含む)・高齢者又は障害者のいる世帯で、20歳以上65歳未満の障害者でない者がいない世帯・世帯全員の年間所得合計金額が200万円以下の世帯 27万円 9/10・高齢者 65歳以上の者・障害者 身障手帳の1級若しくは2級の交付を受けているもの又は肢体不自由の場合は身障手帳の3級の交付を受けているもの 保健福祉部生活福祉課042-544-5111 2123
町田市町田市木造住宅耐震シェルター等設置事業助成制度 補助昭56年5月31日以前に建築された住宅で、2階建て以下の木造在来工法による戸建住宅(1/2以上を住宅としてりようしている併用住宅も含む)であり、市内に存するもの。 対象住宅に居住している個人であり、既に納期の経過した市税の滞納がないこと 20万円(一般世帯)、50万円(高齢者世帯※要件あり) 1/2(一般世帯)、9/10(高齢者世帯※用件あり) 耐震改修工事もしくは簡易耐震改修工事の市の助成金の交付を受けていないこと。東京都で指定している耐震シェルター等であること。 都市づくり部建物住宅対策課安全街づくり係 042-724-4269 4067
3/4耐震シェルター等助成制度一覧
図 1.1.13 東京都各自治体の耐震シェルター補助制度(その 3)