第 3 章 机型耐震シェルターの開発
3.4 長辺方向ラーメンの力学的検討 .1 検討項目
以下の項目について、長辺方向ラーメンの力学的検討を行う。
⑴ 鉛直荷重に対する許容耐力算出
⑵ 水平力に対する許容耐力算出
⑴ 鉛直荷重に対する許容耐力算出
長辺方向ラーメンの鉛直荷重に対する許容耐力を算出し、長辺方向ラーメン構成部材の 妥当性を確認するものとする。なお、本検討では、張弦梁 2本と長辺方向梁 2本が荷重を 均等に分担するものとし、次項で示す長辺方向ラーメンモデルには、その仮定に基づいた 荷重を与えている。ここで、張弦梁1本の負担荷重をP1、長辺方向梁1本の負担荷重をP2
とおく。
⑵ 水平力に対する許容耐力算出
前項では、Xフレームの水平荷重に対する許容耐力の算出を行い、シェルター短辺方向の 水平荷重に対するシェルター内の安全性を検討した。シェルター長辺方向の水平荷重につ いては、長辺方向ラーメンによって対抗するものとし、鉛直荷重に加えて水平荷重が作用 する場合の長辺方向ラーメンの許容耐力を算出する。また、鉛直荷重に対する水平荷重の 比率を大きくする事で、許容耐力がどう変化するか確認する。
長辺方向梁
Xフレームの柱
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-95工 学 研 究 科
-図 3.4.2長辺方向ラーメンモデル
(鉛直荷重)
図 3.4.3長辺方向ラーメンモデル
(鉛直荷重+水平荷重)
表 3.4.1長辺方向ラーメンモデルの諸量
図 3.4.4柱の傾斜の考慮(軸力算出の場合)
3.4.2力学モデル
本検討における、力学モデルを図3.4.2, 3.4.3に示す。ここで、図中のe,f,g,h,i点は横補 剛材位置である。長辺方向ラーメンが負担する水平荷重をPhとする。各モデルにおける形 状諸量を表3.4.1に示す。
ラーメンモデルにおける柱高さについては、傾斜した柱の鉛直方向における高さとし、
柱材の応力算定においては、図3.4.2, 3.4.3のラーメンモデルを解いて算出した応力に柱の 傾斜を考慮した応力値を採用している。具体的には、柱の傾斜角をαとした時、図3.4.4の ようにラーメンモデルで算出した応力(曲げモーメント、軸力)の値をsinαで除した値を 最終的な部材の応力値として採用している。
h(mm) 650
l(mm) 1120
ae
間長さ
(mm) 433.3 eb間長さ
(mm) 216.7 ab c
d e
f g h
i
P1/2 P2/3 P2/3 P2/3 P1/2 P1/2 P2/3 P2/3 P2/3 P1/2
b f g h c
e i
a d
Ph
h
l/4 l/4 l/4 l/4
l/4 l/4 l/4 l/4
h
a b
c
d Nab
Nab/sinα α
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-96工 学 研 究 科
-図 3.4.5仮定断面
b 点におけるボルト接合 部
c 点におけるボルト接合 図 3.4.6ボルト接合の諸量 部
表 3.4.2ボルト接合の諸量
3.4.3仮定断面長辺方向ラーメンの仮定断面を図3.4.5に示す。柱材にH形鋼(100 50 5 7)を、長 辺方向梁にH形鋼(100 50 5 7)をそれぞれ仮定している。柱梁部材のH形鋼は軽量 化のため、ウェブ部分に円形(φ=60mm)の孔を開けたものを仮定している。また、ボル ト接合の諸量としては、図3.4.6、表3.4.2のように仮定している。図3.4.6は、前項の長辺 方向ラーメンモデルにおけるb点、c点のボルト接合部を図にしたものである。
j(mm) 56
b1(mm) 56
b2(mm) 56
t(mm) 2.3
H形鋼(100 50 5 7)
H形鋼(強軸)(100 50 5 7)
t t
b1 b1
b1 b1
b2 b2
j j
b1群 b2群 c1群 c2群
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-97工 学 研 究 科
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判定値(
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長辺方向ラーメンの負担鉛直荷重(
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許容曲げ応力度判定
-./01#0/2区間
3#許容せん断応力度判定
-4/.1#2/5区間
3#許容圧縮応力度判定
-6/71#8/9区間
3#許容引張応力度判定
許容曲げ圧縮応力度判定
-./01#0/2区間
3#許容曲げ引張応力度判定 -./01#0/2区間3#
ボルトの許容せん断応力度判定
-4点
1#5点
3#ボルトの許容引張応力度判定
図 3.4.7負担鉛直荷重と各許容応力度判定値の関係
3.4.4検討結果⑴ 鉛直荷重に対する許容耐力の算出
長辺方向ラーメンの負担鉛直荷重と各許容応力度判定値の関係を図3.4.7に示す。各許容 応力度判定値は、許容応力度に対する存在応力度の比率であり、判定値が 1 を超えると部 材に変形等の損傷が発生する可能性がある。図中に示してある各許容応力度の判定値は、
各区間の中で最も判定値が大きいものを採用している。具体的には、許容曲げ応力度判定 においてはf-g, g-h区間のもの、許容せん断応力度判定においてはb-f, h-c区間のもの、許 容圧縮応力度判定においてはa-e, i-d区間のもの、許容曲げ圧縮応力度判定においてはf-g, g-h区間のもの、許容曲げ引張応力度判定においてはf-g, g-h区間のもの、ボルトのせん断 応力度判定においてはb,c点のものが常に最も判定値が大きい。各許容応力度判定において、
許容せん断応力度判定での判定値が最も大きく、長辺方向ラーメンの負担鉛直荷重を徐々 に大きくすると、最も早く部材の許容応力度に到達する。従って、長辺方向ラーメンの許 容耐力は、許容せん断応力度判定によって決まり、13.57kNである。
以上より、長辺方向ラーメンは鉛直荷重に対して、十分な耐力を持っていると言える。
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判定値(
!)
長辺方向ラーメンの負担鉛直荷重("#)
許容曲げ応力度判定
-./0区間
1#許容せん断応力度判定
-2/.区間
1#許容圧縮応力度判定 -0/3区間1#
許容引張応力度判定
許容曲げ圧縮応力度判定 -./0区間1#
許容曲げ引張応力度判定
-./0区間
1#ボルトの許容せん断応力度判定
-.$4.%群
1#ボルトの許容引張応力度判定
-.$群
1#図 3.4.8負担鉛直荷重と各許容応力度判定値の関係(水平荷重=0.1 鉛直荷重)
⑵ 水平力に対する許容耐力算出
まず、鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.1の場合を考える。図3.4.8は鉛直荷重に対 する水平荷重の比率が 0.1 の場合における長辺方向ラーメンの負担荷重と許容応力度判定 値の関係を示している。図中に示してある各許容応力度の判定値は、各区間の中で最も判 定値が大きいものを採用している。具体的には、許容曲げ応力度判定においてはc-i区間の もの、許容せん断応力度判定においてはh-c区間のもの、許容圧縮応力度判定においてはi-d 区間のもの、許容曲げ圧縮応力度判定においてはc-i区間のもの、許容曲げ引張応力度判定 においてはc-i区間のもの、ボルトの許容せん断応力度判定においてはc1, c2群のもの、ボ ルトの許容引張応力度判定においてはc1群のものが常に最も判定値が大きい。各許容応力 度判定において、許容せん断応力度判定での判定値が最も大きく、長辺方向ラーメンの負 担鉛直荷重を徐々に大きくすると、最も早く部材の許容応力度に到達する。従って、長辺 方向ラーメンの許容耐力は、許容せん断応力度判定によって決まり、11.01kN である。水 平荷重が作用しない場合の許容耐力は13.57kNであるため、鉛直荷重に加えて鉛直荷重の 0.1倍の水平荷重が作用する場合は、鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、許容耐力が約 0.812倍になる。
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長辺方向ラ ー メ ン の許容耐力
!"#$%!鉛直荷重に対する水平荷重の比率
!"&%許容せん断応力度到達
""-./01234区間5
ボルトの許容引張応力度到達
""-4'
群
5許容せん断応力度到達
""-234
区間
5図 3.4.9鉛直荷重に対する水平荷重の比率と許容耐力の関係
図3.4.9は、鉛直荷重に対する水平荷重の比率と長辺方向ラーメンの許容耐力の関係を示
している。具体的には、水平荷重の比率を0~1.0の範囲で0.1刻みに大きくしていき、そ れぞれの比率における長辺方向ラーメンの構成部材が許容応力度に達する時の長辺方向ラ ーメンの負担荷重(許容耐力)を算出して、プロットしたものである。鉛直荷重に対する 水平荷重の各比率における許容耐力を決定する許容応力度判定を下に示す。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0のとき、
b-f, h-c 区間の許容せん断応力度判定によって長辺方向ラーメンの許容耐力が決定され
る。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.1のとき、
h-c区間の許容せん断応力度判定によって長辺方向ラーメンの許容耐力が決定される。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.2~1.0のとき、
c1群ボルトの許容引張応力度判定によって長辺方向ラーメンの許容耐力が決定される。
以上のように、鉛直荷重に対する水平荷重の比率を大きくする事によって、各部材の応 力状態が変化するため、許容耐力を決定する許容応力度判定と部材の区間が変わる。また、
図より鉛直荷重に対する水平荷重の比率を大きくする事によって長辺方向ラーメンの許容 耐力は小さくなっていく事が確認できる。
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-鉛直荷重に対する水平荷重の各比率における許容耐力は、鉛直荷重のみが作用する場合 に比べて以下のように変化する。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.1の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.812倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.2の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.441倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.3の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.280倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.4の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.207倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.5の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.164倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.6の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.136倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.7の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.115倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.8の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.100倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が0.9の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.089倍の許容耐力になる。
・鉛直荷重に対する水平荷重の比率が1.0の場合の許容耐力は、
鉛直荷重のみが作用する場合に比べて、約0.08倍の許容耐力になる。