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張弦梁の力学的検討 .1 検討項目

第 3 章 机型耐震シェルターの開発

3.2 張弦梁の力学的検討 .1 検討項目

三 重 大 学 大 学 院

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工 学 研 究 科

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3.2 張弦梁の力学的検討

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a b c

P/3

P

a b c

H

H 3H/4

3H/4

図 3.2.1張弦梁が負担する荷重の与え方(均等荷重)

P/3 P/3

図 3.2.2張弦梁が負担する荷重の与え方(中央集中荷重)

⑶ 荷重の与え方による許容耐力及びたわみの変化の確認

張弦梁の力学的検討における、各部材の応力算定は橋梁構造計算[15]に基づいて行う。張 弦梁の4等分点に束材を配置する場合、各束材部分(図3.2.1のa,b,c点)に均等な荷重を 作用させ、a,b,c点における各束材の高さの比率を3:4:3にすると上弦材と束材は圧縮力を、

下弦材は引張力を負担し、各部材には曲げモーメントが発生しない。よって許容応力度判 定において有利になる。しかし、実際に作用する荷重は、各束材部分に均等な荷重が作用 するとは限らない。よって中央の束材部分(図3.2.2のb点)に集中荷重が作用した場合に、

どの程度許容耐力が低下するか確認する。また、たわみにどの程度影響を与えるか確認す る。

ここで張弦梁の許容耐力とは、張弦梁の構成部材が許容応力度に達した時の張弦梁 1 本 の負担荷重とする。許容応力度の算出については、鋼構造設計規準[12]に基づき行う。具体 的には、短期許容曲げ応力度、短期許容引張応力度、短期許容圧縮応力度、短期許容せん 断応力度、短期組み合わせ応力度(許容曲げ圧縮応力度、許容曲げ引張応力度)を算出する。

また、机型耐震シェルターの上部には、空間があるため、崩壊する家屋部材の荷重がシ ェルターに作用する時、落下による衝撃力が加わると考えられる。鋼構造設計規準では、

衝撃効果をもつ積載荷重を支持する構造部分にあっては、衝撃力の考慮として表3.2.1に示 すように荷重の割り増しを行っている。その中で、エレベーターを支持する構造部におい て荷重の割り増しが最大であり、エレベーターの重量の100%を割り増す事としている。

しかし、エレベーターを支持する構造部に作用する衝撃効果より机型シェルターに作用す る衝撃効果の方が大きい可能性があると考えられる。

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表 3.2.1衝撃力に対する荷重の割り増し(鋼構造設計指針)

表 3.2.2Unwin の安全係数

機械設計における許容応力は(3-2)式で示される[14]

許容応力

!

基準強度(破損限度)

安全係数

(3-2)

(3-2)式中の安全係数は基準強度と許容応力との比であり、Unwinの示した安全係数の一

般的平均値を表 3.2.2 に示す。Unwin の安全係数では、材料と荷重形式ごとに引張強度を 基準強度とした安全係数を示している。表より、鋼材の設計では、衝撃荷重に対しての安 全係数は静荷重に対しての安全係数の 4 倍である。よって、設計における安全側評価につ ながるため、机型シェルターにおける力学的検討では、Unwin の安全係数を採用し、鋼構 造設計規準に基づいて算出した許容応力度の 1/4 倍した値を最終的な部材の許容応力度と する。しかし、機械設計における安全係数を机型シェルター設計における衝撃荷重の考慮 として適応する事の妥当性に問題がある。よって力学的検討とともに衝撃実験を行い、

Unwin の安全係数の妥当性を確認、検証する必要がある。鋼構造設計規準における各長期

許容応力度の判定式と算定式を(3-3)~(3-26)式に示す。

支持する構造物 荷重の割り増し エレベーター エレベーター重量の100% 天井クレーン

(吊り具がトロリーに剛固定) 車輪荷重の30% モーターによって動く機械 機械重量の20%以上

ピストン駆動の機械 機械重量の50%以上 バルコニーなどをつる吊り材 積載荷重の30%

材料

安全係数

静荷重 繰り返し 変動荷重

および衝撃 衝撃/静荷重

片振 両振

錬鉄,鋼

3 5 8 12 4

鋳鉄

4 6 10 15 3.75

木材

7 10 15 20 2.86

煉瓦,大理石

20 30 - - -

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・許容曲げ応力度の判定式

!!!

!

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(3-3)

記号

!

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:

存在曲げ応力度(N/mm2)

!

!

:

許容曲げ応力度(N/mm2)

・許容曲げ応力度(強軸回り)の算出式 1) !!! !!! のとき

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2) !!!!!! !!! のとき

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ここに

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! (3-7)

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!!!! (3-8)

ⅰ) 補剛区間内で曲げモーメントが直線的に変化する場合

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ⅱ) 補剛区間内で曲げモーメントが最大となる場合

!! !! !!! (3-11)

!!!!! (3-12)

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!! (3-13)

記号

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基準強度(N/mm2)

!

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許容曲げ応力度(N/mm2)

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:

曲げ材の細長比(-)

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圧縮フランジの支店間距離(mm)

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弾性限界細長比(-)

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許容曲げ応力度の補正係数(-) !!

:

弾性横座屈モーメント(N・mm) !

:

弾性係数(mm3)

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弱軸まわりの断面 2 次モーメント(mm4) !!

:

曲げねじり定数(mm6)

!

:

せん断弾性係数(-)

!

:

サンブナンのねじり定数(mm4)

!!

:

降伏モーメント(N・mm)

!!! !!:それぞれ座屈区間端部における大きい方、小さい方の、強軸周りの曲げ モーメント(N・mm). !!!! は複曲率の場合正、単曲率の場合負とする。

・許容曲げ応力度(弱軸回り)の算出式

!

!

!

!

!!!

(3-14)

記号

!:

基準強度(N/mm2)

・許容引張応力度の判定式

!!!

!

! !

(3-15)

記号

!

!

:

存在引張応力度(N/mm2)

!

!

:

許容引張応力度(N/mm2)

・許容引張応力度の算出式

!

!

!

!

!!!

(3-16)

記号

!:

基準強度(N/mm2)

・許容圧縮応力度の判定式

!!!

!

! !

(3-17)

記号

!

!

:

存在圧縮応力度(N/mm2)

!

!

:

許容圧縮応力度(N/mm2)

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・許容圧縮応力度の算出式 1) !!!のとき !!! !!!!!!

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! (3-18) 2) !!!のとき

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!!!!!! (3-19)

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!!!! (3-20)

記号

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:

許容圧縮応力度(N/mm2)

!:

圧縮材の細長比(-)

!:

ヤング係数(N/mm2)

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!!!!

!:

限界細長比(-)

!:

基準強度(N/mm2)

・許容せん断応力度の判定式

!!

!

! !

(3-21)

記号

!:

存在せん断応力度(N/mm2)

!

!

:

許容せん断応力度(N/mm2)

・許容せん断応力度の算出式

!

!

!

!!!! !

(3-22)

記号

!:

基準強度(N/mm2)

・許容曲げ圧縮応力度の判定式

!!!

!

!

!!!!!

!

! !

(3-23)

かつ

!!!!!!!

!!

! !

(3-24)

記号 !!

:

許容圧縮応力度(N/mm2) !!

:

許容曲げ応力度(N/mm2) !!

:

許容引張応力度(N/mm2)

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表 3.2.3ケーブルの破断に対する安全率

!!!!

:

圧縮側曲げ応力度(N/mm2)

!!!!

:

引張側曲げ応力度(N/mm2)

・許容曲げ引張応力度の判定式

!!!!!!!!

!

! !

(3-25)

かつ

!!!!!!!

!!

! !

(3-26)

記号 !!

:

許容引張応力度(N/mm2) !!

:

許容曲げ応力度(N/mm2) !!

:

存在引張応力度(N/mm2) !!!!

:

圧縮側曲げ応力度(N/mm2) !!!!

:

引張側曲げ応力度(N/mm2)

なお、下弦材のワイヤロープの許容応力度については道路橋示方書[16]に基づいて算出を 行う。道路橋示方書によると、つり橋におけるケーブルの破断に対する許容値は表3.2.3に 示す安全率で除して求めるとしている。

よって、ワイヤロープの許容引張応力度σaは、つり橋におけるケーブルの破断に対する 安全率を採用し、(3-27)式によって算出するものとする。

!! !!!!!!!! (3-27) 記号 ν: 安全率 (=3.0)

!!: 断面積 (mm2) !!: 破断強度 (N)

!!: 衝撃荷重に対する安全係数 (=4.0)

また、同示方書によると、吊り橋に使用するロープの種類によって、ヤング係数が示さ れている。表3.2.4に示す。ただし、ストランドロープ、スパイラルロープ及びロックドコ イルロープはプレテンショニングを行って使用するものと定めている。本検討では、スト ランドロープのものを採用している。

部材 安全率ν

ケーブル つり橋

3.0

斜張橋

2.5

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表 3.2.4ワイヤロープのヤング係数

構造 ヤング係数 (N/mm

2)

ストランドロープ

1.35 105

スパイラルロープ

,

ロックドコイルロープ

1.55 105

平行線ストランド, 被覆平行線ストランド

1.95 105

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a c d e b

f g

h

H

l l l l

a c d e b

f g h

P/3

P

l l l l

a c d e b

f g

h 1

l l l l

図 3.2.3張弦梁モデル(均等荷重)

図 3.2.4張弦梁モデル(中央集中荷重)

図 3.2.5張弦梁モデル(適合系)

P/3 P/3

H 3H/4

3H/4

3H/4 H

3.2.2力学モデル

本検討における、力学モデルを下に示す。図中のP は張弦梁1本の負担荷重であり、各 束材部分に均等荷重が作用するモデルが図3.2.3、中央の束材部分に集中荷重が作用するモ

デルが図3.2.4となっている。なお、たわみの算出には、図3.2.5の適合系モデルを用い、

梁中央部(d点)の下向きたわみを算出する。各図中の1は上弦材の区間長であり、280mm とする。

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- 等辺山形鋼(30 30 5)

丸鋼(φ-15) ワイヤロープ(径-16)

図 3.2.6張弦梁の仮定断面

3.2.3仮定断面

仮定断面を図3.2.6に示す。上弦材の等辺山形鋼(30 30 5)、束材の丸鋼(φ-15)、下 弦材のワイヤロープ(径-16)で構成される張弦梁を仮定している。

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図 3.2.7せいと各部材の許容応力度到達時における張弦梁負担荷重との関係(均等荷重)

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張弦梁の負担荷重 !" !#$% &

梁中央のせいの高さ !'!#((&

束材

,

丸鋼 

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下弦材

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ワイヤロー

プ 

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下弦材

,

ワイヤロー プ 

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上弦材

,

山形鋼

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梁せい の最小高さ (

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3.2.4検討結果

⑴ 張弦梁のせいの高さによる許容耐力の確認

張弦梁のせいの高さと各部材の許容応力度到達時における張弦梁負担荷重の関係を図

3.2.7に示す。なお、各部材の許容耐力到達時には、他の部材は弾性であると仮定している。

また、本検討において仮定した断面では、梁せいの最小高さは28.83mm である。図より、

張弦梁のせいの高さを大きくすると、各部材の許容応力度到達時における張弦梁負担荷重 は大きくなる事が分かる。また、下弦材については、許容応力度として破断強度に安全率

(ν=3.0)を除した値を採用しているが(図 3.2.7 中の赤実線部)、仮に破断強度に安全率

(ν=1.0)を除した値を採用した場合は図3.2.7の赤点線のようになり、ワイヤロープ破断 時における応力度に対して、本検討で採用した許容応力度は十分に小さい事が分かる。図 中の黒点線は、ワイヤロープが破断した場合の張弦梁の許容耐力を示している。具体的に は、ワイヤロープが破断した場合、上弦材のみが荷重を負担するため許容耐力が低下し、

張弦梁負担荷重が約0.65kNのとき、上弦材が許容曲げ応力度に達し、許容耐力が決定する。

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図 3.2.8張弦梁と梁中央点のたわみとの関係(均等荷重)

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張弦梁の負担荷重

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梁中央点のたわみ

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図 3.2.7 より、ワイヤロープ(径-16)の許容応力度到達時における張弦梁負担荷重が常

に、最も小さい事が分かり、束材である丸鋼(φ-15)が他の部材に比べて、余力を残して いる事が分かる。

机として使用する際、日常生活に影響を与えない為には、せいの高さはできるだけ小さ くすべきであると考える。例えば、せいの高さを 100mmに設定した場合、図 3.2.7より、

張弦梁の許容耐力は、7.12kNとなり、一定の荷重性能と日常生活における使用性を満たし たものであると考える。

⑵ たわみの検討

張弦梁の負担荷重とはり中央点のたわみの関係を図3.2.8に示す。各梁せいの高さ別に示 しており、下弦材であるワイヤロープの許容耐力到達時における張弦梁負担荷重を で示 している。図より、張弦梁の負担荷重が大きくなれば、たわみも大きくなる。また、梁せ いが高くなれば、許容耐力到達時におけるたわみは小さくなる事が分かる。図より、梁せ いの高さを100mmに設定した場合、張弦梁の許容耐力である7.12kNの荷重が作用すると、

張弦梁中央点において 1.99mm のたわみが発生する。この程度のたわみならば、シェルタ ー内の安全性に影響を与えないものと考える。