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( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

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Academic year: 2022

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(様式 甲5)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

論 文 提 出 者 氏 名 論 文 審 査 担 当 者

髙 橋 優 子

主 査 副 査 副 査 副 査

教 授 教 授 教 授 教 授

大 道 正 英

岡 田 仁 克

辻 求

瀧 内 比 呂 也 主論文題名

Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent transforming growth factor- binding protein-4 is downregulated in breast cancer stroma

(乳癌組織の間質におけるバーシカンG1、G3ドメインの増加、および潜在型 TGF-結合蛋白4の減少)

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

《研究の背景と目的》

乳癌組織をはじめ種々の癌組織における間質は正常部のそれと異なり、腫瘍細胞 の増殖・浸潤に大きな役割を果たしていることが知られている。細胞外マトリック ス(ECM)の一つであるバーシカン (versican)はコンドロイチン硫酸プロテオグリ カンで、ヒアルロン酸(HA)と共に細胞の接着や移動の制御に関与している。肺癌、

消化器癌では、間質での発現と予後との関連が示唆されている。また、versicanに は V0,V1,V2,V3 の 4 つの isoform が存在し、互いに異なる作用を有することも知 られている。

一方、TGF-はECMの遺伝子発現やマトリックス分解酵素の制御に関わり、細 胞増殖と分化に携わることが知られているが、通常は潜在型TGF-結合蛋白(latent transforming growth factor- binding protein : LTBP)と結合してECMに存在す る。TGF-の活性化には LTBPがECMに結合することが必要であり、ECM に存 在するmicrofibrilの構成要素であるfibrillin-1と結合することが知られている。

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VersicanはそのN末端(G1 domain)においてHAと結合し、C末端(G3 domain) においてfibrillin-1と結合する。さらに、fibrillin-1はLTBP-1および4と結合す るため、HA、versican、fibrillin-1、およびLTBP-1,4には相互作用があり、癌周 囲の間質においてはこれらの発現の不均衡があることが示唆される。しかし、こ れらの動態は、いまだ解明されていないのが現状であり、特に乳癌組織の臨床検 体を用いた報告例も少ない。

本研究では、手術検体によって得られた乳癌組織の癌部と非癌部の間質におけ る、VersicanのG1,G3 domainおよびそのisoform、またfibrillin-1やLTBP1,4 の発現の違いを、臨床病理学的因子との関係も含めて比較・検討した。

《方 法》

浸潤癌と診断され、外科的乳房切除を行った18症例の摘出標本より、癌部およ び非癌部の組織片を採取し、それぞれホルマリン固定および‐80℃にて保存した。

この際、癌部と非癌部は目視において十分離れていることを確認して採取し、

H&E染色において確認した。

VersicanのG1,G3 domainおよびそのisoform、fibrillin-1、LTBP-1,4の発現 の癌部および非癌部での違いを、real time RT-PCR、slot blotting、免疫組織化学 にて比較・検討した。さらに、これらの発現と臨床病理学的因子との関連を検討 した。

《結 果》

Realtime RT-PCR では、癌部において versican V1 および V0 の増加および LTBP-4の減少が認められた。Slot blottingでは、癌部においてversican G1,G3 domain の増加および LTBP-4 の減少が認められた。一方、fibrillin-1 および

LTBP-1は、いずれの検討においても有意差が認められなかった。

免疫組織化学では、癌周囲の間質においてHA、6084(versicanのG1 domain

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を認識する抗体)、2B1(同G3 domainを認識する抗体)の陽性像が認められたが、

LTBP-1,4の発現は陰性あるいは微かであった。

臨床病理学的因子との関連においては、Versican の G3 domain と癌細胞の Ki67 index間に相関関係が認められた。

《考 察》

Versicanのisoformにおいては、癌部でV0,V1の増加が認められたが、これは 消化器癌、肺癌等の癌組織と同様であった。一方、V2 と、V3 は量的には少量で あった。

一方、versicanのG1,G3 domain蛋白については、slot blottingおよび免疫組 織化学においてその発現の増加が認められた。G1 domainは細胞移動や増殖に関 わっていることや、G3 domainが血管新生やepidermal growth factor様構造に よって増殖や浸潤に関わっていることが指摘されていることから、乳癌組織にお いても、G1およびG3 domain の増加により、腫瘍の増殖浸潤に関与する可能性 が示唆された。

さらに免疫組織化学では、これらの物質が癌細胞外に認められたが、versican が癌細胞から分泌されてECMに集簇している可能性や、癌細胞がECMの間質細 胞に働きかけてparacrine mechanismによりversicanの発現を促している可能性 が考えられる。一方、LTBP-4が癌部においてmRNAや蛋白レベルで低下してい ることについては、LTBP-4 が TGF-シグナル経路を制御していることから、そ の破綻により癌細胞の増殖に関与している可能性が示唆された。

免疫組織化学により、HA、versican G1, G3 domain、fibrillin-1、および

LTBP-1,4は非癌部の乳腺組織においては、非癌部の乳管の周囲に限局して存在し

ていたが、癌部の間質においてはHAとversican G1,G3が認められ、LTBP-4は 認められなかったことから、HA-versican複合体の増加と、LTBP-4-TGF-複合体 の破綻が起こっていることが示唆された。

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臨床病理学的因子との相関については、versicanとKi67 indexおよび腫瘍径の 間で認められ、versican が腫瘍細胞のbiological phenotype に影響を与えるもの と考えた。

《結 語》

乳癌組織の間質における、versican のG1,G3 domainおよびV0,V1 isoformの 増加、およびLTBP-4の減少を証明した。また、versicanのG3 domainは癌細胞 のKi67 indexと相関した。

今回の研究により、乳癌細胞の増殖進展には、間質に存在する versican や

LTBP-4が重要な働きを担っていると考えられ、今後の乳癌治療の標的として期待

される。

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(様式 甲6)

審 査 結 果 の 要 旨 お よ び 担 当 者

報 告 番 号 甲 第 号 氏 名 髙 橋 優 子

論 文 審 査 担 当 者

主 査 副 査 副 査 副 査

教 授 教 授 教 授 教 授

大 道 正 英

岡 田 仁 克

辻 求

瀧 内 比 呂 也

主論文題名

Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent transforming growth factor- binding protein-4 is downregulated in breast cancer stroma

(乳癌組織の間質におけるバーシカンG1、G3ドメインの増加、および潜在型 TGF-結合蛋白4の減少)

論 文 審 査 結 果 の 要 旨

乳癌組織をはじめ種々の癌組織における間質は正常部と異なり、腫瘍細胞の増 殖・浸潤に大きな役割を果たしていることが知られている。細胞外マトリックス (ECM)の一つであるバーシカン (versican)は、ヒアルロン酸(HA)と共に細胞の接着 や移動の制御に関与しており、肺癌、消化器癌では、間質での発現と予後との関連 が示唆されている。

一方、TGF-はECMの遺伝子発現やマトリックス分解酵素の制御に関わり、細 胞増殖と分化に携わることが知られているが、通常は潜在型 TGF-結合蛋白 (LTBP)と結合してECMに存在する。TGF-の活性化にはLTBPがECMに結合す ることが必要であり、ECMに存在するmicrofibrilの構成要素であるfibrillin-1と 結合することが知られている。

VersicanはそのN末端(G1 domain)においてHAと結合し、C末端(G3 domain) においてfibrillin-1と結合する。さらに、fibrillin-1はLTBP-1および4と結合す

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るため、HA、versican、fibrillin-1、および LTBP-1,4 には相互作用があり、癌周 囲の間質においてはこれらの発現の不均衡があることが示唆される。

申請者は、手術検体によって得られた乳癌組織の癌部と非癌部の間質における versicanのG1,G3 domain およびそのisoform、fibrillin-1、LTBP-1,4の発現の違 いをreal time RT-PCR、slot blotting、免疫組織化学にて比較・検討し、さらに、

これらの発現と臨床病理学的因子との関連を検討した。

この結果、乳癌組織の間質における、versican の G1,G3 domain およびその V0,V1 isoformの増加、およびLTBP-4の減少が証明された。また、versicanは癌 細胞のbiomarkerであるKi67 indexと相関した。

乳癌組織におけるECMの動態は、いまだ解明されていないのが現状であり、臨 床検体を用いた報告例も少ない。今回の研究により、乳癌細胞の増殖進展には、間 質に存在するversicanやLTBP-4が重要な働きを担っていると考えられる。

本研究は、今後の乳癌における targeted therapeutics としての可能性が期待さ れる。

以上により、本論文は本学大学院学則第 11 条に定めるところの博士(医学)の 学位を授与するに値するものと認める。

(主論文公表誌)

Breast Cancer 19: , 2012 in press

参照

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