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学位論文審査の要旨主査副査副査教授教授教授三上菊地林川

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Academic year: 2021

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(1)

博 士 ( 工 学 )    京 田 英 宏

学 位 論 文 題 名

斜 角 を 有 す る 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 の 地 震 時 変 形 性 能      に 関 す る 研 究

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

わが国は中央に急峻を山脈が縦断しており国土の70% を山地が占めている.山岳地帯か らは無数の河川が海に流れ込んでおり,これらを横過するために橋梁が数多く建設されて いる,本来,橋梁の平面形状は河川をどと直角に交差する直橋が構造特性も明確で経済性に も優れているが,橋梁技術の進歩によって平面形状を車両の走行性を重視した道路線形と 一致させることが可能になり,斜橋や曲線橋が計画されてきた.直橋や斜橋橡どの上部構造 を支持する鉄筋コンクリート橋脚の形式には単柱式や壁式をどがあり,都市内高架橋のよ うに空間的を制約のある場合には橋脚形状が円形や矩形の単柱式橋脚が採用されるがっ河 川橋では流水阻害をどの問題から壁式橋脚が多く採用される.また,跨線橋や跨道橋におい て も , 用 地 の 制 約 を ど が な ぃ 地 域 で は 大 断 面 の 壁 式 橋 脚 が 採 用 さ れ て い る ,

  

一方、橋梁の耐震設計では,地震時慣性カの作用方向を橋軸方向と橋軸直角方向に設定 し‐水平二方向の地震時慣性カをそれぞれ独立して作用させる検討が行われている,これ は.橋軸方向と橋軸直角方向に作用する地震動の最大値が同時に発生する確率が低いこと,

水平二方向に対して同時に地震時慣性カを作用させる検討が煩雑をことなどが理由として 挙げられる.また,道路橋の耐震設計では,斜角60 ゜以上の斜橋は設計の簡便さから直橋と みなして橋梁の主軸方向に対する検討しかをされていをい.しかし,実際の地震時慣性カは 水平二方向に対して同時に作用するため,橋梁の主軸方向とは異をる方向に地震時慣性カ が作用することにをる.

  

橋梁の主軸方向とは異をる方向に地震時慣性カが作用する斜め方向載荷(二軸曲げ)問 題について,建築分野においては古くから検討がをされているが,鉄筋比の高い柱部材に対 して曲げモーメントとせん断カを作用させる検討が中心であり,橋脚のように鉄筋比が低 く曲げモーメントが卓越する柱部材を対象としたものではなぃ,一方,土木分野においても 載荷方向の違いによる耐カや変形性能の違いについて実験的に検討されているが,いずれ の検討結果も都市内高架橋に採用される正方形断面を基本としており,斜橋を支持する壁 式橋脚に対してそのまま適用することは難しい.したがって,斜め方向載荷における鉄筋コ ンクリート壁式橋脚の部材特性を把握することは合理的を耐震設計を行ううえで重要と考 えられるが,未だ手付かずの状況にある,これは,斜橋と支承を介してそれを支持する壁式 橋脚が複雑な構造系であることが一因と推察される,

  

本研究は。支承を介して上部構造による拘束を受ける鉄筋コンクリート壁式橋脚を対象 として正負交番載荷実験および材料非線形を考慮した数値解析を行い,壁式橋脚の地震時 変形 性 能 の把 握 を 目 指し て , 以下 に 示 す項目 に着目 して検討 を行った もので ある.

1

) 上 部 構造 が 支 承 を介 し て 鉄筋 コ ン クリ ー ト 壁式 橋 脚 に及 ば す 拘束 性状の 検証.

‑ 598

(2)

2) 斜 角 の 有 無 が 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 の 破 壊 性 状 , 耐 カ お よ び 変 形 性 能 に 及 ば す 影 響 の 検 討 .

3) 支 承 構 造 の 違 い が 斜 角 を 有 す る 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 の 地 震 時 変 形 性 能 に 及 ば す 影 響 の 検 討 .

4) 斜 角 を 有 す る 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 の 地 震 時 変 形 性 能 の 評 価 に お け る 材 料 非 線 形 を 考 慮 し た 数 値 解 析 法 の 有 効 性 の 検 討 ,

  本 論 文 は , 全 5章 で 構 成 さ れ て お り , 各 章 の 概 要 は 以 下 の と お り で あ る .   第1章 で は , 本 論 文 の 序 論 と し て , 研 究 の 背 景 や 目 的 に つ い て 述 べ る と と も に , 本 研 究 に 関 連 す る 既 往 の 研 究 の 整 理 を 行 っ た .

  第2章 で は , 上 部 構 造 が 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 に 及 ば す 拘 束 性 状 に つ い て 研 究 報 告 が な い こ と を 受 け て , 上 部 構 造 ‐ 鋼 製 支 承 ‐ 壁 式 橋 脚 で 構 成 さ れ た 橋 梁 模 型 の 橋 脚 基 礎 に 強 制 変 位 を 与 え る 載 荷 装 置 を 使 用 し て 単 調 載 荷 お よ び 正 負 交 番 載 荷 実 験 を 行 い , 上 部 構 造 の 拘 束 性 状 に つ い て 検 証 し た . そ の 結 果 , 橋 脚 の 損 傷 に と も を う 伸 長 を 上 部 構 造 が 拘 束 し 軸 カ が 増 加 す る こ と . 軸 方 向 鉄 筋 の 座 屈 に よ り 橋 脚 の 伸 長 が 収 束 す る こ と , 斜 角 を 有 す る 場 合 に は 上 部 構 造 の 拘 束 に よ り 支 承 間 に 反 力 差 が 生 じ 壁 式 橋 脚 に は 面 内 せ ん 断 カ が 作 用 す る こ と を 明 ら か に し た .

  第3章 で は , 橋 脚 上 の 支 承 構 造 と し て , 従 来 か ら 広 く 採 用 さ れ て い る 鋼 製 支 承 と ,1995年 兵 庫 県 南 部 地 震 を 契 機 に 橋 梁 の 耐 震 性 向 上 を 目 的 と し て 普 及 し た 積 層 ゴ ム 支 承 の2タ イ プ を 用 い て 。 第2章 で 使 用 し た 載 荷 装 置 に よ る 正 負 交 番 載 荷 実 験 を 行 い , 斜 角 の 有 無 お よ び 支 承 構 造 の 違 い が 壁 式 橋 脚 の 地 震 時 変 形 性 能 に 及 ば す 影 響 に つ い て 検 討 し た . そ の 結 果 , 斜 角 を 有 す る 場 合 に は , 上 部 構 造 が 橋 脚 を 強 く 拘 束 し て 斜 角 の を い 場 合 よ り も 耐 カ が 向 上 す る こ と , 損 傷 が 中 立 軸 か ら 遠 い 隅 角 部 よ り 徐 々 に 進 行 し て 壁 全 幅 に 損 傷 が 及 ぶ ま で 耐 カ を 維 持 す る た め 比 較 的 高 い 塑 性 変 形 性 能 を 有 す る こ と , し か し , 載 荷 方 向 に 対 す る 剛 性 が 高 く 損 傷 が 橋 脚 基 部 に 局 所 化 し 直 橋 の 場 合 よ り も 軸 方 向 鉄 筋 の 座 屈 長 が 短 く を る こ と , ま た , 積 層 ゴ ム 支 承 の 場 合 に は 上 部 構 造 の 拘 束 が 緩 和 さ れ て 鋼 製 支 承 の 場 合 の よ う を 面 内 せ ん 断 ひ び 割 れ が 生 じ 橡 い こ と を 明 ら か に し た .

  第4章 で は , 第3章 の 実 験 結 果 を 対 象 と し て 軸 方 向 鉄 筋 の 座 屈 を 考 慮 し た フ ん イ バ ー モ デ ル に よ る 非 線 形 解 析 を 行 い 。 斜 角 を 有 す る 鉄 筋 コ ン ク リ ー ト 壁 式 橋 脚 に 対 す る 非 線 形 解 析 手 法 の 有 効 性 に つ い て 検 討 し た . そ の 結 果 , 上 部 構 造 の 拘 束 に よ る 耐 カ の 向 上 , 中 立 軸 か ら 遠 い 隅 角 部 よ り 壁 全 幅 へ と 進 行 す る 損 傷 過 程 , 軸 方 向 鉄 筋 の 座 屈 に と も な う 耐 カ の 低 下 を 概 ね 再 現 可 能 で あ り , 地 震 後 の 損 傷 レ ベ ル の 把 握 や 復 旧 性 の 判 定 に 対 す る 有 効 性 を 明 ら か に し た .

  第5章 は 総 括 で あ り , 本 研 究 で 得 ら れ た 成 果 を 要 約 す る と と も に , 今 後 の 研 究 課 題 と 展 望 に つ い て 述 べ た .

‑ 599―

(3)

学位論文審査の要旨 主査 副査

副査

教授 教授 教授

三上 菊地 林川

学 位 論 文 題 名

    隆     優 俊 郎

斜角を有する鉄筋コンクリート壁式橋脚の地震時変形性能      に関する研究

  わが 国は、 国土の70%が山岳 地帯で 占めら れ、そこからは数多くの河川が海に流れ込むため河 川を横過する橋(河川橋)が多く建設されている。

  河川橋は、空間的制約のために形状が円形や矩形の単柱式橋脚を有する都市内高架橋と異なり、

河川 管理上 の制約 から幅 厚比3以上のRC(鉄筋コンクリート)壁式橋脚が数多く採用されている。

また、河川橋および高架橋には、架設地点の交差条件により橋梁の下部構造を橋軸方向に対して斜 めに配置する(斜角を有する)いわゆる斜橋とをる場合が少をくをい。

  1995年 の兵庫 県南部地 震は、橋梁を始めとする社会基盤施設に甚大を被害をもたらし、大規模 地震に対する耐震対策の重要性を広く再確認させた。これを契機として、橋梁については耐震設計 法や耐震補強法に関する研究が精力的に行われ、その成果をもとに各種設計基準が改定され地震時 変形性能に基づく耐震設計法が導入された。しかしながら、その研究のほとんどは橋梁の下部構造 を橋軸方向に対して直角に配置する直橋の単柱式橋脚に関するものである。斜橋の場合、橋梁の主 軸方向とは異をる方向に地震時慣性カが作用する斜め方向載荷(ニ軸曲げ)問題として検討する必 要がある。しかし、これまでのほとんどの研究は、都市内高架橋に採用される正方形断面の橋脚に 対するもので、得られた成果は斜橋を支持する壁式橋脚にそのまま適用することは困難と考えられ る。さらに、復|日性能を踏まえた斜橋の壁式橋脚の地震時変形性能の把握は、支承を介して上部構 造による拘束を受ける壁式橋脚の変形性能を解明する必要があるが、上部構造、支承、壁式橋脚の 3者で構成される構造系に対する検討は皆無に近い。

  以上 を背景 に本研 究は、支承を介して上部構造による拘束を受け、斜角を有するRC壁式橋脚を 対象として、その地震時変形性能の把握を目的に正負交番載荷実験および材料非線形を考慮した数 値解析を行っている。

  第1章では、序論として、研究の背景と目的について述べるとともに、本研究に関連する既往の 研究の整理を行っている。

  第2章では、上部構造‐鋼製支承−壁式橋脚から成り、斜角の有無を考慮した橋梁模型の橋脚基礎 に強制変位を与える載荷装置を用いて単調載荷および正負交番載荷実験を実施し、上部構造の地震 時拘束挙動に関する検討を行っている。その結果、橋脚の損傷にともをう伸長を上部構造が拘束し 軸方向カが増加すること、斜角を有する場合には上部構造の拘束により支承間に反力差が生じ壁式 橋脚には面内せん断カが作用すること等を明らかにした。

(4)

  第3章 で は 、 橋 脚 上 の 支 承 と し て 、 従来 か ら よ く 用 いら れ て い る 鋼製 支 承 お よ び1995年の 兵 庫 県 南部 地 震 以 降 、橋 梁 の 耐 震 性向 上 を 目 的 とし て 用 い ら れ るよ う に を っ た積 層 ゴ ム 支承の2タ イプ を 用い て 、 第2章と 同 様 な 載 荷装 置 を 用 い た正 負 交 番 載 荷実 験 を 行 い 、 斜角 の 有 無 およ び支承 構造 の 違い が 壁 式 橋 脚の 地 震 時 変 形性 能 に 及 ば す影 響 を 明 ら か にし ている 。そ の結果 、斜角 を有す る場 合 には 、 上 部 構 造が 橋 脚 を 強 く拘 束 し て 斜 角の 無 い 場 合 よ りも 耐カが 向上 するこ と、比 較的高 い塑 性 変形 性 能 を 有 する こ と 、 損 傷が 橋 脚 基 部 に局 所 化 し 斜 角 の無 い場合 より も橋脚 内の軸 方向鉄 筋の 座 屈長 が 短 く を るこ と 、 ま た 積層 ゴ ム 支 承 の場 合 に は 上 部 構造 の拘束 が緩 和され て鋼製 支承の 場合 の よう な 面 内 せ ん断 ひ び 割 れ が生 じ な い こ と等 を 明 ら か に した 。

  第4章 で は、 第3章 の 欠験 結 果 を 踏 まえ て 軸 方 向 鉄筋 の 座 屈 を 考慮 し た フ ァ イ バー モ デ ル に よる 非 線 形 解 析 を 行い 、 斜 角 を 有 するRC壁 式橋 脚 に 対 す る 解析 手 法 の 有 効性 の 検 討 を 行っ て い る 。 そ の 結果 、 上 部 構 造の 拘 束 に よ る耐 カ の 向 上 、軸 方 向 鉄 筋 の 座屈 による 耐カ の低下 を概ね 再現可 能で あ る 等 を 明 ら か に し 、 提 案 す る 解 析 手 法 の 有 効 性 ・ 妥 当 性 の 確 認 を 行 っ て い る 。   第5章 は 総括 で 、 本 研 究で 得 ら れ た 成 果を 要 約 す る とと も に 、 今 後の 研 究 課 題 と展 望に つい て述 べ てい る 。

  こ れ を 要 する に 、著 者は、 これま でに 用いら れるこ とのを かった 実験 模型と して上 部構造 ‐支 承‐

壁 式 橋 脚 か ら 成る 場 合 に つ い て正 負 交 番 載 荷実 験 を 実 施 し、 斜 角 の 有 無お よ び 支 承 タ イプ のRC壁 式 橋脚 の 地 震 時 変形 性 能 特 性 に与 え る 影 響 を明 ら か に す る とと もに、 ファ イバー モデル による 非線 形 解析 を 試 み 、 解析 法 は 地 震 時の 変 形 性 能 特性 を 概 ね 再 現 可能 である こと を明ら かにし ており 、今 後 の耐 震 工 学 、 構造 工 学 の 発 展に 貢 献 す る とこ ろ 大 を る も のが ある。 よっ て著者 は、北 海道大 学博 士 (工 学 ) の 学 位を 授 与 す る のに 値 す る も のと 認 め る 。

‑ 601―

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