審 査 論 文 要 旨(日本文)
論文提出者氏名: 馬詰 朗比古 審査論文
題 名 :
Role of PU.1 expression as an inflammatory marker in experimental autoimmune uveoretinitis
(実験的自己免疫性ぶどう膜炎における炎症マーカーとしての
PU.1
の役割)著 者:Akihiko Umazume, Takeshi Kezuka, Ryusaku Matsuda, Yoshihiko Usui,
Hiroki Takahashi, Naoyuki Yamakawa, Takuya Yashiro, Chiharu Nishiyama, Hiroshi Goto
掲載誌:Ocular immunology and inflammation. (in press, 2017)
【背景と目的】 PU.1 は Ets ファミリーに属する転写因子の一つで、免疫機構の発達や骨髄単 球系細胞(樹状細胞やマクロファージ)の分化に重要な血球特異的な転写因子として知られ る。最近の研究では、樹状細胞上の CD80、CD86 や MHC クラスⅡの発現に関与が報告されてい る。今回我々は、自己免疫性ぶどう膜炎の動物モデルであるマウス実験的自己免疫性ぶどう 膜網膜炎(EAU)の発症機構を解明する一環として、EAU における炎症発現時の網膜における PU.1 の発現や炎症の程度と PU.1 の発現の関係ついて解析した。
【対象および方法】C57BL6 マウスを hIRBP1-20 ペプチド含有 CFA で免疫した群(EAU 群)と、
CFA のみによる免疫群、非免疫群の 3 群に分け、免疫 7、14、21、28、42 日目に眼底を観察、
炎症の程度を記録し、その後、眼球を摘出して網膜内の PU.1、CD11c、F4/80 の total mRNA を Real-time PCR で定量し、3 群間で比較した。次に網膜炎極期の網膜内に浸潤した細胞を、
FACS を用いて解析した。また、ELISA および Cell beads assay(CBA)を用いて、EAU の発症に 関わる主要サイトカインである IFN-γ、IL-2、IL-17 および IL-10 の頸部リンパ節内におけ る産生と PU.1 の関係を検討した。さらに免疫後 21 日目に網膜伸展標本を作成し、抗 CD11c 抗体、抗 F4/80 抗体、抗 PU.1 抗体を用いた免疫染色の後、共焦点顕微鏡による観察を行った。
【結果】EAU 群の眼炎症所見は免疫後 21 日目に極期に至り、PU.1、CD11c、F4/80 の mRNA は 免疫後 21 および 28 日目で他の 2 群よりも有意に増加し、EAU の重症度とも比例していた。FACS では CD3、CD11c、F4/80 の発現が PCR で得られた結果に矛盾しない結果が得られた。リンパ 節におけるサイトカインの産生は、PU.1 をノックダウンすることによって IFN-γ と IL-2 の 産生が抑制された。また、EAU マウスの網膜では PU.1 と CD11c、および F4/80 が共発現して おり、EAU における網膜内の炎症極期に網膜内に浸潤する細胞に PU.1 陽性の樹状細胞および マクロファージがみられることが明らかとなった。
【結論】EAU では網膜に浸潤した樹状細胞やマクロファージに PU.1 が発現し、その発現は網 膜炎の程度に相関した。また、PU.1 は EAU の病態形成に関わるサイトカインの産生に関与し ていることが示唆された。
東 京 医 科 大 学