ESD/GAP/SDGs 通信 2018
TAMAKUSU
Education/教育の「当たり前」を問い直す
編著 成田喜一郎
ESD/GAP/SDGs 通信 「TAMAKUSU」
ESD(持続可能な開発のための教育)/GAP(グローバル・アクション・プラン)/SDGs(持続可能な開発目標)に明示的 または黙示的につながりかかわる学校や地域へのフィールドワークに入るたびに、教職員や保護者・地域の方々から
「問い」が発せられる。その「問い」への応答を、原則A4判1枚の通信「TAMAKUSU」としてフィードバックし続けていま す。
フィールドワークにおける観察や対話をもとに社会構成主義的にテーマを抽出し記述しておりますので、本質主義 的、体系的な章構成にはなっていないことをお含みおきください。したがいまして、どの号からお読みになっても構いま せん。毎回、読み切りになるよう編集・執筆しております。
なお、「TAMAKUSU」という名称とは、横浜開港資料館の入口にある「たまくす」の木から頂きました。
平成30 (2018) 年6月13日
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
目 次
01 創刊のことば : 発行者紹介を中心に(平成30(2018)年6月13日創刊、ESDとは何かという問いへの応答) : 6/13
02 実践のサイクルは回っているか?(カリキュラムデザイン/マネジメントとしてのCAP, Do!サイクルへの気づき) :
6/20
03 おわり・なか・はじめをつなぎつらぬくものって、何だろう?¿ : 6/22
04 なぜ、ボクたちはあのようなふりかえりをしたんだろう?¿(9つのフレーム、C=学びの文脈への気づき大切さ) :
6/26
05 単なる感想でおわらない、深い振り返りのための視点と方法(深い振り返りにするための多様な視点と方法) : 7/2
06 今、子どもと教師と市民、私はどこにいるのだろうか?(子ども(人間)の外的世界の構造とSDGs 4.7) : 7/3
07 ESDやSDGsに向かい合う教師のコンピテンスを探して見ませんか(16のチェックポイント) : 7/3
08 子どもと教師の学びにもっとも「効果」のあることってなんだろう?
(ESD/ SDGsにつながる授業、実践しっぱなしになっていない? 教育/学習の効果) : 7/11
09 子どもたちの暮らしと学びを支えるユネスコの原点を読み直してみませんか?:
(ユネスコ憲章1945と学びのための権利宣言1985を中心に) : 7/13
10 認知・情動・感覚運動の分化ではなく、三位一体/三層連動型実践への試みを! : 7/19
11 サスティナブルな学級の、学年の、分掌の、学校等の長(おさ)は,「水の思想・川の組織論」の体現者をめざす!
(次世代型サーバントリーダーの理論) : 7/21
12 ESDとしての乳幼児教育の可能性 : 8/1
(5つの領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」、その後、教科等への分化と教科の横断・縦断)
13 マインドマップ 「ESD 2009」を読み解く(この10年間の変化の有無を確かめる) : 8/16
14 e-カリキュラムデザイン曼荼羅(eカリ曼荼羅)って何だろう?: 8/26
15 カリキュラムを俯瞰する為の「3つの学習スタイル/ケア」の関係構造とは?:8/27
16 9つのフレームによる深い振り返りの実際 : 8/31
17 ある学校の先生方からの質問への応答:Q&Aの試み : 8/31
18 危険予測/危険回避能力を身につける意味—「いのち」の主体の持続可能性を考える : 9/2
19 永続的な問い essential questions にはどんな意味があるのだろう?—本質的で根源的な問い、永続的な理解や思
考を促す問いを探す : 9/3
20 深いふりかえりとしての「創作叙事詩」とその「解題」を! : 9/10
21 だからこそ、今、ESD教材、否、ESD学習財(Learning materials)研究を! : 9/12
22 マネジメントでもサイクルでもモデルでもない活動システムとしてのカリキュラム : 9/13
23 今ここ、教室で過去と対話する「歴史キャッチフレーズづくり」の試み : 9/16
24 ESD を支える哲学の一つとしての「老子」 : 9/17
25 家庭/家庭科には教科を横断的/縦断的に学び、行動するESDの基地になる可能性が! : 9/19
26 ESD/SDGsにとって ART はいかなる意味があるのか考えてみたい : 9/28
27 「ESDとは何か」と問うより、「どうすればESDの授業になるのか」考えよう! : 10/19
28 ESD/SDGは究極のところ「時間との対話」である?! : 10/26
29 子どもと教師の「理解」をもたらすESD/SDGsの実践 : 10/26
30 子どもたちのESD/SDGsの学びを引き出す教師の学びと究めのシステム(創作叙事漢詩・解題) : 11/13
31 境界や限界を超える越境するEducation/教育の実践研究に向かう〜「時間との対話」を踏まえて〜 : 11/24
32 2019年はGAP(グローバル・アクション・プログラム2015-19)最終年!そして、ESD/GAP、新たな後継プログラム
2020-2030へ : 12/27
33 当面するGoalは2030年、子どもたちや若者は何歳?あなたは、わたしは何歳? : 1/8
34 ESD再定義のあゆみをさかのぼってみたい!2007-2018 By Kiichiro NARITA : 1/9
35 2005年から現在の記憶・記録としてのESD/GAP/SDGsの足跡 : 1/10
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第1号 平成30年6月13日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
創刊のことば : 発行者紹介を中心に
0 はじめに
ESDとはいったい何なのか。
国際機関や政府機関等が定義するESD、学者・研究者が定義するESDは、施策や文献の中にある。
わたくしは、これまで生活者市民、実践者市民、研究者市民、そして、求道者市民として生きてきた経験をもとに、
今、その問いへの応答をするとしたら、こう応答するだろう。
それは定義などではなく、今ここで新たに生成される問いでしかないが、あえて今ここに書き記す。
ESDとは、環境や経済・社会・文化など「対象」との対話とケア、多様で異なる「他者」との対話とケア、広がり深まりゆ
く「自己」との対話とケア、そして、現在・過去・未来という「時間」との対話とケアを繰り返し、自らの暮らしや学びを問い 直すレンズであり、手鏡である。 そして、そのレンズと手鏡を携えながら、持続可能性と不可能性のせめぎ合う今ここ で、知と心と身体を動かし、生きてゆくことではないか。
この問いへの応答は、こうして新たな問いを生み出す。しかし、それが、その問いを愛し、問いを生き、問いのバトンを 次の世代に渡し続けることだと言える。 (成田喜一郎2018.6.10 : http://esd2005-
2015.blogspot.com/2018/06/esd2018610.html)
1 発行者紹介 発行者連絡先:
成田 喜一郎(なりた きいちろう) 学校法人自由学園最高学部(https://www.jiyu.ac.jp) 特任教授 (元東京学芸大学教授)
・経歴 : 1952(昭和27)年、東京生まれ。
1978.4-2003.3東京学芸大学附属大泉中学校・世田谷中学校教諭(社会科) 2003.4-2007.3同大学附属大泉中学校副校長
2007.4-2008.3東京学芸大学教員養成カリキュラム研究開発センター教授
2008.4-2017.3同大学大学院教育学研究科教育実践創成専攻(教職大学院)教授 (2017.3定年退職) 2018.4から現職
・専門 : 教育学(ホリスティック教育/ケア、カリキュラムデザイン、エスノグラフィー、国際理解教育) ・ 歴史学(日本近現代史、
ライフヒストリー、メタヒストリー)
・主な研究 : エスノグラフィーとしての「創作叙事詩・解題」、ESDカリキュラム(単元)デザインの方法と研修/ケアほか 寺澤 満春(てらさわ みつはる) 創作叙事詩人、シンガーソングラーター、黒板画家
2 主な参考文献・サイト 文献 : ESD/GAP/SDGsを支えるものの見方・考え方・感じ方・在り方を読む
① 成田喜一郎(2018)『実践と理論を架橋・往還する「珠玉」のコンテンツ/スキルへの誘い : 子どもと教師の学びの拡張と深化をも たらす』全国学校図書館協議会. http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/149369/1/AN00355965_782-809_narita.pdf
② 日本ホリスティック教育協会編(2017)『対話がつむぐホリスティックな教育 : 変容をもたらす多様な実践』創成社.(新書)
③ 多田孝志・和井田清司・佐々木幸寿監修(2016)『教育の今とこれからを読み解く57の視点』教育出版. (拙稿「つながりを回復 する:ホリスティックなアプローチの可能性」pp.186-187)
④ 成田喜一郎(2015)「グローバル時代の国際理解教育と教師教育の未来:ホリスティック・アプローチの可能性」『国際理解教育』
Vol.21 , pp.24-33. http://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/2015.pdf
⑤ 成田喜一郎(2013)「ESDカリキュラム及び授業デザインの理論と方法:カリキュラム開発の方法を探究する」『東京学芸大学教 職大学院年報』第2集 , pp.1-15. http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/135518/1/AA12591409_02_001.pdf
⑥ 成田喜一郎・西田千寿子編(2013)『「いじめ」を超える実践を求めて:ホリスティックなアプローチの可能性』せせらぎ出版.
⑦ 成田喜一郎(2013)「ESDにおけるホリスティックなアプローチの可能性」 『ユネスコスクールによるESD実践:教育の新たな可 能性を探る』アルテ, pp.182-193. http://laotao.way-
nifty.com/islikewater/files/esd_holistic_education_2013.2.25%20Akita%20siritu%20shougyou.pdf
サイト : ESD/GAP/SDGsを支える発行者のサイトを読む
❶ ESD/SDGsの理論と実践(発行者のブログ1): http://esd2005-2015.blogspot.com
❷ エスノグラフィー/メタヒストリー(発行者のブログ2) : http://ethnographymetahistory.blogspot.com
❸ ときのまほろばを求めて (発行者のブログ3) : https://tokinomahoroba.blogspot.com
❹ ESDへのアプローチ(ACCU) : http://www.accu.or.jp/unescoschool/section2.pdf
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第2号 平成30年6月20日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
図 変型PDCAサイクルとしての「CAP , Do ! サイクル」
Q1:上記の図を見て、分からない言葉・概念にマーク(チェック「レ」)を付けてみませんか。(問いの探求への試み)
→本日のグラデーション・シートにもっとも切実な問い1つをQ1の応答の中からを挙げ、理由を書いてください。(空白 もOK)
Q2:上記の図を見て、あなたが今行なっている実践のサイクルと対比してみませんか。(深いふりかえり=省察と観想 の試み)
→本日のグラデーション・シートの「裏(白地)」に思うところを自由な形式で書いてください。
(感想文、漢字1字とその理由、キーワードとその理由、自由詩や定型詩とその理由、イラストとその理由、空白
もOK)
深くて永く続く問いはあるか
実践のサイクルは回っているか?
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第3号 平成30年6月22日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
おわり・なか・はじめをつなぎつらぬくものって、何だろう?¿
寺澤満春 ある学校で中3の美術の授業を観た
鑑賞の授業
受け身となりがちな鑑賞の授業 K先生は考えた
受け身にならずに絵画を鑑賞する授業を試みた 2万年前の人が描いた絵「ラスコーの壁画」を観る 現代アーティストの描いた「デジタル風景画」を観る 生徒たちは過去と現在と対話する
その狭間にある巨匠たちの絵画を時間軸に乗せて 先生はそれらの特徴を一つ一つ追ってゆく2コマ100分の 授業
しかし、前半、子どもたちの何人かが「沈没」してゆく 巨匠の絵なんか関係ないねと、いわんばかりに 今の睡魔に勝てない生徒たち
後半、「沈没」していた子どもたちに変化が起こった Nさんの描いた風景画、よくみて、すごいなって思う 立野川の絵、水の描き方、水ってみずいろじゃないんだよ ね
水面はあたりのいろいろなものを映し出すんだ モネのこの絵を見て、モネは睡蓮の沼の水面を描くに 何枚も何枚も沼の水面の絵を描いたんだ
Nさんの絵、まだ途中だけど、川面に映った水の色は茶色 これからどんなタッチの色に変化するのか、楽しみだね そう、先生も最近知ったんだけど、
池袋にあるS百貨店の9階、屋上に
モネの睡蓮の沼をマネした池があるんだって、
足を運んで行ってみたいと思っているんだ
「沈没」していた子たちたちは、
友だちの風景画が登場したとき、「復活」していったんだ そして、先生も知らなかったがあったこと、
先生も心動かす絵や場があるんだってことを語ったとき、
「沈没」していた子たちは「復活」のピークになっていた でも、「沈没」か「復活」かDo、していたことじゃなくって ずっと起きていた子もそうじゃない子もあの100分を過ご して
何を考えていたんだろうThink 感じていたことってなんだろうFeel これからまだ続く風景画を描く授業 子どもたちは何を望んでゆくのだろうWant 観察者のボクは、今、想像するしかないけれど、
あの子たちがあの100分を過ごして 考えたこと、感じたこと、望んでいたことは いったい何なのか
知りたい、聞きたい、見たいと思った そして、子どもたちが描き上げる風景画に どんな変化がおこるのか
子どもたち同士の作品を展覧してみて どう思い考えてゆくのか
無性に知りたくなってきた
おわりとなかとはじめをつなぎつらぬくものは何なのか?
きょう、これからこの学校で小1の図工を観る 子どもたちと先生ははいったい何をするのだろう 何を考えてゆくのだろうか
どんな思いを感じ抱くのか
そして、その先、何を望んでゆくのだろうか
おわりとなかとはじめをつなぎつらぬくものは何なのか?
その問い?に引っかかる獲物が楽しみだ¿
解題
これまでおこなってきた実践のどこを変えればESD/SDGsの実践に変わるのか、約10年、小・中学校の教諭・教頭・校長と指導 主事・大学教授が試みては考え、考えては試みてきた結果、とてもシンプルな結論に達した。もちろん、量的な検証はしていない。あ くまでも生成された仮説にすぎないが、それは「深いふりかえり」と「つながりへの気づき」「永続的な問い」のあるカリキュラムデザイ ンをすることだった。「深いふりかえり」とは何か? 「つながりへの気づき」って? 「永続的な問い」ってどうすれば見つかるの? 本 時や単元に始まり、学期・学年・数年間という長い文脈のカリキュラムってどうデザインするのだろう?
これらの問いの背景にある理論・哲学、そして、その問いへの応答を共に探し求めていきたいですね。 (成田喜一郎)
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第4号 平成30年6月26日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
なぜ、ボクたちはあのようなふりかえりをしたんだろう?¿
参観した本時で、子どもと教師のDo/Think/Feel/Wantを探 ってゆく。子どもの学びの姿と教師(授業者)の指導の姿とのつ ながりかかわり、その「相即的な関係性」(華厳思想)を授業者 と参加者との「対話」してゆく。Doの姿は、授業者も参観者も観 ることができる。
しかし、Think/Feel/Wantの実際は、海面下の「氷山」、なか なか「見取る」ことは難しい。熟達者のような「見取り」はそう簡 単にできない。出来としてもそれは経験知・実践知や暗黙知に 裏付けられた「主観」の世界。
そこで、授業者と参観者が各自の「主観」によって「主観」の
「客観化」をめざす、そう「間主観性」(フッサール)の世界に踏 み込む。
大切なことは、ベテランもミドルも新人・若手教師も共に「学 び手」であり、リニアな指導・被指導の関係性ではなく、ここで はまさに経験知・実践知や暗黙知の深きも浅きも程度を超えて
「対話」し、深い学びをし合うところに意味がある。
本時がどこからきて、どこに向かってゆくのか、あの子どもの 学びの姿はどう変化してきたのか、変化してゆこうとしているの か、本時の教科・領域を超えて他教科・領域、他学年での学び にどうつながってゆくのか、子どもたちの学びの「文脈知」を探 求してゆく。
教室で起こった本時の「学び」という対象と対話やケアをし、
そこに集う他者との対話とケアを行い、授業者も観察者も自己 との対話とケアを行ってゆく。
したがって、成果・課題・改善策を機械的に付箋に書き出て ゆく方法より、ともかく相互の主観をベースに本時の子どもたち と教師の「よさ」を挙げ合い、そして、その反対「わるさやまず さ」の指摘ではなく、「問い」を出し合い、授業者はもちろん参観 者が共にその「応答」を考えてゆく。
正解はこれ、こうすればうまくゆくことを期待するのではなく、
次なる行為、次なる実践への選択肢を共に探求してゆくのだ。
****
でも、教師たちがあれこれ海面下の「氷山」について、想像 力を駆使しても、子どもたちのThink/Feel/Wantの真の姿は分 からない。
授業者と参観者で構成された物語なのかもしれない。
子どもの学びの真の姿に迫るためにはどうしたらいいのだろ うか。
子どもから本時や単元の学びの実際を聴き取ることもいい。
子どもたちにインタビューをしてみること。
インター・ビュー、そう子どもと教師との「間」を観るために。
子どもに本時や単元での学びの実際を書き出してもらうのも いい。
それは、教師の為だけではなく、学習者として自らの学びを ふりかえり、よりよい学びをうながすことになる。
さて、子どもたちが自らの学びを見つめ直し、学びを広げ深 めるためにどうすればよいか。
学びを広げ深めるふりかえり、これまでのきみの経験知や実 践知の中から、珠玉のエピソードはないか、探してみよう。
思い当たるエピソードがなければ、どんな方法がいいのか、
また、共に「探求」してみようか。
次号は、学びを広げ深める「ふりかえり」をテーマにしてみよ う。
(成田喜一郎)
9つのフレーム
参考:コルトハーヘン(2010)子ども 教 師
Do
① どんなことをしたのか?Do
⑤ どんなことをしたのか?
Do
Think
② どんなことを考えていたのか?Think
⑥ どんなことを考えていたのか?
Think
Feel
③ どんなことを感じていたのか?Feel
⑦ どんなことを感じていたのか?
Feel
Want
④ どんなことを望んでいたのか?want
⑧ どんなことを望んでいたのか?
want
Context
文脈 ⓪ 又は ⑨ 学びの履歴と見通し等 文脈 Context― 5 ―
ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第5号 平成30年7月2日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
単なる感想でおわらない、深い振り返りのための視点と方法
子どもと教師、市民の深い振り返りのモデルと視点を意識してみませんか?
1 ESD/GAP/SDGsの深いふりかえりを位置付けませんか?:深い振り返りのモデル
2 「②行為の振り返り」と「③本質的な諸相への気づき」に向かうための多様な視点
(0)残念な振り返り
・本時(本単元)の感想をかきましょう。
・きょう学んだことは何ですか。
(1)視点を定めて振り返る方法❶:5つのつけもの編 今隆史(2010a)
視点①位置づけ、②関係づけ、③意味付け、④価値づけ、⑤方向付け (イカイカホウ5つのつけもの)
今隆史(2010a)『「振り返り」学習活動のすすめ 《教師を志す学生や,新任の教師に向けて》 』(冊子DL可)
http://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/2011.2.27%20.pdf
(2)視点を定めて振り返る方法❷:シンプルな2つ視点の有効性編 今隆史(2010b)
視点①「自己の学びのプロセス」
視点②「他者の考え,学び方」
今隆史(2010b)「中学校社会科における社会認識の形成を支援する方法―『省察的な態度』と『振り返り』学習活動―」(論文)
http://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/ronbun2011.2.27.pdf
(3)理解の6側面による本時・本単元(カリキュラム)デザインの視点を振り返りに援用する方法 ウィギンズ,マクタイ(2012)
理解の1側面 「説明できるか」
理解の2側面 「解釈できるか」
理解の3側面 「応用できるか」
理解の4側面 「見通しを持てたか」
理解の5側面 「共感/違和感を抱けたか」
理解の6側面 「自己認識ができたか」 いずれにしても理由や根拠を書くこと
(4)直観やひらめきで振り返り、論理と証拠で振り返る情動脳・認知脳の架橋・往還法 成田喜一郎(2013)
学んだ事実+学習者の想像力等→創作叙事詩(多様な表現:自由詩・定型詩、漢字1字、キャッチフレーズ、イラスト、空白等)
創作叙事詩+論理的・実証的思考力→解題(論理と証拠で学びをメタ認知する、世阿弥「離見の見・目前心後」)
成田喜一郎(2013)「子どもと教師のためのオートエスノグラフィーの可能性 : 「創作叙事詩・解題」を書くことの意味」『ホリスティ ック教育研究』第16号 , pp.1-16. : http://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/kodomokyoushio-to.pdf
⾏為
� ⾏為の振り 返り
� 本質的な諸相への気づき
⾏為の選択肢の拡⾏
試み
コ ルト ハーヘン (2010)
A LA CTモ デル
F・ コ ルト ハーヘン,武田信子監訳(2 0 1 0) 『 教師教育学: 理論と 実践を つなぐ リ ア リ ス テ ィ ッ ク ・ ア プ ロ ーチ』 学文社
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第6号 平成30年7月3日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
今、子どもと教師と市民、私はどこにいるのだろうか?
ちょっと、不思議な楕円形の重なりに注目すると……!
図 子ども(人間)の外的世界の構造(成田,2003:76)
成田喜一郎(2003)「ホリスティック・カリキュラム論序説」『ホリスティック教育ガイドブック』せせらぎ出版,pp.73-75
図を読み解いてみよう(解題)
古い見方・考え方からすると、私(子どものと教師と市民)は 同心円の中心にいて、世界が輪を広げるように社会認識は拡 大してゆくものとされてきた。
筆者は、それ自体を否定することなく、しかし、グローバル化 とICTの発達に伴って、単純に自分のいる空間が拡張するよ うな時代ではなくなったという現実を踏まえると、「お茶の間」
(これ自体、昭和的時代性を帯びた概念)から、否、手元のスマ ホから家族の知らないところで地域や国家を超えて、一気に海 外につながってしまう時代の私(子どものと教師と市民)は単純 同心円の世界にはいない。
小学2年生が生活科の授業で「どきどき わくわく まちたん けん」を行うにしても、今、地域には外国人や海外につながる ひとたちが暮らしている。江東区のY小のすぐそばにあるカレ ーショップは昼食時に多くの方々で賑わっている。カレー好きの 筆者は、過日、看板と香りに引き寄せられて入った。いつもど おり好物のマトン・カレーとナンとラッシーを注文した。
すると、そこで働いている人たちの雰囲気が若干異なってい ることに気がついた。それは、明らかに南アジア系の人たちな のだが、多くのカレーショップがいわゆるインド人ではなくネパ ール人が経営しているのだが、ここはではなさそうだった。まず は食べることと、早くY小に向かわねばとのことで、「インタビュ ー」をせずに出てしまった。
街中にあるカレーショップは、「どきどき わくわく」するまちた んけんの対象となる可能性がある。歴史と伝統を大切にするこ の地域を大切にすることは大切だが、当の地域自体が教科書 や計画されたカリキュラムの枠組みを超えている現実があるこ とを踏まえておく必要はないだろうか。
ESD(持続可能な開発のための教育、持続可能な社会の創 り手が育つ学び)の実践は、昨今、喧しく流れてくるSDGs(17 の持続可能な開発目標と169のターゲット)とのどうつながって ゆくのか、みなさんと一緒に考えてみたい。
2 ESDとSDGsのつながり
ESDの実践・カリキュラムの中にSDGs 17の目標と169のタ ーゲットがどうつながっているのか、そしてその効果はどうだっ たのか、それを明らかにするとそれだけで学術論文、否、学術
書が書けてしまうかもしれない。私たちは学術論文や学術書を 書くことを目的(研究業績)とする学術研究者ではありません。
何よりも誰よりも子どもたちが持続可能な社会の担い手どころ か、創り手に育ち成るにはどうしたらよいのか、連綿と続く日常 性の中で、よりよい教育/学びとは何か、その見方・考え方・感 じ方・在り方を「探求」し続ける実践探求者(よりよい実践を探し 求め続ける、学び手)です。
そこで、実践探求者のために、筆者からのささやかな提案で す。
ESDとSDGsとの関係性を示す核となるものは何か?
それは、まずは、①SDGs4.7です。
SDGs4とは、「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教 育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことです。(直訳)
そのターゲットの7番目SDGs4.7とは、「2030年までに持続 可能な開発(ための教育/学び)と持続可能なライフスタイル
(のための教育/学び)、人権(のための教育/学び)、ジェン ダーの平等(のための教育/学び)、平和と非暴力の文化の推 進(のための教育/学び)、グローバル・シチズンシップ(のた めの教育/学び)、及び文化的多様性(のための教育/学び)
と文化の持続可能な開発にもたらす貢献の理解(のための教 育/学び)などの(様々な)教育を通じて、すべての学習者が、
持続可能な開発を推進するための知識とスキルを獲得するよ うにする。」(直訳+()内筆者による加筆)
そして、②SDGs17、パートナーシップ(協力・協働)を大切にし ながら目標の達成をめざすこと。さらに、本時・本単元の学習 内容につながる③SDGs◯が明示されてゆくといいですね。たと えば、Y小の「どきどき わくわく まいたんけん」は、SDGs11
「住み続けられるまちづくり」でしたね。
実践探求者の協働で下線の「概念」とは何か、その見方・考 え方・感じ方・在り方を主体的対話的に学んでいきましょう。
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第7号 平成30年7月3日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
ESD や SDGs に向かい合う教師のコンピテンスを探求してみませんか?
図 ESD/SDGsの実践探求者のコンピテンス(例)
①Teacher in the society:社会の中での私の役割
②Teacher as an individual:個人としての私の生き方
③Professional dimensions:私の専門性の次元への気づき
④Teacher in the educational institution:学校における私の役 割
⑤Teaching:私が教えることの意味
⑥Networking:私につながるネットワークづくりの大切さ
⑦Reflecting Visioning:深い振り返り、そして未来への洞察力
⑧Overall competences:個々バラバラに求められる能力では なく、総合的なコンピテンスの意義の理解
⑨Values:子ども観、教育観、世界観、人生観、多様な価値観 の意味
⑩Emotions:情動や感情の持つ有意味性への気づき
⑪Systems-thinking:すべてのひと・もの・こととつながりの意 味を読み解くシステム思考 (ホリスティックなアプローチ)
⑫Knowledge:改めて知る確かな知識・情報の重要性!
⑬Action:教室・家庭・地域・世界につながる行動の必要性
⑭Future orientation:個人(子どもたちと私)・家庭・地域・国 家・世界の将来の方向性を見通すこと
⑮Learning Process for SD:SD(持続可能な開発)をもたらす ための学習プロセスとしての本時・単元・カリキュラム
⑯Local and global orientation:地域と地球レベルの双方向性
*ESDのためのコンピテンス①〜⑯のすべてをとは思わず に気になるところや深めたいところにフォーカスし合ってみよ う。
(赤字/斜体字は筆者の焦点化)
出典:研究代表者・角屋重樹(2012)『学校における持続可能な発 展のための教育(ESD)に関する研究〔最終報告〕』国立教育政策 研究所,p.266. Competencies for ESD (Education for Sustainable Development) teachers
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第8号 平成30年7月11日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
子どもと教師の学びにもっとも「効果」のあることってなんだろう?
ESD/ SDGsにつながる授業、実践しっぱなしになっていない?
🔵 ジョン・ハッティ(2018)山森光陽訳『教育の効果: メタ分析による学力に影響を与える要因の効果の可視化』図書文化.
解題
「TAMAKUSU」第5号は、「単なる感想でおわらない、深い振り返りのための視点と方法:子どもと教師、市民の深い振り返りのモデルと視 点を意識してみませんか?」を読んでいただけました?
振り返りのための多様な視点について触れました。
では、なぜ、振り返りが重要なのでしょうか?
ESD/SDGsのカリキュラム(授業)をデザインするとき、押さえたい3つのポイントがあります。
❶深い振り返り(論理と証拠による振り返りreflection、直観やひらめきによる振り返りcontemplationという2つの方法の架橋・往還)
❷つながりへの気づき(connectionsひと・もの・こと)
❸永続的な問い(essential questions深くて永く続く問い) 所沢市ESD調査研究協議会(2018)
「TAMAKUSU」第2号に取り上げた図「変型PDCAサイクル(CAP, Do !サイクル)」の実践のサイクル」をもう一度ご覧ください。
子どもと教師が自ら行う深い振り返りとその成果(言語化・可視化された学びの履歴とその証)が、カリキュラム(授業)のマネジメントをデ ザインをする上で、また、よりよい学びをもたらすために更新・リデザインしてゆく上で、極めて重要なポイントになるからです。
大田区立大森第六中学校が、試みてきた「ルーブリック」の作成と活用はとても重要なことです。学校や教師によるESD/SDGsの実践が 如何なる効果があるのか、社会的対外的に示すアカウンタビリティとしてのエビデンスであるだけではなく、何よりも学年・教科で繰り返し行 われる「リーブリック」は、まさにハッティ(2018)が明らかにした「能力レベルの自己評価」の一つの方法として何より子どもたちにとって効果 があり、意味があることです。
質的研究を進める筆者としては、ある意味、対極にある膨大な量的研究の成果として、学習効果量のメタ分析がなされた文献ですが、わ たくしがこの10年間、教職大学院の講義・WSやフィールドワークを通して理論と実践との架橋・往還を経て、間主観(相互主観)的直観的な 見立てとしてもっとも関心が向かう領域(省察・観想による深い振り返り、対話による形成的アセスメント、メタ認知の理論・哲学等)と、シンク ロナイズ(奇妙な一致)していたことに驚きとともに、ある種の感動を抱くに至っています。
ぜひ、ハッティ(2018)のメタ分析の成果を、貴校やご自分のESD/SDGsカリキュラム(授業)マネジメントのデザインに生かしてみてはどう でしょうか。そして、「ルーブリック」を超えた「深い振り返り」の視点と方法へとチャレンジしていってみませんか。(成田喜一郎)
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第9号 平成30年7月13日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
子どもたちの暮らしと学びを支えるユネスコの原点を読み直してみませんか?
ユネスコ憲章1945と学びのための権利宣言1985を中心に
1 国際連合教育科学文化機関憲章(ユネスコ憲章)/The Constitution of UNESCO(1945年11月16日)
前文
この憲章の当事国政府は、その国民に代って次のとおり 宣言する。
戦争は人の心の中で生れるものであるから、人の心の中 に平和のとりでを築かなければならない。
相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて 世界の諸人民の間に疑惑と不信をおこした共通の原因であ り、この疑惑と不信のために、諸人民の不一致があまりにも しばしば戦争となった。
ここに終りを告げた恐るべき大戦争は、人間の尊厳・平等・
相互の尊重という民主主義の原理を否認し、これらの原理 の代りに、無知と偏見を通じて人間と人種の不平等という教 義をひろめることによって可能にされた戦争であった。
文化の広い普及と正義・自由・平和のための人類の教育と は、人間の尊厳に欠くことのできないものであり、且つすべ ての国民が相互の援助及び相互の関心の精神をもって果さ なければならない神聖な義務である。
政府の政治的及び経済的取極のみに基く平和は、世界の 諸人民の、一致した、しかも永続する誠実な支持を確保でき る平和ではない。よって平和は、失われないためには、人類 の知的及び精神的連帯の上に築かなければならない。
これらの理由によって、この憲章の当事国は、すべての人 に教育の充分で平等な機会が与えられ、客観的真理が拘 束を受けずに探究され、且つ、思想と知識が自由に交換さ れるべきことを信じて、その国民の間における伝達の方法を 発展させ及び増加させること並びに相互に理解し及び相互 の生活を一層真実に一層完全に知るためにこの伝達の方 法を用いることに一致し及び決意している。
その結果、当事国は、世界の諸人民の教育、科学及び文 化上の関係を通じて、国際連合の設立の目的であり、且つ その憲章が宣言している国際平和と人類の共通の福祉とい う目的を促進するために、ここに国際連合教育科学文化機 関を創設する。
http://www.mext.go.jp/unesco/009/001.htm 2 ユネスコ学習権宣言(1985 年3月29日)
1985 年 3 月 29 日採択 (子どもの権利条約をすすめる会訳)学習権を承知するか否かは、人類にとって、これまでにもまし
て重要な課題となっている。
学習権とは、
読み書きの権利であり、
問い続け、深く考える権利であり、
想像し、創造する権利であり、
自分自身の世界を読みとり、歴史をつづる権利であり、
あらゆる教育の手だてを得る権利であり、
個人的・集団的力量を発揮させる権利である。
The right to learn is:
the right to read and write;
the right to question and analyse;
the right to imagine and create;
the right to read one's own world and to write history; the right to have access to educational resources;
the right to develop individual and collective skills.
http://www.unescobkk.org/fileadmin/user_upload/appeal/Literacy_and_Conrtinuing_Education/Meetings_Conferences/RegionalResearchWor kshop/Documents/UNESCO_RIGHT_TO_LEARN.pdf
解題
ESD(持続可能な開発のための教育)は、地球・地域規模でユネスコスクールを中心に実践されている。
我が国には世界でもっとも多く、1000校を越えるユネスコスクールがある。
今一度、ユネスコスクールとは何か、地球・地域の子どもたちを支えてきた教育/学びへの見方・考え方・感じ方・在り方につ いて、
わたくしたちは、子どもたちや保護者、地域の方々とともに、見つめ直してみたいと思います。
(成田喜一郎)
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第10号 平成30年7月19日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
認知・情動・感覚運動の分化ではなく、三位一体/三層連動型実践への試みを !
解題
しばしば学校の教育目標は、知育・徳育・体育の3本柱で 構成されることが多い。筆者が28年間務めた東京学芸大 学附属大泉中学校には、「たくましいからだをつくろう。正し い判断をしよう。ゆたかな心をもとう。」という体育・知育・徳 育3つの目標があった。
この三育は、19世紀、イギリスの社会学者 ハーバード・ス ペンサー(1820-1903)が、Education:Intellectual , Moral ,
and Physicalを著し、それが我が国で「知育・徳育・体育(三
育)」と訳され、今日に至っている。
パット・オクデン,ケクニ・ミントン,クレア・ペイン(2012)日 本ハコミ研究所訳『トラウマと身体:センサリーモーター・サイ コセラピー』星和書店の中で、三位一体の脳として「階層的 情報処理:認知(cognitive),情動(emotional),感覚運動
(sensorimotor)」(pp.5-33)について述べている。
大脳新皮質(ヒトならでは脳)における認知処理レベルで は、概念的思考,論理的思考,意味の問題解決,決断に関 する能力を司っている。
大脳辺縁系(哺乳類脳)における情動処理レベル(情動・
記憶・社会的行動・学習の仲介)では、認知的処理を動機づ ける役割を果たしている。
脳幹(爬虫類脳)における感覚運動レベルには、肉的体 感(腸の収縮・体液の循環・呼吸の動き・筋肉の動きなど)・
五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)・動き(這う・歩く・走
る、非言語的対人関係コミュニケーション、表情・姿勢の変 化・頭の傾き、手や腕の仕草など)という3つの要素がある。
一般に成人の場合、認知処理レベルの脳がトップダウン で処理されていくが、幼い子どもやトラウマなどの障害をも つ成人の場合、感覚運動および情動のシステムによってボ トムアップで支配されている。
このオクデンら(2012)の知見を援用すると、学校教育に おいて知育・徳育・体育という概念をそれぞれ分化させ、習 得させるのではなく、すべての教科・領域で、それら三位一 体/三層の脳の連動(つながり)を意識した学習活動をデザ インしてゆく必要がある。
具体的に如何なる学習内容や学習方法が考えられるか、
これまでの自らの実践の中から探してみたい。
また、これからの実践の中で試みてみたい。
・パット・オクデン,ケクニ・ミントン,クレア・ペイン(2012)日本ハコミ 研究所訳『トラウマと身体:センサリーモーター・サイコセラピー』星 和書店.
・日本ホリスティック教育協会・成田喜一郎・西田千寿子(2013)
『「いじめ」を超える実践を求めて:ホリスティックなアプローチの可 能性』せせらぎ出版
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.ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第11号 平成30年7月21日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
サスティナブルな学級の、学年の、分掌の、学校等の長
(おさ)は,
「水の思想・川の組織論」の体現者/サーバントリーダーをめざす !
解 題 まず、この老子の言葉を読んで、イメージしてみたい。
これは、筆者が管理職にあったときに、常に「座右の銘」としていた言葉である。
「最上の善とは水のようなものである。 水はあらゆるものに利益を与え、争わない。 それは人の嫌う地味な場所でいつも満足 している。 このように、水は「道(タオ)」に近いものである。 我々は住むために、地味な場所を好む。 いろいろな考えのために は、奥深さを好む。 友だちとの交わりには、心やさしさを好む。 言葉には、誠実さを好む。政治には、良き秩序を好む。 出来事 においては、能力を好む。 行動においては、正しい時を好む。 このように、我々は争わないから、まちがうことはない。 」(張 鍾 元 ,1987:80-83)
「水の思想・川の組織論」の体現者/サーバントリーダーとは、以下のような属性を有する。果たしてあなたはどうか。自らに問 い質してみたい。
❶「賢き従者のごとく導くことのできる〈管理*〉人であるか」 Servant leadership
*〈管理〉するということは、日常の①援助Care、②責任Charge、③指導Direction、④監督Supervision、⑤運営
Administration、⑥経営 Management
することであり、 危機管理を必要とする 非常時には ⑦統制 Control することが加わる。
❷「本質的で根源的な問いを抱き、応答し続けようとする人である」 Essential question
❸「多様で異なる人々や組織間の〈結び目〉をつくる人であるか」 Knot working
❹「他者の潜在能力を引き出しながら教えることのできる人か」 Educator / Educer (成田,2011:182-183)
出 典
・成田喜一郎(2018)『実践と理論を架橋・往還する「珠玉」のコンテンツ/スキルへの誘い : 子どもと教師の学びの拡張と深化をもたらす』全国 学校図書館協議会 , p24. http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/149369/1/AN00355965_782-809_narita.pdf (電子書籍 , ラウンロード可)
・成田喜一郎(2012)「次世代型学校組織マネジメント理論の構築方法 : 『水の思想・川の組織論』の創成過程」」『東京学芸大学教職大学院年 報』第1集、p.9. https://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/132037/1/AA12591409_01_01.pdf
・成田喜一郎(2011)「ESDの質保証とHOPE評価の可能性:子どもと教師のためのエスノグラフィー」『ひろがりつながるESD実践事例48』
ACCU,pp.181-190. http://laotao.way-nifty.com/islikewater/files/esdhope2011_181190.pdf
・張 鍾元(1987)上野浩道訳『老子の思想:タオ・新しい思惟への道』講談社学術文庫.
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第12号 平成30年8月1日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
ESD としての乳幼児教育の可能性
https://www.manabinoba.com/edu_watch/015885.html (2018.7.31取得) 図の両端は筆者が加筆
解題 そもそもこの5つの領域「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」は、小学校以降、教科等の学びに分化してゆくが、各世代の人々が如何
なる分野の学びや仕事をするにしても、常にその活動に通底する基本概念であると言ってもよい。
冨田ら(2014)は、日本の乳幼児教育(保育)には、❶「生活」が基盤になっていること、❷主体的な活動としての「遊び」を通しての総合的 な指導であること、❸「環境を通しての保育」という概念があること、❹自然との関わりを重視していること、❺園と家庭と地域との連携のもと で行われていること、❻「学ぶ者としての子どもと保育者の相互性」というESD(*持続可能な開発のための敎育)の観点が豊かに含まれて いるという。むしろ、これら6つの観点は、「遊び」を「アマソナビビ」(遊びと学びの混然一体性)を経て「学び」や「仕事」に変換させ、「保育」
「教育」「研修」等を「呼び起こす」「引き出す」行為であるという根源的な意味としての「Education」に包括させてゆくことも可能である。
また、今次の教育要領や保育指針、教育・保育要領では、保・幼・小で共有したい十の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」―①健康 な心と体、②自立心、③協同性、④道徳性・規範意識の芽生え、⑤社会生活との関わり、⑥思考力の芽生え、⑦自然との関わり・生命尊 重、⑧数量・図形、標識・文字などへの関心・感覚、⑨言葉による伝え合い、⑩豊かな感性と表現―が求められている。
しかし、かつて、ロバート・フルガム(2016)が「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」と述べたように、まさに、乳幼児期の遊 び/学びは、その後の人生にとって「礎」となってゆくことを忘れないようにしたい。 (ボールドはすべて筆者)
・ESD: 「これからの幼稚園には,学校教育の始まりとして,こうした教育の目的及び目標の達成を目指しつつ,一人一人の幼児が,将来,
自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り 越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるようにするための基礎を培うことが求められる。 このために必要 な教育の在り方を具体化するのが,各幼稚園において教育の内容等を組織的かつ計画的に組み立てた教育課程である。」(平成29年3 月『幼稚園教育要領』前文)
参考文献
・木戸啓絵(2012)「森の幼稚園の事例研究 : ホリスティック教育の観点から 」『教育研究』青山学院大学教育学会紀要, 第56号, pp.23-33.
・曽我幸代(2016)「持続可能な社会の形成に向けた幼児教育に関する一考察 :「人間存在を深める」子どもの遊びに着目して」『人間文化 研究』 名古屋市立大学大学院人間文化研究科,25号 ,pp.49-61.
・冨田久枝ら(2014)「地域で育つ・地域を創る「乳幼児教育におけるESD」 : 日本の保育における継承と創造を目指して」『千葉大学教育学 部研究紀要』 第62号 , pp.155-162.
・成田喜一郎 実践記録「人生に必要な知恵はどこで学ぶのか」:http://newtokinomahoroba.life.coocan.jp/starthp/subpage09.html
(2018.7.31取得).
・ロバート・フルガム(2016)池央耿訳『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』河出書房新社(文庫).
・文部科学省国際統括官付日本ユネスコ国内委員会(2018.5)「ESD(持続可能な開発のための教育)推進の手引き」(平成30年5月改訂)
http://www.mext.go.jp/unesco/004/__icsFiles/afieldfile/2018/07/05/1405507_01_2.pdf (2018.7.31取得)
・平成30年3月『幼稚園教育要領解説』(文部科学省)、平成30年2月『保育所保育指針解説』(厚生労働省)、平成30年3月『認定こども園 教育・保育要領解説』(内閣府・文部科学省・厚生労働省).
健 康 人間関係 環 境 言 葉 表 現
持 続 可 能 な 社 会 の創 り 手 へ 教 科 等 への 分 化 とそ の横 断 や縦 断
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ESD/GAP/SDGs通信 「TAMAKUSU」 第13号 平成30年8月16日発行
学校法人自由学園最高学部 特任教授 成田喜一郎
マインドマップ「 ESD 」 (2009) を読み解く
http://esd2005-2015.blogspot.com/2018/08/esd2009-kt.html (K.Tさん・作)
解題
2009.8、大学院生K.Tさんが描いたマインドマップ「ESD」!
2018.8、今、読み返してみる。
あれから10年、このマップに加除する概念やキーワードはあるの か。
ESDを実践・研究している学校や地域の実態や実情を見つめ直 しつつ、加除マッピングして見たい。
現在、東京都の公立中学校社会科教諭をしているK.Tさんにイ ンタビューをしたところ、次のようなコメントが返って来た。
「とても懐かしいですね。実習*が始まる直前(確か校長室での顔合 わせの時?)か始まった直後、校長先生からマインドマップ**につ いて教えていただきました。そしてその後すぐマインドマップに関す る本を買い、書いたのだと思います。おそらくその間2ヶ月ですね。
ですから、2009年の、(実習が始まった月+2)月作成で間違いない かと思います。
ちなみにマインドマップの内容は、自分でESDに関する文献資料 等を読んだり、成田先生から御教授いただいたりする中で頭に蓄 えたものです。」(K.Tさん)
*当時の東京学芸大学教職大学院の実習は、1年時の6月から2年時の1月まで週2日間行われていた。
**マインドマップの書き方・描き方 「6つの法則」:https://www.mindmap-school.jp/mindmap/mindmap-law/
正真正銘の自由課題 : やってもやらなくてもいい、うそいつわりのない課題
ESD/SDGsを実践・研究している学校や地域の実態・実情を見つめ直し、マインドマップ「ESD/SDGs 2018」を作成して見ませんか。
おそらく学校や地域の特色、海外の学校や地域とのつながりなど、個性や特性が現れたマップになるのではないでしょうか。
子どもたちにとって、観想や省察など自己評価・自己認識(深い振り返り)が学びを拡張・深化させるように、学校や先生、地域にとっても自 己評価・認識は欠かせません。このマインドマップ「ESD」(2009)を大きく拡大して、そこに自校・自地域の実態・実情に応じて概念やキーワ ードを加除していってどうでしょう。
※このマインドマップ「ESD」(2009)は、K.Tさんご本人の許諾の上、掲載させていただきました。