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藤崎慎吾・田代省三・藤岡換太郎著「深海のパイロット」

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Academic year: 2021

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書 評

火山 第 48 巻 (2003)第 6 号 521 頁

藤崎慎吾῎田代省三῎藤岡換太郎著 ῒ深海のパイロットΐ

On “Pilots for Deep Submergence”

Akira T6@:J8=>῍ 沖縄トラフの熱水活動をはじめῌ 超高速拡大の現場 ῐ東太平洋海膨ῑ や北フィジ῏海盆での背弧拡大などの 海底火山活動の調査ῌ ハワイ海嶺の巨大海底地すべりの 研究などで活躍した ῒしんかい 2000ΐ ῐ以下ῌ 2 K と略 称ῑ や ῒしんかい 6500ΐ (6 K) の名はご存知であろう῍ 本書はそれら日本の潜水調査船のパイロットの体験や深 海科学へのかかわりを描写した読み物である῍ 巻頭には 4ペ῏ジにわたるカラ῏グラビアがありῌ 2 つの潜水船 の姿や潜航調査の行程が手にとるようにわかる῍ 本書の構成は 3 部からなりῌ 総ペ῏ジ数 315 の 70% をあてた第 1 部は本書の編著者ῌ 藤崎慎吾氏 ῐ作家῎サ イエンスライタ῏ῑ が担当しῌ 深海潜水調査船のパイ ロットへのインタビュ῏とῌ 支援母船での乗船取材を中 心に書かれている῍ 潜水調査技術の生い立ちから潜水船 の操作方法や将来への夢などを取り上げた 7 つの章に分 かれる῍ 第 2 部は海洋科学技術センタ῏のベテラン深海 パイロットを代表する田代省三氏がῌ 6 K の覗き窓から 見た世界を紹介する῍ また第 3 部は藤岡換太郎氏が日本 で最も多く深海を訪ねた地質学者として執筆しῌ 2 K が もたらした 10 大発見を指摘する῍ 本書の表題は火山学とは無関係にみえるがῌ 藤岡氏が 挙げた発見の半分は海底の火山や熱水活動に関係する῍ なにしろパイロットたちの ῒおすすめスポットΐ はῌ 海 底全体がガラスのようにキラキラ光るシ῏トフロ῏で覆 われた北フィジ῏海盆だという῍ それだけに第 1 部で はῌ 日本で初めての潜水船による海底熱水採取の苦労 話ῌ 大西洋中央海嶺での熱水活動のモニタリングにまつ わる日米対抗の腕自慢などῌ 火山や熱水にかかわるエピ ソ῏ドが紹介される῍ 熟練したパイロットは ῒこんなものがありますけどῌ ῍ ῕930ῌ8555 富山市五福 3190 富山大学理学部地球科学科

Department of Earth Sciences, Faculty of Science, Toyama University, Gofuku 3190, Toyama 930ῌ8555, Japan. e-mail: [email protected] どうしますかΐ (p. 53) とῌ 火山学者を立派な火山岩露頭 に連れて行ってくれる῍ そうなるとῌ 潜航研究者にとっ てのパイロットは水先案内人以上でありῌ 深海科学専門 のスペシャリスト兼パ῏トナ῏であると思われる῍ 深海にはῌ まだ世界中でほとんどの人間が目にしたこ とのない風景がある (p. 165)῍ とりわけῌ 海底火山のよ うにカメラ画角を超える対象についてはῌ 研究者の目に 触れないままパイロットの脳裏に仕舞い込まれている風 景や事象があるに違いない῍ ところがῌ 日本はもう有人 潜水船は建造しない方向にあるという (p. 3, p. 170). 有人の潜水調査船はなぜ必要なのか῍ これはῌ 2 K の 運航休止や 6 K の将来にからめてῌ 第 3 部第二章で藤岡 氏が提起した問いかけである῍ 氏は ῒ人間の目ΐ ῒ知的好 奇心ΐ ῒ臨場感ΐ ῒ勘ΐ の 4 つを理由に挙げた (pp. 293ῌ 295)῍ ῒあとがきΐ ではῌ 宇宙も深海もῌ その素顔は ῒ人 が行ってみなければわからないΐ (p. 310) という宇宙飛 行士毛利衛氏の言葉が紹介されている῍ 確かにῌ 無人船 がプログラムされたとおりに運航されたとしてもῌ 神秘 の謎を発見できるわけがない῍ しかし藤崎氏はῌ ῒ有人が無用と考える人が出てきて しまった背景にはῌ 有人活動をしてきた側にも一定の責 任があるΐ と厳しく指摘する (p. 180). いまῌ 新しい有人潜水船を建造しようという動きはῌ 世界で唯一ῌ 米国ウッズホ῏ル海洋研究所にあるだけで ある (p. 170)῍ 日本で 2 K の休眠状態を解除するには火 山学や生物学など研究者側からのサポ῏トをはじめῌ 一 般国民や子供たちの応援が不可欠である῍ 田代氏もῌ こ れからは子供たちを乗せて潜らせたいという (p. 181). 本書はῌ 深海潜水船の操縦法とかῌ 深海の観光スポッ ト紹介や危なかった話などが織り込まれῌ 潜水調査船に はなじみがない方にも楽しめる῍ まして陸上の火山や地 熱地帯の調査経験がある読者を引き込まないではおかな いだろう῍ 深海潜航調査のプロポ῏ザルを準備する方は もちろんῌ 潜水船で深海底の調査をしてみたいという若 手火山学者にも必読の書である῍

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