卒業生の近況報告 地方公務員としての7年間を振り 返って
著者 石塚 利恵
雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要
巻 15
ページ 115‑117
発行年 2015‑03
出版者 東京家政大学附属臨床相談センター
URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010098/
東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第 15 集
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埼玉県幸手市役所に地方公務員(一般行政職 員)として入庁し8年目となりました。
地方公務員という職に進むことを決めたの は、住民の生活の基本的な部分を支える仕事 を、住民の方と直に接する場で行っていきたい と思ったのがきっかけでした。
このようなわけで、心理職という垣根を越 え、受け持つ職種の幅が大変広い一般行政職と いう職に就いて、現在3課目の職場で勤務をし ています。
ところで私の勤務している幸手市について話 しましょう。幸手市は、埼玉県の北東部、茨城 県・千葉県との県境に位置し、人口約53,000人 と市の規模としては小規模な自治体です。小さ いながらも、権現堂公園幸手桜堤では、春の桜 だけでなく、初夏の紫陽花、秋の曼珠沙華、冬 の水仙と四季折々の花々が楽しめるなど観光名 所もあり、花の時季には観光客で賑わう市で す。
そろそろ本論に入りますが、市役所の仕事 は、転入出などの住民異動に伴う住民票の管理 や税金の賦課徴収、道路・河川の管理、農業振 興、生活保護や高齢者・障がい者支援などの福 祉サービスなど様々です。サービスに応じて部 署も複数に分かれていますが、その中で私が実 際に携わった部署についてご紹介します。
入庁し配属された介護福祉課では、主に介護 保険制度に関する業務に携わりました。介護福 祉課は、介護保険制度のサービスを受けるため の入り口となる要介護認定や介護サービス費の 支給、保険制度を支える保険料の賦課徴収を 行っており、窓口の相談も介護サービスの相談 から保険料の減免相談と様々でした。介護サー ビスに関する相談を保健師と一緒に伺うことも あれば、介護保険料の相談で被保険者のご自宅 へ訪問することもありました。
こうした相談の中で、私が感じたことは、各 機関・部署との連携の大切さでした。地域包括 支援センターや各介護サービス事業所との連携 はもちろんですが、市役所内でも障がい担当、
保険担当、時には納税担当や民生委員担当とも 連絡を取り合って、市民の方へのサービスを行 いました。
特に、1人暮らしや高齢者世帯では、生活が 立ち行かなくなっている場合もあり、関係部署 と連絡を取り福祉サービスにつなげたり、民生 委員さんに訪問していただいたりと、生きるた めの支援を行ったケースもありました。
このような場合、一般行政職である私たちや 保健師、介護サービス事業者等が連絡を密にし て、ご本人の身の安全を確保しています。支援が スムーズに進む為に、普段からお互いに部署を 行き来して情報交換をし、いざという時の連携 体制を作っておくことの重要さを感じました。
地方公務員としての7年間を振り返って
石塚 利恵
卒業生の近況報告
幸手市役所
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地方公務員としての7年間を振り返って
次に、介護福祉課に4年勤務した後、配属さ れた秘書室では、市の広報紙やホームページの 作成を通して複数の部署の職員と接し、市の大 きな行事の裏側を見る機会も増え、より人の動 き・情報の流れが見えるようになりました。
また、秘書室に異動した年はちょうど東日本 大震災のあった年でもあり、幸手市でも近隣市 町村からの協力依頼で富岡町からの避難者の受 け入れを行いました。
私は秘書室での広報活動と並行して、施設の 管理業務と傾聴ボランティアの方々への情報提 供という形で避難者支援に携わりました。
情報提供については、傾聴ボランティアの代 表の方から支援方法等についての情報提供及び 避難者の代表者との打ち合わせ時間が欲しいと いう希望があった為、東京家政大学の相馬誠一 先生にご助言をいただきながら、実際に支援に 入る前に、危機的な状況にあった人がどのよう な身体的・精神的な状態を示しやすいか、ま た、被災直後の支援の在り方について資料提供 や説明会を行いました。
東日本大震災の際は、傾聴ボランティアの 方々以外にも多くのボランティア団体が支援に 協力してくださいました。行政の力だけでは、
最低限の支援しかできなかったところに、こう したボランティア団体の方々の力は大変心強い ものでした。
その一方で、ボランティアを希望される団 体・個人の把握や調整に苦心しました。
当時、避難者が到着して直ぐに多くのボラン ティア希望者が避難所にいらっしゃいました。
お一人おひとりのお気持ちは大変ありがたいも のでしたが、支援情報の周知、支援内容と避難 者の方々の希望とのマッチングなど、ボラン ティアの方々の力をより効果的に活用するため の工夫が市には求められました。また、避難者
の安全の確保という観点から、どのような団 体・個人がいつ、施設のどこで活動しているの かを把握できない状況は避ける必要がありまし た。ただ漫然と物資や人を投入するだけでは支 援にはならない事を実感させられました。
東日本大震災における被害は、幸いにも幸手 市内では大きなものはありませんでしたが、市 の危機対応の在り方について、多くの課題が見 えることとなりました。現在、県や市町村で は、事業継続計画(Business Continuity Plan:
BCP)を作成し、災害が発生した際に、自治体 の業務の中で必要な業務を継続しつつ、復旧活 動を行うための計画を作成しています。この計 画によって、ライフラインの確保や情報収集・
発信といった災害発生直後から必要となる業務 をできるだけ早く再開し、住民の方の安全・安 心の確保をより迅速に行うことを目指していま す。
いよいよ最後になりますが、現在、所属して いる埼玉県企画財政部市町村課での業務につい てご紹介します。
市町村課は約60名の職員が所属する規模の 大きな課です。県内の各市町村から実務研修生 として職員が派遣されており全体の半数を占め ています。私もその一人として2年間の予定で 市町村課に派遣されています。私が配属されて いる行政担当では、県内の各自治体の給与や勤 務条件等の状況の把握及び国への報告、地方自 治法等の法令についての情報提供や技術的助言 などを行っています。
担当の中にはメンタルヘルス事業もあり、研 修会の開催や外部機関と共同で希望団体に対す る総合助言を行っています。
さいたま市を除く埼玉県内62市町村におい
て、平成25年度中に分限処分*のうち休職処分
を受けた者は、延べ 1,015 人であり、その内、
石塚 利恵
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