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卒業生の近況報告 卒業してから

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Academic year: 2021

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卒業生の近況報告 卒業してから

著者 櫻井 剛

雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要

巻 16

ページ 71‑73

発行年 2016‑03

出版者 東京家政大学附属臨床相談センター

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010104/

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東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第16集

 卒業して早7年が過ぎました。この7年間は 私にとってあっという間の様に感じられます。

ぼーっとしている事が多かった私にとってこの 7年は、大学院時代の2年間がはるか昔のよう に感じられるほどに考え、悩み、決断する事が 多かったように思われます。この7年間は自分 が何者になり、そしてどのように生活していく のかを模索していたように思えます。

 振り返れば私が真剣に自分の将来を模索しだ したのは大学院1年生の頃でした。その頃、私 は自分には何が向いているのか、何がしたいの か、自分はどうしたいのかわからず日々を過ご していました。そんな時に私は同期の渡邊真伊 さんの紹介でフレンズにボランティアとして関 わるようになりました。フレンズとは主に狭山 市と入間市を中心に活動している発達障害児を 支援するボランティアサークルで、近喰ゼミの 学部生と大学院生が中心になって活動していま す。私はフレンズで活動していく中で発達心理 学や発達支援に興味を持つようになり、少しず つ将来の方向性を考えるようになりました。

 卒業後、私はいろんな仕事を経験してみよう 思うようになりました。私は千葉県の児童相談 所の指導員や立川市の小学校での相談員、渋谷 区の小学校での介助員、世田谷区の重度心身障 害児者の指導員といった仕事をするようになり

ました。これらの仕事を通じ、私は利用者と共 に生活することで、学生時代にはもてなかった 視点や考え方を得ることができるようになりま した。このような経験をする中で、当時の私は 当面心理職に限らずいろんな経験をしてみよう と考えるようになりました。

 私が焦らずにいろんな経験をしてみようと思 えたのには、近喰先生がかつて言っていた言葉 があるからです。近喰先生は「最近の若い人は すぐに結果を出そうとする、もっと裏で頑張り なさい」と言っていたことがありました。もち ろん、これはすぐに結果を出したがる大学院生 に向かって言った言葉ではありますが、この言 葉で私は焦らずゆっくり力をつけても良いのだ と思えるようになりました。

 話は戻りますが、私は自分なりに上述した仕 事をしていくうちに自分の将来を考えるきっか けになった発達障害児者の療育の仕事をしてみ ようと考えるようになりました。そこで、私は 自閉症や発達障害の第一人者である故石井哲夫 先生の社会福祉法人嬉泉の門を叩きました。

 私の1年目の配属先は世田谷区にある子供の 生活研究所でした。子供の生活研究所は保育園 と児童発達支援センター、放課後デイサービス、

成人の障害福祉サービス、東京都発達障害者支 援センターが併設しており、私は児童発達支援 センターと放課後デイサービスの指導員として の採用でした。様々な事業がある子どもの生活 卒業生の近況報告

卒業してから

櫻井 剛

大田区子ども発達センターわかばの家

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卒業してから

研究所で私は包括的に発達障害について学ぶこ とができました。

 その後、異動し、私は心理士として 2012 年 度より現在勤めている大田区こども発達セン ターわかばの家で勤務するようになりました。

大田区こども発達センターわかばの家は社会福 祉法人嬉泉が大田区より 2012 年度から一部委 託を、2015 年度からが全面委託を受けて運営 しています。

 それでは、大田区こども発達センターわかば の家の紹介をしたいと思います。大田区は東京 都の南東に位置しており蒲田や大森、羽田があ る東京都 23 特別区で最も面積が大きい特別区 です。大田区こども発達センターわかばの家は 広域をカバーするためにわかばの家本館とわか ばの家分館、わかばの家分室という3つの拠点 を設置しています。

 大田区こども発達センターわかばの家は大田 区在住の心身の発達に遅れや偏り、またその疑 いのある就学前の乳幼児に対し、早期に発達に 必要な支援を行い、基本的な自立の育成と集団 生活への適応を高めることを目的として設立さ れました。

 大田区こども発達センターわかばの家には、

相談支援事業、地域支援事業、早期支援事業と いう3つの事業があります。

 相談支援事業は大田区在住の 18 歳未満の知 的障害のある方、精神障害のある方、身体障害 のある方に対して電話や来所による相談を行っ ています。また、障害福祉サービスの相談・申 請を行っており障害福祉サービス受給者証の交 付や障害児支援利用計画、サービス等利用計画 も作成しています。

 地域支援事業では幼稚園・保育園からの援助 の要請により訪問やアドバイスを求められた り、区民に向けて講演会、講習会の開催を行っ

ています。

 早期支援事業では児童発達支援センター(単 独通所)、児童発達支援事業(親子通所)、外来 訓練、自由来館、アフターケア、子育てサロン といった事業を行っています。

 ここからは現在私が担当している仕事につい て紹介したいと思います。私は主に早期支援事 業の単独通所と外来訓練の業務を担当していま す。

 単独通所では、おおむね3歳〜就学前までの 保育園・幼稚園に通っていない児を対象に週5 日間行う1クラス9名の集団療育です。そこで は生活支援、給食指導、課題活動、あそび、親 子プログラム(ムーブメント、音楽療法)、個 別指導や評価(臨床心理士・言語聴覚士・作業 療法士・理学療法士などによる)、地域の保育 園児との交流等が行われています。

 外来訓練では主に、保育園・幼稚園に通って いる就学前の幼児に心理療法や発達検査を行っ たりグループ療育を行っています。また保護者 へ子どもへの理解を促すために時間を設けて フィードバックすることもあります。

 私がこの仕事をしていてとても大事だと感じ る事はチームで仕事をするという意識です。子 ども達に私個人ではなくチームで療育をすると いう感覚も持つことは今まで持てるようで持つ ことができないものでした。これはチーム内で 問題意識を共有をするのは勿論のこと、子ども に対してもチーム内でそれぞれが役割を持つこ と、例えばチーム内で子どもの接し方を変える 事で子どものより良い変化を促したりする事等 を考えるようになりました。

 発達センターの仕事は様々な職種や関係機関 との連携が必要です。心理士だからといって自 分の仕事だけをしていれば良いわけでなく発達 センターでは言語聴覚士 、理学療法士、作業

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療法士、看護師、医師(児童精神、整形外科等)、

歯科医等様々な職種が連携して一人の子どもの ために働きます。そのため自分から積極的に行 動を起こしていく必要があります。時には、保 護者と面談したり、幼稚園・保育園に就園した 児の就園先へのアドバイスや、就学後の引き継 ぎや教育相談所や時には児童相談所と連携をと る必要もあります。自分と子どもの二者関係だ けでなく、その子どもを取り巻く環境とも関係 を築いていかなければいけません。私は元来 フットワークが軽いほうではないので、大学院 時代に近喰先生が言われた「おこもりになって はいけない」という言葉を胸に刻みつつ、周囲 の人に助けられながら仕事に勤しんでいます。

 私がこの仕事をしていてやりがいを感じるこ とは、子どもの成長に立ち会えることです。例 えばコミュニケーションスキルの向上であった り、対人意識が芽生え始めたり、興味の幅が広 がってきたり、粗大・微細運動能力の向上や、

感覚過敏の緩和と子どもによって課題は様々で す。スタートラインや成長するスピード、得意 不得意は違いますが子どもができたという自信 を身に着けていくのを見守ったり手伝えるのは この仕事の醍醐味だと思います。

 しかし、一方で私は自分の未熟さを思い知ら されることも多々あります。子どもの発達段階 の見立てを誤って見当違いな課題を出してし まったり、私を頼りにしてきた保護者をがっか りさせてしまったりと後からこうすればよかっ たと考えてしまうことはたくさんあります。

 発達センターの仕事というのは、幅広い職種 がそれぞれの専門性を出し合いながら様々な子 どもの問題に対応していくところです。私はま だまだ修行中の身ですが、ここで様々な事を学 び、経験を積んで心理士としてまた‘人’として 成長していけたらと思います。また、ここで得

たものを目の前の子どもだけでなく、保護者や 地域に還元できていけるようになればと思って います。

参照

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