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卒業生の近況報告 卒業してからを振り返って

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Academic year: 2021

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卒業生の近況報告 卒業してからを振り返って

著者 隅 由記子

雑誌名 東京家政大学附属臨床相談センター紀要

巻 17

ページ 89‑91

発行年 2017‑03

出版者 東京家政大学附属臨床相談センター

URL http://id.nii.ac.jp/1653/00010111/

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東京家政大学附属 臨床相談センター紀要 第17集

 私は学部生時代、発達障害の子どもたちとデ イキャンプをする活動を学外でしていました。

また、大学院時代には近喰先生より声をかけて いただき、軽度発達障害児とその保護者を支援 するボランティアサークル「フレンズ」の立ち 上げに関わらせていただきました。その中で、

自然と、子ども臨床に携わりたいという思いが 固まり、大学院を修了した平成16年4月より、

東京都世田谷区の教育相談室で週4日勤務の非 常勤として働き始め、今年で 13 年目になりま した。その間、育児休業を二度取りました。そ の二度目の育児休業を終え、職場に復帰したの がこの4月のことです。また、週に1日という 形で、高齢者専門の大学病院や都のスクールカ ウンセラーとして勤務をしてきました。今回は、

近況報告として、世田谷区教育相談室の仕事に ついてご報告させていただきたいと思います。

 私が勤務している世田谷区教育相談室には、

学校支援や不登校相談の窓口がある総合教育相 談室と、地域に根差したさまざまな相談業務を 担当する分室が4か所あります。総合教育相談 室には、心理教育相談員とスクールソーシャル ワーカーが、各分室には7名〜 15 名の心理教 育相談員が勤務をしています。また、世田谷区 では小学校 64 校、中学校 29 校の全校に、区の スクールカウンセラーが配置されており、世田

谷区でともに働く心理士の数は充実していると 感じています。

 分室の中心的な業務は、来室相談です。幼児・

児童・生徒と、その保護者に対し、プレイセラ ピーやカウンセリング、教育相談等の心理的援 助を行っています。また、就学相談も行ってお り、心身に障害をもつ等、特別支援を要する子 どもの入学・進学、及び通級や転学等に際して、

発達検査(田中ビネーⅤ、WISC ‐ Ⅳ)や行 動観察を行い、その子どもに関する資料を作成 し、就学支援委員会に報告しています。他にも、

電話相談業務や就園相談、地域機関との連携等 を行っています。

 教育相談室での相談は予約制になっていま す。そのため、保護者の方から申し込みをし、

保護者の希望や配慮事項等を確認したうえで、

受理面接の日時と担当者を決めます。受理面接 では保護者から相談内容をよく聞き、状況の把 握に努める一方、相談の進め方を説明します。

子どもからは話を聞いたり、遊びを通して行動 観察したりしながら、本人が抱えている問題に ついて把握します。内容によっては情報提供、

助言などで終わる場合、あるいは関係機関を紹 介する場合もあります。いずれの場合も、保護 者とよく話し合ったうえで進めます。また、月 に2度、受理会議を行い、担当者の報告をもと に話し合い、見立てや方針を検討しています。

継続相談になると、1回 50 分という枠組みの 卒業生の近況報告

卒業してからを振り返って

隅 由記子

世田谷区教育相談室烏山分室

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卒業してから

中で相談が進められます。私が勤めている分室 では、親子にそれぞれ担当者がつく形を取るこ とが多いですが、ケースによっては親子をひと りで担当する場合もあります。

 子どもに関わる相談という窓口の来室相談に 申し込まれる相談内容は、多岐にわたります。

不登校やいじめ、発達に関すること、中には養 育困難状況や、虐待が疑われることから、地域 の子ども家庭支援センターや児童相談所との早 急な連携が必要なケースもあります。また、学 校との調整が必要なケースも多くあります。主 訴の背景にある要因は複雑に絡み合っているこ とがほとんどで、子どもと保護者を支えるとい う関わりを来室相談で行い、必要な支援を検討 しながら、外部機関とは環境調整を行っていく ということが多いように感じています。

 また、平成 19 年から「特別支援教育」が始 まり、通級指導学級が活用されていましたが、

東京都は「特別支援教室」の全公立小学校への 導入を進めており、世田谷区も今年度より、各 校の「特別支援教室」での支援が始まりました。

そのため、支援を希望して就学相談を受ける人 の数がかなり増えている状況です。子どもを取 り巻く環境や、求められる支援も少しずつ変 わってきていると感じています。

 学生時代、近喰先生に「感性を磨きなさい」

と言われたことがあります。いろいろな物を見、

経験し、自分の感性を磨くこと、それが臨床に 生きてくるということを、教えていただきまし た。それは私の中に強く残った言葉のひとつで した。たとえば、子どもが “ 怖い ” といった言 葉を遣った時に、その子にとっての、またその 時の “ 怖い ” がどういった意味をもつのかは、

それぞれ異なります。そういった、個人のこれ までの文脈があり、個人独特の体験の中で表現 されたものをプレイセラピーの中で受け止め、

生きたやり取りをするために、また、保護者が 語る言葉の奥にこめられた思いを理解するため に、先入観や思い込みを挟まずに、感度良くア ンテナを張っていられるよう、心がけています。

 しかし、自分の思いや枠組みで反応してしま うこと、私自身が引き受けすぎてしまうことな ど、いろいろとうまくいかないこともありまし た。また、私自身が圧倒されるような体験をし ている保護者を前にして、どのようにそこに在 ればいいのかと、大きく揺さぶられることもあ ります。そういう時には、面接を振り返り、職 場の同僚と共有したり、スーパーヴィジョンを 受けたりして、そのケースで今起きていること はどういうことなのかを考え、見立てや方針を 見直したり修正したりするようにしています。

その際には、“ やってしまった ” と自分が思う ような関わりを含め、正直であること、率直で あることを心がけています。それは、自分自身 の課題に向き合うことにもなり、しんどいと感 じることもありますが、そういう時ほど、ケー ス全体の流れやクライエントとの関係性で起き ていることと、自分の要因で起きていることを、

客観的に読み取れない部分があることが多いと 感じています。そういった自分が“困った”、“う まくいっていない”と感じることの感度も大切 にすること、自分の課題に真摯に向き合うこと の土台は、大学院時代の授業や実習で、先生方 に耕し、作っていただいたように感じています。

また、ケースを個人で抱えすぎず、うまくいっ ていないことも含めて率直に同僚と共有できる 環境にあるというのも、日々支えになっている と感じています。

 しかしながら、年々相談件数は増加しており、

1日のほとんどが面接で埋まる日も少なくあり ません。加えて、就学相談や発達に関わる相談 の増加により、検査所見等を書く件数も非常に

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隅 由記子

多くなっています。ケースについて担当者同士 が話し合う時間を取ることも、なかなか難しい のが現状です。各自が時間内に業務をどのよう に終わらせるか、いかに要点を押さえて少ない 時間の中で必要な情報を共有するかは、今の相 談室の大きな課題でもあります。私は、この4 月より主任教育相談員として勤務させていただ くことになり、これまでの業務に加えて、分室 運営という仕事を担うようになりました。主任 は複数体制ですし、経験のある相談員も多いの で、声をかけ合い、役割を分担しながら業務に あたっていますが、以前より、全体を見て業務 量のバランスを考えたり、先を見通して仕事の 分担を考えたりする機会が増えました。また、

これまでの主任や先輩方に、私が助けていただ いたように、個人で抱えすぎずに、チームで相 談にあたっていると感じられるような職場の雰 囲気づくりに心を配るようにしています。実際 のところは、私自身、日々の面接や所見作成、

会議への出席やその準備に追われ、十分に役割 を果たせていないところも多いと感じていま す。また、保育園の送迎等で時間的な制約もあ り、家に帰れば家事育児に追われてあっという 間に1日が終わるという中で、仕事と家庭の両 立に悩みは尽きません。時間も体力も限られて います。その中でバランスを取りながら、心身 共に安定して在り続けるよう努めることが大切 であると日々感じています。

 私はこれまで、出会ってきた子どもたちの成 長する力や回復する力に、何度も助けられ、力 をもらいました。また、子育てについて悩みな がらも、向き合い続ける保護者の方々から多く のことを学ばせていただきました。そして、同 僚や家族、スーパーヴァイザー等、私を支えて くださる多くの方々への感謝を忘れずに、今後 も自己研磨に励みたいと思います。

 最後に、このような機会を与えて下さいまし たことを、心より感謝いたします。

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参照

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