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ー最近の一判例を契機としてi 民法第五三六条二項但書について

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(1)労働契約にわける原状回復と. 民法第五三六条二項但書について. ー最近の一判例を契機としてi. 原職復帰とω8犀∪帥鴇に関するわが国の判例の動向. 島. 田. 信. 義. 労働者の解雇が裁判所あるいは労働委員会で争われた結果︑不当労働行為︵娚雑法第︶やその他の無効原因が存在して. いたため無効と宣せられると︑法律上は当初から解雇の効力が生じなかつたと観念される︒したがつて︑かかる場合. には︑既存の労働契約にもとずく法律関係はなお依然として継続していたこととして取扱われる︒しかも︑このよう. な無効な解雇にょる就労不能は︑債権者︵使用者︶の責に帰すべき事由によるものであるから︑債務者︵被用者︶に ︵一︶ おいて︑自己の反対給付請求権を失わないという法効果があらわれる︵嘱籍諜麺一一︶︒. ところで︑右のような係争事例における裁判所ないし労働委員会の判決あるいは命令は︑債権者︵使用者︶にたい. して︑被解雇者の原職復帰を命ずるとともに︑併せて被解雇者の解雇から復職までの間に受くべか9し諸給与相当額. 九三. ︵九三︶. を支払うべしと命ずるのが︵廊筋鋤臨伽婆国加嶋で繊9︑ほとんどいままでの例であつた︒労働委員会の救済命令については 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(2) 論. 説︵島田︶ ︵二︶. 九四. ︵九四︶. 他の研究にゆずるとして︑裁判所の判決において賃金遡及払を禁ずるものは︑被解雇者が解雇﹁通告を受けた日以後. 今目までの間所論役場に出勤せず従つて全然同役場の仕事に従事していなかつたことは一件記録に徴し洵に明瞭であ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. りそして右三名がこの期間を各自の心身の保生休養に充てたり又この期間自己の稼動能力を各自の欲する自在の仕事. 目的に用いたりすることもできた筈であるから︑右三名においてかような期間の給料をも当然取得することができる. 趣旨の特別の規定乃至慣習︑法理が差当り発見することができない本件においては当裁判所が被申立人にこの部分の. ︵三︶. 給料の支払をも命ずることは聯か行ぎ過ぎの識りを免れない﹂︵濡漁悶櫛諺ポ硫鯵︑初矧胴獣醸嚇鰭瓢熟甑弛鵬顯哩擁楮鄭馳講蹴醐飛敢諦齢鰍. 籠唖館妓韻駈黙ガ激樋皓髄破鮒難澱齢魏爲漁睡鵯欝削蟹励雛諦揮稲哨礎礎糺融静︶とする下級審判例が一件あるにすぎない︵靖麟魂徹私湘訴驚轍蜴檸遜魂. 梁U薙壕︶︒. しかしながら︑この判決は第一に被解雇者による就労不能が不当労働行為という債権者︵使用者︶の責に帰すべき. 事由に起因すること︑したがつて︑危険負担に関する民法第五三六条二項の規定により︑債務者の賃金請求権が失わ. れるものでないこと︑という法律構成をまつたく無視してかかるものであつた︒第二に右と同様なことであるが︑か. かる使用者の責に帰すべき事由にょる休業︵催紛琳蝶肌騨蝶をのの鵬獅⑳捨締は航臆縫螂翻鯨述燃働都陽給膿暇縦鍵肱砂ガ塒雛留紛鋤鰭に︶の場合に︑. 労働基準法第二六条により被解雇者の平均賃金の六〇パーセントまでの支給が︑罰則をもつて強制されていることを. ︵四︶ 完全に失念しているとさえいえる︒第三は差別的解雇をうけた失職期間︵鵬町ダ囎罐φ砺鞭職繊硬知︶につき賃金遡及払を否定. する理由の一つとして︑この期間中被解雇者が﹁各自の心身の保生休養に充て﹂ることができたとした点に︑かなり. の不当性がある︒すなわち︑賃金が労働力再生産のための唯一の源泉たみ労働者にとつて︑生活資金︵賃金︶の裏付.

(3) けのない単なる閑休的生活は︑労働力のいわゆる﹁くいつぶし﹂にこそなれ︑けつして﹁心身の保生休養﹂に役立つ. はずはないからである︒第四に︑判決は被解雇者が自己の﹁稼動能力﹂を他に転用しえたはずであるとして︑失職中. の賃金遡及払を否認した点もはなはだ不当である︒なるほどわが民法第五三六条二項但書の規定に対応するドイッ民. 法第六一五条一項但書の規定をみると︑﹁但し義務者は労務を給付せざりしことにより節約しえたるもの︑またはそ ︵五︶. の労務を他に用いたることにより取得し︑もしは故意に取得を怠りたるものの価格を差引計算することを要す︵騨マ. 器魯ロ窪冨器窪︶﹂と規定されている︒したがつてドイッ民法第六一五条一項但書の解釈としては︑労働者が自己の. 労働力を他に転用して他より一定価格のものを取得しうる可能性あるにもかかわらず︑故意にこれを取得することを ︵六︶ 怠つた場合には︑他より一定価格を取得した場合と同様な法的取扱をうけることとなる︒しかしながら︑わが民法第. 五三六条二項但書は﹁但自己ノ債務ヲ免レタルニ因リテ利益ヲ得タルトキハ之ヲ債権者二償還スルコトヲ要ス﹂とす. るものであつて︑その規定形式においてドイッ民法第六一五条一項但書とややことなるものがある︒のみならず︑わ ヤ. ヤ. ヤ. が民法第五三六条二項但書の場合は︑後述のごとくドイッ民法第六一五条一項但書のように解釈しうる実質的理由が. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ない︒さらに本件の場合には︑被解雇者が他に自己の労働力を転用して利得をうる可能性が実現に存在していたとの ヤ. 事実認定に立つものではなく︑ただ単に抽象論として労働力を他に転用しうる﹁筈であ﹂つたというにとどまる︒こ. のように︑いくつかの欠陥を指摘しうるこの判決は︑失職期間中の賃金遡及払に関する妥当な法理としての説得力を もたず︑したがつてその後の判例になんらの影響も与えることがなかつた︒. 九五. ハ九五︶. 被解雇者にたいし賃金遡及払を承認する多くの判例の態度は︑たとえ被解雇者が失職期間中に自己の労働力を他に 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(4) 論. 説︵島田︶ ︵七︶. 九大. ︵九六︶. 転用して収入をえていた場合にも︑変るところがなかつた︒この場合にせいぜい問題となつたとすれば︑係争期間中. ︵失職期間中︶に他に労働力を転用し一定の取得額をえていた被解雇者にたいしては︑一体賃金遡及払の仮処分の必. 謎諌蒜ヲコ雪瞭釜錆球導. 要性があるのかという形においてであつたにすぎない︒この点に関する判例の傾向も︑右の場合とほとんど変るとこ. ろはなく︑全面的に借金遡及払仮処分の必要性を否定した判例はただ一件あるにすぎない︵練椋蹴罫. 盗か髪醸f撹顛九︶︒本件は解雇の意思表示がなされた以前の﹁三ケ月間における稼動成績からみて一ケ月金三九︑一二九. 円の割合による賃金を受け得た筈﹂の被解雇者︵撒凌嫁醸燃妻︶が︑一方で約二〇万円の借財の返済にせまられ︑他方で解. 雇より約八ケ月後訴外会社に臨時雇として雇用され︑毎月二五︑000円程度の賃金収入があつた場合である︒. なるほど︑仮処分はあくまでも仮定的裁判であり︑その必要性に関する判断は裁判官による合目的的採量行為であ. るから︑被解雇者に右の程度の収入があれば︑﹁現在その生活を維持できないような状況にあるとは認められない﹂. と判断してさしつかえないかもしれない︒しかしながら︑よくいわれるように﹁労働事件﹂仮処分は︑しぱしば終局. 的裁判と同一の結果をもたらすことが多い︒とくに︑本件のように労働者が敗訴した場合には︑この傾向がかなり強. くあらわれる︒そもそも︑この場合に訴訟当事者として対置される当事者の一方は︑不当な解雇処分により従来受けて. いた賃金を卒如として失つた労働者である︒いまいくぱくかの収入が確保されていたとしても︑従来の収入との差額. 一万四・五千円は︑恒常的に低賃金状態におかれているわが国の労働者にとり︑けつして無視されていいような金額. とも思われない︒まして︑本件の被解雇者は八ケ月にわたる無収入状態におかれており︑その影響は収入確保より四. ヶ月後の判決時においても︑けつして少なくなかつたことが容易に想像し5るのである︒このような経済的にも精神.

(5) 的にもはかり知れぬ苦痛︑しかもそれは使用者の不当労働行為という反労働法秩序行為よりひきおこされた苦痛を背. 負う労働者が︑どうして使用者と対等の立場において本案訴訟を遂行してゆく能力をもちえようか︒仮処分に敗れた. 労働者は事実上の訴訟遂行能力を失つて︑本案訴訟をとりさげざるをえないという結果の招来が容易に想像されよ. う︒かくして︑本訴において被解雇者にみとめられる蓋然性のきわめて高い実体的権利︵露鋼謁飴脚︶は︑完全に否定され. てしまうとともに︑使用者の違法行為からつくり出された経済的・精神的苦痛は解消されぬままに事実の結着がなさ. れてしまうという運命をたどるのである︒事実︑本件の本案訴訟も︑これと同じ運命をたどつた模様である︒このよ. うな不当な結果を惹起するような仮処分の必要性の認定は︑違法とまでいいぎれないにしても︑労働事件の実態を直 視しないはなはだ不当なものということがでぎよう︒. このように被解雇者が失職期間中に自己の労働力を他に転用した場合において︑賃金遡及払の仮処分の必要性を全. 面的に否認した判例は︑さすがに他の裁判所ではみられない︒むしろ︑このような場合においても︑賃金遡及払の仮 ︵八︶. 処分の必要性をみとめる判例のほうが︑多数をしめているようである︒たとえば︑被解雇者がレッドパージ後約二年. 四ヶ月間二万五千円︵噸蛎搬社︶︑六ケ月間二万円︵囎騨融社︶の収入をえている場合にも︑現に生活保護法の適用をうけるほ. どの生活に困窮している事実を直視し︑﹁同債権者は︑債務者会社から解雇された後︑あくまでもその解雇処分の効. 力を争う意思を堅持しながら︑その生活維持のため暫定的に窮余の方策として他に就職したものと一応認められるの. であるから︑同債権者と債務者会社との間の雇傭契約はやはり存続していると見るべきであり⁝⁝また︑同債権者が. 九七. ︵九七︶. 第二の就職先から相当の収入を得ていた間は︑生活に窮していなかつたかもしれないが︑それだからといつて︑同債 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(6) 論. 説へ島田︶. 九八. ︵九八︶. 権者の現在の生活難が︑債務者会社からのいわれのない賃金不払を原因とするものでないと解することはでぎない﹂. と論じ︑賃金全額の遡及払を命ずる仮処分の必要性を認定した事例︵榊憶遡蹴ル割描騒盈嶺麓購穣縛碓汁煙一一㌧館糀陀甑弼硬旺謹ル敵艶て○. ト郷磁購麓.曝︶のごときがこれである︒また純粋に労働力を他に転用して一定取得額をえた場合ではないが︑それにきわ. めて類似する場合に同様な賃金遡及払の仮処分の必要性をみとめたものとして︑﹁被申請人は申請人︵喉鞠魏者︶は救援会. から給料相当額の補助金を五ヶ月間受け得る状態であるから給料を受けなくとも著しい損害を受ける筈がないと抗弁. し︑其の申請人等が救援会の補助金の支給を受け得ることは当事者間に争がないが︑救援会の補助金なるものは労働. 争議の犠牲者に対する一時の救済方法であり︑しかも其の支給期間もわずか六ヶ月というから前述のような急迫の状. 態を避け財産上の損害を補うに不十分といわなければならないからこの抗弁も亦理由がない﹂とする事件︵細岬禰鰍獅欄厳. 尊贈粉招江璽壷︑ず塑猛恥四.︶や︑﹁申請人等が或は組合より給料相当額の給与を受けており或は会社の寮に起居している. から仮処分を求める必要がないという被申請人の抗弁は労働者の生活が如何なるものであるかに目を蔽う所論であつ ︵九︶ て採用に価しない﹂とする事件︵駄藪馳タ﹁噸圷蝿蜷纈准魁翻缶墾霊談軌○︶がみられる︒. 右の賃金全額支払の仮処分の必要性を全面的に否認する利例と︑全面的に肯定する判例との中間帯にあつて︑被解. 雇者が失職期間中に他に自己の労働力を転用して取得した収入がある場合に︑ある程度の控除をなした残額につき賃. ︵一〇︶ 金遡及払の仮処分の必要性をみとめた判例︵騒諒眺逮﹁諦咽詔伽瀬雁艶潮也禦驚尼配七一︶が︑古くからあつた︒もつとも︑この場. ︵二︶ 合の控除は労働力転用による他よりの取得額全額についてなされているわけではない︒それは使用者の責に帰すべぎ. 事由による休業の場合において︑使用者にたいし平均賃金の六〇パーセントの支払を義務づけている労働基準法第二.

(7) 穴条の趣旨を勘案して︑その控除額を平均賃金の四〇パーセソトにととめているのである︒この現実の取得額のいか. んを考慮することなく︑一律平均賃金の四〇︒ハーセントを控除するという帝国石油事件決定の態度は︑その後の判例. によつてもひきつがれ︵臨胴地堅課極漁迎鐸㎝鯛獅甥彫拠翻薄壁︸羅饒︵ヨ︶︶︑さらに最近における同上本訴請求事件判決︵踊綱縞鞠栴欄. ︵一二︶ 紹尼細蘇距詫︷ポ燗龍評一亭恥︶においても踏襲せられている︒この判決は以上の仮処分事件の判例が用いた論理と圓じ論. 法をとつているばかりでなく︑本稿で課題となる問題にかかわりがあるので︑その理由をつぎに引用しておく︒. ﹁被控訴人︵喉鞠擁者︶が昭和三二年十一月頃から昭和三四年九月頃まで︑全駐労小倉生協の理事または専務理事とし. て勤務し︑その間同生協から毎月一四︑OOO円または一三︑OOO円宛︑合計金三〇六︑OOO円の給与を受けたこ. とは当事者間に争がない︒不当解雇の被解雇者が労務の受領拒否により給付を免れた労働力を︑他に転用して得た収. 入は︑民法第五三六条第二項但書にいわゆる﹃自己の債務を免れたことにより得た利益﹄として︑これを債権者たる. 使用者に償還すべきであり︑この場合償還するというのは︑労働者の受くべき反対給付たる賃金額から︑これを控除. すべきものと解するを相当とする︒もつとも被解雇者が自己及び家族の生活維持のため︑副業の程度においてなした. 労働による収入は︑自己の債務を免れたことにより得た利益とはいわれないが︑被控除人の得た前記収入は︑生協に. おけるその地位及び金額から見て︑単に副業的なものとは考えられないから︑当然本件賃金額からこれを控除すべき. である︒但し労働基準法第二六条が︑休業の場合につぎ︑平均賃金の少くも六割に相当する手当の支払を命じ︑違反. 九九. ︵九九︶. 行為に対する罰則規定をもつて︑これを強制している趣旨に微すれば︑右別途収入にょる控除額は︑労務者の平均賃 金の四割を超ゆることを許さないものと解するを相当とする︒﹂ 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(8) 論. 説︵島田︶. 一〇〇. ︵一〇〇︶. この判決は民法第五三六条二項但書の解釈として︑副業程度の取得額以外のものを被解雇者の債務免脱による利益. として償還すべきことを明かにしている︒私はこの点についての解釈に疑問をもつものであり︑したがつて後にそれ. を評論しようと考えている︒しかしながら︑控除の最低基準を平均賃金の四〇パーセントにとどめたことは︑なお裁. 判所が被解雇者の失職期間中の最低生活を維持しようと努める態度のあらわれであり︑取得額全額の控除をみとめる. 通説︒ただし来栖教授﹁債権各論﹂は︑この場合に危険負担の法理を適用するよりも︑むしろ履行不能にもとずく損害賠. 判例よりも合理性があるように思われる︒ ︵一︶. に関する労働基準法第二六条の存在. 償の問題として処理したほうが妥当であるまいかと疑問を提示されている︵↓八四頁︶︒だが︑雇傭ないし労働契約に関しては. すくなくとも︑民法第五三六条二項と同趣旨の休業手当︵これは︑損害賠償金ではない︶. 労働委員会における賃金遡及払に関する救済命令を詳細に論じたものに︑三藤教授﹁不当労働行為の諸問題﹂六四頁以. を無視しえない︒したがつて︑来栖説では︑これとの関係を統一的に把握しえないのでないかと思われる︒. ︵二︶. 本件は青森地労委が柏木町町長を相手どつた行政訴訟であり︑その内容は労働委員会が労働組合法第二七条二項の救済命. 下︑とくに八七頁以下がある・. ︵三︶. 令に関し︑不当に解雇された者の賃金遡及払を命ずることの適否があらそわれたものである︒なお︑決定主文はつぎのような ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. ︵誰々を︶本決定書が申立人及び被申立人に各到達した日の翌. ︵誰々に︶対しその各復帰の日から将来に向つて各従前の標準による給料を支. ものであるi﹁被申立人は本審判決の確定するまでの間⁝⁝ 日から二週間以 内 に 各 原 職 に 復 帰 さ せ 且 つ ⁝ ⁝. 民法第五三六条二項と労働基準法第二六条との関連およびその規定の性格づけにっいては︑拙稿﹁危険負担における帰責. 払わねばならない︒﹂︵傍点H筆者︶. ︵四︶.

(9) なお︑ドイッ民法第三二四条参照︒この規定が双務契約における危険負担についての帥般的定めをなしたものである︒し. 事由の一考察﹂早稲田法学︑第三三巻一・二冊︑一五五頁以下参照α. ︵五︶. たがつて︑厳密にいえば︑目本民法第五三六条二項に対応する規定は本条である︒そして︑ドイッ民法においては︑雇傭契約 についてとくに同趣旨の第六一五条一項を規定しているわけである︒. ︵六︶ ω蜜仁象⇒鴨5囚o言Bo旨巽鍔ヨ閃驚鵯旨魯oロO霧9昏琴F目切鮮噂這紹砺﹂認璽なお︑この点アメリカにおける判例に. も︑ドイッ民法第六一五条一項但書の解釈と同じ趣旨を主張する事例がみられる︵℃﹃①6のU&鷺Ooεo轟菖9〜Z・ダ界ω・. 労働委員会の救済命令においても︑失職期間中に他に労働力を転用して収入をえた場合に︑その取得額を控除すべしとす. o一ωqあ﹂ミ●︵お合︶︶︒これらについては︑後述するところである︒ o. ︵七︶. る命令は︑ほとんどなされていない︒わずかに︑被解雇者が失職期問中に係争会社の他の職場で働らいていた場合につき︑﹁A. を原職に復帰させると共にその者が継続して在勤していたなら支給すべき賃金相当額を⁝⁝支払わねばならない︒但し︑Aが. 会社の他の職場に就労して得た賃金額を控除するものとする﹂という命令︵宮城地労委﹁気仙沼鉄道建設日雇労組事件﹂昭二. 本文に摘示する判例のほか︑高松高裁・加賀屋商店事件︵昭三ズネと四五︑昭三二・四・二四判︑労民八巻二号二三一. 七不三︑昭二八・三・四︶があるにすぎない︵三藤・前掲書︑八八頁参照︶︒. ︵八︶. 頁︶は︑﹁賃金収入により生計を維持していた労働者が解雇された場合︑右解雇が無効であるとしても復職まで無為に徒過する. ことは到底これを期待することがでぎず︑被解雇者が自己及びその家族の最少限度の生活を維持するため自己の労働力により. 或程度収入の途を講ずることは己むを得ないところである﹂として︑その収入が従来よりも少額であり︑かつ固定的でないの で賃金全額支払を命ずる仮処分の必要性があるとしている︒. 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について. 一〇一. ︵一〇一︶. また︑神戸地裁・オリエン穿ルタクシー事件︵昭三四︵ヨ︶一八四︑昭三五・一・一八判︑労民一一巻一号一頁︶は︑解雇.

(10) 論. 説︵島田︶. 一〇二. ︵一〇二︶. 後県タクシー運転者共済組合に加入し一ケ月約五千円の収入ある被解雇者の場合︵妻子とも五名︶に︑民事訴訟法第七六〇条. 但書の法意は﹁継続的権利関係につき紛争状態が発生した場含において本案判決による終局的確定︑解決に至る迄の問におい. 一方は完全な勝者の如く︑他方は完全な敗者たる. て紛争当事者の一方のみが当該権利関係について他方に比し著しく不利益な地位におかれ︑本案判決を待たずその紛争過程に おいて既に事実上権利関係が確定せられたのと同一の状態が生ぜしめられ︑. の事実状態が惹起せらるる如き紛争当事者間の不平等を排し︑紛争中両当事者の地位の公平を維持するに相当なる措置を仮処. 分を以て設定することを得しむる趣旨と解すべきものであるから﹂として︑賃金全額の支払を命ずる仮処分の必要性をみとめ ている︒. なお︑この判決については後に執行停止の申立が会社側よりなされたが︑裁判所は本判決が﹁権利保全の範囲を逸脱するも. のとはいい難く﹂︑申立人が勝訴した場合に﹁金員の回収がでぎない虞れがあるとすれば︑被申立人をして労務に服させること. これらの場合は別途の取得額が副業的なものとみられる点で︑むしろ考え方の系列としては︑後述の中間的態度. 止申立事件﹂昭和三五︵ウ︶一〇二︑昭三五・四・四決︑労民一一巻二号二九五頁︶︒. によりその損害を防止することもできる﹂からとして︑申立を却下している ︵大阪高裁﹁オリエンタルタクシー仮処分執行停. もつとも︑. をじする判例の中に分類したほうがよいのかもしれないo. ︵九︶ なお︑アメリカにおいても同様な判例がみられる︒ただしアメリカの場合には遡及払賃金よりの控除は︑その目的物が労. 務提供の対価として取得された賃金であるか否かの観点により決せられる︒すなわち︑失職期間中ピケッティングにしたがつ. ていた被用者にたいして組合が食糧雑貨類を供給した場合につき︑裁判所はそれが組合よりの贈与物︵讐津の9讐緯巳江窃︶と. して供給されたものであり︑賃金として与えられたものでないという理由で︑遡及払賃金額よりその価額の控除をみとめなか つた︒︵ヌダ界甲く●犀毬琴貸男村o薦窪ζ冨ωぎF一曽蜀■魯口傷︶一〇c︒9︶.

(11) ︵噸O︶ この判例では︑申請人が昭和二三年一二月二日に解雇され︑翌年三月三一目よりN高校職員として定額の給与︵判決で. のところに就業して収入をえていた場合にも︑つぎのように取得額. 大阪地裁・田中運送事件判決︵昭三〇︵ヨ︶二五一四︑昭三二・四・ご一判︑労民八巻二号二二一頁︶では︑被解雇者. は不明︒ これは裁判所が控除額を一律四〇︒ハーセントにとどめるとしたため︑確認する必要がなかつたのであろう︶をえてい た︒. ︵輔一︶ が失職期間中従前より好条件︵どの程度か判決では不明︶. の一部しか控除がみとめられなかつた︒﹁次に本件仮処分の必要性について判断する︒そもそも労働者がいわれなく従業員とし. ての地位を否認されることはかりに収入途絶による生活危難という点を度外視しても︑そのことにより当該従業員のうける有. 形無形の不利益苦痛が甚大であることは容易に推認でぎるから︑申請人が生活維持のため一時の方便として昭和三十年八月中. 頃以後他に就職し現に従前会社勤務当時より好条件で勤めているからといつて︑依然として会社復帰の気持を有する以上︑こ. の一事をもつて地位保全に関する本件仮処分の必要性がないとはいえない︒更に金銭給付の点については昭和三十年六月以降. 同三十一年三月までの間少からざる生活不安にさらされていたことが窺われるのであつて︑その後昭和三十り年四月ごろから. 前記会社に就職しその職種賃金において会社勤務当時より恵まれた労働条件下にあることをも考慮し昭和三十年六月一日以降. したがつて︑本件の場合においては控除額は逆に賃金の約六〇パーセントにおよぶということとなる︒. 既に履行期の到来している賃金籏権︵二六万四千円U筆者︶中金拾万円の限度において支払を命ずるのを相当と思料する︒恥. ︵一二︶この事件の第一審︵福岡地裁︑昭三三︵ワ︶六三五︑昭三三.一二.輔五判︑労民一一巻六号二二二八頁︶は︑原告︵被. 解雇者︶の請求する全額につぎ支払をみとめている︒なお︑原告は昭和三〇年一一月八日に出勤停止の通告をうけ︑ついで昭. 一〇三. ︵一〇三︶. 和三一年九月二二日付で解雇通告をうけている︒そして︑原告は右出勤停止期間中平均賃金の六〇︒ハーセントの支給を受けて いた︒. 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(12) 説︵島田︶. 二 東京高裁・米軍調達部救済命令取消擦訴事件判決について. 一〇四. ︵一〇四︶. しかるに︑最近このような生存権理念に合致した判例の傾向をくつがえすかのような一判例が︑東京高裁にあらわ. 武ノo. さに生存権の保障を明定する憲法規範の要求するところのものに合致する態度にほかならないと評することができよ. 働者にあたうるかぎりの生存権保障をまつとうしようとする努力のあらわれといえよう︒そして︑このことこそ︑ま. が国の裁判所が恒常的な低賃金状態にある労働者の生活実態を直視し︑不当解雇により賃金収入の途をとざされた労. しかして︑このような従来の判例の傾向は︑前掲・福岡高裁判決のごとく検討の余地あるものをのぞき︑総じてわ. るにいたつたわけである︒これがごく大難把にいつて︑いままでの賃金遡及払に関する判例の傾向だといつてよい︒. の米極東空軍山田部隊本訴事件判決にひきつがれ︑民法第五三六条二項但書に関する解釈適用上の意味内容とせられ. ーセントにとどめるのが判例の傾向であつたといえる︒そしてこの判例の傾向は最後に未払賃金にかかわる福岡高裁. 分の必要性をみとめる判例の場合にあつても︑その控除は取得額全額についてではなくして︑一律に平均賃金の四〇パ. ここにおいてもその必要性をみとめる判例がかなりあつた︒さらに︑失職期間中の取得額を控除して賃金支払の仮処. なかつた︒もつとも︑この場合には賃金全額の遡及払をみとめる仮処分の必要性があるかどうかが問題となつたが︑. 及払をみとめ︑また被解雇者が失職期中に他に労働力を転用して収入をえた場合においてすら︑この態度に変わりは. 以上のように︑裁判所ないし労働委員会の判決または命令は︑解雇無効または不当労働行為の場合における賃金遡. 論.

(13) れた︵諫諒福繊聾謙輝鯛聴部糎綴郡鎌館鹸.敷鰭醗訴騨難醜三︶︒本件の原審︵喋諒砲繊紺惚短貯払蔀︶一星臨毫︑一︶は︑中央労働委員会が昭和三〇. 年不再第一号不当労働行為再審査申立事件︵螺彫加豊駈甦則寅︶において︑被解雇者らの﹁保安﹂解雇を不当労働行為と. 判定して原職復帰・賃金遡及払の救済命令を発したのにたいし︑原告国が被告中労委を相手どり救済命令の取消を請. 求した事件である︒原審判決は被解雇者の﹁保安﹂解雇がいずれも不当労働行為にあたるとして︑原告の請求を棄却. した︒これにたいして︑控訴人︵願醤 ︶は再び控訴して︑被控訴人のなした救済命令の違法性を争つたものが本件であ. る︒ところが本件の審理過程において︑控訴人は従来争つてきた不当労働行為の成否の問題とは別個に︑被控訴人が. 失職期間中の賃金遡及払を命じた部分についての適否をも争うにいたつた︒控訴人が主張するところのものは︑﹁労. 務者の給付すべき労務が使用者の責に帰すべき事由によつて履行不能となつた場合に労務の給付を免れた労務者がそ. の間に他に就職して得た収入は民法第五三六条第二項にいわゆる自己の債務を免れたるに因りて得たる利益として償. 還すべきであり︑従つて労務者の報酬請求権はその償還すべき金額だけ減額されたものについて生ずるものと解すべ. きであるにもかかわらず︑被控訴人が報酬全額の遡及支払を命じたのは労務者が実体上権利を有しない金額の支払を 命じたものであつて違法である﹂という点にある︒. ところで︑この主張にたいする東京高裁の判断に入る前に︑被解雇者らが解雇︵齪明郵網關陀飢畑胎朗妃的佃鮒鰹脇謁紛篭紛硯ミ︶. 後復職するまでに︑どのような状況にあつたかを明かにしておく必要があるように思われる︒そこで︑この点を﹁控. 一〇五. ︵一〇五︶. 被解雇者の一人STは昭和二九年一〇月一六日以降ひぎつづぎ丁県S高校に化学・英語を担当する教諭として. 訴人の陳述﹂書よりひろつてみると︑. ①. 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(14) 論. 説︵島田︶. 硝〇六. ︵一〇六︶. 同じくSは昭和三〇年六月ごろより1社に勤務し︑少なくとも年額二九二︑○○八円を取得している︒. 奉職し︑昭和二九年中の収入合計四九︑二八二円︑昭和三〇年中の収入合計二五五︑六四〇円を取得している︒. ⑧. 同じくNYは昭和三〇年一月四日より昭和三一年四月末目までM社に勤務し︑その問月額二〇︑OOO円の給. る︒. ③ 同じくNKは昭和三〇年三月七日以降S府O局に勤務し︑同年一二月までに一六四︑三四二円を取得してい. ㈲ 与をうけている︒. かかる被解雇者の収入状態についての認識を前提として︑東京高裁はまず労働委員会の救済命令が不当労働行為に. より生じた不利益を原状に回復させることを目的とするものであり︑それにより不当労働行為がなかつた場合よりも. 事実上有利な状態に労働者をおくことは︑この制度に期待しえないところであるとする︒だが︑もし労働者が実体法. 上他に就職して得た賃金を控除せずに︑従前のうべかりし賃金全額の支払をうける権利を有するものとすれば︑これ. により事実上原状より有利な状態となるにしても︑賃金全額の遡及払を命ずる救済命令を発することは違法でないと. いえるかもしれない︒こう論定した後に実体法上の判断に入つた裁判所は︑つぎのような解釈を展開する︒. ﹁しかし︑これを実体法の見地から検討しても︑本件のような不当解雇の場合は使用者の責に帰すべき事由による. 労働者の債務の履行不能の場合に該当するものとい5べきところ︑労務の給付を免れた労働者が解雇から復職までの. 間他に就職して得た収入が民法第五百三十六条第二項にいわゆる﹃債務を免れたるに因りて得たる利益﹄にあたるか. 否かについては争のあるところであるが︑ここにいわゆる﹁債務を免れたるに因りて得たる利益﹄を単に債務の免脱.

(15) 自体のみを原因として生じた利益と解するのは狭ぎに失するものというべく︑債務者が債務の免脱のほか︑これによ. つて得た時間を利用し︑さらに他で働くという別の原因も加わつて得た賃金も︑債務の免脱がなかつたならば得られ. なかつたものであるから︑債務を免れた者が通常得られる程度のものであれば︑債務を免れたことと相当因果関係に. あり︑従つてこれをもつて﹃債務を免れたるに因りて得たる利益﹄と解するのが相当である︒しかるところ︑本件救. 済命令申立人︵喉辮纒者︶が他に就職して得た前記給与は同人らの経歴等に微すれば通常得られる程度のものと認められ. るから︑右給与は﹃債務を免れたるに因りて得たる利益﹄に該当するものというべく︑同人らは債権者たる控訴人に. 対して右給与額を償還すべき義務があり︑従つて︑控訴人が右償還請求権を主張する限り⁝⁝右申立入らは右償還額 を控除した残額のうべかりし給与を請求しうるにすぎないといわなければならない︒﹂. このような理由から︑裁判所は命令が被解雇者らの他で働いてえた賃金額を控除することなく︑失職期間中に同人 ︵叫︶ らの受くべかりし諸給与相当額全額の遡及払を命じたことは︑救済命令の範囲を逸脱する違法があると結んでいる︒. この判決が失職期間中他に労働力を転用してえた被解雇者の取得を遡及払賃金より控除するにあたり︑その実定法. 的根拠を民法第五三六条二項但書に求めたことは︑先掲の福岡高裁・米極東空軍事件判決の場合とまつたく同一であ. る︒ただし︑福岡高裁が控除に際して労働基準法第二六条の適用を考慮したのにたいし︑東京高裁はこれを考慮する. ことなく被解雇者の取得額全額の控除を承認している︒この結果は︑事件の実際の解決につき︑つぎのような矛盾を. 招来させている︒すなわち︑四〇パーセントの遡及払賃金の控除にとどまつた米極東空軍事件の被解雇者の場合には︑. ↓〇七. ︵一〇七︶. 解雇後約一年二ヶ月のブランクがあつて就職し約一年一〇ヶ月にわたり三〇万円の収入があつた︒これに反し本件の 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(16) 論. 説︵島田︶. 一〇八. ︵一〇八︶. 被解雇老らの場合には︑.フラγク期間が同等あるいはそれ以上であり︑しかも就職期間が短かくかつ取得額も少額で ︵二︶ あるにもかかわらず︑取得額全額の控除をうけるという奇妙な結果となつたのである︒もしも失職期間中の取得額に. つきなんらかの控除をみとめなければならないとして︑果していずれが生存権保障の理念に近づく問題処理の方法で. あるかは︑あらためて指摘する必要もないであろう︒だがそれにもかかわらず︑問題は賃金遡及払にあたりかかる遡. 及払賃金の控除が︑生存権理念のもとに構築されたわが国の全労働法体系のうちで︑果して正当な地位をしめられる かどうかである︒. そこで︑あらためて労働契約関係における原状回復の基本的考え方の問題︵狩るの胴瀬繍侮胱殿顯啖韻齢齢打乱︶と︑右のような. 問題に関しての民法第五三六条二項但書の意味内容を確定する問題とを検討する必要があるように思われる︒この際. ぜひとも検討する必要があるのは︑不当労働行為制度の運用につき多年の経験を庵っアメリカにおいて︑この問題を. どのように取扱つてきたかであろう︒現に東京高裁・米軍調達部事件においても︑控訴人国が失職期間中における被. 解雇者の取得額控除をとくに問題としたのも︑その陳述書によると︑控訴人が被解雇者︵雅瀦群︶に支払う賃金額を米軍. に求償する関係にあり︑米軍労務担当官等においてかかる賃金全額遡及払の救済命令を納得しえないという事情があ. つたからである︒そこで︑控訴人は法廷において︑アメリカの救済命令が通常被解雇者の他に就業してえた利益を控 ︵三︶ 除して賃金遡及払を命ずることとなつている点を強調している︒したがつて︑以下においてこれらの問題につきすこ しく詳細に論究す る こ と と し よ う ︒ ︵一︶ 本件判決の主文はつぎのとおりー.

(17) ﹁原判決を次のように変更するo. 被控訴人が中労委昭和三十年不再第一号不当労働行為再審査申立事件について︑昭和三十年十↓月三十日付でした命令中︑. 失職中の就職期問. 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について. 失職期間中の取得額. 約三〇〇︑OOO円. 控. 除. 一〇九. 額. ︵一〇九︶. 右の﹃日本の労働市場の状況は︑米国のそれと異る︒出という表現が︑労務者が他に就職して得た利益は︑労務の給付を免れ. その控除しない理由としては︑日本の労働市場の状況は︑米国のそれと異ることが挙げられているよ5である︒. とされているのに対し︑日本の労働委員会の救済命令においては︑控除しないことが慣例となつているとされている︒そして. ﹁米国における救済命令は︑現今では︑労務者が他に就職して︑得た利益はこれを控除して賃金の遡及払を命ずるのが通例. つぎのとお. 本件救済命令のうち申立人らが解雇から原職に復帰するに至るまでの問に賞くべかりし諸給与相当額を同人らに支払うべきこ. とを命じた部分につき再審査申立を棄却した部分を取り消す︑控訴人のその余の請求を棄却する︒﹂. ブラソク期間. 平均賃金の四〇%. 解雇通告日. 三〇六︑OOO円 ・1 1←34・9. 取得額全額. ︵約噌年嚇○ケ月V. 三〇四︑九二二円. 年二ヶ月. ・10←30・12. 約一年ニケ月. 9. ■ n乙. 1 3●. 7 6 ■ 2. 約. 2. ︵二︶ 福岡高裁・米極東空軍事件と東京高裁・米軍調達部事件における被解雇者の失職期間中の状態を表で示せば︑ りである︒. 事件名 米極東空 軍事件 8 2●. 二九二︑OO八円. ︵約↓年二ヶ月︶ ・6以降. 約二年. ・7以降. ︵六ケ月︶ ︵五ケ月︶. ・1←31・4. ︵約一年三ヶ月︶. 輔六四︑三四二円. 約二年. 約一年五ケ月. 厚. 32. 29. 30. SF 7. 2. 30. 厚. 8 7 2 ● ρQ ● 2. 2. 8. NK2.6.2 NY8●7●0. 30. 〃. S. ︵三︶ この点に関する控訴人国の陳述は︑つぎのとおりー. 米 軍 調達 部 事 件.

(18) 論. 説︵島田︶. 一一〇. ︵輔一〇︶. たことと相当因果関係にないことを別異の表現をもつて示したものであるとするならば︑これこそ︑前述のとおり︑学説の分. れている問題について委員会がその一方を採用していることを示したものといわなければならず︑控訴人が本件において︑裁 判所の判断を得たいと望んでいる問題にほかならない︒. また︑右の﹃日本の労働市場の状況は︑米国のそれと異る︒﹄との表現が救済の必要性について述べられたものであるとすれ. ば︑賃金請求権の存否及びその範囲の問題は︑救済の必要性の問題よりも論理上先行すべきものであるといわざるをえない︒. 本件における労務者は︑いわゆる駐留軍労務者であつて︑国が雇用主となつてその賃金を支払うものであるが︑その支払額. は米軍から求償を受ける関係にあるのに︑前述のとおり︑米国における救済命令の内容と日本の労働委員会の救済命令のそれ. とに差があるところから︑被控訴人委員会の本件命令について米軍労務担当官等において納得しない事情にあるので︑特にこ. アメリカにおける不当労働行為の救済命令と原状回復. の点についての判断を求める次第である︒﹂︵労働法律旬報四一四号別冊︑八頁より︶. 三. アメリカにおける不当労働行為の救済制度としてはワグナー法︵29一9巴ピ菩霞勾巴讐δ墓委o計這脇り︶第一〇. 条Cが全国労働関係局にたいして消極的な中止命令︵8器Φ鋤昌α号忽馨o鼠oお︶を発し︑かつ積極的に﹁賃金遡及. 払︵葺舞冨属︶をともないまたはともなわない︵&夢畦&爵o暮︶被用者の復職を含めて︑本法の政策を実効あ. らしめるごとき積極的行為︵鋤曲嘆誉碧貯①碧識o昌︶をとることを命じ﹂ている︒この点に関するかぎり︑ワグナー法. の修正をこころみたタフト・ハートレi法︵ピ菩曾竃き謎Φ筥Φ旨勾Φ一魯δ器︾鼻這当︶においても︑たいLた変. 更はみられない︒ただ︑不当労働行為の提訴期間が不当労働行為の発生後六ケ月以内にかぎられたこと︵縣卜o︶と関連.

(19) ︵二︶. ︵一︶. して差別的解雇のような継続的不当労働行為の場合に賃金遡及払が提訴六ケ月までしか遡れなくなつたこと︑賃金遡. 及払が差別的解雇について責任のある労働組合にたいして命じうること︑および局において﹁正当な理由により﹂. ︵︷98器o︶解雇ないし休職処分をうけた者にたいし︑復職および賃金遡及払を命ずることができなくなつたこと などの変化があるにすぎない︵鱗↑○︶︒. さて全国労働関係局は右のワグナー法ないしタフト・ハートレー法にしたがい︑不当労働行為について積極的な賃 ︵三︶. 金遡及払の命令をなす権限を与えられている︒しかしながら︑局がその権限を行使するにあたつては︑法の定める目. 的を逸脱したり︑事件の評価を無視しないかぎり︑かなり幅広い採量権がみとめられる︒したがつて︑採量権が適切 ︵四︶. に行使されるかぎり︑全国労働関係局は単に賃金遡及払を付与するか否かを決定しうる権限をもつばかりでなく︑遡. 及払賃金額をも決定しうる権限をもつている︒通常︑復職命令には被解雇者にたいする賃金遡及払の命令をともなう. ことが圧倒的に多い︒しかしながら︑この二つのものは必ずしも補充しあう関係にあるのでもなく︑また一方を付与 ︵五︶. することが他方を付与することの停止条件をなすものでもない︒したがつて︑若干の事例においては︑賃金遡及払を ともなわない復職命令が発せられているし︑またその逆の場合もありうるわけである︒. このように賃金遡及払の救済命令は︑全国労働関係局が事件の態様に応じた自由採量により︑不当労働行為によつ. 竃量謹謁のω︶に関する制度ではなくして︑法の定める公共の政策を助長しかつ実現す. て歪められた事実を︑事実として原状に回復せしめる目的で発せられるものである︒この意味で︑それは私的損害賠 償︵b二く讐①08臣①蕊讐δ. 一一一 ︵一一一︶. るための制度といえる︒すなわち︑賃金遡及払の命令は被解雇者の私的権利にかかわりなく︑むしろ法違反についての 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(20) 論 説︵島田︶ 一輔二 ︵一一二︶ ︵六︶ 公的賠償︵℃仁ぴ一一〇お短轟怠自︶を使用者︵鰍翫舗労︶に命ずる救済制度であるといつてよい︒したがつて︑全国労働関. 係局による賃金遡及払命令の付与によつては︑なんら被解雇者について賃金請求権のごとき私法上の権利が創造され. るものではない︒それゆえ︑アメリカにおいては︑被解雇者が賃金遡及払のための訴を裁判所に提訴する権利をもた. ︵七︶. ないし︑また局の賃金遡及払命令後において裁判所にその徴収︵8箒o鉱oβ︶のための訴を提起しえないこととな. る︒同様な理由から︑被解雇者は全国労働関係局によつて与えられた賃金遡及払の権利を放棄したり︑譲渡したりす. ることがゆるされない︒この点︑ストライキの妥結にあたり賃金遡及払の権利を放棄する旨の協定がなされた事例に ︵八V おいて︑被解雇者は賃金遡及払命令の申立をなすを妨げないとした判例もみられる︒さらにまた︑使用者はストライ ︵九︶. キ期間中にその財産にこうむつた権利侵害についての損害賠償金をもつて︑被解雇者の遡及払賃金と相殺することが. できない︒けだし︑かかる相殺をゆるすとすれば︑公権を減殺せしめるような私権の存在をゆるすこととなるからで ある︒. 右に整理したところからも理解しうるように︑アメリカにおける賃金遡及払の救済命令は︑ワグナー法・タフトハ. ートレi法の定める公共の政策を実現するため︑全国労働関係局の採量行為により発せられる公的賠償の性格をもつ. 救済手段である︒この点にかぎつていえば︑それはわが国の労働委員会の救済命令の性格とさしたるへだたりはみら. れないといえよう︒しかしながら︑この救済命令の付与によつて被解雇者に生ずる賃金遡及払の権利の性格について. は︑わが国の場合とかなりの相違がみられる︒わが国の場合においては︑解雇が不当労働行為と判定された場合︑労. 働委員会において復職とともに失職期間中の未払賃金の遡及払を命ずると否とにかかわらず︑被解雇者は別個に解雇.

(21) の無効を争つて裁判所にたいし失職期間中の未払賃金を請求する訴を提起しうることとなる︒換言すれば︑わが国に. おいては不当労働行為の救済制度とは別個に︑被解雇者が民法第五三六条二項の規定により︑使用者にたいする賃金. 請求権を保有するという法的構造をとつている︒したがつて︑日本民法の立場からは︑アメリカの場合のように賃金. 遡及払の権利が局の救済命令によりはじめて生ずる公的権利であるので︑被解雇者が遡及払賃金請求のために訴を裁. 判所に提起しえないという法理が︑容易に理解しがたいのである︒またわが国の場合には︑実体規範が存在するため. 労働委員会における救済命令の採量行為に一定の枠組が与えられることともなつている︒したがつて︑わが国ではア. メリカの場合のように︑賃金遡及払をともなわない復職を命じうる労働委員会の権限などは︑立法上まつたく問題に. ならない︒のみならず︑わが国の不当労働行為にたいする労働委員会の救済権限については︑たんに事実認定にもと. づぎ労働委員会が﹁申立人の請求にかかる救済の全部若しくは一部を認容し︑又は申立を棄却する命令を発しなけれ. ばならない﹂︵勧麹酷麹一︶と規定するにすぎず︑アメリカの場合のように具体的な救済内容をしめす復職・賃金遡及払に. 関する規定自体が存在しないのである︒だが︑それにもかかわらず︑労働委員会が不当労働行為の場合の復職・賃金. 遡及払を当然のこととして命じているのは︑実は前述のような法的構造を無視しえない結果であると思われる︒この. 点︑民法第五三六条二項のような実体規範を欠くアメリカの場には︑前述のように全国労働関係局にたいし︑賃金遡. 及払命令についてのかなり大幅な採量権が与えられることともなろう︒もつとも︑全国労働関係局に大幅な採量権が. 与えられているといつても︑それは﹁本法の政策を実効あらしめるよう﹂との目的条項による制限がかせられている. 一一三. ︵一一三︶. といつてよい︒したがつて︑この目的条項の把握の仕方いかんにより︑局の賃金遡及払命令に関する採量権の範囲に 労働契約における原状回復ど民法第五三六条二項但書について.

(22) 論. 説︵島田︶. 叫日四 ︵一哨四︶. ついて︑狭広二様の解釈があらわれるのであろう︒そして︑このことはまた労働契約関係における原状回復について の基本的考え方にも︑二様の差異をもたらすものといえよう︒. さて︑そこで問題はつぎのように提示される︒通常︑全国労働関係局の差別的解雇にたいする裁定は︑差別的解雇. の日より使用者にょる復職申込の目までの賃金遡及払を付与する︒この際︑失職期間における被解雇者の取得額は裁 ︵一〇︶. 定額より控除される︒したがつて︑通常遡及払賃金の総額は︑もし解雇がなかつたならば被解雇者の取得したであろ. う額と︑失職期間中における純取得額︵昌魯$讐国鴨︶との差額となる︒では︑不当労働行為の原状回復にあたり︑. なにゆえ失職期間中に他に労働力を転用してえた被解雇者の取得額を︑遡及払賃金から控除することがゆるされるの. であろうか︒換言すれば︑全国労働関係局において︑遡及払賃金よりの控除をなしうる採量権をみとめた法的根拠は. なにか︒また︑そのような控除のゆるされる原状回復についての考え方は︑いかなるものであろうか︒この点につい. ての解明に役立つと思われる連邦最高裁判所の判例の一つに︑沁8¢亘8聾①巴Oo暑o轟け一8<︐客ダ罰甲る二q. ψ①︵一逡O︶がある︒本件において問題となつたのは︑被解雇者が失職期間中の政府の失業救済事業︵巧o詩お犀9. 冥a9駐︶より賃金収入をえた場合︑復職に際し使用者が被解雇者への遡及払賃金より控除した取得額を︑当該事業. を管理する政府機関に返還させることができうるかということであつた︒全国労働関係局は使用者にたいし︑遡及払. ︵一二︶. 賃金よりの控除分を政府機関に返還すべしとの命令を発した︒そして︑第三連邦控訴裁判所も使用者の主張を排斥し ︵二︶ て︑かかる命令がなんら局の権限をこえるものとはみとめがたいとして︑・全国労働関係局の命令を支持した︒これに たいし︑連邦最高裁判所︵齢購︶はこれを否定して︑つぎのように判断している︵朋転げ︒.︶︒.

(23) まず︑連邦最高裁判所は全国労働関係局が使用者の不当労働行為をもつて失業救済事業に関する政府会計に損失を. もたらすことを強調しつつ︑使用者により連邦・州・郡あるいはその他関係各省になされる控除額の返還をもつて︑. 公共への侵害を救済する目的のために要求されるものと考えていることを明かにする︒しかして︑全国労働関係局の. 見解ではかかる控除額の返還が︑その性質上使用者にたいし負荷せられる罰則であることを指摘した後︑でははたし. て議会が全国労働関係局にたいしかかる罰則的性格をもつ要求をば︑使用者にかしうる権限を付与したのであろうか と自問する︒. ついで裁判所は︑右のような局の考え方は2讐δロ巴ピぎ9園色讐δ諾︾9の誤解にもとずくものであるとして. 以下つぎのような主張を展開する︒﹁同法は本質的には救済的なものである︒それは規定された不当労働行為が処罰. さるべきものと宣言するような刑罰的綱領の性格を帯びたものではない︒また同法は公共の権利を擁護するための罰. 金や科料を規定するものでもないし︑あるいは⁝⁝社会的損失にたいする賠償を規定するものでもない﹂︒﹁同法の救. 済目的はまつたく明白である︒それは同法第一条が規定するように︑団体交渉の慣行と手続を助長し︑かつ労働者が. 団結して自ら組合を結成し︑自ら選んだ代表者を通じてその雇傭条件︑相互扶助もしくは擁護のために交渉する完全. な自由を行使することを保障するのが目的である︒﹂労働者にみとめられたこれらの権利は︑不当労働行為を停止す. るよう使用者に要求し︑かつ自由な団結とその代表者の自由な選出を労働者にゆるすという全国労働関係局に与えら. れた権限を通じて保護される︒したがつて︑局は不当労働行為の場合に差別的に解雇された者に︑賃金遡及払を付与. 一一五. ︵一一五︶. した復職をみとめるなど各種の救済方法をとりうるが︑﹁すべてこれらの方策は労働者の保護やその苦情の救済にか 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(24) 論. 説︵島田︶. 輔一六. ︵繍一六︶. かり︑労働者の団体交渉が確保され︑賃金総額が与えられた後の︑なんらかの仮定的な公的侵害に関する救済にかか わるものではない︒﹂. 法第一〇条Cにいわゆる﹁賃金遡及払をともないまたはともなわない復職を含めて︑本法の政策を実効あらしめる. ごとき積極的行為をとることを命ずる﹂との文言は︑﹁同法の精神や救済的目的に調和するよ5解釈すべきである︒. われわれは議会が局に懲罰的方法を考慮した無制限の採量を与えようとこころみたとは考えられない︒また局が考え. るような罰金や科料を命ずることが︑同法の政策を達成する途だとは考えられない︒われわれは﹃たとえ局に同法の. 政策がかかる命令により達成されようとの見解があるにしても︑積極的行為をとるよう命ずる権限は使用者が不当労. われわれは積極的行為を命ずる権限は救済であり︑処罰でないと主張する︒Oo亭. 働行為をなしたという理由で︑局の選びうるいかような罰則をも使用者にかしうる刑事裁判権を与えられるまで行使 しえない﹄という見解である︒. ωoま暮8国&ω909<●乞讐δb巴ピ筈9幻色餌菖○おω○弩9G︒80●ψ這凶器ρ器O﹂︒この点︑全国労働関係局. の考えることのほうが︑法違反者にたいし効果的だというのは︑局の懲罰的命令を正当化する事由にならない︒なぜ ならば︑﹁そのために適当と思われるような刑罰制度の創造が自由となるからである︒﹂. ﹁われわれは﹃本法の政策を達成﹄するための積極的行為は︑同法の規定する救済貝的を達成するための行為と考. える︒﹂﹁政府に与えられた労務のために労働者に支払つたものを︑さらに使用者において政府へ返還するよう主張し. かつ要求することは︑労働者に遡及払賃金を与えるものでもなく︑また労働者が自主的に選んだ代表者を通じ使用者. と集団的に交渉することのできるよう保障することでもない不当な要求である︒われわれはかかる不当な要求のうち.

(25) には︑法の政策を達成するための正当理由をみい出せないのである︒﹂このような控除額の返還を政府機関に命ずる 全国労働関係局の命令は︑局の権限を越えるものと断ぜざるをえない︒. 以上が連邦最高裁判所の見解である︒そして︑この見解よりおおよそつぎのようなことがらが︑理解しうるであろ. う︒第一に︑全国労働関係局の権限を定めた法第一〇条Cの解釈は︑同法第一条の精神ないし目的により限定され. る︒そして︑同法の精神ないし目的は︑不当労働行為により歪められた事実を事実として是正する点にある︒したが. つて︑局の採量権行使も︑本法の政策たる不当労働行為の是正を実効あらしめるための︑救済措置にとどめなければ. ならない︒第二に︑右と同様の理由により︑局の命令はあくまでも救済的なものでなければならず︑︑いやしくも懲罰. 的・報復的なものであつてはならない︒第三に︑以上のことは︑結局アメリカ最高裁判所が不当労働行為の救済をも. つて︑まつたき形式的な原状回復で十分と考えていることをよく示している︒この点は︑被解雇者が失職期間中に私 ︵一三︶. 企業より収入をえた場合の一判例にもあらわれているよう︻︑遡及払賃金の控除をみとめる一半の理由が︑﹁賃金二. 重払にたいする法的禁忌﹂にあつたことや︑しばしば判例が失業救済事業よりの取得額と私企業よりの取得額との間 ︵一四︶ に︑差別をもうける実質的理由のないことを指摘することによつても知れよう︒けだし︑双方の取得額を比較して︑. 失業救済事業よりの取得額︵控除分︶を使用者から政府に返還させるとすれば︑とくに私企業より被解雇者が取得額. をえた場合︵航⑳腸胎灘ず蝉郎あ臓得額︑︶とことなり︑使用者側に余計な負担をおわせる結果があらわれるからである︒すなわ. ち︑この場合には結局のところ使用者側は︑不当労働行為がなかりし原状に回復されないこととなる︒そして︑この. 一一七. ︵一一七︶. ような状態は︑法的人格者の対等性・公平性を基調とする商品流通の法秩序維持に忠実な裁判所ないし裁判官にとつ 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(26) 論 説︵島田ゾ. 一叫八 ︵一一八︶. て︑きわめて耐えがたき現象と映ずるのであろう︒かかる市民法的感情が︑いわゆるまつたき形式的な原状回復を破. る法的処理を禁忌するのであり︑かつ懲罰的性格をもつ救済命令を違法と断ずる基底となつているのである︒. 右のように︑まつたき形式的な原状回復を実現しようとするアメリカ裁判所︵眈畑到副幌動騨騨馳う︶の態度は︑賃金遡及. 払に関するその他の場合にも一貫している︒すなわち︑遡及払賃金よりの控除は︑いわゆる﹁総﹂取得額︵..αq3砺... o巽艮甚ω︶でなくして︑単なる﹁純﹂取得額︵..昌9..$旨ぼαqの︶である︒したがつて︑控除額は総取得額から︑新. ︵一五︶ 規雇用に関連して支払つた交通費・移転科・増加生計費その他の必要経費等を差引いたものとされる︒また控除額決. 定の基準は︑被解雇者が失職していた期間から他に就業した期間を差引いた期間における受くべかりし賃金額ではな. ︵一六︶. くして︑被解雇者が失職期間中に通常受くべかりし賃金額から他の雇用で実際に取得した総額を減じたものの差額で ︵︸七︶. ある︒遡及払賃金を与えなけれぱならない期問において︑経済的理由やストライキなどにより経営ないし操業を一時. 休止した場合には︑被解雇者にたいして賃金遡及払が与えられない︒しかしながら︑操業休止が使用者の不当労働行. 為により生じたストライキに結果する場合には︑被解雇者の遡及払賃金になんらの影響もおよぱない︒ストライキめ ︵一八︶. 場合においては︑被用者の復職申込を使用者が拒否した日より︑実際に被用者の復職した日までの賃金遡及払が与え. られるにすぎない︒また︑経営状態が悪化し経営閉鎖・人員整理を結果した場合には︑賃金遡及払は被解雇者が差別 ︵一九︶. 的に解雇されなかつたならば︑労働したであろうと思われる期間について与えられる︒遡及払賃金の支払率は︑解雇 ︵二〇︶. 当時に被解雇者が受領していた賃金率で計算される︒しかしながら︑その後賃金率が増加した場合には︑その増加率. をもつて増加給付を与えられる︒なお︑控除の対象となる被解雇者の収入は︑被解雇老が給付した労働の対価たる.

(27) ﹁賃金﹂ないし﹁取得額﹂でなければならない︒したがつて︑失職期間中にピケッティソグについていた被解雇者. ︵二二︶. が︑組合より食料雑貨類︵讐08ユ霧︶の供給をうけた場合には︑それはあくまでも贈与物であり︑賃金ではないと ︵二こ いう理由で遡及払賃金より控除されなかつた事例がある︒その意味において︑失業保険金も現実の労働の対価ではな. いから控除されないこととなる︒なお︑労働者災害補償法にもとづく労災給付は︑被解雇者の遡及払賃金より控除さ. れる︒なぜならば︑この種給付は結局のところ使用老の出損によりなされるものと考えられるから︑その受給期間に ︵こ三︶ 賃金遡及払をゆるすことは︑使用者の負担において被用者を不当に利得させる結果となるからだ︑というのである︒. 右のような賃金遡及払につぎまつたぎ形式的な原状回復の態度を一貫させる判例︵ないし命令︶をたどつてゆく. と︑最後にゆきつくものは︑被解雇者が失職期間中に利用しうる他企業への雇用の機会を拒否した場合の︑取得すべ. かりし賃金額控除をみとめた判例である︒この点につきに︑勺げΦ言ωU&鵯Oo壱a讐ごpダ28δ昌巴ぴ餌び9幻甲. つぎのよう. 壁怠o霧ωo畦ρω蜀d.ψ一ミス這台︶おける多数意見︵糖郵昌脚臣ロ婦け.吋︶は︑実際の取得額のほか労働者が﹁取得するに. つき弁解の余地なき﹂︵..胤匙a&浮○暮震象の①8$き︑.︶額をさらに控除するよう主文に付加して︑ ︵二四︶ にのべる・︒. ﹁不当労働行為のために受けた損失につき労働者がその全額を取得することは︑局の強調する公共の政策を擁護す. ることの二部である︒しかしながら︑実際にうける損失のみ償わるべきだという理由から︑控除が労働者による実際. の取得額ばかりでなく︑かれが故意に︵註篤巳蔓︶受けた損失についてもなさるべきことが公平︵鍵嘗︶のように思. 一一九. ︵一一九V. われる︒﹂全国労働関係局はかかる控除が効果的な行政を実施するために︑あまりにも多くの煩雑さをますという理 労働契約に廓脅る原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(28) 論. 説︵島田︶. 叫二〇. ︵一二〇︶. 由で反対する︒﹁だが︑単純な法則による利益は︑私的法律体系における終局判決に︑あらゆる社会的に望ましい事. 実を正しく考慮に入れるという重要性とバランスをとらなければならない︒局にょる価大評価0行政はむずかしく︑. 価少評価の行政は無茶であるとわれわれは信ずる︒ここでは︑われわれはどちらの法則を用うるかという厳格性をさ. けねばならない︒さらに賃金遡及払の救済は局の採量にまかされている事実を想起しなければならない︒⁝⁝局は提. ヤ. ヤ. ヤ. ヤ. 起された問題を柔軟な審理方法をもつて妥当な範囲においておく広汎な採量権をもつ︒かくして︑局はその権限の範. 囲内で︑使用者による無関係のかつ思わく的な請求を審理する際におこりがちな遅延と諸困難を避けうるだろうし︑. また同時に望みうる新規雇用をうることを明かに不当に拒否することにも︑適当な比重をかけうるであろう︒行政手. 続にかかる調整をまかせることにより︑われわれは損害賠償金を最少限にすることではなくして︑生産や雇用の増進 という健全な政策にも留意することとなる︒﹂. ︵二五︶. ︵一=ハ︶. かくして︑この判決は失職期間中にうける損失を最少限度にとどめるよう自ら処置すべき義務を︑差別的に解雇さ. れた労働者にみとめることとなつた︒もつとも︑この判決にみられる法則は︑損害賠償の軽減に関する過失相殺の法. 理のような適用における厳格性はなさそうである︒したがつて︑被解雇者による他企業への雇用拒絶が正当な事由に ︵二七︶ もとずいてなされた場含には︑取得すべかりし賃金額を遡及払賃金から控除されることはない︒雇用先が遠方であつ ︵二八︶. たり︑雇用先の労働が未経験のものであるというような場合には雇用拒否の正当理由があるとされているが︑被解雇. への登録をなすことは︑他の雇用をえようとする相当な努力のあらわれであるとみとめられた. 者の身体上の理由で安全に働けないとい5場合には正当理由を否定せられている︒被解雇者が口艮8α碧讐霧国目− 覧畠韓¢旨ω段£8.

(29) ︵二九︶. が︑戦時中の労働力不足の条件下では︑同所への登録が他の雇用を確保しようとする努力の確証とみなされている︒. しからば︑なにゆえアメリカにおいて︑あたかもドイッ民法第六一五条一項但書に規定されたような結果をみとめ. た判例があらわれるにいたつたのであろうか︒アメリカにおいて︑このような結果を可能にした基礎理論は︑まず法. 第一〇条Cの﹁本法の政策を実効あらしめる﹂という規走の意味が︑前述の湘8qびぎ聾Φ色Oo巷・事件の場合と. 表現をかえて︑﹁生産・雇用の増進という健全な政策﹂の実現にあると把握せられたことにある︒したがつて︑この. 政策を実現するためには︑しかるべく被解雇者をして新規雇用を確保する努力を払わしめるよう強制をくわえる措置. を︑全国労働関係局に採用させる必要がある︒ここから︑幻8偉び浮の8巴Oo巷9事件の場合とことなり︑全国労働. 関係局の採量権の幅にかなりの柔軟性をばみとめるのである︒しかも︑このような大幅な採量権の行使の結果は︑. ﹁取得すべかりし賃金額﹂なるきわめて抽象的・観念的概念をもつて︑当然支払わるべぎ賃金部分を失職中の被解雇. 者から剥奪してしまうこととなる︒だが︑醗つて考えてみると︑このことは使用者が失対事業よりの被解雇者の取得. 額につき遡及払賃金よりの控除分を政府に返還すること以上に︑失職中の被解雇者にとつては﹁鞭﹂と感じられる懲. 罰的措置でなかろうか︒だがそれにもかかわらず︑このような﹁懲罰的﹂な賃金遡及払の命令を︑﹁生産・雇用の増. 進という健全な政策﹂なるイデオβギーでカパーし︑全国労働関係局の権限の範囲内にとどめることの一半の理由. 二二. ︵二二︶. ヨ⑦aa︾︒εは︑﹁いかなる告訴状も局に訴えが提起され︑かつ被告にその写. は︑実はそれにょりすくなくとも労働関係の当事者間に公平︵鍵罵︶な原状回復を実現しうる︑という形式的な観念. タ・ハ法第一〇条b︵ω︒︒江8ε︵げ︶9. にとらわれたことにあるように思われる︒ ︵一︶. 労働契約における原状回復と民法第五三六条二項但書について.

(30) 論. 説︵島田︶. 叫二二. ︵↓二二︶. が送達される六ケ月以前におこなわれた不当労働行為にたいしては発することができない﹂と規定する︒したがつて︑この条. 項は賃金遡及払に関しては︑直接なんら言及するものでない︒しかし︑六ケ月間の遅滞の場合には告訴状の発行が禁止される. ついては︑同条項が﹁訴が提起され⁝⁝る六ケ月以前におこなわれた﹂不当労働行為について規定しているので︑告訴状の発. とともに︑ ことがらの性質上賃金遡及払の命令も禁止されることとなる︒もつとも差別的解雇のような継続的不当労働行為に. 行も賃金遡及払の付与も︑訴提起の六ヶ月以前に開始され︑六ヶ月間継続する不当労働行為になしうることがみとめられる︒. そして︑この場合には︑賃金遡及払の許容範囲が訴提起に先行する六ケ月に制限される︑と解されている︒ 閃︒夢窪げ段堕ヵ?. 参照︒. 旨窪σoお昌ピ号o吋閑箪鉾一8ω博一線Goも●㎝Q o斜9の8︒なお︑ ≦oω鉱pαqぎ¢ωの田⑦9ユoOo;ミ2ピ閃切レ謡甲国o巴εP刈Qo2ピ閃ω.. 誘. ハニ﹀ かつては︑スト非参加者が抑圧・強調により就労を阻止された場合︑そのうけた賃金衷失については︑差別的解雇を原因. とするよりも︑むしろ工場立入の権利の干渉についての組合にたいする損害賠償の問題と考えられていた︒したがつて︑全国. 労働関係局は組合にたいしスト非参加者の賃金を保障せしめる権限をもたないとせられていた︒q鉱8α菊q議楠ざおミR訂鵠. 由に一組合員を除名し使用者がユニオン・ショップ協定により解雇した場合に︑その協定が法の手続をふんでいなかつたため︑. >ヨo風8︵Ωo巨巴国ma要oa変o興ぎ⑫Oo・︶Qo心2い開甲8●しかるに︑タ・ハ法通過後は︑たとえば組合が組合費怠納を理. 局は右解雇を組合による差別待遇の強要として︑組合に賃金遡及払を命じている︒国︒属︒20巧唐きoけ巴こc︒㎝2い閑じ q﹂舘●な. ≦募g節09<●客ピ閑ゆこ旨o︒男︵N且︶亀ご2い肉ω.︿︐ω︒糞・あgωぎ︒Ooこ=一男︵ぎα︶①o︒ご2い閃中く︑↓o<3餌. お︑≦o誉ρ↓ぼζ≦亀い筈興丙Φ寅二〇墓し霧どサお脳師o讐の旨震堕薫ρQっρ箸こP一〇9参照︒ ︵三︶. Zいに炉く.O鴛一あ8い=ヨσ段Oo;総問●︵図⇒傷︶富Q o噛09けぎΦ筥巴O嵩Oρ<●2い閑ωこ匡ω劉︵Nβ島︶囑璽. ℃碧牌5閃Oo; 一 津 男 ︵ ぎ 位 ︶ 0 8 ︵四︶.

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