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学位論文題名Thickening Properties and Emulsification R/Iechanisms of Water―Soluble Amphiphilic Polysaccharides

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 秋 山 恵 里

     学位論文題名

Thickening Properties and Emulsification R/Iechanisms     of Water ― Soluble Amphiphilic Polysaccharides

(水溶性両親媒多糖の増粘特性と乳化機構)

学位論文内容の要旨

  O/W型 (水中油型)乳 化物は化粧品、トイレタリー製品に応用され、そのみず みずし い塗 布感 触が特徴的である。しかしながら一般的なOfW型乳化物は分散安定化の ために 多量の親水性界面活性剤を含むため、塗布の乾き際にべたついた感触を示し、さらに塗布 皮膜の耐水性が弱いことが欠点である。それらの欠点を克服するために、親水性界面活性 剤量 の低 減もしくは親水性界面活性剤を含まないO/W型乳化物の開発が望まれて いた。

  ま た、 従来O/W型乳化 物の分散安定化剤として、水溶性高分子が用いられてい る。そ の安定化機構は分散粒子への高分子吸着による保護コロイド効果、または水溶性高分子の 増粘、ゲル化作用による連続相(水相)の増粘効果によるものである。アクリル酸系ポリ マー 、多 糖類などの水溶性高分子が分散安定化剤と して知られており、これらをO/W型 乳化物に使用することで親水性界面活性剤の配合量を低減することが可能となったが、そ の効果はまだ不十分であった。

  そこで本研究では水溶性両親媒高分子HHM‑HEC (Hydrophobically ‑ hydrophilically modified hydroxyethylcellulose;C18アルキル基およぴスルホン酸ナトリウム基を導入した ヒド ロキ シエ チル セル ロー ス) に着 目し、その増粘特性と乳化能について解析 した。

HHM‑HECは 水中 でア ルキ ル基 の会 合に より 三次 元ネ ット ワー ク構造を形成し、 際立っ た増 粘を 示す ため 、高 い乳 化安 定化 能 が期 待さ れる 。HHM‑HECの増粘特性と乳 化機構 の考察を行い、耐水性O/W型乳化物への応用を行った。

  実 験 手 法 と し て は 、HHM‑HEC水 溶 液 、HHM‑HECを 用 い た 各種 乳化 物( 順相 乳化 法 により調 整)について、粘度測定、表面・界面張力測定、螢光測定、レオロジー測定、乳 化 物 の 安 定 性 の 観 察 、 乳 化 粒 子 径 測 定 、 塗 布 膜 の 接 触 角 測 定 を 行 っ た 。

  これらの実験結果と考察は以下のよ うにまとめられる。

(1)HHM‑HECの増粘特性と乳化機構

  ま ず、HHM‑HEC (Mw‑ニ1.71X l06、 アル キル 基 の導 入率0.33 mol%、スルホン酸塩 の導 入率20 mol% ) を用 い、 増粘 特性 と乳 化機 構を 解析 した。HHM‑HECは、濃度の上 昇とともに水溶液を増粘させ、0.6 wt%以上で高い降伏値を持っチキソトロピックかつ弾 性的 なゲ ルを 与え た 。こ のHHM‑HECの 弾性 ゲル は 炭化 水素、シリコ ーン、フッ素系の 油剤 を、界面活性剤を用いずにO/W型に乳化分散することができた。 また、アルキル鎖

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を 持 た な いHEC誘 導 体 を 同 様 に 用 い た場 合 には 、安 定な 乳化 物は 得ら れな かっ た。

HHM‑HEC水溶 液 の表 面張 カは57 dyn/cm (HHM‑HEC 0.5 wt%) であ り、 界面 張力 低下 作 用に よ る乳 化能 は低 いこ とが 確認 され た。 一方 、HHM‑HEC乳化物の乳化粒子 径は機 械 攪拌 回 転数 に依 存し てお り、 その レオ ロジ ー挙 動はHHM‑HEC水溶液のレオロ ジー特 性を そのまま反映していることから、ネットワーク構造中に乳化粒子を物理的に保持する 乳化 機構を持っと考えられた。

( 2) HHM‑HECと 親 油 性 界 面 活 性 剤 か ら な る O/W型 乳 化 物 の 乳 化 機 構   次 に 、HHM‑HEC乳 化物 の乳 化粒 子径 は約20 umと大 きい ため 、微 細化 を試 みた 。そ の 結果 、 乳化 物を 調整 する 際、 油相 にHLBが5以下の親油性界面活性剤を添加し て乳化 を行 うと、転相せずにO/W型を保 ったまま乳化粒子径が微細化されることが見出された。

HECの場 合は 、同 様の 現象 はみ られ なかった。親油 性界面活性剤がO/W型乳化物 を形成 する という非常に特徴的な系であり、油剤と界面活性剤の種類によらないことから、連続 相 中のHHM‑HECの 会合 構造 が大 きく 寄 与し てい ると 考え られ た。一方、親水性 界面活 性 剤を 用 いた 場合 は親 水性 界面 活性 剤が 連続 相に 溶解 し、HHM‑HECのアルキル 鎖の会 合 が解 離 するため減粘が起こり、安定なO/W型乳化物が得られなかった。界面張 力測定 の 結果 、 親油 性界 面活 性剤 の添 加に よっ て、 油剤 とHHM‑HEC水溶液との界面張 カは約 一桁 低下したことより、この微細化は親油性界面活性剤による油/水界面の界面張力低下 とHHM‑HECの ネ ッ ト ワ ー ク 構 造 に よ る乳 化 滴保 持か らな るこ とが 明ら かに なっ た。

(3)HHM‑HECの 疎 水 基 ・ 親 水 基 の 導 入 率 が 増 粘 挙 動 と 乳 化 特 性 に 与 え る 影 響   さら に 、疎 水基 、親 水基 の導 入率 が異 なる6種類 のHHMーHECについて増粘挙 動を解 析 し た 。HHM‑HEC水 溶 液 の 粘 度 測 定 と ピ レ ン の 螢 光 強 度 比Ii/13測定 の結 果よ り、

HHMーHECの水 溶液 中で の疎 水場 形成 は疎水基/親水基の導入比率によることが わかっ た。 アルキル基の導入率が高いほど会合による疎水場形成は促進され、また一方、スルホ ン酸 基の導入率が高くなるとその電荷反発によって主鎖が伸張し、アルキル基の会合が抑 え ら れ る こ と が 明 ら か に な っ た 。 次 に同 じ6種 類のHHM‑HECにつ いて 、O/W型乳 化物 を 調 整 し たと ころ 、安 定なO/W型 乳化 物が 得ら れるHHM‑HECの 濃度 、疎 水基 /親 水基 の導 入率は特定の範囲にあることがわかり、連続相中における適度たネットワーク構造が この 乳化系を形成する上で重要であると推測された。安定な 乳化物を得ることができる HHM‑HEC水溶 液の 粘度 は一 定の 範囲 内 にあ り、 それ より 低粘 度では乳化物のク リーミ ン グ、 高 粘度 では 油相 の分 離も しく はW/O型への転 相が起こった。以上より、HHM‑HEC は連 続相の増粘効果によって油剤を乳化していることが明ら かになり、乳化に好ましい HHM‑HECのネ ット ワー ク構 造は @乳 化 粒子 の保 持能 があ り、 ◎乳化粒子を取り 込むこ とが できる緩みを持っと考察された。

(4)耐水性O/W型製剤への応用

  HHM‑HECは 耐塩 性を 示し 、乳 化物 中 に疎 水化 処理 無機 化合 物粉体を分散させ ること が 可 能 で あ る と わ か っ た 。HHM‑HEC7親 油 性 界 面 活 性 剤 / 疎 水 化 処理 粉体 から なる O/W型乳 化物はみずみず しい塗布感触を示し、かつ親水性界面活性剤を含まない ため、

その 塗布膜は高い耐水性を示した。

本 研究 によ り、 両親媒性高分子の会 合挙動は疎水基だけでなく親水基にも依存するこ と、また、連続相における構造が乳化能、安定化能に大きく寄与することを明らかにした。

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Thickening Properties and Emulsification IVIechanisms     of Water − Soluble Amphiphilic Polysaccharides

( 水 溶 性 両 親 媒 多 糖 の 増 粘 特 性 と 乳 化 機 構 )

  近年、水溶性高分子を用いた水中油型乳化に関する研究開発が盛んに行われている。し かしそれらの多くは、水への親和性が高い親水性界面活性剤を併用する系であり、それに よって得られる乳化物の塗布膜は耐水性能が劣るという欠点があったため、実用化には不 十分であった。より耐水性の高い水中油型乳化技術に関して、今後の発展が待たれている 状況にある。

  本論文は、このようを状況にある水中油型乳化技術について、新規の水溶性両親媒高分 子HHM‑HEC (Hydrophobically ‑ hydrophilicaIJy modified hycbcoxyethylcell̲ulose;C18 アルキル基およびスルホン酸ナトリウム基を導入したヒドロキシエチルセルロース)と水 への親和性が低い親油性界面活性剤との組み合わせを用い、新しい耐水性乳化技術を開発 し、その乳化機構を解明したものである。この研究によって得られた知見は、高分子乳化 技 術 分 野 に お い て 有 用 な も の で あり 、且 つ化 粧品 とし ての 実用 化に も成 効し た。

  本 論文 で用 いた 新規 水 溶性 両親 媒多糖HHM‑HECは、水中でアルキル基の会合により 三次元ネットワーク構造を形成し、際立った増粘性を示すため、従来の水溶性高分子と比 較して高い乳化安定化能が期待される。まず、増粘特性と乳化機構の解析を行い、続いて 親油性界面活性剤との併用によって実用化を行った。

  実 験 手 法 と し て は 、HHM‑HEC水 溶液 、HHM‑HECを用 いた 各種 乳化 物に つい て、 粘 度、表面・界面張力、螢光、レオロジーの測定、乳化物の安定性観察、乳化粒子径測定、

塗 布 膜 の 接 触 角 測 定 を 行 っ た 。 こ れら の実 験結 果か ら、 以下 の様 に考 察で きる 。

(1)HHMーHECの増粘特性と乳化機構

  HHM‑HEC   (Mw 1.71Xl06、アルキル基の 導入率0.33 mol%、スルホン酸塩の導入 率20 mol%)は、濃度の上昇とともに自己会合して水溶液を増粘させ、0.6 wt%以上で 高い 降伏 値を 持っ チキ ソト ロピ ッッ クかつ弾性的なゲルを与えた。このHHM‑HECの弾 性物理ゲルは炭化水素、シリコーン、フッ素系の油剤を、界面活性剤を用いずに水中油型 (O/W型 ) に 乳 化 分 散 す る こ と が で き た 。HHM‑HEC水 溶 液 の 表 面 張 カ は57 dyn/cm     ‑ 213―

重 萍

   

   

和 険

井 端

辻 川

授 授

教 教

査 査

主 副

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(HHM‑HEC 0.5 wt%)であり、界面張力低下作用が低いことが確認されたことから、弾性 ゲ ル 中 に 乳 化 粒 子 を 物 理 的 に 保 持 す る 乳 化 機 構 を 持 っ と 考 え ら れ た 。

( 2) HHM・ HECと 親 油 性 界 面 活 性 剤 と の 組 み 合 わ せ に よ る 乳 化 性 向 上   HHM,HEC乳 化物 の乳 化粒 子径 は約20umであ り、 実用 レベ ルに は大 きすぎるため、

微細化検討を行った。その結果、油相に親油性界面活性剤を添加して乳化を行うと、乳化 粒子が 微細化されてO′W型乳化物が得られることが見出された。一般的に親油性界面活 性 剤は 油中 水 型(W/O型) 乳化 物を 形成 する ため 、こ の系 は非 常に 特徴的であり、

HHM.HECの 会 合構造が大きく寄与していると考えられた。界面張力測 定の結果、親油 性 界面 活性 剤 の添加によって、油剤とHHM・HEC水溶液との界面張カは 約一桁低下した た め、 この 微 細化は親油性界面活性剤による油/水界面の界面張力低 下とHHM,HECの 弾性物理ゲル構造による乳化滴保持からなると考察された。

  さら に、 安 定乳化に好ましいHHM.HECの会合構造を知るために、疎 水基、親水基の 導 入 率 が 異 栓 る6種類 のHHM.HECにっ いて 増粘 挙動 と乳 化能 を解 析し た。HHM・HEC の水溶液中での会合は疎水基/親水基の導入比率によることがわかり、アルキル基の導入 率が高いほど会合は促進され、また一方、スルホン酸塩基の導入率が高くなるとその電荷 反発によって主鎖が伸張し、会合が抑えられることが明らかにぬった。また、安定なO′W 型 乳化 物が 得 られるHHM.HECの濃度は、疎水基/親水基の導入比率に よって異なって いたが、それらの水溶液粘度は疎水基、親水基の導入比率によらず一定の範囲内であった。

以 上の 結果 よ り、HHM・HECは連続相の増粘効果によって油剤を乳化し ていることが明 らかになった。

(3)耐水性O/W型製剤への応用

  HHM‑HECと 親 油 性 界 面活 性剤 から なるO[W型 乳化 物は 親水 性界 面活 性剤 を含 まないため、その塗布膜は耐水性を示した。この乳化系を用いて耐水性水中油型化 粧料の実用化が達成された。

  以 上を 纏め ると 、著 者は 、新 規な 両親媒性高分子HHM‑HECと親油性界面活性剤を組 み合わせることにより、微細で安定を07W乳化物の開発に成功し、その乳化機構を明ら かにし、更にその化粧品への応用まで統一的に研究したものであり、界面化学・高分子科 学への貢献が大きい。また、著者が得た上記の研究成果は、既に4報の論文と詮って報告 されている。論文はいずれも世界の一流雑誌に発表されたものであり、申請者が筆頭著者 である。また特許出願も6件を数え、学会発表も、国際会議1回を含む4回に及ぶ。よっ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 )の 学位 を授 与さ れる 資格 ある もの と認 める 。

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