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学位論文題名Study on antifouling properties of hydrogels againStbarnaCleS

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Academic year: 2021

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博 士 ( 理 学 ) 室 崎 喬 之

     学位論文題名

Study on antifouling properties of     hydrogels againStbarnaCleS

(フジツボに対するゲルの付着阻害性に関する研究)

学 位論文内 容の要旨

  今日、世界中において海洋付着生物の汚損被害が漁業、発電施設、船舶等の海に関わる全 ての分野において大変な問題となっている。漁業では養殖における生け簀の網に藻類や貝類 が付着し網の目が詰まることによる養殖魚の窒息死が大きな問題となっている。また漁網の 使用限界が約3ケ月程 度であルクリーニングや網の取り替えには莫大なコストが発生する。

発電施設の場合には、冷却水用取水路内部にフジッボ類や貝類が付着することで取水効率の 低下による冷却効率の低下が起こり、特に原発においては安全面の観点から大変な問題とな る。またそれら付着生物を除去する費用が1回にっき数億円かかることや、除去作業中は発 電施設の運転を行うことが出来ずその分多くの発電施設を作る必要があることなど経済的、

エネルギー的、環境的な問題も生じている。船舶においては航海中に多くの海洋付着生物が 船底に付着し、船体が水より受ける抵抗が徐々に高くなっていく。その為航海の復路にかか る燃料費が往路に比べ大きくなる。

  これまで海洋付着生物の付着防止の為に有機スズ系塗料ributyltm(TBT)が広く用いられ てきたが、海洋付着生物に対する殺傷能の他にも内分泌攪乱作用を有することから国際条約 によ り2008年 まで に使 用が全世界 で禁止された。その為TBTに 換わる付着阻害物質の開発 が世界的に急務となっている。環境負荷の少ない付着阻害方法として、海洋生物由来の天然 付着阻害物質を用いる方法(Fusetanietal.1996)や表面工ネルギーの小さいPDMSを用いる 方法(BradyetaL1987)が報告されている。しかし既存の付着阻害技術は固体表面にて行われ ており、ハイドロゲルのようなソフト&ウェットマターはあまり注目されてこなかった。近 年、藻類に対するゲルの付着阻害性(Cowlingeta112000、Katsuyamaeta112002)やフジッボ に対するゲルの付着阻害性母asmusseneta112002)が報告されている。しかし僅かの種類の ゲルしか実験室にて調べられておらず、またフイールドにおけるゲルを用いた長期の付着阻 害性試験も行われた事がない。

  本学位論文では、フジッポをモデル海洋付着生 物として用い、室内実験(あ疏m炳め、フ イ ー ル ド 実 験 ( 由 函 閉 ぬ 釣 よ り 種 々 の ゲ ル の 付 着 阻 害 性 を 評 価 し た 。   あ疏m艢¢ではフジ ッボ付着期幼生(キプリス幼生)の着生挙動を化学種や弾性率の異な る高分子ゲル(中性合成高分子ゲル:PAAm,PDMAAm,PHEMA,PHE A,P丶強、カチオン性 合成 高分 子ゲ ル:PDMAPAA‐Q,PDMAEA.Q、アニオン性合成高 分子ゲル:PNaSS,PAMPS, PNa甜 沍PS、 ダ ブ ルネ ット ワー ク (DMゲル :P心江PS/PAAmDN,PAAc/PAAmDN) の表 面 にて観察した。実験には底面にゲルを敷いたポリスチレン(PS)製のマルチディッシュを用 しゝ、ウェル内部にオートクレープ殺菌した海水とキプリス幼生を入れ、1・5日後にウェル内部

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を実体顕微鏡にて観察し、底面に着生した個体、側面のPSに着生した個体、死亡した個体を カウントした。その結果、半数以上のキプルス幼生がPS表面に着生したのに対してゲル表面 では着生がほとんど観察されなかった。さらにキプリス幼生の死亡率は全てのウェルにおい て大変低い値(1‑10%)であったことからゲルはキプリス幼生に対して毒性を示さない。また フジッポの着生はゲルの電荷(中性、カチオン性、アニオン性)に影響されないことも明ら かにな った。着生実験の結果より、ゲルの化学種は着生の弾性率依存性によって2グループ に 分 類 で き る こ と が 明 ら か と な っ た 。 グ ル ー プ1の ゲ ル (PHEMA,PHEA,PNaAMPS, RWPS,PNaSS,PDMAEA・Q,P丶 後,PAAc/PAAmDN)上で は幅広い 弾性率 の範囲に おいて ほ と ん ど 着 生 が み ら れ な か っ た の に 対 し て 、 グ ル ー プ2の ゲ ル (PAAm,PDMAAm, PDMAPAA.Q,騨mPS/PAAmDN) では弾 性率が増 加する に従って 着生が増 加する 傾向がみ られた 。また水 を全く含 まない シリコー ンゲル (PDMS)を用 いた実 験の場合 、PDMSの弾 性率が増加するに従って着生が増加したことより、ゲルの膨潤度よりはむしろ弾性率の方が 着生に大きく関わっていると考えている。

  あ ガ 閉ぬ 館 で は 、高 いカ 学強度を 有するPAMPS凪AAmIM吋ゲ ル、PVAゲルを はじめと す る様々なゲルを海洋に沈め、フジッポをはじめとする海洋付着生物に対するゲルの付着阻害 性を調 べた。実験は福井県敦賀湾にて行われ、海洋中でのゲルの固定方法が異なる3つの実 験結 果 よ ルゲ ル の 付 着阻 害性は評 価され た。固定 方法は1)フ ィルム上 にした 薄膜ゲル

(PAAm,R蛾 ,PAMPS,PAMPS/PAAmDN,PAAc凪AAmDMをポ リ ェ チレ ン (PE) 表 面 に固 定した 方法、2)2枚のス テンレス メッシュ にゲル (Agarose,凡・carrageenan,PAAm, 王 )AMPS,PAAc,PAMPS/PAAmDN,P AAc/PAAmDN,PAMPS/PAAm/PAMPStriple network(TN),P AAc/PAAm/騨LAcTN)を挟みこんで固定した方法、3)高強度PAMPS/PAAm DNとPVAゲ ル の 淵部 分 を直 接ステン レス枠 に固定し た方法 の3種 である。1) の場合に は ゲルの付着阻害性は認められなかった。これは実験期間中にゲルがPE表面から剥離してしま った為 と考えて いる。2)の 場合には全てのゲルにおいて2ケ月以上付着阻害性が認められ た。し かしほとんどのゲルは実験中に破損・喪失し159日目まで存在しかつ付着阻害性を発 揮した ゲルはP心江PS/PAAmDNゲルの みであ った。3)の結 果では 、PE表面の90%以上が フジッ ポで覆われていたのに対し、P卻江PS/PAAmDNゲルの場合には約3%、・PVAゲルの場 合には 約7% しかフジ ッボが 着生しておらず、これらのゲルは約1年に渡り海洋中で破損せ ず、かつ非常に高しュ付着阻害性を示すことが明らかになった。さらにフジッポ以外の海洋付 着生物(ホヤ類、藻類など)の乾燥重量を基板別に比較した結果、フジッボの着生同様、PE に比ベゲル表面には海洋付着生物の存在が少ないことが明らかとなった。着生したフジッボ の接着面を観察した結果、PE上のフジッポ接着面は平滑であるのに対し、ゲル上に着生した フジッ ポの接着面は周辺部から中心部ヘ向かって凹んでおり、またn後ゲル表面では一部個 体はゲル内部に食い込んで成長していた様子が観察された。この現象にはサンプルの弾性率 が影響 している と考えら れる。 食い込み成長はDNゲルの場合観察されなかったことからフ ジッポ 接着面の組織の弾性率はDNのそれ(1.25MPa)からP丶瑳(0.09MPa)の間であると 考えられる。

  ゲルは、薬剤徐放型ではなく生物に対して全く毒性を示さない点において既存の付着阻害 物質と異なる。更にゲルには摩擦抵抗を低減する効果がある為、船舶に用いた場合には船の 燃費を抑えることができ漁業就業者の金銭的負担が軽減されるという効果も期待できる。本 研究 に よ って 得 ら れ る知 見 は 新規 付 着 阻害 材 料 の創成 に繋が るものと 期待し ている。

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学 位 論 文 審 査 の 要 旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 准教授 助教

襲 佐々木 古川 角五

剣萍 直樹 英光     彰

     学位論文題名

Stucly on antifouling properties of     hydrogels against barnacles

( フ ジ ッ ボ に 対 す る ゲ ル の 付 着 阻 害 性 に 関 す る 研究 )

    今日、世界中において海洋付着生物の汚損被害が漁業、発電施設、船舶等の海に関わる全ての分野 に お い て 大 変 な 問 題 と な っ て い る 。 こ れ ま で 海 洋 付 着 生 物 の 付 着 防止 の 為 に有 機 ス ズ系 塗 料 ributyltin(TBT)が広く用いられてきたが、海洋付着生物に対する殺傷能の他にも内分泌撹乱作用を有す る ことか ら国際条 約により2008年まで に使用 が全世界 で禁止さ れた。その為TBTに換わる付着阻害物 質 の開発 が世界的 に急務と なって いる。近 年、藻 類に対す るゲル の付着阻害性(Cowl血getaL2000、 Katsuyamaeta1.2002)やフジツポに対するゲルの付着阻害性(Ra8mu8senetal12002)が報告されてい る。しかし僅かの種類のゲルしか実験室にて調べられておらず、またフイールドにおけるゲルを用いた 長期の付着阻害性試験も行われた事がない。本学位論文では、フジッポをモデル海洋付着生物として用 い、室内実験(血西加めsめ、フイールド実験(血ガ珊めsめより種々のゲルの付着阻害性を評価した。

  血ガぬりめ館ではフジツボ付着期幼生(キプリス幼生)の着生挙動を化学種や弾性率の異なる高分子ゲ ル ( 中 性 合 成高 分 子 ゲル :PAAIn,PDMAAIn,PHEMA,PHEA,PVA、 カ チ オン 性 合 成高 分 子 ゲル : PDMAPAA Q,PDMAEA‐Q、ア ニ オ ン性 合 成 高分 子 ゲ ル:PNaSS,PAMPS,PNaAMPS、ダ ブ ル ネッ ト ワ ー ク くDN) ゲル :PAMPS毋AAInDN,PAAcmAAmDN) の 表 面 にて 観 察 した 。 実験 には底面 にゲル を 敷いたポリスチレン(PS)製のマルチディッシュを用い、ウェル内部にオートクレーブ殺菌した海水と キプリス幼生を入れ、1^5日後にウェル内部を実体顕微鏡にて観察し、底面に着生した個体、側面のPS に着生した個体、死亡した個体をカウントした。その結果、半数以上のキプリス幼生がPS表面に着生し たのに対してゲル表面では着生がほとんど観察されなかった。さらにキプリス幼生の死亡率は全てのウ エルにおいて大変低い値(1・10%)であったことからゲルはキプリス幼生に対して毒性を示さないことが 明らかとなった。これより固体とゲルを比較した場合、ゲルの化学的性質(化学種・電荷)に関係なく、

キプリス幼生はゲルに着生しづらい事が明らかになった。キプリス幼生の着生数をゲル間において比較 した場合、ゲルの化学種は着生の弾性率依存性によって2グループに分類できることが明らかとなった。

グ ル ー プ1の ゲ ル (PHEMA,PHEA,PNぜLMPS,PAMPS,PNaSS,PDMAEA.Q,PVA,PAAc暦AAIn     ―l138―

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DN)では 幅広 い膨 潤度 の範囲においてほとんど着生 がみられなかったのに対して、グループ2のゲル (PAAm,PDMAAm,PDMAPAA‑Q,PAMPS/PAAm DN)で は 膨 潤 度 が 増 加 す る に 従 っ て 着 生 が 減 少 す る傾向がみ られた。

  In vivo testでは 、 高いカ学強度を有するPAMPS/PAAm DNゲル、PVAゲルを海 洋に沈め、フジツボ をはじめと する海洋付着生物に対するゲルの付着阻害性を調べた。実験は福井県敦賀湾にて330日間に わ た り 行 ない 、こ の間PAMPS/PAAm DN,PVAゲ ルは 破損 し なか った 。実 験開 始330日 後 、PE表面 の ほ ぼ100%が フジ ツボ で覆 われ てい たの に対 し、PAMPS/PAAm DNゲル の場 合に は約3%、PVAゲルの 場合には約7%しかフジツボの付着が見 られなかった。また固体とゲル表面に付着したフジツボのサイ ズを比べた 場合、ゲルに付着したフジツボのサイズは小さいことも明らかになった。また付着したフジ ッポの接着 面を観察した結果、PE上のフジッボ接着面は平滑であるのに対し、ゲル上に着生したフジツ ボの接着面 は周辺部から中心部ー向かって凹んでいる様子が観察された。またPVAゲル表面ではフジツ ボがゲル内 部に食い込んで成長していた様子が観察された。海洋での実験結果から、本学位論文は、以 下に示すよ うなゲル上でのフジッボ剥離モデルを提案された。固体基板上において、フジツボは底殻と 周殻を繋ぐ 筋肉を収縮させ周殻を基板表面に押し当てながら底殻より基板表面にセメントタンパク質を 放出するこ とが知られている。ゲルの場合には、1)表面の高分子鎖が水和していることによってセメ ントが高分 子鎖に吸着できず固体表面と比べ弱い接着層を形成している。2)ゲルが柔らかい為、周殻 をゲルに押 し当てた際にゲルが変形し、底殻周辺部より剥離する。以上の理由によルゲル基板上からフ ジッボは剥 離し易いものと考えられる。ゲル上でのフジツボ接着強度は弱いと考えられるが、ゲルの弾 性率が筋肉 の収縮応カより小さい場合にはフジツボはゲルに食い込み剥離しづらくなるものと考えられ る。

  以上の結 果から、本研究では次のような知見が得られた。

1)ゲル上ではフジッボは固体に比べ遙 かに付着しづらい 2)ゲルの付着阻害効果の原因はそのSoft&Wet状態にある

    これら の知見は、ゲルを用いた新規付着阻害材料の創成に繋が るものと期待している。ゲルは、

  従来の薬 剤徐放型防汚剤と異なり生物に対して全く毒性を示さな い。またゲルの材料となる合成高   分子は工 業的に安価である。更にゲルには摩擦抵抗を低減する効 果がある為、船舶に用いた場合に   は船 の燃 費を 抑え る ことができ漁業就業者の金銭的負担が軽減されるという 効果も期待される。

    よ っ て 著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 理 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 が あ る も の と 認 め る 。

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