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博士(工学)井上卓也 学位論文題名

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Academic year: 2021

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(1)

     博士(工学)井上卓也 学位論文題名

河床変動解析モデルの実河川への適用と高精度化に      関する研究

学位論文内容の要旨

  流 れ は 本 来3次 元 的 で あ り , 河 床 形 状 も3次 元 的 を 流 れ に 規 定 さ れ て い る こ と が 多 い . し た が っ て ,3次 元 モ デ ル を 用 い て 流 れ と 河 床 変 動 を 解 析 す る の が 計 算 精 度 の 面 か ら は 最 も 良 い の だ が , 実 用 的 を 数 値 解 析 モ デ ル を 構 築 す る 上 で は , 計 算 精 度 の 向 上 だ け で を く 計 算 負 荷 の 軽 減 が 重 要 で あ る . コ ン ピ ュ ー タ の 発 展 が 目 覚 ま し い 現 時 点 に お い て も , 河 川 の よ う に 大 規 模 を 領 域 を 対 象 に3次 元 計 算 を 行 う の は 計 算 時 間 の 増 大 を 招 き , 実 用 性 が 乏 し い . そ こ で 本 論 文 で は ,3次 元 性 が 強 い 流 れ 場 を 対 象 に , 流 れ の3次 元 構 造 を 反 映 し た 水 深 積 分 モ デ ル を 実 河 川 に 適 用 し , そ の 流 れ 場 で 発 達 す る 小 規 模 河 床 波 , 水 面 波 ,二 次 流 を 再 現し , 実 河 川 に お け る 効 果 や 発 達 条 件 に つ い て 明 ら か に し た 。

  一 方 , こ れ ま で の 河 川 技 術 は , 河 床 が 移 動 床 で あ る と 言 う 前 提 で 組 み 立 て ら れ て き た . し か し , こ こ50年 , 沖 積 河 川 は 山 地 流 域 に お け る 治 山 ・ 砂 防 事 業 , 水 資 源 開 発 事 情 を ど に よ り 山 地 か ら の 流 送 土 砂 が 減 少 し , さ ら に1960年 代 か ら1980年 代 に か け て の 砂 利 採 取 に よ り 河 床 が 低 下 し , 河 床 に 軟 岩 が 露 出 し て 移 動 床 の 河 道 と は 言 え を い 事 例 が 増 え , 例 え ば 高 水 計 画 や 河 道 計 画 へ の 影 響 , 横 断 構 造 物 ( 頭 首 工 、 床 止 め 教 ど ) や 護 岸 の 被 災 , 生 態 環 境 の 劣 化 を ど , 河 川 管 理 上 の 種 々 の 課 題 が 生 じ て い る .

そ こ で 本 論 文 で は , 軟 岩 河 床 に お け る 浸 食 メ カ ニ ズ ム の 解 明 を 目 的 と し 現 地 水 路 実 験 を 行 い 、 実 験 結 果 を 基 に 数 値 解 析 モ デ ル の 開 発 を 行 っ た .

―115―

(2)

学位論文審査の要旨 主 査    教 授    清 水 康 行 副査   特任教授   鈴木英一 副査    准教授    木村一郎

学 位 論 文 題 名

河床 変動解析モデルの実河川への適用と高精度化に      関 する 研究

   近年のコンピュータの発展に伴い,流れと河床変動を予測する様々を数値計算方法が提 案され,実河川における計算精度の検証と高精度化が進んでおり,今後も研究が発展してい く場と言える.

本論文は,これまでに数値計算例が少謡い3 次元性の強い流れ場と軟岩河床を対象に,モデ ルの構築と高精度化を目的としており,今後の河川計画や維持管理への応用が期待できる.

   まず,第 1 章では,本研究の背景,目的を述べるとともに,本論文の内容とその構成につ いて記述した,

   第 2 章で は,小規模河床波の発生・発達或いは遷移に伴う洪水期間中に経時的・平面的 に 変化する 流体抵抗を準3 次元河床変動モデルに取り込み,実河川における流況予測及び 河床変動予測の精度向上を検証した,

   この結果,本章で開発した河床波による流体抵抗の変化を考慮した河床変動解析モデル により,洪水中の流れ及び河床変動を精度良く表現可能であることが確認された.特に,抵 抗則を用いることにより,粗度係数を一定とした場合と比較して,同時観測水位や湾曲部の 河床変動の再現性が向上することが立証された.

   第 3 章で は,浮遊砂輸送量が二次流により変形されることにより,河床変動に影響があ るか確認するために,二次流による浮遊砂輸送量の変形を考慮した浮遊砂濃度分布連続式 を 準3 次 元河床 変動モデルに導入し,河床材料の分級現象及び河床変動に及ばす影響につ いて検討した,

   この結果,単一粒径河床と混合粒径河床では影響が異をることを明らかにした.単一粒径 河床では,二次流による浮遊砂輸送量の変形により,外岸の洗掘が進行するが,混合粒径河 床では,洪水期間中に粗粒化するため,二次流による浮遊砂輸送量の変化よりも,掃流砂に よる河床変動が支配的にをることを示した.

―116―

(3)

  第4章 で は ,1次 元Boussinesq方 程 式 と 非 定 常 流 砂 量 式 を 組 み 合 せ た モ デ ル を 構 築 し , 豊 平 川 ・ 昭 和56年8月 洪 水 時 に 発 生 し た 三 角 状 水 面 波 列 の 再 現 計 算 を 行 い , 発 生 要 因 及 び 発 生 条 件 に つ い て 検 討 し た .

  こ の 結 果 ,1次 元Boussinesq方 程 式 と 非 平 衡 流 砂 量 式 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ り , 豊 平 川 に お い て 昭 和 56年8月 洪 水 中 に 発 生 し た 三 角 状 水 面 波 列 を 概 ね 再 現 可 能 で あ る こ と が 確 認 さ れ た . こ の と き , 発 生 し た 河 床 波 は 反 砂 堆 と 考 え ら れ , 三 角 状 水 面 波 列 は ,antidune standing waveも し く はantidune breabngwaveの 状 態 で あ る と 推 測 さ れ る . さ ら に , 三 角 状 水 面 波 列 の 波 長 は ,Kennedy及 び 林 の 反 砂 堆 波 数 の 理 論 式 と 概 ね 一 致 し , フ ル ー ド 数1.1 以 下 で は 三 角 状 水 面 波 列 は ほ と ん ど 発 生 し を ぃ こ と が 確 認 さ れ た ,   第5章 で は , 近 年 課 題 と を っ て い る 軟 岩 の 浸 食 に よ る 河 床 変 動 を 把 握 す る た め に , 軟 岩 の 洗 掘 速 度 と 軟 岩 上 に お け る 限 界 掃 流 カ に 関 す る 実 験 を 行 う と と も に , そ れ ら の 結 果 を 基 に 軟 岩 の 侵 食 を 踏 ま え た 新 た を 河 床 変 動 モ デ ル を 構 築 し た .

  実 験 結 果 か ら , 給 砂 量 ( 単 位 幅 流 砂 量 ) が 大 き く 橡 る と , 軟 岩 の 平 均 洗 掘 速 度 も 大 き く を る こ と が 判 明 し た . こ の こ と か ら , 流 砂 の 集 中 に よ り 軟 岩 独 特 の 筋 状 の 河 床 形 態 が 形 成 さ れ る と 推 測 さ れ る .

  ま た , 軟 岩 上 の 無 次 限 界 掃 流 カ は 粒 径 が 小 さ く . を る と 大 き く 橡 る 結 果 を 得 た . こ れ は . 砂 礫 床 上 の 限 界 掃 流 カ は 等 価 粗 度 高 さ を 河 床 材 料 粒 径 と ほ ば 同 程 度 と す る こ と で 良 好 に 評 価 で き る の に 対 し て , 軟 岩 上 の 等 価 粗 度 高 さ は 粒 径 に 依 ら ず 一 定 値 と を る た め で あ る .   さ ら に , 軟 岩 の 洗 掘 を 考 慮 し た 河 床 変 動 計 算 手 法 に よ り , 軟 岩 独 特 の 筋 状 の 河 床 形 態 を 再 現 で き る こ と が 確 認 さ れ た . れ に よ り , 未 解 明 の 部 分 が 多 か っ た 露 岩 区 間 の 河 床 変 動 に つ い て , 定 量 的 を 将 来 予 測 及 び 対 策 の 検 討 が 可 能 と を っ た .

  こ れ を 要 す る に , 流 体 抵 抗 の 変 化 , 二 次 流 の 影 響 , 三 角 状 水 面 波 列 , 軟 岩 河 床 の 浸 食 を ど に お い て , 実 用 的 教 数 値 計 算 方 法 と 新 し い 知 見 を 示 し て お り , 河 川 工 学 の 発 展 に 貢 献 す る と こ ろ 大 を る も の が あ る , よ っ て 著 者 は , 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と み と め る .

―117―

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