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ヒューマノイド・ロボットを用いた語用障害をかかえる人との対話を学習するシステム

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ヒューマノイド・ロボットを用いた語用障害をかかえる

人との対話を学習するシステム

公立はこだて未来大学大学院 システム情報科学研究科

メディアデザイン領域

矢吹 渓悟

指導教員 角 薫 教授 提出日  2019年3月15日

Master’s Thesis

Communication Learning Support System for Pragmatic

Language Disorders Using a Humanoid Robot

by

Keigo YABUKI

MSc Thesis at Future University Hakodate Supervisor Prof. Kaoru SUMI

Graduate School of Systems Information Science Future University Hakodate

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matic language disorders tend to have problems with interpersonal relationships with typical development because they cannot understand the meaning of ambiguous utterances. Another factor in this problem lies in the method of interaction used by those with typical development. If people with typical development do not use abstract expressions, demonstratives and metaphors, and instead employ concrete and straightforward expressions, the speaker can ensure that the message will be properly transmitted to people with pragmatic language disorders. As a solution to this problem, I proposed a communication learning support system that learns the dialogue method which is easy to be conveyed to people with pragmatic language disorders, targeting typ-ical development. This learning support system uses a humanoid robot that mimics a person who has a word disorder and allows the user to experience dialogue with such a person. In addition, by presenting how the humanoid robot interpreted the utterance of the typical development, it is possible to learn while seeking actively transmitted utterances. Collected dialogue corpus for the case from typical development so that humanoid robot can respond flexibly to various utterances of typical development and give appropriate advice. Dialogue corpus collection resulted into 70 types of utterances collected. Also, I devised similar examples based on the phrases gathered in the dialogue corpus in several ways. This allowed us to create about 2800 similar examples. As an evaluation experiment of this system, usefulness was verified for typical development who have no communication experience with people with pragmatic language disorders. Results were also compared with text-based teaching materials recommended by clinical psychologists. Results of the evaluation experiment show that the learning effect was more remarkable than the text-based approach. It was more enjoyable as well. Therefore, this communication learning support system proved to be an effective learning means. However,   one problem is it was difficult to cover the knowledge that can be learned in this system by one learning. Based on this, from now on, based on similar examples of cases used for learning in this system, it is a prospect to add a test that can verify how much acquired knowledge can be applied in another case.

Keywords: communication support, pragmatic language disorders, typical development, hu-manoid robot, conversational implicature

(3)

ション学習支援システムを開発した.語用障害をかかえる人は,曖昧な発話の言外の意味が汲み取 れないため,定型発達者との対人関係に問題をかかえる傾向がある.この問題は定型発達者の対話 方法に問題がある.定型発達者が発話において抽象的な表現や指示語,比喩を用いた慣用表現など を用いることなく,具体的でかつストレートな表現を用いることで語用障害をかかえる人にも伝わ りやすい対話方法を行うことができる.この問題の解決策として,定型発達者を対象とした,語用 障害をかかえる人に伝わりやすい対話方法を学習するコミュニケーション学習支援システムを提案 した.この学習支援システムは,事例をもとにヒューマノイド・ロボットを用いることにより,語 用障害をかかえる人を再現し,そのヒューマノイド・ロボットとの対話を通して語用障害をかかえ る人との対話を体験しながら学習するものである.また,ヒューマノイド・ロボットが定型発達者 の発話をどのように解釈したか提示することで,能動的に伝わりやすい発話を模索しながら学習す ることができる.ヒューマノイド・ロボットが定型発達者の様々な発話に対して,柔軟な応対や適 切なアドバイスを行えるように,定型発達者から事例に対する対話コーパスを収集した.収集の結 果,70 種類の発話が表出された.また,この結果をもとに類似例を作成および補完し,最終的に 約 2800 種類の発話をまとめることができた.本システムの評価実験として,語用障害をかかえる 人とのコミュニケーション経験がない定型発達者を対象に有用性を検証した.なお,既存の学習方 法として,テキストベースと比較した.評価実験の結果,テキストベースよりも,学習効果が顕著 であり,かつ非常に楽しみながら学習することができる手段であることがわかり,有効な学習手段 と言えることがわかった.ただし,課題点として,1 回の学習で本システムにて習得することがで きる知識を網羅することは難しいことがあげられた.これを踏まえ,今後は本システム内に,学習 に用いた事例の類似例をもとに,別の事例でどれだけ獲得した知識を応用できるか確認できるテス トを加えることが展望となった. キーワード: コミュニケーション支援,語用障害,定型発達者,ヒューマノイド・ロボット,言 外の意味

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目 次

1章 序論 1 1.1 背景 . . . . 1 1.2 目的と手段 . . . . 2 1.3 予備知識 . . . . 2 第2章 関連研究 5 2.1 語用障害をかかえる人への対人関係の改善の支援研究事例 . . . . 5 2.2 語用障害をかかえる人への言外の意味の理解の支援研究事例 . . . . 5 2.3 定型発達者への支援研究事例. . . . 6 第3章 学習システム 7 3.1 学習システムの概要 . . . . 7 3.2 開発環境・使用技術 . . . . 7 3.3 学習システムの構成 . . . . 9 3.3.1 学習システムで取り扱った事例 . . . . 9 3.3.2 学習システムを構成する4つのパートとその流れ . . . . 9 3.3.3 対話パート . . . 10 3.3.4 採点パート . . . 13 3.3.5 解説パート . . . 13 3.3.6 まとめパート . . . 14 3.4 学習システムの具体的な流れ. . . 16 3.5 Pepperを用いた意義 . . . 184章 対話コーパスの収集調査 20 4.1 調査計画 . . . 20 4.1.1 調査目的. . . 20 4.1.2 調査対象. . . 20 4.1.3 調査材料. . . 20 4.1.4 調査手続き . . . 22 4.2 調査結果と結果を踏まえた対話コーパス収集のメリット . . . 23 4.3 対話コーパスの運用方法 . . . 265章 予備実験 27 5.1 実験計画 . . . 27 5.1.1 実験目的. . . 27

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5.1.2 実験対象. . . 27 5.1.3 実験材料. . . 27 5.1.4 実験手続き . . . 28 5.1.5 実験結果の処理方法 . . . 29 5.2 実験結果と考察 . . . 296章 学習システムの評価実験 30 6.1 実験計画 . . . 30 6.1.1 実験目的. . . 30 6.1.2 実験対象. . . 30 6.1.3 実験材料. . . 31 6.1.4 実験手続き . . . 35 6.1.5 実験結果の処理方法 . . . 37 6.2 実験結果 . . . 38 6.2.1 事前事後テスト(インタビュー) . . . 38 6.2.2 事前事後テスト(ペーパーテスト) . . . 41 6.2.3 SD法 . . . 43 6.2.4 五段階評価によるアンケート . . . 467章 考察 488章 結言 53 8.1 まとめ . . . 53 8.2 展望 . . . 53

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1

序論

本章では,語用障害をかかえる人の特徴と問題点,解決策に触れ,最後に目的について 述べる.

1.1

背景

語用障害をかかえる人と定型発達者は会話が成立しにくいため,対人関係に問題が生じ やすい.この要因の一つとして,語用障害をかかえる人が曖昧な発話の言外の意味を汲み 取ることが困難[1]という特徴が考えられる.具体的には,曖昧な発話の意味をつかむこ とができない[1],話し手の発話意図を認識できない,比喩及び反語の意味が理解できな い[2],過剰なまでに字義通りの意味として理解する[3],間接発話を間違った捉え方をす る[4],曖昧な発話に対して明確化要求を表出できない[5],会話の文脈上の話し手の発話 などに関連している情報としていない情報を区別することが難しい[6]などが挙げられる. これらの特徴が対人関係に影響を及ぼす裏付けとして,山本,楠本は,語用障害をかかえ る人は曖昧な状況及び文脈の理解が困難なため対人関係に問題が生じる[7]と解説してい る.また,言外の意味とは,任意の言葉に対する字義通りの意味ではなく,その言葉に含 まれる意図やニュアンスのことである[8].言外の意味を含む発話は,会話状況や文脈に よって発話の字義通りの意味に対して別の意味を包含ないし示唆する場合が多く,さらに 慣用表現,比喩表現,皮肉表現,指示語(こそあど言葉),代名詞のように単語自体が言 外の意味を示唆する表現も存在する.このことから,語用障害をかかえる人と定型発達者 の対人関係の問題は,語用障害をかかえる人が言外の意味を汲み取れないことが要因の一 つとして考えられる. 例えば,図1.1は本を借りている人が持ち主に本を返した場面にて,持ち主が「この本 どうだった?」と話しかけた場合の定型発達者と自閉症者の会話の比較である.このとき, 定型発達者の場合は,会話の文脈から本の感想を聞いていることが理解できるため,適切 な受け答えができる.しかしながら,自閉症者の場合は,発話の字義通りの意味を理解し ようとするため,指示語の意味が汲み取れず適切な受け答えができない.このため,自閉 症者と持ち主の対人関係に問題が生じてしまう. しかしながら,この問題は定型発達者の対話方法にも要因がある.田中,藤原によれば, 定型発達者が発話において抽象的な表現や指示語,比喩を用いた慣用表現などを用いるこ となく,具体的でかつストレートな表現を用いることで語用障害をかかえる人にも伝わる ようになる[9]と解説している.先程の「この本どうだった?」の事例の場合,この発話 を「あなたに貸してあげた本は面白かった?」などと,指示語を用いない表現に置き換え ることで,自閉症者にも本の感想を聞いていることが理解できるようになり,適切な受け 答えができるようになる.

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図1.1: 定型発達者と自閉症者の会話の比較 つまり,この対人関係の問題は定型発達者側の対話方法にも問題があり,定型発達者側 の発話を適切な表現に置き換えることで,語用障害をかかえる人と定型発達者の会話が成 立し,対人関係の問題を改善することができる.このことから,定型発達者に対して語用 障害をかかえる人との対話方法を改善させる研究を行う必要があると考えられる. なお,本研究で扱う曖昧な表現は指示語とする.理由としては,言外の意味を含む発話 の中で,指示語が日本語の日常会話において,一番用いられることが多い曖昧な発話だと 考えられるためである. また,障害の度合いは重度の語用障害をかかえる人を想定する.理由としては,重度の 人と適切なコミュニケーションを取れるようになることで,結果的に中程度や軽度の人に 対しても伝わりやすい表現になるからである.例えば,先程の「この本どうだった?」の 事例の場合,重度の人の場合の適切な発話の例は「私があなたに貸した本面白かった」な どであることに対して,軽度の人の場合の適切な発話の例は「本面白かった」や「貸した 本面白かった」などである.このとき,重度の人の場合の適切な発話は軽度の人にも伝わ やすい発話であるが,軽度の人の場合の適切な発話は重度の人には伝わりにくい発話とな る.このため,障害の度合いは重度の語用障害をかかえる人を想定することとした.

1.2

目的と手段

本研究では,語用障害をかかえる人の言外の意味を汲み取れない特徴から生じる対人関 係の問題を定型発達者側から改善することが目的である. そのために,定型発達者が語用障害をかかえる人に伝わりやすい発話を学習するシステ ムを開発する.

1.3

予備知識

本節では,本研究全体に通じる語用障害に関する専門知識の予備知識を記載した.

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まず,定型発達者とは,一般的に発達障害ではない人の総称であり,健常者とほぼ同義 である. また,語用障害をかかえる人とは,発達障害の中でも主に高機能自閉症やアスペルガー 症候群などの,一般に自閉症と呼ばれる領域の人が該当する[1][10][11][12].この一般に自 閉症と呼ばれる人の領域および具体的な障害の名称は,図1.2のように,2000年に選定さ れたDSM-IV-TRでは,「自閉性障害(カナー症候群)」「アスペルガー障害(アスペルガー 症候群)」「小児期崩壊性障害」「特定不能の広汎性発達障害の一部」が該当する[13].一 方で,2013年に選定されたDSM-Vでは,既存の自閉症に該当する障害を「自閉症スペク トラム障害(ASD)」と「社会的(語用論的)コミュニケーション障害(SCD)」の二つに 分別および統合した[14].これは,該当する領域に若干の差異が見られるが,ほとんどの 場合において単に名称が変化および統合されただけであり,語用障害をかかえる人の潜在 的な領域は変わらない. 図 1.2: 語用障害をかかえる人の領域 なお,DSM-Vの定義における,「自閉症スペクトラム障害(ASD)」と「社会的(語用論 的)コミュニケーション障害(SCD)」の違いは,図1.3の通り,Wing三つ組の法則[15] から見たとき,こだわりや融通の利かなさ,常同運動と言った「想像性の障害」があるか ないかの違いである[14].ただし,DSM-IV-TRでは,ほとんどの場合で自閉症は「想像 性の障害」を持つことが定義づけられている[13]ため,DSM-Vで新たに「社会的(語用 論的)コミュニケーション障害(SCD)」が定義されたことにより図1.2のように領域が 少し拡大した.

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(10)

2

関連研究

本章では,関連研究として,まず語用障害をかかえる人を対象とした対人関係の改善に 関する支援研究事例を紹介し,次に語用障害をかかえる人を対象とした言外の意味を汲み 取らせることに関する支援研究事例を紹介し,最後に定型発達者への支援研究事例を紹介 する.

2.1

語用障害をかかえる人への対人関係の改善の支援研究事例

語用障害をかかえる人を対象と,対人関係の改善を目的とした支援研究および事例は以 下のようなものがある.語用障害をかかえる人が対面したコミュニケーションが困難であ るという特徴に対して,VRを用いたシミュレーション[16]やMinecraftを用いたアバター コミュニケーションを通して問題の改善を試みた研究[17],語用障害をかかえる人が日常 生活の中での不安によって生活の質にまで影響を及ぼす問題について,装着型医療機器の 有用性を明らかにした研究[18], 語用障害をかかえる人が握手などの人同士の接触が困難 であるがそれを容易にするウェアラブル装置の研究[19]などが発表されている.その他に も,バーチャルエージェントをソーシャルパートナーと見立てた語用障害をかかえる人の 学習支援[20],自閉症の子どものためのコミュニケーションとコラボレーション・スキル を育成するソーシャルインタラクションプラットフォーム[21], コミュニケーション能力 の向上や行動の改善,健康状態の監視を促進することにより自閉症の子どもたちを支援す るウェアラブル技術[22], ロボットをソーシャルインタラクションの相手と見立てた学習 支援の研究[23][24]などがある. しかしながら,これらのアプローチは語用障害をかかえる人の別の特徴から生じる対人 関係の支援であり,語用障害から生じる対人関係の支援研究は少ない.

2.2

語用障害をかかえる人への言外の意味の理解の支援研究事例

Grayは,語用障害をかかえる子供と専門家や親との2,3人の会話に用いる効果的な道 具として,コミック会話を提案している[25].これは,線画を用いて会話を視覚化するこ とによって,会話の情報の素早いやり取りを理解することが容易になり,コミュニケーショ ンに補足的な支援をすることができる.この手法は,目前で行われている会話を理解する ことに有効な手法と言える.しかしながら,この手法を用いたことにより般化が認められ たという客観的なデータは存在しない.語用障害をかかえる人は,教育の場面で学習した ことを生活の場面で応用することが困難である.語用障害をかかえる人が般化を行うため には,膨大な時間をかけて状況に依存しない適切な学習を行う必要がある[26].このこと から,問題の本質的な解決にはつながらないという問題点がある.

(11)

吉井らは,自閉症スペクトラム障害児1名に対して,二つの物体に対して「それとって」 というような曖昧な指示に対して,自発的に明確化要求が行えるよう支援を試みた[27]. 結果的に,自発的な明確化要求の表出を行えるようになり,支援終了後,対象とした自閉 症児の家庭環境において般化が確認された.この研究は,最終的に般化が確認されたため, 語用障害をかかえる人に対して有効な支援事例であると言える.しかしながら,言語理解 は「赤い,ペンを,とってきて」というような3つの句で構成された文の理解が可能など, 対象とされた児童の特徴に左右されやすい.また,最終的に改善ができたのが一部の指示 語のみであり,般化が確認されるまでに28ヶ月間の時間を要しているため,語用障害をか かえる人に負担が大きすぎるという問題点がある.

2.3

定型発達者への支援研究事例

矢吹,角は,定型発達者を対象とした,語用障害をかかえる人との言外の意味を含む会 話を支援するシリアスゲームを開発した[28][29][30][31][32].シリアスゲームとは,エン ターテイメント性のみならず,教育,医療,防災,都市計画,工学,政治,その他社会問 題の解決などの様々な分野で用いられているゲームジャンルである[33][34][35][36][37].検 証として,大学及び短大生56人を対象に評価実験を実施した結果,語用障害をかかえる人 と普段関わりが無い定型発達者において,事前テストと事後テストの平均点が約20点上 昇し,全問正解者の割合が約45%から約90%に上昇した.このことから,自閉症に関す る専門的な知識が乏しい定型発達者に対して,明確な学習効果が認められた.この研究は, 知識習得に重点を置いているため,語用障害をかかえる人に対する適切な対話方法を知識 的に理解することは十分に可能であるが,実際の語用障害をかかえる人との会話への応用 に関してはこのシステムでは保証されていない.このため,本研究では,能動的にユーザ が発話しながら学習していく環境を提供することで差別化を行った. また,支援者教育の研究事例として,日本サード・パーティ株式会社は,ABA(応用行 動分析)を応用し,KinectとNAOを用いた支援者教育システムがある[38].この事例で, PECS(絵カード交換式コミュニケーションシステム)[39]を用いて,語用障害をかかえ る人に対して自発的なコミュニケーションを表出させる支援者のシミュレーションが行え る.ただし,この研究では,言外の意味の理解の困難さから話し方を改善させるような実 質的なトレーニングはない.しかしながら,この研究はヒューマノイド・ロボットを用い て定型発達者に支援を行っているため,定型発達者への支援にヒューマノイド・ロボット の有用性が示唆された.

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3

学習システム

本章では,学習システムを開発したうえでの開発環境・使用技術および学習システムの 構成と流れ,特徴について述べる.

3.1

学習システムの概要

図3.1に学習システムの全体像を示した.このように,本研究で提案するシステムは, まず,語用障害をかかえる人が言外の意味を汲み取ることができなかった事例をもとに, ヒューマノイド・ロボットのPepperに語用障害をかかえる人のふるまいを再現した.そ して,そのヒューマノイド・ロボットとの音声対話を通して,語用障害をかかえる人との 会話を疑似体験し,ユーザの発話をベースにPepperがヒントを与えながら,能動的に語 用障害をかかえる人に伝わりやすい発話を模索しながら学習できるシステムであった. 図3.1: 学習システムの全体像

3.2

開発環境・使用技術

使用技術として,図3.2のようなヒューマノイド・ロボットのPepperを用いた.Pepper

とは,ソフトバンクロボティクスとAldebaran Robotics SASの共同開発によって作られ

たパーソナルロボットであった[40].体格の詳細は,腕を下した状態で全高1208.5mm,全

(13)

図3.2: Pepperの外観

また,開発環境として,PCのOSはWindows 10で,Pepperの開発にChoregraphe

2.5.5を用いた.Choregrapheとは,デスクトップアプリケーションのロボアプリの統合開

発環境[40]であった.図3.3に本システムのChoregrapheによるプログラミングの一例を示

した.このようなビジュアルプログラミングをベースに開発を行えることがChoregraphe

の最大の利点であった.また,Choregrapheのほかの利点として,QiChat Scriptと呼ば

れる専用の定義言語を用いてPepperとの対話を比較的簡単に開発できるスクリプトが備

わっている点であった.

(14)

3.3

学習システムの構成

3.3.1

学習システムで取り扱った事例

学習システムで取り扱った事例は,図3.4のような事例を用いた.具体的には,語用障 害をかかえる人が定型発達者から本を借りており,その本を返却しに来たとき,定型発達 者が本の感想を聞くために「この本どうだった?」と発話した.このとき語用障害をかか える人は「この」や「どう」といった指示語を字義通りに受け止めてしまい,会話が成り 立たなくなったという事例であった.なお,この事例は,書籍[1][9]や小特集[10]に記載 されている様々事例を参考に選出した. 図 3.4: 本学習システムで用いた事例

3.3.2

学習システムを構成する 4 つのパートとその流れ

全体構成として,本学習システムは以下の4つのパートから成り立っていた.それぞれ の役割として,対話パートでは語用障害をかかえる人の振る舞いをするPepperとの対話 を行うパートであり,採点パートではユーザの発話の適切さを「〇」「△」「×」で採点す るパートであった.また,解説パートではユーザの発話に対してPepperが感じたことを Pepperの心の中をのぞくという形で確認するパートであった.最後に,まとめパートで は語用障害をかかえる人に伝わりやすい話し方の要点をまとめるパートであった.なお, 各パートの詳細については後述した. 対話パート  語用障害をかかえる人の振る舞いをするPepperとの対話を行うパート 採点パート  ユーザの発話の適切さを「〇」「△」「×」で採点するパート 解説パート  ユーザの発話に対してPepperが感じたことをユーザが確認するパート まとめパート 語用障害をかかえる人に伝わりやすい話し方の要点をまとめるパート

(15)

また,全体の流れとして,図3.5に学習システムの流れ図を記した.このように,本シ ステムは「対話パート」と「採点パート」を行ったあと,採点結果から分岐が発生した. 採点結果が「〇」の場合は,最後に要点の復習として「まとめパート」に行き,学習シス テムを終了する流れであった.一方で,採点結果が「△」や「×」の場合は,採点理由を 確認するため「解説パート」に行き,ユーザの発話に対してPepperが感じたことを確認 させたのち,再度対話パートに行く流れであった.なお,三回連続で採点結果が「△」や 「×」の場合は,ユーザのモチベーションを考え,「まとめパート」に向かわせ要点を学ば せた. なお,対話パートはPepperと会話を行うが,対話パート以外の3つパートはPepperの タブレット上で行った.理由として,対話パートでPepperの役割が「語用障害をかかえ る人の振る舞いをする」ものであるため,ユーザにアドバイスなど行う役割と差別化する ために,対話パート以外の3つパートはタブレット上で行った. 図3.5: 学習システムの流れ図

3.3.3

対話パート

対話パートは,語用障害をかかえる人の振る舞いをするPepperとの対話を行うパート であった.ユーザの発話に対するPepperの応対は大きく分けて4種類であり,表3.1に応 対の種類とユーザの発話の一例について記した.主なユーザの発話は,「感想を聞く対象に

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ついて説明する節」と「感想を聞く節」に分かれている.例えば,「この本どうだった?」 という発話の場合は,「この本」が「感想を聞く対象について説明する節」に該当し,「どう だった?」が「感想を聞く節」に該当する.この「感想を聞く対象について説明する節」 で「誰が何をどうした『本』なのか」どの程度具体化されているか,またユーザの発話に 含まれる曖昧な表現の含有度合いによって,Pepperの応対が「混乱」「限定的な理解」「誤 解・曲解」「適切な応対」の4種類の応対を行うように設計した. 表3.1: 対話パートでのユーザの発話に対するPepperの応対の種類とその一例 ユーザの発話の例 Pepper 応対内容 発話に対する思考 状態 これどうだった? …え?え? 「これ」と「どう」が わからない 混乱 本どうでした? …本が、どうって 何なんですか? 「本」がわかる 「どう」がわからない 限定的な理解 本は面白かった? え?…ああ! ○○って漫画面白 かったんですよ! 「何らかの本が 面白かったか」 聞いている ことがわかる 誤解・曲解 私がPepperに貸した 本は面白かった? はい!面白 かったです! 「ユーザが僕に貸し た本が面白いか」 聞いている ことがわかる 適切な応対 それぞれの応対が行われる条件を説明する.まず,Pepperの応対が「混乱」になる条件 は,「感想を聞く対象について説明する節」と「感想を聞く節」の両方で曖昧な表現が含ま れており,明確な表現がほとんどない場合である.例えば,「これどうだった?」のように 指示語のみで構成された発話や,「この本どうだった?」のように二つの節の両方に指示語 があり明確な要素が「本」しかない発話が該当する.この応対の場合は,Pepperはほと んど発話を返さないようにし,混乱して何を返せばよいかわからないような状態を表現し た.次に,Pepperの応対が「限定的な理解」になる条件は,「感想を聞く対象について説 明する節」と「感想を聞く節」のどちらか片方に曖昧な表現が含まれており,もう片方の 節に曖昧な表現がない場合である.例えば,「本どうでした?」のように「感想を聞く節」 のみに曖昧な表現がある発話や,「これ面白かった?」のように「感想を聞く対象について 説明する節」のみに曖昧な表現がある発話が該当する.この応対の場合は,Pepperは曖 昧な表現がない節の内容のみについて発話し,もう片方の節の内容がわからない趣旨を伝 えるようにし,ユーザの発話を部分的・限定的に理解しているような状態を表現した.ま た,Pepperの応対が「誤解・曲解」になる条件は,「感想を聞く対象について説明する節」 と「感想を聞く節」の両方で曖昧な表現がなく,かつ「感想を聞く対象について説明する 節」に「誰が何をどうした『本』なのか」の説明が不十分な場合である.例えば,「本は面

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白かった?」のように曖昧な表現はないが,「感想を聞く対象について説明する節」に「本」 としか説明がなされていない発話が該当する.この応対の場合は,Pepperは別の本の感 想を発話するなど,本の感想を聞かれていることはわかるが何の本かわかっていないよう な状態を表現した.最後に,Pepperの応対が「適切な応対」になる条件は,「感想を聞く 対象について説明する節」と「感想を聞く節」の両方で曖昧な表現がなく,かつ「感想を 聞く対象について説明する節」に「誰が何をどうした『本』なのか」の説明が十分になさ れている場合である.例えば,「私がPepperに貸した本は面白かった?」のように曖昧な 表現がなく,「感想を聞く対象について説明する節」に「私がPepperに貸した本」と「誰 が何をどうした『本』なのか」具体的に説明がなされている発話が該当する.この応対の 場合は,Pepperは今Pepper自身がユーザに返した本の感想を答え,適切な応対を表現し た.なお,様々なユーザの発話に対して,その発話に適した応対を行うために対話コーパ スを収集した.収集方法や結果については次の章で述べる. また,Pepperの応対の種類によってモーションも変化させた.図3.6のように「混乱」 や「限定的な理解」をしたときは落ち込んだようなモーションなどを行う.また,図3.7 のように「適切な応対」をしたときは,学習者の発話を理解したようなモーションなどを 行う.さらに,「誤解・曲解」をしたときは図3.6と図3.7のモーションを組み合わせ,悩 んだあとに誤解や曲解を起こしたようなモーションを表現した. 図3.6: 「混乱」や「限定的な理解」をしたときのモーションの一例 図 3.7: 「適切な応対」をしたときのモーションの一例

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3.3.4

採点パート

採点パートでは,対話パートでのユーザの発話が,語用障害をかかえる人に対して伝わ りやすい話し方かどうかを,「〇」「△」「×」で採点するパートであった.採点パートに用 いられた「〇」「△」「×」の画像を,図3.8に示した.このように,明確な表現がない発 話を赤で,曖昧な表現と明確な表現が混入した発話を黄色で,伝わりやすい発話を緑でそ れぞれ色分けした.また,「〇」の場合のみ,Pepperの表情が笑った顔になるように作成 した. さらに,採点基準は,対話パートのPepperの応対に依存しており,「混乱」の場合は「×」 を,「限定的な理解」「誤解・曲解」の場合は「△」を,「適切な応対」の場合は「〇」をそ れぞれ提示した. 図3.8: 採点パートで用いた画像とその意味

3.3.5

解説パート

解説パートでは,採点パートで「△」や「×」の結果であった場合に,ユーザの発話に対 してPepperが感じたことを,Pepperの心の中をのぞくという形で確認するパートであっ た.解説パートに用いられた吹き出しの画像を,図3.9に示した.このように,明確な表 現がない発話を赤で,曖昧な表現と明確な表現が混入した発話を黄色で,伝わりやすい発 話を緑でそれぞれ色分けした. 図3.9: 解説パートで用いた吹き出しの色分けとその意味

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3.3.6

まとめパート

まとめパートでは,学習システムの最後に語用障害をかかえる人に伝わりやすい話し方 の要点をまとめた.このパートはユーザの発話内容に関わらず,同じ内容を提示した.提 示内容は図3.10のまとめパートで提示した画像とその画面遷移にまとめた. 要点は以下の三つであった.この三つを要点として選択した理由として,まず,『「こそ あど言葉」は使わない!』については,指示語が曖昧な表現に該当するためである.次に, 『「誰が何をどうしたのか」しっかり伝える!』については,指示語を用いなかったとして も,「何の本」なのか明確に伝えないと適切な発話にはならないためである.最後に,『「○ ○とか」のような言葉は使わない!』については,対話コーパスを収集した結果,指示語 以外の曖昧な表現が収集されたため,その代表例として「とか」という表現を取り上げた ためである.なお,需要なポイントは色分けを行った.緑色は適切な発話の例を示し,そ れ以外の重要なポイントを赤字で示した. 1. 「こそあど言葉」は使わない! 2. 「誰が何をどうしたのか」しっかり伝える! 3. 「○○とか」のような言葉は使わない!

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3.4

学習システムの具体的な流れ

まず,対話パートの具体的な流れを,図3.11に示した.まず,学習者がPepperに「こ んにちは」と話しかけることで,語用障害をかかえる人の振る舞いを行うPepperとの会 話が始まった.次に,Pepperが学習者に対して「こんにちは,昨日,あなたから借りてい た本を返却します,ありがとうございました」と話しかけた.そして,学習者がPepper に対して「本の感想」を聞き,その学習者の発話のわかりやすさによってPepperの応対 が変化するように設計した.例えば,学習者が「この本どうだった?」とほとんど曖昧な 表現で構成された発話を行った場合は,Pepperは落ち込んだモーションを行いながら「… え、え?」と混乱したような応対を行う.また,「Pepper君に貸した本面白かった?」と 具体的でストレートな表現を用いた発話を行った場合は,Pepperは全身を使って強くう なづいたようなモーションを行いながら「はい!面白かったです!」と学習者の発話を理 解したような応対を行った. また,学習者が対話パートで「この本どうだった」と発話した場合の採点および解説パー トの画像の流れを, 図3.12に示した.このように,まず「今の話し方を採点します…」と 明記された画像がタブレット上に表示され,その後自動的に採点結果まで画面が5秒ごと に切り替わり,解説パートの2番目の画像まで自動で遷移した.そして,2番目の画像の 吹き出しをタップすることで,それぞれに対応した解説ページに遷移し,Pepperがユー ザの発話に対して感じたことを黒字で,アドバイスを赤字でそれぞれ表示した.なお,再 度タップすることで2番目の画像に戻った.そして,全ての吹き出しに対応した解説ペー ジをユーザが見たのち,自動的に対話パートに戻った.

(22)
(23)

図 3.12: 「この本どうだった」と発話した場合の採点および解説パートの表示例と画面 遷移

3.5

Pepper

を用いた意義

ヒューマノイド・ロボットとして,Pepperを採用した理由は以下の3点であった.こ れらの詳細として,まずPepperはジェスチャーの設定が容易であり,表現できるジェス チャーが多いため,学習者が発話に対するPepperの感情をジェスチャーから直感的に読 み取ることができると考えられる.また,Pepperの胸部にはディスプレイが取り付けら れているため,そのディスプレイから視覚的に語用障害をかかえる人の気持ち(思い)を 画像を通して提示できるため,学習者が発話の伝わりやすさを視覚化された語用障害をか かえる人の思考を見ながら学習することができると考えられる.さらに,Pepperおよび

ChoregrapheのQiChat Scriptは会話定義(学習者の発話と応対の紐付け)が容易で対話

コーパスの運用がしやすく,対話コーパスを通して学習者の様々な発話に対してPepper

の応対や採点・解説を行えるため,学習者が発話を試行錯誤しながら学習することができ ると考えられる.

1. 学習者が発話に対するPepperの感情をジェスチャーから直感的に読み取ることがで

(24)

2. 学習者が発話の伝わりやすさを視覚化された語用障害をかかえる人の思考を見なが ら学習することができる

(25)

4

対話コーパスの収集調査

本章では,発話のデータベースである対話コーパスの収集目的および方法と結果,なら びに結果を用いた対話コーパスの拡張方法について記した.

4.1

調査計画

4.1.1

調査目的

調査目的は,本コミュニケーション学習支援システムにおいて,ヒューマノイド・ロボッ トが定型発達者の様々な発話に対して,柔軟な応対や適切なアドバイスを行えるようにす るために,本システムで学習に用いた事例に対して表出した発話をもとにしたデータベー スである対話コーパスを作成することであった. 調査方法として,被験者に対して,語用障害をかかえる人が混乱や誤解を起こす発話や 伝わりやすい発話など様々な発話を効率よく収集するために,学習システムからユーザが 伝わりやすい話し方を学ぶことができる機能を全て除外した調査用システムを開発し,調 査の過程で実験者が教示という形でヒントを徐々に与えながら発話の収集を行った.この ようにすることで,一人の被験者からなるべく多くの種類の発話を表出させることが可能 となった.

4.1.2

調査対象

調査対象は,公立はこだて未来大学に在籍する,定型発達者13名であった.このうち, 語用障害をかかえる人とのコミュニケーション経験がある定型発達者は12名であった.な お,被験者情報として,性別は全員男性で,平均年齢は22.23歳であった.

4.1.3

調査材料

実験材料として,調査用システムを開発した.調査用システムは,学習システムの対話 パートのみをベースに開発しており,採点および解説パート,ならびに最後の要点のまとめ の機能は除外した.また,対話パートの部分に関しても,定型発達者の発話に対して「聞き 取りました」または「認識できました」という事務的な応対を行うように設定し,Pepper が定型発達者の発話によって混乱や誤解などの応対は行わないように設定した.また,図 4.1に調査用システムの流れ図を示した.このようにユーザが事例に対して考えられる発 話をできる限り表出させるため,繰り返し発話を行えるように設計した.なお,「ほかに考 えられる本の感想の聞き方はある?」の部分では,Pepperのタブレット上に図4.2のよう

(26)

な画像を出力し尋ねた.このとき画像の「はい」をタップするとPepperが本を返す場面 まで戻り,「いいえ」をタップすると調査用システムが終了するように設計した. 図4.1: 調査用システムの流れ図 図4.2: ほかに考えられる本の感想の聞き方を尋ねる際に用いた画像 その他の実験材料として,Pepper「本」の代わりとして黒い, B5サイズのメモ帳,Pepper を操作するためのパソコン,ディスプレイ,キーボード,マウス,LANケーブル,調査風 景の撮影用にビデオカメラと三脚を用いた.

(27)

4.1.4

調査手続き

調査手続きの骨子は以下の通りであった.また,被験者一人当たりの調査時間は約20 分であった. 1. 調査概要の説明と注意点の教示 2. 被験者が調査用システムの実行 3. 被験者への追加教示 4. 被験者が追加教示を踏まえ調査用システムの再実行 5. 被験者への追加教示 6. 被験者が追加教示を踏まえ調査用システムの再々実行 調査手続きの詳細として,まず調査概要の説明と注意点の教示では,調査概要と調査用 システムの仕様および用いた事例の説明,ならびに注意点の説明を行った.ただし,この 時点の調査概要の説明では「一部の文脈把握が困難な障碍者」に対する話し方の調査を行 う,といった説明に留めた.また,調査用システムの仕様として,ユーザの発話に対して Pepperは「聞き取りました」または「認識できました」のような事務的な応対しかしな いことを説明した.さらに,調査用システムに用いた事例の説明として,「以前に被験者が Pepperに本を貸しており,今返しに来た」という設定で,このとき「Pepperに対して本 の感想を尋ねること」を指示した. なお,注意点は以下の通りであった.これらの説明が 完了したのち,調査用システムを実行してもらった. 黒いB5サイズのメモ帳をPepperが返した本だと思いながら,本を手に持って発話 すること 大きな声かつはっきりとした口調でPepperに話しかけること 関係のない発話は行わないこと 標準語で発話すること 発話の際は間を開けずに答えること 一文で(一回で)発話を行うこと(例えば,任意の発話行ったあとPepperの反応を 待ってから最初の発話を補完するような発話を行うなど,複数回の発話に分けるよ うな話し方はしないこと) 次に,被験者が調査用システムを終了した段階で,以下のような追加教示を行った.追 加教示のあと,再度調査用システムを実行してもらった. 語用障害をかかえる人を対象とした対話システムであること 語用障害をかかえる人とは,自閉症スペクトラム障害や社会的(語用論的)コミュ ニケーション障害を持つ人であること

(28)

代表的な特徴として,曖昧な発話の理解が困難なこと,文脈把握がが困難なこと,話 し手の発話を字義通り(言葉通り)に受け止めてしまうこと 最後に,被験者が二回目の調査用システムを終了した段階で,追加教示として今回の事 例の場合の適切な対話方法の説明を行った.今回の事例の場合の適切な対話方法の説明の 内容は,以下の通りであった.追加教示のあと,再度調査用システムを実行してもらった. そして,三回目の調査用システムを終了したのち,調査を終了した. 指示語(こそあど言葉)を使わないこと 誰が(誰に)何をどうした本なのか明確にすること

4.2

調査結果と結果を踏まえた対話コーパス収集のメリット

収集結果として,重複した発話を除いて69種類の発話を収集することができた.なお, 表4.1に表出した発話をリストアップした. なお,本調査では指示語の事例をもとに定型発達者の発話を収集したが,調査結果から 調査計画段階では想定できなかった,指示語以外の文脈把握を示唆する表現を含む発話が 表出した.例えば,表4.1の1番目の発話の「とか」のような字義通りにみたときに曖昧 な発話(単語)が該当する.これらは,対話コーパスを収集しなければ対応させることが できなかった発話であるため,対話コーパスを収集した利点に繋がった. また,表4.1の35番目の「この本に関係する本読んでみたいですか?」などのような, 遠回しに感想を聞いているが,明示的に「面白かった?」や「感想は?」と言った感想を 表現する単語を用いていない発話も表出された.これについても同様に,対話コーパスを 収集しなければ対応させることができなかった発話であるため,対話コーパスを収集した 利点に繋がった. また,この69種類の発話をもとに,文節語句を入れ替えや曖昧な発話の抜き取りや付 け足しを総当たりで行い,対話コーパスの発話の種類を補完した.最終的に約2800種類 の対話コーパスを作成した.

(29)

表4.1: 表出した発話一覧(重複した発話は除外) 番号 表出した発話 1 ありがとうこの本の感想とかどうだった? 2 本の感想どうだった? 3 本どうだった? 4 本面白かった? 5 この本どうだった? 6 貸した本面白かった? 7 この本面白かった? 8 ペッパー君本面白かった? 9 この本結局どうだった? 10 この本面白かったっしょ? 11 これ面白かったかな? 12 ペッパーが借りていた本面白かった? 13 面白かった? 14 本の感想を教えてくれない? 15 この本理解できた? 16 この本難しくなかった? 17 この本読みづらかったでしょ? 18 この本の続き気になった? 19 この本のほかに興味ある本ある? 20 この本面白くなかったでしょ? 21 この本気になった? 22 この本買いたくなった? 23 この本あれだったよね? 24 この本つまらなかった? 25 この本楽しかった? 26 読みやすかった? 27 読みにくかった? 28 あの本面白かったよね? 29 自分が君に貸した本に関する本読んでみたい? 30 あの本続き気になるよね? 31 Pepper君はどう思った? 32 本の感想はどうでしたか? 33 本について何か興味はありましたか? 34 この本に関係する他の本読んでみたいですか? 35 この本に関係する本読んでみたいですか?

(30)

番号 表出した発話 36 この本は好きですか? 37 この本はどれくらい面白かったですか? 38 本の内容は簡単でしたか? 39 本について一言聞かせてください? 40 この本を読んだ後で次は何の本が読みたいですか? 41 本読んだ? 42 本楽しかった? 43 この本好きだった? 44 この本嫌い? 45 昨日僕が貸した本好き? 46 昨日僕が図書館で貸した本好き? 47 昨日図書室で貸した本好き? 48 僕が貸した本好き? 49 僕が貸した本僕は好きだけど君は好き? 50 この本面白かった? 51 この本どこが面白かった? 52 この本好きになった? 53 この本自分でも買いたいと思った? 54 この本どうよ? 55 この本面白いよね? 56 この貸してた本面白かった? 57 この貸してた本感想ある? 58 俺が君に数日前貸してた本面白かった? 59 俺が君に昨日貸した本面白かったかな? 60 君に図書館で貸した本面白かったかい? 61 君に貸した本また読みたいかい? 62 君に貸してた本面白かっただろ? 63 君に貸した本また一緒に読まないかい? 64 君に貸した本今度一緒に読まないかい? 65 君に貸した本買いたいと思う? 66 貸した本君も買いたいと思うかい? 67 君に貸した本良かっただろ? 68 君に貸してた本どこが面白かった? 69 ペッパーが俺から借りていた本面白かった?

(31)

4.3

対話コーパスの運用方法

対話コーパスは,ChoregrapheのQiChat Scriptを用いて運用を行った.例えば,図4.3

のような「どうだった?」「本どうだった?」「本面白かった?」「本楽しかった?」「本の 感想は?」の5種の発話があった場合は,「本面白かった?」「本楽しかった?」「本の感想 は?」の3種の発話はPepperの応対が「誤解・曲解」で,かつ「本」についての説明が同 程度であるため,一つの会話分岐に収束することができる.このとき,QiChat Scriptの 「concept」という機能を用いることで,「∼感想」という一括りのパラメータとして定義す ることができるため,もともとの対話コーパスの許容範囲を保ちながら一つの分岐にまと めることができる.このように,なるべく分岐数およびデータ量を減らして登録し,学習 システム全体の軽量化を図りながら対話コーパスを組み込んだ. 図4.3: 対話コーパスの運用方法

(32)

5

予備実験

本章では,矢吹,角が開発したシリアスゲームの「言外の意味ZERO」[28][29][30][31][32] を用いた場合,実際の会話に応用できるか検証するための予備実験の計画と,その結果に ついて述べる.

5.1

実験計画

5.1.1

実験目的

実験目的は,矢吹,角が開発したシリアスゲームの「言外の意味ZERO」[28][29][30][31][32] は,自閉症者と普段関わりがない定型発達者にてペーパーテスト上で学習効果が認められ た.しかしながら,実際の会話に応用できるかまでは検証がなされていない.そのため, インタビュー形式の事前事後テストを行い,実際の会話にどれだけ応用できるかどうか検 証を行った.

5.1.2

実験対象

実験対象は,公立はこだて未来大学に在籍する定型発達者4名であった.性別の内訳は, 男性2名,女性2名であった.また,平均年齢は,22.75歳であった.

5.1.3

実験材料

実験材料として,学習した内容を実際の会話にどれだけ応用できるかどうか検証を行う ため,インタビュー形式の事前および事後テストを作成した.表5.1はインタビューの内 容である.事前事後両方に共通して,まず「私は国語のテストを受けました」といった会 話状況の説明を行い,その後「あなたは私にテストの出来具合を聞いてください」と指示 を行い,そのあと表出された発話を記録した.また,事前事後の問題間は類似例を用い, 両方ともある対象の出来具合を聞く問題であった. その他の実験材料として,言外の意味ZEROをプレイするためのノートパソコン,マ ウス,イヤホンと,実験風景の撮影用にビデオカメラと三脚を用いた.

(33)

表5.1: 予備実験の事前事後インタビューの内容 テスト 問題 模範解答 事前 私は国語のテストを受けました あなたは私にテストの 出来具合を聞いてください あなたが受けた国語のテスト難しかった? 事後 私は算数の宿題をやりました あなたは私に宿題の 出来具合を聞いてください あなたがやった算数の宿題難しかった?

5.1.4

実験手続き

実験手続きの骨子は以下の通りであった.また,被験者一人当たりの実験時間は約20 分であった. 1. 実験説明 2. 事前テスト 3. 実験刺激 4. 事後テスト 実験手続きの詳細は,実験説明にて本実験が自閉症者に対して伝わりやすい話し方を学 習するシステムの評価実験である趣旨を説明した.その後,事前テストについて説明を行 い,説明終了後にアンケートを実施した.なお,説明内容は以下の通りであった. 今から一つの質問を行うこと 間違っても問題なく,気軽に答えること インタビューの進行方法として,まず会話状況の説明を行うこと インタビューの進行方法として,会話状況の説明のあと被験者に指示を行うこと 指示に従って,実験者を「語用障害をかかえる人」だと思って発話すること その後,15分ほど言外の意味ZEROをプレイしてもらった.最後に,事後テストにつ いて事前テストと同様の説明を行った後,事後テストを実施した.

(34)

5.1.5

実験結果の処理方法

実験結果は事前テストに比べて事後テストでの変化を被験者ごとに評価した.評価基準 は,以下の通りであった.これら評価基準を総合的に見て,発話に改善がみられたかどう か評価を行った. 曖昧な表現の有無および量の変化 改善が見られた文節句の有無および量の変化 変化が見られなかったまたは悪化した文節句の有無および量の変化

5.2

実験結果と考察

実験結果を表5.2に示した.まず,Aさんは事前事後ともに曖昧な表現はないものの, 何のテスト(宿題)なのかどかの改善が見られず効果が無かった.次に,Bさんは事前に はなかった曖昧な表現の「この」が事後テストで現れてしまい曖昧な表現に対しては悪化 したが,事後では数学の宿題というフレーズを用いて何の出来なのか言及しており,その 点は改善が見られた.また,Cさんは事前事後ともに曖昧な表現があり,改善が見られず 効果が無かった.最後に,Dさんは事前で曖昧な表現の「この」「どう」があったが,事後 では曖昧な表現がなくなり,誰がどうした何の宿題なのか発話しており,改善が見られた. 表5.2: 予備実験の結果 被験者 事前 事後 A テスト何点だった? 宿題難しかった? B 難しい問題は何かあった? この数学の宿題で何か わからないことはありますか? C この前受けた国語のテスト 結果どうだった? 数学の宿題ってどうだった? D この前のテストどうだった? 自分でも難しいと思ったんだけど、 何点くらい? 君がやってる数学の宿題 どこまで進んでるかな? 考察として,何も改善しなかった人が全体の50%で,部分的に改善(部分的に悪化)し た人が25%,完全に改善した人が25%と,改善にかなり個人差が目立ち,かつ改善でき た人のほうが少ないため,言外の意味ZEROでは実際の会話に応用が難しいことがわかっ た.考えられる原因は,全てパソコン上のマウス操作で進めることができ,対話への応用 に関して言外の意味ZERO上では練習することができないため,対話へ応用できるかど うかは学習者の能力に依存する可能性があると考えられる.よって,本研究では「学習手 段に音声対話を用いることで実際の会話に応用しやすい」と仮設を立てた.

(35)

6

学習システムの評価実験

本章では,開発した学習システムが語用障害をかかえる人に伝わりやすい発話を学習す るシステムとして有用性があるか検証するための評価実験の計画と,その結果について述 べる.

6.1

実験計画

6.1.1

実験目的

実験目的は,本コミュニケーション学習支援システムが,語用障害をかかえる人に伝わ りやすい発話を学習するシステムとして,有用性があるか検証することであった.検証方 法として,本システムを用いる実験群と,臨床心理士が推薦したテキストベースの書籍 [41]の抜粋資料を読む対照群の2つに群分けを行い,比較実験を行った.また,評価基準 と評価方法は以下の通りであった. 学習効果/実際の会話に応用できるか(インタビュー形式の事前事後テストを用い て評価) 学習効果/知識的に理解しているか(ペーパーテスト形式の事前事後テストを用い て評価) 教材全体の印象(SD法を用いて評価) 面白さ・もう一度使いたいか・学習しやすさ・自信はついたか・障碍者のことを理 解できたか(五段階評価のアンケートを用いて評価) なお,テキストベースの書籍の抜粋箇所は「第5章こどもへの指示は簡潔&具体的に (80∼81ページ)」で,このページでは,「ちゃんとしなさい」と漠然とした指示をだした 事例を用いて,その事例に対して,「具体的に指示する」という解決策を,4コマ漫画を通 して説明した資料であった.

6.1.2

実験対象

実験対象は,函館市立赤川小学校に在籍する,6年生の定型発達児16名であった.性別 の内訳は,男子7名,女子9名であった.また,群分けは,実験群に9名,対照群に7名 とした.各群の性別のうちわけは,実験群が男子4名女子5名で,対照群が男子3名女子 4名であった.

(36)

6.1.3

実験材料

実験材料として,学習した内容を実際の会話にどれだけ応用できるかどうか検証を行う ため,インタビュー形式の事前および事後テストを作成した.表6.1はインタビューの内 容である.事前事後両方に共通して,例えば「私は国語のテストを受けました」というよ うな「会話状況の説明」を行ったのち,例えば「あなたは私にテストの出来具合を聞いて ください」というような「被験者への指示」を行った.また,問題は事前事後ともに二つ で,共通問題を1問,非共通問題を1問の形式で行った.共通問題は学習システムで用い た事例の類似例であり,学習システムで取り扱った事例の類似例に応用できるか測定する ために用いた.ただし,学習システムで扱った事例の類似例にあたるのは実験群であり, 対照群は非類似例にあたり,条件が異なるため,対照群は参考データとしてインタビュー をとり,考察では対照群との比較はしないものとした.また,非共通問題は,学習システ ムで用いた事例の非類似例であり,異なる発話に応用できるか測定するために用いた.な お,非共通問題は両方とも予備実験の内容と同一のものを用いた. 表6.1: 学習システムの評価実験の事前事後インタビューの内容 出題場所 問題 模範解答 事前テスト1問目 ・ 事後テスト2問目 私はあなたにゲームを 借りて遊びました あなたは私にゲームの 感想を聞いてください 私があなたに貸した ゲーム面白かった? 事前テスト2問目 私は国語のテストを受けました あなたは私にテストの 出来具合を聞いてください あなたが受けた国語の テスト難しかった? 事後テスト1問目 私は算数の宿題をやりました あなたは私に宿題の 出来具合を聞いてください あなたがやった算数の 宿題難しかった? また,実験材料として,学習した内容を知識的に理解しているかどうか検証を行うため, ペーパーテスト形式の事前および事後テストを作成した.表6.2は事前および事後テスト の問題と解答であった.なお,事前テストおよび事後テストに共通して,これらの問題の 前に,「重度の語用障害をかかえる『めぐみ』と定型発達者の『ゆうき』の会話である」と いう趣旨を明記した.このように,会話状況を文章にて記述したあと,波線の発話に対し て「めぐみ」にも伝わりやすい話し方を5つの選択肢から選ばせる選択問題に統一した. また,選択肢の中に「このままで問題ない」を入れ,波線が必ずしも間違いでない状態を 作ることで,ヒントを極力抑える工夫を施した.問題で用いた事例は,コミュニケーショ ン学習支援システムで用いた事例の類似例を,重度の語用障害をかかえる人の特徴を考慮

(37)

しながら考案した.また難易度の定義として,選択肢間に違いが少ない問題を「難しい」 とし,逆に違いが比較的明瞭な問題を「易しい」とした.そして,「難しい」問題は2問あ り,事前事後テストの両方で順序を変えて出題し,「易しい」問題は事前事後テスト間で異 なる問題を1題ずつ出題した.制限時間は,事前事後テストともに90秒であった. また,実験材料として,教材全体の印象を測定するため,SD法によるアンケートを作 成した.表6.3はSD法の尺度の一覧とアンケート用紙上の位置であった.また,各尺度 におけるプラスの印象の項目を、網掛けを用いて記載した.各尺度に対する選択肢は,「非 常に」「かなり」「やや」「どちらでもない」「やや」「かなり」「非常に」の7段階評価を用 いた. さらに,実験材料として,面白さ・もう一度使いたいか・学習しやすさ・自信はついた か・障碍者のことを理解できたかの5つの観点を評価するため,五段階評価によるアンケー トを作成した.表6.4はアンケートの各質問項目の原文と略称であった.なお,以後アン ケートの各質問項目は略称で表記するものとした.また,五段階評価の選択肢は,全質問 項目共通で「とても思う」「思う」「どちらでもない」「思わない」「まったく思わない」と した. その他の実験材料として,コミュニケーション学習支援システム,Pepper,「本」の代わ りとして黒いB5サイズのメモ帳,テキストベースの資料,Pepperを操作するためのパソ コン,ディスプレイ,キーボード,マウス,LANケーブル,実験風景の撮影用にビデオカ メラと三脚,事前事後テストの時間の計測としてストップウォッチを用いた. 表6.2: 事前および事後テストの問題と正解 出題場所 事前テスト1問目・事後テスト3問目 難易度 難しい 問題 めぐみは、ゆうきの家に遊びに行きました。そして、 めぐみはゆうきが飼っているペットをなでてあげまし た。このとき、ゆうきはめぐみにペットがかわいいか 聞きました。「めぐみがなでてるそのペットかわいい ?」 「めぐみがなでてるそのペットかわいい?」 この部分を「めぐみ」にも伝わりやすい話し方を以下 の選択肢から選んでください ア. 「その私が飼ってるペットかわいい?」 イ. 「めぐみがなでてるペットかわいい?」 ウ. 「私が飼ってるそのペットかわいい?」 エ. 「そのめぐみがなでてるペットかわいい?」 オ. このままで問題ない 正解 イ. 「めぐみがなでてるペットかわいい?」

(38)

出題場所 事前テスト3問目・事後テスト1問目 難易度 難しい 問題 ゆうきは、カフェでパフェをたのみました。そして、 めぐみはゆうきのパフェ少しもらいました。このとき、 ゆうきはめぐみにパフェがおいしかったか聞ききまし た。「私がたのんだパフェおいしいかな?」 「私がたのんだパフェおいしいかな?」 この部分を「めぐみ」にも伝わりやすい話し方を以下 の選択肢から選んでください ア. 「この私がたのんだパフェとかおいしいかな?」 イ. 「この私がたのんだパフェおいしいかな?」 ウ. 「私がたのんだパフェとかおいしいかな?」 エ. 「私がたのんだこのパフェおいしいかな?」 オ. このままで問題ない 正解 オ. このままで問題ない 出題場所 事前テスト2問目 難易度 易しい 問題 ゆうきは、習い事の帰り道に、塾から帰える途中のめ ぐみに会いました。このとき、ゆうきはめぐみに塾の 勉強が難しかったか聞きました。「塾ってどうなの?」 「塾ってどうなの?」 この部分を「めぐみ」にも伝わりやすい話し方を以下 の選択肢から選んでください ア. 「めぐみが通ってる塾の勉強って難しいの?」 イ. 「塾の勉強って難しいの?」 ウ. 「めぐみが通ってる塾の勉強ってどうなの?」 エ. 「どうなの?」 オ. このままで問題ない 正解 ア. 「めぐみが通ってる塾の勉強って難しいの?」

(39)

出題場所 事後テスト2問目 難易度 易しい 問題 めぐみは、自転車が壊れてしまったので、自転車屋さ んに行きました。そして、めぐみはそのことをゆうき に話しました。このとき、ゆうきはめぐみに自転車が 直りそうか聞きました。「直りそう?」 「直りそう?」 この部分を「めぐみ」にも伝わりやすい話し方を以下 の選択肢から選んでください ア. 「めぐみの自転車ってどうだった?」 イ. 「自転車って直りそう?」 ウ. 「めぐみの自転車って直りそう?」 エ. 「どうだった?」 オ. このままで問題ない 正解 ウ. 「めぐみの自転車って直りそう?」 表6.3: SD法の尺度の一覧とアンケート用紙上の位置 SD法の尺度 アンケート用紙上で左側 アンケート用紙上で右側 良い 悪い 重い 軽い 嫌いな 好きな 温かい 冷たい 楽しい つまらない 硬い 柔らかい 難しい 易しい 積極的な 消極的な 親しみやすい よそよそしい 暗い 明るい

(40)

表6.4: アンケートの各質問項目の原文と略称 群 質問項目の原文 質問項目の略称 実験群 Pepperとのお話を通して、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方を 学んだことは、おもしろかったと思いますか? 全体の面白さ 対照群 配ったプリントを使って言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方 を学んだことは、おもしろかったと思いますか? 実験群 もう一度、Pepperとのお話を通して、言葉をそのまま理解 する人(障(しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやす い話し方を、学んでみたいと思いますか? もう一度 やりたいか 対照群 もう一度、配ったプリントを使って、言葉をそのまま理解 する人(障(しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやす い話し方を、学んでみたいと思いますか? 実験群 Pepperとのお話を通して、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方は 学びやすかったと思いますか? 全体の 学びやすさ 対照群 配ったプリントを使って、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方は 学びやすかったと思いますか? 実験群 Pepperとのお話を通して、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方が できる自信はついたと思いますか? 自信が ついたか 対照群 配ったプリントを使って、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)にも伝わりやすい話し方が できる自信はついたと思いますか? 実験群 Pepperとのお話を通して、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)のことを理解することがで きたと思いますか? 障碍者を 理解できたか 対照群 配ったプリントを使って、言葉をそのまま理解する人(障 (しょう)がいをかかえる人)のことを理解することがで きたと思いますか?

6.1.4

実験手続き

実験手続きの骨子は以下の通りであった.また,被験者一人当たりの実験時間は約15 分であった.

図 1.1: 定型発達者と自閉症者の会話の比較 つまり,この対人関係の問題は定型発達者側の対話方法にも問題があり,定型発達者側 の発話を適切な表現に置き換えることで,語用障害をかかえる人と定型発達者の会話が成 立し,対人関係の問題を改善することができる.このことから,定型発達者に対して語用 障害をかかえる人との対話方法を改善させる研究を行う必要があると考えられる. なお,本研究で扱う曖昧な表現は指示語とする.理由としては,言外の意味を含む発話 の中で,指示語が日本語の日常会話において,一番用いられることが多
図 1.3: Wing 三つ組の法則から見た ASD と SCD の違い
図 3.3: 本システムの Choregraphe によるプログラミングの一例
図 3.10: まとめパートで提示した画像とその画面遷移
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