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し方を学習するシステムとして高い学習効果が望めると期待できる.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,重度の語用障害をかかえる人に も伝わりやすい話し方を学習するシステムとして有効な学習手段であることが認められた.

なぜなら,分散分析における事後テストの単純主効果の結果から,テキストベースの平均 値よりも本学習システムの平均値のほうが有意に高いことがわかったためである.このこ とから,母集団においても,テキストベースの資料と本学習システムの学習効果を比較し たとき,本学習システムを用いたほうが高い学習効果をもたらすことが期待できる.よっ て,本学習システムはテキストベースの資料とよりも,重度の語用障害をかかえる人にも 伝わりやすい話し方を学習するシステムとして有効な学習手段であると考えられる.

ただし,現状では1回の学習にて本学習システムで学習可能な範囲を網羅することは難 しいと考えられる.なぜなら,実験群の事後テストの平均値が30点満点中17.778点であ り,10点以上も伸び代があるからである.このような結果となった要因として,現状では 3回間違えるとまとめパートで要点を学ばせる流れとなっているが,この試行回数が少な いことが要因の一つとして考えられる.また,現状では学習した知識を応用できる場がシ ステム内にないことも要因として考えられる.解決策として,まとめパートに強制的に向 かうまでの間違いの回数を,モチベーションを維持できる範囲内で増やすことや,本シス テム内で獲得した知識をどれだけ応用できるか確認できるテストを加えるなど,現状より もさらに繰り返し学習できる機能を加えることが考えられる.

また,SD法の結果から,まず,本学習システムを単体でみたとき,学習者に対して学 習を行いやすい環境を提示できたと推察できる.なぜなら,実験群に対するSD法の記述 統計の結果から,本学習システムは「良い」「楽しい」「親しみやすい」「明るい」について 非常に強い印象を与えたからである.特に,「良い」「楽しい」については,学習者に「満 足感のある印象」を与えたことが想起できるため,とても満足できる学習システムであっ たと考えられる.また,「親しみやすい」「明るい」については,学習者に「社交的な印象」

を与えたことが想起でき,本学習システムではヒューマノイド・ロボットのPepperとの 対話を通して学習する形式であるため,Pepperがとても社交的な印象を与えたと考えら れる.よって,学習システム単体として見たとき,学習者に対して学習を行いやすい環境 を提示できたと推察できる.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,学習教材の楽しさという観点が 顕著であった.なぜなら,SD法の「楽しい|つまらない」の尺度に対するt検定の結果 から,「楽しい」という印象に対して,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平 均値のほうが有意に高いことがわかったためである.このことから,母集団においても,

テキストベースの資料と本学習システムの印象を比較したとき,本学習システムのほうが

「楽しい」という観点から高い評価がなされると考えられる.これは,Pepperとのコミュ ニケーションを通して学習を行っていることから,学習者がPepperとのコミュニケーショ ンを楽しみながら学習できていたことが要因として考えられる.もちろん,実験被験者の 年齢層が小学6年生であったため,全年齢層に対して同様のことが言えるかどうかは定か ではないが,少なくとも児童期の年齢層であれば同様のことが言える可能性が高いと考え られる.つまり,学習する題材が児童期の年齢層には比較的重たい語用障害をかかえる人 との適切な話し方という内容にもかかわらず,Pepperとのコミュニケーションを通すこ とで早い段階から適切な発話を楽しみながら学ぶことができると推察できる.

さらに,本学習システムはテキストベースの資料よりも,学習者に対して友好的な印象 を与えたと考えられる.なぜなら,第1因子の「友好的」に対する因子得点の平均値の比 較結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平均値のほうが高いことが わかったためである.このような印象を持たれた要因として,本学習システムはテキスト ベースの資料には存在しない,ヒューマノイド・ロボットのPepperとの会話を通して学 習する形式であることから,Pepper自体が友好的な印象を持たれたと推察できる.これ

は,Pepperが友好的な印象を与えることで,学習者が自然にコミュニケーションを行う

ことができる環境を提示できたとも考えられるため,テキストベースの資料よりも学習者 に対して学習を行いやすい環境を提示できたと推察できる.

また,本学習システムはテキストベースの資料よりも,学習者に対して教材の難易度が 簡易な印象を与えたと考えられる.なぜなら,第4因子の「簡易性」に対する因子得点の 平均値の比較結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平均値のほうが 高いことがわかったためである.これは,教材が扱っている題材が同一にもかかわらず,

本学習システムのほうが学習内容が簡単な印象を持たれている.このような印象を持たれ た要因として,本学習システムは重度の語用障害をかかえる人との会話を疑似体験し,さ らに話し方の伝わりやすさを即座にフィードバックを得られるため,テキストベースの資 料よりも学習者が問題点を認識しやすく,学習中の疑問を解決する機会があったと推察で きる.つまり,本学習システムはテキストベースよりも学習者に対して教材の難易度が簡 易な印象を与えられると考えられるため,学習者に対して学習を行いやすい環境を提示で きたと推察できる.

しかしながら,本学習システムはテキストベースの資料よりも,学習者に対して陰湿的 な印象を与えたと考えられる.なぜなら,第2因子の「陰湿的」に対する因子得点の平均 値の比較結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平均値のほうがかな り高いことがわかったためである.このような印象を持たれた要因として,学習システム 中の対話パートとそれ以外のパートの移り変わりのときに,少し待ち時間が生じてしまい

Pepperが止まって見える時間があったことが考えられる.解決策として,現状はPepper

内の機能のみで学習システム実現しているため,例えば画像データなどを外部サーバと連

携しPepper自体の軽量化を図るなど,なるべく対話パートとその他のパートの間のラグ

を短縮させる工夫が必要であると考えられる.また,採点・解説・まとめパートにてタブ レット上の画像のみで説明を行ってしまったことから,対話パートでのPepperとの会話 と比べ温度差があまりに大きかったことも要因として考えられる.解決策として,採点・

解説・まとめパートに音声や効果音を付与するなど,会話を体験する部分と適切な話し方 を学ぶ部分の温度差を減らす処置が必要と考えられる.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,教材の既存的な印象にあまり大 きな変化がみられなかった.なぜなら,第3因子の「既存性」に対する因子得点の平均値の 比較結果から,本学習システムの平均値とテキストベースの平均値にあまり差異がみられ なかったためである.これは,学習形式がまったく異なるにもかかわらず,テキストベー スの資料と比べあまり斬新なシステムではなかったと推察できる.このような印象を持た れた要因として,採点・解説・まとめパートではテキストベースの資料と同様に学習者が 一方的に画像を見るような形式であったことが要因として考えられる.解決策として,陰 湿的な印象の改善策と同様に,音声や効果音を付与するなど,採点・解説・まとめパート

に既存の教材のようなイメージを払拭する処置が必要と考えられる.

最後に,五段階評価のアンケートについて,まず,本学習システムはテキストベースの 資料と比べ,面白味のある教材である可能性が高いことが認められた.なぜなら,「全体の 面白さ」に対するt検定の結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平 均値のほうが有意に高い傾向があることがわかったためである.これは,Pepperとのコ ミュニケーションが教材の面白さに影響を与えたと要因であると推察できる.よって,本 学習システムはテキストベースの資料と比べ,面白味のある教材である可能性が高いと推 察できる.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,継続的な学習意欲を学習者に持 たせる教材であることが認められた.なぜなら,「もう一度やりたいか」に対するt検定の 結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平均値のほうが有意に高いこ とがわかったためである.これは,Pepperとのコミュニケーションの楽しさや対話コー パスによって様々な学習者の発話にPepperが応対できるため,もっとPepperと会話を行 いたいという意欲に繋がったことが要因として考えられる.よって,本学習システムは継 続的な学習意欲を学習者に持たせる教材であることが認められた.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,学習者が学習内容を理解しやす い教材である可能性が高いことが認められた.なぜなら,「全体の学びやすさ」に対するt 検定の結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの平均値のほうが有意に 高い傾向があることがわかったためである.これは,Pepperのコミュニケーションと画 像を通した学習者の発話の解説をセットで行っているため,発話の練習をしながら,知識 的に使ってはいけない表現や伝わりやすい話し方を学ぶことができることや,学習者の発 話に対するPepperの応対やモーション,○×△の三段階評価の採点を通して,直感的に 学習者の発話が伝わりやすいか否かのフィードバックを得られることが要因として考えら れる.また,仮に伝わりにくい発話を行ったとしても問題がない学習環境を提示できたこ とも要因として考えられる.よって,本学習システムは学習者が学習内容を理解しやすい 教材である可能性が高いと推察できる.

また,本学習システムはテキストベースの資料と比べ,学習者が語用障害をかかえる人 の特徴を解しやすい教材である可能性が高いことが認められた.なぜなら,「障碍者を理解 できたか」に対するt検定の結果から,テキストベースの平均値よりも本学習システムの 平均値のほうが有意に高い傾向があることがわかったためである.これは,Pepperが語 用障害をかかえる人の振る舞いを行っているため,学習者の発話に対するPepperの応対 やモーションを通して語用障害をかかえる人を理解できたことや,画像を用いてなぜ曖昧 な表現が伝わらないのか理解させたことが要因として考えられる.よって,本学習システ ムは学習者が語用障害をかかえる人の特徴を解しやすい教材である可能性が高いと推察で きる.

ただし,少なくともこの実験では,本学習システムはテキストベースの資料と比べて,

学習者が語用障害をかかえる人との会話に自信がつくとは言えない結果となった.なぜな ら,「自信がついたか」に対するt検定の結果から,本学習システムの平均値とテキスト ベースの平均値に有意差がみられなかったためである.これは,本学習システムでPepper とのコミュニケーションを行う機会(1回の学習あたりの強制的にまとめパートに向かう までの回数)の少なさや,異なる事例に触れる機会がないことが要因としてあげられる.

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