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ヒトiPS細胞由来脳腫瘍モデルによる非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍発生の主要因子となる胚性幹細胞様遺伝子発現の同定

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Academic year: 2021

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Title Human Pluripotent Stem Cell-Derived Tumor Model Uncoversthe Embryonic Stem Cell Signature as a Key Driver in Atypical Teratoid/Rhabdoid Tumor( Abstract_要旨 )

Author(s) Terada, Yukinori

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2019-07-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21999

Right © 2019 The Authors. This is an open access article under theCC BY license (http://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

京都大学 博士( 医 学 ) 氏 名 寺 田 行 範

論文題目

Human pluripotent stem cell-derived tumor model uncovers the embryonic stem cell signature as a key driver in atypical teratoid/rhabdoid tumor (ヒトiPS 細胞由来脳腫瘍モデルによる非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍発生 の主要因子となる胚性幹細胞様遺伝子発現の同定) (論文内容の要旨) 【背景・目的】非定型奇形腫様ラブドイド腫瘍(Atypical teratoid/rhabdoid tumor(AT/RT))は、小児期に発生する極めて悪性度の高い中枢神経系腫瘍 である。AT/RT は、ラブドイド細胞に加えて未熟な神経上皮性細胞の増生、上 皮性・間葉系・グリア系・神経細胞系など多彩な分化を示す組織学的特徴であ る。多くのAT/RT では、SMARCB1(SNF5, BAF47)の不活化が認められる が、その他の遺伝子変異が少ない。SMARCB1 の不活化が AT/RT 発生のドラ イバーであるが、SMARCB1 不活化からの AT/RT 発生の機序については明ら かでない。本研究では、SMARCB1 不活化による AT/RT の発生機序を解明し、 創薬ターゲットを同定することを目的とした。

【方法】SMARCB1 をノックアウトしたヒト iPS 細胞(hPSCSMARCB1-/-)、同

細胞を neural progenitor-like cell(NPLC)に分化させた NPLCSMARCB1-/-を免

疫 不 全 マ ウ ス の 脳 内 に 移 植 し て 脳 腫 瘍 モ デ ル を 作 成 し た 。 遺 伝 学 的 特 徴 は AT/RT 患者の腫瘍細胞株と臨床検体データベースを用いて検証した。

【結果】NPLCSMARCB1-/-および hPSCSMARCB1-/-はともに高率に脳腫瘍を発生し

たが、NPLCSMARCB1-/-AT/RT に特徴的なラブドイド細胞の出現頻度は低く、

髄芽腫様の組織像を呈した。一方、hPSCSMARCB1-/-は、ラブドイド細胞が主体 の典型的なAT/RT の組織像を呈し、免疫組織学的にも AT/RT に特徴的な SMA, CD99, EMA の発現を認め、かつ患者由来 AT/RT 細胞株と同様の遺伝子発現パ ターンが確認された。NPLCSMARCB1-/- hPSCSMARCB1-/-から発生した腫瘍の遺

伝子発現の差異を分析したところ、AT/RT の特徴を示す hPSCSMARCB1-/-由来の

腫瘍において、胚性幹細胞様遺伝子発現(embryonic stem cell-like signature (ESC-like signature))が亢進していた。

臨床検体データベースにおいても、AT/RT は髄芽腫や膠芽腫などの悪性脳腫 瘍と比較して、ESC-like signature が活性化していることが確認された。そこ で、ESC-like signature の活性化と AT/RT の生物学的特性の関連を解析した。 NPLCSMARCB1-/-に 初 期 化 4 因子(OCT4, SOX2, KLF4, c-MYC)を導入し

ESC-like signature を活性化すると、ラブドイド細胞の出現が増加し(p< 0.0001)、マウスの生存期間が短縮した(p=0.0317)。

ESC-like signature が AT/RT の生物学的特性と生存期間の短縮に関与すると の仮説に基づき、多能性維持に関与する遺伝子群を CRISPR/Cas9 により阻害 するスクリーニングテストを行ったところ、EZH2 と RAD21 がターゲットと して同定された。

いずれかの遺伝子をノックアウトすることで、hPSCSMARCB1-/-から発生した腫瘍

細胞の増殖は低下し、腫瘍モデルマウスの生存期間が延長した。また、EZH2 阻害剤は ESC-like signature を抑制するとともに神経分化を誘導し、AT/RT 患 者細胞株においても有意に細胞増殖を阻害した。

【結論】SMARCB1 遺伝子は細胞の分化状態と協調して AT/RT の発生に関わ り、ESC-like signature が AT/RT の生物学的特性獲得の主要因子であることを 明らかにした。さらに、ESC-like signature が AT/RT の創薬ターゲットとなる ことを示した。

(論文審査の結果の要旨)

小児期に発生する中枢神経系腫瘍である atypical teratoid/rhabdoid tumor (AT/RT)は、SMARCB1 がドライバー遺伝子であるが、その不活化に伴う AT/RT 発生の機序は未解決であった。本研究では、SMARCB1 遺伝子をノック ア ウ ト し た ヒ ト iPS 細 胞 ( hPSCSMARCB1-/-) 、 神 経 幹 細 胞 に 分 化 さ せ た NPLCSMARCB1-/-を作成し、免疫不全マウス脳移植で発生する腫瘍を解析した。

そ の 結 果 、NPLCSMARCB1-/-か ら 髄 芽 腫 様 腫 瘍 が 発 生 し 、hPSCSMARCB1-/-か ら

AT/RT が発生した。hPSCSMARCB1-/-由来 AT/RT は胚性幹細胞様遺伝子発現

(ESC-like signature)が亢進していた。NPLCSMARCB1-/-に初期化 4 因子によ る ESC-like signature 活性化を行うと AT/RT が発生した。

ESC-like signature を阻害するスクリーニングテストから、EZH2 と RAD21 を標的分子として同定し、各遺伝子をノックアウトすることで AT/RT 細胞株の 増殖を阻害した。

本研究結果は、ESC-like signature が AT/RT の生物学的特性の獲得に関与す ることならびに、AT/RT の創薬ターゲットとなることを示した。 以上の研究成果は、AT/RT の発生機序の理解に大きく貢献するものであり、さらに ESC-like signature を標的とした新たな治療法の開発に寄与するところが多い。 したがって、本論文は博士( 医学 )の学位論文として価値あるものと認める。 なお、本学位授与申請者は、令和元年 5 月 22 日実施の論文内容とそれに関連 した試問を受け、合格と認められたものである。 要旨公開可能日: 年 月 日 以降

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