(:東京女医大壷 第25巻 第11号頁516−523昭和30年11月)
当教室で剖検「されアこ原発性肺臓癌
13例の病理解剖学的組織学的考察
東京女子医科大学病理学教室 (主任 佐藤やい教授,今井三喜教授) 〔序 言〕条
ジHウ平
タイラ ke ジHウ 悦 エツ 末 スエ(受付 昭和30年8月25H)
’原発性の肺臓癌が近来増加の傾向を示している ことが多くの文献に強調されているが,増加の原 因は此れに対する診断法の進歩も一つの因子であ るが,本疾患が真に増加しつつあることも認めら れている。・私共の教室でも最近五年間に13例の原 発性の肺臓癌を剖検したので此等の病理解剖学 的,並に組織学的所見に就V・て従来の報告と対比 しつつ老察してみたいと思う。私共の13例は年令 的分布は表1の如くである。 表 1 5 名 1 子 コ 子 コ 41 ∼ 50 才 51 ∼ 60 才 61 ∼ 70 才 7 性別に就いては文献的に男性に多V・が私共の13 例に於ても男対女は,10:3で男性が勝ってい る。此の点については気道の刺戟により癌発生を 主張する者は男性が職業的に外界からの刺戟物の 吸入を受け易V・ためと,又喫煙との関係を強調す るものもある。 私共の13例の代表的なものの臨床症状及び病理 解剖学的所見を次の3群に分けて述べる。 (表H 参照) A群,肺癌に最も多くみられる型で肺下流淋巴腺 群に拡がり縦隔洞腫瘍の像を呈するもの。 B群,肺癌が三内に三三性にひろがり肺炎に似た 像を呈するもの。 C群,.特殊のひろがりを示したもの。 1,縦隔洞腫瘍の像2呈ナる例(剖検番号 94, 137, 169, 255, 361, 375, 386) 先ず代表的に例として剖検番号169に就v・て述 べる067才,男子 既往歴:若い頃石灰運搬業の監督 家族歴:癌の遺伝関係あるも詳紬不明 嗜好物:酒2合,タバコ1日2箱程度 現病歴:27年3月初旬感冒様で咳蝋,喀疾があったが 次第に呼吸困難,胸部の軽い痛みを覚えるようになっ た。喀湊は白色で1日2回ぐらいで血液は混じていな い。空腹時,時々胃部に痛みを感じた。4月中旬某医 でレ線写真を撮り右肺結核と診断され4月24目咳鰍と 側胸部慈痛を主訴とし入院した。 入院時所見:右前胸部で肺尖より第2肋骨まで,背部 は肩晒骨中央の高さ迄濁音を呈し,且その部にラ音を 聴取した。レ線像で右上葉に比較的境界鮮明な濃厚陰 影を認め,気管枝鏡検査で回気三枝の上方よりの圧迫 を認め,叉気管枝造影法を試みたが右上葉に造影剤が 入らなかった。以後咳湊の増加と共に右前胸部より肩 にかけ引きつれるような痛みが増強し7月下旬より右 鎖骨下淋巴腺の腫脹が現れたのでこれを試験的に切除 し組織学的検査を行い単純癌と診断された。7月中旬 には夜間の咳蝋が激しく,早朝の喀疾は血性となって 顔面には浮腫が現れ同時に打診上右胸部全体に濁音を 呈するようになった。右肋膜腔穿刺でRivalta(+)比 :重1020の液600cc,が採取され,以後肋膜腔穿刺は隔 日に行われたが,なお呼吸困難増強し8月30日死亡し た。此の患者は初期に結核が疑われていたが喀疾には 全経過中結核菌を証明することが出来なかった。 病理角轄尊学白勺診断 : 肺臓癌及び二次感染による肺炎: 一516一表 ll 毒梱駈 剖趣
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曾一囮}一 一 1,右上葉前部第二次分岐附近に原発した癌。 2,転移:(a)右上葉全体にわたる癌性浸潤 (b)右主気管枝の癌浸潤による閉塞 3,右肺全体の壊疽性崩壊を伴う肺炎 4,右繊維素性化膿性肋膜炎(170cc) 5,腫瘍の淋巴腺転移による上空静腺,右頸静豚 の狭窄,右上半身の高度の浮腫 6,左肺の気管枝拡張症及肺気腫の傾向 一 S17 一7,繊維素性心膜炎
8,腹水1250cc
9,漏水胸960cc等
組織学的診断:円柱上皮癌 本島は右上葉に到る第二次分岐気管枝に原発し た気管枝癌が右上葉縦組織及肺下流の淋巴腺に転 移を生じ縦隔洞腫瘍の状態を呈し,其れと共に気 管枝の狭窄による分泌物の排泄障碍のために混合 感染による高度の右肺の肺炎を合併したものであ る。此の様な経過は肺門部近くの気管枝に原発す る癌に最もge k・見られる型で我々の13例中上記の 6例が解剖的ひろがり及び,それに伴ふ臨床症状. が本暦に類似してv・る。叉剖検番号108,183, は坦々これと同様であるが癌が末期に到らす前者 は胃潰瘍を併発し,後者は全身衰弱のため死亡し たこれ等の組織学的所見は一一干して後で述べる。 皿,B群 特異な汎発性肺内転移2示した例 剖検番号298,68才男子 既往歴:20才に肋膜炎 現病歴:昭和29年1月頃より食欲不振熱感,頭痛あり 暖鰍喀疾は出なかった。同年3月中旬より胃部圧迫膨 満感あり,此の頃より削痩に:気ずいた。4月20日会社 の診療所でレ線撮影の結果,肋膜炎:と心臓肥大ありと 云われた。4月末日全身倦怠感著明で臥床次第に呼吸 促追食欲不振が強くなり5月12日入院した。当時咳 蟻,喀湊なし 入院時所見:皮膚に黄疸あり,胸部は右前胸部第5肋・ 骨以下濁音を呈し,右背下部咳蝋時期水泡性ラ音を聴 取。レ線像に於て,全肺野に離々均等な一見粟粒結核 を思わせる陰影あり,但し右下部にはやや密で境界不 鮮明な腫瘍様の陰影調戯上葉後部に指頭大の空洞を認 めた。漸次背痛,胸痛,咳蝋増強し5月25日頃より左 鎖骨上窩淋巴腺を触れるようになったが28日急に呼吸 困難現れ死亡した。臨床的には肺結核症も否定出来な かった。 病理解剖学的診断:肺臓癌 1,右下葉に至る気管枝の分岐部附近に原発した 肺臓癌 右下葉軽度の無気肺及クルミ大の出血性梗塞, 両肺全葉にわたる播種状癌転移。 2,転移 a,肺下流域淋巴腺及後腹膜淋巴腺 b,右胸部皮下の小豆大の転移 3,肋膜滲出液瀦溜(左80cc,右300cc) 4,左肺上葉に若干の結核結節及碗二大の新しい 結核性軟化空洞 組織学的診断:円柱上皮癌 本例は右下葉に到る主気管枝に原発した癌が気 管被及,血管周囲の淋巴道性のひろがりと同時に 播種性に肺組織内にひろがったかなり珍しい型の もので播種:性分布の部では癌細胞は肺胞壁を間質 としてその内面をおおう様に増殖して居り,一部 に変性脱落してあたかも desquamativer Kata・ rrhの如ぎ観を呈してv・る。このことからレ線像 で粟粒結核様の所見を呈した理由がうなずける。 猶左肺上葉の結核病巣は癌の癸生とは直接関係な Vbものと思われる。 皿,C群, 肺癌以外の症状で死亡した例 (1)剖検番号305,65オ男子。 約8ケ月前より背痛があり某医の診察を受け胃潰瘍或 は肋聞神経痛と診断された。約2ケ月前より首が前屈 呂来ないようになり足の「しびれ感」次いで下肢麻痺 のため歩行不能とtsり同時に下半身の知覚障害を起し て来た。、末期は膀胱炎,経度の脳膜炎症状を呈し,死 亡した。本例は胸部打診上著変を認めなかったがレ線 像で皿胸椎体の高さで脊柱の左側に手拳大の陰影を認 め,Myelographieにより1]1,皿胸椎間以下に造影剤 が下降しなかったQ臨床診断は腫瘍による圧迫性脊髄 炎で腫瘍の性質は不明であった。 病理解剖学的診断:肺癌の椎管内侵入による圧迫性 脊髄炎であった。本例は,左肺尖端に肋膜勝腹があ り,腫瘍は恐らく此の部から発生したものであろう。 組織学的には部分的に扁平上皮癌に類似したところも あるが大体は単純癌である。 しかし,此の様な上皮性の腫瘍とは別に此れに 混じって紡錘形細胞肉腫の増殖があり此の細胞核 は「クロマチン」に富みPolymorphieがあり核 分裂像が散見され紡錘細胞肉腫と考えられる。し たがって本論は,癌と肉腫とが同時に共存する例 と考えざるを得ない。猶この腫瘍の発生母地とな った肺尖腓臓には,明らかな結核性変化は認めら れなV・。 〔2)剖検番号157,51才男子。 左上葉,後上部縦隔洞に面して発生した鶏卵大の 腫瘍であるが治療のため用V・た「ナ■トロミン」 のため無恥粒細胞症に陥り敗血症様の症状の下に 死亡した。此の例は組織学的には単純癌でかなり 末梢部の気管枝から発生したものと考える。〔3)音IJ検番号21744才男子 心弁膜症により死亡したもので副所見として右下 葉に腫瘍を発見したものであお。 〔臨床症欺〕 詳細な臨床事項はこitでは省略するが剖検所見と対 比して気ずいたこ,三の点を述べるQ 原発性の肺臓癌はその初期に於ては屡々肺結核症と あやまられる。私共の症例に就いてみるとその半数に 於て早期肺結核と診断され気胸一腹その他の結核の化 学療法を受けており,初期の原発性肺臓癌の鑑別診断 はかなり,困難であることがわかる。 初期症状としての咳蟻は,気管枝粘膜の刺戟による もので早期に比較的太い気管枝壁に拡がったものは此 の症状が強い。剖検番号108では原発部である右下葉 に到る太い気管枝壁より始まり気管枝分岐部まで粘膜 に癌性浸潤があり,叉その附近の淋巴腺転移が著しい が此の例は骸鰍が特に強く長い間気管枝喘息として診 断されていた。 胸痛も叉肺気管枝差の初期症状として頻度の高いも のと云われている。此れは肋聞神経或は肋膜炎として 治療される場合が多い。 喀湊は初期は少く寧ろ早期におこる気管枝の狭窄に よる分泌物の撲澄障害の結果=次感染による肺炎,肺 壊疸の発生により,増加するものである。又気管枝粘 膜の侵襲により或は肺壊疸の部より出血を起し[血湊を 証明することが多い。 腫瘍が肺門部に出来易いため又末梢部に発生したも のでも肺門部及縦隔洞淋巴腺への転移のため胸部の大 恥管の狭窄,閉塞による上半身の浮腫が魔々見られ る。 発熱は気管枝炎,肺壊疽の結果起るもので早期発熱 することは少い。 呼吸困難えん下障害,擬声,神経麻痺等は何れも 腫瘍の発育が肺門部か.ら縦隔洞に拡がる場合発生する ものである。 肋膜霊液の増加は淋巴腺転移により淋巴の欝滞のた め濾出液の性質を毒するものと,肋膜への腫瘍の浸潤 により叉は二次的肺炎により滲出液の性質を呈するも のとがある。 原発性の肺臓癌が肺外科手術の普及により増々早期 診断の必要性に迫まられているが,レ線検査,並に気 管枝鏡検査は必要欠くべからざるものであろう。胸部 の単純レ線撮影像に点て無気肺,孤立性の腫瘍陰影が 右四な診断の助けとなり,その他気管枝造影法も補助 診断となる。気管枝鏡検査は癌組織を直接観察し得る 点有利であるが末梢部のものは到底見る■とが出来な い。試験的切除を行って組織検査を行うことは診断上 最も確実となる。 更に附記したいのは肺癌に習性胃潰瘍を合併してい るものが13例中4例に認めていることである。何れも 比較的浅い勝肱形成の少い,したがって,肺癌よりは 古くないと思われる潰瘍である。胸部の淋巴,血液の 循環障害が関与するものか,咳鰍により胃粘膜の循環 状態の変化叉は神経的要因を考慮すべきか.或は偶然 の合併であるか少数例で決めかねるが今後更:に検討す るつもりである。 〔肺癌の肉眼的高見〕 1,原発、巣 原登巣に就いては丈献的に右上葉左上葉,右下 葉,右中葉,左下葉の順に多いことが知られてい るが私共の13例について見ると,右上葉5例右下 葉5例(此の中,右中葉分岐部附近のもの2例), 左上葉3例,左右の比は3;10で右回に多いこと がわかる。実際に剖検時この原発巣を:決めること は腫瘍浸潤が強く殊に肺門部附近に高度の浸潤の ある時ぼ困難であるが私共は気管枝腔内に腫瘍が 増殖し早期に閉塞を起したと思われる部分を一応 原発巣と考えている。 2,発育状態 腫瘍の署内での拡がり具合を肉眼的に大ざつば に見ると肺の割面に於て三つの型に大別寓来る。 即
1,結節型
2,汎三型
3,樹枝状型 第1型は膨脹的に周囲の肺組織を圧排して拡が るものであり, 第H型は,周囲肺組織内に粟粒結核の如く播種: 状に拡がり境界不明瞭である。 第児型は気管枝周囲に沿い拡がるもので樹枝状 を呈する。此の外,大きな気管枝に癸生する中心 癌と末梢の気管枝に発生する周辺癌とに区別する ものも有る。 腫瘍変化を受けなV・肺組織にぱ些々肺炎肺壊疽 をみるが此れは二次感染によることは上述の通り である。早期に気管枝の狭窄を起こすと其の末細 に無気肺を生ナる。 肺門部附近の腫瘍が縦隔洞に拡がり縦隔洞腫瘍 を形成しこの部の臓器の圧迫屈曲が起り循環障碍 神経麻痺:等が現れる。叉腫瘍が大動豚起始部から 心外膜に侵入し,心臓をとり巻いた腫瘍組織が心 一519一臓の動きを制限する場合もある上空静肱の狭窄は 屡々見られる此の結果,鎖骨下門門,頸静豚,無 名掌骨の」窪栓形成が13例中過半数に見られた。 3,転移 肺癌の転移は気管枝淋巴腺に最初に起り此処か ら淋巴道を介して他の部分に転移するものと云わ れているが,一一方血行性に遠隔転移が生する。貫 氏は21例中その転移状況を観察しているが同氏に よると89.5%に転移を認め,肺門淋巴腺50%,他 g市38。8%,月回33%,・胃・33%,心臓16.7%,副腎 16.7%の頻度となってv、る。私共の13例に就V・て みると全例に肺下流域淋巴腺の転移がみられ,そ
の他肝臓3例,心のう3例,他言2例,腎臓2例
副腎1例,膵臓1例,頭蓋骨1例で原癸性肺臓癌 の1血1行性の遠隔転移は多くな㌔㌔ 〔組織学的考察〕 応診性の肺臓癌の発性母地として考交.られるも のは気管枝粘膜上皮,気管枝粘液腺上皮,肺胞上 皮である。組織標本をみた時,この癌が何れの上 皮細胞から発生したかを推定することは癌発生学 上大切な嘉である。剖検時揉点した肺組織片がら 作成されたものは,すでに末期の肺臓癌であるた めに癸生母地を知るごとは容易ではない。名大飛 岡氏は此れ等を分類する根拠として次の如く述べ てbる,以下飛岡氏の分類を引用しそれにより自 検例を類別する。 1,気管枝粘膜上皮に由来するもの。飛岡氏によ れば (1)肉眼的に気管枝原発を思わせる気管枝周囲の 樹枝状発育 〔2)粘液腺印環細胞,盃細胞の発現 〔3)気管枝粘膜よりの化生を思わせる扁平上皮癌 或ぽ ㈲腺癌であること。 組織的に腫瘍気胞の形態並に腫瘍組織の部位関 係より気管枝粘膜よりの発生を思わせるものであ る。したがって此れに属するもめは扁平上皮癌, 円柱上皮癌基底細胞癌及び此れ等の亜型である。 此処で云う亜型とは:大体単純癌の像を呈し部分的 には扁平上皮,或は円柱上皮に類似していると云 う意味である。文献的に円柱上皮癌の多Voことが 指摘されてv、るが私共の13例中,円柱上皮癌の像 を呈するものは3例であり,気管枝上皮の化生を 基礎として生じた扁平上皮癌1例である。その他 基底細胞癌例1,単純癌3例である。 H,気管枝粘液腺上皮より由来するものの根拠と して (1)気管被特殊に粘膜下の限局性浸潤 (2)粘膜上皮があまり侵されないこと, ㈲気管枝粘液腺類似の腺癌構造, (4)気管枝狭窄を:起し易V・こと。 以上の様に云われているが私共の症例では此れ た相当するものは1例ある。(剖検番号361) 皿,肺胞上皮が癌発生の母地となる。 このことは理論的には肺胞上皮が存在するとす れば此の可能性は充分考えられるが,現在肺胞上 皮の存否については病理学者の間に議論があり一 般に肺胞上皮の発生を認めんと.する者の根拠は (t)Ffi謂肺胞上皮の異型的増殖,肺胞隅隅管形成 像 ②気管枝粘膜の異型増殖のないこと 〔3)肺胞上皮類似の腫瘍細胞の出現等であるが私 共は此れ等に相当する症例を経験してv・なv・。 以上のように分化した上皮性の細胞から成る崇 め外に分化の程度の低い淋巴球に似た円形細胞か らなる癌がある。とれを小円形細胞癌と云v・,懸 る一一一・llKの学者はこれが肺胞上皮から発生すると主 張しているが私共の例に側ては,.この小円形細胞 癌が肉腫状に配列しているのが見られる。これ等 を肉腫と区別するためには格子繊維染色を行って 蜂箪状の構造がみとめられたので一応癌腫と診断 しfた。 前記剖検番号305ではその組織所見に於て一部 は確実に単純臓の像を示しているが他の一部に於 ては紡錘細胞肉腫の像が認められ癌と肉腫とが同 時に1発生したと考える。 以上発生母地による分類並に細胞の形態からの 分類を同時に示した。癌と肉腫との組織的鑑別診 断は往k一困難なことがあり飛岡氏の如く格子繊維 染色により格子繊維と細胞との構造的関係から此 れを鑑別するごとが望ましいが此れによっても上 皮性か非‡皮性かを区別することが困難な例もあ る。 〔発生原因〕 原発性の肺臓癌の発生原因について種々の研究 発表がなされているが,一応歴史的に発表されて V・るものを総括してみると迷芽説と気道の刺戟説とである。鱗芽説は,さておき特に最:近は後者が 問題となっている。喫煙と本症の関係を注目する ものもあり,塵挨その他の化学物質,例えばクロ ーム,ニッケル等の化合物,砒素化合物等も癌発 生を招来するととも云われている。又最近の文献 によるとウラニウム坑夫の50%に肺癌が発見され たと云われる。一体どうして気道の刺戟により癌 が発生するかに就V・て一般に気道粘膜の刺戟によ り炎症を起しこの経過中に上皮の化生を生じ此れ が癌発生への素因となるごとを主張している。私 共の症例剖検番号94に於て気管枝の所々に扁平上 皮の化生しfc所があり此れから扁平上皮癌が発生 したものを経験した。又時に肺癌でない患者の気 管枝上皮が扁平上皮に変っているものをみる。 猶肺結核症との関係を考慮する者もあるが私共 の13例に於てその発生が肺結核と関係あると思わ れる例はない。 以上私共の教室で剖検された例の原発性の肺臓 癌を総括し病理解剖学的組織学的考察を試みた。 稿を終るに臨み終始ご教示頂きました今井教授に深 く感謝致します。 (1) 剖検番号169, A群,(縦隔洞腫瘍の型)
引用文献
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(2) 1 t一 6 (1955)
難灘
..蛯Pn 音il検番号298,灘
欝 B群,(汎発性肺内転移) 一 521 一剖検番号305
C群(特殊のひろがりを示した型) { ゴ撫, 愛㌔嗣醒慧
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剖検番号94 腫瘍組織が大動脈起始部から侵入し心臓をとり 纏いている (5) 剖検番号 169の組織像 円柱上皮癌 (6) 剖検番号 298の組織像 円柱上皮癌(7) 剖検番号 305の組織像 1 単純癌 (8) 剖検番号 305の組織像 2 紡錘形肉腫 t9) ・墨’霧