91 因子を考え,それによる心因反応という捉え方が一般 的な考え方である.これに対して,演者の考え方は少 し異なっており,一般にいわれる因子は確かにあり, これに対する心因反応というものもあることはあって も,これは一部のもので,むしろ内因性の要因があり, 外からの因子のためにこの内因が引き出されて登校拒 否という現象が出てくるというか,成人なら別の反応 を示すのに,たまたま児童生徒であるために登校拒否 という反応を示したと考えている.そして,その内因 というものは身体的なものであり,24時間リズムのず れ,あるいは乱れにあり,それを惹き起こすのはまず リズムが乱れやすいという遺伝的な素因と,環境因子 としては心理的なものだけでなく,物理的な季節や気 温,また普通の疾患,さらに乳児期からの生活習慣に よると考えているのである. 以上の観点から,まず登校拒否についてリズムがど の様に乱れているのかを知るのが本研究の目的であ る,これによって自ら治療の方針も見い出し得るので はないかと考える, 〔教育講演〕 肝炎から肝癌へ (消化器内科)小幡 裕 近年における肝炎ウイルス(HV)の基礎的,臨床的 知見の進歩は目ざましいものがあり,対策も着実に成 果をあげつつある,
HVの持続感染(carrier state)をbase lineにして, 肝炎が発症し,慢性肝炎(CH),肝硬変(LC)を経て, 肝癌(HCC)へ進展する例に遭遇するのも稀ではない. HVのなかでもA型は一過性のみであるが, B型と非 A非B型にはcarrier stateが成立し,その機序として 前者は母子間,後者は一部に輸血による感染が知られ ている.
わが国のCHの病型はB:非A非Bの比率が1:
2である.これらの殆んどは潜在性の経過を経て発見 されている.natural courseとしてCHはそのまま経 過する例が多いが,活動型では20∼30%がしCへ移行 する.LCにまで進展すると以後は進行性の経過を辿 る.LCの生存期間は治療法の進歩により長期化して きたが,10年間で累積50%の比率でHCCが発生する.なおしC, HCCの年齢はB型が非A非B型に比し5
∼10年若年であり,また進展の進歩もB型が若干早 い. 対策としては先づ第1に持続感染の成立を阻止する ことである.B型では母子感染の予防対策として,出 産直後にワクチン,HB免疫グロブリンの投与が行な われ90%以上の成功率をあげている.非A非B型は 成立機序が明らかでなく当面は輸血後対策であるが, 未だ適確な方法はない.第2にCHからしCへの移行 を阻止することである.B型ではeAg陽性者が進行性 であることから,抗ウイルス剤(インターフェロン, Ara Aなど),免疫調整剤(OK432,副腎皮質ステロイ ド剤,シアニダノールなど)が用いられ,e抗原の陰性 化,さらにはe抗体へのSeroconversionを促進して 炎症を沈静化させる方法が一般化されつつある.また 非A非B型ではグリチルリチン製剤の投与が行われ ている. HCCの発見は画像診断法の進歩により容易となり, 径2cm以下のsmall liver cancerがtargetとされてぎた.治療法も包囲療法(アルコール,アパタイトな ど)が簡便かつ有効である. 21世紀にはB型肝疾患は激減するものと予測され る.このことは非A非B型肝炎ウイルスの本態究明 が待たれる所以でもある. 一803一