史 料 紹 介
琉球貿易図屏風
琉球貿易図屏風(部分)
今回の春の企画展で展示している琉球貿易図屏風は、昭和三十七年(1962)に彦根市の松居六三郎氏
から附属史料館に寄贈されたものです。 琉球王国は、14世紀末から中国(明)と進貢貿易を行って大い
に繁栄しました。しかし慶長十四(1609)年に日本の薩摩藩に侵略されて以降は、近世を通じて薩摩藩の
支配を受けつつ、明(清)への朝貢国としても存続するという状態に置かれます。
この琉球貿易図屏風は、1830年代後半以降~1844年の間に制作されたと推測されています。那覇港
に帰ってきた進貢船や、港を行き交うハーリー(爬龍)船・馬艦船や薩摩の大和船、さらに首里城と城下町の
ひとびとの賑わいが活き活きと描かれており、近世の琉球の風俗を今に伝える貴重な資料と言えるでしょ
う。
さて、附属史料館では収蔵している史資料について、ほかの博物館や出版社・テレビ局などから、特別展
示や出版物・番組中で使用したいとの依頼を受けることがしばしばあります。そうした依頼に応じて史資料の
実物や写真の貸し出しを行うことは、史資料の公開を進める観点から、史料館の重要な業務のひとつになっ
ています。 中でも最近、貸し出し依頼が多く寄せられているのが琉球貿易図屏風です。沖縄関係のテレビ
番組や、高校教科書・資料集また大学入試模試テキストなどに使用されたこともあるので、皆さんもどこかで
目にしたことがあるのではないでしょうか。
史料館収蔵史資料の中でもかなりの「売れっ子」な琉球貿易図屏風ですが、こうした絵画資料は本来きわ
めてデリケートな扱いが必要で、気をつけないとすぐ紙の変色や絵具の色あせが起きてしまいます。以前は
琉球貿易図屏風もだいぶ痛みがひどく、1999年度に大々的な修覆を行いました。現在は文化財保護の立
場から、年間での展示日数を合計4週間までに制限しています。
(史料館 青柳周一)