Title
水・土・と農業
Author(s)
大井, 浩太郎
Citation
沖大経済論叢 = OKIDAI KEIZAI RONSO, 5(1): 63-122
Issue Date
1981-02-28
URL
http://hdl.handle.net/20.500.12001/6704
作物 の栽培 に して も、 雨量 と気温に左右 されることが著 しく、果菜類 の栽培が ●●●●●●●●■●●●●●●■●●●●■●● 気温の高い較差によって致命的な打 華を受 ける如 く、 また本土 への夏 の出荷時 間 を一層ふやすために、農業横械 や化学 肥料、農薬を具わ されて いるが、 いずれ も 逆効果を生 じているとい う事実が あると、 いみ じくも水 と士の重要性 を説かれ る。 「資本主義 の発展につれ て、地域間 の矛盾 あるいは地 域内部の矛盾が非常 に深刻 化 し国士的 な レベ ルでそれを解 決 し、社会的不満を緩和す るとい う課題が 、政治 的 な安定を保つ ために要請 されて くる とい うこと。 次には地域間題 を経済政策 の 問題 として組上にあげ、 それ に取組む ことが 国家 と資本 に とって、経済的 に必要 かつ可能であるか とい うことである。 事実産業間の不均等な発展が進む につれて、 それが影 をお とした地域 間の格差が ますます拡が ってゆき、それ に対 して手当を しな くてはな らない事情が、常 に生れ るか らである。そ して他方地域住民の立場 か らみると、地域格差を縮少せ よとい う要求 と同時に、経済の発展 につれて、生 活圏や経済圏が ます ます拡が ってゆき.そのために生活や生産 につ いて の問題を 解決す る場 は、個 々の家や村 を こえて社会的な鉱が りを もって くる。 この過程 は 同時 に、従来の経済 の仕組みでは充分な所得をあげてゆけない人 々を作 り出す。 そ うしたところへ=場が来 る。道路がつ くられ るO レジャー ラン ドが できるとな ると、公共資本投 資あ るいは地域開発 とい うことが、何か しら新 しい期 待を彼 ら に抱かせ るとい う、開発 ムー ドがつ くられ ることになる。 こ うした企業側の要求 と、地域側の期待 とが、奇妙な同会関係を結びなが ら、地域 開発促進ムー ドがつ くりあげ られ るのである。 しか し 「現実の地域開発 の結果 は住民 に とって、初め に旗職 として揚 げられたよ うな、地域社会 の望 ま しい発展を もた らしは しなか っ し、 また地域間 の格差を解消せず別 の形 で新 しく作 り出す ことにな ったのである」。 いわば地域 開発 とい うのは、経済発展の特 殊なケー スである とい うので ある。 その特殊性 とい うのは未利用の 女源を新 たに利用す ることと、国家が種帝 を動か す主体 と して、重 要な役割を 占めていること、社会的公正 とい う目標が おかれて い るとい うことで ある。 このように地域 や開発を考 えると、資本の地域開発 は、それ と対立的 な性格を もっていることは明 らかである。 それは資 本に とっての地域 とは、利潤追 求のた めに必要な土地,労働 力および、その他 の資源が賦存 している空間 としての地域
で あ り、開発 とは当該地域 における住民 と自然 との個 々の歴 史的な結合様式を 瀞砕 し、 それ らを新 しく組合わせ る ことによって社会的生産 力を生み出す こと で あるか ら」。 このよ うな深閑 な理論を背景 と して、玉野井教授は 「沖縄 につ ● ● ● いて は水 と士の重要性を強調 され たのである。 それをふ まえて私な りの士に関 す る理論を追 求 しよ う (水 について は前記 の通 りである )0 「元来沖縄 の農地 の土壌を大 き く分ける と、① ジャーガル土壌 ⑧ 島尻 マージ ③国頭マー ジ ㊨ (国頭硬層士の )四つ に分 け られ る。 ジャーガル土壌 (泥灰岩土壌・・・島尻の 粘 土層 と中頭、国頭 の粘土層は成生の状態が異質 の ものである )は、沖縄独特 の土壌 で本土 にはみ られ ない。 この土壌 は本島南部中部 の内陸部か ら、太平洋 岸 にかけて多 く存在 してお り、珊瑚期以 前に海底 に堆積 した堆積層で、その後 の隆起 に よ って.珊瑚石灰岩の下層 に堆積 された。 に も拘 らず島尻地塊 は数慶 ●●● ●●● の ブ ロック運動 によ って、石灰岩層をつ き破 りなが ら、石灰岩層 よりも上部地 表 に現われた処があ り、地塊運 動によって、粘土が大 いに変質 して (石灰岩屑 と混合 して )アルカ リ土壌 とな って いるo従 って有機物を多分 に包含 し、肥沃 ●●● で あ り、肥料分 の保持 力 も高 く、栽培 作物 の適地である。 これに対 してブ ロッ ● ●● ク運 動がな く、長期 の平静期 (こあ った中東地域 の粘土層は、粘土質が撤密な重 粘 土 で、空気や水 の彦透 が悪 く、農作物 の横が十分 に張 って活動ができないと い う欠点が あ る。 そこで土壌 の改良策 と しては、砂質の壌土が砂僕士を客土 し て、粘土質 を弱めてい く必要が ある。 また堆 き ゅう肥な どの有機質肥料を多 く ●● 入 れて、士 づ くりをす ると同時 に土壌構造を粒 々に してゆ く、 こうして空克や ● 水 が参透 しやす いよ うfこ改良す ることで ある
。
「か よ うに島尻 マージ (珊瑚石 灰 岩土壌 )は、沖縄 の主要 な畑作地帯 を形成 している。 これは海底 (水深20 メー トル以 下 の浅海において造珊 瑚 虫によ って形成 され る )に堆積生成 したサ ンゴ礁が発達 して、地盤 の隆起 によ って、他 の堆積物 と湿 りあ って土壌化 した もので、粘土 の含有量が少 な く、空気や水 の彦遠位が高いO しか し逆に肥料分 や水分の保持 力が弱 く、晴天 にな ると忽 ち早魅 にな り易 い。 その上腐食士の含 有量 も少 な く、 アル カ リ成分 も少ない ので、肥料 の種類に よっては、や りすぎ る と肥料障害をお こす とい う欠点があり、 このよ うな土壌 の場合は、一般に地 下 水位が非常 に深 く、利用に困難を伴 うか ら、土壌 の改良にあた っては、水分 -100-を保 ち蓄え る力 と有効水量 の増大をはか ることが重要である」 (拙著 農業伝 書のすすめ )0 国頭マー ジ (琉球石灰岩土壌 )は、沖縄 本島中北 部 にかけて の海岸沿 いの殺 丘面及び本部半島.西表島の一部 などに見 られ るが、 古生層 の削剣 によって或 いは風化によって形成 された もので、一般的 に有機物 の含有量が微 弱で あ り地 表に僅か に堆積 した壌土 も、雨が降 るとアル カ リ成分が流出 し肥料分を保持す る力が乏 しく、島尻 マー ジに くらべ て強酸性の ところが 多い。従 って土地 の改良 には化学成分 の改 良に風 点をおき、 と くに燐酸成分をふや して、酸性の調和を はか る必要があるo またこの土壌 は山地 に分布 して、耕地 も傾斜地が多いか ら、 腐食士 な どの有機物の補給を行な うとともに、土壌を粒状 に して い くため に、 度 々客土をす ることが必要である。 島尻マージも国頭マー ジもその細成の量 は枯士が六部分を 占め るが、 なぜ国 頭 マー ジは肥料分が少ないか。 それは前記 の よ うに 「国頭の地質 の造岩鉱物 は 数十万年にわたる長期 の風化 によって、 カオ リン、 モ ンモ リロナイ トな どの輪 土鉱物 に変質 し、その削剣 によって形成 され た粘土であるが故 に、殆ん ど、有 機物を含有せず、死 んだ土塊 にかわ っているか らである」。そ の他 の土壌 も安 山岩、石英岩、花樹岩等古生代 の岩石 の風化 した もので、全体 として酸性 の土 壌であり、着分の保持力が弱い。 沖縄県 は産糞の振興 開発計画 について、およそ次 のよ うに指隔 して いなが ら、 農 業用水の開発確保 につ いては余 りふれ よ うとせず、寧 ろ冷淡であると思われ る。すなわち 「農業 は復帰前後か ら経済 社会状勢の激 動によって苦 る しい変貌 を示 しているO離島虎村 山村地域を 中心に農外 資本 による農用地 の買 占めや、 過疎化の進行等に伴ない農地 の遊休化が進む とともに、人口産業 の中南部への 集 中及び大規模事柴の実施 に伴 う非鼻 糞用途への壊廃が進行 したため、耕地面 積 は減少 した。 また農 家戸数 及び鼻糞就業人口は著 しく減少 し、農 家戸数 は昭 和五十三年に45,850戸 と、昭和四十六年 の75%に減 じ,農業就業人 口は 80.19%で、日脚 口四十六年の80%に滅,少している。 にも拘 らず鹿 家戸数の 75.4%が第二種兼菜農家 によって占め られてい る.農 家一 戸当 りの経営規模 では、昭和四十八年の 78アールに対 し、昭和五十四年には 94アール と、昭
和五十四年 には増加 して いるが、全国の115アールに対 し、経営規模は依然 と して零細規模である。 これは土地 に対す る非農 業部門の活唇な需要を反映 し て、地価 が暴騰 し、規模拡大を困難 な ら しめるとともに.農用地の資産的保有 意識が高 まり流動化を阻害 して いるか らで ある」0 「鼻糞生産 も耕種部門では基幹作 目であ るさとうきびが、復帰後昭和四十九 年 まで減少 の傾向 にあ ったが、生産者価格 の上昇、生産策 な どの諸施策の展開 に よ って、最近は回復基調 にあ り、パ イ ンア ップル、水稲、甘藷の生産は、需 要 の低迷 と生産を とりま く環境 の悪化 によ ってパ インア ップルは停滞 し、水稲、 甘藷 が激減 している。 これに対 し、野菜、果樹、葉 たば こ、花井.蕃蚕 は安定 的 な伸 びを示 し、多様 な変化を示 して いる。特 に資本集約的施設型農業が沖縄 本島においては、野菜、花井 を中心 に展開 しは じめ るとともに、離島地域 にお い ては蕃蚕が振興 しつつある」0 最近農業 の見直 し気運の高 まりな どによ 一一、て、農業の比重が高まりを示 して きた. しか し近代的な農家経営意識 に欠 けるところがあり、生産基盤の車備、 生 産団地 及び生産組織 の育成 な どに影響を及ぼ している。 本県経済の県内純生 産及び産業就業構造 に占め る鹿糞 の割合は、総体的 に高 まっている。 また移出 品、石油製品を除 くと、砂糖、パ イ ンア ップルかん話が主軸を な している上に、 食棲 製造業において も大 きな比重 を占めてお り、基幹産業 として の地位を 占め て いる。農業生産 の うち桝種 .・S門において は、 さとうきびが作付面積 の減少、 台風、干魅等 の災害、支持価格の相対的な低位性 な どによって、昭和 四十九年 まで滅少 の傾向にあ ったが、五十年以降生産者 価格 の上昇単位当り収最の増加 に支え られて、生産量生産額 とも増 加 し、回復 に転 じている。 パイ ン、水稲、 甘藷 な どについては、需 要 の低迷 と、品種改 良等栽培技術のたち遅れな どがあ り、生産を とりま く環境の悪化 によ って遂年減少 している。一 方野菜、花井、 甘橘 の伸びは苦 る しく、生産額は三倍 に拡大 している。 いわば復帰 に伴 う本土 との経済圏の一体化に より、農産物、農業生産資材等 の移出入が迅速 に行なわ れ る反面、多種多様 の農産物が移入 され、競争が激 しくなるな どの問題はある ●●●●●●●●●●●● ●● が、本県 の 自然的有利性を生か して、端境期 に向けた冬春期野菜、花井、甘橘 ●■●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● 等産地化 と集 出荷体制 の整備による移 出の芽が着実に育 ちつ つある。 それでは - 102
-農 業の計画的整備は どうな っているだろ うか。 -農業振興地域 の整備 に関す る法 律が復帰 と同時に通用 され、農業農村地域 における合理的 な土地利用及 び各種 農業施策 の計画的かつ集 中的な実施を図 るため、農業振興地域整備基 本方針 の 策定 と伴せて、農業振興地域 の指定を行 うとともに
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市町村 につ いて、農 業振興地域整 備計画を策定 して、その適正な管理 につ とめ、合理的な土地 利用 及び各種農業施策 の計画的且つ集 中的 な実施 の面で効果を挙 げつつあ るO しか しなが ら総合的 な地域計画 と しての機能及び各種施策間の有機 的連携が、必ず しも十分ではない等 のほか、農用地 区域 に含め るべ き相 当な農地が企業 の買占 め地であ ったり、農 家の宅地 化指 向等各種 の要因があって、かな りの規模 の農 地 が、農振 自地域 として残 されていることな どの問題 がある。 また農用地確保 について も、農業の基礎資源である農用地 の保全確保を図るため、農地法を適 正 に適用す るとと もに、農用地の確保拡大 を図 るため、遊休農用地 の活用を併 せて、山林原野の うち、農業用適地 について は、農 用地 の造成、畜産的利用を 促進 して農業生産及び経営規模の拡大 に資 している。農 地 開発 については、農 地 開発事業並 びに農地開発利用促進事業 によ り、昭和 四十九年度の3.3- タタ ールをは じめ、昭和五十三年度 までに、 117- クタールを造成 したが、開発 予定地が国有林及び軍 用地 とな っているため、事業着手 までに相 当な時間を要 す ること、土地 の権利関係 に、不明確 な部分が多 く、事業推進 に当 って所有権 の確認及び権利関係 の調整 に長時間を要す る等事業 は必ず しも原 調(こ進んでい る とはいえない。 草地開発 について は、既存牧野の高度利用 と併せて、低利用 地等を団体宮 草地開発事業、農業公社、牧場設置事業及び公共育成牧場整備事 業 により、五三年度 まで に、 I,701ヘクタールが整 備 され た。 しか し市町村 における執行体制が弱いことや、 資金力の乏 しい農家の事業参加であることな どのため、市町村 負担 が多い。農業用水 の確保 につ いて見 る と、沖縄は年 降水 量56倍 トンで、 日本有数 の多雨地帯であるが、降水の分布が梅雨期 の五、六 月と台風期 の八、九 月と時期的 に片寄 っているうえ、用水需要の盛んな夏期の 台風が少ない と、某雨 にな り、表層上の薄 い保水 力の弱い島尻 マー ジ地域 は、 しば しば干魅 によって農業生産 は多大の被害を受けて いる。農業用水 は復帰前 に建設 された溜池な どを中心に、- 日当 り10万平 方 メー トル の用水量 の確保と併せて、昭和四十七年一五十三年 まで の事業 によ って3.2平方メー トル追加 され122万立 方 メー トルは確保 されているが、昭和五十六年度 目標57.0万 立方 メー トルに対 して さえ
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3.1%の達成率で、頗 る立 ち遅れ の感 じである。 これ について は次 のよ うな悪条件が あることを指摘 しつつ も尚、その方策を改 変す ることな く、継続 に踏み きろうとしている。 すな わち本県の河川 の流路延長が短かで、効果的 ダムの建設がで きないこと、 生活用水、工業用水を対象 とす る広域利 用計画 に、農 業用水が織 りこまれてい な いこと、 さらに養親鼻糞 に対す る農家の意識が低 い上 に、市町村 の執行体制 の帯 さな ど問題が山積 している.実際 に本県 の農業 は経営規模が零細である上 に.港概排水施設、圃場 と農道等の整備が立 ちお くれて、分散的 に農地を保有 して いるため、機械化が進 まず農業生産性は低 い状況 にある。最 も急を要する 土地改 良の推進 につ いて も昭和四十七年∼五十三年間に3,143- クタールに 適 しただけで、 「要整備量」47.000- クタールに対 して僅かに7.1%の達成 率 である。 また農用地保 全につ いては、急傾斜地帯か特殊土壌地帯 における、 農 地 の侵食崩湊防止を図 るため、集水路兼用農道、排水施設又は改修、 島尻マ ー ジ地帯 における農地 のサ ンゴ礁を排除す る等、農地侵食防止事業 の実施 より、 昭和五十三年 までに、農地侵食防止299.9ヘ クタール、サ ンゴ礁排除1,381.1 へ クタ-ルを整 備 したが、排水施設整備の立 ちお くれがあ って、土砂崩壊農業 用地施 設の破 壊で農業生産に大 きな被害を与 えてい る。 老朽溜池整備士砂防止 につ いては、か んがい用 溜池の大 部分が復帰前 に築造 された もので、溜池設置55地 区の うち51地 区が、漏水決壊の危険にあ り、 現在潜池等整 備事業 によ り、整備をすすめ、昭和五十三年 まで老朽のため池 245.2ヘクタール土砂崩壊防止45.3- クタールについて整備 したo しか し 依然 として宴備を必要 とす る老朽溜弛等は多 く残 されてい る。 すなわち地域農 村 も県 も鼻糞用水確保 のため、其の基本構想をね る暇 もな く、施設整備の整備 について、極 めて冷淡であ ることが察せ られ る。水資源の開発についての問題 点は種 々指摘 されて いなが ら、現段階 において は、た だ問題点 の羅列 だけに終 っている感 じである。 実際 に本県は雨降は多いといいなが ら、水利用 について ●●●●● は 「思案 だおれ 」の感が あ り、それは、 自然条件が劣悪 であ り、その上水資源 -104-開発が著 しくお くれているか らである。事実沖縄は人 口 も多 く、産業 も集積 し、 水需要の伸びは極めて高 く、需要 は供給能力をはるかに上 まわ って いる。 その結 結果干ばつ年にはき っと制限給水を余儀な くされ る状態が続 いて いる。水需要 が現在の伸びで続 く限 り、都市要水の需給遍道 は依 然解 消 され ないで ある う。 特 に農業用水 の需要 は、港概計画の進展 によって飛躍的 に増 加す るだろ う。工 業用水道 も工業開発が進 めば、落 ちこむ ことは必須 である。 だか ら水資源の確保 には、長期的総合的 な水需給 の計画を策定 し、速やかに 多 目的 ダムの開発をすすめ、地域 の需要に応 じた開発を行 うべきで あ る。 開発 に際 しては、水源地 域 の 自然環 境や社会環境 の保 全 及び水源地域 住民 への開発 利益 の還元等 に配慮す るとともに.'同地域の水道用水、農業用水 の確保 を慶先 すべきである。水需要の給増す る沖縄 本島に於ては、水資源の開発を北部地域 ●●●■●●●●●●●●● のみ に依存す ることな く、中南部地域 において は地下水を利用す る地下 ダムの ●●●●●●●●● 開発 による有効利用を考 えな くてほな らない と思 う。農 業用水 については港概 計画地域の規模に応 じた中小河 川や湧泉な どの積極的 開発に も留意 しなければ な らぬ。水需要 とは原料水 などを除けば、水 を汚染 することを意味 してお り、 水の確保 とは、水質 の良い水を如何 に低 コス トで利用す るか とい うことである-(前 記参照 )。汚染 された水はその度合 に応 じて、利用範甑が狭 くな って くる。 従 って絶対的 に不足す る水を有効に利用す るには、水質保 持のための施策 を図 る とともに、汚染 度合に応 じた循環利用の体系を確立す ることが必要で ある。 また進水 コス トが高いことを除 けば、畳的質的 に問題 のない海水の淡水化 につ いて も検討を続けなければ な らない。 現在の水需要の状況は昭和五十二年の実績で、ft=.活用水 、都 市用水が37万 d/ 日、工業用水44.7万 pl3/ 日とな っている.農業用水 は利用可能が、昭和 九三年度実績が13.0万 nlJ/ 日であり、昭和四十六年度に此 して3.0万m3/ 日 増 加 しているofr:活用水、都市用水の使用量 の増加は特 に甚 だ しく、一人当り 昭和四十六年一五十二年度で
2852/
入 日か ら、3462/
入 日と21
%の 増加 とf'ilった。 にも拘 らず水資源 の開発 がいち じる しく立 お くれて いることは、 農村 の水需給 に対す る冷汰 さがその原因である らしく、その結果 多 目的 ダムと して完成 した ものは僅かに福地 ダム.新川 ダムだけで、 これ による供給増 加は資料・'
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日である。 地下水については市町村 の要請によって、調査実施 は しているが、現在 まで 知 られている可能水量は復帰以来延べ27,000n
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日に過 ぎない (荏 :この事 実は地下水の未探索か技術の拙劣を意味する ものである )。 この地下水 の本格 的な利用、地下水 ダムの建設によって、農業用水を確保することは可能であろ うし.早急に地下水 ダムの開発 に向けねばな らないと思 う。そ こで新たな水問 題を提起 して くると思われるものに、水源癒着林保安林の指定であるが、 これ は殆んど進歩 しない状況 である。 これに向ける地域農村 の予算措置を確立 し、 水源海事林、保安林の育成に努力せねば な らぬ と思われ る。3
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土 と農 業
沖縄本島の地層構造を見 ると、国頭地方を形成す る地層は、古生層であるが、 この古生属は数千万年来数回ない し数十回の槽 曲運動や断層運動 によ って地層 が複乱 されてお り,その上狭長な地体であるだけに、地層の走向 も北東か ら南 西に走 り、傾斜の角度 もほぼ西に傾斜 している。地層が禰 曲や断層 によって凍 乱されているか ら基盤をなす粘板岩は時 に石墨片岩 に変質 し、砂岩の多 くは又 緑泥片岩に変 じている。東海岸の川田一有銘一瀬音付近 の傑岩 は露出 していて、 粘板岩や砂岩 と互層をな している。 この付近では地下層深 くにある枯坂岩が花 繭岩は長期にわたって地下水の水触によって粘着力 の強い粘性鉱物 に変 じてい る。西海岸の辺野暮一辺土名一大宜味一今帰仁 ・本部 にかけては石灰岩 (古期 石灰岩 )が粘板岩や砂岩、桂岩の層 と互層をな し、 (この現象が禰曲運動 のさ かんであ った証拠である。 )石灰岩の多 くは結晶質で白色又は灰色を呈 し、た またま粘性鉱物 に変質 した岩石は緑色を呈 している。玉分岩は名護の数久 田か ら 恩納村の仲間にかけて数十米の断崖をな し、数十万年前か ら植物の繁茂によっ て、岩石内部に亀裂や空洞が生 じたため、崖崩れの名所 になって いる。 この岩 層は長期 にわたる地下で の摺曲や断層を受け、且つ地下水 (自然水 )の侵食を 受けたために、有機物質の含量が少な く、表土 となってもその土塊 は殆ん ど作物の栽培 に適 しない とい う状態で ある。 これに反 して島尻、 中頭地方の粘土か らなり、往 々に して汲褐色の横や砂を含んでいる。 この地層は沖縄島中部以南 の基盤を構成 していて、大部 分が柔か く、水 に接触す るとたやす く崩壊すると いう地層である。 この地層は多 くの化石を含有 し、有孔 虫の死骸 や海綿等見出 され、やは り海成層で あることを証 明 している。 琉球石灰岩は この地域の丘陵地、台地 (特 に海岸台地 )を構成 している。種 々の石沢岩か らできていて白色か汲褐色 を呈 している。 この うち多孔質の石灰 岩は、サ ンゴ期 に浅海 (二十米以下 )において、サ ンゴ虫によって造成 された 岩石で、化石を多 く含有 し、有機物質を含み農耕地 として最適である。 しか し、 この石灰岩の中には、凍結せず、 しか も崩簾 し易 く、石灰質がば らばらになっ て砂粒にな .・・'ているところが ある. (地質時代を通 じて数十回の地殻運動 によ る具志頭、東風平 の丘陵地 )国頭礁層は砂僕 と分解 した土壌 の互層か らなって いて、国頭南部か ら中部地域に連続 した地層をな し、多 く
80- 100
7nの台 地状を な している。その基盤 はやはり古生層で、古生層の上部を被覆 している。 にも拘 らず この層中にはたまたま青灰色の砂及び粘土 の層がは さまっていて、 幾度かの地殻の擾乱があ ったことを示 しているO柴野比か ら東恩納 に至る台地 と、塩屋か ら平 良に至 る台地や傾斜地はすべて この地層か らで きており、化石 も含まれず、有物 の含有 もな く、多雨期になると崩簾 して多 くの溝 を造 る. 従 って農業地 としては不適で、漸 く他 の アル カ リ土壌や クチャを混合 して、中 性の土壌化 して、農耕に利用 され るだけである。 すなわち、沖縄島の全面積 の三分 の二を 占める国頭の古生代の岩石は粘板岩 (古期粘板岩 )砂岩、輝岩、角閃岩、輝線凝灰岩で構成 されていて、稀に撤密 な桂岩を交えた石灰岩 もある。 この地層は数千万年 に亘る長期間の地殻運動や 風化浸食 によって、有機物はすべて放出 され、 いわば死の岩塊の累積 された地 帯で あるというべ きである。従 って洪積世以来 この岩塊上 に堆積造成 された植 士や壌土の薄層が催かに植生土壌 として利用 されるに過 ぎないといえる。沖縄 島東北部地域 に設営 され た米軍基地 (演習地 )の殆 んどは国頭僕層の被覆 して いる地域で あるにも拘 らず、基地設営の都度削 り取 られては、赤土の流出現象 を起す ことはもちろん、古生届 の表土 となっている植土 さえ も削刺 されて、海 -108-岸にソ リフラクション (流土 )の現象を引 き起 こす に至 っては、沿海 の生物が 死波す るのは 目にみえている といえるだろ う。陸上 の植生が死滅 の運命を背負 わされているとも考 えねばならぬ。 ただで さえ、沖縄の農業は多 くの不利 な条 件をかかえている。 すなわ ち、 1. 土質の適 いか ら来 る- ンデ ィキ ャ ップが ある。 本土 の場合は、沖積土 壌 と 火山灰堆積 土が大部分で あるO沖積士 と腐植土が混 じった ものが、 す なわち本 土の農業 地帯の土を形成 している。 にも拘 らず沖 縄の土壌 は大別 して もマー ジ とジャーガルである。 いわばサ ンゴ石灰岩 の上 に堆積 した土壌で あり、腐植土 は きわめて少 ない。 この腐植 土の多少が農業における産 出高の差を決定的 に し、 深水産 とも相 まって、 品種 の受容慶の広狭 を決 め、農 業の形態 に大 きな相連を 与えている。 その上沖縄 の土壌 は、土壌微粒子の固化慶が高 く、 耕作上 の労力 が多 く要求 されている。 2. 温帯性気候の下で の本土 の農業 と、亜熱帯性の気候 の下での農業の相異で ある. しか も沖縄の気候 は きわめて不順で ある。夏季 30度C以 上、冬季8皮 C、 その格差が
20
度C以上 とな り、有用栽培 作物 の範 囲に限界 を与え る。特 にこの格差は果菜類 の栽培 に致命的な打 撃を与えている。すなわ ち沖縄 には植 生種類は多いのに拘 らず、有用性を もつ作物 は少ない とい う現象があ る。 3. 「沖縄の農業は島峡的農業である。す なわち、中央 との中継的 ポイ ン トで しかな く、政治、経済の中心か ら隔離 され た、 いわば従属的 な性格に追 いこま れて きた。 島峡であるが故に耕地面積 の規模の制約がある。す なわち農業上の 適地が制限 され、 開拓に も限度がでて くる。 いきおい許容農耕地 の も とで しか 生産 目標 も立てざるを得 ない とい う不利 な条件 がある。
」 (拙著農業伝書 のす すめ ) 4. 農業技術上の格差が大 きい。作物 は土壌 の上での、 日光、気温、湿度 (水 ) によるバイオ メカニズムによって規定 される。土壌 の改 良については尋問家の 粘り強い地道 な研 究が基礎になってい る。そ こで客土のために美大 な量の土壌 の移動 を伴 なわなければな らないが、 そのために地形や 自然環境 に大 きな変化 をおこす ことにな る。 また区画整理や傾斜地対 応 も考慮 に入れなければな らぬとい うこ とで あ るoす なわち土壌 の微粒子構成、粘着性や保水性 も配卑 し、設 備 集約的 な砂凍土栽培 も考 えなけれ ばな らぬ とい うことである。 さらに水利の 問題が まず考 え られ ねはな らぬことで ある。 そ こで沖縄では適切な港概を行な うために農業用 ダムが建設 され ねばな らないが、今 日で もダムの用水 は専 らふ える人 口に飲料水を給与す る ことが精一杯で ある らしい。速 やか に多角的 ダム に切 りか えて、農業用水を補給す る必要が ある。 いわば農業用水 の確保 と利用 が沖縄農業の死命を決 す るとで もいえ ようか。 (前節参照 )作物 の生育に必要 な条件を列挙す ると、光、空気、温度、水、着分で あるが、作物は光のエネル ギーを用いて、水 と炭酸 ガスか ら炭水化物 を生成 し、 その一部 の酸素を吸収 し て、炭酸 ガスと水 に変えているO 孝介や水分の吸収 をは じめとす る種 々の活動 に必要 なエネルギ ーは、呼吸作用 によ って得 られ るのである。すなわち、作物 は各 部分の呼 吸作用を行 なうが、特 に根は着分や水分の吸収 に大 きな影響をも たらす。 根の呼吸作用が良好 に行 なわれ るよ うな虜境づ くりをす ることが、作 物 の着分や水分 の吸収を円滑 なら しめる所以 である。 この環境 の うち、土壌の 条件 はいか にあるべきか、列記す る と次の とお りになろう。 1. 土層が深 くて軟か いこと。すなわ ち根が深 くまで入 りこみ、 養分や水分を 吸収す る範囲 が大 き くなる。 2.排水 がよいこ と。排水 が悪 いと土壌 中の空気 が少な くなり、根の呼吸作用 に必 要な酸素が欠乏す る。 また還元状態にな るため有害物質が発生す る。 3.保水 力が大 きいこ と。 保水力が大 きければ干魅 の被害 を受け に くい。 4.空気 の含量が高 いこ と。 土が下層 まで軟かいと呼吸作用 に必要 な酸素を多 く含む。 5.養分の保持力が高 いこと。 (保 肥力が大 きいこと ) 6.養分を適量含む こと。 養分は多過 ぎて も少 な過 ぎて も、作物 の生育は制約 を うける。 7.有害物質を含まないこと。土 壌に有害物質があれば、作物 の生育は阻害 さ れ る。
8
.
取 りあっかい易 いこと。重 粘土土壌や硬質士は機楓による作業が困難であ る。 -110-以上 の土壌の条件 の うち一つで も欠 けば、 その土壌で生育す る作物 は、何 ら かの制約 を うけるよ うになる。 このよ うな土壌 はどん な地質 構造 によ ってできた ものだろ うか。 沖縄島には 古生代か ら沖積世に至 るまでの岩石や地層が あ り、 また地形的 に も変化 が多い ために、これ らの要因を反映 して多種多様 の土壌が分布 してい る。 しか し沖縄 のように風化作用の敢 しい温暖多雨の亜熱帯気候条件下で は、基本的 には赤 ・ 黄色系の土壌が広 く分布 し、一部には第三紀据灰岩 に由来す る灰色 の成帯土壌 が分布す る。 「この赤 ・黄色系の土壌をマー ジと呼 び、 これを さらに細分す る と、琉球石 灰岩に 由来す る努酸性、弱 アル カ J)性の土壌を島尻 マー ジとい って いる。 また 千枚岩や洪積層 に由来す る酸性土典を国頭マージと呼んで いるC 中頭地域 に広 く分布す る第三紀泥板岩 に由来す る灰色 の重粘土、 アル カ リ性土壌を ジャーガ ルと名づけて いる。 島尻 マー ジとい う土壌を概態す ると、 沖縄本島の中南部、本部半 島、 宮古、 八重山、 南北大東島、久米 島に広 く分布 している。 暗褐色を呈す る中性ない し 弱アルカ リ性の石灰岩土壌で ある.基岩はきわめて 多孔質 な石灰岩で、表土層 は硬質ない し粘賃 である。土層は厚 い とこ ろでは三米以上 にも連す るが、「股 には土層の厚薄の変化が大 き く、場所 (こよっては基岩が地表に蕗 出す るところ がある
。
」 (拙著 ・沖縄の地誌 ) 「国頭 マー ジとい う土壌は、 沖縄 島の中部北部 と石垣島、 久米 島、伊平屋島、 慶良間島に広 く分布す る。 この土熊 は赤色黄色を主 とす る酸性土集で、千枚岩 地帯 には、土層の薄 い ところもあるが、一般的 には土層が厚 く、数 米におよぶ 土層の存在す る地域 も少な くないO ジャーガル土壌は本島 の中南部一帯 と宮古 島の一部 に分布す る灰色を帯びた 弱アルカ リ性の重粘土壌である。
」 (喜久)tほ ・沖縄農業読本参照 ) 沖積層土壌は本島の 中、南部 の海岸 地帯 に分布す る海成 沖積層土 壌 と、 河川 の河 口部周辺 に分布す る河川沖積層土塊 に分け られ るが、一般 に平担 な地形を なしている。
「地方保全基本調査の結果 によると、本県の耕地土壌 は島尻マー ジは41,4%、国頭 マー ジ27.5%、 ジャーガル17.6%、その他 13.5%である. また土地分類 図によると全土地の うちでは、森林の多い国頭マージが ち っとも広 く53.4%を 占め、ついで 島尻マー ジ28.8%、 ジャーガル9%、そ の他8.8%である。 この うち国頭マ-ジ以外 には、その大部分が農耕地と して 利用 されているので、今後農耕地を開発するとすれば、 主に国頭マージである. しか し国頭マージを開発す る際に注意せねば ならぬ ことは、この土射 ま保肥力 を全 く保有 しないとい うことで、土地改良上 の難点があることである0 以上 四種 の土壌の基本的性質を示す と次のよ うになる。 1. 島尻 マ- ジ 2.国頭 マージ 3.ジャーガル 1. 暗褐色を皇 し、平痩地が多い。 2.徴酸性か 弱アルカ リ性土壌である。 3.有機物 質の含量は稽々低い。 4.下層土は撤密で硬い。 5.この土壌は取 りあっかい易い0 6.土壌構造がよく発達 している。 1. 赤褐色で、傾斜地 に多 く堆積する。 2.酸性土壌で限 られた植 生だけが繁茂す る。 3.有機物 質を全 く含有 しないか、 きわめて微量 に含 まれて いる。 4.下層土が敵密で硬い。 だか ら雨水を浸透す る力がな く、 水 は地表を流れ去 るものが多い。 1. 灰色であ り、傾斜地 と平担地に多い。 2.アルカ リ性土壌で有機物質 の含量 も多 く肥沃な農耕地で ある。 3.土層 は厚いが不透水層で、雨水 も表層を流下す るか溜水 となり、作物栽培 には不適。 4.下層土は撤密で土壌 もとり扱 いにくい。 I 1 以上、土壌の性質か ら考えられる農業の基本的 な問題点を列挙す ると次のと おりになろ う。 1. 島尻 マージは保水力が弱 く、夏季干ばつ の被害を受け易い.台風の被害よ りも干ばつ の被害が大きい。 -112
-2.土層が狭 くて も基岩が激 怒で硬 く、根、水、 空気 の侵入が飼難である。 3.土層が浅 く表土の真下に石灰岩 の岩盤や疎が出現することが 多 く、機械化 農業 に困難性があ る。 4.土壌中の有機物 の含量 が少な く、 有機肥料 の施用 が必要で ある. 要するに島尻マ ージは保 水力が低 く、下層土が硬 く、 下層土 の空気含 有量が 低 く、土層も浅 い。 1. 国頭 マ- ノは塩基 (CaMg)が溶脱 された酸性土壌 であり、 燐酸 も欠乏 して いる。 2. 下層土が赦額 で不透水層であ り.根、水、 空気 の侵入 が困難で ある。 3 下層土の透水が悪 く、 多雨時には停滞水 による湿害を受 け易い。 4.土層 は一般に深 いが、一部浅 い もの もあ り、表土直下に裸 の出現す るとこ ろが ある。 5. 有機物質 の含有量が少ないか或は皆無 の地域が広 く、土地改 良に莫大な量 の客土を必要 とす る。 6.強酸性の硫酸盤土壌がたまたま出現す る。 このよ うに国頭マー ジは酸性 土壌で あるため.澱性を好む 作物を栽培 す る場 合 は.余 り問題 はないが、野菜類、花井類、 サ トウキ ビ等を栽培す る場 合は酸 性改良と無機蕃分の補給が必要である。一般的 に国 頭マー ジは蕃分含有量が低 く、有害物 質を含み、土層 も浅い。 これ らの基 本的な条件を改善 し.作物 を育 生 させ るに必要なすべて の養分を含んで いる有機物 を施用す ることが、すなわ ち国頭マー ジの合理的な士づ くりである。 ジャーガル士 は、表土の物理構造が 悪 く、耕転が困難であ る。 下層土の透水性 も悪 く多雨時 には停滞水による湿害 を受 け、夏季干魅期には作物 の根 をいため植生 の生長 を妨 げる。 しか も下層 の基岩 は赦 密であ り、作物 の根、水、空気 の侵入を困難 にする。 土層は一般に来いが、一部浅 い ものがあり、表土直下に泥灰岩 の岩盤が 出現す る。有機物 の含有量は多いか ら、土地改 良に際 しては扱 い易いよ うなアルカ リ 土壌を混用すべ きである。要す るにこれ らの基 本的条件 を改善 し、 作物の生育 に必要 なすべての着分を含む有機物を施用す ることが、 ジャーガル土壌 の合理 的な士づ くりであると考 え られ る。従 って沖縄では良い土壌 の条件をそろえる
ための主 な士づ くりの対策 と しては次の とお りになる。 まず 島尻 マー ジの地域では、 クチャ (第三紀泥灰岩 )の入手 できるところは、 干魅 に対す る抵抗 力が強 くな り、降雨を効果的 に利用す ることが重要であり、 島 々では表土の保 水 力を高め るため、 クチャを客土 として混合す る。混合 の割 合 は10アールにつき、 90t程 度が もっともよいといわれ る。土層 の深 いと ころや礁層 で も リッパーの利用が可能 な ところは心破砕を行 う。 そ うすれば下 層 深 くまで根が侵入 し、水分を供給す る範囲が大 き くな り、多雨時の停滞水が な くなる。 土層の浅 い ところは、客土を して土層 を深 くす るよ う工夫する。 こ の地域では一般 に有機物質が少ないか ら、有機物質を増施す ることが最 も重要 で ある。 国 頭マー ジの地域で は、 クチ ャの入手で きるところでは10アール当 り約30
t
を客土 して、表土30
cnに混合す るOすなわち10
7-ル当 り30t
を混合 す ると、 ほぼ ジャーガル並 となり、サ トウキ ビ、野菜、花井 の栽培 に適す るよ うにな る。 クチ ャの入手で きない地域 ではケイカル、 ヨウ リン等を施 用す ることが望ま しい。 そ うして リッパーによ って心士 の破砕を行ない、湿害をB]遵す るよ うに す る。 酸性硫酸盤土壌 には、粗砕 した琉球石灰岩 を10アール当 り 18tを入 れ、表土30m に混合す る。 この ことは古 く1751年金城和最 とい う農学者 が実際 に施用 した ことが、その農業伝書 の中に記録 され ている。 土層の浅 い ところは、硬い磯や石塊 が 出現す るか ら、 こ うい う場 合は客土を す るよ う心得 ることである。 そ うしてつ とめて有機物を増施す るよ うっ とめる こ とで ある。 ジャー ガル土壌 の地域では、 島尻 マー ジを10
7-ル当 り80- 100t
客 土 して、表土を24- 30(刊に混合 して土壌 の物理性を改善す る。 マー ジを体 積 割合 に して4分 の 1混合す ると粘着性や、硬度が低 くな り、凍 いやす くなる。 表土の改良 ととも(こ下層土 の排水不良を改善 す るため 9〝蛸 】隔に暗渠をつ くり、 排水を行 うことも必要で あるO特に米作の場合は、排水を行なわないと、夏期 の高温 のため潜水が温め られ、稲が枯死す るとい う現象がお こる。 サ トウキ ビ 栽培 で も排水不良であれば、根腐れをお こす ことになる。-1
1
4-この種の土壌では、本暗渠施行 とともに、心土 の破砕 による補助暗渠を密に 施行す る。 ニー ビ客土は暗渠施行 による改 良以外応急的な改 良方法 と しては、 停滞水 の位置を下げ、下層 まで、空気含量 を増 加 させ るよ う工夫 し、ユ ンボー による起深耕を行な うことが望ま しい。 さらに有機物質 を施用す ることは、生 産の増強を計 る上にな くてはな らぬ作業で ある。つ まり有機物 (堆 さ ゅう肥 ) もとど丘_ を施用す ると、作物 の生育が よ くな る堆 き ゅう肥を基肥 として、使 うことはま ず着分 と しての働 きが苦 る しい とい うことと、安 定 した腐食土 として、作物 に 対 す る土壌環境をよ くす る働 きにつなが るのであ る。 に も拘 らず国頭地 方の土壌 は大 方酸性か強乾性土壌 であ り、 これを矯正する には どの手段を とるべきか とい う問題がある。 まず石灰質 資材を酸性土壌 に施 用す ると、作物の増収がで きる。 これは古 くか ら農家で利用 されてきた。すな わち(I)石灰Jlg教材を施用す ることによって、土壌 の有機物 の分解が促進 され、 作物 の吸収利用 され る無機物 の分解が促進 され、作物 に吸収 され る無機物窒素 が増加す るO (釘酸度が矯正 されると、作物 に有害 なアル ミニ ウム、マ ンガンな どが、不活 性化 し、過剰書が軽減 され る。(蛋)酸 度璃正 によって施肥燐酸 の固定が軽 減 され、 同時 に、有効慾 リン酸 も増加す る。 ④ 酸度璃正 に用 い られ る石灰質物質は、植物 の養分 と して吸収 され るか ら作 物 の増収 ができる。 この酸性土壌の改 良物質 としては どんな ものを利用 すべき か。 それには炭酸 カル シウム、珪酸 カル シウム、溶成 リン、石灰窒 素、 クチャ (未風化泥灰 岩 )な どがあ るO利用す る方法 と しては、 1. 炭酸 カル シウムは石灰岩を微粉末にす る.粉末 産は1,680ミクロン (フ ル イの臼 1.6 8花死を佐用す る )と590ミクロン0.59初、 85%以上通過す ることが判定 されている.粒度の荒い ものはアル カ リ分を溶解 して土壌粒子 に 作用す るまでの時間が長 くかか るので、酸度矯正効果 の発現 まで に時間がかか る.炭叔 カ リは生石灰、 消石灰 に くらべ ると、緩効果で、一 度に多量施用 して もP.Hを上昇 させ る心配はない。 2 拝酸 カル シウムは製鉄 な どの際 の副産物 としてで る鉱淳を粉砕すれば でき るO主成分はfI・懐 カル シウム (Casio)で、製成 され る金属 の種類 によ って珪
酸 カル シウム肥料 の成分 に多少の差が ある。 石灰珪酸分以外 に、可溶性苦土マ ンガンを含有す る。 肥料 の公定規格で は、可溶性珪酸20%以上、 アル カ リ分 3 5%以上が望 ま しいといわれている。粒 度制限 としては、 2
,
00
0ミクロン の網 フルイを 60%以上通過す ることが望 ま しい。 3, よ うりん 燐 鉱石 にほぼ同量 の蛇紋岩を加え、 C1,400度で解離 し、帯 出す る。 これを急冷却 して生 じた ガ ラス状 の物質を粉砕 してつ くる。 よ うりん は緑色か黒褐色を呈 している。 B.Mよ うりんは緑色 の重 いガラス状 の徴粒 質で あ るよ うり
ん に含有 されて いる。 リン酸分 は溶性であ り、酸性土壌 に施用 して も鉄や アル ミナに吸着 されて不可給態 に変 りに くい特徴がある。溶性 リン酸は 過 石 の水溶性 リン酸 に比べて遅効也で、 作物 の生育 の初期には利用されない。 4・ 石灰窒素 カル シウム、 カーバイ ト(CaC2)と窒素 ガス (N2)c
l,000 度 内外で反応 させ ると、石灰窒素 の主成分であるカルシウムシアナミド(CaCN2 ) がで きる。石灰窒素 は灰黒色 のアセチ レン臭を発す る重 い粉末である。微粉末 は ^畜 に も有害である。一般 に石灰窒素は吸湿性が あり、空気中の水分を吸収 して水酸化石灰を生 じ. また炭酸 ガスを吸収 して炭酸石灰 とな り、 重量 と容積 を増 して固 結す る。 そのために耐湿性 の紙袋で厳 重 に包装 され る。石灰窒素は 多機能 資材 といわれ、殺草、殺 中、殺菌 の効果があ り、含有 している窒素成分 は植物 に吸収利用 され る。 多量 の石灰を含むか ら、土壌 の酸性化を防 ぎ、地力 を培養 す る。 また殺 虫、殺菌作用で、施肥土壌のネマ トー ダな どによる連鎖障害を回避 さ せ る。 いわば石灰窒素は窒素質肥料 の中での、唯一 の盤基性肥料であ り、その施用 は地 力の増 強 につ なが るもので ある。 5. クチ ャ クチ ャは第三紀泥灰岩 のことで、末風化の泥 灰岩土の ことである。 そ の風化 され た風化土 を ジャー ガル とい っている. ジャー ガルは灰色粘土の含 有量 の多い重粘土土壌で あるが、植物 の養分 にとみ、最 も生産力の高い土壌と いえる。 クチャは石灰分をは じめ、多 くの植物養分を含有す ることか ら、国頭 マー ジの如 き有機物質 の含まない土壌の改 良に利用がで きるのである0 クチャは純海成の堆積物で、陸上か ら流れて くる粘性 鉱物 の微粒子 と、海水 -116-中の微生物 の死骸や海藻が混合 された、 いわば有機物質の含量 の多い士攻であ る。第三紀の地殻変動 のはげ しか った時期 に、海中で堆積 した粘性鉱物 の微粒 子が成分 の大部分である。 クチャは軟質で青灰色 を帯び、粘土微粒子 よ りな り、 風雨lこさらされると容易に崩集 して細士 となる。 炭酸 カル シウムを多量 に含有 しているのは、 海水 中に浮遊 してい るプ ランク トンや珪藻な どが、死滅 して粒 性粉粒 と混 じて堆積 した もの と考え られ、その後陸地 の上昇 (隆起 )によ って 陸上に現われた もの と推定 されている (佐藤伝蔵 地質学提要 沖縄農業読本 参照 )0 以上 の沖縄土質の性格か ら判断 され、地域農 業の振興を伊藤勇夫氏はおよそ 次のよ うに考察 された。 「沖縄の地域農業の性格を知 るのには、その特殊な歴史性 に よって規定 され る r時」の視点が重要であるとされた。事実 沖縄 は1609年 (慶長14)島 津氏によって征服 されて.島津 の属領 と してその従属的地位 におかれ、 沖縄の 全剰余は島外 に持 ち去 られて しまった。 このことはサ ンゴ礁 の上 に営 まれ る低 い生 産力の段階で、台風災害 にさ らされ る沖縄農 業が、発展 の萌芽 をつみ とら れて しまったと表現 されて も致 し方あるまい。 硯 に数年な らず して、八千石 の薩摩 への仕上世米の米納が、事実上不可能の 状態 とな ったので、七千六百石 を米納 と し、他 を砂糖 によ って、代納す るとい う方法で対処 した。 に も拘 らず琉球 内の米 の生産は、島内の消費量を下廻 り、 逆に薩摩商人か ら、米 の輸入 によ って飢 を しの ぐとい う有様であった。伊藤氏 は沖縄を限界地とい う。 それは量産 と位置 の r差額地代Jがゼ ロの r耕境」 (MarginalLand)であるか らだ とい う. そ うして沖縄農業 の限 界地的性格を 概略次のよ うに説かれた」0 1, 沖縄の農 業環境 の特質は気温が高 く太陽 エネルギーに恵 まれて いるとい う ことである。 しか し年間雨量 の分布は熱帯のよ うに、乾季 と雨季 に画然 と分け られない し.夏季の降雨は台風 の随伴現 象 と して もた られ、 しか も しば しば集 中豪雨とな って災害をひきおこ している。 しか も貯水施設 の不完備を あわせて、 恒常的用水不足を きた し、千魅をお こすのである。 土壌 は地域 によ って さまざまであるが、南部泥死岩土が風化 した ジャーガル
と呼ばれ る灰色 の粘性土 とな り、 中北部はサ ンゴ石 灰岩 の風化によって生成 し たマー ジと呼ばれ る赤色 の土壌 を形成 している。 しか し全般 として いずれ も有 機 物質が不足 し、 しか も北部の土壌 はP.H4.9以下 の強酸性 を示す ところがあ り、総 じて地 力が痔薄 で、 その上土地改 良や生産基 盤への投 資が著 しくお くれ ているO栽培 作 目をみる とサ トウキ ビ、 28,928- クタール、パ イ ン4,732 へ クタ-ル、野菜3,079- クタール、果樹 460- タター
ル
.工芸作物397 - タタールとな ってお り、 サ トウキ ビとパ インのモノカルチ ャー とな っている。 これは沖縄 の土壌 や 自然条件 に適応 した作 目を定着 させて いるとみ ることがで きるが、 しか しこの作 目はたん に土地 に適合 した作物 と して栽培 されてい るの みでな く、社会的経済的諸要因 によ って、沖縄 に一層根深 く定着 して いると見 るべ きで あろ う。 次 に位置 の限界地 につ いて見 ると、チュー ネ ンは 「位置 の差額地代を市場 よ りの交通距離 と運賃 との関係 で展開 している」.孤立国 の平野 は全 く同一の土 壌 よ りな 、到 るところ耕 作に通 して いる し、豊 鹿はすべて-1定であると前茂 しているため、豊慶の差額地代 はない とい う。 もち ろん現実的 には純利益 -地 代 に影響す るもの として、位置、豊度.面積、経営組織 を考慮 している。 この 前提 条件 のとき中央市場 の穀価 の決定 により、距離 による遅送乃 0)差異 によっ て位置の差 額地代が異な り、位置 の地代 の大 きい版 lこ第一圏 に l自由式農業」
が 成立 しついで林菜、三圏 に 「輪栽 式農業 」、第四鮒 に T穀 嘩式農業 J、第万 圏 に r三 間式農業 」第 六圏 に畜産がほぼ同心 円的に成立す ると しているo しか もチ ュ- ネンは、 r地代を粗収益か ら生産 門を差引
いた純収益を地代J
とい ってお り、利潤 と地代が分化 していない状態を い っている。 ところで沖縄農業 の限界地的 性格をみ ると、 沖純 は過去10年間の平均気取 はC 22度、積算 温度は6,6 8 9度、平均 日照時間は1,9 4 5時間で、平均雨 量 は2,148取、 6月以降 の降 雨は台風 にともな って くる典 軌 的沸熱帯である. 沖縄 の農業環境の最大の特質 は気温が高 く、冬季で も15度内外、太陽 エネル ギーに恵 まれて いる とい うことである。 しか し年間の 雨量は前記 のように、熱 帯 の如 く乾期 と雨期 に画然 と してお らず、夏季 の降雨は台風に随伴 してお り、 しば しば集 中豪雨 とな って災害をひきお こす など、 きわめて厳 しい条件下 にあー1
1
8
-ることである。 しか も貯水施 設の不完備 とあわせ 、恒常的用水 不足 を きた し、 干書を しば しば起 す こ とで ある。土壌 は地域 に よ って さまざまで あるが、 沖縄 島の南 部は概 して泥灰岩土 の風化 した ジャー ガル と呼ばれ る灰 色の粘質土か ら な り、 また中北 部 はサ ンゴ灰岩の風化 によ って生成 したマー ジと呼 ばれ る赤色 の土壌 よ り構成 され るな ど、 いずれ も有機 物質 の不足、 しか も地 域 によ っては
p.
H4
.
9
以下 の強酸性 を示す ところが あ り、総 じて地 力が療廃 で、土地改 良や 生産基盤への投資が著 しくお くれて いる. た とえば沖縄 のサ トウキ ビ栽培面積 の推移を見 ると、明治26-30
件 は3
,
570
- クタール、大正2
年∼6
年13
,
404
ヘ クタール、大正12
年∼昭和2
年18
,
183
ヘ クタール、昭和8
年∼12
年 には15
.
398
ヘ クタール と滅少 し、 さらに戦後昭和30
年 には6
.
348
ヘ クタール、昭和35
年9
,
671
- タタール、昭和40
年29
,
830
- クタール、 昭和41
年31
,
976
ヘ クタール と急速 に増 加 して い るO この推移 は米の作付面 積 と陰陽 とあわせ てい る。 す なわち昭和20
年12
,
532
ヘ クタールあ った水稲 は昭和35
年 には11
,
730
- タタール とな り、昭和40
年 には4
,
066
- タタ ール と激渡 し、昭和41年 には3,469- タタール と、明治以降 の最低 を記録 してい る。 この ことは戦 後の米軍 に よる支配 と基 地経済 に深 くつ なが りを もつ 作物 の交替 といわなければな らない。 す なわち米軍政 下 におかれ るこ ととによ って、加州 米が トン当 り177
ドルで輸入 されて お り、 これを精 米 に して も200
ドル、 これ に反 し島内産米 は精米 トン当 り150
ドル とい う状況 であ っ た。 従 って米 は主 と して過 剰 の加州 米を輸 入 し、極 力島内内 自給 を削減 し、肯 入 米 に課徴 金をかけ るとい うことによ って特別会計 を運用 して きた食糧政策の 結果 で あ った とい うことが で きる。 この ことに よ って島内 の米 自給率 は10%
におち こみ、 この分 の 多くが キ ビ畑 に転用 され た とい うことがで きる。 に も拘 らず キ ビは10
7 -ル当 り労働時 間が2I3
時間 とい う 「省力粗 放作 目」であ ●● ●●●●●●●●●●●●●■●●●●●●● ●● ●● ●●● るが、 Fこのキ ビ栽培 の普 及が農家 の労働 力を一層過剰 に し、 これが ひいては ● ●●●●●●●●●●●●●●■● ●● ●● ■●●●●●●●●■●■● 低賃金で基 地 労働 者へ転化す ることにな り. これを基軸 とす る第三次産業 人口 ●●●●●●●● ●●●●●●●● ●●●●●●●●●●●●●●●●■ の苦 る しい肥大化 とい う歪 曲 した産業就 業構造 をつ くる ことにな って い る」 (傍点輩者 )0 本土 にお いては戦後 の食糧 不足 に対応 し、量 産を 高めるため の土地改 良が、集 中的にお こなわれ、 ダム建設や排水施設がつ くられ、昭和
40
年以降はとく に大型機械導入 のための圃場整 備が公共投 資 とい う形 で実施 されて きた。 これ に対 し沖縄では中心耕地が軍事基地以 したため島内における食糧 は外部 に依存 せ ざるを得な くな り、 このため土地改良投資がお くれ、ひいて は沖縄農業の 「豊慶 」を厚薄のまま停滞せ しめ、本土 との間 に土地 生産性の格差を大き くし た。例 えば昭和21年か ら昭和43年 の間における土地改良面積を見ると、21 年 間に3
,
092
- クタール とな っているが、 これは耕地 面積50
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ヘクター ルの僅か に61%にす ぎない平均一年間の達成率は147- クタール とい うテ ンポで あ り、 もしもこのテ ンポで進む とす ると、沖縄の要改 良田を改良 し尽す に300
年 の才 月を要す るとい う計算 にな る。 その上 に農民 の労働時間 も多 く、機械 の導入がお くれて いる。 このことは機 械農具を導入す るための資本蓄積 を もたないことと、導入 の前提 となる農道や 零細分散圃場が整備 されていな いことと関係 して いる。 さらに今一つは農業労 働賃金が米軍基地労賃を標 準にす るため、概 して本土 よ りも高い水準であって、 この ことが労賃部分 を高 くす る ことにな ったの も看過す ることができない。 次 に問題 とな ることは、沖縄の 「位置 」の限界地性 とい うことである。 沖縄 は中央市場で ある東京 よ り1
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hEの遠 隔地 に存在 し、わが国の南限地であ る。 従 って中央市場を 目標 とす る遠隔輸送鼻糞 を行な う場 合には、その輸送距 離に応ず る運賃、それ に農産物 の荷傷 み、 目減 り、鮮度低下あ るいは海上災害 な どのデ メ リッ トが、つ ねに随伴 して いる。一 方農業、農業機械、農業生産跨 材 な どを沖縄 に搬入す るにつ いて も、輸送距離 に応 じた輸送 費が附加され る し、 農業生産 コス トも近距離地 に対比 して、割高にな るのが一般的傾向である。従 って沖縄農業が局地市場で はな く、遠隔地市場 に出荷す る場合は、生産費に輸 送 費が 加わ り、 いわゆる現実的生産 コス トが、近距離地 に比 して高 くなる。 も し同一種類 の農産物価 格が、市場 への供給 と需要 によって決 まるとす ると、 こ の市場価格よ り高 い生産 コス トで生産す る地域 あるいは 個別農家は、労賃 も満 足 にとれ ないために、次回の生産を放棄せ ざるを得な くなる。特 に小農 の場合 は常 に労賃が他産業労働 に見合 うか ど うかが、生産続行 のキメテになるか らで ある。そ の結果劣等地 は生産を放棄す るため 「耕境 」は縮少 され、 次回の出荷 -120-量 はその部分だけ少な くな る。 だか ら市場価 格は上昇 し、長期的 にみ ると限界 地では、市場価格 と費用価格の差がな く、従 が って位置 の差額地代が形成 され ない ことになる。 しか し以上 の基本的性格を規定す る原因 は、決 して宿命的 な ものではない。 沖縄の 自然条件 と豊慶を生かす 「作 目」、 または沖縄 のみ に栽培 され、供 給独 占が可能 な作 目を定着 させ得 るな らば、 「位 置 」の限界地 と しての不利を カバ ー し
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「量産 」の地代 の有利性を確保す ることもで きる。 いわば重度 とか位置 の地代は しょせ ん相対的 な ものに過 ぎな い。 それはあ る作 目に とっては限 界地 で あって も、ある作 目にとっては優等地であ り得 るか らで ある。例 えば沖縄 の 自然 と重 度 にのみ栽培 され るキ ビ、パ インもその-つであろ うし、観賞用 のヤ シ、 フェニ ックス、 ゴム、サルスベ リ、 アナナス、 ロベ レニーな どもそのよ う な性質を もつ樹木 とい うことがで きる し、 テ ッポーユ リ、 フ リージャー、 グラ ジオ ラスな ども沖縄 の気温の もとでは、無加温に よって育成 され る花井 という ことがで きる。 また メロン、 イチ ゴ、 キ ャベ ツ、玉葱な どの疏菜 も 「作型 」に よ っては、本土 の もち得 ない有利 な栽培が 可能で ある。無加温の場合は加温の 場合に比べて タダの太陽光線や 日照を利用 し得るため、は るか に生産 コス トを さげ得 る可能性を もっている。 とくに石油、重油、電 力な ど、 加温燃料や施設 園芸材料 などの高騰す るなかで、 自然 の温度を利用す る農 業 の有利性は、 ます ます高まるで しょうか ら、沖縄農業 の将来 は決 して暗いマイナスの面ばか りで はな く、明るいプ ラスの面が秘め られていると見 なければ な らない。例 えば沖 縄 の甘橘栽培 にその萌芽をみ ることがで きる。石川市を 中心にみ られ る早生温 州みかんの栽培 が、それで ある。沖縄 の早生温州の収穫は七 月下旬か ら九 月上 旬で、本土 の青切 り ミカン地帯である鹿児島、宮崎 よりも一 ケ月以上 も早 く、 収穫 されてい る。 これはい うまで もな く沖縄 の もつ太陽 エネルギー (気温、 日 照 )とい う天恵 の 自然条件を利用 した とい うことがで きる。 さらに沖縄農業の展開方向 と して指摘で きるのは島内の食糧 自給率を高める とい うことである。今 日沖縄の主食で ある米の 自給率 はわずか に一割で、九割
を島外 に依存 している実状で ある。 に も拘 らず本土の食糧 管理制 慶の体系 に入 ろうとしている。徐 々にで はあ って も本土並 の米価で沖縄住民の主食 の九割を-1
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-島外 に求める こ とは、大変 な財 政 負担 にな る。 そ のためにはまず 沖縄 の水の 自 給 率 を高め る対策が早 急 に打 たれ なければな らない。 また遠隔地輸送園芸に し て も、 この米 の 自給を足場 と して発展すべ き もので、局地 市場 を も充足 し得ず に、遠 隔地輸送 園芸 とい う高 度 な方 向を とる ことは極 めて危険な 方針 といわね ば な るまい。 また疏菜 に して も殆ん ど本土 よ り移入 されて いる現状は、沖縄経 済 の健全な発 展策 とはいえない。 沖縄 の米 の 自給率を高 め るためには、 まず用 水確保 と排 水の ため、生産基 盤整 備投 資、 さ らに土地 改 良投 資が緊急事で あ り、 それ と同時 に亜 熱帯 に適 す る水稲 品種 の育成 が 必要 で あろ う。幸 いに九州地 域 には稲作増 産技術 が集積 されて い るといわれて いる し、稲作技術者 の層 も厚 い か ら、 これ らの地 方 との連帯協 力が必要で あ ろ う。 もちろん農業を強力に展開 す るの には、土地 、 資本、 労働 力の三要素が 不可欠で あ るが、そ の うち労働 力 「人間 」が もっともキー ポイ ン トをなす といわれ る。 どのよ うな 自然 も、人間 の知識 と労働 力が働 きか け るこ とによ って、は じめて能動的 な生産 力にす るこ とがで きる (この項、伊 藤 勇夫氏 「沖縄農 業 の基 本性格 」に よる )0 追 記 「沖縄 の水 と士 」につ いて は1980年10月1日沖縄大学経 済学研究 会 にお いて講演 を した要項を摘記 した。 註 1) 「二次振計大綱」三一(1)