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[症例報告]大きな唾石を有する比較的まれな両側性顎下腺唾石症の1例: 沖縄地域学リポジトリ

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Academic year: 2021

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Title

[症例報告]大きな唾石を有する比較的まれな両側性顎下

腺唾石症の1例

Author(s)

金城, 孝; 山城, 正宏; 砂川, 元; 権藤, 国子

Citation

琉球大学医学会雑誌 : 医学部紀要 = Ryukyu medical

journal, 8(2): 92-98

Issue Date

1985

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/2362

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Ryukyu Med. J., 8(2): 92-98, 1985.

大きな唾石を有する比較的まれな両側性顎

下腺唾石症の1例

金城  孝  山城 正宏  砂川  元  権藤 国子 琉球大学医学部歯科口腔外科学教室 緒     言 日常の臨床において,唾石症はしばしば遭遇 する疾患である.これら唾石症々例の多くは, 唾液腺の腺体あるいはその排壮管に形成された ′結石により,唾液の流出が阻害され,腫脹と痛 み(唾仙痛)を主訴として来院している. 唾石症に関する報告は数多く認められるがそ の多くは片側性であり,左右両側性に生じた唾 石症の報告は比較的少ない.今回,われわれは 比較的大きな唾石を有する両側性顎下腺管内唾 石症を経験したので報告する. 症     例 患者:大○70 65歳 女性 初診:昭和57年10月7日 主訴:左側顎下部の催肢と庄痛 家族歴,既往歴:特記すべき事項なし 現症歴:約37年前より,ときどき,左右顎下 部に腫脹が出現したが,短期間で自然に消失し たり,あるいはまた手で圧迫し,口腔内-の排 液をみることで縮小したため,これまで放置し ていた.初診の2, 3週間前より,左顎下部に 腫脹がみられ,某医院を受診.同医院における Ⅹ線写真より,口底部に不透過像が認められ 唾石症の疑いで当科へ紹介された. 現症:体格は肥満,栄養状態は良好.その他, 特記すべき全身所見はなく,血液,尿,生化学, 血清学的検査でも,特に異常値は認められなか った(Tablel).口腔外局所々兄として,左顎下

Table 1 Lavoratory data

Peripheral blood WBC 4300/mm3 RBC 478xlOVmm3 HGB 14.8g/dC HCT 44.0% Plat 17.2xl0Vi 3 ESR 30/60mm Biochemistry

P l ,

X ! M

G l

u 豊 G

。 T 豊

L D

Na 143.6mEq/l K 4.4mEq/l Cl 96.0mEq/l Ca 4.7mEq/l Fe 66/上g/dl Mg 2.3mEq/l Cu lllノ上g/dt 7.5g/de Urine 4.0g/dJ Protein (-) 1. 17       Sugar (1 97mg/ dt Serology 8 mg/ ff1 0.6mg/ de 17IU/ 1 12IU/ 1 5.3KA.U 353IU/ 1 ASLO 80Todd CRP 部に月重脹があり,皮膚の色調は正常.触診では 5 ×4.5cmの弾性硬の腫癌で,その境界は明瞭 であった.腫痛の表面は平滑で,皮膚との癒着 はない.深部組織と腫痛との可動性は乏しかっ た.なお,左顎下部リンパ節の腫脹は触知でき なかった(Fig. 1).口腔内所見として,開口障害 はなく,腫癌の内上方に相当するロ底に,栂指 頭大の頑固物が触知された.また.反対側の右 白歯部にも,顎下腺の排壮管(ワルトン管)の 走行に一致した長さ2.5cm程の棒状の硬固物が触 知された.なお,左側顎下部と異なり,右側顎 下部には腫脹や月重病は認められなかった.顎下 部を圧迫し,左右顎下線の排壮口からの唾液の

(3)

両側性顎下腺唾石症

Fig. 1 Preoperative facial profile.

量をみると,右側と比べて左側排経口からの唾 液量は著しく少なかった(Fig. 2).

Fig. 2 Intraoral photograph.

Ⅹ線写真所見:顔正面Ⅹ線写真(Fig. 3).下顎 パノラマⅩ線写真(Fig. 4).嘆合法写真(Fig. 5) にみられるように,左顎下部に塊状の不透過像, 右側下顎骨の下線部近くに紡錘形をした不透過 像が認められた.唾液腺造影の結果より,左側 硬圃物は腺体と排壮管の移行部に位置していた. 造影直後の一連のCTスキャンによる検査より,

Fig. 3 Posteroanterior radiograph.

Fig. 4 Panoramic radiograph.

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94 金城  孝 ほか

左側硬固物が2個よりなることが認められた

(Fig. 6).

Fig. 6 CTscan showing the calculi(arrows).

臨床診断:左右顎下腺管内唾石症と診断した. 処置および経過:昭和57年10月25日,当科外 来治療室にて,局所麻酔を行ない,口腔内より 右側唾石の摘出を行なった.同年11月1日,右 側唾石と同様に,局所麻酔下にて左側唾石を口 腔内より摘出したFig. 7.左側より摘出された 唾石は, CTスキャンの所見と一致して大小2個 であった.術後の経過は良好で,左顎下部の丹重 脹は消失した(Fig. 8,9). 摘出物所見:右側唾石は24×9×7mmで,重 量1.64g,色は黄褐色で,紡錘形をなし,表面 は小額粒状突起が散在し,粗造であった.左側 唾石は大きい方が16×14×10mm,重量1.84g, 表面は右側唾石と同様で,不整形の塊であった. また,小さい方は9×6×4mmで1重量0.18g, 色は淡黄色で,表面は比較的に平滑,南平形を なし,大きい唾石の後方に位置していた(FiglO).

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両側性顎下腺唾石症

Fig. 7 Transoral sialolithotomy of the sub-  Fig. 8 Postoperative facial profile・ mandibular duct.

A-right salivary calculus. B-left salivary calculi.

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Fig. 10 Specimens of right(A) and left B) calculi.

考     察 唾石症に関する報告は数多くあるが,両側性 顎下腺唾石症は欧米で13例,本邦では本症例も 含め16例と少ない1)2)顎下腺唾石は顎下腺の腺体 内唾石とその排壮管にある腺管内唾石に大きく 分類できる.したがって,両側性顎下腺唾石症 の唾石の位置が,左右とも腺体内あるいは腺管 内にある場合もあれば,一方が腺体内で,他方 が腺管内にある場合もある王)2)3)唾石症に対する 処置をみると,一般的に,腺体内唾石に対して は口腔外より唾石を含む顎下腺の嫡出を行ない, 管内唾石においては口腔内より唾石のみの摘出 が行なわれている.しかしながら,唾石症とし ての症状がなく,まったく,偶然に発見された 場合は,とくに処置をせず観察のみを行なって いる.両側性症例で,片側に症状がある場合は 患側のみの処置を行ない,他方の症状のない反 対側に対しては観察を続けている報告もみられ るヲ)本症例では左側に唾石症としての症状があ 孝 ほか り,右側においては無症状であった.しかし, 過去に左右両側とも腫脹があったとの既往歴よ り,両側の唾石の摘出を行なった. 唾石は唾液中の無機質を主体とした結石であ り,大唾液腺である顎下腺,耳下腺,舌下腺の ほか,ロ月空内に分布する小唾液腺にも生ずる可 能性がある.最近,耳下腺および小唾液腺に生 じた唾石症の報告がしばしばみられる4-9)これ らの唾石症のうちで,顎下腺唾石症が他の唾石 症より多い事は,周知の事実である.その理由 として,顎下腺管は耳下腺管より長く,その開 口部は腺体より上方の口底部にあり,唾液が停 留しやすいこと,また,顎下腺の分泌液は耳下 腺より粘液が多く,より精鋼であることが挙げ られている王o) 唾石の成因については従来より,体質説,内 分泌説,細菌説,異物中心説,炎症説などいろ いろあるが,現在のところ定説はなく,多くの 要因が関与しているのではないかと考えられて いる王1)本症例は長年にわたり,左右顎下部の腫 脹が繰り返し認められており,初期の唾石の発 生状況は不明であった.しかしながら,繰り返 し出現した腫脹,つまり炎症と唾液の貯留,そ してまた唾石の小額粒状の粗造な表面感より, 小さな唾石の表面に対して,唾液中の無機質と 刺離した腺上皮細胞などが沈着して,唾石は増 大,成長したものと考えられた. 一般的に,唾液腺疾患の臨床検査のなかで唾 液腺造影は不可欠なものであり,唾石症におい ても例外ではない,本症例でも,左側唾石の位 置の確認のため造影を行なった.しかし,右側 唾石においては排准管内にあることが明白であ り,造影剤の注入により,唾石を深部に押し込 む危険怪があったため,造影検査は行なってい ない.この他,われわれは唾石の位置の検索に, CTスキャンを使用し,一連のCT像より,他のⅩ 線写真で判別できなかった隣接した2個の左側 唾石の判別ができた.元来, CTスキャンは軟組 織疾患に利用されてきたが,最近,われわれは 顔面骨折の骨折線と骨の変位の検索に利用し, 断層撮影法と同様に,補助的診断法として有用 と考えている.唾石における今回の成果より,

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両側性顎下腺唾石症 CTスキャンは軟組織疾患のみならず,広く硬組 織疾患にも有効な検査方法ではないかと考えら tlfz. 結     語 われわれは,比較的大きな唾石を有する両側 性顎下腺唾石症を経験したので報告した.本症 例は比較的まれであり,約37年もの長期にわた り放置されていた. 参 考 文 献 1)遠藤義隆,川村仁,渡辺元裕,大村武平:両側 にみられた顎下腺管内唾石症の一例, E]口外誌 29 : 352-355. 1983. 2)木下靖朗,高田良彦,神谷祐二,三原学,稲本 浩:両側性(多発性)顎下腹唾石症の3症例, 日口外誌 29: 1113-1118. 1983・ 3)亀山忠光,喜多清基,川嶋龍一,熊谷京子,朱 雀直通,立山博:左右同時にみられた顎下腺唾 石症の一例, E口外誌 29: 1075-1079, 1983. 4)北川博一,二見正人,喜多清基,森永太,亀山 97 息光,朱雀直道,耳下腺管内唾石症の2例,目 口科誌 29: 125-132, 1980. 5)川原秀樹,亀山息光,森永太,宮城巧,朱雀直 道:小唾液腺唾石症の一例,日口外誌 25:335 -340, 1979. 6)内堀健二,上村容志枝,中村桂二,中村武夫, 金子賢司,山本浩嗣:小唾液腺に生じた唾石症 の一例(抄),甘口科誌 27:521, 1981. 7)桜井秀夫,河野道男,石橋克札,松本康博:育 下腺管唾石症の一例(抄),目口科誌 27: 522,・ 1981. 8)北川博一,森永太,亀山忠光:耳下腺管内唾石 症の二例(抄),目口科誌 27:522, 1981. 9)稲垣常治,田辺昭,西尾仁:若年者に発生した 耳下腺導管内唾石症の1症例(抄),目口科誌 31:461, 1982. 10)菖EEl喜内:大唾液腺疾患:最新口腔外科学,中 村平蔵,上野正,伊藤秀夫編, 888-889,医歯 薬出版株式会社,東京, 1974. ll)谷口強,山本其平,山田清治,大山勝:唾石の 走査電顕的観察と構成元素分析,耳鼻 25 : 757 -764, 1979.

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A relatively rare case of bilateral submandibular

sialohthiasis with large calculi

Takashi Kinjo, Masahiro Yamashiro, Hajime Sunakawa and Kuniko Gondo

The Department of Oral Surgery, School of Medicine, University of the Ryukyus

Key words : Bilateral submandibular sialohthiasis

Abstract

We encountered a case of a 65-year-old female with bilateral submandibular sialolithiasis. This was a relatively rare case, who had a large calculus in right Wharton's duct, and a large and a small calculus in left Wharton's duct. The CT scan revealed that two calculi in left side were kept distinct

respectively. It was useful not only for the assessment of the soft tissue diseases, but also the

sialoli蛸iasis.

Under local anesthesia, bilateral salivary calculi were removed by transoral method. The complaints disappered after operation, and now patient has been free from the trouble.

Fig. 10 Specimens of right(A) and left B) calculi. 考     察 唾石症に関する報告は数多くあるが,両側性 顎下腺唾石症は欧米で13例,本邦では本症例も 含め16例と少ない1)2)顎下腺唾石は顎下腺の腺体 内唾石とその排壮管にある腺管内唾石に大きく 分類できる.したがって,両側性顎下腺唾石症 の唾石の位置が,左右とも腺体内あるいは腺管 内にある場合もあれば,一方が腺体内で,他方 が腺管内にある場合もある王)2)3)唾石症に対する 処置をみると,一般的に,腺

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