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博 士 ( 医 学 ) 岡 嶋

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Academic year: 2021

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博 士 ( 医 学 ) 岡 嶋    覚

     学位論文題名

Antenatal Dexamethasone Administration Impairs     Normal Postnatal Lung Growth in Rats      (出生前デキサメサゾン投与の有する出生後ラット仔肺の      正 常 な 構 造 的 成 長 阻 害 作 用 に 関 す る 研 究 )

学 位 論 文 内 容 の 要 旨

置量

  周産期医療において早産児の肺成熟を促す、即ち肺サーファクタント欠乏に伴う呼吸窮迫 症候 群の 発症 予防 を目 的とす る出 生前 経母 体デ キサ メサ ゾン (以 下DXM)投 与の効果が広 く認められている.ヒト周産期における肺の成長には大きく三っの重要な段階があってーつ は通 常妊 娠31週か ら32週頃に生ずる前述のサーファクタントシステムの確立である.残り は肺の構造的成長に関わるもので、既存の肺胞カ§分割して数を増やす現象(alveolarlization

、妊娠35週頃か;ら生後3歳頃)、そして肺胞壁が厚い未熟な構造から、薄く成熟した構造ヘ 変化する現象(mlcrovascular maturation、出生後まもなくから5歳頃)である.これらの成長 段階は時期に差異があるものの哺乳類に広く共通で、特に後二者のバランスのとれた進行が 不可 欠で ある こと は動物モデルによって明らかにされている.例えばラット新生仔に出生 後DXMを投与することでmlcrovascular maturationが過剰に促進され、その結果alveolarization が不十分となり、成獣となったラット肺は個々の肺胞が大きく、その数が少なぃ、いわば気 腫状の変化をきたすことが報告されている.またalveolarizationは未熟な肺胞壁にのみ生じ 得る こと が示 され てい る.本 研究 の目 的は 、出 生前DXM投与も出生後のラット新生仔肺に 同様の作用を持っことを示すことにある.

尅墓韮よ埜友法

  妊 娠 日 数 の 確 定し たSDラッ ト21頭( 満期22.5日) およ び出 生した 新生 仔108頭 を対 象 と し た .DXMの 一回 投与 量は0.4mg/kg( 母体 重あ たり )と し, ラッ ト母 獣を7頭ず つの3 群 に 分 け , 第1群 に は 妊 娠20日 に 同 量 の 生 理 食 塩水 を、 妊娠21日にDXMを腹 腔内 投与 し た . 第2群 に は 妊 娠20お よび21日 にDXMを 腹 腔内 投与 、対 照群 には 両日 生理 食塩 水を 投 与 した .出 生し た新 生仔213頭 から 各群36頭 、計108頭 をラ ンダ ムに 選択 した,日齢1、4

、7、10、13、21、35、44、60に各群4頭の左肺を用いてvertical sectionによるモルフォメト リ ーを 行う ため の組 織標 本作 成を 行っ た. 標本から得られた400倍の拡大画像各10枚(計 1080枚)についてApple社コンピューター用ソフトStereology Toolbox (Morphometrix社)

を用いて解析を行った.算出可能なパラメーターは

Sv:SurfacedensityofAlveolarwalls( 単 位 肺 体 積 当 た り の 肺 胞 腔 体 積 ) nv:numericaldensityofAlveoli(単位肺体積当たりの肺胞数)

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r:average alveolar radius( 肺 胞 の 平 均 半 径 ) である.3群問の統計学的検討はScheffeの方法を用いた.

釐墨

1 Sv: 日 齢1060で 第1群 , 第2群 と も 対 照 群 に 比 し て 有 意 な 減 少 を 示 し た . ( 日 齢10   269.1土12.Ocm‥,273.110.5 cm.1 vs. 295.8土5.4 cm‥,日齢60: 375.3土15.3cm‑l,367.3土37.1   cm一l vs. 501.2土9.6cm‥,mean土SDで示す)

2 ny: 日 ゛ 齢10で 第1群 の み 対 照 群 に 対 し て , ま た 日 齢44, 日 齢60で は 第1群 , 第2群 と も   対 照群 に比 し て有 意の 減少 を示 し た. (日 齢10: 4089土51.9/mrr13 vs.603.6土34.5/IT11113,   齢44: 792,8土278.0 /1111113,763.4土201.6/IIlI113 yS. 1265.1土121.3/mm3,日齢60:978.9士182.9   /rrin13,1037.6土291.6/I111113 yS. 1942.313 0.6  /1111113)

3r: 日 齢10で 第1群 の み 対 照 群 に 対 し て , ま た 日 齢60で は 第1群 , 第2群 と も 対 照 群 に   比 し て 有 意 の 増 大 を 示 し た . ( 日 齢10 7263.6pmvs. 6251.3Hm, 日齢60: 557士4.1     皿m,54.0土5.5ルmvs. 45.4土1.1Hm)

圭窒

  日齢10で 一時顕在 化した気 腫状変化は その後代 償された かにみえるものの,日齢60に再 び顕 在化した .同様の 現象は出生 後DXM投与に おいても 認められ ていた. 日齢60には ラッ トは成獣に至ったとみなされるのでこれは不可逆的変化と考えられた.周産期医学の臨床に お い て も 出 生 前 母 体DXM投 与 の 適 応 を 本 視 点 か ら 再 考 す る 必 要 が あ る と 考 え る ,

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学位論文審査の要旨

     学位論文題名

Antenatal Dexamethasone Administration Impairs     Normal Postnatal Lung Growth in Rats

( 出 生 前デ キ サメ サ ゾ ン投 与 の有 する 出生後ラ ット仔肺 の     正 常 な 構 造 的 成 長 阻 害 作 用 に 関 す る 研 究 )

  早産児の呼吸窮迫症候群は肺の未成熟性に起因する肺サーファクタント欠乏が原因である

。現 在、肺成熟 を促す目 的で出生 前経母体 デキサメ サゾン(以下DXM)投与が行われ、そ の効果が広く認められている,ヒト周産期における肺の成長には大きく三つの重要な段階が あっ てーっは通 常妊娠31週 から32週頃 に生ずる 前述のサ ーファクタントシステムの確立 である。残りは肺の構造的成長に関わるもので、既存の肺胞が分割して数を増やす現象(

alveolarlization、妊娠35週頃から生後3歳頃)、そして肺胞壁が厚い未熟な構造から、薄 く成 熟した構造 へ変化す る現象(microvascular maturation、出生後まもなくから5歳頃

)である。これらの成長段階は時期に差異があるものの哺乳類に広く共通で、特に後二者の パランスのとれた進行が肺成熟に不可欠であることは動物モデルによって明らかにされてい る 。例えばラ ット新生 仔に出生 後DXMを投与 すること でmicrovascular maturationが過 剰に促進され、その結果alveolarizationが不十分となり、成獣となったラット肺は個々の 肺胞が大きく、その数が少ない、いわば気腫状の変化をきたすことが報告されている。また alveolarizationは未熟な肺胞壁にのみ生じ得ることが示されている。本研究の目的は、出 生前 母体DXM投与が 出生後の ラット新生仔肺に如何なる影響を与えるかを明らかにするも のである。

  妊娠 日 数の 確 定 したSDラ ッ ト21頭 ( 満期22.5日 )お よ び 出生した 新生仔108頭を 対 象と した.DXMの一 回投与量 は0.4mg/kg(母体 重あたり )とし,ラット母獣を7、頭ずつ の3群 に 分 け , 第1群 に は 妊 娠20日 に 同量 の 生理 食 塩 水を 、 妊娠21日にDXMを 腹腔 内 投 与 し た 。 第2群に は 妊娠20およ び21日 にDXMを 腹 腔 内投 与 、対 照 群 には 両 日 生理 食 塩 水を 投 与 した . 出 生し た 新生 仔213頭から 各群36頭、 計108頭をラ ンダムに選 択した

.日 齢1、4、7、10、13、21、35、44、60に各群4頭 の左肺を用いてvertical sectionに

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彦 典

邦 尚

林 上

小 水

西

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

よるモル フォメト リーを行う ための組織標本作成を行った。標本から得られた400倍の拡 大画像各10枚(計1080枚 )についてApple社コンピューター用ソフトStereology Toolbox

(Morphometrix社 ) を 用 い て 解 析 を 行 っ た 。 算 出 可 能 な バ ラ メ ー タ ー はSV

:Surface density of Alveolar walls(単位肺体積当たりの肺胞腔体積)、ny:numerical density of Alveoli(単位肺体積当たりの肺胞数)、r:average alveolar radius(肺胞の 平均半径 )である 。3群間の統計学的検討はScheffeの方法を用いた.結果として、1)弐

:日齢10と60で第1群, 第2群とも対 照群に比 して有意 な減少を 示した( 日齢10:269.1 土12.Ocm‥,273.1土10.5 cmーlvs. 295.8土5.4 cm…、日齢60:375.3土15.3cm‥,367.3土 37.1 cm−lvs. 501.2士9.6cm‥,mean土SDで示す)。2)ny:日齢10で第1群のみ対照群 に対 し て, ま た 日齢44,日 齢60では 第1群,第2群とも対 照群に比 して有意 の減少を 示 した(日齢10:408.9土51.9 /mm3 vs. 603.6土34.5 /mm3,日齢44:792.8土278.0 /ITlrr13

,763.4土20l.6/rflHl3 vs. 1265.1土121.3/ITlIT13,日齢60:978.9土182.9 /mm3,1037.6 土291.6/ IIllTl3 VS.1942.3土130.6/rIlITl3)。3)r:日齢10で第1群のみ対照群に対して,

また 日 齢60で は第1群 , 第2群とも対 照群に比 して有意 の増加を 示した( 日齢10:72.6 土3.6Mmvs.  62.5土1.3以m,日 齢60:55.7土4.1ルm,54.0土5.5ルmvs. 45.4土1.1Um)

。すなわ ち、DXM投与 母獣から生 まれた新 生仔の肺 は、日齢10で一時気 腫状変化 が顕在 化し、その後代償されたかにみえるものの,日齢60に再び顕在化した。同様の現象は出生 後DXM投与に おいても 認められて いた。日 齢60にはラ ットは成 獣に至っ たとみな される のでこれ は不可逆 的変化と考 えられた。周産期医学の臨床において出生前母体DXM投与の 適応をこの研究の結果から再考する必要があると考える。

  公開発表 に際し、 副査の西村正治教授から、DXM投与量の設定について|ラットとヒト の肺の成 長段階の 差について 、結果の再現性・信頼性について、DXMが肺に及ぼす効果の 機序、この研究結果の臨床への適応についての質問があった。ついで、副査の水上尚典教授 から、本研究の背景およびその位置づけについてのコメントがあった。主査の小林邦彦教授 から、肺 成熟を促 進する因子 として炎症がある一方、抗炎症作用をもつDXM投与が同様な 作用を呈 する機序 についての 質問があった。最後にフロアーの共同実験者から、DXMによ る不可逆 的な肺胞 変化は慢性 肺疾患の 動物実験 モデルと 為りうる可能性が指摘された。

  本研究は、周産期における母体へのステロイド投与の問題点を明らかにし、今後の臨床に その警鐘が生かされると期待される。

  審査員一同は、これらの成果を高く評価し、申請者が博士(医学)の学位を受けるのに十 分な資格を有するものと判定した。

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参照

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